(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部分及び第2部分のそれぞれの先端部と、前記第1部分及び第2部分の接合部には、隣接する他の吸音部材の第1部分及び第2部分の先端部が嵌合するための嵌合部が形成された、請求項1から5の何れかに記載の吸音部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のセル形消音器には、以下のような問題点が存在した。例えば、特許文献2の
図5に示すように、従来のセル形消音器では、基本となる吸音部材同士を相互に隣接させて配置していた。この時、隣接する吸音部材同士は、それぞれの外板を構成する吸音壁が相互に接触する。換言すると、吸音壁が2枚重なって存在する。しかしながら、要求される消音性能によっては、必ずしも2枚の吸音壁が重なって存在する必要はない。このため、必要以上に外板用の部材が使われており、その分だけ外板用部材の質量が大きくなり、材料費も多く必要となる、という問題があった。また、質量が大きいほど運搬性が低下し、工場での製造時、および、現場での据付時の作業効率が低下するという問題もあった。
【0007】
また、筒状の吸音部材は、その内部に気体が通過するための空間が存在する。このため、多数の吸音部材を積み重ねて運搬する場合や、工場での製作時や保管時、あるいは、消音器の設置現場において据付時に仮置きする場合など、気体流路としての空間も含めたスペースが必要となる。このことは、実際の吸音部材が占める容積を大幅に上回る空間(デッドスペース)が必要となることを意味する。
【0008】
デッドスペースが大きくなると、特に、運搬性、作業性が低下するという問題を生じていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、吸音部材を複数個組み合せた場合に不要だった部材を無くし、重量軽減、コスト削減を実現することを目的の一つとしている。また、複数個の吸音部材を積み重ねて運搬する際の省スペース化を実現することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、第1の手段は、セル形消音器を構成するための吸音部材であって、その断面形状は、第1方向に延びる第1部分と、前記第1方向に直交する第2方向に延びる第2の部分とを備えたL字形状であり、前記第1方向および第2方向の部位のうちの少なくとも1箇所は開放されており、前記第1及び第2方向の両方に直交する第3方向に所定の長さを有する吸音部材である。
【0011】
第2の手段は、前記吸音部材は、前記断面形状がL字形状の吸音部材を組み合わせて櫛形状、鍵形状の何れかとした、第1の手段に記載の吸音部材である。
【0012】
第3の手段は、第1の手段又は第2手段に記載の少なくとも2つの吸音部材が一体となった吸音部材である。
【0013】
第4の手段は、前記第1部分と第2部分とはピン又は蝶番を含む回動可能な接合部によって相互に接合されている、上記第1から第3の手段の何れかに記載の吸音部材である。
【0014】
第5の手段は、前記回動可能な接合部が、吸音部材の外板側又は内板側の何れか一方に設けられた、第4の手段に記載の吸音部材である。
【0015】
第6の手段は、前記吸音部材の内部に吸音材が充填されている、第1から第5の手段の何れかに記載の吸音部材である。
【0016】
第7の手段は、前記第1部分及び第2部分のそれぞれの先端部と、前記第1部分及び第2部分の接合部には、隣接する他の吸音部材の第1部分及び第2部分の先端部が嵌合するための嵌合部が形成された、第1から第6の手段の何れかに記載の吸音部材である。
【0017】
第8の手段は、第1から第7の手段の何れかに記載の吸音部材を、横方向および縦方向の少なくとも何れかに複数個配列して、内部に気体流路を形成した、セル形消音器である。
【0018】
第9の手段は、前記気体流路のうち、前記第1及び第2部分が存在していない部分に、気体流路を封止するための板状の封止板を更に備えた、第8の手段に記載のセル形消音器である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸音部材を示す図あり、
図1(A)は正面図を示し、
図1(B)は一部を断面とした斜視図である。
【
図2】セル形消音器を示す正面図であり、
図2(A)は
図1に開示した吸音部材を用いたセル形消音器であり、
図2(B)は従来のセル形消音器である。
【
図3】
図1に開示した吸音部材を横方向に3個配列した例を示す斜視図であり、
図3(A)は吸音部材を
図1に開示されたままの姿勢で配列した状態であり、
図3(B)は吸音部材を180°回転させて配列した状態である。
【
図4】
図1に開示した吸音部材を縦方向に3個配列した例を示す斜視図であり、
図4(A)は吸音部材を
図1に開示されたままの姿勢で配列した状態であり、
図4(B)は吸音部材を180°回転させて配列した状態である。
【
図5】
図1に開示した吸音部材を縦横両方向に3個配列した例を示す斜視図である。
【
図6】
図1に開示した吸音部材を縦横方向に2×3個配列した例を示す斜視図であり、
図6(A)は更に上端部と右端部に封止板を配置した例であり、
図6(B)は更に右上の角部にL字形状の吸音部材を配置した例である。
【
図7】櫛形状の吸音部材を示す斜視図であり、
図7(A)は1つの吸音部材を示し、
図7(B)は2個の櫛形状の吸音部材と上端部に配置された封止板を組み合わせた例である。
【
図8】
図7(A)に開示した吸音部材を縦方向に起立させた状態を示し、
図8(A)は1つの吸音部材を示し、
図8(B)は2個の櫛形状の吸音部材と右端部に配置された封止板を組み合わせた例である。
【
図9】
図7(A)に開示した櫛形状の吸音部材を2つ組み合わせて一体化したような吸音部材であり、
図9(A)は1個の吸音部材を示し、
図9(B)は
図9(A)の吸音部材と上端部に配置された封止板を組み合わせた例である。
【
図10】鍵形状の吸音部材を示す図であり、
図10(A)は1個の吸音部材を示し、
図10(B)は2個の鍵形状の吸音部材と上端部と右端部に配置された封止板を組み合わせた例であり、
図10(C)は4個の鍵形状の吸音部材と上端部と右端部に配置された封止板を組み合わせた例である。
【
図11】
図10(A)に開示した吸音部材を縦方向に起立させた状態を示し、
図11(A)は1個の吸音部材を示し、
図11(B)は縦方向に配列された2個の櫛形状の吸音部材と、上端部と右端部に配置された封止板を組み合わせた例である。
【
図12】
図1(A)に開示した吸音部材を複数個重ね合わせた状態を示す図であり、
図12(A)は4個の吸音部材の斜視図であり、
図12(B)は
図12(A)の吸音部材を2組重ね合わせた場合の正面図である。
【
図13】吸音部材の収納方法を説明する図であり、
図13(A)はL字形状の吸音部材の例であり、
図13(B)は櫛形状の吸音部材の例であり、
図13(C)は複合形状の吸音部材の例であり、
図13(D)は鍵形状の吸音部材の例である。
【
図14】L字形状の吸音部材の変形例であり、
図14(A)は蝶番の接合部によって第1部分と第2部分とが回動可能に接合されているものを示し、
図14(B)は
図14(A)に開示した吸音部材をL字形状にした状態を示す。
【
図15】第1部分と第2部分とがピンによる回動可能な接合部で接合されている吸音部材であって、一直線状にされた状態を示す。
【
図16】
図14(A)に開示した吸音部材を重ね合わせた図であり、
図16(A)はL字形状のまま重ね合わせた状態を示し、
図16(B)は一直線状にして重ね合わせた状態を示す。
【
図17】吸音部材の更なる変形例を示す図であり、
図17(A)は内板側に設けられたピン接合部でL字形状とされた吸音部材であり、
図17(B)は
図17(A)の吸音部材を複数個配列した状態を示す。
【
図18】嵌合部を備えたL字形状の吸音部材であって、
図18(A)は1つの吸音部材を示し、
図18(B)は
図18(A)の吸音部材を複数個配列した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を用いて、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまでも本発明の一例であって、本発明の技術的範囲が当該実施形態の記載の具体例に限定されるものではない。また、以下に説明する各構成要素は、それぞれが単独或いは任意の組み合わせによって本発明を構成することができるものである。
【0021】
図1は、本実施形態の吸音部材1を示している。ここで、
図1(A)は吸音部材1の正
面図を示し、
図1(B)は吸音部材1の斜視図を示している。
図1に示されるように、吸音部材1は、所定の厚さを持ったL字形状を有している。説明の便宜上、
図1においては第1方向(垂直方向)に延びる部分を第1部分3とよび、第2方向(水平方向)に延びる部分を第2部分7と呼ぶ。本実施形態の吸音部材1では、第1部分3と第2部分7は共に同じ長さを有しており、相互に直交する第1方向及び第2方向に延びている。また、第1方向及び第2方向の両方に直交する第3方向に所定の長さを有している。なお、ここでいう直交とは、精密に直角の場合に限定されるものではなく、略直角の場合も含む趣旨である。また、第1部分3と第2部分7は必ずしも同じ長さである必要はない。
【0022】
当該実施形態では、断面がL字形状となる吸音部材1となっている。このため、
図1(A)の吸音部材1では、第1方向及び第2方向の部位のうち、上方及び右方が開放された状態となっている。この点が、気体流路の周囲全体がとじている従来の吸音部材と大きく異なる点である。この開放部は、後述するように、多数の吸音部材を重ね合わせて運搬や保管する際に、デッドスペースを無くす、あるいは低減するのに役立つ。
【0023】
吸音部材1は、外板によって構成されている外側吸音面3a、7aと、内板によって構成されている内側吸音面3b、7bと、第1部分3及び第2部分7のそれぞれの先端部における隣接面3c、7cによって囲まれている。隣接面3c、7cは、隣接する他の吸音部材(図示略)に当接する面である。外側吸音面3a、7aは、吸音性材料、ガラスクロス又は多孔板などの音を透過させる性質を有する保護材などから構成されている。また、内側吸音面3b、7bは、外側吸音面3a、7aと同じ材料から構成されている場合もあれば、別の材料で構成されている場合もある。一方、隣接面3c、7cは、隣接する吸音部材に直接当接する部分であるので、所定の強度を有する板状部材や多孔板部材などで構成されている。吸音部材1の内部には所定の内部空間が形成されており、この内部空間にはグラスウールなどの吸音材9が充填されている(
図1(B)参照)。本実施形態では、内部空間の全体に吸音材9が充填されているが、内部空間の一部にのみ吸音材9を充填するようにしてもよい。但し、吸音部材1の内部空間を単純な空洞にしても、一定の吸音効果を期待することができるので、吸音材9は本発明に必須のものではない。
【0024】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る吸音部材1の、従来の吸音部材に対する有利な点を説明する。
図2(A)は、本実施形態の吸音部材1を複数個組み合わせて構成されたセル形消音器51を示し、
図2(B)は従来のセル形消音器101を示している。これらのセル形消音器51,101は、縦3段横3段で合計9個の気体流路11、111を内部に備えた消音器である。
【0025】
説明を分かり易くするために、各吸音部材1、103の寸法を一例として設定する。本実施形態に係るL字形状の吸音部材1の厚さは2cmである。一方、気体流路11を構成する内側寸法は縦横とも6cmとなっている。また、上端部に設置される封止板は2cm×24cmであり、右端に設置される封止板は26cm×2cmである。一方、従来のセル形消音器101に用いられる筒状の吸音部材103では、外側寸法が10cm×10cmであり、内側寸法が6cm×6cmとなっている。すなわち、両方のセル形消音器51,101とも、気体流路11、111の有効断面積は1個あたり6cm×6cmの36cm2となっている。なお、何れのセル形消音器51、101も、気体が流れる方向に沿った長さは同一と仮定する。
【0026】
先ず、本実施形態の吸音部材1及び封止板13、15について、外側吸音面3a,7aと、内側吸音面3b、7b及び隣接面3c,7cに用いられる部材の断面における周囲長さを求めることにする。L字形状の吸音部材1では、外側吸音面3a、7aの合計が16cmである。また、内側吸音面3b、7bの合計が12cmである。当接面3c、7cの合計は4cmである。このことから、L字形状の吸音部材1の周囲の長さは、合計で32
cmとなる。L字形状の吸音部材1は合計で9個配列されているので、全部で288cmとなる。また、上端部の封止板13の周囲長さは52cmであり、右端部の封止板15の周囲長さは56cmである。これらすべてを合計すると、396cmとなる。
【0027】
次に、従来のセル形消音器101について同様の計算をする。従来のセル形消音器101の吸音部材103は、外板の合計長さは10cm×4で40cmである。一方、内板の合計長さは6cm×4で24cmである。従って、1つの吸音部材103における外板と内板の合計長さは、64cmとなる。全体で吸音部材は9個用いられているので、合計で576cmとなる。以上から分かるように、従来のセル形消音器101の合計長さ576cmに対して、本実施形態のセル形消音器51の場合には、吸音面を形成する外板と内板の合計長さとして396cmしか必要としない。このため、上記条件においては約31%の材料削減を実現できる。なお、上記寸法は説明の便宜のためであって、実際の寸法は様々に設定することが可能である。
【0028】
また、本実施形態の吸音部材1及び封止板13、15について、吸音材9が充填される部分の面積を求めると、(8×8−6×6)×9=252cm
2、2×24=48cm
2、2×26=52cm
2で、その合計は352cm
2となる。一方、従来のセル形消音器101について同様の計算を行うと、(10×10−6×6)×9=576cm
2となり、約39%の吸音材9の削減が可能となる。
【0029】
次に、
図3から
図6に基づいて、吸音部材1の配列例について説明する。複数の吸音部材1を横方向及び縦方向に配列することで、セル形消音器が構成される。先ず、
図3はL字形状の吸音部材1を横方向に3個配列した例であり、
図3(A)はL字形状のまま配置しており、
図3(B)ではL字形状を180°回転させて配列している。それぞれ隣接する吸音部材1同士が当接することで、内部に気体流路11が形成される。
図4は、L字形状の吸音部材1を縦方向に3つ配列した例であり、
図4(A)はL字形状のまま配置しており、
図4(B)ではL字形状を180°回転させて配列している。
【0030】
図5は、L字形状の吸音部材1を縦方向及び横方向とも、それぞれ3個ずつ配列した例である。このため、合計で9個の吸音部材1が配列されている。この図から分かるように、最下層の吸音部材1と中間層の吸音部材1によって、最下層の気体流路11aが形成され、中間層の吸音部材1と最上層の吸音部材1によって、中間層の気体流路11bが形成される。但し、上端部と右端部は開放された状態である。
【0031】
図6は、L字形状の吸音部材1と板状の封止板13、15とを組み合わせたセル形消音器の例を示している。この例では、L字形状の吸音部材1が縦方向に2段配列されると共に、横方向に3段配列されている。このため、合計で6個の吸音部材1が配列されている。
図6(A)に示す例では、上端部に封止板13が配置されており、L字形状の吸音部材1の開放された上端部を封止するようになっている。更に、右端部にも封止板15が配置され、L字形状の吸音部材1の開放された右端部を封止するようになっている。これにより、合計で6つの気体流路11が形成される。
【0032】
図6(B)に示す例では、
図6(A)と基本的な構成を共通にしているが、右上端部にL字形状の吸音部材1を配置した点が異なっている。すなわち、L字形状の吸音部材1を180°回転させて配置することで、右上端部の気体流路11を封止している。その他の上端部と右端部は板状の封止板13、15で封止されている。
【0033】
次に、
図7から
図11に基づいて、吸音部材の変形例と、これを用いたセル形消音器について説明する。先ず、
図7は、櫛形状の吸音部材21を利用した例を示している。
図7(A)に示す櫛形状の吸音部材21は、L字形状の吸音部材を横方向に3個並べ、右端部
に垂直の封止板を配置し、これらを相互に一体化したような形状である。
図7(B)は、
図7(A)に開示した櫛形状の吸音部材21を縦方向に2個配列し、更に上端部に封止板13を配置したセル形消音器を示している。これにより、6つの気体流路11が形成される。このように、1つの吸音部材21によって複数の気体流路11を構成することができるため、多数の気体流路11が要求されるセル形消音器を構成する場合に便利である。
【0034】
図8は、
図7(A)に開示した櫛形状の吸音部材21を縦方向に起立させ(
図8(A)参照)、これを横方向に2個配列すると共に、右端部に封止板15を配置したもの(
図8(B)参照)を示している。このような配置により、縦方向に3つずつでかつ横方向に2つずつの合計6つの気体流路11が形成される。
【0035】
図9は、
図7(A)に開示した吸音部材21を縦方向に2つ配列し、これらを一体化したような形状を有する吸音部材31と(
図9(A)参照)、これを用いたセル形消音器(
図9(B)参照)をそれぞれ示している。このような形状により、最下層には四方が封止された気体流路12が形成され、上端部は開放されている。
図9(B)は、
図9(A)の吸音部材31の上端部に板状の封止板13を配置した例である。これにより、上層の気体流路11も封止され、縦2段横3段で合計6つの気体流路11、12が形成される。
【0036】
図10は、鍵形状の吸音部材41を利用した例を示している。
図10(A)に示す鍵形状の吸音部材41は、3つのL字形状の吸音部材を横方向に3個並べ、これらを相互に一体化したような形状である。
図10(B)は、
図10(A)に開示した櫛形状の吸音部材41を横方向に2つ配列し、更に上端部と右端部に封止板13、15を配置したものである。これにより、縦1段横6段の合計6つの気体流路11が形成される。
【0037】
図10(C)は、
図10(A)に開示した鍵形状の吸音部材41を縦横方向にそれぞれ2個配列すると共に、上端部と右端部に封止板13、15を配置したものである。このような配置により、縦2段横6段の合計12個の気体流路11が形成される。
【0038】
図11は、
図10(A)に開示した鍵形状の吸音部材41を縦方向に起立させ(
図11(A)参照)、これを縦方向に2個配列すると共に、上端部と右端部に封止板13、15を配置したものである(
図11(B)参照)。このような配置により、縦6段横1段の合計6つの気体流路11が形成される。
【0039】
次に、
図12及び
図13に基づいて、吸音部材1の保管時や運搬時を想定した、吸音部材1の重ね合わせ(収納)について説明する。
図12(A)は一例として、4個の吸音部材1を重ね合わせた状態を示す斜視図である。この図に示すように、断面がL字形状の吸音部材1を隙間無く重ね合わせることができ、気体流路を形成するための空間にもデッドスペースが形成されない。このため、単位体積当りの収納率は従来の吸音部材よりも著しく向上する。
【0040】
また、
図12(B)は、
図12(A)に開示した4つの吸音部材1を2組収納する場合を示す図である。この図に示すように、それぞれの吸音部材の当接面3c、7cが隣接する吸音部材1と隙間無く当接できるため、全くデッドスペースが発生しない。
【0041】
図13は、それぞれの吸音部材1,21,31,41の重ね合わせ例を説明するための図である。
図13(A)は、
図1に開示した吸音部材1を重ね合わせる場合を示している。
図13(A)に示すように、吸音部材1を互い違いになるように配列することで、ほぼデッドスペースを生じさせることなく、多数の吸音部材1を重ね合わせ(収納)することができる。また、
図13(B)は、
図7に開示した櫛形状の吸音部材21を2つ重ね合わせる場合を示している。この図に示すように、気体流路を形成するためのそれぞれの空間
に、吸音部材21が収納される。このため、気体流路が収納空間として利用できなかった従来の吸音部材と比較して、収納効率が向上する。
【0042】
図13(C)は、
図9に開示した複合形状の吸音部材31を2つ重ね合わせる場合を示している。この例でも、
図13(B)の場合と同様に、気体流路を形成するためのそれぞれの空間に、吸音部材31を収納することができる。
図13(D)は、
図10に開示した鍵形状の吸音部材41を2個重ね合わせる場合を示している。この図に示すように、気体流路を形成するためのそれぞれの空間に、吸音部材41が収納される。
【0043】
次に、
図14から
図16に基づいて、吸音部材の構造について説明する。上述の
図1から
図13についての説明では、各吸音部材1はそれ自体変形しないものを想定していた。一方、
図14から
図16では、吸音部材1A自体が変形する例について説明する。
図14(A)に示すように、吸音部材1Aは、蝶番の回動可能な接合部2を介して第1部分3Aと第2部分7Aとが接合されている。また、第1部分3Aと第2部分7Aとが接合される部分は、それぞれ約45°の傾斜面4となっている。このため、第2部分7Aに対して第1部分3Aを回動(
図14(A)では時計回り方向へ)させた場合、第1部分3Aと第2部分7Aとがほぼ直交するような状態で回動が止まる(
図14(B)参照)。これにより、
図1に開示したものと同様の吸音部材1Aが構成される。これらの図から明らかなように、第1部分3Aと第2部分7Aが、蝶番の接合部2を基準にして90°から180°の範囲で回動できる。また、
図15は、
図14に開示した吸音部材1Aにおける蝶番の接合部2をピンの接合部2Bに置き換えた吸音部材1Bであり、その他の構成は
図14の吸音部材1Aと同様である。
【0044】
図16は、
図14に開示した吸音部材1Aの重ね合わせ(収納)について説明する図である。
図16(A)に示すように、L字形状の吸音部材1Aを順番に重ね合わせられるのは、
図12で説明したのと同様である。一方、
図16(B)では、吸音部材1Aを一直線状にし、その状態で重ね合わせたものを示している。このように、吸音部材1Aを一直線状にすることで、重ね合わせも容易となり、運搬や保管の際に便利である。
【0045】
図17は、
図14に開示した吸音部材1Aの変形例に係る吸音部材1Cである。この吸音部材1Cでは、ピン接合部2Bが、気体流路の吸音面を構成する内板3Cb、7Cbの側に設けられている点が、
図14の吸音部材1Aと異なる点である。この吸音部材1Cの場合、
図14の吸音部材1Aとは異なり、第1部分3Cと第2部分7Cとの間の直交状態を維持することができない。しかしながら、
図17(B)に示すように、複数の吸音部材1Cを組み合わせることで、吸音部材1Cの角部空間6(
図17(A)参照)に、隣接する吸音部材1Cの第2部分7Cが嵌りこみ、結果として、第1部分3Cと第2部分7Cとの直交状態を維持することが可能である。
【0046】
図18は、吸音部材の更なる変形例を示している。当該吸音部材1Dの特徴は、
図18(A)に示すように、第1部分3D及び第2部分7Dのそれぞれの先端部と、第1部分3D及び第2部分7Dの接合部に、第1、第2及び第3嵌合部8a、8b、8cが形成されている点である。すなわち、第1嵌合部8aは第1部分3Dの先端部の左側に形成された切り欠きである。また、第2嵌合部8bは、第2部分7Dの先端部の上側に形成された切り欠きである。更に、第3嵌合部8cは、第1部分3D及び第2部分7Dの接合部の下側に形成された切り欠きである。
【0047】
上記吸音部材1Dを縦2段横3段配列した状態を
図18(B)に示す。この図中の吸音部材1Dのうち、下層および上層の中央に配置されている吸音部材1D1、1D2に着目して、各嵌合部8a、8b、8cについて説明する。まず、下層の吸音部材1D1の第1部分3D1の先端部は、上層の吸音部材1D2の第3嵌合部8cの一部(右側部分)に嵌
り込む。また、第2部分7D1の先端部は、右側に隣接する他の吸音部材の第3嵌合部8cの一部(左側部分)に嵌り込む。こうすることで、複数の吸音部材1Dを配列してセル形消音器を形成するのが容易となる。