特許第6282158号(P6282158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282158
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ゲル食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 9/10 20160101AFI20180208BHJP
   A23L 11/00 20160101ALI20180208BHJP
【FI】
   A23L9/10
   A23L11/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-73689(P2014-73689)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-61518(P2015-61518A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-173510(P2013-173510)
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須山 大輔
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−209534(JP,A)
【文献】 特開2002−165570(JP,A)
【文献】 特開昭53−088360(JP,A)
【文献】 特開平07−090246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00−11/30
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆粉末を3〜13質量%、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.08〜0.25質量%、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを0.02〜0.2質量%、並びに水を含有し、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70であることを特徴とするゲル食品。
【請求項2】
前記大豆粉末の含量が、7〜13質量%であることを特徴とする請求項1に記載のゲル食品。
【請求項3】
前記、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量が、0.1〜0.25質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル食品。
【請求項4】
前記ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含量が、0.02〜0.14質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル食品。
【請求項5】
卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲル食品。
【請求項6】
大豆粉末を3〜13質量%、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.08〜0.25質量%、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70で、それらの合計量が0.02〜0.2質量%となる量のローカストビーンガム及びキサンタンガム、並びに水を混合し、90℃以上に達温させた後、冷却することを特徴とするゲル食品の製造方法。
【請求項7】
卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を原料に使用しないことを特徴とする請求項6に記載のゲル食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、ゲル状食品の栄養価を高めるために、原料に325メッシュ以上の全通粒度を有する大豆微粉末と食品ゲル化剤粉末を使用することで、食感が円やかなゲル状食品が開発されてきた(特許文献1)。
また、原料に、全脂大豆粉、植物性蛋白、乳化剤、及びマスキング剤を含む全脂大豆粉含有組成物と、牛乳、ゼラチン等を用いることで、滑らかな食感を有するプリン様ゲル状生菓子の開発も行われてきた(特許文献2)。
さらに、加熱された、水、大豆蛋白、乳類並びに増粘多糖類及び/又は豆腐凝固剤からなる混合物を冷却することで、卵を使用しない豆腐プリンの開発も行われていた(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−209534号公報
【特許文献2】WO2009/113655
【特許文献3】特開平9−322730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、市場に流通している大豆微粉末の多くは325メッシュを全通しないものであり、このような325メッシュを全通しない大豆微粉末を使っても、ザラツキのないゲル状食品を製造できることが望まれていた。
また、特許文献2の試験例9の比較例19の結果からもわかるように、全脂大豆粉とゲル化剤であるゼラチンを用いた場合には、得られるプリン様ゲル状生菓子は粉っぽさがあって滑らかな食感ではないため、滑らかな食感のものを得るために、全脂大豆粉だけではなく、植物性蛋白、乳化剤、及びマスキング剤も配合する必要があった。
一方、特許文献3の豆腐プリンは、原料に卵は使用しないが、乳類を必ず使用することから、特定原材料である乳に由来するアレルゲン物質が必ず含まれてしまい、一般食品としての利用は可能であるが、特定原材料によるアレルギーを考慮した食品としては利用できないものであった。また、大豆蛋白として全脂大豆粉を使用した場合の食感の改善については、何ら検討されていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、大豆の栄養成分を摂取することができ、かつ、325メッシュを全通しない粒度の大豆粉末を使用してもザラツキをほとんど感じないゲル食品を提供することを課題とする。
また、原料に乳及び卵原料を使用しなくても、外観及び食感が、乳及び卵を使用して作ったプリンに類似したプリン様ゲル食品を提供することを課題とする。さらに、原料に卵原料を使用しなくても、外観及び食感が、卵を使用して作った茶碗蒸しに類似した茶碗蒸し様ゲル食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、大豆の栄養成分として特定量の大豆粉末を使用し、特定量の寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種、特定量かつ特定質量比のローカストビーンガム及びキサンタンガムを使用することにより、乳や卵を原料として使用していない場合であっても、外観及び食感がプリンに類似したプリン様ゲル食品や、外観及び食感が茶碗蒸しに類似した茶碗蒸し様食品を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1の態様は、大豆粉末を3〜13質量%、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.08〜0.25質量%、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを0.02〜0.2質量%、並びに水を含有し、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70であることを特徴とするゲル食品である。
本発明の第2の態様は、前記大豆粉末の含量が、7〜13質量%であることを特徴とする第1の態様に記載のゲル食品である。
本発明の第3の態様は、前記寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量が、0.1〜0.25質量%であることを特徴とする第1又は第2の態様に記載のゲル食品である。
本発明の第4の態様は、前記ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含量が、0.02〜0.14質量%であることを特徴とする第1〜第3のいずれか1の態様に記載のゲル食品である。
本発明の第5の態様は、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないことを特徴とする第1〜第4のいずれか1つの態様に記載のゲル食品である。
本発明の第6の態様は、大豆粉末を3〜13質量%、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.08〜0.25質量%、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70で、それらの合計量が0.02〜0.2質量%となる量のローカストビーンガム及びキサンタンガム、並びに水を混合し、90℃以上に達温させた後、冷却することを特徴とするゲル食品の製造方法である。
本発明の第7の態様は、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を原料に使用しないことを特徴とする第6の態様に記載のゲル食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、大豆の栄養成分を摂取することができ、かつ、325メッシュを全通しない粒度の大豆粉末を使用してもザラツキをほとんど感じないゲル食品を得ることができる。
原料に、乳及び卵原料を使用しなくても、外観及び食感が、乳及び卵を使用して作ったプリンに類似したプリン様ゲル食品を製造することができる。また、着色料を使用しなくても、色がプリンのような色であるプリン様ゲル食品を製造することができる。
さらに、原料に、卵原料を使用しなくても、外観及び食感が、卵を使用して作った茶碗蒸しに類似した茶碗蒸し様ゲル食品を製造することができる。また、着色料を使用しなくても、色が茶碗蒸しのような色である茶碗蒸し様ゲル食品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のゲル食品は、特定量の大豆粉末、特定量の寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種、特定量かつ特定質量比のローカストビーンガム及びキサンタンガム、並びに水を原料としたゲル食品で、原料として、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を使用した場合であっても、原料に使用していない場合であっても製造することができるものである。
具体的なゲル食品としては、例えば、プリン様ゲル食品、茶わん蒸し様ゲル食品、卵豆腐様ゲル食品等が挙げられる。
したがって、本発明のゲル食品は、消費者に対し、一般の食品としてのみならず、特定原材料によるアレルギーを考慮した食品としての提供も可能となる。
【0010】
ここで、卵に由来する物質とは、例えば、卵、卵黄、卵白等が挙げられる。乳に由来する物質とは、例えば、牛乳、チーズ、バター等が挙げられる。小麦に由来する物質とは、例えば、小麦、小麦粉、小麦グルテン等が挙げられる。そばに由来する物質とは、例えば、そば、そば茶等が挙げられる。落花生に由来する物質とは、例えば、落花生、落花生蛋白等が挙げられる。えびに由来する物質とは、例えば、えび、蛯油等が挙げられる。かにに由来する物質とは、例えば、かに、かにエキス等が挙げられる。
【0011】
まず、本発明に使用する大豆粉末について説明をする。
本発明に使用する大豆粉末は、市販品を使用することができ、加熱処理をした大豆粉末であっても、加熱処理をしていない大豆粉末であっても使用することができる。また、例えば、原料としてリポキシゲナーゼ欠失大豆のような特殊な大豆品種を使用した大豆粉末も使用することができる。
市販品として、例えば、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」「ソーヤフラワーNSA」等が挙げられる。
なお、賞味期限が2014年3月5日のアルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。また、賞味期限が2014年2月13日のソーヤフラワーNSAのメジアン径は、27.7μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の70質量%が通過し、30質量%がメッシュ上に残存した。
【0012】
ゲル食品中の大豆粉末の含量は、3〜13質量%であり、7〜13質量%であることが好ましく、8〜12質量%であることがより好ましい。大豆粉末の含量が3質量%未満であると、コクが少ないものとなってしまうからである。また、大豆粉末の含量が13質量%を超えると、食した時に大豆粉末のザラツキを感じてしまい、舌触りが悪くなってしまうからである。
【0013】
次に、本発明に使用する、寒天、κ型カラギーナンについて説明をする。
本発明のゲル食品には、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を使用することが必要で、これらは市販品を使用することができる。
寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を使用していれば、それ以外のゲル化剤も追加で使用することができる。追加で使用できるゲル化剤としては、ゼラチン、ジェランガム、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、カードラン等が挙げられ、これらは市販品を使用することができる。
【0014】
ゲル食品中の寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量は、0.08〜0.25質量%であり、0.1〜0.25質量%であることが好ましく、0.1〜0.20質量%であることがより好ましい。
なお、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量が0.08〜0.25質量%というのは、寒天を選択した場合、寒天の含量が0.08〜0.25質量%で、κ型カラギーナンの含量が0質量%ということであり、また、κ型カラギーナンを選択した場合、κ型カラギーナンの含量が0.08〜0.25質量%で、寒天の含量が0質量%ということであり、また、寒天及びκ型カラギーナンの両方を選択した場合、それらの合計含量が0.08〜0.25質量%ということである。
寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量が0.08質量%未満であると、固まらずにゾル又は液状になってしまうからである。また、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種の含量が0.25質量%を超えると、固まりすぎてしまい、良好な食感のものを得ることができなくなってしまうからである。
【0015】
次に、本発明に使用するローカストビーンガム及びキサンタンガムについて説明をする。
本発明のゲル食品には、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを使用することが必要で、これらは市販品を使用することができる。ただ、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを使用していれば、それ以外の増粘剤も追加で使用することができる。追加で使用できる増粘剤としては、例えば、グアーガム、タマリンドガム、タラガム、メチルセルロース、アラビアガム、大豆多糖類、プルラン、サイリウムシードガム等が挙げられ、これらは市販品を使用することができる。
【0016】
ゲル食品中のローカストビーンガム及びキサンタンガムの含量は0.02〜0.2質量%であり、0.02〜0.14質量%であることが好ましく、0.02〜0.1質量%であることがより好ましい。ローカストビーンガム及びキサンタンガムの含量が0.02質量%未満であると、食した時に大豆粉末のザラツキを感じてしまい、舌触りが悪くなってしまうからである。また、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの含量が0.2質量%を超えると、粘度が高くなり、容器に流し込む等の作業に悪影響を与えてしまうからである。
また、ゲル食品中のローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比は、90/10〜30/70であり、90/10〜50/50であることが好ましく、90/10〜65/35であることがより好ましい。ローカストビーンガムの質量比が90より大きく、又は30より小さくなってしまうと、ゲル食品を崩した際に、すぐに離水を生じてしまうからである。
【0017】
本発明のゲル食品は水を含有する。ゲル食品中の水の含量は、製造するゲル食品の種類や他の原材料の配合量によって変わってくるが、60〜96質量%であることが好ましく、65〜92質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることがさらにより好ましい。
【0018】
その他の原料として、甘味料、澱粉、加工澱粉、デキストリン、乳化剤、大豆蛋白、セルロース及びその誘導体、果実、肉類、魚介類、香料、着色料、保存料や、卵、牛乳、チーズ等の乳製品、アーモンド等のナッツ類、食塩、こしょう等の調味料等を使用することができる。甘味料としては、粉糖、液糖のいずれも使用することができ、例えば、砂糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、オリゴ糖、水飴、蜂蜜、メープルシロップ、糖アルコール、パラチノース、トレハロース、人工甘味料等が挙げられ、これらは市販品を使用することができる。
本発明において、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用しないゲル食品を製造する場合には、使用する他の原料として、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含まないものを使用する必要がある。
【0019】
次に、本発明のゲル食品の製造方法について説明をする。
本発明のゲル食品は、先に説明した原料を、ホモミキサー等の攪拌機等を用いて混合し、混合溶液を作り、90℃以上に達温、好ましくは90〜100℃に達温、より好ましくは92〜98℃に達温させた混合溶液を容器に充填後、冷却することにより製造することができる。なお、原料の使用量については、先に説明をした使用量により製造することができる。
具体的な製造方法の例として、まず、撹拌容器に水及びその他の原材料を入れて、ホモミキサーにより混合し、混合溶液を作る。ここで、水として90℃以上のお湯を使用すると、原料の溶解の点で効率が良くなる。90℃以上に達温させた混合溶液を、プラスチックカップ等の容器に充填後、冷却することにより製造することができる。
冷却の温度は、1〜40℃が好ましく、室温で放冷をしても良いし、室温で粗熱を取った後、冷蔵庫で冷やしても良いし、90℃以上に達温後、直ぐに冷蔵庫で冷却しても良い。
そして、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用しないゲル食品を製造する場合には、使用する他の原料として、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含まないものを使用すればよい。
【0020】
次に、本発明のゲル食品用ミックス粉について説明をする。
本発明のゲル食品用ミックス粉は、大豆粉末を13〜93質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.4〜1.3質量%、好ましくは0.5〜1.3質量%、より好ましくは0.5〜1.0質量%、並びにローカストビーンガム及びキサンタンガムを0.1〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.7質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%含有し、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70であり、90/10〜50/50であることが好ましく、90/10〜65/35であることがより好ましい。
上記成分以外に、甘味料、澱粉、加工澱粉、デキストリン、乳化剤、大豆蛋白、セルロース及びその誘導体、香料、着色料、保存料や、チーズ等の乳製品、食塩、こしょう等の調味料等の粉末状の食品原料を使用することができる。
【0021】
本発明のゲル用ミックス粉は、大豆粉末、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種、ローカストビーンガム、キサンタンガム、必要に応じてその他の食品原料を、袋に入れて混合したり、V型混合機やリボン型混合機等の粉体混合機を用いて混合することにより製造することができる。
【0022】
本発明のゲル食品用ミックス粉と水を用いれば、寒天及びκ型カラギーナンから選ばれる1種又は2種を0.08〜0.25質量%、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを0.02〜0.2質量%、並びに水を含有し、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比が90/10〜30/70であるゲル食品を、簡単に作ることができる。
具体的には、本発明のゲル食品用ミックス粉と水とを、ホモミキサー等の攪拌機により混合し混合溶液を作る。ここで、水として90℃以上のお湯を使用すると、原料の溶解の点で効率が良くなる。90℃以上に達温、好ましくは90〜100℃に達温、より好ましくは92〜98℃に達温させた混合溶液を、プラスチックカップ等の容器に充填後、冷却することにより製造することができる。
冷却の温度は、1〜40℃が好ましく、室温で放冷をしても良いし、室温で粗熱を取った後、冷蔵庫で冷やしても良いし、90℃以上に達温後、直ぐに冷蔵庫で冷却しても良い。
なお、本発明のゲル食品用ミックス粉を用いて、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用しないゲル食品を製造する場合には、使用する他の原料として、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含まないものを使用する必要がある。
【0023】
次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
〔ゲル食品の製造(実施例1、2)〕
表1に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品であるプリン様ゲル食品を製造した。
具体的には、まず、表1に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
〔ゲル食品の製造(比較例1〜12)〕
表3〜5に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品を製造した。
具体的には、まず、表3〜5に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表6〜8に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
表6〜8の結果からわかるように、寒天又はκ型カラギーナンと、ローカストビーンガム及びキサンタンガムとの組み合わせの場合、外観及び食感の良好なプリン様ゲル食品を製造することができた。しかし、表3〜表7の結果からわかるように、寒天のみ(比較例1)、κ型カラギーナンのみ(比較例2)、ι型カラギーナンのみ(比較例3)を使用した場合や、寒天及びι型カラギーナンの組み合わせ(比較例4)、ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグアガムの組み合わせ(比較例5、6)、ι型カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグアガムの組み合わせ(比較例7)、寒天、ι型カラギーナン及びローカストビーンガムの組み合わせ(比較例8)、寒天、ι型カラギーナン及びグアガムの組み合わせ(比較例9)、寒天、ι型カラギーナン及びキサンタンガムの組み合わせ(比較例10)、寒天、ι型カラギーナン、ローカストビーンガム及びグアガムの組み合わせ(比較例11)、寒天、ι型カラギーナン、キサンタンガム及びグアガムの組み合わせ(比較例12)では、外観については、プリンのような色味のものも製造することができたが、一部は固まらず、また一部はプリンのような食感のものも製造することができたが、すべてザラツキが多いものであった。
【0035】
〔ゲル食品の製造(比較例13〜15、実施例3〜7)〕
表9、10に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例13〜15)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例3〜7)を製造し、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比のゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表9、10に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表11、12に示す。
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】
【表11】
【0039】
【表12】
【0040】
表11、12の結果からわかるように、ローカストビーンガムとキサンタンガムの配合量が、特定の質量比の場合に、外観及び食感の良好なプリン様ゲル食品を製造することができた。
【0041】
〔ゲル食品の製造(実施例8、9)〕
表13に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品であるプリン様ゲル食品を製造し、グアーガム又はι型カラギーナンをさらに追加した配合を検討した。
具体的には、まず、表13に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表14に示す。
【0042】
【表13】
【0043】
【表14】
【0044】
表14の結果からわかるように、寒天と、ローカストビーンガム及びキサンタンガムとの組み合わせの配合に、さらに、グアーガム又はι型カラギーナンを配合した場合も、外観及び食感の良好なプリン様ゲル食品を製造することができた。
【0045】
〔ゲル食品の製造(比較例16〜18、実施例10〜14)〕
表15、16に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例16〜18)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例10〜14)を製造し、寒天を使用した場合のローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比によるゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表15、16に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表17、18に示す。
【0046】
【表15】
【0047】
【表16】
【0048】
【表17】
【0049】
【表18】
【0050】
〔ゲル食品の製造(比較例19、実施例15〜17)〕
表19に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例19)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例15〜17)を製造し、大豆粉末の含量によるゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表19に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表20に示す。
【0051】
【表19】
【0052】
【表20】
【0053】
〔ゲル食品の製造(比較例20、21、実施例18〜20)〕
表21に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例20、21)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例18〜20)を製造し、κ型カラギーナンの含量によるゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表21に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表22に示す。
【0054】
【表21】
【0055】
【表22】
【0056】
〔ゲル食品の製造(比較例22、23、実施例21〜24)〕
表23、24に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例22、23)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例21〜24)を製造し、κ型カラギーナンを使用した場合のローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比によるゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表23、24に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
なお、比較例23の配合のものは、混合溶液の粘度が非常に高かったため、プラスチックカップへの充填が難しく、また、冷却後、表面が滑らかでなく、凹凸のあるゲルであった。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表25、26に示す。
【0057】
【表23】
【0058】
【表24】
【0059】
【表25】
【0060】
【表26】
【0061】
〔ゲル食品の製造(比較例24、25、実施例25〜28)〕
表27及び表28に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例24、25)、及びゲル食品であるプリン様ゲル食品(実施例25〜28)を製造し、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計量によるゲル食品への影響を調べた。
具体的には、まず、表27、表28に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
なお、比較例25の配合のものは、混合溶液の粘度が非常に高かったため、プラスチックカップへの充填が難しく、また、冷却後、表面が滑らかでなく、凹凸のあるゲルであった。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表29及び表30に示す。
【0062】
【表27】
【0063】
【表28】
【0064】
【表29】
【0065】
【表30】
【0066】
〔ゲル食品の製造(比較例26〜28)〕
表31に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品を製造し、ゲル化剤として、ゼラチン又はジェランガムを使用した大豆粉末含有ゲル食品を製造した。
具体的には、まず、表3〜5に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することにより、ゲル食品を製造した。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表32に示す。
【0067】
【表31】
【0068】
【表32】
【0069】
表32の結果からわかるように、ジェランガムのみ(比較例26)では、プリンのような食感のものは製造できたが、ザラツキが多いものであった。また、ゼラチンのみ(比較例27)やゼラチン及び寒天を組み合わせ(比較例28)では、大豆粉が沈殿することで分離が見られ、プリンの外見と異なるものであった。
【0070】
〔ゲル食品の製造(実施例29、比較例29〜32)〕
表33に示す配合で、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないゲル食品(比較例29〜32)、及びゲル食品である茶碗蒸し様ゲル食品(実施例29)を製造した。
具体的には、まず、表1に記載された98℃のお湯以外の原料をビニール袋に入れて混合し、ゲル食品用ミックス粉を製造した。撹拌容器に98℃のお湯とゲル食品用ミックス粉を入れ、ホモミキサー(3000rpm)により1分間撹拌し(混合時の温度は92℃)、混合溶液を得た。得られた混合溶液をプラスチックのカップに入れ、混合溶液の入ったカップを4℃の冷蔵庫に入れて1晩冷却することによりゲル食品を得た。
大豆粉末は、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」(賞味期限2014年3月5日)を使用した。アルファプラスHS−600のメジアン径は、29.8μmで、粉末を325メッシュに通過させると、粉末全体の73質量%が通過し、27質量%がメッシュ上に残存した。なお、メジアン径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装株式会社製)で測定を行った。
製造したゲル食品について、外観及び食感の評価を行った。評価結果を表34及び表35に示す。
【0071】
【表33】
【0072】
【表34】
【0073】
【表35】
【0074】
表34及び表35の結果からわかるように、ローカストビーンガムとキサンタンガムの配合が特定の質量比の場合に、外観及び食感が良好である茶わん蒸し様ゲル食品を製造できることがわかった。また、大豆粉末又は寒天及びκ型カラギーナンの量が特定量を超えた場合、その食感は茶碗蒸しとは異なるものとなってしまい、また、ザラツキを多く感じるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のゲル食品は、食品分野において広く利用することができ、また、特定原材料によるアレルギーを考慮したゲル食品にも利用することができ、特に、プリン様ゲル食品、茶わん蒸し様ゲル食品として利用することができる。