【文献】
Riggs, Richard L. et al.,Synthetic studies related to diketopyrrolopyrrole (DPP) pigments. Part 3: Syntheses of tri- and tetra-aryl DPPs,Tetrahedron,2005年,61(47),pp. 11230-11243
【文献】
Vala, Martin et al.,HOMO and LUMO energy levels of N,N'-dinitrophenyl-substituted polar diketopyrrolopyrroles (DPPs),Dyes and Pigments,2014年,106,pp. 136-142,Available online 14 March 2014
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
有機半導体材料は、電子デバイス、例えば有機光起電デバイス(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、及び有機電気化学デバイス(ECD)において使用できる。
【0002】
効率的で長時間持続性の電子デバイス性能のためには、有機半導体材料が、周辺空気、及び光条件のもとで高い化学的安定性を示すのが望ましい。
【0003】
さらに、有機半導体材料は、湿式加工技術(liquid processing techniques)、例えばスピンコートと両立できることが望ましい。それというのも湿式加工技術は、加工性の点から便利であり、このため有機半導体材料系電子デバイスを低コストで製造できるからである。加えて、湿式加工技術はまた、プラスチック基板とも両立できるため、これによって軽量で機械的に可撓性の有機半導体材料系電子デバイスを製造することが可能になる。
【0004】
アセン、その他の完全に共役した環系、及びその窒素含有類似体は、電子デバイスで使用するための半導体材料として近年、かなりの注目を浴びている。
【0005】
半導体材料としてのアセン(例えばペンタアセン、及びヘキサアセン)の製造と特性決定、並びにその潜在的な可能性は、Anthony, J. E.によって、Angew. Chem. 2008, 120, 460〜492に概観されている。 Clar, E.はChem. Ber. 1942, 75B, 1330で既に、アセンの長さが増加するにつれて、安定性と溶解性が著しく低下することを指摘している。Mondal, R.; Tonshoff, C.; Khon, D.; Neckers, D.C. Bettinger, H.F.は、J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 14281〜14289において、下記式のヘキサアセン:
【化1】
が、溶液中で非常に不安定なことを示している。
【0006】
Chase, D.T.; Fix, A.G.; Kang, S.J.; Rose, B.D.; Weber, C.D.; Zhong, Y.; Zakharow, L.N.; Lonergan, M.C.; Nuckolls, C.; Haley, M.M.は、J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 10349〜10352において、下記の完全に共役された環系:
【化2】
及びこれを有機電界効果トランジスタ(OFET)用の半導体材料として使用することを記載している。
【0007】
Bunz, U.H.F.; Engelhart, J.U.; Lindner, B.D.; Schaffroth, M.はAngew. Chem. 2013, 125, 3898〜3910において、窒素含有アセン誘導体の概要を示している。Miao, S.; Appleton, A.L.; Berger, N.; Barlow, S.; Marder, S.R.; Hardcastle, K.I.; Bunz, U.H.F.は、以下の空気安定性、及び溶解性のテトラアゾ置換されたアセン誘導体:
【化3】
を記載している。
【0008】
本発明の課題は、化学的安定性、特に周辺温度、空気条件、及び光条件のもとでの化学的安定性が高く、また有機溶媒に溶解性である、完全に共役された窒素含有環系をもたらすことであった。加えて、この完全に共役された窒素含有環系は、電子デバイス、特に有機電界効果トランジスタ(OFET)において半導体材料として使用するために適切であるのが望ましい。
【0009】
この課題は請求項1に記載の化合物、請求項8に記載の電子デバイス、及び請求項10に記載の使用によって解決される。
【0010】
本発明の有機半導体材料は、下記式の化合物:
【化4】
であって、
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、5〜14員のヘテロアリール、ハロゲン、CN、−SCN、NO
2、OH、O−C
1〜30アルキル、O−C
2〜30アルケニル、O−C
2〜30アルキニル、O−C
5〜8シクロアルキル、O−C
5〜8シクロアルケニル、O−5〜14員のヘテロシクロアルキル、O−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、O−C
6〜14アリール、O−5〜14員のヘテロアリール、SH、S−C
1〜30アルキル、S−C
2〜30アルケニル、S−C
2〜30アルキニル、S−C
5〜8シクロアルキル、S−C
5〜8シクロアルケニル、S−5〜14員のヘテロシクロアルキル、S−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、S−C
6〜14アリール、S−5〜14員のヘテロアリール、C(O)H、CO−C
1〜30アルキル、CO−C
2〜30アルケニル、CO−C
2〜30アルキニル、CO−C
5〜8シクロアルキル、CO−C
5〜8シクロアルケニル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルキル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、CO−C
6〜14アリール、CO−5〜14員のヘテロアリール、COOH、NH(C
1〜30アルキル)、N(C
1〜30アルキル)
2、CONH
2、CONH(C
1〜30アルキル)、CON(C
1〜30アルキル)
2、SO
2OH、SO
2NH
2、SO
2−C
1〜30アルキル、及びSO
2−C
6〜14アリールであり、
ここで、
C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルは、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、及び5〜14員のヘテロシクロアルケニルは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a 、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及び5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、C
2〜10アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい。
【0011】
ハロゲンは、F、Cl、Br、及びIであり得る。
【0012】
C
1〜10アルキル、C
1〜20アルキル、及びC
1〜30アルキルは、分枝状、又は非分枝状であり得る。C
1〜10アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n(1−エチル)プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−(2−エチル)ヘキシル、n−ノニル、及びn−デシルである。C
1〜20アルキルの例は、C
1〜10アルキル、及びn−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、及びn−イコシル(C
20)である。C
1〜30アルキルの例は、C
1〜20アルキル、及びn−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、n−ヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)、及びn−トリアコンチル(C
30)である。
【0013】
C
2〜10アルケニル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜30アルケニルは、分枝状、又は非分枝状であり得る。C
1〜20アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、3−ブテニル、シス−2−ペンテニル、トランス−2−ペンテニル、シス−3−ペンテニル、トランス−3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−メチル−3−ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、及びドセニルである。C
2〜20アルケニルの例は、C
2〜10アルケニル、及びリノレイル(C
18)、リノレニル(C
18)、オレイル(C
18)、及びアラキドニル(C
20)である。C
2〜30アルケニルの例は、C
2〜20アルケニル、及びエルシル(C
22)である。
【0014】
C
2〜10アルキニル、C
2〜20アルキニル、及びC
2〜30アルケニルは、分枝状、又は非分枝状であり得る。C
2〜10アルキニルの例は、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、及びデシニルである。C
2〜20アルキニル、及びC
2〜30アルケニルの例は、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、及びイコシニル(C
20)である。
【0015】
C
6〜10アリールの例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントレニルである。
【0016】
C
6〜14アリールの例は、C
6〜10アリール、及びテトラセニル、及びクリセニルである。
【0017】
C
5〜8シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルである。C
5〜6シクロアルキルの例は、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。
【0018】
C
5〜8シクロアルケニルの例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオクテニルである。C
5〜6シクロアルキルの例は、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルである。
【0019】
5〜10員のヘテロシクロアルキル、及び5〜14員のヘテロシクロアルキルの例は、
【化5】
であり、ここでR
101はそれぞれの場合において、C
1〜6アルキル、又はフェニルである。
【0020】
5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及び5〜14員のヘテロシクロアルケニルの例は、
【化6】
であり、ここでR
102はそれぞれの場合において、C
1〜
6アルキル、又はフェニルである。
【0021】
5〜10員のヘテロアリールの例は、
【化7-1】
【化7-2】
であり、ここでR
100はそれぞれの場合において、C
1〜6アルキル、又はフェニルである。
【0022】
5〜14員のヘテロアリールの例は、5〜10員のヘテロアリールについて示した例、及び
【化8】
であり、ここでR
100はそれぞれの場合において、C
1〜6アルキル、又はフェニルである。
【0023】
好ましいのは、下記式の化合物である:
【化9】
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
6〜14アリール、5〜14員のヘテロアリール、ハロゲン、CN、−SCN、NO
2、OH、O−C
1〜30アルキル、O−C
6〜14アリール、O−5〜14員のヘテロアリール、SH、S−C
1〜30アルキル、S−C
6〜
14アリール、S−5〜14員のヘテロアリール、C(O)H、CO−C
1〜30アルキル、CO−C
6〜14アリール、CO−5〜14員のヘテロアリール、COOH、NH(C
1〜30アルキル)、N(C
1〜30アルキル)
2、CONH
2、CONH(C
1〜30アルキル)、CON(C
1〜30アルキル)
2、SO
2OH、SO
2NH
2、SO
2−C
1〜30アルキル、及びSO
2−C
6〜14アリールから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜30アルキルは、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、及びC
1〜20アルキルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、及びC
1〜10アルキルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい。
【0024】
より好ましいのは下記式の化合物:
【化10】
であり、
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、及びC
1〜30アルキルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜30アルキルは、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、及びC
1〜20アルキルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、及びC
1〜10アルキルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい。
【0025】
さらにより好ましいのは、下記式の化合物:
【化11】
であり、
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、及びC
1〜30アルキルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜30アルキルは、ハロゲン、好ましくはFから独立して選択される1〜9個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキルから独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい。
【0026】
最も好ましいのは、下記式の化合物:
【化12】
であって、
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、フェニル、
【化13】
から成る群から選択され、これらは、C
1〜20アルキルから独立して選択される1個又は2個の置換基によって置換されていてよく、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、及びCF
3から成る群から選択される。
【0027】
特に好ましいのは、以下の化合物である:
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【0028】
式1の化合物:
【化15】
を製造するための方法も、本発明の一部であり、
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、5〜14員のヘテロアリール、ハロゲン、CN、−SCN、NO
2、OH、O−C
1〜30アルキル、O−C
2〜30アルケニル、O−C
2〜30アルキニル、O−C
5〜8シクロアルキル、O−C
5〜8シクロアルケニル、O−5〜14員のヘテロシクロアルキル、O−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、O−C
6〜14アリール、O−5〜14員のヘテロアリール、SH、S−C
1〜30アルキル、S−C
2〜30アルケニル、S−C
2〜30アルキニル、S−C
5〜8シクロアルキル、S−C
5〜8シクロアルケニル、S−5〜14員のヘテロシクロアルキル、S−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、S−C
6〜14アリール、S−5〜14員のヘテロアリール、C(O)H、CO−C
1〜30アルキル、CO−C
2〜30アルケニル、CO−C
2〜30アルキニル、CO−C
5〜8シクロアルキル、CO−C
5〜8シクロアルケニル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルキル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、CO−C
6〜14アリール、CO−5〜14員のヘテロアリール、COOH、NH(C
1〜30アルキル)、N(C
1〜30アルキル)
2、CONH
2、CONH(C
1〜30アルキル)、CON(C
1〜30アルキル)
2、SO
2OH、SO
2NH
2、SO
2−C
1〜30アルキル、及びSO
2−C
6〜14アリールであり、
ここで、
C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルは、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、及び5〜14員のヘテロシクロアルケニルは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及び5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及びC
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、C
2〜10アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
この方法は、以下の工程i)及びii)を有するものである:
i)式2の化合物:
【化16】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、式1の化合物で定義した通りである]
を還元して、
式2’の化合物:
【化17】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、式1の化合物で定義した通りである]
にする工程、及び
ii)式2’の化合物を適切な触媒で処理して、式1の化合物を得る工程。
【0029】
第一の工程は好ましくは、式2の化合物を適切な触媒(例えばSnCl
2)により、適切な溶媒(例えば酢酸エチル)の存在下で処理する工程を有する。好ましくは、第一の工程は高温、例えば50〜150℃の温度、好ましくは60〜100℃の温度で実施する。
【0030】
第二の工程の適切な触媒は好ましくは、四塩化チタンである。第二工程は好ましくは、触媒としての四塩化チタン、及び適切な塩基(例えばDABCO)によって化合物2’を、適切な溶媒(例えばメシチレン)中で処理する工程を含む。第二の工程は好ましくは、高温、例えば80〜180℃の温度、好ましくは100〜150℃の温度で実施する。
【0031】
式2の化合物:
【化18】
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、5〜14員のヘテロアリール、ハロゲン、CN、−SCN、NO
2、OH、O−C
1〜30アルキル、O−C
2〜30アルケニル、O−C
2〜30アルキニル、O−C
5〜8シクロアルキル、O−C
5〜8シクロアルケニル、O−5〜14員のヘテロシクロアルキル、O−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、O−C
6〜14アリール、O−5〜14員のヘテロアリール、SH、S−C
1〜30アルキル、S−C
2〜30アルケニル、S−C
2〜30アルキニル、S−C
5〜8シクロアルキル、S−C
5〜8シクロアルケニル、S−5〜14員のヘテロシクロアルキル、S−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、S−C
6〜14アリール、S−5〜14員のヘテロアリール、C(O)H、CO−C
1〜30アルキル、CO−C
2〜30アルケニル、CO−C
2〜30アルキニル、CO−C
5〜8シクロアルキル、CO−C
5〜8シクロアルケニル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルキル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、CO−C
6〜14アリール、CO−5〜14員のヘテロアリール、COOH、NH(C
1〜30アルキル)、N(C
1〜30アルキル)
2、CONH
2、CONH(C
1〜30アルキル)、CON(C
1〜30アルキル)
2、SO
2OH、SO
2NH
2、SO
2−C
1〜30アルキル、及びSO
2−C
6〜14アリールであり、
ここで、
C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルは、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、及び5〜14員のヘテロシクロアルケニルは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及び5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、C
2〜10アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい、
は、式3の化合物:
【化19】
[式中、R
1、及びR
10は、式2の化合物で定義した通りである]
を、式4及び4’の化合物:
【化20】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、式2の化合物で定義した通りである]
で処理することによって製造できる。
【0032】
反応は好ましくは、塩基(例えばK
2CO
3)の存在下、及び適切な溶媒(例えばDMF)の存在下で行う。この反応は好ましくは、高温、例えば50〜150℃の温度、好ましくは60〜100℃の温度で実施する。
【0033】
式3の化合物は、Potrawa, T.; Langhals, H.著、Chem. Ber. 1987, 120, 1075〜1078、及びWoo, C.H.; Beaujuge, P.M.; Holcombe, T.W.; Lee, O.P.; Frechet, J.M.J.著、J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15547〜15549に記載されているように製造することができる。
【0034】
式2の中間化合物もまた、本発明の一部である:
【化21】
前記式中、
R
1、及びR
2は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、及び5〜14員のヘテロアリールから成る群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は相互に独立して、H、C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、C
2〜30アルキニル、C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、5〜14員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜14アリール、5〜14員のヘテロアリール、ハロゲン、CN、−SCN、NO
2、OH、O−C
1〜30アルキル、O−C
2〜30アルケニル、O−C
2〜30アルキニル、O−C
5〜8シクロアルキル、O−C
5〜8シクロアルケニル、O−5〜14員のヘテロシクロアルキル、O−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、O−C
6〜14アリール、O−5〜14員のヘテロアリール、SH、S−C
1〜30アルキル、S−C
2〜30アルケニル、S−C
2〜30アルキニル、S−C
5〜8シクロアルキル、S−C
5〜8シクロアルケニル、S−5〜14員のヘテロシクロアルキル、S−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、S−C
6〜14アリール、S−5〜14員のヘテロアリール、C(O)H、CO−C
1〜30アルキル、CO−C
2〜30アルケニル、CO−C
2〜30アルキニル、CO−C
5〜8シクロアルキル、CO−C
5〜8シクロアルケニル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルキル、CO−5〜14員のヘテロシクロアルケニル、CO−C
6〜14アリール、CO−5〜14員のヘテロアリール、COOH、NH(C
1〜30アルキル)、N(C
1〜30アルキル)
2、CONH
2、CONH(C
1〜30アルキル)、CON(C
1〜30アルキル)
2、SO
2OH、SO
2NH
2、SO
2−C
1〜30アルキル、及びSO
2−C
6〜14アリールであり、
ここで、
C
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルは、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜9個の置換基で置換されていてよく、1個以上のCH
2基(ただしC
1〜30アルキル、C
2〜30アルケニル、及びC
2〜30アルキニルの隣接CH
2基、及び式(1)の化合物の核に直接結合したCH
2基は除く)は、O又はSによって置き換えられていてよく、
C
5〜8シクロアルキル、C
5〜8シクロアルケニル、5〜14員のヘテロシクロアルキル、及び5〜14員のヘテロシクロアルケニルは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
6〜14アリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、及び5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、C
2〜20アルキニル、C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
a、及びR
bは独立して、H、C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルから成る群から選択され、
C
1〜20アルキル、C
2〜20アルケニル、及びC
2〜20アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
C
5〜6シクロアルキル、C
5〜6シクロアルケニル、5〜10員のヘテロシクロアルキル、5〜10員のヘテロシクロアルケニル、C
6〜10アリール、及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、C
2〜10アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から独立して選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよく、
ここで、
R
c、及びR
dは独立して、H、C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルから成る群から選択され、
ここで、
C
1〜10アルキル、C
2〜10アルケニル、及びC
2〜10アルキニルは、ハロゲン、CN、及びNO
2から成る群から選択される1〜5個の置換基によって置換されていてよい。
【0035】
式1の化合物を含有する電子デバイスもまた、本発明の一部である。電子デバイスは好ましくは、有機電界効果トランジスタ(OFET)である。
【0036】
有機電界効果トランジスタは通常、誘電層、半導体層、及び基板を有する。加えて、有機電界効果トランジスタは通常、ゲート電極、及びソース/ドレイン電極を有する。
【0037】
半導体層は好ましくは、式1の化合物を含有する。半導体層は、厚さが5〜500nm、好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜50nmであり得る。
【0038】
誘電層は、誘電材料を含有する。誘電材料は、二酸化ケイ素、又は酸化アルミニウムであってよく、或いは、有機ポリマ−、例えばポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(4−ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はポリイミド(PI)であり得る。誘電層は、厚さが10〜2000nm、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100〜800nmであり得る。
【0039】
誘電層は、誘電材料に加えて、有機シラン誘導体、又は有機リン酸誘導体の自己組織化単分子層を有することができる。有機シラン誘導体の例は、オクチルトリクロロシランである。有機リン酸誘導体の例は、オクチルデシルリン酸である。誘電層中の自己組織化単分子層は通常、半導体層と接触している。
【0040】
ソース/ドレイン電極は、あらゆる適切なソース/ドレイン材料(例えば金(Au)、又はタンタル(Ta))から作製することができる。ソース/ドレイン電極は、厚さが1〜100nm、好ましくは20〜70nmであり得る。
【0041】
ゲート電極は、あらゆる適切なゲート材料(例えば高ドープシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物、金(Au)、及び/又はタンタル(Ta))から作製できる。ゲート電極は、厚さが1〜200nm、好ましくは5〜100nmであり得る。
【0042】
基板は、あらゆる適切な基板、例えばガラス、又は可撓性基板、例えばポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)であり得る。有機電界効果トランジスタの設計に応じて、ゲート電極、例えば高ドープケイ素もまた、基板として働くことがある。
【0043】
有機電界効果トランジスタは、当業者に公知の方法で作製できる。
【0044】
例えば、ボトムゲート型有機電界効果トランジスタは、以下のように作製できる:誘電性材料、例えばAl
2O
3又は二酸化ケイ素を、ゲート電極(例えば高ドープシリコンウェハ:これは基板として働くこともある)上の層として、適切な堆積法、例えば原子層堆積、又は熱蒸着によって適用することができる。有機リン酸誘導体又は有機シラン誘導体の自己組織化単分子層は、誘電材料の層に適用できる。有機リン酸誘導体、又は有機シラン誘導体は例えば、溶液堆積技術を用いて、溶液から適用できる。半導体層は、式1の化合物を溶液堆積又は真空内で熱蒸着させることにより、有機リン酸誘導体又は有機シラン誘導体の自己組織化単分子層上に作製できる。ソース/ドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料(例えばタンタル(Ta)及び/又は金(Au))を、シャドーマスクにより半導体層に堆積させることによって、作製できる。チャネルの幅(W)は通常、50μmであり、チャネルの長さ(L)は通常1000μmである。
【0045】
半導体材料としての式1の化合物の使用もまた、本発明の一部である。
【0046】
式1の化合物は、周辺温度、空気、及び光条件のもとで高い化学的安定性を示す。化学的安定性が高いとは、式1の化合物の化学的な変性(例えば酸化、分解、又は二量化)が、観察した時間にわたって全く、又はほとんど起こらないということである。加えて、式1の化合物は、最大数時間にわたり、最大70℃の温度による加熱に対して安定的であり、例えば
13C−NMRを測定するために必要な時間にわたって、ほとんど分解しない。
【0047】
さらに、式1の化合物は、有機溶媒に可溶性であるため、湿式加工技術と両立できる。式1bの化合物は例えば、慣用の有機溶媒、例えばクロロホルム、トルエン、及びテトラヒドロフランにおいて、周辺温度で可溶性である。式1c及び1dの化合物は、温かい有機溶媒によく溶ける。
【0048】
さらに、式1の化合物は、電子デバイス、特に有機電界効果トランジスタ(OFET)における半導体材料として、適している。
【0049】
実施例
例1
化合物1aの製造
【化22】
【0050】
化合物3aの製造
化合物3aは、Potrawa, T.; Langhals, H.著、Chem. Ber. 1987, 120, 1075〜1078に記載されたように製造した。
【0051】
化合物2aの製造
DPP3a(400mg、1.39mmol)、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルニトロベンゼン(0.78mL、5.56mmol)、及びK
2CO
3(770mg、5.56mmol)をDMF(200mL)に入れた混合物を、70℃で22時間撹拌し、この懸濁液は反応が完了した時に透明になった。その後、K
2CO
3を濾過により除去し、溶媒を減圧により除去して、粗製生成物を得た。メタノール(10mL)を粗製生成物に加え、沈殿物を濾過し、無色になるまでメタノール(10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物2aを黄色い固体として得た(490mg、53%)。
【数1】
【0052】
化合物1aの製造
化合物2a(120mg、0.18mmol)、及びSnCl
2・2H
2O(410mg、1.8mmol)を酢酸エチル(25mL)に入れた混合物を、78℃で3時間、アルゴン下で加熱した。この溶液を室温に冷却した後、10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加することによってpHをやや塩基性にし(pH7〜8)、それから酢酸エチルで抽出した。有機相を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して粗製生成物を得、これをメタノール(5mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて所望の中間生成物のジアミンDPPを得、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。10分で120℃に加熱しながら、先の工程からの粗製ジアミンDPP(110mg)、及びDABCO(90mg、0.80mmol)をメシチレン(70mL)に溶解させた。メシチレン(2mL)中の四塩化チタン(0.14mL、1.30mmol)を反応混合物に滴加し、この溶液を120℃でさらに30分間保った。この熱い反応を50mLの水に素早く滴加し、少量の酢酸エチルで抽出し、溶離液としてクロロホルムを用いて、有機相を中性の酸化アルミニウムカラムに通した。溶液を真空下で除去し、その残留物を2mLのメタノールで洗浄して、純粋な化合物1aを、赤い固体として得た(15mg)。化合物2a〜1aの2つの工程の合計収率は、15%である。
【数2】
【0053】
例2
化合物1bの製造
【化23】
【0054】
化合物3bの製造
化合物3bは、Potrawa, T.; Langhals, H.著、Chem. Ber. 1987, 120, 1075〜1078に記載されたように製造した。
【0055】
化合物2bの製造
DPP3b(200mg、0.5mmol)、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルニトロベンゼン(0.28mL、2mmol)、及びK
2CO
3(276mg、2mmol)をDMF(100mL)に入れた混合物を、70℃で24時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却した後、K
2CO
3を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去して、粗製生成物を得た。メタノールを粗製生成物に加え、沈殿物を濾過し、無色になるまでメタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物2bを赤い固体として得た(195mg、50%)。
【数3】
【0056】
化合物1bの製造
化合物2b(110mg、0.14mmol)、及びSnCl
2・2H
2O(320mg、2.6mmol)を酢酸エチル(25mL)に入れた混合物を、78℃で3時間、アルゴン下で加熱した。この溶液を室温に冷却した後、10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加することによってpHをやや塩基性にし(pH7〜8)、それから酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて粗製生成物を得、これをメタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて所望の生成物のジアミンDPPを得、これをさらに精製することなく、次の工程で使用した。10分で120℃に加熱しながら、先の工程からの粗製ジアミンDPP(100mg)、及びDABCO(110mg、1.0mmol)をメシチレン(100mL)に溶解させた。メシチレン(2mL)中の四塩化チタン(0.18mL、1.65mmol)を反応混合物に滴加し、この溶液を120℃で約50分間保った。反応が終わった後、熱い溶液を直ちに50mLの水に滴加し、少量の酢酸エチルで抽出した。溶離液としてクロロホルムを用いて、有機相を中性の酸化アルミニウムカラムに通し、溶媒を減圧下で除去した。その残留物をメタノール(2mL)で洗浄して、化合物1bを赤い固体として得た(13mg)。2b〜1bの2つの工程の合計収率は、14%である。
【数4】
【0057】
例3
化合物1cの製造
【化24】
【0058】
化合物3cの製造
化合物3cは、Woo, C.H.; Beaujuge, P.M.; Holcombe, T.W.; Lee, O.P.; Frechet, J.M.J.著、J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15547〜15549に記載されているように製造した。
【0059】
化合物2cの製造
DPP3c(400mg、1.33mmol)、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルニトロベンゼン(0.75mL、5.32mmol)、及びK
2CO
3(736mg、5.32mmol)をDMF(50mL)に入れた混合物を、70℃で24時間撹拌した。反応を室温に冷却した後、K
2CO
3を濾過により除去し、5mLのクロロホルムで2回抽出し、集めた溶媒を減圧下で除去した。メタノールを粗製生成物に加え、沈殿物を濾過し、そして無色になるまでメタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物2cを赤い固体として得た(489mg、54%)。
【数5】
【0060】
化合物1cの製造
化合物2c(130mg、0.20mmol)、及びSnCl
2・2H
2O(344mg、2.6mmol)を酢酸エチル(30mL)に入れた混合物を、70℃で3時間、アルゴン下で加熱した。この溶液を室温に冷却した後、10%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加することによってpHをやや塩基性にし(pH7〜8)、それから酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムにより乾燥させた。溶液は減圧下で除去し、残留物を真空下で乾燥させて所望の生成物ジアミンDPPを得、これをさらに精製することなく、次の工程のために使用した。
【0061】
10分で125℃に加熱しながら、先の工程からの粗製生成物(120mg)、及びDABCO(140mg、1.25mmol)をメシチレン(150mL)に溶解させた。メシチレン(2mL)中の四塩化チタン(0.18mL、1.63mmol)を反応混合物に滴加し、この溶液を125℃で約60分間保った。この熱い反応溶液を50mLの水に素早く滴加し、少量の酢酸エチルで抽出し、溶離液としてクロロホルムを用いて、有機相を中性の酸化アルミニウムカラムに通した。溶液は減圧下で除去し、その残留物をメタノールで洗浄して、純粋な1cを、茶褐色の固体として得た(22mg)。2c〜1cの2つの工程の合計収率は、20%である。
【数6】
【0062】
例4
化合物1dの製造
【化25】
【0063】
化合物3dの製造
化合物3dは、Woo, C.H.; Beaujuge, P.M.; Holcombe, T.W.; Lee, O.P.; Frechet, J.M.J.著、J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15547〜15549に記載されているように製造した。
【0064】
化合物2dの製造
DPP3d(400mg、1.5mmol)、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルニトロベンゼン(0.64mL、6.0mmol)、及びK
2CO
3(828mg、3.0mmol)をDMF(160mL)に入れた混合物を、70℃で5時間撹拌した。K
2CO
3を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。メタノールを粗製生成物に加え、この固体を濾過し、無色になるまでメタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、2dを赤い固体として得た(550mg、57%)。
【数7】
【0065】
化合物1dの製造
この化合物は、化合物1cから2cの合成について適用したのと同じ手順を用いて、化合物2dから合成した。1dの収率17%。
【数8】
【0066】
例5
化合物1aの化学的安定性の試験
化合物1aをクロロホルム中に溶解させ(c=9.0×10
-6M)、周辺空気、及び光条件下に、室温で貯蔵した。クロロホルム中に溶解させた(c=9.0×10
-6M)化合物1aの可視・紫外吸収スペクトルを、慣用の石英セル(光路10mm)中に室温で0日、1日、2日、3日、及び4日貯蔵した後、Perkin-Elmer Lambda 950 spectrometerで記録した。化学変性(例えば分解)は、4日後には観察されなかった。
【0067】
例6
半導体材料として化合物1cを含有するトランジスタの製造
高ドープp型シリコン(100)ウェハ(0.01〜0.02Ω・cm)を基板Aとして使用した。熱により成長させた厚さ100nmのSiO
2層(キャパシタンス34nF/cm
2)を有する、高ドープp型シリコン(100)ウェハ(0.005〜0.02Ω・cm)を、基板Bとして使用した。
【0068】
基板A上に、厚さ30nmのアルミニウム層をタングステンワイヤから熱蒸着により、Leybold UNIVEX 300真空蒸発器内で、2×10
-6mbarの圧力で、1nm/秒の蒸着速度で堆積させた。アルミニウム層の表面を、Oxford reactive ion etcher(RIE、酸素流量:30sccm、圧力:10ミリトル、プラズマ出力200W、プラズマ持続時間30秒)において酸素プラズマに短時間さらすことによって酸化させ、それから基板をリン酸の2−プロパノール溶液(C
14H
29PO(OH)
2[TDPA]の1ミリモル溶液、又はC
7F
15C
11H
22PO(OH)
2[FODPA]の1ミリモル溶液)に含浸させ、溶液中に1時間置き、こうしてリン酸分子の自己組織化単分子層(SAM)が、酸化アルミニウム表面に形成される。基板を溶液から取り出し、純粋な2−プロパノールですすぎ、窒素流で乾燥させ、10分間、温度100℃のホットプレート上に置く。基板A上で誘電性のAlO
x/SAMゲートの合計キャパシタンスは、C
14H
29PO(OH)
2の場合、810nF/cm
2であり、C
7F
15C
11H
22PO(OH)
2の場合、710nF/cm
2である。
【0069】
基板B上に厚さ8nmのAl
2O
3層を、Cambridge NanoTech Savannah(温度250℃の基板で80サイクル)で原子層堆積により堆積させる。酸化アルミニウム層の表面を、Oxford reactive ion etcher(RIE、酸素流量:30sccm、圧力:10ミリトル、プラズマ出力200W、プラズマ持続時間30秒)において酸素プラズマに短時間さらすことによって活性化させ、それから基板をリン酸の2−プロパノール溶液(C
14H
29PO(OH)
2[TDPA]の1ミリモル溶液、又はC
7F
15C
11H
22PO(OH)
2[FODPA]の1ミリモル溶液)に含浸させ、溶液中に1時間置き、こうしてリン酸分子の自己組織化単分子層(SAM)が、酸化アルミニウム表面に形成される。基板を溶液から取り出し、純粋な2−プロパノールですすぎ、窒素流で乾燥させ、10分間、温度100℃のホットプレート上に置く。基板B上で誘電性のSiO
2/AlO
x/SAMゲートの合計キャパシタンスは、32F/cm
2である(リン酸の選択に関わりなく)。
【0070】
TDPAで処理した基板における水の接触角は108°であり、FODPAで処理した基板では、118°である。
【0071】
厚さ30nmの化合物1cの膜を、真空蒸着器Leybold UNIVEX 300で熱昇華によってモリブデンボートから、2×10
-6mbarの圧力で、蒸着速度0.3nm/秒で堆積させる。
【0072】
ソースコンタクト部及びドレインコンタクト部のために、30nmの金を、シャドーマスクを通じて、真空蒸着器Leybold UNIVEX 300でタングステンボートから、2×10
-6mbarの圧力で、蒸着速度0.3nm/秒で蒸着させる。トランジスタは、チャネル長さ(L)が10〜100μmの範囲であり、チャネル幅(W)が50〜1000μmの範囲である。
【0073】
シリコンウェハの裏側と接触可能にするため、ウェハ(トランジスタのゲート電極としても役立つ)の裏側にスクラッチをつけ、銀のインクで被覆する。
【0074】
例7
例6によるトランジスタの電気特性の測定
例6のトランジスタの電気特性を、半導体パラメータ分析機のMicromanipulator 6200 probe stationで、Agilent 4156Cを用いて測定する。全ての測定は空気中、室温で行う。プローブニードルを金製接触部の上部に慎重に置くことによって、プローブニードルをトランジスタのソースコンタクト部及びドレインコンタクト部に接触させる。ゲート電極は、金属基板ホルダ(測定の間、この上にウェハを置く)を通じて接触させる。
【0075】
増幅特性曲線を得るため、ドレインソース電圧(V
DS)を3V(基板Aの場合)、又は40V(基板Bの場合)に保つ。ゲートソース電圧V
GSを中速で、0.03Vの段階(基板A)では0から3V、又は0.4Vの段階(基板B)では0から40Vで流し、またその逆で流す。電荷担体の移動度は、飽和領域において(I
D)
1/2対V
GSの傾きから求められる。
【0076】
出力特性を得るため、ドレインソース電圧(V
DS)を中速で、0.03Vの段階(基板A)では0から3V、又は0.4Vの段階(基板B)では0から40Vで流し、その一方でゲートソース電圧(V
GS)を最大8つの異なる電圧に保つ(例えば基板Aの場合には0、0.5、1、1.5、2、2.5、3V、又は基板Bの場合には0、10、20、30、40V)。
【0077】
その結果が、表1に示してある。
【表1】