(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のマスク体は、前記支持体の1つの面において前記第1の方向と直交する第2方向に沿って設定された複数の貫通孔形成領域を有すること、を特徴とする請求項1または2に記載のボール搭載用マスク。
前記複数のマスク体は、前記配線基板と対向する面とは反対側の面に固定され、前記貫通孔を有する板状の部材であること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のボール搭載用マスク。
前記複数のマスク体は、前記配線基板と対向する面に固定され、前記貫通孔を有する板状のマスク部と、前記マスク部から突出する突出部とを有すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のボール搭載用マスク。
複数のパッドを含むパッド形成領域が行列状に設定された配線基板に対応したボール搭載用マスクを用いて前記パッドに導電性のボールを搭載するボール搭載方法であって、
前記ボール搭載用マスクは、
矩形状のマスク枠と、
前記マスク枠内に張設された弾性を有する支持体と、
前記支持体に固定され、少なくとも1つの前記パッド形成領域に対応して前記ボールが通過可能な複数の貫通孔を含む貫通孔形成領域を有し、前記パッド形成領域の配列方向のうちの1つの方向において互いに離間して配設され、前記貫通孔形成領域の配設間隔が、前記配線基板に最も大きな縮みが生じた状態での前記パッド形成領域の設定間隔以下に設定された、複数のマスク体と、を有し、
前記配線基板の測定結果に応じて前記ボール搭載用マスクの移動量を制御し、前記支持体を前記配線基板に押し付けることより伸ばすこと、を特徴とするボール搭載方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0010】
先ず、半導体装置を説明する。
図1に示すように、半導体装置1は、配線基板10と、その配線基板10に実装された半導体素子20と、配線基板10と半導体素子20との間のアンダーフィル樹脂31とを有している。
【0011】
配線基板10は、基板本体11と、基板本体11の上面に形成された配線層12とソルダレジスト層13と、基板本体11の下面に形成された配線層14とソルダレジスト層15を有している。配線層12,14の材料としては、たとえば銅(Cu)を用いることができる。基板本体11は、配線層12と配線層14とを相互に電気的に接続する構造を有していれば十分である。このため、基板本体11の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が絶縁層を介して積層され、絶縁層に形成されたビアと配線層によって上記配線層12と配線層14を電気的に接続する。内部に形成される配線層やビアの材料としては、たとえば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。基板本体11としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。
【0012】
ソルダレジスト層13は、基板本体11の上面を覆うように設けられている。ソルダレジスト層13は、配線層12の一部をパッド12aとして露出する開口部13aを有している。ソルダレジスト層13の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0013】
なお、必要に応じて、開口部13aから露出する配線層12上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記半導体素子20を接続するようにしてもよい。また、開口部13aから露出する配線層12上に金属層を形成し、その金属層に半導体素子20を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)層/Au層(配線層12上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(配線層12上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。
【0014】
パッド12aは、はんだ32を介して半導体素子20に接続されている。すなわち、半導体素子20は、配線基板10に対してフリップチップ実装されている。はんだ32は、パッド12a上のはんだバンプである。そして、パッド12aが形成されている側の面が素子搭載面である。
【0015】
アンダーフィル樹脂31は、配線基板10の第1面(ここでは、上面)と半導体素子20の第2面(ここでは、下面)との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル樹脂31の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0016】
ソルダレジスト層15は、基板本体11の下面を覆うように設けられている。ソルダレジスト層15は、配線層14の一部をパッド14aとして露出する開口部15aを有している。ソルダレジスト層15の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。パッド1
4aには、はんだバンプ33が設けられている。このはんだバンプ33は、半導体装置1をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子である。なお、外部接続端子として、はんだボール、リードピン、スタッドバンプ、等を用いることもできる。
【0017】
なお、必要に応じて、上記開口部15aから露出する配線層14上にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜にはんだバンプ33を設けてもよい。また、開口部15aから露出する配線層14上に金属層を形成し、その金属層にはんだバンプ33を設けてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(配線層66の第2面にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(配線層66の第2面にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部15aから露出する配線層14(あるいは、配線層14上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0018】
半導体素子20は、以上説明した構造を有する配線基板10にフリップチップ実装されている。
図3に示すように、半導体素子20の回路形成面(図では、下面)に配設されたバンプ21と、配線基板10のパッド12aに形成されたバンプ16とを互いに接合することにより、半導体素子20は、配線基板10の配線層12と電気的に接続される。
【0019】
半導体素子20としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子20としては、たとえばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。この半導体素子20の大きさは、例えば平面視で3mm×3mm〜12mm×12mm程度とすることができる。また、半導体素子20の厚さは、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0020】
半導体素子20のバンプ21としては、たとえば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、たとえば、すず(Sn)と金(Au)の合金、Snと銅(Cu)の合金、Snと銀(Ag)の合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0021】
上記の配線基板10は、たとえば1枚の配線基板を個片化して形成される。
図4に示すように、配線基板50は、たとえばシート状の基板である。配線基板50は、たとえば平面視矩形状に形成されている。配線基板50は、上記の配線基板50を形成するため、複数(図では32個)の基板領域51を有している。複数の基板領域51は、たとえばマトリックス状(4×8)に配列されている。なお、
図4では、各基板領域51の境界を一点鎖線にて示す。配線基板50を各基板領域51の境界線に沿って切断し、配線基板50を個片化することにより、
図1に示す配線基板10が形成される。各基板領域51内の破線で示した矩形は、
図1等に示すパッド12aが含まれる領域(パッド形成領域)52を示す。
【0022】
図2は、配線基板50の1つの基板領域51(配線基板10)を示す。
図2に示すように、基板領域51のパッド12a上にフラックス41が塗布されている。フラックス41は、たとえば、複数のパッド12aに対応する領域を覆うように形成される。フラックス41は、たとえば、塗布用のマスクを用いた印刷法により形成される。なお、各パッド12aに対して個別に、または複数のパッド12a毎にフラックス41を形成してもよい。
【0023】
各フラックス41上において、各パッド12aの上方に、後述するボール搭載用マスク60を用いてはんだボール42が搭載される。はんだボール42の材料としては、たとえば、すず(Sn)と金(Au)の合金、Snと銅(Cu)の合金、Snと銀(Ag)の合金、SnとAgとCuの合金等の導線性材料を用いることができる。また、はんだボール42としては、樹脂や金属の核の表面を導電性材料により被覆した球状体を用いることができる。このようにはんだボール42を搭載した配線基板50をリフロー処理することで、バンプ16(
図3参照)が形成される。
【0024】
このように搭載したはんだボール42を用いてバンプ16(
図3参照)を形成することにより、バンプ16の高さ、ボリューム(はんだの量)を均一にすることができる。これにより、バンプ16を用いた半導体素子20の実装における歩留まりや信頼性を向上することができる。
【0025】
次に、ボール搭載用マスクを説明する。
図5(a)に示すように、ボール搭載用マスク60は、マスク枠61、支持体62、複数のマスク体63を有している。
【0026】
マスク枠61は、矩形枠状に形成されている。マスク枠61は、たとえば鋳造により形成される。マスク枠61の材料としては、アルミニウム合金や鉄合金を用いることができる。
【0027】
支持体62は、マスク枠61内に張設されている。支持体62は、伸縮性や弾性を有し、所定の張力をかけてマスク枠61に固定されている。
支持体62は、たとえば紗やスクリーンメッシュと呼ばれる。支持体62は、樹脂や金属をメッシュ状としたものである。支持体62に用いられる樹脂としては、たとえばポリアリレートや液晶ポリマー等のポリエステル等を用いることができる。
【0028】
支持体62の上面62aには、複数のマスク体63が固定されている。マスク体63の数は、
図4に示す配線基板50により形成される配線基板50の数、つまり配線基板50に含まれる基板領域51の数と等しく、本実施形態では32個である。複数のマスク体63は、配線基板50の基板領域51(
図4参照)に応じて、マトリックス状(4×8)に配列されている。
【0029】
図5(a)に示すように、複数のマスク体63は、それぞれ貫通孔形成領域64を含む。この貫通孔形成領域64には、
図2に示すはんだボール42が通過可能な貫通孔が形成される。つまり、この貫通孔形成領域64は、
図4に示す基板領域51のパッド形成領域52に対応する。したがって、このボール搭載用マスク60は、配線基板50に含まれる複数の基板領域51(
図4参照)に対応する複数のマスク体63を有し、各マスク体63は、基板領域51のパッド形成領域52(
図4参照)に対応する貫通孔形成領域64を有している。マスク体63の材料としては、たとえばニッケルや、コバルト,鉄,クロム,タングステン等を含むニッケル合金を用いることができる。
【0030】
複数のマスク体63の配置間隔X2,Y2は、
図4に示す基板領域51の設定間隔X1,Y1に対応して設定される。配線基板50は、製造にかかる熱履歴、つまり製造プロセスにおいて加わる熱等応じて、設計値の形状に対して「伸び」「縮み」が生じる場合がある。このような配線基板50における「伸び」や「縮み」は、配線基板50に搭載するはんだボール42の位置精度に影響する。
【0031】
マスク体63の配置間隔X2,Y2は、配線基板50に生じうる「縮み」に応じて設定される。たとえば、配置間隔X2は、製造プロセスの熱履歴等によって最も大きく「縮み」が生じた配線基板50における基板領域51の設定間隔X1と等しい値、または設定間隔X1より小さな値に設定される。同様に、配置間隔Y2は、製造プロセスの熱履歴等によって最も大きく「縮み」が生じた配線基板50における基板領域51の設定間隔Y1と等しい値、または設定間隔Y1より小さな値に設定される。
【0032】
図5(b)に示すように、支持体62は、マスク枠61の下端部に固定されている。支持体62には、上面62aと下面62bとの間を貫通する複数の開口部62cが形成されている。そして、マスク体63は、各開口部62cを塞ぐように、支持体62の上面62aに固定されている。
【0033】
開口部62cは、この支持体62に固定される複数のマスク体63に応じた位置に形成される。本実施形態において、各開口部62cはそれぞれ、開口部62cの中心とマスク体63の中心とが一致する位置に形成されている。つまり、複数の開口部62cにおける中心の間隔は、マスク体63の配置間隔X2,Y2と等しい。開口部62cの大きさは、配線基板50に形成されるフラックス41(
図2,
図6(b)参照)に応じて設定される。
【0034】
図6(a)に示すように、配線基板50は、基板テーブル70の上面70aに保持される。
図6(b)に示すように、配線基板50の上面50aにはフラックス41が形成される。なお、
図6(b)において、破線で区切られる区間は、配線基板50の基板領域51、つまり配線基板50を個片化して形成される配線基板10を示す。
【0035】
ボール搭載用マスク60は、支持体62の下面62bと配線基板50の上面50aとを対向するように配置される。そして、ボール搭載用マスク60は、図示しない駆動装置により、図において上下方向に移動される。つまり、ボール搭載用マスク60は、フラックス41が形成される配線基板50の上面50aと対向して配置され、配線基板50の上面50aに垂直な方向に沿って移動される。なお、
図6(a)は、支持体62の下面62bを配線基板50の上面50aに当接した状態を示す。
【0036】
図6(b)に示すように、貫通孔形成領域64において、マスク体63には、マスク体63の上面63aと下面63bの間を貫通する複数の貫通孔63cが形成されている。複数の貫通孔63cは、はんだボール42を搭載するパッド12aに応じて配列されている。たとえば、複数の貫通孔63cは、マトリックス状に配列されている。貫通孔63cの形成間隔(配列ピッチ)は、パッド12aの形成間隔(配列ピッチ)と等しい。貫通孔63cはたとえば円形状に形成され、その大きさ(内径)は、はんだボール42が通過可能な大きさに設定されている。貫通孔63cの大きさ(直径)は、たとえば、はんだボール42の直径の1.1倍〜1.7倍の大きさとすることができる。
【0037】
図6(b)に示すように、支持体62の厚さは、配線基板50の上面50aに形成されたフラックス41の厚さよりも厚い。したがって、マスク体63は、支持体62により、フラックス41の上方に保持される。これにより、マスク体63にフラックスが付着しない。
【0038】
次に、上記のボール搭載用マスク60の作用を説明する。なお、ここでは、ボール搭載用マスク60を用いて配線基板50にはんだボール42を搭載する方法を説明する。
先ず、
図4に示す配線基板50の「伸び縮み」を測定する。この測定は、たとえば、図示しないボール搭載装置に装備されたカメラを用いる。たとえば、配線基板50の対角に位置する基板領域51(51a,51b,51c,51d)のパッド形成領域52をカメラにて撮影し、撮影した画像データとカメラの位置に基づいて、配線基板50の「伸び縮み」を算出する。このように算出した配線基板50の「伸び縮み」は、製造された配線基板50における基板領域51の設定間隔X1,Y1に対応する。なお、測定に配線基板50に、複数の絶縁層と配線層を形成するために設けられたアライメントマークを利用してもよい。
【0039】
次に、
図7(a)に示すように、配線基板50と対向配置したボール搭載用マスク60を移動させ、配線基板50の上面50aにボール搭載用マスク60の支持体62の下面62bを当接させる。このとき、支持体62に固定された複数のマスク体63は、間隔X2にて配置されている。なお、
図7(a)では示されないが、複数のマスク体63は、図面の表裏方向において間隔Y2にて配置されている。
【0040】
そして、
図7(b)に示すように、ボール搭載用マスク60のマスク枠61を押し下げ、支持体62を配線基板50に押し付ける。すると、マスク枠61に張設された支持体62は弾性を有しているため、配線基板50によって延ばされる。この支持体62の伸びにより、複数のマスク体63の配列間隔はX3となる。たとえば、この配列間隔X3を、
図4に示す配線基板50における基板領域51の設定間隔X1と等しくする。すると、
図7(b)に示す左右方向において、製造工程において「伸び縮み」が生じた配線基板50のパッド12a(
図2等参照)に対して、マスク体63の貫通孔63c(
図6(b)参照)が一致する。
【0041】
つまり、
図7(a)に示すように、支持体62を配線基板50の上面50aに当接させた状態から、
図7(b)に示すように、マスク枠61を配線基板50側に押し下げる。これにより、複数のマスク体63の間隔を調整し、マスク体63の貫通孔63c(
図6(b)参照)と、配線基板50のパッド(
図2等参照)との位置ずれを少なくする。
【0042】
マスク体63の配置間隔は、マスク枠61の押し下げ量に対応する。たとえば、ボール搭載装置は、メモリ等の記憶装置に、マスク体63の配置間隔の変化とマスク枠61の押し下げ量とを対応付けたテーブルを記憶する。そして、上記の配線基板50の測定結果に基づいて、テーブルから得たマスク枠61の押し下げ量に応じてマスク枠61を移動させる。なお、所定の演算式を用いて配線基板50の測定結果からマスク枠61の押し下げ量を算出してもよい。
【0043】
なお、
図7(a)(b)では、図面の左右方向、つまり、
図4に示す配線基板50の基板領域51の設定間隔X1と、
図5(a)に示すボール搭載用マスク60のマスク体63の配置間隔X2について示した。図では省略したが、
図4及び
図5(a)において図面の上下方向、つまり間隔Y1,Y2についても同様に、位置ずれが少なくなる。
【0044】
なお、配線基板50の長手方向と短手方向における「伸び縮み」が異なる場合、これらの間隔X1,X2を一致させると、
図4に示す配線基板50の形状(基板領域51の配列)に応じて、
図4及び
図5(a)において図面の上下方向、つまり間隔Y1,Y2が一致しない場合がある。このため、上記のボール搭載装置におけるテーブルや演算式は、パッド12a(
図2等参照)の中心と、マスク体63の貫通孔63c(
図6(b)参照)の中心とのずれが少なくなるように、マスク枠61の押し下げ量が得られるように設定される。
【0045】
そして、
図6(b)に示すようにはんだボール42を配線基板50に搭載する。なお、
図6(b)では、1つのはんだボール42を示している。たとえば、ボール搭載用マスク60の上方に配置したボール供給手段からボール搭載用マスクへはんだボールを落下させる。
図6(b)に示すように、はんだボール42はマスク体63の貫通孔63cに入り、フラックス41上に搭載される。
【0046】
なお、配線基板50に対してボール搭載用マスク60を上方に配置し、はんだボール42を配線基板50の上方から搭載する例について説明したが、配線基板50の下方から搭載するようにしてもよい。この場合、
図7(a)に示すボール搭載用マスク60と配線基板50と基板テーブル70は、上下を逆にして配置される。即ち、基板テーブル70の下面に配線基板50が固定され、その配線基板50と基板テーブル70に対して、配線基板50の下方に配置したボール搭載用マスク60を上方に向かって移動させることで、マスク体63の配列間隔X3を制御する。これにより、パッド12a(
図2等参照)の中心と、マスク体63の貫通孔63c(
図6(b)参照)の中心とのずれを少なくする。そして、ボール搭載用マスク60の下方に配置したボール供給手段からはんだボールをボール搭載用マスク60に向かって上昇させる。これにより、フラックスにはんだボールを付着させ、配線基板50にはんだボール42を搭載する。
【0047】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ボール搭載用マスク60は、矩形状のマスク枠61と、マスク枠61内に張設された弾性を有する支持体62と、支持体62の上面62aに固定された複数のマスク体63と、を有している。各マスク体63は、貫通孔形成領域64を含む。貫通孔形成領域64において、マスク体63には貫通孔63cが形成されている。この貫通孔63cによりはんだボール42を配線基板50に形成したフラックス41上に搭載する。複数のマスク体63は、配線基板50の基板領域51に応じて、マトリックス状(4×8)に配列されている。複数のマスク体63の配置間隔X2,Y2は、
図4に示す基板領域51の設定間隔X1,Y1に対応して設定される。
【0048】
支持体62を配線基板50の上面50aに当接させた状態から、マスク枠61を配線基板50側に押し下げる。マスク枠61に張設された支持体62は弾性を有しているため、配線基板50によって伸ばされる。この支持体62の伸びにより、複数のマスク体63の配列間隔は広くなる。ボール搭載用マスク60の押し下げ量(移動量)に応じて、製造工程において「伸び縮み」が生じた配線基板50のパッド12a(
図2等参照)に対して、マスク体63の貫通孔63c(
図6(b)参照)を一致させることができる。したがって、はんだボール42の搭載精度を従来例に比べて向上することができる。そして、製造工程においてはんだボールの位置の修正やボール搭載用マスクの作成待ち等を低減することができる。
【0049】
(2)マスク体63は支持体62の上面62aに固定されている。はんだボール42を配線基板50に搭載する際に、支持体62は、配線基板50の上面50aに当接される。配線基板50の上面50aには、はんだボール42を搭載するためのフラックス41が形成されている。マスク体63は、支持体62により、配線基板50の上面50aから離間して支持される。したがって、支持体62により、マスク体63にフラックス41が付着することを防止することができる。
【0050】
(別の形態)
なお、上記の形態は、以下の態様で実施することができる。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の部材について同じ符号を用いることがある。
【0051】
・
図8(a)に示すように、ボール搭載用マスク100は、マスク枠61、支持体62、複数のマスク体101を有している。マスク体101は、支持体62の下面62bに固定されている。マスク体101の材料としては、たとえばニッケルや、コバルト,鉄,クロム,タングステン等を含むニッケル合金を用いることができる。
【0052】
図8(b)に示すように、マスク体101は、マスク部102と突出部103とを有する。マスク部102は、上記形態のマスク体63と同様に、矩形板状に形成され、複数の貫通孔102aを有する。突出部103は、マスク部102の下面102bから突出する。このようなマスク体101は、たとえば平らな金属板をハーフエッチングして形成することができる。突出部103は、その下端が配線基板50の上面50aに当接することで、マスク部102を配線基板50の上面50aから離間して支持する。突出部103は、マスク部102とフラックス41とが接触すること、つまりマスク部102にフラックス41が付着することを防止する。このため、支持体62は、マスク体101の支持と、マスク体101の移動に応じて材料や厚さを任意に設定することができる。
【0053】
・上記の形態のボール搭載用マスク60は、
図4に示す配線基板50の基板領域51のそれぞれに対応するマスク体63を有し、各マスク体63は、基板領域51に対応する1つの貫通孔形成領域を有している。これに対し、1つのマスク体に複数の貫通孔形成領域を設定してもよい。
【0054】
たとえば、
図9に示すように、ボール搭載用マスク110は、マスク枠61、支持体62、複数(図において8個)のマスク体111を有している。複数のマスク体111は、図において左右方向(
図4に示す配線基板50の長手方向)に沿って配列されている。マスク体111の配置間隔は、
図5に示すボール搭載用マスク60と同様(=X2)に設定される。
【0055】
各マスク体111は、支持体62の上面62aにおいて配列方向と直交する方向(
図4に示す配線基板50の短手方向)に沿って延びるように形成されている。各マスク体111には、それぞれ複数(
図9では4つ)の貫通孔形成領域64が設定されている。つまり、各マスク体111は、1列(4個)の貫通孔形成領域64を含む。貫通孔形成領域64の設定間隔Y4は、たとえば、
図4に示す配線基板50の基板領域51の設定間隔Y1と等しい値に設定される。なお、貫通孔形成領域64の設定間隔を、基板領域51の設定間隔Y1と配線基板50の「伸び縮み」とに応じた値に設定してもよい。
【0056】
たとえば、
図4に示す配線基板50は、図において縦方向(配線基板50の短手方向)の長さは、「伸び」や「縮み」の影響が少ない。このため、「伸び縮み」の影響が少ない方向における貫通孔形成領域64を1つのマスク体111に設定する。そして、「伸び縮み」がはんだボールの搭載に影響する方向(配線基板50の長手方向)について、マスク体111を移動可能とすることで、はんだボール42の搭載精度を向上し、製造工程においてはんだボールの位置の修正やボール搭載用マスクの作成待ち等を低減することができる。また、このような設定は、マスク体111の数を、上記実施形態と比べて少なくする。マスク体111の枚数や固定のための工程が簡略化され、ボール搭載用マスク110のコストの低減を図ることができる。
【0057】
また、
図10に示すように、ボール搭載用マスク120は、マスク枠61、支持体62、複数(図において4個)のマスク体121を有している。各マスク体121は、行列状(マトリックス状)に設定された8個(=2×4)の貫通孔形成領域64を含む。つまり、各マスク体121は、2列の貫通孔形成領域64を含む。マスク体121内において、各列の貫通孔形成領域64の設定間隔X4は、たとえば、
図4に示す配線基板50の基板領域51の設定間隔X1と等しい値、または設定間隔X1と配線基板50の「伸び縮み」に応じた値に設定される。そして、複数のマスク体121の配置間隔は、隣り合うマスク体121において、貫通孔形成領域64の間隔が
図5に示すボール搭載用マスク60と同様(=X2)となるように設定される。
【0058】
このボール搭載用マスク120は、
図9に示すボール搭載用マスク110と同様に、はんだボール42の搭載精度を向上し、製造工程においてはんだボールの位置の修正やボール搭載用マスクの作成待ち等を低減することができる。また、このような設定は、マスク体121の数を、上記実施形態と比べて少なくする。マスク体121の枚数や固定のための工程が簡略化され、ボール搭載用マスク120のコストの低減を図ることができる。
【0059】
また、
図11に示すように、ボール搭載用マスク130は、マスク枠61、支持体62、複数(図において2個)のマスク体131を有している。各マスク体131は、行列状(マトリックス状)に設定された16個(=4×4)の貫通孔形成領域64を含む。つまり、各マスク体131は、4列の貫通孔形成領域64を含む。マスク体131内において、各列の貫通孔形成領域64の設定間隔X4は、たとえば、
図4に示す配線基板50の基板領域51の設定間隔X1と等しい値、または設定間隔X1と配線基板50の「伸び縮み」に応じた値に設定される。そして、2個のマスク体131の配置間隔は、隣り合うマスク体131において、貫通孔形成領域64の間隔が
図5に示すボール搭載用マスク60と同様(=X2)となるように設定される。
【0060】
このボール搭載用マスク130は、
図9,
図10に示すボール搭載用マスク110,120と同様に、はんだボール42の搭載精度を向上し、製造工程においてはんだボールの位置の修正やボール搭載用マスクの作成待ち等を低減することができる。また、このような設定は、マスク体131の数を、上記実施形態と比べて少なくする。マスク体131の枚数や固定のための工程が簡略化され、ボール搭載用マスク130のコストの低減を図ることができる。
【0061】
上記各形態では、複数のマスク体に設定する貫通孔形成領域を互いに同数とした。これに対し、貫通孔形成領域の数が異なるマスク体を有するボール搭載用マスクとしてもよい。
【0062】
たとえば、
図12に示すように、ボール搭載用マスク140は、マスク枠61、支持体62、複数(図において6個)のマスク体141,142を有している。中央に配置された2個のマスク体141は、
図10に示すマスク体121と同様に、2列の貫通孔形成領域64を含む。そして、左右両側に配置された4個のマスク体142は、
図9に示すマスク体111と同様に、1列の貫通孔形成領域64を含む。貫通孔形成領域64の設定間隔は、
図9,
図10と同様である。
【0063】
また、
図13に示すように、ボール搭載用マスク150は、マスク枠61、支持体62、複数(図において5個)のマスク体151,152を有している。中央に配置された3個のマスク体151は、
図10に示すマスク体121と同様に、2列の貫通孔形成領域64を含む。そして、左右両側に配置された2個のマスク体152は、
図9に示すマスク体111と同様に、1列の貫通孔形成領域64を含む。貫通孔形成領域64の設定間隔は、
図9,
図10と同様である。
【0064】
なお、図示しないが、4列の貫通孔形成領域64を含む1個のマスク体と2列の貫通孔形成領域64を含む2個のマスク体とを有するボール搭載用マスクとしてもよい。また、4列の貫通孔形成領域64を含む1個のマスク体と1列の貫通孔形成領域64を含む4個のマスク体とを有するボール搭載用マスクとしてもよい。また、3列の貫通孔形成領域64を含む2個のマスク体と1列の貫通孔形成領域64を含むマスク体を有するボール搭載用マスクとしてもよい。また、3列の貫通孔形成領域64を含む2個のマスク体と2列の貫通孔形成領域64を含むマスク体を有するボール搭載用マスクとしてもよい。
【0065】
また、
図14に示すように、ボール搭載用マスク160は、マスク枠61、支持体62、複数(図において8個)のマスク体161を有している。各マスク体161は、それぞれ4個(=2×2)の貫通孔形成領域64を含む。各マスク体161に含まれる貫通孔形成領域64の設定間隔X4,Y4は、たとえば、
図4に示す配線基板50の基板領域51の設定間隔X1,Y1と等しい値、または設定間隔X1,Y1と配線基板50の「伸び縮み」に応じた値に設定される。そして、複数のマスク体161の配置間隔は、隣り合うマスク体161において、貫通孔形成領域64の間隔が
図5に示すボール搭載用マスク60と同様(=X2,Y2)となるように設定される。
【0066】
これらのボール搭載用マスク140,150,160は、上記各形態のボール搭載用マスクと同様に、はんだボール42の搭載精度を向上し、製造工程においてはんだボールの位置の修正やボール搭載用マスクの作成待ち等を低減することができる。また、このような設定は、マスク体141,142,151,152,161の数を、上記実施形態と比べて少なくする。マスク体141,142,151,152,161の枚数や固定のための工程が簡略化され、ボール搭載用マスク140,150,160のコストの低減を図ることができる。
【0067】
・
図15(a)に示すように、基板テーブル70に固定した配線基板50に対して、ボール搭載用マスク60を傾けて保持するようにしてもよい。そして、
図15(b)に示すように、傾けたボール搭載用マスク60を配線基板50の上面と垂直な方向に沿って、下方向に移動させる。この場合、各マスク体63の間隔X21〜X27は、図において、左側から右側に向かって徐々に増加する。なお、図面の表裏方向における間隔も間隔X21〜X27と同様に増加する。間隔X21〜X27は、配線基板50に対するボール搭載用マスク60(支持体62)の角度に対応する。このように、「伸び縮み」が一様ではない配線基板50について、ボール搭載用マスク60を傾けることで、マスク体63の間隔を制御し、配線基板50のパッドに対して搭載するはんだボールの位置精度の低下を抑制することができる。