【実施例】
【0031】
以下、本発明による銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0032】
[実施例1]
銀イオンとして47.8g/Lの硝酸銀溶液452.3Lに、工業用のアンモニア水75Lを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。生成した銀のアンミン錯体溶液に濃度100g/Lの水酸化ナトリウム溶液200Lを加えてpH調整し、水350Lを加えて希釈し、還元剤として工業用のホルマリン24.2Lを加えた。その直後に、ステアリン酸のエマルジョン(ステアリン酸含量18%)360gを加えた。このようにして得られた銀のスラリーをろ過し、水洗した後、乾燥して銀粉21.6kgを得た。この銀粉をヘンシェルミキサ(高速攪拌機)で表面平滑化処理した後、分級して11μmより大きい銀の凝集体を除去した。
【0033】
このようにして得られた略球状の銀粉について、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。
レーザー回折法による粒度分布は、銀粉0.3gをイソプロピルアルコール30mLに添加し、出力50Wの超音波洗浄器により5分間分散させた後、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製の9320HRA)を用いて測定した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.0μm、D
90=3.1μmであった。
【0034】
BET比表面積は、銀粉を60℃で10分間脱気した後、比表面積測定装置(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製のモノソーブ)を用いて、窒素吸着によるBET1点法で測定した。その結果、BET比表面積は0.49m
2/gであった。
【0035】
タップ密度は、銀粉15gを計量して20mLの試験管に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、タップ密度=試料質量(15g)/タッピング後の試料体積(cm
3)から算出した。その結果、タップ密度は5.8g/cm
3であった。
【0036】
強熱減量値(Ig−loss)は、銀粉3gを秤量(w1)して磁性るつぼに入れ、電気炉(アドバンテック社製のKM−1302)により800℃で30分強熱した後、冷却し、再度秤量(w2)することにより、強熱減量値(%)=(w1−w2)×100/w1から求めた。その結果、強熱減量値は0.65%であった。
【0037】
また、90.0質量%のヘキサデシルアミン(東京化成工業株式会社製)60.0gをエタノール(和光純薬株式会社製の一級試薬)54.0gに溶解させたヘキサデシルアミン溶液(ヘキサデシルアミン濃度47.4質量%)114.0gを用意し、得られた銀粉15kgをヘンシェルミキサにより2分間撹拌して予備表面処理を行った後、この銀粉に上記のヘキサデシルアミン溶液63.33g(銀粉に対するヘキサデシルアミン0.2質量%)を添加し、撹拌・混合してアミンによる表面処理を行った後、分級して40μmより大きい銀の凝集体を除去した。
【0038】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、上記のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.9μm、D
90=2.9μmであり、タップ密度は5.0g/cm
3であった。また、強熱減量値は0.86%であり、アミン処理前の銀粉の強熱減量値より0.21%増加していた。
【0039】
また、アミン処理後の銀粉を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、略球状の銀粉であることが観察された。また、アミン処理後の銀粉2gとn−ヘキサン5mLを10mLのバイアルに入れて1分間振とうした後、20分間超音波処理し、銀粉の表面を被覆している有機物をヘキサン層に移して分取し、この分取したヘキサン抽出液をガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)(アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)社製)により成分分析した。また、極性が高いため感度が低いステアリン酸の定量分析を行うために、カルボキシル基をメチル化して定量分析を行った。すなわち、上記のヘキサン抽出液1mLを10mLのバイアルに入れて100μL未満に濃縮し、メチル化試薬(塩酸とメタノールの混合液)1mLを添加して、50℃で30分間加熱してステアリン酸をメチル化した後、放冷し、純水1mLとn−ヘキサン2mLを加えて振とうし、ヘキサン層を分取し、この分取したヘキサン抽出液を上記のガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)により成分分析した。これらの成分分析の結果、ステアリン酸とヘキサデシルアミンの他に、(ステアリン酸とヘキサデシルアミンの反応による)ヘキサデカンアミドが検出された。このように、表面がステアリン酸で被覆された銀粉をヘキサデシルアミンで表面処理することにより、(ステアリン酸とヘキサデシルアミンの反応による)ヘキサデカンアミドが形成されていることから、銀粉の表面にステアリン酸(の層)が形成され、最表層にヘキサデシルアミン(の層)が形成され、これら(の層)の間に(ステアリン酸とヘキサデシルアミンの反応による)ヘキサデカンアミド(の層)が形成されているのがわかった。
【0040】
また、アミン処理後の銀粉89.9質量%と、エチルセルロース樹脂(和光純薬工業株式会社製)0.6質量%と、溶剤(JMC株式会社製のテキサノール)6.5質量%と、添加剤としてガラスフリット(奥野製薬工業株式会社製のG3−5754(Pb系))1.0質量%および酸化亜鉛(和光純薬工業株式会社製)2.0質量%を、自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎V−mini/Mini Dappo)により混合(予備混練)した後、3本ロール(オットハーマン社製のEXAKT80S)により混練することにより、導電性ペーストを得た。
【0041】
このようにして得られた導電性ペーストの粘度をE型粘度計(ブルックフィールド社製のDV−III Ultra)により25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmで測定したところ、それぞれ2460Pa・s、393Pa・s、104Pa・sおよび42Pa・sであり、5rpmで測定した粘度に対する0.1rpmで測定した粘度の比(チクソ比(Ti値)=0.1rpmにおける粘度/5rpmにおける粘度)(以下、このTi値を「Ti1」という)は24、10rpmで測定した粘度に対する0.1rpmで測定した粘度の比(チクソ比(Ti値)=0.1rpmにおける粘度/10rpmにおける粘度)(以下、このTi値を「Ti2」という)は59、5rpmで測定した粘度に対する1rpmで測定した粘度の比(チクソ比(Ti値)=1rpmにおける粘度/5rpmにおける粘度)(以下、このTi値を「Ti3」という)は3.8であった。
【0042】
また、得られた導電性ペーストの各回転数における粘度の測定値から、横軸をずり速度D(1/s)の1/2乗とし、縦軸をずり応力τ(=粘度η×ずり速度D)(Pa・s)の1/2乗としてプロットすると、カッソン(Casson)の式(τ
1/2=η∞
1/2×D
1/2+τ0
1/2)(η∞はカッソン粘度(無限大のずり応力をかけたときの粘度(極限粘度)、τ0はカッソン降伏値)から、傾きがカッソン粘度η∞の1/2乗になり、切片がカッソン降伏値τ0の1/2乗になるので、このプロットにより求めたカッソン粘度η∞の1/2乗とカッソン降伏値τ0の1/2乗から、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出したところ、それぞれ3Pa、567Pa・sであった。
【0043】
次に、このようにして得られた導電性ペーストを、96%アルミナ基板上に、スクリーン印刷機(マイクロテック社製のMT−320T)を用いて、スキージ圧180MPa、印刷速度300mm/secで、幅50μm×長さ15mmの塗膜になるようにスクリーン印刷して、室温で乾燥させた。 この塗膜の線幅を超深度表面形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製のVK−9700)により測定したところ、66.7μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は16.7μm、ダレ幅の割合は33.4%(=16.7μm×100/50μm)、塗膜の断面積は752.2μm
2であった。また、塗膜の厚さを表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製のSE−30D)により測定したところ、20.1μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.30(=20.1μm/66.7μm)であった。
【0044】
また、乾燥した塗膜を850℃で10分間加熱処理して導電膜を作製し、この導電膜の抵抗をデジタルマルチメータ(FLUKE8840A)により測定したところ、0.77Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.02(mΩ/μm
2)(=770(mΩ)/752.2(μm
2))、断面積/線幅は11.3μmであった。
【0045】
[実施例2]
実施例1と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用し、銀粉に添加するヘキサデシルアミン溶液の量を104.50g(銀粉に対するヘキサデシルアミン0.33質量%)とした以外は、実施例1と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0046】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結 果、D
10=1.1μm、D
50=1.9μm、D
90=3.0μmであり、タップ密度は4.6g/cm
3であった。また、強熱減量値は1.03%であり、アミン処理前の銀粉の強熱減量値より0.38%増加していた。
【0047】
また、アミン処理後の銀を実施例1と同様の方法により分析したところ、銀粉の表面にステアリン酸が形成され、最表層にヘキサデシルアミンが形成され、これらの間にヘキサデカンアミドが形成されているのがわかった。
【0048】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2700Pa・s、405Pa・s、104Pa・sおよび44.1Pa・sであり、Ti1は26、Ti2は61、Ti3は3.9であった。また、カッソン粘度η∞は3Pa、カッソン降伏値τ0は604Pa・sであった。
【0049】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は68.5μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は18.5μm、ダレ幅の割合は37.0%(=18.5μm×100/50μm)、塗膜の断面積は691.2μm
2であった。また、塗膜の厚さは15.2μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.22(=15.2μm/68.5μm)、断面積/線幅は10.1μmであった。
【0050】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.71Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.03(mΩ/μm
2)(=710(mΩ)/691.2(μm
2))であった。
【0051】
[実施例3]
実施例1と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用し、銀粉に添加するヘキサデシルアミン溶液の量を158.33g(銀粉に対するヘキサデシルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例1と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0052】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.9μm、D
90=3.0μmであり、タップ密度は4.8g/cm
3であった。また、強熱減量値は1.22%であり、アミン処理前の銀粉の強熱減量値より0.57%増加していた。
【0053】
また、アミン処理後の銀粉を実施例1と同様の方法により分析したところ、銀粉の表面にステアリン酸が形成され、最表層にヘキサデシルアミンが形成され、これらの間にヘキサデカンアミドが形成されているのがわかった。
【0054】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2820Pa・s、405Pa・s、106Pa・sおよび45.6Pa・sであり、Ti1は27、Ti2は62、Ti3は3.8であった。また、カッソン粘度η∞は3Pa、カッソン降伏値τ0は616Pa・sであった。
【0055】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は66.7μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は16.7μm、ダレ幅の割合は33.4%(=16.7μm×100/50μm)、塗膜の断面積は522.4μm
2であった。また、塗膜の厚さは15.6μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.23(=15.6μm/66.7μm)、断面積/線幅は7.8μmであった。
【0056】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.79Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.51(mΩ/μm
2)であった。
【0057】
[比較例1]
実施例1と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1190Pa・s、381Pa・s、178Pa・sおよび69.9Pa・sであり、Ti1は7、Ti2は17、Ti3は2.1であった。また、カッソン粘度η∞は33Pa、カッソン降伏値τ0は289Pa・sであった。
【0058】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は72.4μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は22.4μm、ダレ幅の割合は44.8%(=22.4μm×100/50μm)、塗膜の断面積は577.3μm
2であった。また、塗膜の厚さは14.6μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.20(=14.6μm/72.4μm)、断面積/線幅は8.0μmであった。
【0059】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜の作製を試みたが、良好な塗膜でなかったため、塗膜の断線により、導電膜の抵抗を測定することができなかった。
【0060】
[比較例2]
ステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)223.8gをエタノール225.0gに溶解させたステアリン酸溶液とヘキサデシルアミン250.0gをエタノール225.0gに溶解させたヘキサデシルアミン溶液とを混合して得られたステアリン酸アミド溶液を用意し、このステアリン酸アミド溶液78.3gをヘキサデシルアミン溶液に代えて使用した以外は、実施例2と同様の方法により、表面処理を行った銀粉を作製した。
【0061】
このようにしてアミド処理を行った銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.9μm、D
90=2.9μmであり、タップ密度は4.5g/cm
3であった。また、強熱減量値は0.93%であり、アミド処理前の銀粉の強熱減量値より0.28%増加していた。
【0062】
また、アミド処理後の銀粉を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミド処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2380Pa・s、433Pa・s、132Pa・sおよび67.5Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は35、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は13Pa、カッソン降伏値τ0は500Pa・sであった。
【0063】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は72.4μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は22.4μm、ダレ幅の割合は44.8%(=22.4μm×100/50μm)、塗膜の断面積は653.9μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.2μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.24(=17.2μm/72.4μm)、断面積/線幅は9.0μmであった。
【0064】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜の作製を試みたが、良好な塗膜でなかったため、塗膜の断線により、導電膜の抵抗を測定することができなかった。
【0065】
[比較例3]
銀イオンとして0.2モル/Lを含む硝酸銀水溶液496.8Lに、工業用のアンモニア水35Lを加えて、銀アンミン錯体溶液を生成した。この銀アンミン錯体溶液に水465Lを加えて希釈した後に還元剤としてヒドラジン80%水溶液3.2Lを添加して得られた銀のスラリーをろ過し、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。
【0066】
このようにして得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=6.9μm、D
50=18.6μm、D
90=39.5μmであった。また、BET比表面積は0.30m
2/g、タップ密度は4.7g/cm
3、強熱減量値は0.01%であった。
【0067】
また、得られた銀粉を使用した以外は、実施例2と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=3.2μm、D
50=8.3μm、D
90=19.1μmであり、タップ密度は4.6g/cm
3であった。また、強熱減量値は0.36%であり、アミン処理前の銀粉の強熱減量値より0.35%増加していた。
【0068】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ953Pa・s、425Pa・s、172Pa・sおよび77.4Pa・sであり、Ti1は5.5、Ti2は12、Ti3は2.5であった。また、カッソン粘度η∞は39Pa、カッソン降伏値τ0は257Pa・sであった。
【0069】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は64.8μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は14.8μm、ダレ幅の割合は29.6%(=14.8μm×100/50μm)、塗膜の断面積は827.0μm
2であった。また、塗膜の厚さは21.3μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.33(=21.3μm/64.8μm)、断面積/線幅は12.8μmであった。
【0070】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜の作製を試みたが、良好な塗膜でなかったため、塗膜の断線により、導電膜の抵抗を測定することができなかった。
【0071】
[比較例4]
ステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)223.8gをエタノール225.0gに溶解させたステアリン酸溶液とヘキサデシルアミン250.0gをエタノール225.0gに溶解させたヘキサデシルアミン溶液を混合して得られたステアリン酸アミド溶液を用意し、このステアリン酸アミド溶液78.3gをヘキサデシルアミン溶液に代えて使用した以外は、比較例3と同様の方法により、表面処理を行った銀粉を作製した。
【0072】
このようにしてアミド処理を行った銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、タップ密度および強熱減量値を算出した。その結果、D
10=2.7μm、D
50=7.1μm、D
90=17.0μmであり、タップ密度は4.5g/cm
3であった。また、強熱減量値は0.93%であり、アミド処理前の銀粉の強熱減量値より0.33%増加していた。
【0073】
また、アミド処理後の銀粉を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミド処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1670Pa・s、380Pa・s、133Pa・sおよび75.4Pa・sであり、Ti1は13、Ti2は22、Ti3は2.9であった。また、カッソン粘度η∞は25Pa、カッソン降伏値τ0は337Pa・sであった。
【0074】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は70.5μmであり、本来の線幅(50μm)との差(ダレ幅)は20.5μm、ダレ幅の割合は41.0%(=20.5μm×100/50μm)、塗膜の断面積は882.7μmであった。また、塗膜の厚さは13.5μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.19(=13.5μm/70.5μm)
2、断面積/線幅は12.5μmであった。
【0075】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜の作製を試みたが、良好な塗膜でなかったため、塗膜の断線により、導電膜の抵抗を測定することができなかった。
【0076】
[比較例5]
比較例3と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用して、実施例1と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ198Pa・s、333Pa・s、169Pa・sおよび48.0Pa・sであり、Ti1は1.5、Ti2は4、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は39Pa、カッソン降伏値τ0は125Pa・sであった。
【0077】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜の形成と導電膜の作製を試みたが、良好な線状の塗膜を形成することができなかったため、塗膜の線幅や厚さを測定することができず、導電膜の抵抗を測定することができなかった。
【0078】
これらの実施例1〜3および比較例1〜5の結果を表1〜表5に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
[実施例4]
銀イオンとして21.4g/Lの硝酸銀溶液502.7Lに、工業用のアンモニア水45Lを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。生成した銀のアンミン錯体溶液に濃度100g/Lの水酸化ナトリウム溶液8.8Lを加えてpH調整し、水462Lを加えて希釈し、還元剤として工業用のホルマリン48Lを加えた。その直後に、ステアリン酸のエマルジョン(ステアリン酸含量16%)121gを加えた。このようにして得られた銀のスラリーをろ過し、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉をヘンシェルミキサ(高速攪拌機)で表面平滑化処理した後、分級して11μmより大きい銀の凝集体を除去した。
【0085】
このようにして得られた略球状の銀粉について、実施例1と同様の方法により、粒度分布およびBET比表面積を測定するとともに、タップ密度を算出したところ、D
10=1.2μm、D
50=1.9μm、D
90=3.1μmであり、BET比表面積は0.40m
2/g、タップ密度は6.0g/cm
3であった。
【0086】
このようにして得られた銀粉(アミン処理前の銀粉)120gを小型粉砕器(サンプルミル)(協立理工株式会社製)に投入して30秒間予備粉砕し、脂肪族アミンとしてイソブチルアミン(広栄化学工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するイソブチルアミン0.05質量%)の半量を添加して30秒間解砕した後、残りの半量のイソブチルアミンを添加して30秒間解砕することによって、アミンによる表面処理を行った。
【0087】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度(TAP)を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.9μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.41m
2/g、タップ密度は5.6g/cm
3であった。
【0088】
また、アミン処理後の銀粉89.4質量%と、エチルセルロース樹脂(和光純薬工業株式会社製)0.6質量%と、テキサノール(JMC株式会社製)とブチルカルビトールアセテート(BCA)(和光純薬工業株式会社製)を1:1(それぞれ3.5質量%)で混合した溶剤と、添加剤としてガラスフリット(奥野製薬工業株式会社製のG3−5754(Pb系))1.0質量%および酸化亜鉛(和光純薬工業株式会社製)2.0質量%を、自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎V−mini/Mini Dappo)により混合(予備混練)した後、3本ロール(オットハーマン社製のEXAKT80S)により混練することにより、導電性ペーストを得た。
【0089】
このようにして得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2020Pa・s、369Pa・s、122Pa・sおよび58Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は35、Ti3は3.0であった。また、カッソン粘度η∞は12Pa、カッソン降伏値τ0は427Pa・sであった。
【0090】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例1と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを超深度表面形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製のVK−9700)により測定した。その結果、塗膜の線幅は85.8μmであり、塗膜の断面積は780μm
2であった。また、塗膜の厚さは16.1μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.19(=16.1μm/85.8μm)、断面積/線幅は9.1μmであった。
【0091】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.826Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.06(mΩ/μm
2)(=826(mΩ)/780(μm
2))であった。
【0092】
[実施例5]
銀粉に添加するイソブチルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するイソブチルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0093】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.40m
2/g、タップ密度は6.0g/cm
3であった。
【0094】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1720Pa・s、310Pa・s、94Pa・sおよび53Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は32、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は12Pa、カッソン降伏値τ0は346Pa・sであった。
【0095】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は80.1μmであり、塗膜の断面積は742μm
2であった。また、塗膜の厚さは15.6μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.19(=15.6μm/80.1μm)、断面積/線幅は9.3μmであった。
【0096】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.902Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.22(mΩ/μm
2)(=902(mΩ)/742(μm
2))であった。
【0097】
[実施例6]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、オクチルアミン(花王株式会社製のファーミン08D)0.06g(銀粉に対するオクチルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0098】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.9μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.42m
2/g、タップ密度は5.2g/cm
3であった。
【0099】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.4質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1830Pa・s、341Pa・s、106Pa・sおよび48Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は38、Ti3は3.2であった。また、カッソン粘度η∞は9Pa、カッソン降伏値τ0は404Pa・sであった。
【0100】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は72.4μmであり、塗膜の断面積は707μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.6μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.24(=17.6μm/72.4μm)、断面積/線幅は9.8μmであった。
【0101】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.665Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.941(mΩ/μm
2)(=665(mΩ)/707(μm
2))であった。
【0102】
[実施例7]
銀粉に添加するオクチルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するオクチルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例6と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0103】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.36m
2/g、タップ密度は5.0g/cm
3であった。
【0104】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を91.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.7質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2100Pa・s、357Pa・s、117Pa・sおよび56Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は38、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は11Pa、カッソン降伏値τ0は435Pa・sであった。
【0105】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は74.3μmであり、塗膜の断面積は690μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.5μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.24(=17.5μm/74.3μm)、断面積/線幅は9.3μmであった。
【0106】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.714Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.03(mΩ/μm
2)(=714(mΩ)/690(μm
2))であった。
【0107】
[実施例8]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、デシルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するデシルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0108】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.37m
2/g、タップ密度は4.5g/cm
3であった。
【0109】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.2質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1920Pa・s、357Pa・s、114Pa・sおよび52Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は37、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は10Pa、カッソン降伏値τ0は420Pa・sであった。
【0110】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は80.1μmであり、塗膜の断面積は679μm
2であった。また、塗膜の厚さは16.8μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.21(=16.8μm/80.1μm)、断面積/線幅は8.5μmであった。
【0111】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.635Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.935(mΩ/μm
2)(=635(mΩ)/679(μm
2))であった。
【0112】
[実施例9]
銀粉に添加するデシルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するデシルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例8と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0113】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=5.5μmであり、BET比表面積は0.36m
2/g、タップ密度は4.3g/cm
3であった。
【0114】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を91.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.7質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2300Pa・s、389Pa・s、120Pa・sおよび57Pa・sであり、Ti1は19、Ti2は40、Ti3は3.2であった。また、カッソン粘度η∞は10Pa、カッソン降伏値τ0は486Pa・sであった。
【0115】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は732μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.8μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.23(=17.8μm/76.2μm)、断面積/線幅は9.6μmであった。
【0116】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.796Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.09(mΩ/μm
2)(=796(mΩ)/732(μm
2))であった。
【0117】
[実施例10]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、ドデシルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するドデシルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0118】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.3μm、D
50=1.9μm、D
90=3.1μm、D
max=11.0μmであり、BET比表面積は0.46m
2/g、タップ密度は4.6g/cm
3であった。
【0119】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.8質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.3質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1710Pa・s、329Pa・s、110Pa・sおよび52Pa・sであり、Ti1は16、Ti2は33、Ti3は3.0であった。また、カッソン粘度η∞は12Pa、カッソン降伏値τ0は365Pa・sであった。
【0120】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は78.2μmであり、塗膜の断面積は725μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.5μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.22(=17.5μm/78.2μm)、断面積/線幅は9.3μmであった。
【0121】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.695Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.959(mΩ/μm
2)(=695(mΩ)/725(μm
2))であった。
【0122】
[実施例11]
銀粉に添加するドデシルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するドデシルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例10と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0123】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.9μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.35m
2/g、タップ密度は4.1g/cm
3であった。
【0124】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を91.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.7質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2220Pa・s、389Pa・s、117Pa・sおよび50Pa・sであり、Ti1は19、Ti2は45、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は7Pa、カッソン降伏値τ0は500Pa・sであった。
【0125】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は753μm
2であった。また、塗膜の厚さは18.9μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.25(=18.9μm/76.2μm)、断面積/線幅は9.9μmであった。
【0126】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.618Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.821(mΩ/μm
2)(=618(mΩ)/753(μm
2))であった。
【0127】
[実施例12]
脂肪酸としてイソブチルアミンに代えて、ヘキサデシルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するヘキサデシルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0128】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.7μm、D
90=2.9μm、D
max=5.5μmであり、BET比表面積は0.40m
2/g、タップ密度は5.4g/cm
3であった。
【0129】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.8質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.3質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1940Pa・s、369Pa・s、114Pa・sおよび54Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は36、Ti3は3.2であった。また、カッソン粘度η∞は11Pa、カッソン降伏値τ0は425Pa・sであった。
【0130】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は743μm
2であった。また、塗膜の厚さは18.3μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.24(=18.3μm/76.2μm)、断面積/線幅は9.7μmであった。
【0131】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.748Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.01(mΩ/μm
2)(=748(mΩ)/743(μm
2))であった。
【0132】
[実施例13]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、ヘキサデシルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するヘキサデシルアミン0.5質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0133】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.36m
2/g、タップ密度は4.3g/cm
3であった。
【0134】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.6質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2380Pa・s、345Pa・s、100Pa・sおよび48Pa・sであり、Ti1は24、Ti2は50、Ti3は3.5であった。また、カッソン粘度η∞は6Pa、カッソン降伏値τ0は488Pa・sであった。
【0135】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は70.5μmであり、塗膜の断面積は858μm
2であった。また、塗膜の厚さは22.0μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.31(=22.0μm/70.5μm)、断面積/線幅は12.2μmであった。
【0136】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.795Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.927(mΩ/μm
2)(=795(mΩ)/858(μm
2))であった。
【0137】
[実施例14]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、オクタデシルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するオクタデシルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0138】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.7μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.42m
2/g、タップ密度は5.8g/cm
3であった。
【0139】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.6質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1870Pa・s、333Pa・s、106Pa・sおよび50Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は37、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は10Pa、カッソン降伏値τ0は398Pa・sであった。
【0140】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は670μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.5μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.23(=17.5μm/76.2μm)、断面積/線幅は8.8μmであった。
【0141】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.649Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.969(mΩ/μm
2)(=649(mΩ)/670(μm
2))であった。
【0142】
[実施例15]
銀粉に添加するオクタデシルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するオクタデシルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例14と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0143】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.3μm、D
50=2.0μm、D
90=3.2μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.40m
2/g、タップ密度は4.4g/cm
3であった。
【0144】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.9質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2740Pa・s、381Pa・s、114Pa・sおよび50Pa・sであり、Ti1は24、Ti2は55、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は5Pa、カッソン降伏値τ0は570Pa・sであった。
【0145】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は64.8μmであり、塗膜の断面積は732μm
2であった。また、塗膜の厚さは19.6μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.30(=19.6μm/64.8μm)、断面積/線幅は11.3μmであった。
【0146】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.697Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.952(mΩ/μm
2)(=697(mΩ)/732(μm
2))であった。
【0147】
[実施例16]
脂肪族アミンとしてイソブチルアミンに代えて、オレイルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.06g(銀粉に対するオレイルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0148】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.8μm、D
90=2.9μm、D
max=5.5μmであり、BET比表面積は0.39m
2/g、タップ密度は5.2g/cm
3であった。
【0149】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を91.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.7質量%とした以外は、銀粉の量を90.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.9質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2060Pa・s、381Pa・s、121Pa・sおよび50Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は41、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は9Pa、カッソン降伏値τ0は467Pa・sであった。
【0150】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は74.3μmであり、塗膜の断面積は674μm
2であった。また、塗膜の厚さは16.9μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.23(=16.9μm/74.3μm)、断面積/線幅は9.1μmであった。
【0151】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.668Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.991(mΩ/μm
2)(=668(mΩ)/674(μm
2))であった。
【0152】
[実施例17]
銀粉に添加するオレイルアミン溶液の量を0.6g(銀粉に対するオレイルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例16と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0153】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.25m
2/g、タップ密度は4.3g/cm
3であった。
【0154】
また、アミン処理後の銀13mgをパイロライザ(フロンティア・ラボ株式会社製のEGA/PY3030D)により460℃に加熱して、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)(アジレント・テクノロジー株式会社製の7890A/5975C)により成分分析を行ったところ、
図1に示すように、パルミチン酸(分子量256)、ステアリン酸(分子量284)、オレイルアミン(分子量267)、オレアニトリル(分子量263)及び分子量533の成分由来のピークが確認された。分子量533の成分は、ステアリン酸とオレイルアミンが縮合反応し、水分子(分子量18)が抜けたピークであると推察され、ステアリン酸とオレイルアミンによってアミドが形成されていることがわかった。なお、パルミチン酸はステアリン酸の試薬由来の不純物であり、オレアニトリルはオレイルアミンの試薬由来の不純物であると考えられる。
【0155】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.1質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2340Pa・s、377Pa・s、110Pa・sおよび47Pa・sであり、Ti1は21、Ti2は50、Ti3は3.4であった。また、カッソン粘度η∞は5Pa、カッソン降伏値τ0は515Pa・sであった。
【0156】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は70.5μmであり、塗膜の断面積は800μm
2であった。また、塗膜の厚さは22.4μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.32(=22.4μm/70.5μm)、断面積/線幅は11.3μmであった。
【0157】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.722Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.903(mΩ/μm
2)(=722(mΩ)/800(μm
2))であった。
【0158】
[実施例18]
脂肪族アミンとしてイソブチルルアミンに代えて、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン(2EHOPA)(広栄化学工業株式会社製)0.06g(銀粉に対する2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン0.05質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0159】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.8μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.36m
2/g、タップ密度は6.1g/cm
3であった。
【0160】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.4質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2260Pa・s、393Pa・s、112Pa・sおよび56Pa・sであり、Ti1は20、Ti2は41、Ti3は3.5であった。また、カッソン粘度η∞は9Pa、カッソン降伏値τ0は485Pa・sであった。
【0161】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は711μm
2であった。また、塗膜の厚さは16.9μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.22(=16.9μm/76.2μm)、断面積/線幅は9.3μmであった。
【0162】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.766Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.08(mΩ/μm
2)(=766(mΩ)/711(μm
2))であった。
【0163】
[実施例19]
銀粉に添加する2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン(2EHOPA)溶液の量を0.6g(銀粉に対する2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン0.5質量%)とした以外は、実施例18と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0164】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=2.9μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.27m
2/g、タップ密度は4.3g/cm
3であった。
【0165】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.1質量%とした以外は、銀粉の量を91.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.7質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1670Pa・s、306Pa・s、96Pa・sおよび46Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は37、Ti3は3.2であった。また、カッソン粘度η∞は9Pa、カッソン降伏値τ0は359Pa・sであった。
【0166】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は70.5μmであり、塗膜の断面積は806μm
2であった。また、塗膜の厚さは20.1μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.29(=20.1μm/70.5μm)、断面積/線幅は11.4μmであった。
【0167】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.759Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.942(mΩ/μm
2)(=759(mΩ)/806(μm
2))であった。
【0168】
[実施例20]
脂肪族アミンとしてヘキサデシルアミンに代えて3−ラウリルオキシプロピルアミン(広栄化学工業株式会社製)0.06g(銀粉に対する3−ラウリルオキシプロピルアミン0.5質量%)を使用した以外は、実施例4と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0169】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.3μm、D
50=2.0μm、D
90=3.0μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.34m
2/g、タップ密度は4.8g/cm
3であった。
【0170】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.4質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.0質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1720Pa・s、294Pa・s、94Pa・sおよび51Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は34、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は11Pa、カッソン降伏値τ0は340Pa・sであった。
【0171】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は82.0μmであり、塗膜の断面積は693μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.3μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.21(=17.3μm/82.0μm)、断面積/線幅は8.4μmであった。
【0172】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.773Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.12(mΩ/μm
2)(=773(mΩ)/693(μm
2))であった。
【0173】
[比較例6]
実施例1と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.9μm、D
90=3.1μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.40m
2/g、タップ密度は6.5g/cm
3であった。
【0174】
上記の銀粉を使用して、銀粉の量を88.8質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.8質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1510Pa・s、357Pa・s、110Pa・sおよび59Pa・sであり、Ti1は14、Ti2は26、Ti3は3.2であった。また、カッソン粘度η∞は16Pa、カッソン降伏値τ0は335Pa・sであった。
【0175】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は85.8μmであり、塗膜の断面積は700μm
2であった。また、塗膜の厚さは14.8μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.17(=14.8μm/85.8μm)、断面積/線幅は8.2μmであった。
【0176】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、1.009Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.44(mΩ/μm
2)(=1009(mΩ)/700(μm
2))であった。
【0177】
[比較例7]
ステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)3.8gとオレイルアミン5.0gを熱風式恒温槽により60℃で60分間加熱して得られたステアリン酸アミド溶液を用意し、このステアリン酸アミド溶液0.6g(銀粉に対するステアリン酸アミド0.5質量%)をヘキサデシルアミン溶液に代えて使用した以外は、実施例4と同様の方法により、表面処理を行った銀粉を作製した。
【0178】
このようにしてアミド処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=1.8μm、D
90=3.2μm、D
max=6.5μmであり、BET比表面積は0.29m
2/g、タップ密度は3.6g/cm
3であった。
【0179】
また、アミド処理後の銀粉を使用して、銀粉の含有量を89.2質量%、テキサノールとBCAの含有量をそれぞれ3.6質量%にした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ1670Pa・s、306Pa・s、106Pa・sおよび54Pa・sであり、Ti1は16、Ti2は31、Ti3は2.9であった。また、カッソン粘度η∞は14Pa、カッソン降伏値τ0は336Pa・sであった。
【0180】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は76.2μmであり、塗膜の断面積は658μm
2であった。また、塗膜の厚さは15.2μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.20(=15.2μm/76.2μm)、断面積/線幅は8.6μmであった。
【0181】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ1.138Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.73(mΩ/μm
2)(=1・138(mΩ)/658(μm
2))であった。
【0182】
これらの実施例4〜20および比較例6〜7の結果を表6〜表8に示す。
【0183】
【表6】
【0184】
【表7】
【0185】
【表8】
【0186】
[実施例21]
銀イオンとして21.4g/Lの硝酸銀溶液502.7Lに、工業用のアンモニア水45Lを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。生成した銀のアンミン錯体溶液に濃度100g/Lの水酸化ナトリウム溶液8.8Lを加えてpH調整し、水462Lを加えて希釈し、還元剤として工業用のホルマリン48Lを加えた。その直後に、オレイン酸19.4gを加えた。このようにして得られた銀のスラリーをろ過し、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉をヘンシェルミキサ(高速攪拌機)で表面平滑化処理した後、分級して11μmより大きい銀の凝集体を除去した。
【0187】
このようにして得られた略球状の銀粉について、実施例1と同様の方法により、粒度分布およびBET比表面積を測定するとともに、タップ密度を算出したところ、D
10=1.2μm、D
50=2.3μm、D
90=3.5μmであり、BET比表面積は0.41m
2/g、タップ密度は5.0g/cm
3であった。
【0188】
このようにして得られた銀粉を使用して、実施例5と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0189】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.0μm、D
90=3.3μm、D
max=9.3μmであり、BET比表面積は0.37m
2/g、タップ密度は5.0g/cm
3であった。
【0190】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.4質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.0質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2460Pa・s、401Pa・s、129Pa・sおよび55Pa・sであり、Ti1は19、Ti2は45、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は8.5Pa、カッソン降伏値τ0は529Pa・sであった。
【0191】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は62.9μmであり、塗膜の断面積は662μm
2であった。また、塗膜の厚さは17.5μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.28(=17.5μm/62.9μm)、断面積/線幅は10.5μmであった。
【0192】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.754Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.14(mΩ/μm
2)(=754(mΩ)/662(μm
2))であった。
【0193】
[実施例22]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0194】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=2.3μm、D
90=3.8μm、D
max=9.3μmであり、BET比表面積は0.35m
2/g、タップ密度は4.3g/cm
3であった。
【0195】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.9質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2200Pa・s、314Pa・s、108Pa・sおよび51Pa・sであり、Ti1は17、Ti2は38、Ti3は2.9であった。また、カッソン粘度η∞は8.7Pa、カッソン降伏値τ0は429Pa・sであった。
【0196】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は64.3μmであり、塗膜の断面積は721μm
2であった。また、塗膜の厚さは22.3μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.35(=22.3μm/64.3μm)、断面積/線幅は11.2μmであった。
【0197】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.662Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.918(mΩ/μm
2)(=662(mΩ)/721(μm
2))であった。
【0198】
[実施例23]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例9と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0199】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.1μm、D
90=3.8μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.36m
2/g、タップ密度は4.2g/cm
3であった。
【0200】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.9質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2420Pa・s、413Pa・s、121Pa・sおよび65Pa・sであり、Ti1は20、Ti2は37、Ti3は3.4であった。また、カッソン粘度η∞は11.8Pa、カッソン降伏値τ0は495Pa・sであった。
【0201】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は64.8μmであり、塗膜の断面積は715μm
2であった。また、塗膜の厚さは21.0μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.32(=21.0μm/64.8μm)、断面積/線幅は11.0μmであった。
【0202】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.756Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.06(mΩ/μm
2)(=756(mΩ)/715(μm
2))であった。
【0203】
[実施例24]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例11と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0204】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.0μm、D
90=3.3μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.35m
2/g、タップ密度は4.1g/cm
3であった。
【0205】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.1質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2060Pa・s、325Pa・s、100Pa・sおよび52Pa・sであり、Ti1は21、Ti2は40、Ti3は3.3であった。また、カッソン粘度η∞は8.9Pa、カッソン降伏値τ0は413Pa・sであった。
【0206】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は62.8μmであり、塗膜の断面積は672μm
2であった。また、塗膜の厚さは18.9μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.30(=18.9μm/62.8μm)、断面積/線幅は10.7μmであった。
【0207】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.578Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.860(mΩ/μm
2)(=578(mΩ)/672(μm
2))であった。
【0208】
[実施例25]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例13と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0209】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=2.1μm、D
90=3.8μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.32m
2/g、タップ密度は4.4g/cm
3であった。
【0210】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を89.6質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.4質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2740Pa・s、421Pa・s、117Pa・sおよび50Pa・sであり、Ti1は23、Ti2は55、Ti3は3.6であった。また、カッソン粘度η∞は4Pa、カッソン降伏値τ0は603Pa・sであった。
【0211】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は66.7μmであり、塗膜の断面積は730μm
2であった。また、塗膜の厚さは20.1μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.30(=20.1μm/66.7μm)、断面積/線幅は10.9μmであった。
【0212】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.706Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.967(mΩ/μm
2)(=706(mΩ)/730(μm
2))であった。
【0213】
[実施例26]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例15と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0214】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.1μm、D
90=3.4μm、D
max=9.5μmであり、BET比表面積は0.31m
2/g、タップ密度は4.0g/cm
3であった。
【0215】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2660Pa・s、385Pa・s、108Pa・sおよび44Pa・sであり、Ti1は25、Ti2は60、Ti3は3.6であった。また、カッソン粘度η∞は3.1Pa、カッソン降伏値τ0は582Pa・sであった。
【0216】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は66.7μmであり、塗膜の断面積は730μm
2であった。また、塗膜の厚さは19.1μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.29(=19.1μm/66.7μm)、断面積/線幅は10.9μmであった。
【0217】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.608Ωであり、(抵抗/断面積)の値は0.833(mΩ/μm
2)(=608(mΩ)/730(μm
2))であった。
【0218】
[実施例27]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例17と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0219】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.1μm、D
50=2.1μm、D
90=3.4μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.28m
2/g、タップ密度は4.2g/cm
3であった。
【0220】
また、アミン処理後の銀12mgを使用して、実施例17と同様の方法により、成分分析を行ったところ、オレイン酸(分子量282)、オレイルアミン(分子量267)、オレアニトリル(分子量263)、オクタデシルアミド(分子量281)及び分子量531の成分由来のピークが確認された。分子量531の成分は、オレイン酸とオレイルアミンが縮合反応し、水分子(分子量18)が抜けたピークであると推察され、オレイン酸とオレイルアミンによってアミドが形成されていることがわかった。なお、オレアニトリルはオレイルアミンの試薬由来の不純物であり、オクタデシルアミドはオレイン酸とオレイルアミンが反応した生成物であると考えられる。
【0221】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.8質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.8質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2100Pa・s、357Pa・s、114Pa・sおよび57Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は37、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は11.3Pa、カッソン降伏値τ0は430Pa・sであった。
【0222】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は66.7μmであり、塗膜の断面積は738μm
2であった。また、塗膜の厚さは21.0μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.31(=21.0μm/66.7μm)、断面積/線幅は11.1μmであった。
【0223】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.743Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.01(mΩ/μm
2)(=743(mΩ)/738(μm
2))であった。
【0224】
[実施例28]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)を使用した以外は、実施例19と同様の方法により、アミンによる表面処理を行った。
【0225】
このようにしてアミン処理を行った銀粉について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=2.3μm、D
90=3.8μm、D
max=9.3μmであり、BET比表面積は0.28m
2/g、タップ密度は4.1g/cm
3であった。
【0226】
また、アミン処理後の銀粉を使用して、銀粉の量を90.8質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ2.8質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2260Pa・s、385Pa・s、126Pa・sおよび55Pa・sであり、Ti1は18、Ti2は41、Ti3は3.1であった。また、カッソン粘度η∞は9.5Pa、カッソン降伏値τ0は487Pa・sであった。
【0227】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は69.1μmであり、塗膜の断面積は763μm
2であった。また、塗膜の厚さは19.8μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.29(=19.8μm/69.1μm)、断面積/線幅は11.0μmであった。
【0228】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.876Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.15(mΩ/μm
2)(=876(mΩ)/763(μm
2))であった。
【0229】
[比較例8]
実施例21と同様の銀粉(アミン処理前の銀粉)について、実施例1のアミン処理前の銀粉と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布を測定するとともに、BET比表面積を測定し、タップ密度を算出した。その結果、D
10=1.2μm、D
50=2.3μm、D
90=3.5μm、D
max=7.8μmであり、BET比表面積は0.41m
2/g、タップ密度は5.0g/cm
3であった。
【0230】
上記の銀粉を使用して、銀粉の量を89.2質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.6質量%とした以外は、実施例4と同様の方法により得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の方法により、粘度を測定し、カッソン粘度η∞とカッソン降伏値τ0を算出した。その結果、アミン処理後の銀粉の粘度は、25℃において0.1rpm、1rpm、5rpmおよび10rpmでそれぞれ2060Pa・s、373Pa・s、125Pa・sおよび61Pa・sであり、Ti1は16、Ti2は34、Ti3は3.0であった。また、カッソン粘度η∞は13.6Pa、カッソン降伏値τ0は428Pa・sであった。
【0231】
このようにして得られた導電性ペーストを使用して、実施例4と同様の方法により、塗膜を形成して、その幅と厚さを測定した。その結果、塗膜の線幅は68.6μmであり、塗膜の断面積は527μm
2であった。また、塗膜の厚さは13.9μmであり、塗膜の断面のアスペクト比は0.20(=13.9μm/68.6μm)、断面積/線幅は7.7μmであった。
【0232】
また、この塗膜を使用して、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その導電膜の抵抗を測定したところ、0.637Ωであり、(抵抗/断面積)の値は1.21(mΩ/μm
2)(=637(mΩ)/527(μm
2))であった。
【0233】
これらの実施例21〜28および比較例8の結果を表9〜表11に示す。
【0234】
【表9】
【0235】
【表10】
【0236】
【表11】
【0237】
また、実施例13、14および16〜18のそれぞれの銀粉86.2質量%と、エチルセルロース樹脂(和光純薬工業株式会社製)1.2質量%と、テキサノール(JMC株式会社製)とブチルカルビトールアセテート(BCA)(和光純薬工業株式会社製)を1:1(それぞれ3.5質量%)で混合した溶剤と、添加剤として、ガラスフリット(旭硝子株式会社製のASF−1898B)1.5質量%、酸化ビスマス(DOWAハイテック株式会社製)0.1質量%、ステアリン酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)0.2質量%、オレイン酸(和光純薬工業株式会社製)0.5質量%および二酸化テルル(和光純薬工業株式会社製)3.2質量%を、自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎)により混合(予備混練)した後、3本ロール(オットハーマン社製のEXAKT80S)により混練することにより、それぞれ導電性ペーストを得た。
【0238】
また、実施例15、19および比較例6〜7の銀粉を使用し、実施例15では、銀粉の量を86.0質量%とし、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.6質量%とした以外は、上記と同様の方法により、実施例19では、銀粉の量を85.2質量%、テキサノールとBCAの量をそれぞれ4.1質量%、ガラスフリットの量を1.5質量%、二酸化テルルの量を3.1質量%とした以外は、上記と同様の方法により、比較例6では、銀粉の量を85.4質量%、テキサノールとBCAの量をそれぞれ4.0質量%、ガラスフリットの量を1.5質量%、二酸化テルルの量を3.1質量%とした以外は、上記と同様の方法により、比較例7では、銀粉の量を85.8質量%、テキサノールとBCAの量をそれぞれ3.7質量%とした以外は、上記と同様の方法により、それぞれ導電性ペーストを得た。
【0239】
次に、8枚のシリコンウエハ(株式会社E&M製、80Ω/□、6インチ単結晶)を用意し、それぞれのシリコンウエハの裏面にスクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT−320T)によりアルミペースト(東洋アルミニウム株式会社製のアルソーラー14−7021(Pb入り))を長さ154mmのベタパターンで印刷した後に、熱風式乾燥機により200℃で10分間乾燥するとともに、シリコンウエハの表面にスクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT−320T)により、上記の導電性ペースト(実施例13〜19および比較例6〜7の銀粉を使用して作製したそれぞれの導電性ペースト)を幅50μmの100本のフィンガー電極形状と幅1.3mmの3本のバスバー電極形状に印刷した後、熱風式乾燥機により200℃で10分間乾燥し、高速焼成IR炉(日本ガイシ株式会社製の高速焼成試験4室炉)のイン−アウト21秒間としてピーク温度820°で焼成して太陽電池を作製した。
【0240】
これらの太陽電池の3本のバスバー電極の膜厚、線幅および断面積を接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製のSE−30D)により測定し、断面のアスペクト比(膜厚/線幅)を求めたところ、断面積はそれぞれ662μm
2(実施例13)、680μm
2(実施例14)、540μm
2(実施例15)、678μm
2(実施例16)、733μm
2(実施例17)、725μm
2(実施例18)、548μm
2(実施例19)、456μm
2(比較例6)、805μm
2(比較例6)であり、比較例6のペーストを使用した場合の断面のアスペクト比を100としたときのそれぞれの実施例のペーストを使用した場合の断面のアスペクト比の相対値は、117.0(実施例13)、128.6(実施例14)、110.3(実施例15)、115.7(実施例16)、114.9(実施例17)、125.4(実施例18)、118.8(実施例19)、96.5(比較例7)であった。
【0241】
上記の太陽電池にソーラーシミュレータ(株式会社ワコム電創製)のキセノンランプにより光照射エネルギー100mWcm
2の疑似太陽光を照射して電池特性試験を行った。その結果、比較例6のペーストを使用して作製した太陽電池の発電効率Eff(最大出力Pmaxを(1cm
2当たりの)照射光量(W)で除した値に100を乗じた値)を100としたときのそれぞれの実施例のペーストを使用して作製した太陽電池の発電効率Effの相対値は、100.7(実施例13)、100.9(実施例14)、101.3(実施例15)、100.8(実施例16)、101.1(実施例17)、101.5(実施例18)、100.6(実施例19)、99.8(比較例7)であった。