特許第6284297号(P6284297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 雪印メグミルク株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6284297-新規多層食品およびその製造方法 図000005
  • 特許6284297-新規多層食品およびその製造方法 図000006
  • 特許6284297-新規多層食品およびその製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284297
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】新規多層食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/00 20160101AFI20180215BHJP
【FI】
   A23L21/00
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-240889(P2012-240889)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-90667(P2014-90667A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】門脇 喬之
(72)【発明者】
【氏名】西村 諭
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩
(72)【発明者】
【氏名】岡野 雅子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 芳信
(72)【発明者】
【氏名】武藤 高明
(72)【発明者】
【氏名】豊木 隆
【審査官】 厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−027439(JP,A)
【文献】 特開2012−005466(JP,A)
【文献】 特許第4071739(JP,B2)
【文献】 特開2012−157243(JP,A)
【文献】 特開2007−135430(JP,A)
【文献】 特開2006−223146(JP,A)
【文献】 特開2000−069918(JP,A)
【文献】 特開2003−319751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 21/00 − 21/25
A23L 29/20 − 29/206
A23L 29/231− 29/30
A23L 7/117− 9/20
A23L 29/212− 29/225
A23G 1/00 − 9/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、
同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、完全に前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層および内包部を充填する工程において、
容器内に隣接する二層のうちの下層部を充填する下層充填工程と、
前記下層部充填工程後に冷却工程を挟むことなく内包部を充填する内包部充填工程と、
前記内包部充填工程に続いて隣接する二層のうちの上層部を充填する上層部充填工程と、
を備え
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)と、前記下層部の比重ρLおよび内包部の比重ρMが、800≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000を充足することを特徴とする多層食品の製造方法。
【請求項2】
ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、
同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、完全に前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層および内包部を充填する工程において、
容器内に隣接する二層のうちの下層部を充填する下層充填工程と、
前記下層部充填工程後に冷却工程を挟むことなく内包部を充填する内包部充填工程と、
前記内包部充填工程に続いて隣接する二層のうちの上層部を充填する上層部充填工程と、
を備え
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)と、充填時における前記下層部の比重ρLおよび内包部の比重ρMが、7000×(ρM−ρL)+1700≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000を充足するこ
とを特徴とする多層食品の製造方法。
【請求項3】
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの上層部の粘度ηUと、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηLを、ηU≦ηLとすることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多層食品の製造方法。
【請求項4】
前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの上層部の比重ρUと、隣接する二層のうちの下層部の比重ρLを、ρU≦ρLとすることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多層食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内包部を有し、かつ複数の層からなる新規な多層食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の層からなる食品の製造方法については様々な方法が提案されており、これらの製造技術を用いてゲル化性溶液や流動食品を複数層充填した多層デザートが上市されている。このような多層デザートは、1つのデザートで数種類の色彩、風味または食感を楽しむことができ、近年人気が高まっている。
【0003】
複数の層からなる食品やその製造方法としては、例えば、カルシウム反応性ゲル状溶液の中に、カルシウム塩を含有した層を取り込んだゲル状食品(特許文献1)や、少なくとも3層からなる容器入り多層食品を製造する際に、第2層の原料として、ペクチンを含み、かつ酸性である原料を用い、第1層及び/又は第3層の原料として、カルシウムを含む原料を用い、前記第2層の原料を、第1層の上に積層した後、直ちに、前記第3層の原料を、第2層の上に積層する多層食品およびその製造方法(特許文献2)、下層を充填後、上層部分を脈流させながら充填することで、冷却工程等の大規模な設備を用いることなく、配合上の制約を極力抑えたうえで、工業的かつ効率的に多層化できる製造方法(特許文献3)等が開示されている。また、外層部の内方に内層部を有するゲル状食品を製造する方法(特許文献4)も開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の製造方法では、ひとつの層を成すゲル化物又は流動食品に対し、他の層を成すゲル化物又は流動食品が積層構造をとる、あるいは、ひとつの層を成すゲル化物又は流動食品に対し、他の層を成すゲル化物又は流動食品が取り込まれた構造をとる形状であり、このような形状を構成するために、カルシウムなどの金属塩およびそれと反応するためのゲル化剤が必要となる。すなわち、特殊な原材料を配合することになるため、風味が悪くなるといった課題がある。
また、特許文献3の製造方法は、工業的かつ効率的に多層食品を調製できる技術であるが、対象となる食品は、2層以上の積層に限られている。すなわち、2層目以降に充填される層は容器壁面と接する形態をもつような、積層に関するものであり、容器壁面と接しない形態をもつような、内包された形状に関するものではなかった。
特許文献4の製造方法によれば、外層部の内方に内層部を有するゲル状食品を得ることが出来るが、この方法によって得られるゲル状食品は、外層部が1層のみであり、複数層の内方に内包部を形成する多層食品に関するものではない。
すなわち、複数層からなる外層部と、当該外層部の1層もしく2層に接する内包部を有することを特徴とする多層食品、及び当該多層食品を工業的かつ効率的に製造する方法はこれまでになかった。特に、チルド又は常温で流通される食品では技術的に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-27925号公報
【特許文献2】特開2012-5466号公報
【特許文献3】特開2007-135430号公報
【特許文献4】特開2012-157243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数層からなる外層部と、当該外層部の1層もしく2層に接する内包部を有することを特徴とする多層食品を、工業的かつ効率的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、複数層からなる外層部と、当該外層部の1層もしく2層に接する内包部を有することを特徴とする多層食品を、工業的かつ効率的に製造する方法について、充填される各層の比重、粘度に着目して鋭意研究を行い、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数の層からなる外層部と、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品。
(2)前記内包部が、前記外層部の複数の層のうち、隣接する少なくとも2層に接する形で内包されることを特徴とする(1)記載の多層食品。
(3)前記内包部が、前記外層部の複数の層のうち、いずれか1層にのみ接する形で内包されることを特徴とする(1)記載の多層食品。
(4)前記内包部が、容器内壁面に接することなく、完全に前記外層部に包含されることを特徴とする(2)または(3)記載の多層食品。
(5)前記外層部の複数の層が、上層及び下層の2層であることを特徴とする(1)ないし(3)記載の多層食品。
(6)ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、前記外層部の複数層のうち、隣接する二層および内包部を充填する工程において、容器内に隣接する二層のうちの下層部を充填する下層充填工程と、前記下層部充填工程後に内包部を充填する内包部充填工程と、前記内包部充填工程に続いて隣接する二層のうちの上層部を充填する上層部充填工程と、を備える多層食品の製造方法。
(7)ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、充填時における隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)を、800≦ηLとすることを特徴とする多層食品の製造方法。
(8)ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)と、前記下層部の比重ρLおよび内包部の比重ρMが、800≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000を充足することを特徴とする多層食品の製造方法。
(9)ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなる外層部と、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなり、前記外層部に内包される内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法であって、前記外層部の複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)と、充填時における前記下層部の比重ρLおよび内包部の比重ρMが、7000×(ρM−ρL)+1700≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000を充足することを特徴とする多層食品の製造方法。
(10)前記複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの上層部の粘度ηUと、隣接する二層のうちの下層部の粘度ηLを、ηU≦ηLとすることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか記載の多層食品の製造方法。
(11)前記複数層のうち、隣接する二層を充填する工程において、隣接する二層のうちの上層部の比重ρUと、隣接する二層のうちの下層部の比重ρLを、ρU≦ρLとすることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか記載の多層食品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の層と内包部を有する新規な多層食品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の一例を示す。
図2】各評価指標の状態を示す。
図3】内包部比重ρMと下層部比重ρLの比重差、下層部粘度ηLと内包部の状態との関連を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、新規な多層食品およびその製造方法に関するものである。
本発明においては、ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数の層を備え、かつ、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなる内包部を有することを特徴とする。従来、特許文献1に記載されるような一層のゲル化性食品中に内包部を有する構成のゲル化性食品は知られていたが、本発明のように複数層を有し、かつ内包部を有する多層食品は知られておらず、特に、内包部が複数層に接するように内包されるような多層食品は存在しなかった。このような多層食品は、特にチルド又は常温で流通する食品においては、連続的かつ効率的に製造するために各層を液状の状態で充填する場合が多く、技術的に困難であった。
なお、本発明において「内包」とは、外層に完全に包含される態様のほか、内包部が容器底面又は側面に接する態様のものも包含する。ただし、容器底面に沈降し、かつ容器壁面に接する状態まで広がったもの、あるいは外層の上に浮上し、かつ容器壁面に接する状態まで広がったものについては包含しない。
【0012】
本発明において、複数の層を構成するゲル化性食品及び/または流動食品としては、ゼリー、プリン、ムース等のデザート類や発酵乳等のゲル化性食品や、ジャム、マーマレード、フルーツソース、クリーム、シロップ、カスタードクリーム、フラワーペースト、果肉ピューレ等の流動食品が挙げられ、ゲル化性食品及び/または流動食品中に果実やチーズ、ナッツ、その他の固形物等を含有させることも可能である。
一方、内包部とするゲル化性食品及び/または流動食品としては、ゼリー、プリン、ムース等のデザート類や発酵乳等のゲル化性食品や、ジャム、マーマレード、フルーツソース、クリーム、シロップ、カスタードクリーム、フラワーペースト、果肉ピューレ等の流動食品が挙げられ、ゲル化性食品及び/または流動食品中に果実やチーズ、ナッツ、その他の固形物等を含有させることも可能である。
【0013】
本発明のゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数層からなり、かつ、同じくゲル化性食品及び/または流動食品からなる内包部を有することを特徴とする多層食品の製造方法としては、前記複数層のうち、隣接する二層および内包部を充填する工程において、容器内に隣接する二層における下層部を充填する下層充填工程と、前記下層部充填工程後に内包部を充填する内包部充填工程と、前記内包部充填工程に続いて隣接する二層における上層部を充填する上層部充填工程と、を備える。
【0014】
より詳細には、充填時における隣接する二層のうちの下層部の粘度ηL(mPa・s)を、800≦ηLとする。上述のような条件を満たすことにより、各層の充填の際に、各々を冷却する工程を挟むことなく、連続した充填工程によって複数層からなる外層部と、当該外層部の1層もしく2層に接する内包部を有することを特徴とする多層食品を得ることができる。より好ましくは、充填時における下層部の粘度ηL(mPa・s)を、下層部の比重ρLと、内包部の比重ρMを用いて、800≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000とすると良い。上述のような条件を満たすことにより、内包部が容器内壁面まで広がることなく、より良好な内包状態を得ることが出来る。さらに、最も好ましくは、充填時における下層部の粘度ηL(mPa・s)を、7000×(ρM−ρL)+1700≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000とすると良い。上述のような条件を満たすことにより、内包部が上層部および下層部の二層に接し、最も良好な内包状態を得ることが出来る。
なお、上層部と下層部の関係については、上層部の粘度ηUと隣接する二層のうちの下層部の粘度ηLについて、ηU≦ηLを充足することで上層部と下層部の混ざりこみを少なくすることが可能であり、更には上層部の比重ρUと、下層部の比重ρLが、ρU≦ρLとすることでより上層部と下層部との混ざりこみを減少させることが出来る。このように、上層部と下層部間の状態に関しては、それぞれの粘度差および比重を調整することで、混ざり込みの程度を調整することができ、様々な風味、食感あるいは成分の変化を付与することができる。
【0015】
本発明において、複数層及び/または内包部の粘度の調整を行う場合においては、一般に食品類の製造において使用されるゲル化剤や増粘剤等を用いることができ、例えば、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、グァーガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、サイリウムシードガム、プルラン、カードラン等を用いることができる。
【0016】
本発明において、複数層及び/または内包部の比重の調整を行う場合は、必要に応じて、グラニュー糖や粉末水飴といった糖類、ヤシ油・パーム油・パーム核油といった油脂の他、溶解・分散により比重を変えることのできる食品および食品添加物を使用すればよい。
【0017】
本発明の多層食品では、充填方法については特に限定されるものではなく、ピストンシリンダー型の充填機を用いて充填する場合や、送液ポンプを用いて充填することができる。また、ノズルの形状等に制限は無く、常法によれば良い。
但し、各層間の境界を明確にするためには、上側層の充填に関して、多孔ノズルを用いて行うことが望ましい。多孔ノズルであれば、特に限定はなく、一般に市販されている多孔ノズルを用いることができる。さらに、上層部の充填方法に関して、脈流させながら充填させることで、各層間の境界をより明確にすることができる。なお、脈流充填の方法については、例えば特許文献3等の方法により行えばよい。
【0018】
以下、試験例及び実施例により本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0019】
[試験例1]
2層及び内包部を有する食品を製造するにあたり、上層部ミックス(ゲル化性溶液1)として、グラニュー糖16.0%、寒天0.6%、及びカルボキシメチルセルロース(以下CMC)0.5%を配合し、充填時の粘度を50mPa・s (充填温度60℃)となるように調整した。また、着色料として青色1号を微量添加し、比重を1.070とした。
下層部ミックス(ゲル化性食品2)として、グラニュー糖16.0%、寒天0.6%、及びCMCの添加量を0.9%、1.1%、1.3%、1.38%、1.49%とし、充填時の粘度がそれぞれ300mPa・s、800mPa・s、2000mPa・s、3000mPa・s、5000mPa・s(すべて目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重は1.070とした。
内包部ミックス(液状食品)として、グラニュー糖16.0%、CMCの添加量を1.17%、1.35%、1.43%、1.52%とし、充填時の目標粘度を1100mPa・s、2500mPa・s、3800mPa・s、5400mPa・s(すべて目標充填温度60℃)に調整し、ベニコウジ色素を微量添加した。比重は1.070とした。
各ミックスを加熱して溶解し、60℃で保持した。下層部ミックスを容器に直接55g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/秒で充填した。最後に上層部ミックス40gをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。冷凍後、中身を容器から取り出し、界面層に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、以下の評価を行った。なお評価の状態については図2に示す。
◎ : 内包部が複数層に接する状態で内包された状態で存在する。
○ : 内包部が複数層のうちの一層に、内包された状態で存在する。
△ : 内包部が層状に広がり、容器壁面に接する状態で存在する。
× : 内包部が下層部よりも下へ完全に沈殿し、あるいは上層部の上に浮上し、容器壁面まで広がって存在する。
結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
[試験例2]
(ゲル化性食品1/液状食品/ゲル化性食品2)
2層及び内包部を有する食品を製造するにあたり、上層部ミックス(ゲル化性溶液1)として、グラニュー糖16.0%、寒天0.6%、及びCMC 1.25%を配合し、充填時の粘度を1500mPa・s (充填温度60℃)となるように調整した。また、着色料として青色1号を微量添加し、比重を1.070とした。
下層部ミックス(ゲル化性食品2)として、グラニュー糖16.0%、寒天0.6%、及びCMC(カルボキシメチルセルロース)の添加量を0.9%、1.1%、1.3%、1.38%、1.49%とし、充填時の粘度がそれぞれ300mPa・s、800 mPa・s、2000 mPa・s、3000 mPa・s、5000mPa・s(すべて目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重は1.070とした。
内包部ミックス(液状食品)として、グラニュー糖16.0%、CMC(カルボキシメチルセルロース)の添加量を1.17%、1.35%、1.43%、1.52%とし、充填時の目標粘度を1100mPa・s、2500mPa・s、3800mPa・s、5400mPa・s(すべて目標充填温度60℃)に調整し、ベニコウジ色素を微量添加した。比重は1.070とした。
各ミックスを加熱して溶解し、60℃で保持した。下層部ミックスを容器に直接55g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/秒で充填した。最後に上層部ミックス40gをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。
冷凍後、中身を容器から取り出し、試験例1と同様の方法により評価した。
結果を表2に示す。
【0022】
【表2】

【0023】
表1及び表2の結果から、上層部ミックスの粘度にかかわらず、内包部ミックス充填時における下層部ミックスの粘度が、800mPa・s以上のときに内包状態が維持されることが確認できた。一方で、下層部ミックスの粘度が300mPa・sでは、内包部が下層部に沈殿し、内包状態が得られないことがあきらかとなった。また、これらの結果から内包部ミックスの粘度は内包状態に影響しないことも明らかとなった。下層部ミックスの粘度が5000 mPa・sでは、内包状態は維持されているものの、内包部が上層部と下層部上に間に積層され容器壁面まで広がった状態となることが確認された。
なお、表には示していないが、上層部と下層部間の境界は、上層粘度が高い1500mPa・sのほうに混ざり込みがみられたことから、上層部と下層部間の境界をより明確なものとするためには、上層粘度を低くすることが好ましいことが示唆された。
【0024】
[試験例3]
(ゲル化性食品1/液状食品/ゲル化性食品2)
上層部ミックス(ゲル化性溶液1)として、グラニュー糖16.0%、寒天0.6%、CMC 0.5%及び着色料(青色1号)を微量配合し、充填時の粘度が50mPa・s (目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.070とした。
下層部ミックス(ゲル化性食品2)として、グラニュー糖16.0%、26%、37%、寒天0.6%、及びCMCの添加量を0.9%、1.1%、1.22%、1.26%、1.3%、1.33%、1.38%、1.42%、1.44%、1.47%、1.51%とし、充填時の粘度がそれぞれ300mPa・s、800 mPa・s、1400mPa・s、1700mPa・s 、2000 mPa・s、2300mPa・s、3000 mPa・s、3500 mPa・s、4000mPa・s、4500mPa・s、5500mPa・s (充填温度約60℃)となるように調整した。また、比重を1.070とした。
内包部ミックス(液状食品)として、グラニュー糖16.0%、CMC 1.39%及びベニコウジ色素を微量配合し、充填時の粘度を3000mPa・s(目標充填温度60℃)に調整した。また、比重を1.070、1.11、1.17とした。
各ミックスを加熱して溶解し、60℃で保持した。下層部ミックスを直接容器に55g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/.秒で充填した。最後に上層部ミックス40 gをピストンシリンダーにより20 g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。
冷凍後、中身を容器から取り出し、試験例1と同様の方法により評価した。結果を図3に示す。
【0025】
図3の結果から、下層部の粘度ηL(mPa・s)がηL<800の範囲では、
内包部が下層部よりも下へ完全に沈殿し、容器壁面へと広がった状態となり、内包状態とはならなかった。一方、800≦ηLでは、内包部は沈殿せず、内包状態を得ることができた。特に、下層部の粘度ηL(mPa・s)が、内包部の比重ρMおよび下層部の比重ρLを用いた800≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000の範囲内では、内包部が下層部に内包されるか、あるいは下層部と上層部の二層に接した状態で内包された状態となった。上記式「ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000」は、図3において、「◎」と「△」との境界線を示す。さらには、7000×(ρM−ρL)+1700≦ηL≦16000×(ρM−ρL)+4000 である場合、内包部は下層部と上層部の二層に接した状態で内包された。上記式「7000×(ρM−ρL)+1700≦ηL」は、図3において、「○」と「◎」との境界線を示す。
一方、下層部の粘度ηL(mPa・s)が、16000×(ρM−ρL)+4000<ηLである場合には、内包状態は維持されているものの、内包部が下層部上に積層され容器壁面まで広がった状態を得ることができた。
【0026】
[試験例4]
(ゼリー/フルーツソース/発酵乳)
上層部ミックス(ゼリー)として、異性化糖21.0% 、粉末水飴5.0 %、寒天0.6%、クエン酸0.3%、クエン酸Na 0.1%、CMC 0.5%とし、充填時の粘度が50mPa・s (目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.080とした。
下層部ミックス(発酵乳)として、生乳60.0%、脱脂粉乳6%、生クリーム1.0%、粉末水飴6.5%、スターター0.02%を用いて、発酵乳を調製し、TKホモミキサーの攪拌により、充填時の粘度が300mPa・s、800 mPa・s、1500 mPa・s、3000 mPa・s、3500 mPa・s、5000mPa・s(充填目標温度10℃)となるように調整した。また、比重を1.080とした。
内包部ミックス(フルーツソース)として、ストロベリー果汁5.0%、液糖8%、グラニュー糖3.4%、グァーガム0.35%、ローカストビーンガム0.50%、ベニコウジ色素0.32%、乳酸カルシウム0.3%、クエン酸0.02%、クエン酸Na 0.07%とし、充填時の目標粘度を3000mPa・s(目標充填温度15℃)に調整した。また、比重を1.070とした。
上層部ミックスは加熱により溶解した後、60℃で保持した。下層部ミックスは、加熱により溶解した後、47℃で5時間醗酵させ、できたカードを手攪拌により10℃まで冷却した。冷却した下層部ミックスは、高速ミキサーにて攪拌し所定の粘度になるように調節した。
内包部ミックスは加熱により溶解した後、15℃で保持した。下層部ミックスを容器に55g充填し、続いて内包部ミックスを下層の中心部にチューブポンプにより10g/秒充填した。最後に上層部ミックスをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。冷凍後、中身を容器から取り出し、界面層に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察した。評価は試験例1と同様の指標にしたがって行った。
結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
表3の結果は、上層部の粘度を50mPa・s、内包部の粘度を3000mPa・s、内包部と下層部の比重差(ρM−ρL)を0.01とし、下層部の粘度を変えたときの内包部の状態を評価した結果である。下層部の粘度が290mPa・sであると、内包部が下層部に沈殿していた。また、下層部の粘度が800、1500mPa・sでは内包部が下層部に内包され、2800、3500mPa・sでは内包部は上層部および下層部と接する形で内包させることができた。なお、下層部の粘度が5100mPa・sの場合は、内包状態は維持されているものの、内包部が下層部に積層され容器壁面まで広がった状態となった。
【実施例1】
【0029】
(コーヒーゼリー/コーヒーソース/プリン)
上層部ミックス(コーヒーゼリー)として、砂糖ぶどう糖液糖15% 、液状水飴6.8%、ぶどう糖4.5%、コーヒーエキス2.0%、インスタントコーヒー0.8%、ローカストビーンガム0.3%、カラギーナン0.1%、ペクチン0.1%、ゼラチン0.05%、乳酸カルシウム0.02%とし、充填時の粘度が50mPa・s (目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.080とした。
下層部ミックス(プリン)として、脱脂粉乳8.0%、マスカルポーネ3.0%、液状水飴27.0%、グラニュー糖5.0%、生クリーム2.5%、バター2.0%、加糖卵黄4.0%、ゼラチン0.4%、寒天0.15%、ローカストビーンガム1.2%とし、充填時の粘度を2500mPa・s(目標充填温度50℃)となるように調整した。また、比重が1.14となるように調整した。
内包部ミックス(コーヒーソース)として、エスプレッソソース90.0%、ローカストビーンガム0.05%、香料0.06%、とし、充填時の目標粘度を500mPa・s(目標充填温度55℃)に調整した。また、比重を1.20とした。
各ミックスを加熱して溶解し、各目標充填温度で保持した。下層部ミックスを容器に50g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/秒で充填した。最後に上層部ミックス40gをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。
冷凍後、中身を容器から取り出し、界面層に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、試験例1と同様の方法により評価した。
【0030】
内包部であるコーヒーソースが、下層部であるプリンに内包され、外からは一見して内包部が見えない状態を得ることができた。
【実施例2】
【0031】
(カスタードプリン/液状クリーム/マロンプリン)
上層部ミックス(カスタードプリン)として、脱脂粉乳6.0% 、バター5.0 %、グラニュー糖7.5%、粉末水飴4.0%、加糖卵黄4.0%、ローカストビーンガム0.4%、キサンタンガム0.2%とし、充填時の粘度が50mPa・s (目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.073とした。
下層部ミックス(マロンプリン)として、脱脂粉乳5.0%、バター2.0%、粉末水飴14.0%、グラニュー糖6.0%、ヤシ油2.5%、マロンペースト8.0%、マロン果肉10.0%、寒天0.15%、キサンタンガム0.4%、ローカストビーンガム0.6%、カラメル色素0.1%とし、充填時の粘度を2000mPa・s(目標充填温度50℃)となるように調整した。また、比重が1.08となるように調整した。
内包部ミックス(液状クリーム)として、植物油脂25.0%、バター5%、粉末水飴8.0%、乳化剤0.7%、クエン酸三ナトリウム0.3%、リン酸二カリウム0.2%とし、充填時の目標粘度を100mPa・s(目標充填温度10℃)に調整した。また、比重を1.02とした。
各ミックスを加熱して溶解し、各目標充填温度で保持した。下層部ミックスを容器に50g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/秒で充填した。最後に上層部ミックス40gをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。
冷凍後、中身を容器から取り出し、界面層に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、試験例1と同様の方法により評価した。
【0032】
内包部である液状クリームが、下層部であるマロンプリンに内包され、外からは一見して内包部が見えない状態を得ることができた。
【実施例3】
【0033】
(ゼリー/果肉入りソース/発酵乳)
上層部ミックス(カスタードプリン)として、脱脂粉乳6.0% 、バター5.0 %、粉末水飴12.0%、加糖卵黄4.0%、ローカストビーンガム0.4%、キサンタンガム0.2%とし、充填時の粘度が50mPa・s (目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.073とした。
下層部ミックス(発酵乳)として、生乳60.0%、脱脂粉乳6.0%、生クリーム1.0%、粉末水飴6.5%、スターター0.02%を用いて、発酵乳を調製し、比重が1.07となるように調整した。また、充填時の粘度は、高速ミキサーの攪拌により、充填時の粘度が3000mPa・s(充填目標温度10℃)となるように調整した。
内包部ミックス(果肉入りソース)として、白桃果肉40.0%、粉末水飴22.0%、キサンタンガム0.02%、グァーガム0.07%とし、充填時の目標粘度を1500mPa・s(目標充填温度15℃)に調整した。また、比重を1.10とした。
各ミックスを加熱して溶解し、各目標充填温度で保持した。下層部ミックスを容器に直接50g充填し、続いて内包部ミックス10gをチューブポンプにより下層の中心部に10g/秒で充填した。最後に上層部ミックス40gをピストンシリンダーにより20g/秒で充填した。充填後は−8℃の冷凍機で一晩保存し、冷凍させた。
冷凍後、中身を容器から取り出し、界面層に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、試験例1と同様の方法により評価した。
【0034】
内包部である果肉入りソースが、下層部である発酵乳と、上層部であるゼリーに内包され、外からは一見して内包部が見えない状態を得ることができた。
図1
図2
図3