特許第6283476号(P6283476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283476
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ用の光学アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180208BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20180208BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G02B17/08 A
   G02B5/08
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-100482(P2013-100482)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-239709(P2013-239709A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】10 2012 207 865.7
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シャールンウェバー
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−045784(JP,A)
【文献】 特開2005−294622(JP,A)
【文献】 特開2009−253214(JP,A)
【文献】 特開2004−289116(JP,A)
【文献】 特開2012−060178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合位置と中立位置との間で変位可能なEUVリソグラフィ用の光学アセンブリ(21)であって、
出力結合ミラー(22)と、
拡散ミラー(23)と、
入力結合ミラー(24)と、
を備え、
前記結合位置において、
前記出力結合ミラー(22)は、EUV光(3)を照明ビーム経路から出射結合し、
前記拡散ミラー(23)は、前記出力結合ミラー(22)の下流において前記光学アセンブリ(21)のビーム経路内にあり、
前記入力結合ミラー(24)は、拡散反射した前記EUV光(3)を前記照明ビーム経路に結合するため、前記拡散ミラー(23)の下流において前記光学アセンブリ(21)の前記ビーム経路内にあり、
前記中立位置において、前記照明ビーム経路から除去される、
EUVリソグラフィ用の光学アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリにおいて、前記拡散ミラー(23)は、反射EUV多層コーティング(26)を有するマイクロ構造又はナノ構造基板(25)を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアセンブリにおいて、前記出力結合ミラー(22)及び前記入力結合ミラー(24)を共通のミラーキャリア(27)に配置したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、前記出力結合ミラー(22)及び前記入力結合ミラー(24)を共通のミラー基板(27)の鏡面として具現したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、前記出力結合ミラー(22)及び前記入力結合ミラー(24)を変位駆動装置(28)に機械的に接続したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
結像させる物体(14)を配置できる物体視野(15)を照明するEUVリソグラフィ用の照明光学ユニット(29)であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(21)を特徴とする照明光学ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の照明光学ユニットにおいて、EUV光(3)の反射に用いる瞳ファセットの配置に応じて物体照明の照明角分布を事前規定する複数の瞳ファセットを有し、前記光学アセンブリ(21)を下流に配置した瞳ファセットミラー(8)を特徴とする照明光学ユニット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の照明光学ユニットにおいて、前記光学アセンブリ(21)を前記照明光学ユニット(20)の照明ビーム経路に近接場配置したことを特徴とする照明光学ユニット。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(20)を操作する方法であって、
照明設定を事前規定するステップと、
第1照明設定で少なくとも1つの物体照明を実行するステップと、
光学アセンブリ(21)を照明ビーム経路に導入するステップと、
前記光学アセンブリ(21)を前記照明ビーム経路に導入した状態で、物体面(13)において計量測定を実行するステップと、
前記光学アセンブリ(21)を前記照明ビーム経路から除去するステップと、
前記照明設定で少なくとも1つの物体照明を実行するステップと
を含む方法。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(20)と、物体視野(15)を像視野(17)に結像する投影光学ユニット(16)とを備えた光学系。
【請求項11】
投影露光装置(1)であって、請求項10に記載の光学系とEUV光源(2)とを備えた投影露光装置。
【請求項12】
構造化コンポーネントを製造する方法であって、
感光材料からなる層を少なくとも部分的に塗布したウェハ(19)を準備するステップと、
結像させる構造を有するレチクル(14)を準備するステップと、
請求項11に記載の投影露光装置(1)を準備するステップと、
前記投影露光装置(1)を用いて前記レチクル(14)の少なくとも一部を前記ウェハ(19)の前記層の領域に投影するステップと、
照明設定の変更時又は変更前に請求項9に記載の方法を実行するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EUVリソグラフィ用の光学アセンブリに関する。さらに、本発明は、当該光学アセンブリを備えた照明光学ユニット、当該照明光学ユニットの操作法、当該照明光学ユニットを備えた光学系、当該光学系を備えた投影露光装置、当該投影露光装置及び照明光学ユニット操作法を用いてマイクロ構造又はナノ構造コンポーネントを製造する方法、及びこのようにして製造したマイクロ構造又はナノ構造コンポーネント、特に半導体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
EUV投影露光装置は、特許文献1及び特許文献2から既知である。投影露光装置の照明パラメータ又は結像パラメータを測定するためには、これらのパラメータを測定するいわゆる計量プロセスを実行する必要がある。これらの計量プロセスでは、光源パラメータの特性化及び/又は照明される物体視野を結像するための投影光学ユニットのパラメータの特性化のために、照明される照野に照明光が全許容照明角からできる限り均一に当たる照明を事前規定する必要がある。この照明モードを充足瞳(filled pupil)とも称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0122384号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2009 047 316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、時間の無駄をできる限り抑えてこのような計量プロセスを行うことができる光学アセンブリを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、出力結合ミラー、拡散ミラー、及び入力結合ミラーを備えた光学アセンブリを用いて、充足瞳を迅速にもたらすことができることが認識された。充足瞳を形成するための照明光学ユニットの他のコンポーネントの複雑な再配置は不要である。光学アセンブリは、既存の照明光学ユニット内に後付けするよう具現することができる。
【0006】
請求項2に記載の拡散ミラーは、充足瞳を形成するEUV照明光の拡散仕様を実現するのに特に適している。
【0007】
請求項3〜5に記載のアセンブリの実施形態が特に適していることが判明した。
【0008】
照明ビーム経路への結合位置でのアセンブリの位置決めは、少なくとも1つの絞りによって正確に事前規定することができる。
【0009】
請求項6に記載の照明光学ユニットの利点は、本発明によるアセンブリに関してすでに上述した利点に対応する。
【0010】
拡散アセンブリの利点は、請求項7に記載の瞳ファセットミラーを有する照明光学ユニットに関連して特に明確に現れる。瞳ファセットミラーは、照明光学ユニットの照明瞳の領域に配置する。
【0011】
請求項8に記載の拡散アセンブリの近接場配置により、瞳が物体視野内の位置とは実質的に無関係に拡散ミラーの影響を受ける。拡散アセンブリは、拡散アセンブリのコンポーネントの位置パラメータPについて≦0.4が当てはまる場合に近接場配置される。Pの定義に関しては、国際公開第2009/024164号明細書を参照されたい。
【0012】
請求項9に記載の操作法の利点は、拡散アセンブリ及びそれを備えた照明光学ユニットに関してすでに上述した利点に対応する。照明光学ユニットの操作は、第1照明設定を事前規定して少なくとも1つの物体照明をその設定で実行した後に、拡散アセンブリを照明ビーム経路に導入し、続いてそれにより形成された充足瞳で計量測定を物体面及び/又は像面において実行し、その後に投影露光を第1照明設定で続行するか又はさらに別の照明設定を事前規定するように行うことができる。このとき、拡散アセンブリを照明ビーム経路から除去した後に、投影露光を続行することができる。
【0013】
したがって、各操作法を用いて、光源及び/又は投影光学ユニットの基本パラメータを測定するか、又は当該基本パラメータに対する照明設定の変更の影響を求めることができる。
【0014】
請求項10に記載の光学系、請求項11に記載の投影露光装置、請求項12に記載の製造法、及びそれにより製造したデバイス又はコンポーネントの利点は、照明光学ユニットに関してすでに上述した利点に対応する。特に、極めて高い構造分解能を有する半導体チップを製造することが可能である。
【0015】
本発明の例示的な実施形態を、図面を参照してより詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】マイクロリソグラフィ用の投影露光装置を概略的に、照明光学ユニットに関して子午断面(meridional section)で示す。
図2図1に示す目視方向とは逆の目視方向から見た、拡散ミラーで照明光を拡散させるための照明光出力及び入力結合の領域の図1に示す投影露光装置からの抜粋を示す。
図3】拡散ミラーでの反射時の拡散ミラーによる照明光の拡散を示す図1からの抜粋を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
マイクロリソグラフィ用の投影露光装置1は、マイクロ構造又はナノ構造電子半導体コンポーネントを製造する役割を果たす。光源2が、例えば5nm〜30nmの波長範囲のEUV放射線を放出する。光源2は、例えば、LPP(レーザ生成プラズマ)光源又はDPP(放電生成プラズマ)光源であり得る。使用放射線ビーム3の形態の照明光を、投影露光装置1内の照明及び結像に用いる。EUV投影露光に用いる波長帯又は使用放射線ビーム3の目標波長範囲は、例えば13.5nm±1nmである。異なる目標波長範囲、例えば5nm〜17nmも可能である。使用波長帯の帯域幅は、0.1nm〜2nmであり得る。光源2の下流で、使用放射線ビーム3は最初にコレクタ4を通過し、コレクタ4は、例えば従来技術から既知の多殻構成を有する入れ子式コレクタ(nested collector)であり得る。コレクタ4の下流で、使用放射線ビーム3は最初に中間焦点面5を通過し、中間焦点面5は、使用放射線ビーム3を不要な放射線又は粒子部分から分離するのに用いることができる。中間焦点面5を通過した後に、使用放射線ビーム3は視野ファセットミラー7に当たる。
【0018】
視野ファセットミラー7は、従来技術から既知のように、視野ファセットのファセット配置を有する。上記視野ファセットは矩形又は弧状であり、それぞれが同じアスペクト比を有する。同じく従来技術から既知のように、視野ファセットは、視野ファセットミラー7の反射面を予め定め、視野ファセット群の複数の列に区分される。視野ファセットミラー7は、複数の個別ミラーを有するマルチミラーアレイとして具現することができ、複数の上記個別ミラーがそれぞれ視野ファセットミラー7の視野ファセットの1つを予め定める。視野ファセットミラー7のこのようなマルチミラーアレイ実施形態は、米国特許出願公開第2011/0001947号明細書から既知である。
【0019】
位置関係の説明を容易にするために、xyz座標系をそれぞれ図示する。図1において、x軸は図平面に対して垂直に図平面に向かって延びる。y軸は、図1の左側に延びる。z軸は、図1の上方に延びる。
【0020】
視野ファセットミラー7で反射した後に、個々の視野ファセットに割り当てた光線束又は照明チャネルに分かれた使用放射線ビーム3は、瞳ファセットミラー8に当たる。
【0021】
瞳ファセットミラー8の瞳ファセットは、従来技術から既知のように丸形である。瞳ファセット8に関して他の形状、例えば、矩形、正方形、菱形、又は六角形も可能である。瞳ファセットミラー8の瞳ファセットは、中心の周りに幾重にも設けたファセットリングとして配置する。瞳ファセットを視野ファセットの1つが反射した各光線束に割り当てることで、視野ファセットの1つ及び瞳ファセットの1つを含む入射を受ける各ファセット対が、使用放射線ビーム3の関連光線束に対するビーム誘導又は照明チャネルを予め定めるようにする。視野ファセットへの瞳ファセットのチャネル毎の割り当ては、投影露光装置1による所望の照明に応じて行う。特定のミラーファセットを駆動する目的で、視野ファセットを個別に傾斜させる。
【0022】
瞳ファセットミラー8と3つのEUVミラー9、10、11からなる下流の伝達光学ユニット12とを介して、視野ファセットを投影露光装置1の物体面13に結像させる。EUVミラー11は、斜入射用のミラー(斜入射ミラー)として具現する。物体面13にはレチクル14を配置し、レチクル14から、使用放射線ビーム3で投影露光装置1の下流の投影光学ユニット16の物体視野15を照明する。使用放射線ビーム3は、レチクル14から反射される。レチクル14は、レチクルホルダ(図示せず)により担持され、レチクルホルダはさらに、レチクルホルダをy方向に沿って制御下で変位させるレチクルホルダ駆動装置(同様に図示せず)により駆動される。スキャナとしての投影露光装置1の実施形態では、y方向は走査方向を表す。
【0023】
投影光学ユニット16は、物体面13の物体視野15を像面18の像視野17に結像する。上記像面18にはウェハ19を配置し、ウェハ19は、投影露光装置1による投影露光中に露光される感光層を保持する。ウェハ19は、ウェハホルダ(図示せず)により担持され、ウェハホルダはさらに、ウェハ変位駆動装置(同様に図示せず)により制御下で駆動される。投影露光中、レチクル14及びウェハ19の両方をy方向に同期させて走査する。投影露光装置1はスキャナとして具現する。走査方向は、以下で物体変位方向とも称する。
【0024】
視野ファセットミラー7、瞳ファセットミラー8、及び伝達光学ユニット12のミラー9〜11は、投影露光装置1の照明光学ユニット20及び光源2の一部である。
【0025】
EUVミラー11と物体視野15との間の照明ビーム経路には、光学拡散アセンブリ21を配置し、光学拡散アセンブリ21は、図2において拡大して図1に対して逆の目視方向から示す。拡散アセンブリ21は、瞳ファセットミラー8の下流に配置する。
【0026】
拡散アセンブリ21は、照明光3を照明ビーム経路から出射結合する出力結合ミラー22を有する。さらに、拡散アセンブリは、出力結合ミラー22の下流の拡散アセンブリ21のビーム経路内の拡散ミラー23と、拡散反射した照明光3を照明ビーム経路に結合するための、拡散ミラー23の下流の拡散アセンブリ21のビーム経路内の入力結合ミラー24とを有する。
【0027】
拡散ミラー23は、反射EUV多層コーティング26を有するマイクロ構造又はナノ構造基板25を有する。
【0028】
拡散ミラーを製造するための基板25のマイクロ構造化又はナノ構造化は、Naulleau et al. Applied Optics, 2004, 5323に記載されている構造化のようにすることができる。
【0029】
マイクロ構造化又はナノ構造化は、特許文献1及び特許文献2に記載の窪み及び/又は隆起のように具現することができる。
【0030】
対応の構造を、基板25のサンドブラストにより作製することができる。
【0031】
図3は、入射照明光3に対する拡散ミラー23の拡散効果を示す。入射照明光3が発散せずに入射することを理想的には想定すべきである。拡散ミラー23で反射した後に、照明光3に関して拡散又は発散角σが形成される。この拡散角σは、2°〜8°の半値全幅であり、例えば4°、4.5°、5°、5.5°、6°、6.5°、又は7°であり得る。
【0032】
拡散アセンブリ21において、出力結合ミラー22及び入力結合ミラー24を共通のミラーキャリア27上に配置する。ミラーキャリア27は、90°プリズムとして具現し、2つのミラー22、24は、プリズムミラーキャリア27の隣辺面(cathetus surfaces)を表す。したがって、出力結合ミラー22及び入力結合ミラー24は、共通のミラー基板の、すなわちプリズムミラーキャリア27の鏡面として具現する。
【0033】
2つのミラー22、24は、ミラー変位駆動装置28に機械的に接続する。変位駆動装置28により、ミラーキャリア27は、図1及び図2に示す、拡散ミラー23を介して照明光3を誘導する結合位置と、図示していない、照明光3が拡散アセンブリ21で反射しない、すなわちEUVミラー11から物体視野15へ向けて反射せずに誘導される中立位置との間で変位させることができる。図1及び図2に示す結合位置でのミラーキャリア27の位置決めは、少なくとも1つの精密絞り(precision stop)(図示せず)により行われる。
【0034】
中立位置と結合位置との間の拡散アセンブリ21の切り替えは、7秒未満、5秒未満、3秒未満の期間で、さらには1秒未満の期間で行うことができる。
【0035】
光学拡散アセンブリ21は、近接場配置される。拡散アセンブリ21の場合、近接場を特徴付けるパラメータPはP≦0.4である。
【0036】
国際公開第2009/024164号明細書によれば、パラメータPは、
P(M)=D(SA)/(D(SA)+D(CR))
として定義される。
【0037】
ここで以下が当てはまる。D(SA)は、コンポーネントMのビーム整形面の、すなわちこの場合は拡散ミラー23の拡散面のサブ開口の直径である。D(CR)は、レンズ16により結像された有効物体視野から生じた主光線の、基準面で(例えば対称面又は子午面で)測定した、Mのビーム整形面に対する最大距離である。
【0038】
投影露光装置1の視野面において、すなわち例えば視野ファセットミラー7の場所、物体視野15の場所、又は像視野17の場所において、パラメータP=0である。投影露光装置1の瞳面において、すなわち例えば瞳ファセットミラー8の場所において、パラメータP=1である。
【0039】
拡散アセンブリ21を中立位置から結合位置へ切り替えることにより、物体面13における計量測定を投影露光装置1により実行することができる。これは特に、光源2のパラメータ、投影光学ユニット16のパラメータ、又はさらに他の機械パラメータ、すなわちウェハ19に対するレチクル14のアライメント等の投影露光装置1のパラメータを、所定値との適合に関して調べるために用いることができる。計量測定を支援するために、投影光学ユニット16の視野面の1つに、特に像面18に配置した波面センサを利用することができる。このような波面センサは従来技術から既知である。
【0040】
照明設定は、照明光学ユニット20内の照明光が当たる照明チャネルを対応して選択することにより事前規定することができる。これは、視野ファセットの傾斜の駆動により行うことができ、照明設定が異なれば、瞳ファセットミラー8の瞳ファセットの異なるサブ集合体(sub-ensembles)に照明光3が当たる。
【0041】
照明光学ユニット20の動作中、最初に第1照明設定を、瞳ファセットミラー8の瞳ファセットのサブ集合体を対応して選択することにより事前規定する。少なくとも1つの物体照明、すなわちレチクル14を用いた投影露光を、続いて第1照明設定で実行する。この場合、拡散アセンブリ21は、最初は中立位置のままである。拡散アセンブリ21を、続いて中立位置から結合位置へ移行させ、すなわちEUVミラー11と物体視野15との間の照明ビーム経路に導入する。その後、拡散アセンブリ21を照明ビーム経路に導入した状態で、物体面13において計量測定を実行する。その後、拡散アセンブリを中立位置へ移行させ、すなわち照明ビーム経路から除去する。続いて、少なくとも1つのさらに別の物体照明をその照明設定内で実行する。光源及び/又は投影光学ユニットの基本パラメータを調べ並びに/又はレチクル14のパラメータを調べるために、事前設定した照明設定に関係なく拡散アセンブリを照明ビーム経路に導入することができる。その後、拡散アセンブリにより照明瞳が充足されれば、物体面及び/又は像面において計量測定を実行することが可能である。それから、拡散アセンブリを照明ビーム経路から除去した後に、投影露光を続行することができる。さらなる投影露光の過程で、瞳ファセットミラー8の瞳ファセットの異なるサブ集合体に照明光3を当てることにより、異なる照明設定を事前規定してもよい。
【0042】
マイクロ構造又はナノ構造コンポーネント、特に半導体コンポーネントをリソグラフィで製造するために、投影露光装置1を用いて、レチクル14の少なくとも一部をウェハ19の感光層の領域に結像させる。スキャナ又はステッパとしての投影露光装置1の実施形態に応じて、レチクル14及びウェハ19をスキャナ動作で連続的に又はステッパ動作で段階的に、y方向に時間同期させて移動させる。
【0043】
多層コーティングは、異なる屈折率を有する材料からなる層の、例えばモリブデン及びシリコンからなる交互層の配列、特に二層配列であり得る。
【0044】
投影露光中、上述のように、照明設定が変わる限り照明光学ユニットを操作する。
【0045】
投影露光中、同一の物体構造を2つ以上の照明設定で照明することができる。すなわち、同一の物体構造の多重露光を実行することができる。代替的に、異なる照明設定での照明を必要とする異なる物体構造を連続的に露光するために、照明設定を変えることができる。
図1
図2
図3