(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1に係る発光装置1]
図1Aは実施形態1に係る発光装置の模式的平面図であり、
図1Bは
図1A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。
図1Cは実施形態1に係る発光装置の模式的正面図であり、
図1Dは実施形態1に係る発光装置の模式的側面図である。
図1Eは
図1A中のIE−IE断面を示す図である。
図1Fは実施形態1に係る発光装置における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図1Gは
図1F中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。
図1Aでは見やすさを考慮し、発光素子20とこれを封止する透光性部材40とを、いずれも実線で重畳的に示している。
図1F、
図1Gにおいては、理解を容易にするため、鋭角部50の先端に形成されるアールRの図示を省略している。
【0010】
図1Aから
図1Gに示すように、実施形態1に係る発光装置1は、基板10と、基板10上に配置された発光素子20と、発光素子20を囲むよう配置された枠体30と、枠体30に囲まれた領域を封止する透光性部材40と、を備える。枠体30の内周Pは、
図1Fに示すように、平面視において、少なくとも1組の対向する2辺32a、32bと、これら2辺の両端にそれぞれ配置される4つの鋭角部50と、を有する。以下、詳細に説明する。
【0011】
(基板10)
基板10は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、セラミックス、あるいはガラスなどの絶縁性材料を用いて構成される。セラミックスを用いる場合は、基板10の耐熱性を高めるべく、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト、炭化ケイ素あるいは窒化ケイ素などを用いることが好ましい。基板10の形状は例えば板状である。
【0012】
基板10には導体配線を配置することができる。基板10の表面に配置された導体配線には発光素子20が載置される。導体配線の大きさや形状は、種々選択することができる。導体配線の材料としては、銅、アルミニウム、金、銀、錫、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属又はこれらを含む合金等が挙げられる。発光素子20の実装に金バンプを用いる場合、導体配線の最表面に金を用いることで、バンプと導体配線との接合性が向上する。
【0013】
(発光素子20)
発光素子20は基板10上に配置される。具体的には、発光素子20は基板10に配置された導体配線上に配置される。発光素子20には発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子20には、紫外領域から赤外領域までの間の任意の領域に発光波長がある発光素子を、目的に応じて適宜選択することができる。サファイア基板やGaN基板などの成長用基板上に、窒化物半導体(例:InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN)、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の種々の半導体などにより発光層を含む積層構造が形成されたものを、発光素子20として用いることができる。
【0014】
発光素子20は、例えば、p側電極及びn側電極を同一面側に備えていてもよいし、対向するように備えていてもよい。発光素子20と基板10上の導体配線との接続方法は、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップ方式により行うことができる。フリップチップ方式による場合は例えば金バンプを用いることができる。発光装置1に配置される発光素子20の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。発光素子20を複数備える場合は、発光ムラを抑制するために、複数の発光素子20が行列状や千鳥配列状等のように整列して配置されていることが好ましい。
【0015】
(枠体30)
枠体30は樹脂部材を用いて構成されている。樹脂部材には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。より具体的には、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、またこれらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂などを枠体30の材料として用いることができる。これらの樹脂部材には、発光素子20の光を反射する光反射部材を含有することが好ましい。光反射部材としては、例えば、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO、BNが挙げられる。
【0016】
図1F、
図1Gにおける黒い丸は、鋭角部50を構成する2辺52、54の理解を容易にするため付したものであり、枠体30の内周Pの形状を構成するものではない。また、黒い丸はあくまでも便宜的に付したものであり、本実施形態では、鋭角部50を構成する2辺52、54と、辺32a、32b、34a、34bと、の間に明確な境界は存在しない。なお、後述する矩形領域Xとは、
図1Fにおいて点線で示す矩形の領域をいう。
【0017】
図1F、
図1Gに示すように、枠体30の内周Pは、平面視において、少なくとも1組の対向する2辺32a、32bと、これら2辺の両端にそれぞれ配置される4つの鋭角部50と、を有する。すなわち、4つの鋭角部50は1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの4隅の外側にそれぞれ配置される。このようにすれば、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの面積を枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。したがって、枠体30で囲まれた領域を発光面とする発光装置1において、発光面内により大きな矩形領域Xを設けることができる。その理由は次のとおりである。
【0018】
すなわち、枠体30は、例えば、樹脂吐出装置のニードルの先端から未硬化の樹脂材料を連続的に吐出し、吐出された樹脂材料を硬化することにより形成される。吐出された未硬化の樹脂材料は濡れ拡がる。樹脂材料を用いて平面上に矩形の枠体を形成する際、矩形の角部においては、ニードルの進行方向を一方向からこれに垂直な方向へ方向転換させる。そして、矩形の角部においては、一方向に沿って配置された樹脂材料の広がりとこれに垂直な方向に沿って配置された樹脂材料の広がりが集中する。これにより枠体の内周角部は、丸みを帯びた形状、いわゆるアール状となりやすい。換言すると、枠体30に囲まれた領域の内角はアールを有しやすい。
【0019】
そこで、本実施形態においては、枠体30の内周Pが、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの4隅の外側に4つの鋭角部50を備えることにしている。このために、前記のニードルを、矩形領域Xの4隅の外縁に沿って直角に方向転換させるのではなく、矩形領域Xの4隅に到達する手前で矩形領域Xの外縁より外側に移動させ、4隅の外側で方向転換させる。これにより、枠体30の内周Pの角部における樹脂材料の広がりが矩形領域Xの4隅の外側に配置される鋭角部50の内側に集約される。したがって、枠体30の内周Pの角部における樹脂材料の広がりが、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの内側までには到達し難くなる。このため、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの面積を枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。つまり、「1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの面積/枠体30で囲まれた領域全域の面積」を1に近づけることができる。よって、枠体30で囲まれた領域を発光面とする発光装置1において、発光面内により大きな矩形領域Xを設けることができる。
【0020】
鋭角部50は矩形領域Xの外側にあるため、鋭角部50の先端(換言すると、2辺52、54の間。以下同じ。)にアールRが形成されているかいないかは、矩形領域Xの面積には影響しない。しかるところ、鋭角部50の先端には、本実施形態のように、アールRが形成されていることが好ましい。このようにすれば、樹脂材料で構成された枠体30と枠体30が配置される基板10との接触面積が増えるため、枠体30と基板10の密着性が向上する。
【0021】
鋭角部50は枠体30で囲まれた領域の一部である。鋭角部50を構成する2辺52、54はそれぞれ枠体30の内周Pの一部である。鋭角部50を構成する2辺52、54がなす内角dは鋭角である。換言すると、枠体30で囲まれた領域のうち、2辺52、54がなす内角dが鋭角となる部分のことを、本実施形態では鋭角部50と称する。
【0022】
鋭角部50を構成する2辺52、54の各々は、直線でもよいし、曲線でもよいし、これらを組み合わせたものでもよい。鋭角部50を構成する2辺52、54がともに直線である場合は、2本の直線がなす角度が鋭角部50における内角dとなる。また、鋭角部50を構成する2辺52、54が1本の直線と1本の曲線である場合は、1本の直線と、1本の曲線上の任意点における接線がなす角度が鋭角部50における内角dとなる。さらに、鋭角部50を構成する2辺がともに曲線である場合は、2本の曲線それぞれの曲線上の任意点における接線がなす角度が鋭角部50における内角dとなる。鋭角部50を構成する2辺52、54の一方あるいは双方が曲線である場合は、曲線上の接線を引く位置により内角dの値は変動するが、曲線上のどこに接線を引いても、それらの接線がなす内角dが鋭角であることが好ましい。これにより、枠体30に囲まれた領域において、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域X以外の領域の面積を小さくすることができる。
【0023】
本実施形態に係る発光装置1は、2組の対向する2辺32aと32b、34aと34bとを備える。2組の対向する2辺は、ともに枠体30の内側に対して凸となる曲線である。なお、本実施形態では、鋭角部50を構成する2辺52、54も、ともに枠体30の内側に対して凸となる曲線である。
【0024】
鋭角部50を構成する2辺52、54のうち辺52は1組の対向する2辺32a、32bのうち辺32aの延長線上に位置しており、辺54はもう1組の対向する2辺34a、34bのうち辺34aの延長線上に位置している。このようにすれば、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xが、もう1組の対向する2辺34a、34bにも接するため(すなわち、矩形領域Xが、2辺32a、32bだけではなく、2辺34a、34bにも接するため)、枠体30に囲まれた領域において、矩形領域Xの面積をより大きなものとすることができる。
【0025】
枠体30の外周Qは平面視において4つの略円弧状の外周角部60を有していることが好ましい。4つの略円弧状の外周角部60は枠体30の内周Pにおける鋭角部50に対応して配置されている。つまり、本実施形態では、枠体30の角部の内周P側の形状が鋭角部50となり、外周Q側の形状が外周角部60となる。通常、平面視が矩形状である枠体においては、矩形の角部に応力が集中する。このため、枠体30の基板10からの剥がれは枠体30の角部から生じやすい。しかしながら、枠体30の4つの外周角部60を略円弧状に形成すれば、角部における応力が緩和される。よって、枠体30と基板10との密着性を向上させることができる。
【0026】
基板10表面から枠体30の上端までの高さ(基板10の表面に他の部材を介して枠体30が配置される場合には、当該他の部材の表面から枠体30の上端までの高さ)は基本的には均一であることが好ましい。枠体30に囲まれた領域には透光性部材40が充填されるが、枠体30の上端の高さが不均一であると、透光性部材40の一部が枠体30から漏れたり枠体30を這い上がったりして、発光面(透光性部材40の上面)の形状が安定しない虞があるからである。
【0027】
ただし、枠体30の外周角部60は枠体30の他の部分よりも高く形成されていてもよい。このようにすれば、発光装置1をひっくり返したり重ねたりなどする場合において、発光面が傷ついたり汚れたりすることを抑制できる。また、発光装置1を梱包する際においても、発光面が梱包材に当接してしまうことを抑制できる。なお、鋭角部50における内角dが小さい場合は、鋭角部50を形成する際にニードルの軌跡が一部重なることがある。ニードルの軌跡が重なる部分ではニードルから吐出される樹脂部材が重なるため、枠体30の外周角部60を枠体30の他の部分よりも高く形成することができる。
【0028】
(透光性部材40)
透光性部材40は、発光素子20を塵芥、水分、及び外力などから保護すべく、枠体30に囲まれた領域を封止する部材である。また、透光性部材40は発光素子20の光を透過する部材である。
【0029】
透光性部材40には、発光素子20の光に対して耐光性を有する部材を用いることが好ましく、具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂などを用いることが好ましい。透光性部材40には、目的に応じて、蛍光体や光拡散材等のフィラーを含有させることができる。蛍光体としては、例えば、YAG(Y
3Al
5O
12:Ce)やシリケート等の黄色蛍光体、あるいは、CASN(CaAlSiN
3:Eu)やKSF(K
2SiF
6:Mn)等の赤色蛍光体を挙げることができる。光拡散材としては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO等の光反射率が高い物質を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で、例えば、有機や無機の着色染料や着色顔料をフィラーとして用いることもできる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの面積を枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。つまり、「実際に形成される矩形領域Xの面積/枠体30で囲まれた領域全域の面積」を1に近づけることができる。したがって、枠体30で囲まれた領域を発光面とする発光装置1において、発光面内により大きな矩形領域Xを設けることができる。
【0032】
[枠体30の内周Pの形状の他の例:実施形態2]
図2Aは実施形態2における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図2Bは
図2A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。実施形態2は、1組の対向する2辺32a、32bが直線部を有する点で、実施形態1で説明した例と相違する。実施形態2によれば、1組の対向する2辺32a、32bが有する直線部が、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの外縁と重なることにより、矩形領域Xの面積を、より一層、枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。
【0033】
[枠体30の内周Pの形状の他の例:実施形態3]
図3Aは実施形態3における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図3Bは
図3A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。実施形態3は、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bそれぞれが直線部を有する点で、実施形態1と相違する。実施形態3によれば、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bが有する直線部が、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bに接する矩形領域Xの外縁と重なることにより、矩形領域Xの面積を、より一層、枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。
【0034】
[枠体30の内周Pの形状の他の例:実施形態4]
図4Aは実施形態4における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図4Bは
図4A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。実施形態4は、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bが直線部を有するとともに、鋭角部50を構成する2辺52、54がともに直線である点で、実施形態1と相違する。実施形態4においても、実施形態3と同様に、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bが有する直線部が、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bに接する矩形領域Xの外縁と重なることにより、矩形領域Xの面積を、より一層、枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。
【0035】
[枠体30の内周Pの形状の他の例:実施形態5、6]
図5Aは実施形態5における枠体の内周の形状の他の例を説明する模式的平面図であり、
図5Bは
図5A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。また、
図6Aは実施形態6における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図6Bは
図6A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。実施形態5、6は、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bが直線部を有するとともに、鋭角部50を構成する2辺52、54の一方の辺52が直線であり、他方の辺54が曲線である点で、実施形態1と相違する。実施形態5、6によれば、2組の対向する2辺32a、32b、34a、34bに接する矩形領域Xの面積を、より一層、枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。また、鋭角部50を構成する2辺のうちの一方の辺52(実施形態6では辺54)が、1組の対向する2辺32a、32b(実施形態6では辺34a、辺34b)の一部である。このようにすれば、枠体30を形成する際のニードルの方向転換回数を少なくすることができる。
【0036】
[枠体30の内周Pの形状の他の例:実施形態7]
図7Aは実施形態7における枠体の内周の形状を説明する模式的平面図であり、
図7Bは
図7A中の点線で囲んだ部分を拡大して示す図である。実施形態7は、1組の対向する2辺32a、32bが直線部を有するとともに、鋭角部50を構成する2辺52、54がともに直線である点で、実施形態1と相違する。実施形態7においても、1組の対向する2辺32a、32bに接する矩形領域Xの面積を、より一層、枠体30で囲まれた領域全域の面積に近づけることができる。
【0037】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は特許請求の範囲に記載された構成を何ら限定するものではない。