(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0009】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図7に従って第1実施形態を説明する。
図1に示すように、電子装置1は、複数(
図1では、2つ)の半導体パッケージ2,3と、はんだボール50と、封止樹脂61,62と、磁性薄膜65とを有している。半導体パッケージ2は、はんだボール50を介して半導体パッケージ3と接続されている。
【0010】
まず、半導体パッケージ2の構造について説明する。
半導体パッケージ2は、配線基板10と、配線基板10の上面側に実装された電子部品21,22と、磁性薄膜25とを有している。
【0011】
配線基板10は、基板本体11と、最上層の配線パターン12と、ソルダレジスト層13と、最下層の配線パターン14と、ソルダレジスト層15とを有している。
基板本体11としては、最表層に形成された配線パターン12,14が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、基板本体11の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。例えば、基板本体11を厚さ方向に貫通する貫通電極によって上記配線パターン12,14が相互に電気的に接続される。この場合の基板本体11の材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂、セラミックス、シリコンを用いることができる。また、上記貫通電極(ビア)は、例えばスルーホールビアやスタックビアを用いることができる。一方、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、例えば、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各層間絶縁層に形成されたビアと各配線層とによって上記配線パターン12,14が相互に電気的に接続される。この場合の基板本体11としては、例えば、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板や、コア基板を有さないコアレス基板を用いることができる。
【0012】
配線パターン12は、電子部品21,22が実装される基板本体11の実装面(ここでは、上面)に形成されている。配線パターン12の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。
【0013】
ソルダレジスト層13は、配線パターン12の一部を被覆するように基板本体11の上面に積層されている。ソルダレジスト層13の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層13の材料としては、例えば、感光性の絶縁性樹脂を好適に用いることができる。ソルダレジスト層13は、その上面が平滑な面となるように形成されている。例えば、ソルダレジスト層13の上面は、基板本体11の上面よりも表面粗度が低い。ソルダレジスト層13の上面の粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0014】
ソルダレジスト層13には、配線パターン12の一部を露出させるための複数の開口部13X,13Yが形成されている。なお、必要に応じて、これら開口部13X,13Yから露出する配線パターン12上に、表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法に形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。また、開口部13X,13Yから露出する配線パターン12上に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。
【0015】
本例では、開口部13X,13Yから露出する配線パターン12上に、上記Ni層である金属層16と、上記Au層である金属層17とがこの順番で積層されている。このとき、開口部13Xから露出する金属層17が、電子部品21,22と電気的に接続される実装用パッドP1となる。また、開口部13Yから露出する金属層17が、半導体パッケージ3と電気的に接続される接続用パッドP2となる。各実装用パッドP1及び各接続用パッドP2の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、各実装用パッドP1及び各接続用パッドP2は、平面視略円形状に形成されている。
【0016】
配線パターン14は、上記実装面とは反対側の基板本体11の下面に形成されている。配線パターン14の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
ソルダレジスト層15は、配線基板10の最表層(最下層)に形成されている。具体的には、ソルダレジスト層15は、配線パターン14の一部を被覆するように基板本体11の下面に積層されている。ソルダレジスト層15の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層15の材料としては、例えば、感光性の絶縁性樹脂を好適に用いることができる。ソルダレジスト層15は、その下面が平滑な面となるように形成されている。例えば、ソルダレジスト層15の下面は、基板本体11の下面よりも表面粗度が低い。ソルダレジスト層15の下面の粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。
【0017】
ソルダレジスト層15には、配線パターン14の一部を露出させるための複数の開口部15Xが形成されている。なお、必要に応じて、開口部15Xから露出する配線パターン14の下面に、表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などを挙げることができる。また、開口部15Xから露出する配線パターン14の下面に、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。
【0018】
本例では、開口部15Xから露出する配線パターン14の下面に、上記Ni層である金属層18と、上記Au層である金属層19とがこの順番で積層されている。このとき、開口部15Xから露出する金属層19が外部接続用パッドP3となる。この外部接続用パッドP3には、当該電子装置1をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。外部接続用パッドP3の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、外部接続用パッドP3は、平面視略円形状に形成されている。
【0019】
なお、上記開口部15Xから露出する配線パターン14(あるいは、配線パターン14上に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0020】
以上説明した配線基板10の上面には、電子部品21,22が実装されている。電子部品21は、例えば、電源回路部に含まれる半導体装置である。電子部品21(半導体装置)のパッケージ形状は、例えばQFP(Quad Flat Package)である。この電子部品21のリードは、実装用パッドP1に図示しないはんだにより接続されている。また、電子部品22は、例えば二次電池である。電子部品22(二次電池)は、導体ワイヤにより実装用パッドP1に接続されている。電源回路部(電子部品21)は、二次電池(電子部品22)に対する充電を制御する。また、電源回路部(電子部品21)は、例えば、DC−DCコンバータを含み、二次電池(電子部品22)に蓄積された電力に基づいて、後述する制御回路部及び高周波回路部に供給する電源電圧を生成する。
【0021】
なお、電子部品21,22のパッケージ形状を、例えば、DIP(Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball grid array)、LGA(Land grid array)、PGA(Pin Grid Array)等に変更してもよい。また、電子部品21,22を実装用パッドP1にフリップチップ実装するようにしてもよい。
【0022】
一方、配線基板10の最下層に形成されたソルダレジスト層15の下面には、磁性薄膜25が形成されている。この磁性薄膜25は、ソルダレジスト層15の下面全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜25の外側面は、例えば、ソルダレジスト層15の外側面と略面一に形成されている。この磁性薄膜25は、例えば、外部から電子装置1内に混入して電子部品21,22等に影響を与える電磁波を遮断又は減衰する機能を有している。また、磁性薄膜25は、後述する電子部品41〜44を含む電子回路、又は電子部品21,22を含む電子回路に応じた周波数の電磁波を遮断又は減衰する機能を有している。
【0023】
上記磁性薄膜25に含まれる金属の種類や比率は、任意に設定することができる。例えば、磁性薄膜25としては、ニッケル(Ni)と亜鉛(Zn)を含むフェライト(磁性材)の薄膜を好適に用いることができる。以下の説明において、説明の便宜上、NiとZnを含むフェライトの薄膜のことを、「Ni−Znフェライト膜」と称する場合もある。このような磁性薄膜25(Ni−Znフェライト膜)の組成は、後述する電子部品41〜44(制御回路部及び高周波回路部)に応じて設定することが好ましい。なお、磁性薄膜25として、例えば、マンガン(Mn)と亜鉛(Zn)を含むフェライトの薄膜を用いるようにしてもよい。このような磁性薄膜25の組成は、電子部品21,22(電源回路部及び二次電池)に応じて設定することが好ましい。以下の説明において、説明の便宜上、MnとZnを含むフェライトの薄膜のことを、「Mn−Znフェライト膜」と称する場合もある。なお、磁性薄膜25の厚さは、例えば1〜3μm程度とすることができる。
【0024】
ここで、交流の電流で励磁した磁性材(フェライト)の複素透磁率μは、
μ=μ’−jμ”
で表わされる。虚数成分μ”は、電磁波の吸収に必要な磁気損失項である。磁性材は、共鳴周波数に応じた周波数帯域の電磁波を磁気損失特性により熱エネルギーに変換する。フェライトの共鳴周波数は、フェライトの組成に対応する。従って、フェライトの組成を適宜変更することにより、共鳴周波数を所望の値に設定することができる。そして、その組成のフェライトを用いることにより、共鳴周波数に応じた周波数帯域において、フェライトを透過する電磁波の強度を低減することが可能となる。
【0025】
フェライトの基本組成は、M・Fe
3O
4であり、Mは2価の金属イオンである。このようなフェライトは、スピネルフェライトと呼ばれる。2価の金属は、例えば、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、銅(Cu)である。フェライトは、Mとして含まれる1種類以上の金属イオンの種類や比率に応じた特性を持つ。
【0026】
例えば、亜鉛を含むフェライト(Znフェライト)は反強磁性体であり、強磁性を示さない。しかし、亜鉛は、他の金属を含むフェライトに添加されて多元フェライトを構成し、磁性を強める(飽和磁束密度を大きくする)ように働く。また、亜鉛は、添加によりフェライトを軟磁性化する。
【0027】
フェライトの複素透磁率や共鳴周波数は、亜鉛やコバルトの添加含有量に応じて変化する。例えば、亜鉛の含有量を大きくすることは、複素透磁率を高くし、複素透磁率の共鳴周波数を低くする。一方、亜鉛の含有量を小さくすることは、複素透磁率を低くし、複素透磁率の共鳴周波数を高くする。また、コバルトの含有量を大きくすることは、複素透磁率を高くし、複素透磁率の共鳴周波数を高くする。
【0028】
図2は、Mn−Znフェライト膜とNi−Znフェライト膜の複素透磁率−周波数特性の一例を示す。
図2において、実線L11はMn−Znフェライト膜の複素透磁率の実数成分μ’、破線L12はMn−Znフェライト膜の複素透磁率の虚数成分μ”を示す。また、実線L21はNi−Znフェライト膜の複素透磁率の実数成分μ’、破線L22はNi−Znフェライト膜の複素透磁率の虚数成分μ”を示す。
【0029】
例えば、Ni−Znフェライト膜の共鳴周波数は数GHzである。また、Ni−Znフェライト膜の抵抗率は1×10
6(Ω・m)程度であり、電気的な絶縁体として扱うことが可能である。このようなNi−Znフェライト膜は、数GHz程度の高い周波数帯の電磁波(例えば、高周波ノイズ)の透過を効果的に抑制することができる。なお、Ni−Znフェライト膜は、数MHz程度の低い周波数帯の電磁波(例えば、低周波ノイズ)の透過も抑制することができる。但し、Ni−Znフェライト膜における低周波ノイズ抑制効果は、Ni−Znフェライト膜における高周波ノイズ抑制効果に比べて小さい。
【0030】
例えば、Mn−Znフェライト膜の共鳴周波数は数MHzであり、抵抗率は0.1〜10(Ω・m)程度である。このようなMn−Znフェライト膜は、数MHz程度の低い周波数帯の電磁波(例えば、低周波ノイズ)の透過を効果的に抑制することができる。
【0031】
次に、半導体パッケージ3の構造について説明する。
半導体パッケージ3は、配線基板30と、配線基板30の上面に実装された電子部品41〜44と、磁性薄膜45とを有している。
【0032】
配線基板30は、基板本体31と、最上層の配線パターン32と、ソルダレジスト層33と、最下層の配線パターン34と、ソルダレジスト層35とを有している。
基板本体31としては、最表層に形成された配線パターン32,34が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、基板本体31の内部には配線層が形成されていなくてもよく、配線層が形成されていてもよい。例えば、基板本体31を厚さ方向に貫通する貫通電極によって上記配線パターン32,34が相互に電気的に接続される。この場合の基板本体31の材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂、セラミックス、シリコンを用いることができる。また、上記貫通電極(ビア)は、例えばスルーホールビアやスタックビアを用いることができる。一方、基板本体31の内部に配線層が形成される場合には、例えば、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各層間絶縁層に形成されたビアと各配線層とによって上記配線パターン32,34が相互に電気的に接続される。この場合の基板本体31としては、例えば、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板や、コア基板を有さないコアレス基板を用いることができる。
【0033】
配線パターン32は、電子部品41〜44が実装される基板本体31の実装面(ここでは、上面)に形成されている。配線パターン32の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0034】
ソルダレジスト層33は、配線パターン32の一部を被覆するように基板本体31の上面に積層されている。ソルダレジスト層33の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層33の材料としては、例えば、感光性の絶縁性樹脂を好適に用いることができる。ソルダレジスト層33は、その上面が平滑な面となるように形成されている。例えば、ソルダレジスト層33の上面は、基板本体31の上面よりも表面粗度が低い。ソルダレジスト層33の上面の粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。
【0035】
ソルダレジスト層33には、配線パターン32の一部を露出させるための複数の開口部33Xが形成されている。なお、必要に応じて、開口部33Xから露出する配線パターン32上に、表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などを挙げることができる。また、開口部33Xから露出する配線パターン32上に、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。
【0036】
本例では、開口部33Xから露出する配線パターン32上に、上記Ni層である金属層36と、上記Au層である金属層37とがこの順番で積層されている。このとき、開口部33Xから露出する金属層37が、電子部品41〜44と電気的に接続される実装用パッドP4となる。各実装用パッドP4の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、各実装用パッドP4は、平面視略円形状に形成されている。
【0037】
配線パターン34は、上記実装面とは反対側の基板本体31の下面に形成されている。配線パターン34の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
ソルダレジスト層35は、配線基板30の最下層に形成されている。具体的には、ソルダレジスト層35は、配線パターン34の一部を被覆するように基板本体31の下面に積層されている。ソルダレジスト層35の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層35の材料としては、例えば、感光性の絶縁性樹脂を好適に用いることができる。ソルダレジスト層35は、その下面が平滑な面となるように形成されている。例えば、ソルダレジスト層35の下面は、基板本体31の下面よりも表面粗度が低い。ソルダレジスト層35の下面の粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。
【0038】
ソルダレジスト層35には、配線パターン34の一部を露出させるための複数の開口部35Xが形成されている。なお、必要に応じて、開口部35Xから露出する配線パターン34の下面に、表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などを挙げることができる。また、開口部35Xから露出する配線パターン34の下面に、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。
【0039】
本例では、開口部35Xから露出する配線パターン34の下面に、上記Ni層である金属層38と、上記Au層である金属層39とがこの順番で積層されている。このとき、開口部35Xから露出する金属層39が、上記半導体パッケージ2と接続される接続用パッドP5となる。この接続用パッドP5は、はんだボール50に接合され、そのはんだボール50を通じて半導体パッケージ2の接続用パッドP2と電気的に接続されるパッドである。接続用パッドP5の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、接続用パッドP5は、平面視略円形状に形成されている。
【0040】
以上説明した配線基板30の上面には、電子部品41〜44が実装されている。電子部品41は、例えば、制御回路部に含まれる半導体装置である。電子部品42は、例えば、高周波回路部に含まれる半導体装置である。電子部品41,42(半導体装置)のパッケージ形状は、例えばQFPである。これら電子部品41,42のリードは、実装用パッドP4に図示しないはんだにより接続されている。また、電子部品43は、例えば、制御回路部に含まれるチップ部品である。電子部品44は、例えば、高周波回路部に含まれるチップ部品である。上記チップ部品の例としては、抵抗、コンデンサ、コイル、ダイオードなどを挙げることができる。電子部品43,44(チップ部品)は、例えば、実装用パッドP4に図示しないはんだにより接続されている。
【0041】
制御回路部(電子部品41,43)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、各回路部を動作させるためのクロック信号を生成する信号生成回路とを含み、電源回路部や高周波回路部等を制御する。高周波回路部(電子部品42,44)は、例えば無線通信のための受信回路及び送信回路を含む。
【0042】
なお、電子部品41,42のパッケージ形状を、例えば、DIP、SOP、BGA、LGA、PGA等に変更してもよい。また、電子部品41,42を実装用パッドP4にフリップチップ実装するようにしてもよい。また、抵抗やコンデンサ等の受動素子を、リードを有する部品としてもよい。
【0043】
一方、配線基板30の最下層に形成されたソルダレジスト層35の下面には、磁性薄膜45が形成されている。この磁性薄膜45は、ソルダレジスト層35の下面全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜45の外側面は、例えば、ソルダレジスト層35の外側面と略面一に形成されている。本例の磁性薄膜45は、例えば、電子部品41〜44を含む電子回路に応じた周波数の電磁波を遮断又は減衰する機能を有している。
【0044】
上記磁性薄膜45に含まれる金属の種類や比率は、任意に設定することができる。磁性薄膜45の組成は、例えば、磁性薄膜25と同一の組成に設定することができる。例えば、磁性薄膜45としては、Ni−Znフェライト膜を用いることができる。このような磁性薄膜45(Ni−Znフェライト膜)の組成は、電子部品41〜44(制御回路部及び高周波回路部)に応じて設定することが好ましい。なお、磁性薄膜45の厚さは、例えば1〜3μm程度とすることができる。
【0045】
各接続用パッドP5上には、はんだボール50が接合されている。はんだボール50は、半導体パッケージ2と半導体パッケージ3との間に介在して設けられ、その一端が接続用パッドP2に接合され、他端が接続用パッドP5に接合されている。はんだボール50は、半導体パッケージ2と半導体パッケージ3とを接続(接合)する接続端子として機能するとともに、半導体パッケージ2と半導体パッケージ3との間の距離(離間距離)を規定値に保持するスペーサとしても機能する。なお、はんだボール50の高さは、例えば、電子部品21,22の厚さよりも高く設定されている。
【0046】
本例のはんだボール50は、球形状の銅コアボール51の周囲をはんだ52で覆った構造を有し、はんだ52が接合材として機能し銅コアボール51がスペーサとして機能する。すなわち、はんだボール50は、はんだ52によって上記接続用パッドP2と接合されるとともに、はんだ52によって上記接続用パッドP5と接合されている。
【0047】
このように、半導体パッケージ2と半導体パッケージ3とがはんだボール50を介して積層接合され、POP(Package on Package)構造の電子装置1が形成されている。
半導体パッケージ2と半導体パッケージ3との間の空間には、封止樹脂61が充填されている。この封止樹脂61によって、半導体パッケージ3が半導体パッケージ2に対して固定されるとともに、配線基板10に実装された電子部品21,22が封止される。すなわち、封止樹脂61は、半導体パッケージ2と半導体パッケージ3とを接着する接着剤として機能するとともに、電子部品21,22を保護する保護層として機能する。
【0048】
封止樹脂61の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、封止樹脂61の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカ(SiO
2)等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。フィラーとしては、シリカ以外に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸カルシウム、ゼオライト等の無機化合物、又は、有機化合物等を用いることができる。また、上記封止樹脂61としては、例えばトランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いることができる。
【0049】
配線基板30の最上層に形成されたソルダレジスト層33の上面には、電子部品41〜44等を封止する封止樹脂62が形成されている。封止樹脂62は、その上面(樹脂封止面)が平滑な面となるように形成されている。例えば、封止樹脂62の上面は、基板本体31の上面よりも表面粗度が低い。封止樹脂62の上面の粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。
【0050】
封止樹脂62の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、封止樹脂62の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。フィラーとしては、シリカ以外に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸カルシウム、ゼオライト等の無機化合物、又は、有機化合物等を用いることができる。また、上記封止樹脂62としては、例えばトランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いることができる。
【0051】
磁性薄膜65は、封止樹脂62の表面(上面及び外側面)を被覆するように形成されている。本例の磁性薄膜65は、封止樹脂62の外側面全面、ソルダレジスト層33の外側面全面、基板本体31の外側面全面、ソルダレジスト層35の外側面全面、磁性薄膜45の外側面全面、封止樹脂61の外側面全面及びソルダレジスト層13の外側面全面を被覆するように形成されている。本例の磁性薄膜65の外側面は、基板本体11の外側面、ソルダレジスト層15の外側面及び磁性薄膜25の外側面と略面一に形成されている。換言すると、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25の平面形状は、ソルダレジスト層13、封止樹脂61、磁性薄膜45、ソルダレジスト層35、基板本体31、ソルダレジスト層33及び封止樹脂62の平面形状よりも磁性薄膜65の分だけ一回り大きく形成されている。
【0052】
磁性薄膜65は、外部から電子装置1内に混入して電子部品41〜44等に影響を与える電磁波を遮断又は減衰する機能を有している。また、磁性薄膜65は、電子部品41〜44を含む電子回路に応じた周波数の電磁波を遮断又は減衰する機能を有している。
【0053】
磁性薄膜65に含まれる金属の種類や比率は、任意に設定することができる。磁性薄膜65の組成は、例えば、磁性薄膜25,45と同一の組成に設定することができる。例えば、磁性薄膜65としては、Ni−Znフェライト膜を好適に用いることができる。このような磁性薄膜65(Ni−Znフェライト膜)の組成は、電子部品41〜44(制御回路部及び高周波回路部)に応じて設定することが好ましい。なお、磁性薄膜65の厚さは、例えば1〜3μm程度とすることができる。
【0054】
次に、上記電子装置1の作用について説明する。
2つの配線基板10,30のうち最上層の配線基板30の上面に、その上面に実装された電子部品41〜44を封止するとともに、上面が平滑面である封止樹脂62を形成するようにした。そして、封止樹脂62の上面に磁性薄膜65(フェライト膜)を形成するようにした。このため、平滑面上に磁性薄膜65を成膜することができるとともに、金属表面上ではなく、樹脂表面上に磁性薄膜65を成膜することができる。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜65を好適に形成することができる。
【0055】
また、上下に隣接する2つの配線基板10,30のうち上側の配線基板30の最下層に、下面が平滑面であるソルダレジスト層35を形成するようにした。そして、ソルダレジスト層35の下面に磁性薄膜45(フェライト膜)を形成するようにした。このため、平滑面上に磁性薄膜45を成膜することができるとともに、樹脂表面上に磁性薄膜45を形成することができる。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜45を成膜することができる。
【0056】
同様に、2つの配線基板10,30のうち最下層の配線基板10の下面に、下面が平滑面であるソルダレジスト層15を形成するようにした。そして、ソルダレジスト層15の下面に磁性薄膜25(フェライト膜)を形成するようにした。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜25を形成することができる。
【0057】
また、上述したように、電子部品41,43を含む制御回路部は、CPU等のロジック回路を含んでいる。これらの回路は、動作クロック信号に応じた周波数で回路に含むトランジスタをスイッチングする。このため、上記スイッチング動作に応じて高周波ノイズを放射する。また、電子部品42,44を含む高周波回路部も制御回路部と同様に、動作に応じて高周波ノイズを放射する。ここで、磁性薄膜25,45,65(Ni−Znフェライト膜)の組成は、例えば、上記制御回路部や高周波回路部から放射されるノイズの周波数に応じて設定されている。例えば、磁性薄膜25,45,65の複素透磁率μに含まれる虚数成分μ”の周波数帯は、上記制御回路部や高周波回路部にて発生する高周波ノイズに対応する。従って、これら磁性薄膜25,45,65は、上記制御回路部や高周波回路部から放射される高周波ノイズに対応する周波数帯の電磁波(ノイズ)の透過を抑制する。このとき、磁性薄膜25,45,65は、上述したように、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜である。このため、これら磁性薄膜25,45,65は、上記高周波ノイズに対応する周波数帯の電磁波の透過を効果的に抑制することができる。
【0058】
そして、電子部品21,22,41〜44が上記磁性薄膜25,45,65によって間接的に覆われている。このため、磁性薄膜25,65は、上記制御回路部や高周波回路部(電子部品41〜44)から外部へ放射される高周波ノイズの量を低減する。また、磁性薄膜25,65は、外部から上記制御回路部や高周波回路部の信号に混入する高周波の電磁波の量を低減する。また、磁性薄膜45は、上記制御回路部や高周波回路部(電子部品41〜44)から放射され電源回路部(電子部品21,22)に混入する高周波ノイズの量を低減する。
【0059】
ところで、外部から電子装置1内に混入するノイズの大部分は、高周波ノイズである。このため、高周波ノイズの透過を効果的に抑制することのできるNi−Znフェライト膜(磁性薄膜45,65)を電子装置1の最表面に形成することにより、外部から電子装置1内に混入する電磁波(ノイズ)の量を大幅に低減することができる。なお、外部から電子装置1内に混入するノイズには低周波ノイズも含まれるが、その低周波ノイズの量は高周波ノイズに比べて少ない。このため、Ni−Znフェライト膜(磁性薄膜45,65)によっても、外部から電子装置1内に低周波ノイズが混入することを抑制することができる。
【0060】
次に、上記電子装置1の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に電子装置1の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
まず、
図3(a)に示す工程では、配線基板10及び配線基板30に対応する構造体を製造する。これらの構造体は、公知の製造方法により製造することが可能であるが、その概略について、
図3(a)を参照しながら説明する。
【0061】
まず、配線基板10を製造するためには、例えば多数個取り用の基板本体11を用意する。すなわち、配線基板10が多数個取れる大判の基板本体11を用意する。また、配線基板30を製造するためには、例えば多数個取り用の基板本体31を用意する。すなわち、配線基板30が多数個取れる大判の基板本体31を用意する。基板本体11,31は、電子装置1が形成される領域A1を多数有している。この基板本体11,31は、上記領域A1に電子装置1に対応する構造体が形成された後、切断線B1に沿ってダイシングブレード等によって切断される。これにより、電子装置1に対応する構造体が個片化され、複数の電子装置1が一括して製造されることになる。
【0062】
次に、基板本体11の上面に配線パターン12を形成し、基板本体11の下面に配線パターン14を形成する。続いて、配線パターン12の一部を露出させるための開口部13X,13Yを有するソルダレジスト層13を基板本体11の上面に形成する。また、配線パターン14の一部を露出させるための開口部15Xを有するソルダレジスト層15を形成する。例えば、感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状の感光性のソルダレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィ法を用いて上記ソルダレジストを所要の形状にパターニングすることにより、上記ソルダレジスト層13,15を形成する。このような感光性樹脂からなるソルダレジスト層13の上面及びソルダレジスト層15の下面は、平滑な面に形成される。次いで、例えば無電解めっき法により、開口部13X,13Yから露出する配線パターン12上に金属層16,17を順に積層するとともに、開口部15Xから露出する配線パターン14の下面に金属層18,19を順に積層する。これにより、配線基板10の上面側に実装用パッドP1と接続用パッドP2が形成され、配線基板10の下面側に外部接続用パッドP3が形成される。
【0063】
一方、基板本体31の上面に配線パターン32を形成し、基板本体31の下面に配線パターン34を形成する。続いて、配線パターン32の一部を露出させるための開口部33Xを有するソルダレジスト層33を基板本体31の上面に形成する。また、配線パターン34の一部を露出させるための開口部35Xを有するソルダレジスト層35を形成する。例えば、感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状の感光性のソルダレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィ法を用いて上記ソルダレジストを所要の形状にパターニングすることにより、上記ソルダレジスト層33,35を形成する。このような感光性樹脂からなるソルダレジスト層33の上面及びソルダレジスト層35の下面は、平滑な面に形成される。次いで、例えば無電解めっき法により、開口部33Xから露出する配線パターン32上に金属層36,37を順に積層するとともに、開口部35Xから露出する配線パターン34の下面に金属層38,39を順に積層する。これにより、配線基板30の上面側に実装用パッドP4が形成され、配線基板30の下面側に接続用パッドP5が形成される。
【0064】
以上の製造工程により、各領域A1に、配線基板10及び配線基板30に対応する構造体が製造される。なお、
図3〜
図9の断面図は、多数個取り用の基板本体11,31の一部のみを示している。
【0065】
次に、
図3(b)に示す工程では、ソルダレジスト層15の下面全面を被覆する磁性薄膜25を形成するとともに、ソルダレジスト層35の下面全面を被覆する磁性薄膜45を形成する。これら磁性薄膜25,45は、例えばフェライトめっき法により形成することができる。フェライトめっき法としては、例えばスピンスプレー法を用いることができる。本工程では、磁性薄膜25,45(フェライト膜)が成膜される面(基材)である、ソルダレジスト層15,35の下面が平滑面である。このため、それらソルダレジスト層15,35の下面に、結晶構造が柱状となる良好な磁性薄膜25,45を形成することができる。なお、磁性薄膜25,45を形成する工程の前に、プラズマ処理を行うようにしてもよい。このプラズマ処理は、ソルダレジスト層15,35の露出面(ここでは、下面)にOH基を生成する。上記スピンスプレー法において用いられる反応溶液に含まれる金属イオンは、ソルダレジスト層15,35の下面のOH基と結合する。これにより、ソルダレジスト層15と磁性薄膜25との間、及びソルダレジスト層35と磁性薄膜45との間で高い密着性が得られる。
【0066】
なお、スピンスプレー法により磁性薄膜25,45を形成する際には、ソルダレジスト層15から露出する外部接続用パッドP3と、ソルダレジスト層35から露出する接続用パッドP5は、図示しないマスク材によりマスクされている。
【0067】
次に、
図4(a)に示す工程では、配線基板10の上面に、電子部品21,22を実装する。例えば、配線基板10の上面に、電子部品21をはんだ実装する。これにより、電子部品21のリードが図示しないはんだにより実装用パッドP1に接続される。例えば、配線基板10の上面に、電子部品22をワイヤボンディング実装する。これにより、電子部品22の電極パッドが、導体ワイヤを介して実装用パッドP1と電気的に接続される。
【0068】
続いて、接続用パッドP2上又は接続用パッドP5上に、はんだボール50を搭載(接合)する。例えば、接続用パッドP5上に、適宜フラックスを塗布した後、はんだボール50を搭載し、230〜260℃程度の温度でリフローして固定する。その後、フラックスを塗布した場合には、表面を洗浄してフラックスを除去する。次いで、電子部品21,22が実装された配線基板10の上方に、はんだボール50が搭載された配線基板30を位置決めし、接続用パッドP2上に上記はんだボール50を接合する。具体的には、まず、接続用パッドP2上に適宜フラックスを塗布する。その後、配線基板30を、はんだボール50を間に挟んだ状態で配線基板10の上に配置し、それら重ね合わされた配線基板10,30をリフロー炉で230〜260℃程度の温度で加熱する。これにより、はんだボール50のはんだ52が溶融し、はんだボール50が接続用パッドP2に接合される。これにより、はんだボール50を介して接続用パッドP2と接続用パッドP5とが電気的に接続されるとともに、はんだボール50を介して配線基板30が配線基板10上に固定される。
【0069】
次に、
図4(b)に示す工程では、両配線基板10,30間の空間、具体的には、ソルダレジスト層13と磁性薄膜45との間の空間を充填するように封止樹脂61を形成する。この封止樹脂61によって、配線基板10と配線基板30とが強固に固定される。例えば、封止樹脂61の材料として熱硬化性を有したモールド樹脂を用いる場合には、
図4(a)に示した構造体を金型内に収容し、金型内に圧力(例えば、5〜10MPa)を印加し、流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を加熱(加熱温度は、例えば180℃)して硬化させることで、封止樹脂61を形成する。なお、上記モールド樹脂を充填する方法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などの方法を用いることができる。
【0070】
続いて、
図5(a)に示す工程では、配線基板30の上面に、電子部品41〜44を実装する。例えば、配線基板30の上面に、電子部品41〜44をはんだ実装する。これにより、電子部品41,42のリードが図示しないはんだにより実装用パッドP4に接続されるとともに、電子部品43,44が図示しないはんだにより実装用パッドP4に接続される。
【0071】
次いで、
図5(b)に示す工程では、ソルダレジスト層33の上面に、配線基板30に実装された電子部品41〜44を封止するように封止樹脂62を形成する。例えば、封止樹脂62の材料として熱硬化性を有したモールド樹脂を用いる場合には、
図5(a)に示した構造体を金型内に収容し、金型内に圧力(例えば、5〜10MPa)を印加し、流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を加熱(加熱温度は、例えば180℃)して硬化させることで、封止樹脂62を形成する。このとき、封止樹脂62は、当該封止樹脂62の上面(樹脂封止面)が平滑な面となるように形成される。なお、上記モールド樹脂を充填する方法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などの方法を用いることができる。
【0072】
続いて、
図6(a)に示す工程では、切断線B1及びその周辺領域において、
図5(b)に示した構造体の厚さ方向の中途位置まで研磨(ハーフカット)し、溝部62Xを形成する。本例のハーフカットでは、切断線B1及びその周辺領域において、封止樹脂62の上面側からソルダレジスト層13まで研磨し、封止樹脂61,62、ソルダレジスト層13,33,35、基板本体31及び磁性薄膜45を厚さ方向に貫通する溝部62Xを形成する。これにより、各領域A1において、封止樹脂61,62、ソルダレジスト層13,33,35、基板本体31及び磁性薄膜45の外側面が溝部62Xに露出される。なお、上記溝部62Xの形成は、例えばダイシングブレードやスライサーを用いて行うことができる。
【0073】
次いで、
図6(b)に示す工程では、封止樹脂62の上面(平滑面)及び側面を被覆するように磁性薄膜65を形成する。例えば、封止樹脂62の上面全面を被覆するとともに、上記溝部62Xを充填する磁性薄膜65を形成する。本工程では、磁性薄膜65(フェライト膜)が成膜される面(基材)である、封止樹脂62の上面が平滑面である。このため、その封止樹脂62の上面に、結晶構造が柱状となる良好な磁性薄膜65を形成することができる。また、本工程により、溝部62Xに露出した、封止樹脂61,62、ソルダレジスト層13,33,35、基板本体31及び磁性薄膜45の外側面が磁性薄膜65によって被覆される。なお、磁性薄膜65は、例えばスピンスプレー法を用いて形成することができる。
【0074】
以上の製造工程により、各領域A1に、電子装置1に対応する構造体が製造される。
そして、
図7に示す工程では、
図6(b)に示した構造体を、切断線B1に沿ってダイシングブレードにより切断することにより、個々の電子装置1に個片化する。すなわち、切断線B1上の磁性薄膜65、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25を切断することにより、個々の電子装置1に個片化する。以上の製造工程を経て、複数の電子装置1を一括して製造することができる。本工程において、磁性薄膜65の外側面と、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25の外側面とが略面一に形成される。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)配線基板30の上面に、その上面に実装された電子部品41〜44を封止するとともに、上面が平滑面である封止樹脂62を形成し、その封止樹脂62の上面に磁性薄膜65を形成するようにした。このため、平滑面上に磁性薄膜65を成膜することができるとともに、金属表面上ではなく、樹脂表面上に磁性薄膜65を成膜することができる。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜65を好適に形成することができる。このような柱状の結晶構造を有する磁性薄膜65によって、電磁波の放射・混入を好適に抑制することができる。
【0076】
(2)配線基板30の最下層に、下面が平滑面であるソルダレジスト層35を形成し、そのソルダレジスト層35の下面に磁性薄膜45を形成するようにした。このため、平滑面上に磁性薄膜45を成膜することができるとともに、金属表面上ではなく、樹脂表面上に磁性薄膜45を成膜することができる。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜45を好適に形成することができる。このような柱状の結晶構造を有する磁性薄膜45によって、電磁波の放射・混入を好適に抑制することができる。
【0077】
(3)配線基板10の最下層に、下面が平滑面であるソルダレジスト層15を形成し、そのソルダレジスト層15の下面に磁性薄膜25を形成するようにした。このため、平滑面上に磁性薄膜25を成膜することができるとともに、金属表面上ではなく、樹脂表面上に磁性薄膜25を成膜することができる。これにより、結晶構造が柱状である良好な磁性薄膜25を好適に形成することができる。このような柱状の結晶構造を有する磁性薄膜25によって、電磁波の放射・混入を好適に抑制することができる。
【0078】
(4)電子部品41〜44を間接的に覆う磁性薄膜25,45,65の組成を、電子部品41〜44から放射されるノイズの周波数に応じて設定するようにした。これにより、磁性薄膜25,65は、電子部品41〜44から外部へ放射される高周波ノイズの量を低減することができる。また、磁性薄膜25,65は、外部から電子部品41〜44を含む電子回路の信号に混入する高周波の電磁波の量を低減することができる。さらに、磁性薄膜45は、電子部品41〜44から放射され電子部品21,22に混入する高周波ノイズの量を低減することができる。
【0079】
(5)電子装置1の外部に露出される磁性薄膜25,65を、高周波ノイズの透過を効果的に抑制することのできるNi−Znフェライト膜とした。これにより、外部から電子装置1内に混入する電磁波(ノイズ)の量を大幅に低減することができる。
【0080】
(6)電子部品21,22,41〜44は、金属製のシールドケースよりも薄い、封止樹脂61,62及び磁性薄膜25,45,65により覆われている。そして、磁性薄膜25,45,65によって、電磁波の放射・混入が抑制されている。このため、金属製のシールドケースを用いる場合と比べ、電子装置1の大型化を抑制することができる。
【0081】
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0082】
・上記第1実施形態では、はんだボール50を介して配線基板10(半導体パッケージ2)と配線基板30を接合した後に、それら配線基板10と配線基板30との間の空間を充填する封止樹脂61を形成するようにした。また、封止樹脂61を形成した後に、配線基板30の上面に電子部品41〜44を実装し、配線基板30の上面に電子部品41〜44等を封止する封止樹脂62を形成するようにした。しかし、封止樹脂61,62の形成方法はこれに限定されない。
【0083】
例えば、
図8(a)に示すように、配線基板30を配線基板10に接合する前に、配線基板30の上面に電子部品41〜44を実装し、配線基板30の上面に、電子部品41〜44等を封止する封止樹脂62を形成するようにしてもよい。なお、このとき、配線基板10の上面に電子部品21,22を実装する。続いて、
図8(b)に示す工程では、封止樹脂62が形成された半導体パッケージ3(配線基板30)を、はんだボール50を介して半導体パッケージ2(配線基板10)に固定する。すなわち、封止樹脂62が形成された配線基板30が最上層となるように、複数の配線基板10,30をはんだボール50を介して積層する。次いで、
図9に示す工程では、配線基板10と配線基板30との間の空間を充填し、配線基板10の上面に実装された電子部品21,22を封止する封止樹脂61を形成する。その後、
図6〜
図7に示した工程と同様の製造工程を実施することにより、上記第1実施形態と同様に、複数の電子装置1を一括して製造することができる。
【0084】
・上記第1実施形態では、磁性薄膜25,45,65の組成を同一の組成に設定した。これに限らず、磁性薄膜25,45,65の組成を互いに異なる組成に設定してもよいし、磁性薄膜25,45,65のうち1つの磁性薄膜の組成と、残りの2つの磁性薄膜の組成とを異なる組成に設定してもよい。
【0085】
例えば
図10に示すように、磁性薄膜25,65の組成と、磁性薄膜45Aの組成とを異なる組成に設定してもよい。すなわち、外部に露出する磁性薄膜25,65の組成と、上下に隣接する2つの配線基板10,30の間に設けられた磁性薄膜45Aの組成とを異なる組成に設定してもよい。
【0086】
例えば、磁性薄膜25,65としては、上記第1実施形態と同様に、Ni−Znフェライト膜を用いることができる。その一方で、磁性薄膜45Aとして、例えば、低周波ノイズの透過を効果的に抑制できるMn−Znフェライト膜を用いるようにしてもよい。この場合の磁性薄膜45A(Mn−Znフェライト膜)の組成は、電子部品21,22(電源回路部及び二次電池)に応じて設定することが好ましい。
【0087】
ここで、上記電源回路部(電子部品21)は、電源電圧を生成するための回路(例えば、DC−DCコンバータ)の動作に応じて、低周波ノイズを放射する。そこで、上記磁性薄膜45A(Mn−Znフェライト膜)の組成を、上記電源回路部から放射されるノイズの周波数に応じて設定する。例えば、磁性薄膜45Aの複素透磁率μに含まれる虚数成分μ”の周波数帯を、上記電源回路部にて発生する低周波ノイズに対応する値に設定する。これにより、磁性薄膜45Aは、上記電源回路部から放射される低周波ノイズに対応する周波数帯の電磁波(ノイズ)の透過を抑制する。したがって、磁性薄膜45Aにより、上記電源回路部から放射され電子部品41〜44(制御回路部及び高周波回路部)に混入する低周波ノイズの量を低減することができる。
【0088】
ところで、金属めっき膜により電磁波の放射・混入を抑制する場合には、低周波ノイズの透過を抑制することができないという問題がある。これは、金属めっき膜が薄くなると、金属めっき膜に低周波の電磁波が当たったときに、金属めっき膜で渦電流が発生しなくなるためである。これに対し、磁性薄膜(フェライト膜)であれば、磁性薄膜45Aを薄く形成した場合であっても、その磁性薄膜45Aの組成を調整することにより、低周波ノイズの透過を好適に抑制することができる。
【0089】
(第2実施形態)
以下、
図11〜
図14に従って第2実施形態を説明する。この実施形態の電子装置1Aは、磁性薄膜25,65が磁性薄膜25A,65Aに変更されている点が上記
図10に示した変形例と異なっている。以下、第1実施形態および上記変形例との相違点を中心に説明する。なお、先の
図1〜
図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0090】
図11に示すように、配線基板10の最下層に形成されたソルダレジスト層15の下面を被覆するように磁性薄膜25Aが形成されている。この磁性薄膜25Aは、ソルダレジスト層15の下面に順に積層された、複数層(ここでは、2層)の磁性薄膜26,27を有している。磁性薄膜26は、ソルダレジスト層15の下面全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜27は、磁性薄膜26の下面全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜26,27の外側面は、例えば、ソルダレジスト層15の外側面と略面一に形成されている。
【0091】
また、封止樹脂62の上面及び外側面を被覆するように磁性薄膜65Aが形成されている。この磁性薄膜65Aは、封止樹脂62上に順に積層された、複数層(ここでは、2層)の磁性薄膜66,67を有している。本例の磁性薄膜66は、封止樹脂62の上面全面及び外側面全面、ソルダレジスト層33の外側面全面、基板本体31の外側面全面、ソルダレジスト層35の外側面全面、磁性薄膜45Aの外側面全面、封止樹脂61の外側面全面及びソルダレジスト層13の外側面全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜67は、磁性薄膜66の表面(上面及び外側面)全面を被覆するように形成されている。磁性薄膜67の外側面は、例えば、基板本体11の外側面、ソルダレジスト層15の外側面及び磁性薄膜25Aの外側面と略面一に形成されている。
【0092】
磁性薄膜26,27,66,67に含まれる金属の種類や比率は、任意に設定することができる。但し、磁性薄膜26,66の組成と磁性薄膜27,67の組成とは異なる組成に設定される。例えば、磁性薄膜26,66としては、Ni−Znフェライト膜を好適に用いることができる。このような磁性薄膜26,66(Ni−Znフェライト膜)の組成は、電子部品41〜44(制御回路部及び高周波回路部)に応じて設定することが好ましい。また、磁性薄膜27,67としては、Mn−Znフェライト膜を好適に用いることができる。このような磁性薄膜27,67(Mn−Znフェライト膜)の組成は、電子部品21,22(電源回路部及び二次電池)に応じて設定することが好ましい。なお、磁性薄膜27,67(Mn−Znフェライト膜)よりも磁性薄膜26,66(Ni−Znフェライト膜)の抵抗率が高くなるように、磁性薄膜26,27,66,67の組成を設定することが好ましい。
【0093】
次に、
図12〜
図14に従って、上記電子装置1Aの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に電子装置1Aの各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0094】
まず、
図3〜
図6(a)に示した工程と同様の製造工程を実施することにより、
図12(a)に示した構造体を製造する。これにより、封止樹脂62の上面から、封止樹脂61,62、ソルダレジスト層13,33,35、基板本体31及び磁性薄膜45Aを厚さ方向に貫通する溝部62Xが形成される。但し、
図3(b)に示した工程と対応する工程では、ソルダレジスト層15の下面に、磁性薄膜26と磁性薄膜27とをこの順番で積層するとともに、ソルダレジスト層35の下面に磁性薄膜45Aを積層する。なお、磁性薄膜26,27,45Aは、例えばスピンスプレー法により形成することができる。
【0095】
このとき、磁性薄膜26を形成した後、プラズマ処理を施してから磁性薄膜27を形成することが好ましい。この場合、プラズマ処理により、磁性薄膜26の表面にOH基が生成され、そのOH基が上記スピンスプレー法において用いられる反応溶液に含まれる金属イオンと結合する。従って、上記プラズマ処理を行うことにより、磁性薄膜26と磁性薄膜27との間の密着性を向上させることができる。
【0096】
次に、
図12(b)に示す工程では、封止樹脂62の上面及び側面を被覆するように磁性薄膜66を形成する。例えば、封止樹脂62の上面全面を被覆するとともに、上記溝部62Xを充填する磁性薄膜66を形成する。この磁性薄膜66は、例えばスピンスプレー法を用いて形成することができる。
【0097】
続いて、
図13(a)に示す工程では、切断線B1及びその周辺領域において、
図12(b)に示した構造体の厚さ方向の中途位置まで研磨(ハーフカット)し、溝部66Xを形成する。本例では、切断線B1及びその周辺領域であって、溝部62Xの一部の領域において、溝部62Xに充填された磁性薄膜66を厚さ方向に貫通する溝部66Xを形成する。なお、溝部66Xの形成は、例えばダイシングブレードやスライサーを用いて行うことができる。
【0098】
次いで、
図13(b)に示す工程では、磁性薄膜66の上面及び側面を被覆するように磁性薄膜67を形成する。例えば、磁性薄膜66の上面全面を被覆するとともに、上記溝部66Xを充填する磁性薄膜67を形成する。この磁性薄膜67は、例えばスピンスプレー法を用いて形成することができる。なお、磁性薄膜67を形成する前に、磁性薄膜66に対してプラズマ処理を施してから磁性薄膜67を形成するようにしてもよい。この場合、プラズマ処理により、磁性薄膜66の表面にOH基が生成され、そのOH基が上記スピンスプレー法において用いられる反応溶液に含まれる金属イオンと結合する。従って、上記プラズマ処理を行うことにより、磁性薄膜66と磁性薄膜67との間の密着性を向上させることができる。
【0099】
以上の製造工程により、各領域A1に、電子装置1Aに対応する構造体が製造される。
そして、
図14に示す工程では、
図13(b)に示した構造体を、切断線B1に沿ってダイシングブレードにより切断することにより、個々の電子装置1Aに個片化する。すなわち、切断線B1上の磁性薄膜67、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25A(磁性薄膜26,27)を切断することにより、個々の電子装置1Aを個片化する。以上の製造工程を経て、複数の電子装置1Aを一括して製造することができる。本工程において、磁性薄膜67の外側面と、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25A(磁性薄膜26,27)の外側面とが略面一に形成される。
【0100】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(7)電子装置1Aの最表面に、組成の異なる複数の磁性薄膜66及び磁性薄膜67(磁性薄膜26及び磁性薄膜27)を積層するようにした。すなわち、電子装置1Aの最表面に、共鳴周波数の異なる複数の磁性薄膜66,67(磁性薄膜26,27)を積層するようにした。したがって、これら複数の磁性薄膜66,67(磁性薄膜26,27)によって、広い周波数帯域の電磁波(ノイズ)の透過を抑制することができる。すなわち、複数の磁性薄膜66,67(磁性薄膜26,27)によって、高周波ノイズ及び低周波ノイズの透過を好適に抑制することができる。このため、仮に、電子装置1Aの設置位置の近くに低周波ノイズの発生源がある場合であっても、外部から電子装置1A内に混入する低周波ノイズの量を大幅に低減することができる。
【0101】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、磁性薄膜65,65Aを、封止樹脂62、ソルダレジスト層33、基板本体31、ソルダレジスト層35、磁性薄膜45,45A、封止樹脂61及びソルダレジスト層13の外側面全面を被覆するように形成した。しかし、電子装置1,1Aの外側面となる磁性薄膜65,65Aの形成領域は特に限定されない。
【0102】
例えば
図15に示すように、磁性薄膜65を、封止樹脂62、ソルダレジスト層33、基板本体31、ソルダレジスト層35及び磁性薄膜45の外側面全面と、封止樹脂61の外側面の一部とを被覆するように形成してもよい。また、磁性薄膜65,65Aを、封止樹脂62の外側面の一部のみを被覆するように形成してもよい。あるいは、封止樹脂62の上面全面のみを被覆するように磁性薄膜65,65Aを形成するようにしてもよい。この場合には、封止樹脂62、ソルダレジスト層33、基板本体31、ソルダレジスト層35、磁性薄膜45,45A、封止樹脂61、ソルダレジスト層13、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25,25Aの外側面は外部に露出されることになる。
【0103】
・あるいは、
図16に示すように、封止樹脂62、ソルダレジスト層33、基板本体31、ソルダレジスト層35、磁性薄膜45,45A、封止樹脂61、ソルダレジスト層13、基板本体11、ソルダレジスト層15及び磁性薄膜25,25Aの外側面全面を被覆するように磁性薄膜65を形成するようにしてもよい。
【0104】
・上記第2実施形態では、磁性薄膜66の外側面全面を被覆するように磁性薄膜67を形成するようにした。これに限らず、例えば、磁性薄膜66の外側面の一部のみを被覆するように磁性薄膜67を形成するようにしてもよい。また、例えば、磁性薄膜66の外側面全面と、磁性薄膜66から露出する基板本体11の外側面の少なくとも一部を被覆するように磁性薄膜67を形成するようにしてもよい。
【0105】
・上記第2実施形態における磁性薄膜26と磁性薄膜27との間に、それら磁性薄膜26,27との密着性が良い絶縁膜を設けるようにしてもよい。
・上記第2実施形態における磁性薄膜66と磁性薄膜67との間に、それら磁性薄膜66,67との密着性が良い絶縁膜を設けるようにしてもよい。
【0106】
・上記第2実施形態における磁性薄膜26と磁性薄膜27との積層順序、及び磁性薄膜66と磁性薄膜67との積層順序は特に限定されない。例えば、ソルダレジスト層15の下面全面を被覆するように磁性薄膜27を形成し、その磁性薄膜27の下面全面を被覆するように磁性薄膜26を形成するようにしてもよい。
【0107】
・上記第2実施形態における磁性薄膜25A,65Aの層数は特に限定されない。例えば、3層以上の磁性薄膜が積層された構造を有する磁性薄膜25A,65Aに具体化してもよい。
【0108】
・上記各実施形態の磁性薄膜45,45Aを、磁性薄膜25A,65Aと同様に、複数層の磁性薄膜が積層された構造に変更してもよい。
・上記各実施形態における配線基板10,30に実装される電子部品の数及び種類は特に限定されない。また、電子部品の実装方法は特に限定されない。
【0109】
・上記各実施形態におけるソルダレジスト層13,33を省略してもよい。
・上記各実施形態におけるソルダレジスト層15を省略してもよい。この場合には、配線基板10の下面側に磁性薄膜25,25Aが形成される。例えば、基板本体11の下面に封止樹脂を形成し、その封止樹脂の下面に磁性薄膜25,25Aを形成するようにしてもよい。
【0110】
・上記各実施形態における磁性薄膜25,25Aを省略してもよい。
・上記各実施形態における封止樹脂61を省略してもよい。
・上記各実施形態における実装用パッドP1,P4、接続用パッドP2,P5及び外部接続用パッドP3の平面形状は、円形状に限らず、例えば矩形状や五角形形状などの多角形状であってもよく、半円状や楕円状であってもよい。
【0111】
・上記各実施形態では、はんだボール50の導電性コアボールとして銅コアボール51を用いるようにした。これに限らず、銅コアボール51の代わりに、例えば、金やニッケル等の銅以外の金属により形成された導電性コアボールを用いるようにしてもよいし、樹脂により形成された樹脂コアボールを用いるようにしてもよい。あるいは、はんだボール50の代わりに、導電性コアボールや樹脂コアボールを省略した、はんだボールを用いるようにしてもよい。
【0112】
・上記各実施形態では、半導体パッケージ2(配線基板10)と半導体パッケージ3(配線基板30)とを接続する接続端子としてはんだボール50を用いるようにした。これに限らず、例えば、柱状の接続端子である金属ポストや、スプリング性を有した接続端子(スプリング接続端子)等を上記接続端子として用いるようにしてもよい。
【0113】
・上記各実施形態では、2つの半導体パッケージ2,3(配線基板10,30)が接続部材(はんだボール50)を介して互いに積層された構造を有する電子装置1,1Aに具体化した。これに限らず、例えば、3つ以上の半導体パッケージが接続部材を介して互いに積層された構造を有する電子装置に具体化してもよい。