(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
図1〜
図11は実施形態のカーボンナノチューブシートの製造方法を示す図である。
【0016】
実施形態のカーボンナノチューブシートの製造方法では、
図1(a)に示すように、まず、シリコン基板10を用意する。シリコン基板10は、カーボンナノチューブを形成するための土台として使用される。シリコン基板10の両面にシリコン酸化層などの絶縁層が形成されていてもよい。
【0017】
シリコン基板10上には複数のカーボンナノチューブ形成領域が画定されており、
図1(a)では一つのカーボンナノチューブ形成領域が示されている。
【0018】
基板としてシリコン基板10を例示するが、セラミックス基板又はガラス基板などの各種の基板を使用することができる。
【0019】
次いで、
図1(b)に示すように、シリコン基板10上の全面に、スパッタ法などにより膜厚が2.5nm程度の鉄(Fe)膜を形成して触媒金属膜12とする。触媒金属膜12は、CVD法によってカーボンナノチューブを形成するための触媒として形成される。
【0020】
触媒金属膜12としては、鉄以外に、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、又は白金(Pt)を使用してもよい。
【0021】
次いで、
図1(c)に示すように、シリコン基板10を650℃の温度で5分〜10分間、加熱処理する。これにより、触媒金属膜12が微粒子化されて触媒金属微粒子12aが得られる。
【0022】
続いて、
図2に示すように、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、触媒金属微粒子12aを触媒としてシリコン基板10の上に複数のカーボンナノチューブ20aを成長させる。これにより、複数のカーボンナノチューブ20aが横方向に並んで形成されたカーボンナノチューブ集合体20が得られる。
【0023】
図2の部分拡大図に示すように、触媒金属微粒子12aに成長する各カーボンナノチューブ20aは、シリコン基板10の表面に対して垂直方向に配向して形成される。
【0024】
熱CVD法によるカーボンナノチューブ20aの成長条件としては、例えば、原料ガスとして分圧比が1:9のアセチレン・アルゴンガスの混合ガスが使用され、成膜チャンバの総ガス圧が1kPa、温度が650℃、成長時間が30分に設定される。
【0025】
各カーボンナノチューブ20aの高さは、例えば、100μm〜300μm程度に設定される。
【0026】
ここで、上記したような条件でカーボンナノチューブ20aを形成すると、シリコン基板10上での単位面積あたりのカーボンナノチューブ20aの密度は2〜3%程度である。
【0027】
このため、カーボンナノチューブ集合体20を熱伝導性シートとして使用する際、半導体素子などの発熱体及び放熱部材との熱接触面積が小さいため、高い熱伝導度を有するカーボンナノチューブの本来の特性を活かしきれない。
【0028】
なお、触媒金属微粒子12aの密度を増やすことによって、単位面積あたりのカーボンナノチューブ20aの本数を増やすことは可能である。しかし、その方法では、触媒金属微粒子12aが微小になるため、カーボンナノチューブ20aが所要の高さまで成長しなくなるなどの弊害が発生する。
【0029】
そこで、本実施形態では、シリコーンゴムシートの伸縮性を利用して、単位面積あたりのカーボンナノチューブ20aの密度を向上させる。
【0030】
詳しく説明すると、
図3に示すように、伸縮性を有するシリコーンゴムシート30を用意する。シリコーンゴムシート30は、平面視して四角形状であり、その厚みは1mm以下、例えば、0.2mm〜0.3mmである。
【0031】
次いで、
図4に示すように、シリコーンゴムシート30を引き伸ばすための引き伸ばし装置40を用意する。引き伸ばし装置40では、平面視して四角形状の平板部41上の中央部にステージ42が配置されている。
【0032】
平板部41上の四辺の縁部には巻き付け用のローラ43がそれぞれ配置されている。各ローラ43は、横置きにした円柱形状又は円筒形状からなり、その両端に径が小さい支持軸43aをそれぞれ備えている。
【0033】
各ローラ43の両端側には支持部材44がそれぞれ立設している。そして、各ローラ42の両端の支持軸43aが支持部材44に連結されている。各支持部材44の外側には、ローラ43を回転させるための回転用ハンドル45が配置されている。回転用ハンドル45を円弧状に回すことによりローラ43が連動して回転する。
【0034】
このような引き伸ばし装置40のステージ42の上に、前述した
図3のカーボンナノチューブ集合体20が形成されたシリコン基板10を配置する。
図4のシリコン基板10及びカーボンナノチューブ集合体20は、
図2及び
図3のスケールから縮小されて描かれている。
【0035】
さらに、引き伸ばし装置40のローラ43に
図3のシリコーンゴムシート30を巻き付けて固定する。このとき、平面視すると、四角形状のシリコーンゴムシート30の四辺の縁部が各ローラ43にそれぞれ固定される。さらに、回転用ハンドル45を回してシリコーンゴムシート30を各ローラ43に巻き付けて引き伸ばす。
【0036】
このとき、回転用ハンドル45は、シリコーンゴムシート30をローラ43に巻き付けて引き伸ばす際に、所定の位置で固定できるようになっている。また、ローラ43は上下方向に移動でき、高さ位置を調整できるようになっている。
【0037】
また、引き伸ばし装置40は、シリコーンゴムシート30にカーボンナノチューブ20aを圧着するための押圧ローラ46を備えている。押圧ローラ46は支持体(不図示)で支持されており、押圧ローラ46の高さ位置及び押圧力を調整できるようになっている。押圧ローラ46は、横置きした円柱形状又は円筒形状からなり、その長さはステージ42の一辺の長さに対応している。
【0038】
このようにして、シリコーンゴムシート30を用意し、シリコーンゴムシート30を引き伸ばした状態にする。
【0039】
次いで、
図5に示すように、シリコン基板10上の各カーボンナノチューブ20aの上端部に、引き伸ばされたシリコーンゴムシート30の下面が接触するように、ローラ43の高さ位置を調整する。
【0040】
さらに、押圧ローラ46をシリコーンゴムシート30の上面に当接させる。そして、
図5及び
図6に示すように、シリコーンゴムシート30を押圧ローラ46で所定の圧力で下側に押圧した状態で、押圧ローラ46をシリコーンゴムシート30上で回転させながら水平方向に移動させる。
【0041】
これにより、
図6の部分拡大図に示すように、各カーボンナノチューブ20aの先端部がシリコーンゴムシート30の下面に突き刺さった状態となる。
【0042】
シリコーンゴムシート30は適度に柔らかい特性を有する。このため、押圧ローラ46でシリコーンゴムシート30を下側に押圧することにより、各カーボンナノチューブ20aの先端部がシリコーンゴムシート30の下面に突き刺さって仮固定される。
【0043】
このように、本実施形態では、粘着剤などの接着樹脂を使用することなく、各カーボンナノチューブ20aをシリコーンゴムシート30の下面に直接、仮固定することができる。
【0044】
このため、カーボンナノチューブ20aの先端部に粘着剤などの接着樹脂が残されることがなく、クリーンな状態とすることができる。粘着剤などの接着樹脂は熱伝導性が悪いため、カーボンナノチューブ20aの先端部に接着樹脂が付着すると、熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、放熱性が悪くなる。
【0045】
また、本実施形態では、シリコーンゴムシート30を引き伸ばす工程は、加熱することなく常温の雰囲気で容易に行うことができる。常温は、15℃〜25℃程度の温度である。
【0046】
このように、上記したような簡易な構造の引き伸ばし装置40を使用することで、引き伸ばしたシリコーンゴムシート30にカーボンナノチューブ20aを容易に仮固定することができる。
【0047】
続いて、
図7に示すように、引き伸ばし装置40のローラ43を上側に移動しながら、カーボンナノチューブ集合体20をシリコン基板10から引き剥がす。
【0048】
さらに、
図8に示すように、引き伸ばし装置40のローラ43からシリコーンゴムシート30を解放する。これにより、引き伸ばし装置40によって引き伸ばされていたシリコーンゴムシート30が収縮して前述した
図3の元の状態に戻る。
図8のカーボンナノチューブ集合体20は、
図7のスケールから前述した
図2及び
図3と同じスケールに拡大されて描かれている。
【0049】
このように、引き伸ばされたシリコーンゴムシート30に各カーボンナノチューブ20aが仮固定された後に、シリコーンゴムシート30が収縮して元に戻る。
【0050】
このため、
図2及び
図8を比較してみると、前述した
図2で形成された各カーボンナノチューブ20aの間隔D1は、
図8に示すように、シリコーンゴムシート30が収縮した分だけ狭くなり、間隔D2となる。
【0051】
前述したように、
図2の状態では、シリコン基板10上でのカーボンナノチューブ20aの単位面積あたりの密度は2〜3%である(比較例)。これに対して、本実施形態のように、シリコーンゴムシート30の伸縮性を利用することにより、シリコーンゴムシート30上でのカーボンナノチューブ20aの単位面積あたりの密度を例えば10%程度まで向上させることができる。
【0052】
このように、単位面積あたりのカーボンナノチューブ20aの密度を比較例の3倍〜4倍程度、例えば3.5倍に向上させることができる。最終的に得られるカーボンナノチューブ20aの単位面積あたりの密度は、シリコーンゴムシート30の引き伸ばしの度合によって調整することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、カーボンナノチューブ集合体20が形成された領域がシリコーンゴムシート30の収縮によって小さくなる。
【0054】
このため、所要の面積のカーボンナノチューブシートを得るためには、前述した
図2の工程において、シリコーンゴムシート30の収縮量を考慮して、カーボンナノチューブ形成領域を広く区画しておく必要がある。
【0055】
また、本実施形態では、シリコーンゴムシート30を使用するため、引き伸ばされたシリコーンゴムシート30は解放するだけで収縮する。このように、加熱によって収縮する収縮性シートを使用する場合と違って、加熱することなく常温の雰囲気でシリコーンゴムシート30を容易に収縮させることができる。
【0056】
次いで、
図9に示すように、
図8の構造体を上下反転させる。さらに、熱硬化性樹脂シート50aをカーボンナノチューブ集合体20の上に配置する。
【0057】
続いて、押圧部材(不図示)で熱硬化性樹脂シート50aを下側に押圧しながら、温度:200℃、処理時間:1分の条件で加熱処理を行う。これにより、
図10に示すように、カーボンナノチューブ集合体20の上に配置した熱硬化性樹脂シート50aを軟化させ、各カーボンナノチューブ20aの隙間に樹脂を流し込んで含侵させる。
【0058】
このようにして、複数のカーボンナノチューブ20aの隙間に熱硬化性樹脂50が含浸される。
【0059】
上記した樹脂の加熱条件を採用すると、この時点では、熱硬化性樹脂50はまだ未硬化の状態となっている。
【0060】
以上により、カーボンナノチューブ集合体20が熱硬化性樹脂50で一体化されてシート状になる。
【0061】
このとき、シリコーンゴムシート30側のカーボンナノチューブ20aの基端部Aの周囲が、熱硬化性樹脂50が形成されない空隙となるように、熱硬化性樹脂50の含浸量を調整する。
【0062】
これは、熱硬化性樹脂50がシリコーンゴムシート30に接触すると、カーボンナノチューブ集合体20をシリコーンゴムシート30から引き剥がしにくくなるためである。空隙の領域の基端部Aの高さは、例えば、20μm〜30μm程度である。
【0063】
一方、カーボンナノチューブ20aの先端部Bは未硬化の熱硬化性樹脂50で被覆された状態となる。
【0064】
なお、熱硬化性樹脂50の代わりに、熱可塑性樹脂を同様にカーボンナノチューブ集合体20に含浸させてもよい。
【0065】
次いで、
図11に示すように、カーボンナノチューブ集合体20をシリコーンゴムシート30から引き剥がす。このとき、前述したように、熱硬化性樹脂50がシリコーンゴムシート30に接着していないため、カーボンナノチューブ集合体20をシリコーンゴムシート30から容易に引き剥がすことができる。
【0066】
以上により、実施形態のカーボンナノチューブシート1が得られる。
【0067】
実施形態のカーボンナノチューブシート1は、垂直方向に配向された複数のカーボンナノチューブ20aが横方向に微細な隙間を空けて並んで配列されている。
【0068】
複数のカーボンナノチューブ20aによってカーボンナノチューブ集合体20が形成される。平面視すると、カーボンナノチューブ集合体20は四角状に形成されている。
【0069】
カーボンナノチューブ集合体20の隙間には未硬化の熱硬化性樹脂50が形成されている。各カーボンナノチューブ20aの基端部Aは熱硬化性樹脂50から露出している。そして、各カーボンナノチューブ20aの基端部Aには、熱伝導性の悪い粘着剤などの接着樹脂が付着しておらず、クリーンな状態となっている。一方、各カーボンナノチューブ20aの先端部Bは未硬化の熱硬化性樹脂50によって被覆されている。
【0070】
前述したように、本実施形態のカーボンナノチューブシートの製造方法では、まず、シリコン基板10の上に複数のカーボンナノチューブ20aを成長させる。
【0071】
次いで、シリコーンゴムシート30を引き伸ばした状態にし、複数のカーボンナノチューブ20aの先端部をシリコーンゴムシート30の下面に突き刺して仮固定する。
【0072】
さらに、カーボンナノチューブ集合体20をシリコン基板10から引き剥がす。その後に、シリコーンゴムシート30を解放して収縮させて元の状態に戻す。
【0073】
このようにすることにより、シリコーンゴムシート30の収縮分だけカーボンナノチューブ20aの間隔が狭くなり、単位面積当たりのカーボンナノチューブ20aの密度を向上させることができる。
【0074】
これにより、半導体素子などの発熱体及び放熱部材とのトータルの接触面積を大きくすることができるので、高い熱伝導度を有するカーボンナノチューブの本来の特性を引き出すことができる。
【0075】
前述した実施形態では、伸縮性シートとして、シリコーンゴムシート30を使用したが、天然ゴム又は合成ゴムを使用してもよい。つまり、粘着剤などの接着樹脂を使用することなく、カーボンナノチューブ20aを突き刺して仮固定できる適度に柔らかいゴム材料であれば使用することができる。
【0076】
次に、
図11のカーボンナノチューブシート1を熱伝導性シートとして使用する半導体装置の製造方法について説明する。
【0077】
図12(a)に示すように、まず、配線基板60を用意する。配線基板60は、上面側に銅などからなる接続パッドPを備え、下面側にはんだなどからなる外部接続端子Tを備えている。接続パッドPは、配線基板60の内部に形成された多層配線(不図示)を介して外部接続端子Tに電気的に接続されている。
【0078】
次いで、
図12(b)に示すように、下面側にバンプ電極72を備えた半導体素子70(LSIチップ)を用意する。そして、半導体素子70のバンプ電極72をはんだ(不図示)を介して配線基板60の接続パッドPにフリップチップ接続する。半導体素子70としては、動作時に発熱量が大きなCPUチップなどが使用される。
【0079】
その後に、半導体素子70と配線基板60との隙間にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0080】
次いで、
図13に示すように、前述した
図11のカーボンナノチューブシート1を半導体素子70の上面に配置する。カーボンナノチューブシート1は、カーボンナノチューブ集合体20が熱硬化性樹脂50で被覆されている面側が下側になるように、半導体素子70の上面に配置される。
【0081】
続いて、同じく
図13に示すように、放熱部材としてヒートスプレッダ80を用意する。ヒートスプレッダ80は、平板部82と、その周縁から下側に突き出る環状の突出部84とを備えており、下面側の中央部に凹部Cが設けられている。ヒートスプレッダ80の一例としては、無酸素銅部材の外面にニッケルめっきを施したものが使用される。
【0082】
そして、ヒートスプレッダ80の突出部84を熱硬化性の接着剤86を介して配線基板60の周縁部に配置する。
【0083】
次いで、
図14に示すように、押圧部材(不図示)でヒートスプレッダ80を下側に押圧しながら、温度:250℃、処理時間:20〜30分の条件で加熱処理を行う。
【0084】
このとき、ヒートスプレッダ80の凹部Cの底面がカーボンナノチューブシート1の各カーボンナノチューブ20aの上端に当接するように、ヒートスプレッダ60の凹部Cの深さが調節されている。
【0085】
これにより、カーボンナノチューブシート1の下側の未硬化の熱硬化性樹脂50が流動して横方向に押し出される。これにより、カーボンナノチューブシート1の各カーボンナノチューブ20aの下端が半導体素子70の上面に接触した状態となる。また、カーボンナノチューブシート1の各カーボンナノチューブ10aの上端は元々露出しているため、ヒートスプレッダ60の凹部Cの底面に接触した状態となる。
【0086】
この加熱処理により、カーボンナノチューブシート1の熱硬化性樹脂50が完全に硬化する。
【0087】
これにより、カーボンナノチューブシート1の上面とヒートスプレッダ60の凹部Cの底面とが熱硬化性樹脂50によって接着される。また同時に、カーボンナノチューブシート1の下面と半導体素子70の上面とが熱硬化性樹脂50によって接着される。さらに同時に、ヒートスプレッダ80の突出部84が配線基板60の周縁部に熱硬化性の接着剤86によって接着される。
【0088】
以上により、実施形態の半導体装置2が製造される。
【0089】
なお、カーボンナノチューブシート1の上面側をヒートスプレッダ60の凹部Cの底面に押圧して接着した後に、カーボンナノチューブシート1の下面側を半導体素子70の上面に接着してもよい。
【0090】
図14に示すように、実施形態の半導体装置2は、前述した
図12(a)で説明した配線基板60の接続パッドPに半導体素子70のバンプ電極72がフリップチップ接続されている。半導体素子70と配線基板60の間にアンダーフィル樹脂74が充填されている。
【0091】
また、配線基板60の周縁部にはヒートスプレッダ80の環状の突出部84が接着剤86よって接着されている。これにより、ヒートスプレッダ80の凹部C内に半導体素子70が収容されている。
【0092】
半導体素子70の上面とヒートスプレッダ80の凹部Cの底面との間の領域に、熱伝導性シートとして
図11のカーボンナノチューブシート1が設けられている。カーボンナノチューブシート1の各カーボンナノチューブ20aの下端が半導体素子70の上面に接触している。また、カーボンナノチューブシート1の各カーボンナノチューブ20aの上端がヒートスプレッダ80の凹部Cの底面に接触している。
【0093】
前述したように、本実施形態のカーボンナノチューブ1では、半導体素子70の上面及びヒートスプレッダ80の凹部の底面において、単位面積当たりのカーボンナノチューブ20aの密度を比較例の3.5倍程度に向上させることができる。
【0094】
これにより、高い熱伝導度を有するカーボンナノチューブの本来の特性を引き出すことができる。よって、半導体素子70から発する熱を、カーボンナノチューブシート1を介してヒートスプレッダ80側に十分に伝導して放熱することができる。
【0095】
本願発明者の実験によれば、単位面積当たりのカーボンナノチューブの密度を比較例の3.5倍程度に向上させたカーボンナノチューブシートでは、熱伝導率が4倍程度に向上することが確認された。
【0096】
なお、特に図示しないが、
図14の半導体装置2のヒートスプレッダ80の上に熱伝導材を介してヒートシンクをさらに設けてもよい。ヒートシンクは、平板部とその上に突き出る多数の放熱フィンとから形成される。
【0097】
あるいは、
図14の半導体装置2のヒートスプレッダ80の上に熱伝導材を介してヒートパイプがさらに設けられていてもよい。ヒートパイプでは、密閉したパイプ内に封入された作動液体の蒸発・凝縮の相変化で熱を輸送して放熱する。