(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の検査点に電気的に接続される芯状プローブ、及び、前記芯状プローブの外側に当該芯状プローブと絶縁された状態で配置され、前記検査点に電気的に接続される筒状プローブで構成される複数のプローブと、
前記芯状プローブの外周面と接触することで電気的に接続される内筒電極部、及び、当該内筒電極部の外側に、当該内筒電極部と絶縁された状態で配置され、前記筒状プローブと電気的に接続される外筒電極部で構成される複数の電極部と、
を備え、
前記筒状プローブには、当該筒状プローブの長手方向に弾性変形可能な2つのバネが当該長手方向に並べて形成されており、前記筒状プローブと前記芯状プローブとが絶縁された状態で接続されており、当該接続箇所が2つの前記バネの間である検査用治具を製造する方法において、
前記電極部が挿入された電極部挿入部と、前記プローブを挿入するためのプローブ挿入部と、を重ねた状態において、前記プローブを前記プローブ挿入部に挿入して、前記プローブと前記電極部とを接続するプローブ挿入工程と、
プローブ固定部を取り付けることで、前記プローブ挿入工程で挿入した前記プローブを固定するプローブ固定工程と、
を含むことを特徴とする検査用治具の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板が有する配線パターンを検査する基板検査装置が知られている。基板検査装置は、検査用治具を基板の検査点に接触させて配線間の抵抗値を測定することで、配線パターンを検査する。
【0003】
また、配線間の抵抗値を測定する方法として、4端子法が知られている。4端子法は、電流供給用のプローブと電圧計測用のプローブの2つのプローブを同時に検査点に接触させて検査を行う方法である。4端子法を用いることにより、電圧計測用のプローブと検査点との間に流れる電流を無視できるので、2箇所の検査点間の電圧が正確に計測でき、正確な抵抗値を求めることができる。
【0004】
従来、4端子法を用いる場合、並べて形成された1組の孔(2つの孔)のそれぞれにプローブが取り付けられた検査用治具を用いていた。しかし、近年の配線パターンの微細化によって検査点が小さくなったことにより、プローブ取付用の孔に要求される間隔が非常に狭くなり、加工技術の観点からこの種の検査用治具を製造することが困難となった。
【0005】
この点、特許文献1では、このように小さな検査点に対しても4端子法を用いることができる検査用治具を開示する。この検査用治具のプローブは、筒状の第1接触子と、第1接触子に挿入される棒状の第2接触子と、を備える。このような二重構造のプローブを用いることで、狭い間隔の孔を形成することなく、検査点の2箇所と導通を取ることができる。
【0006】
また、このプローブは、検査点の反対側の端部において、電極部に接続される。電極部は、リング状の第1電極部と、第1電極部の内部に配置される断面円形状の第2電極部と、で構成される。第1接触子は第1電極部と接触し、第2接触子は第2電極部と接触する。第1電極部及び第2電極部は、基板の検査処理を行う検査処理部に接続される。
【0007】
この構成により、小さな検査点に対しても4端子法を用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の検査用治具は、プローブ及び電極部が非常に小さいので、僅かな寸法の誤差があった場合でも、両者が適切に接続されず、電気的接続性が不安定になる。そのため、特許文献1の検査用治具は、高い寸法精度が要求されるため、加工コストが高くなってしまう。特許文献1の検査用治具は、この点において、改善の余地が残されていた。
【0010】
また、特許文献1では、第1接触子及び第1電極部プローブと、第2接触子及び第2電極部電極部と、はそれぞれ端面同士で接触しているだけであり、組立時等において位置ズレが生じ、電気的接続性が不安定になることも考えられる。
【0011】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、小さな検査点に4端子法を用いるための検査用治具であって、低コストかつ電気的接続性が安定した構成を提供することにある。
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0013】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の検査用治具が提供される。即ち、この検査用治具は、基板の検査点に接触する複数のプローブと、前記プローブと、前記基板に形成された配線の検査処理を行う検査処理部と、を電気的に接続する複数の電極部と、を備える。前記プローブは、芯状プローブと、筒状プローブと、を備える。前記芯状プローブは、前記検査点に電気的に接続される。前記筒状プローブは、前記芯状プローブの外側に、当該芯状プローブと絶縁された状態で配置され、前記検査点に電気的に接続される。
前記筒状プローブには、当該筒状プローブの長手方向に弾性変形可能な2つのバネが当該長手方向に並べて形成されており、前記筒状プローブと前記芯状プローブとが絶縁された状態で接続されており、当該接続箇所が2つの前記バネの間である。前記電極部は、内筒電極部と、外筒電極部と、を備える。前記内筒電極部は、挿入された前記芯状プローブの外周面と接触することで、当該芯状プローブに電気的に接続される。前記外筒電極部は、前記内筒電極部の外側に、当該内筒電極部と絶縁された状態で配置され、前記筒状プローブと電気的に接続される。
【0014】
これにより、仮に芯状プローブ又は内筒電極部の位置がズレていても、芯状プローブが内筒電極部に挿入される(位置決めされる)ので、芯状プローブと内筒電極部とを確実に電気的に接続することができる。更に、内筒電極部と芯状プローブとの接触面積を大きくすることができるので、電気的接続の安定性を向上させることができる。
【0015】
前記の検査用治具においては、前記芯状プローブの前記電極部側の端部には、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパ部が形成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、仮に芯状プローブ又は内筒電極部の位置がズレていても、テーパ部によって案内されつつ、芯状プローブが内筒電極部に挿入されるので、芯状プローブと内筒電極部との電気的接続の安定性を向上させることができる。
【0017】
前記の検査用治具においては、前記外筒電極部のプローブ側の端面が、前記内筒電極部のプローブ側の端面よりも、プローブ側に位置していることが好ましい。
【0018】
これにより、電極部のプローブ側の端面に外筒電極部のみが位置するので、電極部の端部を大きく開口させることができる。従って、芯状プローブをより確実に内筒プローブに案内することができる。
【0019】
前記の検査用治具においては、前記筒状プローブの前記電極部側の端面と、前記外筒電極部の前記プローブ側の端面と、が接触することで、前記筒状プローブと前記外筒電極部とが電気的に接続されることが好ましい。
【0020】
これにより、筒状プローブと外筒電極部の端面同士が接触するまで、芯状プローブが内筒電極部に挿入されるので、筒状プローブと外筒電極部を確実に電気的に接続することができる。
【0021】
前記の検査用治具においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この検査用治具は、前記電極部が挿入される電極部挿入部を備える。前記外筒電極部の前記プローブ側の端部には
、電極部側ストッパが形成されている。前記電極部側ストッパにより、前記電極部が前記電極部挿入部に保持される。
【0022】
これにより、電極部挿入部に電極部を挿入するだけで、当該電極部を保持させることができる
。
【0023】
前記の検査用治具においては、前記内筒電極部が絶縁体で被覆されていることが好ましい。
【0024】
これにより、簡単な構成で、内筒電極部と外筒電極部とを絶縁させることができる。
【0025】
前記の検査用治具においては
、前記バネが縮んだ状態で、前記
筒状プローブと前記
外筒電極部とが接続されることが好ましい。
【0026】
これにより、筒状プローブと外筒電極部の接圧を大きくすることができるので、筒状プローブと外筒電極部の電気的接続の安定性を向上させることができる。
【0027】
前記の検査用治具においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この検査用治具は、プローブ挿入部と、プローブ固定部と、を備える。前記プローブ挿入部は、前記プローブが挿入される。前記プローブ固定部は、前記プローブを前記プローブ挿入部に固定する。前記筒状プローブには、他の部分よりも外径が大きいプローブ側ストッパが形成されている。前記プローブ側ストッパと前記プローブ固定部とが接触することで、前記プローブが前記プローブ挿入部に固定される。
【0028】
これにより、プローブを電極部に挿入した後に、プローブ固定部を用いてプローブを固定することができる。従って、プローブと電極部とを確実に電気的に接続させることができる。
【0029】
前記の検査用治具においては、前記プローブの配置間隔が100μm以下であることが好ましい。
【0030】
これにより、プローブを並べて配置する構成が困難な状況においても、4端子法を用いることができる。
【0031】
前記の検査用治具においては、前記バネは、前記筒状プローブに螺旋状の切欠きが形成されている構成であることが好ましい。また、前記の検査用治具においては、前記外筒電極部の前記プローブ側の端部は、当該端部以外の部分よりも厚み及び外径が大きいことが好ましい。
【0032】
本発明の第4の観点によれば、上記の検査用治具の製造方法において、以下の工程を含む方法が提供される。即ち、この製造方法は、プローブ挿入工程と、プローブ固定工程と、を含む。前記プローブ挿入工程では、前記電極部が挿入された電極部挿入部と、前記プローブを挿入するためのプローブ挿入部と、を重ねた状態において、前記プローブを前記プローブ挿入部に挿入して、前記プローブと前記電極部とを接続する。前記プローブ固定工程では、プローブ固定部を取り付けることで、前記プローブ挿入工程で挿入した前記プローブを固定する。
【0033】
これにより、プローブを電極部に挿入した後に、プローブ固定部を用いてプローブを固定することができる。従って、プローブと電極部とを確実に電気的に接続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1を参照して、検査用治具1及び基板検査装置100の概要について説明する。
【0036】
基板検査装置100は、検査対象である基板の検査を行う。具体的には、基板検査装置100は、基板の所定の検査点間の抵抗値を求め、抵抗値及び導通の有無等を検査する。なお、検査対象の基板としては、通常のプリント基板だけでなく、フレキシブル基板、及び多層基板等も含まれる。
【0037】
基板検査装置100は、検査用治具1と、検査処理部2と、を備える。本実施形態では4端子法が用いられており、検査用治具1は、基板の検査点毎に2箇所接触する。
図1に示すように検査用治具1は、ベース部11と、支持部12と、電極部挿入部13と、プローブ挿入部14と、プローブ固定板(プローブ固定部)15と、を備える。
【0038】
ベース部11は、検査用治具1の基台を構成しており、一側に、支持部12が接続されるとともに、他側に、コネクタ部40が接続される。
【0039】
支持部12は、ベース部11から上方に延びる柱状の部材である。検査用治具1は、例えば4本の支持部12を備える。支持部12の上側には、電極部挿入部13が接続されている。
【0040】
電極部挿入部13は、無数の貫通孔が形成された直方体状の部材である。電極部挿入部13の貫通孔には、電極部30が挿入される。なお、電極部挿入部13に挿入された電極部30が保持される構成は後述する。電極部挿入部13の上側には、プローブ挿入部14が接続されている。
【0041】
プローブ挿入部14は、電極部挿入部13に形成された貫通孔と対応する位置に貫通孔が形成された直方体状の部材である。プローブ挿入部14の貫通孔には、プローブ20が挿入される。これにより、プローブ20と電極部30とが電気的に接続される。なお、電極部挿入部13及びプローブ挿入部14は、直方体ではなく、複数の板状の部材を重ねて構成しても良い。
【0042】
プローブ固定板15は、電極部挿入部13及びプローブ挿入部14に形成された貫通孔と対応する位置に貫通孔が形成された板状の部材である。プローブ固定板15は、プローブ挿入部14に挿入されたプローブ20を固定する(詳細は後述)。
【0043】
図1に示すように、プローブ固定板15からは、プローブ20の一部が露出する。検査用治具1は、この露出部分を基板の検査点に接触させる。検査点から得られた電気信号は、プローブ20を介して電極部30に伝達される。電極部30は、プローブ20との接続箇所から下方に延びるとともに、ベース部11の手前で一方向(
図1の左側)に案内されている。電極部30は、ベース部11に形成されたコネクタ部40に電気的に接続される。
【0044】
コネクタ部40は、電極部30と電気的に接続可能であるとともに、内部に配線が形成されている。コネクタ部40は、この配線、及び、コネクタ部40の外部に延出する電線等を介して、検査処理部2に接続される。
【0045】
以上で説明した構成により、検査処理部2は、基板と電気的に接続される。検査処理部2は、基板の所定の検査点間の電圧及び電流を計測することで、抵抗値を算出する。検査処理部2は、算出した結果が、予め定められた仕様を満たすか否かを判定する。
【0046】
次に、プローブ20の構成及び製造方法について
図2を参照して説明する。
図2は、プローブ20及びその構成要素を示す側面図及び断面図である。なお、プローブ20の説明において、
図2に示すように、基板の検査点に接触される側を基板側と称し、電極部30に接続される側を電極部側と称する。
【0047】
図2に示すように、プローブ20は、芯状プローブ21と、筒状プローブ24と、から構成されている。
図2(a)に示す芯状プローブ21は、断面円状の細長状の部材であり、導電性を有する素材(例えば金、銅、及びニッケル等、以下同様)から構成されている。芯状プローブ21には、検査接触部21aと、電極接続部21bと、テーパ部21cと、が形成されている。
【0048】
検査接触部21aは、芯状プローブ21の基板側の端部に形成された半球状の部分であり、基板の検査点に接続するための部分である。検査接触部21aを半球状にすることで、検査接触部21aを基板の検査点に適切に接続することができる。電極接続部21bは、電極部側の端部の近傍に形成された部分であり、電極部30に接続するための部分である。電極接続部21bより更に電極部側(先端側)には、テーパ部21cが形成されている。テーパ部21cは、電極部側に向かうに従って外径が細くなる。なお、テーパ部21cは、直線状のテーパに限られず、湾曲状のテーパであっても良い。
【0049】
また、芯状プローブ21には、検査接触部21a及び電極接続部21bを除く部分に、絶縁被覆部22が形成されている。絶縁被覆部22は、例えば電着によって形成することができる。
【0050】
図2(b)に示す筒状プローブ24は、筒状の導電性の部材である。筒状プローブ24には、検査接触部24aと、電極接触部24bと、接着部24cと、バネ24dと、が形成されている。検査接触部24aは、基板側の端部であり、検査接触部21aと同じ検査点に接続するための部分である。電極接触部24bは、電極部側の端部に形成された部分であり、電極部30に接続するための部分である。
【0051】
接着部24cは、筒状プローブ24の長手方向の中央部に形成された部分である。接着部24cの両側には、バネ24dが形成されている。バネ24dは、筒状プローブ24を螺旋状に切欠くことで構成されており、長手方向に弾性を有する。
【0052】
筒状プローブ24は、例えば以下の方法で製造することができる。即ち、初めに、極細の芯材の外周に、ニッケル等の電鋳層及びレジスト層を形成する。次に、このレジスト層に螺旋状にレーザを照射して、照射部分のレジスト層を除去する。次に、エッチングを行って、レジスト層が除去された部分のニッケル等の電鋳層を除去し、その後に芯材を除去する。
【0053】
また、筒状プローブ24の基板側の端部近傍には、電着等により、絶縁性を有するプローブ側ストッパ25が形成されている。プローブ側ストッパ25を形成することにより、当該部分の外径が他の部分よりも大きくなる。
【0054】
図2(c)に示すように、プローブ20は、筒状プローブ24の内部に芯状プローブ21を挿入し、接着部24cの内側と絶縁被覆部22の外側とをエポキシ系の接着剤等で接着することで製造される。芯状プローブ21の周囲には絶縁被覆部22が形成されているので、芯状プローブ21と筒状プローブ24とを絶縁した状態で両者が接続される。
【0055】
筒状プローブ24は、バネ24dにより弾性を有しているので、プローブ20の基板側の端部を押圧することで、筒状プローブ24が縮み、後述の
図6(c)に示すように、検査接触部21aを露出させることができる。これにより、同一の検査点に芯状プローブ21と筒状プローブ24とを同時に接触させることができる。なお、芯状プローブ21及び筒状プローブ24のうち一方が、電流を供給するためのプローブであり、他方が電圧を計測するためのプローブである。
【0056】
次に、電極部30の構成及び製造方法について
図3を参照して説明する。
図3は、電極部30の構成要素を示す側面図及び断面図である。なお、電極部30の説明において、
図3に示すように、プローブ20に接続される側をプローブ側と称し、コネクタ部40に接続される側をコネクタ側と称する。
【0057】
電極部30は、内筒電極部31と、外筒電極部34と、から構成されている。
【0058】
図3(a)に示す内筒電極部31は、導電性及び可撓性を有する筒状の部材である。内筒電極部31は、筒状プローブ24と同様に、芯材の周りに電着により導電性を有する部材を形成して、当該芯材を除去すること等で形成される。また、内筒電極部31には、プローブ接続部31aと、コネクタ接続部31bと、が形成されている。
【0059】
プローブ接続部31aは、プローブ側の端部に形成された部分であり、プローブ20(詳細には芯状プローブ21)と電気的に接続される。コネクタ接続部31bは、コネクタ側の端部に形成された部分であり、コネクタ部40に接続される。また、
図3(b)に示すように、内筒電極部31のうちコネクタ接続部31bを除く部分には、絶縁被覆部32が形成される。
【0060】
図3(c)に示す外筒電極部34は、導電性及び可撓性を有する筒状の部材である。外筒電極部34は、筒状プローブ24等と同様に、芯材の周りに電着により導電性を有する部材を形成して、当該芯材を除去すること等で形成される。また外筒電極部34には、プローブ接続部34aと、コネクタ接続部34bと、が形成される。プローブ接続部34aは、プローブ側の端部に形成された部分であり、プローブ20(詳細には筒状プローブ24)と電気的に接続される。コネクタ接続部34bは、コネクタ側の端部に形成された部分であり、コネクタ部40に接続される。
【0061】
また、
図3(b)に示すように、外筒電極部34のプローブ側端部には、他の部分よりも厚み及び外径が大きい電極部側ストッパ34cが形成される。電極部側ストッパ34cは、電着等によって形成される。更に、
図3(c)に示すように、外筒電極部34のうちコネクタ接続部34bを除く部分には、電着等によって絶縁被覆部35が形成される。
【0062】
電極部30は、上述の内筒電極部31を外筒電極部34に挿入して固着し(
図4(a)参照)、露出しているコネクタ接続部31b及びコネクタ接続部34bに金メッキ等を行うことで(
図4(b)参照)製造される。このとき、本実施形態では、外筒電極部34のプローブ側の端部が、内筒電極部31のプローブ側の端部よりもプローブ側に位置するように固着されるが、内筒電極部31と外筒電極部34のプローブ側の端部同士の位置を合わせて固着しても良い。また、内筒電極部31の外側には絶縁被覆部35が形成されるので、内筒電極部31と絶縁被覆部35とを絶縁した状態で固着することができる。なお、金以外のメッキを行っても良いし、メッキ自体を省略することもできる。
【0063】
次に、検査用治具1を組み立てる方法について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、検査用治具1の組立方法を示す説明図である。
図6は、プローブ20と電極部30とを接続する様子を示す側面断面図である。
【0064】
本実施形態では、予め、電極部30を電極部挿入部13の挿入孔13aに挿入しておく(
図5(a)及び
図6(a)参照)。この状態では、電極部側ストッパ34cによって、電極部30が電極部挿入部13から抜けないように保持される。
【0065】
その後、プローブ挿入部14を電極部挿入部13の上部に載置し、ボルト等によって固定する(
図5(b)参照)。次に、プローブ20をプローブ挿入部14の挿入孔14aに挿入する(
図5(c)及び
図6(a)参照)。
【0066】
プローブ20を挿入孔14aに挿入していくことで、プローブ20の芯状プローブ21が電極部30に挿入される。なお、本実施形態では、電極部30のプローブ側の端部には、外筒電極部34のみが位置しているため、開口部が大きくなっている。そのため、芯状プローブ21を確実に電極部30に挿入することができる。仮に位置がズレていても、テーパ部21cによってプローブ20が適切な位置に案内される。
【0067】
その後、プローブ20を更に挿入していくことで、芯状プローブ21(電極接続部21b)が内筒電極部31(プローブ接続部31a)の内部に挿入される。これにより、芯状プローブ21と内筒電極部31とが電気的に接続される。なお、芯状プローブ21にはテーパ部21cが形成されているので、芯状プローブ21又は内筒電極部31の位置が若干ズレていた場合であっても、位置関係を修正しつつ、芯状プローブ21を内筒電極部31の内部に挿入することができる。従って、両者の電気接続性の安定性を向上させることができる。
【0068】
また、
図6(a)の状態から更にプローブ20を押し込むことで、筒状プローブ24の電極部側の端面(電極接触部24b)と、外筒電極部34のプローブ側の端面(プローブ接続部34a)と、が接触する。これにより、筒状プローブ24と外筒電極部34とが電気的に接続される。なお、プローブ接続部34aは、他の部分よりも厚み及び外径が大きいため、筒状プローブ24と確実に電気的に接続される。更に、上述のように芯状プローブ21と内筒電極部31の位置関係が修正されるので、筒状プローブ24と外筒電極部34との位置関係を適切な状態で電気的に接続することができる。従って、両者の電気接続性の安定性を向上させることができる。
【0069】
次に、プローブ固定板15をプローブ挿入部14の上部に取り付ける。(
図5(d)及び
図6(b)参照)。このとき、プローブ側ストッパ25が、プローブ固定板15の貫通孔に形成された段差部15aによって押圧される。これにより、バネ24dが縮むように変形し、その状態でプローブ固定板15がボルト等によってプローブ挿入部14に固定される。バネ24dの縮みによって発生した付勢力により、筒状プローブ24は電極部側へ押圧される。これにより、筒状プローブ24と外筒電極部34との電気的接続性の安定性を向上させることができる。
【0070】
従来は、プローブ挿入部にプローブを保持させた状態で、プローブ挿入部を電極部挿入部に挿入して組立てを行うことがあった。この場合、プローブと電極部の位置精度及び組付精度によっては、プローブと電極部が一部接続されないことがあった。この点、本実施形態のように、電極部挿入部13に電極部30を保持させた状態でプローブ20を挿入することにより、プローブ20を確実に電極部30に接続することができる。
【0071】
また、電極部30のコネクタ部側の端部は、内筒電極部31と外筒電極部34とが別々にコネクタ部40に接続される。なお、
図7に示すように、内筒電極部31と外筒電極部34とが絶縁されていれば、同じ基板で構成されるコネクタ部40に接続することもできる。
図7は、内筒電極部31のコネクタ接続部31bがコネクタ部40にハンダ付けされ、外筒電極部34のコネクタ接続部34bがコネクタ部40にハンダ付けされている。コネクタ接続部31b及びコネクタ接続部34bは、コネクタ部40の内部に形成された回路及び電線等を介して、別々に検査処理部2へ接続される。
【0072】
本実施形態では、このようにして、4端子法による基板の検査が実現できる。なお、本実施形態の構成は、プローブ20間の距離が例えば20又は30μm程度以上であって100μm以下の場合に実現することができる。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態の検査用治具1は、複数のプローブ20と、複数の電極部30と、を備える。プローブ20は、芯状プローブ21と、筒状プローブ24と、を備える。芯状プローブ21は、検査点に電気的に接続される。筒状プローブ24は、芯状プローブ21の外側に、当該芯状プローブ21と絶縁された状態で配置され、同一の検査点に電気的に接続される。電極部30は、内筒電極部31と、外筒電極部34と、を備える。内筒電極部31は、挿入された芯状プローブ21の外周面と接触することで、当該芯状プローブ21に電気的に接続される。外筒電極部34は、内筒電極部31の外側に、当該内筒電極部31と絶縁された状態で配置され、筒状プローブ24と電気的に接続される。
【0074】
これにより、仮に芯状プローブ21又は内筒電極部31の位置がズレていても、芯状プローブ21が内筒電極部31に挿入される(位置決めされる)ので、芯状プローブ21と内筒電極部31とを確実に電気的に接続することができる。更に、内筒電極部31と芯状プローブ21との接触面積を大きくすることができるので、電気的接続の安定性を向上させることができる。
【0075】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0076】
芯状プローブ21が内筒電極部31に入り込んで電気的に接続される構成であれば、プローブ20及び電極部30の形状は変更可能である。
【0077】
プローブ側ストッパ25又は電極部側ストッパ34cを形成することなく、プローブ20及び電極部30を固定しても良い。
【0078】
上記実施形態では、電極部30がベース部11に沿って一側に案内される構成であるが、この一側に案内される部分を、基板に形成された回路で構成しても良い。この場合、電極部30は、電極部挿入部13から下方に延びて当該基板に接続される。そして、この基板に形成された回路によって、検査処理部2まで接続される。