(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング層に含まれる前記無機化合物は、前記反応性官能基を含む前記有機−無機結合性シラン化合物により形成された表面コーティング層を有する、請求項1に記載のリチウム2次電池用セパレータ。
前記セパレータの前記コーティング層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)、COOH基で改質されたポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミドイミド、アラミド、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルエーテル、およびこれらの組み合わせから選択されたバインダーをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム2次電池用セパレータ。
前記セパレータは、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの組み合わせから選択された多孔性基材をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム2次電池用セパレータ。
前記セパレータの前記コーティング層は、前記無機化合物100質量部を基準に、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物を1〜20質量部で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウム2次電池用セパレータ。
前記セパレータの前記コーティング層において、前記無機化合物:前記バインダーの質量比は、1:0.05〜1:5の範囲である、請求項5に記載のリチウム2次電池用セパレータ。
正極、負極、および前記正極と負極との間に配置されたセパレータを含む2次電池であって、前記セパレータは、反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物および無機化合物を含むコーティング層を含み、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物は、イソシアネートアルキルアルコキシシランである、2次電池。
前記コーティング層において、前記無機化合物は、反応性官能基を含む前記有機−無機結合性シラン化合物により形成された表面コーティング層を有する、請求項11に記載の2次電池。
前記セパレータのコーティング層は、前記無機化合物100質量部を基準に、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物を1〜20質量部で含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の2次電池。
前記セパレータの前記コーティング層において、前記無機化合物:バインダーの質量比は、1:0.05〜1:5の範囲である、請求項11〜15のいずれか一項に記載の2次電池。
請求項1に記載のセパレータ、正極、および負極を電極組立体として形成する段階と、および前記電極組立体に電解質を提供する段階とを含む請求項11に記載の2次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されない。本発明は、特許請求の範囲の記載によって定義される。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
本発明の一実施形態において、反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物、および無機化合物を含むコーティング層を含むセパレータであって、前記反応性官能基は、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、メルカプト基およびこれらの組み合わせから選択されるリチウム2次電池用セパレータが提供される。
【0025】
前記セパレータは、前記無機化合物を含むことによって耐熱性を向上させることができる。また、同時に、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物を含むことによって、前記セパレータは耐熱性をより効果的に向上させることができる。前記有機−無機結合性シラン化合物は、セパレータと接する電極に対して、さらに接着力を向上させることもできる。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記無機化合物は、反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物で表面をコーティングされてもよい。前記有機−無機結合性シラン化合物と前記無機化合物とは化学結合を形成することができるため、前記有機−無機結合性シラン化合物は、前記無機化合物の表面をコーティングして、無機化合物の表面コーティング層を形成することができる。前記有機−無機結合性シラン化合物が形成する前記無機化合物の表面コーティング層は、連続または不連続のどちらであってもよい。すなわち、表面コーティング層は、前記無機化合物を途切れなく被覆していてもよいし、途切れ途切れに被覆していてもよい。または、表面コーティング層は、前記無機化合物を一様に被覆していてもよいし、一部のみを被覆していてもよい。
【0027】
このように有機−無機結合性シラン化合物で表面処理された無機化合物は、無機化合物表面を有機物で処理することによって、スラリーの製造時に有機溶媒中の分散が非常に良好になり、無機化合物同士の凝集を抑制または防止することができる。前記セパレータのコーティング層は、例えば、有機−無機結合性シラン化合物および無機化合物に、バインダーおよび有機溶媒を混合してコーティング用組成物を製造した後、これを基材に塗布して形成される。この時、前記コーティング用組成物において無機化合物が有機−無機結合性シラン化合物で表面処理されることにより、コーティング用組成物の調液安定性、およびコーティング速度などが改善され、コーティングの加工性が大きく改善される。また、このようなコーティング用組成物から形成されたコーティング層は、表面が均一であり、前記無機化合物が凝集していないため、電池への適用時にリチウム析出を防止し、さらに変形(deformation)を防止または抑制するため、効果的である。
【0028】
一方、有機−無機結合性シラン化合物で表面処理された無機化合物を含むコーティング層は、無機化合物間の結着力が増加するため熱に対する安定性が向上する。また、前記コーティング層は、前記コーティング用組成物で説明したようにバインダーをさらに含むことができる。前記有機−無機結合性シラン化合物で表面処理された(すなわち、前記有機−無機結合性シラン化合物の表面コーティング層を含む)無機化合物は、バインダーと化学的な結合を形成することができるため、結着力をより向上させることができる。
【0029】
前記無機化合物は、SrTiO
3、SnO
2、CeO
2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、TiO
2、BaTiO
3、SiO
2、およびこれらの組み合わせから選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0030】
前記有機−無機結合性シラン化合物に含まれる反応性官能基は、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、メルカプト基およびこれらの組み合わせから選択された一つを含むことができるが、これらに制限されない。
【0031】
前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物は、具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシアルキルアルコキシシラン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシラン類、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートなどのイソシアネートアルキルアルコキシシラン類、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)−テトラスルフィドなどのメルカプトアルキルアルコキシシラン類、およびこれらの組み合わせから選択された少なくとも一つを含むことができるが、これらに制限されない。
【0032】
また、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物は、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルアルキルアルコキシシラン類、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのハロゲン化アルキルアルコキシシラン類、ビニルトリクロロシランなどのビニルハロシラン類、メチルトリアセトキシシランなどのアルキルアシルオキシラン類などの有機−無機結合性シラン化合物に、前記反応性官能基としてアミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、メルカプト基およびこれらの組み合わせから選択された一つを導入したものを使用することもできる。
【0033】
前記無機化合物は、粒子形態でバインダーと混合されてコーティング層を形成することができる。通常、例えば、前記無機化合物およびバインダーを含む樹脂組成物溶液を製造した後、これをセパレータ基材の少なくとも一面に塗布することによりコーティング層を形成することができる。前記無機化合物の粒子は、例えば、平均粒径が約0.05〜約2μmである粒子を使用することができる。
【0034】
前記バインダーは、セパレータと接する電極に対しても接着力をさらに向上させることができる。
【0035】
前記バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン)−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、COOHで改質されたPVDF、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミック酸(PAA)、ポリアミドイミド(PAI)、アラミド(aramid)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルエーテル(PVE)、およびこれらの組み合わせから選択された一つであってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
前記セパレータのコーティング層は、前記無機化合物:前記バインダーを質量比で約1:0.05〜約1:5、具体的には、約1:0.1〜約1:2で含むことができる。前記セパレータのコーティング層が無機化合物に対して前記バインダーを前記含量比の範囲において含む場合、無機化合物によるセパレータの耐熱性増大効果を助け、コーティング性においてより均一にできるため、電池の安全性にとってより有利である。
【0037】
また、前記セパレータのコーティング層は、前記無機化合物100質量部に対して、前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物を約1〜約20質量部で含むことができる。前記セパレータのコーティング層が前記含量比の範囲で前記反応性官能基を含む有機−無機結合性シラン化合物を含む場合、前述したように無機化合物を有機−無機結合性シラン化合物で表面コーティング処理することでコーティング層内の結着力を増大させることができ、さらにシラン化合物の過添加による副反応または未反応物の発生を減少させることができる。
【0038】
前記コーティング層の厚さは、セパレータの厚さに影響を与えるので、セパレータの厚さによって決定されてもよい。セパレータの厚さは、薄いほどセル抵抗の減少および容量増加に対して効果があるが、逆に安全性の面では不利となる。前記コーティング層の厚さは、所望の目的に応じて前述の両者を考慮して適切に設定することができ、例えば前記コーティング層の厚さは、約0.5〜約5μmであってもよい。
【0039】
さらに、セパレータの全体の厚さは、目標とする電池の容量に応じて決定されてもよい。例えばセパレータの厚さは、約10〜約30μmであってもよい。
【0040】
前記セパレータは、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(Teflon)(登録商標)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびこれらの組み合わせから選択された一つを含む多孔性基材を含むことができる。例えば、前記基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを含み、2層以上の多層膜としてもよく、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜としてもよい。本発明の実施形態の前記セパレータは、容量の面で不利である比較的厚い多層膜基材を使用せず、単層膜基材を使用しながらも優れた耐熱性を実現することができる。
【0041】
前記セパレータのコーティング層は、前記多孔性基材の一面または両面に形成されてもよい。例えば、前記セパレータのコーティング層が前記多孔性基材の一面に形成される場合、前記コーティング層と正極または負極は接触することができる。
【0042】
前記コーティング層を含むセパレータを正極および負極の間に入れてリチウム2次電池を製作した後、電解液を注入する。さらに、熱処理段階を行うことで前記反応性官能基同士を反応させて前記無機化合物のネットワークを形成させることができる。前記熱処理段階は、例えば、熱圧着工程(heat press)により行われてもよい。前記熱処理段階は、約80〜約110℃で約30秒〜約150秒間、約100kgf〜約300kgf(約980N〜約2940N)の力を加えて行われる。このように前記熱処理段階時において、加圧することでセパレータと電極との間の接着力をより向上させることができる。
【0043】
前記リチウム2次電池は、使用するセパレータと電解質の種類に応じてリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類される。さらに、形態に応じて円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルク型と薄膜型に分類される。これら電池の構造と製造方法は、当該分野で広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態による前記セパレータを含むリチウム2次電池の分解斜視図である。
図1を参照すると、前記リチウム2次電池100は、円筒型であって、負極112と、正極114と、前記負極112と正極114との間に配置されたセパレータ113と、前記負極112、正極114およびセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)と、電池容器120と、そして前記電池容器120を封入する封入部材140とを主な部分として構成される。このようなリチウム2次電池100は、負極112、セパレータ113および正極114を順次積層した後にスパイラル状に巻き取り、電池容器120に収納することで構成される。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記負極は、集電体および前記集電体の上に形成された負極活物質層を含み、前記負極活物質層は負極活物質を含む。
【0046】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質であり、例えばリチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質、または遷移金属酸化物を含む。
【0047】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、例えば、炭素物質が挙げられる。炭素物質としては、リチウムイオン2次電池で一般に使用される炭素系負極活物質であれば如何なるものでも使用することができる。その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせを使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛を挙げることができ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを挙げることができる。
【0048】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlまたはSnとの合金を使用することができる。
【0049】
前記リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、13族〜16族元素、遷移金属元素、希土類元素またはこれらの組み合わせであり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、13族〜16族元素、遷移金属元素、希土類元素またはこれらの組み合わせであり、Snではない)などが挙げられる。例えば、前記QおよびRの具体的な元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0051】
また、前記負極活物質層はバインダーを含み、任意に導電剤をさらに含むこともできる。
【0052】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。前記バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラゴム、アクリル化スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0053】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさない電子伝導性材料であれば、如何なるものでも使用することができる。前記導電材としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、および炭素繊維などの炭素系物質、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー、またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0054】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、電導性金属がコーティングされたポリマー基材、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0055】
前記正極は、電流集電体および該電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
【0056】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチウム化インターカレーション化合物)を使用することができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上を使用することができる。具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる。Li
aA
1−bR
bD
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0≦b≦0.5である)、Li
aE
1−bR
bO
2−cD
c(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、および0≦c≦0.05である)、LiE
2−bR
bO
4−cD
c(上記式中、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である)、Li
aNi
1−b−cCo
bR
cD
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である)、Li
aNi
1−b−cCo
bR
cO
2−αZ
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cCo
bR
cO
2−αZ
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bR
cD
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bR
cO
2−αZ
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bR
cO
2−αZ
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である)、Li
aNi
bE
cG
dO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5および0.001≦d≦0.1である)、Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5および0.001≦e≦0.1である)、Li
aNiG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である)、Li
aCoG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である)、Li
aMnG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である)、Li
aMn
2G
bO
4(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である)、QO
2、QS
2、LiQS
2、V
2O
5、LiV
2O
5、LiTO
2、LiNiVO
4、Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2)、Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2)、およびLiFePO
4。
【0057】
前記化学式中、Aは、Ni、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり、Rは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはこれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり、Zは、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、Vまたはこれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mnまたはこれらの組み合わせであり、Tは、Cr、V、Fe、Sc、Yまたはこれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cuまたはこれらの組み合わせである。
【0058】
もちろん、上記の化合物表面にコーティング層を有するものも、同様に使用することができ、さらに前記化合物とコーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできる。前記コーティング層は、コーティング元素化合物として、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、オキシヒドロキシド、オキシカーボネートまたはヒドロキシカーボネートを含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質のいずれであってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えばスプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができれば、如何なるコーティング方法を用いてもよい。多様なコーティング方法については、当該分野に務める者にとってよく理解された内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0059】
前記正極活物質層はまた、バインダーおよび導電剤を含む。
【0060】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。前記バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル化スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができ、これに限定されない。
【0061】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能である。前記導電剤の例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種、または1種以上混合して使用することができる。
【0062】
前記電流集電体としては、アルミニウム(Al)を使用することができるが、これに限定されない。
【0063】
前記負極と前記正極は、それぞれ、活物質、導電剤およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造される。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書での詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0064】
前記電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0065】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することを可能にする媒質の役割を果たす。
【0066】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系または非プロトン性溶媒を使用することができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、1,1−ジメチルエチルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としては、R−CN(Rは、C2〜C20の直鎖状、分枝状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0067】
前記非水性有機溶媒は、単独または一つ以上混合して使用することができる。一つ以上混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節することができ、これは当該分野に務める者には広く理解された事項である。
【0068】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1〜約1:9の体積比で混合して使用することにより電解液の性能を向上させることができる。
【0069】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に前記芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、約1:1〜約30:1の体積比に混合されてもよい。
【0070】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式1の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0072】
前記化学式1中、R
1〜R
6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のハロアルキル基またはこれらの組み合わせである。
【0073】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1,2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、キシレンまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0074】
前記非水性電解質は、電池寿命を向上させるために、ビニレンカーボネートまたは下記化学式2のエチレンカーボネート系化合物をさらに含んでもよい。
【0076】
前記化学式2中、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)またはC1〜C5のフルオロアルキル基であり、前記R
7とR
8のうちの少なくとも一つは、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)またはC1〜C5のフルオロアルキル基である。
【0077】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。前記ビニレンカーボネートまたは前記エチレンカーボネート系化合物をさらに使用する場合、その使用量を適切に調節することで電池寿命を向上させることができる。
【0078】
前記リチウム塩は、前記非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用する。前記リチウム塩は、リチウム2次電池の基本的な動作を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。前記リチウム塩の代表的な例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサラトボレート(lithium bis(oxalato) borate:LiBOB)またはこれらの組み合わせが挙げられ、前記非水性有機溶媒は、これらを支持(supporting)電解塩として含む。前記リチウム塩の濃度は、0.1〜2.0M範囲内で使用されることが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれる場合、電解質が適切な電導度および粘度を有するため、優れた電解質性能を示し、リチウムイオンを効果的に移動させることができる。
【0079】
前記セパレータ113は、負極112と正極114とを分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、詳しい説明は前述したとおりである。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。ただし、下記実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明は下記実施例に限定されない。
【0081】
(実施例)
[コーティング層を含むセパレータの製造]
(製造例1〜6)
アセトン75gにアルミナ25gを入れて攪拌した。さらに、前記アセトン75g、アルミナ25gの混合物に、下記表1に記載されたような添加剤2.5gを入れて攪拌した(溶液1)。前記添加剤は攪拌時にアルミナと反応してアルミナ表面にコーティングされる。
【0082】
アセトン45gに下記表1に記載されたようなバインダー5gを入れて攪拌し、高分子溶液を作った(溶液2)。
【0083】
前記溶液1と溶液2を混合した後、攪拌して溶液3を得た。
【0084】
9μm厚さのポリエチレン(PE)セパレータの両面を前記溶液3でコーティングした後に乾燥を行った。前記コーティング層の厚さは、一面基準2μmであった。
【0085】
【表1】
【0086】
[電極組立体および電池の製造]
(実施例1)
正極製造:正極活物質としてLiCoO
2を使用し、バインダーとしてはPVDF系バインダー、導電剤としてはSuper−P、ミキシング溶媒としてはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を使用して、94/3/3(質量比)の組成比でスラリーを製造した。その後、前記スラリーを12μmのアルミニウム集電体の上にコーティングした。これを乾燥させた後に圧延を施して正極板を製造した。前記PVDF系バインダーは、純粋にPVDF成分のみのバインダーと、COOH成分を含むPVDF系バインダーとを混合して使用した。
【0087】
負極製造:負極活物質として黒鉛、バインダーとしてはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびCMC(カルボキシメチルセルロース)、ミキシング溶媒としては水を使用して、黒鉛/SBR/CMC=98/1/1(質量比)の組成比でスラリーを製造した。その後、前記スラリーを12μmの銅集電体の上にコーティングした。これを乾燥させた後、正極板と同様に圧延を施して負極板を製造した。
【0088】
電池組立体(電池)の製造:上記で製造された正極、負極、および前記実施例1〜3で製造されたセパレータをそれぞれ使用して423380のパウチ型電池を製造した。電解液は、1.3M濃度のLiPF
6を含むEC(エチルカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)/DEC(ジエチルカーボネート)(3/5/2、体積比)混合溶液を使用した。電解液を注入した後にセルを100℃で100秒間、200kgf(1960N)の力で押した。
【0089】
(比較例)
添加剤を使用しないことを除いては、製造例1と同様の方法でセパレータを製造し、これを使用して実施例1と同様の方法で電池を製造した。
【0090】
(実験例1):45℃高温寿命試験において、サイクル回数の増加による電池の容量および厚さの変化測定
実施例1の電池(図面において、Coupling Neoと称す)と比較例の電池(図面において、Neo V2と称す)に対して、下記条件下において充放電サイクル試験を行い、電池容量および電池の厚さの変化を測定した。
【0091】
充電:0.7C、4.3V、放電:0.5C、3.0Vcut off、休止期(rest time):5分。
【0092】
その結果を
図2に示した。
図2によれば、アミノプロピルトリエトキシシランを添加剤として含むセパレータを使用した実施例1の電池(Neo coupling)の場合、比較例の電池(NEO V2)に比べて、厚さ膨張率が小さく、容量維持率がより高くなったことが確認できる。
【0093】
実施例1の電池は、セパレータに含まれている有機−無機結合性シラン化合物が電極のバインダーと反応して、電極とセパレータとの間の接着力増加に直接的に寄与することができる。また、セパレータで使用されたバインダーと反応する場合、バインダー高分子の分子量を増加させることでバインダーの接着力を増加させる。その結果、電極とセパレータとの間の間隔が減少し、該間隔で発生する可能性がある副反応を顕著に抑制することにより、寿命特性が向上する。
【0094】
(実験例2):電池サイクル試験におけるACIRの変化
電池に対して前述のような充放電サイクル試験を行いながら、電池内部抵抗の増加率を測定した。その結果を
図3に示した。
図3から分かるように、充放電サイクルの回数が増加する場合、アミノプロピルトリエトキシシランを添加剤として含むセパレータを使用した実施例1の電池(Coupling NEO)は、内部抵抗増加率が比較例の電池(NEO V2)に比べてより小さいことが分かる。
【0095】
(実験例3):貫通試験
実施例1のセパレータを使用して製造した電極と比較例の電極に対して、貫通試験を行った。貫通条件は、0.7Cおよび4.3Vで充電した後、30分間休止した状態で、直径2.5mmの鋼鉄棒(iron bar)を使用し、100mm/sの速度で貫通させ、発火の有無を観察した。
【0096】
図4から分かるように、比較例の電池は、貫通試験により電池の温度が急激に増加して発火に至る場合が確認された。反面、
図5から分かるように、実施例1の電池は、発火せず貫通試験に合格した。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。