(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、
接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とが備えられた圧着端子であって、
前記圧着部は、少なくとも前記導体先端部を基端側から挿入可能であるとともに、該導体先端部を囲繞可能な中空形状に形成されるとともに、
前記圧着部の長手方向の先端側に、端子基材の内面同士が密着するように互いに重合して該先端側を封止する封止部が配置され、
前記端子接続部と前記圧着部とが別体で構成され、
前記端子接続部と前記圧着部とが長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順で直列に配置されるとともに、前記封止部と前記端子接続部との溶接により前記端子接続部と前記圧着部とを一体に連結する溶接連結部が構成された
圧着端子。
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、
接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とが備えられた圧着端子であって、
前記端子接続部と前記圧着部とが別体で構成され、
前記端子接続部と前記圧着部とを長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順で直列に、溶接により一体に連結する溶接連結部が構成され、
前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分において、長手方向と幅方向との両方向に直交する直交方向に対向する直交方向対向面部が重なるように対向する重なり合い部が形成されるとともに、
前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分において、前記長手方向に対向する長手方向対向端部同士が対向する突合せ部が形成され、
前記重なり合い部が、前記圧着部の前端部の下面と、前記端子接続部の後端部の上面における上方へ突出形成された突出片より後端側の部分とに形成され、
前記突合せ部が、前記突出片の後方側端面と前記圧着部の前方側端部とで構成されて、前記重なり合い部の前方に連続して形成され、
前記溶接連結部が、
前記重なり合い部および前記突合せ部のそれぞれに対する溶接によって形成された
圧着端子。
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、
接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とを備えた圧着端子の製造方法であって、
前記圧着部は、少なくとも前記導体先端部を基端側から挿入可能であるとともに、該導体先端部を囲繞可能な中空形状に形成されるとともに、
前記圧着部の長手方向の先端側に、端子基材の内面同士が密着するように互いに重合して該先端側を封止する封止部が配置され、
それぞれを別体で構成した前記端子接続部と前記圧着部とを、
長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順に直列に配置するとともに、
前記端子接続部と前記圧着部とを一体に連結した状態となるように、前記封止部と前記端子接続部とを溶接する溶接工程を行う
圧着端子の製造方法。
前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、長手方向において対向する長手方向対向端部同士を突き合せし、突き合せた該長手方向対向端部同士を溶接する前記溶接工程において、
前記レーザを、前記長手方向対向端部同士を突き合せた状態で、該長手方向対向端部に対して前記長手方向の少なくとも一方側から照射し、
前記レーザが前記長手方向と略一致する方向から前記長手方向対向端部に対して照射する溶接を、
前記レーザが前記長手方向対向端部に沿って移動するように前記レーザと、前記長手方向対向端部同士とのうち少なくとも一方を相対移動させながら行う
請求項13に記載の圧着端子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は、圧着部と端子接続部とを、それぞれに要求される機能に応じて適切に構成することを可能とする優れた設計自由度を備えた圧着端子、接続構造体、コネクタ、ワイヤハーネス、並びに圧着端子の製造方法、接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とが備えられた圧着端子であって、前記圧着部は、少なくとも前記導体先端部を基端側から挿入可能であるとともに、該導体先端部を囲繞可能な中空形状に形成されるとともに、前記圧着部の長手方向の先端側に、端子基材の内面同士が密着するように互いに重合して該先端側を封止する封止部が配置され、前記端子接続部と前記圧着部とが別体で構成され、前記端子接続部と前記圧着部とが長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順で直列に配置されるとともに、前記封止部と前記端子接続部との溶接により前記端子接続部と前記圧着部とを一体に連結する溶接連結部が構成されたことを特徴とする。
【0014】
上述した構成により、圧着部と端子接続部とを、それぞれに要求される機能に応じて適切に構成することを可能とする優れた設計自由度を備えることができる。
【0015】
詳しくは、上述した構成によれば、別体に構成した前記端子接続部と前記圧着部とを連結部で連結したため、前記端子接続部と前記圧着部とを互いに異なる材質で形成したり、メッキ処理を施して形成することができる。
【0016】
前記端子接続部と前記圧着部とは、それぞれの形状が複雑化しても別々に打ち抜き加工や、曲げ加工を行うことにより組み立てることができるため、圧着端子全体としてより複雑な形状であっても形成することができる。
このように圧着端子の設計自由度を大幅に向上させることができる。
【0017】
また、圧着端子の形状が複雑化しても、圧着端子全体としてまとめて複雑な形状で形成する必要がなく、前記端子接続部と前記圧着部とを個別に形成できるため、結果的に、例えば、端子形状に打ち抜くための金型の費用を削減できなど、圧着端子全体としての製造のコスト、労力を削減できる。
【0018】
ここで前記端子接続部と前記圧着部とを連結する手段は、例えば、溶接、係合、嵌合、ネジ(ピン)留め、圧着による手段のうち少なくともいずれかの手段により連結することができる。
【0019】
また、圧着部は、電線の導体に応じた材質で形成することができるとともに、端子接続部は、相手側端子の材質などに応じた材質で形成することができるため、圧着部と端子接続部とを異なる材質で形成してもよく、この場合、電食が生じにくく、優れた導電性を得ることができ、また、密度の低い材質を選定することで軽量化を図ることができる。
【0020】
また、前記圧着部を、少なくとも前記導体先端部を基端側から挿入可能であるとともに、該導体先端部を囲繞可能な中空形状に形成することにより、圧着部をいわゆるクローズドバレル形式の端子として構成できる。このため、前記圧着部は、導体先端部をその周方向全体から外部との隙間が生じることなく、圧着させることができる。
よって、前記圧着部を導体先端部に対して密着させることができるため、優れた導電性を得ることができる。
【0021】
また、圧着部内の導体部分が外気に曝されることがなく、劣化や経年変化が起きることを抑制できる。したがって、導体部分に腐食が発生し難くなり、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0022】
また、前記圧着部の長手方向の先端側に、該先端側を封止する封止部が配置されているため、圧着部で導体部分を圧着する圧着状態において、断面中空形状の圧着部の長手方向の一端側を封止することで、長手方向の先端側から圧着部の内部に水分が浸入することを防止して確実な止水性を確保することができる。
【0023】
前記封止部は、圧着前の状態においてクローズドバレル形式のものに対して形成するに限らず、圧着前の状態においてはオープンバレル形式であるが、圧着後において前記バレル底面の幅方向の両側の前記バレル片同士が対向することで周方向に閉環状となりクローズドバレル形式となるものに対して形成してもよい。
【0024】
また、前記連結部を、前記端子接続部と前記圧着部とを溶接により一体に連結する溶接連結部で形成することにより、前記端子接続部と前記圧着部との優れた一体性を有して強固に連結することができる。
【0025】
さらに、前記端子接続部と前記圧着部とを溶接連結部によって連結することで、しっかりと連結することができるため、圧着部と端子接続部の間部分の強度の向上を図ることができる。
【0026】
加えて、前記端子接続部と前記圧着部とのそれぞれを構成する金属製の基材の金属組成が溶融し、一体となるため、優れた電気的接続を得ることができる。
【0027】
またこの発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とが備えられた圧着端子であって、前記端子接続部と前記圧着部とが別体で構成され、前記端子接続部と前記圧着部とを長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順で直列に、溶接により一体に連結する溶接連結部が構成され、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分において、長手方向と幅方向との両方向に直交する直交方向に対向する直交方向対向面部が重なるように対向する重なり合い部が形成されるとともに、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分において、前記長手方向に対向する長手方向対向端部同士が対向する突合せ部が形成され、前記重なり合い部が、前記圧着部の前端部の下面と、前記端子接続部の後端部の上面における上方へ突出形成された突出片より後端側の部分とに形成され、前記突合せ部が、前記突出片の後方側端面と前記圧着部の前方側端部とで構成されて、前記重なり合い部の前方に連続して形成され、前記溶接連結部が、前記重なり合い部および前記突合せ部のそれぞれに対する溶接によって形成されたことを特徴とする。
【0028】
上述した構成により、圧着部と端子接続部とを、それぞれに要求される機能に応じて適切に構成することを可能とする優れた設計自由度を備えることができる。
【0029】
また、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、長手方向と幅方向との両方向に直交する直交方向において対向する直交方向対向面部を形成し、前記溶接連結部を、前記圧着部と前記端子接続部とにおける前記直交方向対向面部同士を重ね合わせ、重ね合わせした該直交方向対向面部同士の溶接により形成することによれば、前記圧着部と前記端子接続部との対向部分を互いに面接触状態で重ね合わせることができ、その状態で溶接することで、前記圧着部と前記端子接続部とを強固に連結することができる。
【0030】
また、前記圧着部と前記端子接続部との前記直交方向対向面部同士が面接触状態で重ね合った安定した配置状態で溶接できるため、互いに位置がずれることなく溶接することができる。
【0031】
また、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、長手方向において対向する長手方向対向端部を形成し、前記溶接連結部を、前記圧着部と前記端子接続部とにおける前記長手方向対向端部同士を突き合せし、突き合せた該長手方向対向端部同士の溶接により形成することにより、圧着部と端子接続部とにおける前記長手方向対向端部同士を突合せた状態で溶接することにより、圧着部や端子接続部を構成する基材同士を重ね合わせることがないため、溶接部分が嵩張らずにコンパクトに溶接することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記溶接を、例えば、YAGレーザ、半導体レーザあるいはディスクレーザ等によるレーザビーム、または電子ビームなどで行うことができるが、ファイバーレーザ溶接で行うことが好ましい。
この発明により、隙間の無い圧着部を構成し、圧着状態において圧着部の内部に水分が浸入することを確実に防止できる。また、ファイバーレーザ溶接は他のレーザ溶接と比べ、焦点を極小なスポットに合わせることができ、高出力密度でのレーザ溶接を実現することができるとともに、連続照射可能である。したがって、確実な止水性を有する溶接を行うことができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記圧着部に、該圧着部により圧着した前記導体先端部を外側から視認可能に、前記圧着部を構成する基材を厚み方向に貫通する貫通孔を形成することができる。
【0034】
上述した構成によれば、前記圧着部を前記導体先端部に対して圧着した状態において、圧着部の外側から内部の様子を視認することができる。これにより、圧着部の内部における導体位置など、圧着部による圧着状態を目視により確認することができる。
従って、一目で不良品を排除することができ、品質向上に貢献することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、圧着状態の前記圧着部の周方向のうち、
長手方向と幅方向との両方向に直交する直交方向において前記端子接続部と対向する対向部分を
、直交方向対向面部
と設定し、前記貫通孔を、前記圧着部における前記直交方向対向面部に配置することができる。
【0036】
上述した構成によれば、圧着部における貫通孔を有する直交方向対向面部と前記端子接続部における直交方向対向面部とを互いに重ね合わせた状態で溶接することができる。
【0037】
よって、上述した態様で溶接することで、貫通孔を塞ぐようにして溶接することができるため、前記圧着部と前記端子接続部とを連結した状態おいて、貫通孔を通じて圧着部の内部に水分が浸入することがなく、優れた止水性を確保することができる。
【0038】
さらに、上述したように、前記貫通孔を、前記圧着部における前記直交方向対向面部に配置することにより、前記圧着部と前記端子接続部との対向部分同士を溶接により連結するという工程と、貫通孔を塞ぐという工程との2つの別々の工程を一度にまとめて行うことができる。
これにより、止水性に優れた圧着端子の生産性の向上を図ることができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、前記長手方向対向端部同士の対向面積よりも大きな対向面積を有した前記長手方向対向面部を形成し、前記溶接連結部を、前記圧着部と前記端子接続部とにおける前記長手方向対向面部同士を突き合せし、突き合せた該長手方向対向面部同士の溶接により形成することができる。
【0040】
上述した構成によれば、前記長手方向対向面部同士を突き合わせた場合、長手方向対向端部同士を突き合わせた場合と比較してより大きな対向面積を確保することができる。
【0041】
よって、前記長手方向対向面部同士を突き合わせた広い対向部分を溶接することでしっかりと溶接することができ、前記圧着部と前記端子接続部との優れた一体性を得ることができる。
【0042】
また、前記圧着端子は、前記圧着部と前記端子接続部とにおける対向部分において、上述した直交方向対向面部、長手方向対向端部、及び長手方向対向面部のうちいずれか一つを備えた構成に限らず、例えば、複数組み合わせて構成してもよく、これらのうち少なくともいずれかを備えて構成することができる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、該対向部分同士を対向状態に係止する係止部を形成し、前記係止部で係止した係止状態において前記溶接連結部を形成することができる。
【0044】
上述した構成により、前記圧着部と前記端子接続部との対向部分同士を係止した状態で溶接することができるため、前記対向部分同士を溶接する際に、前記圧着部と前記端子接続部とが互いに位置ズレすることなく、互いに直列に配置した正確な形状で、スムーズに溶接することができる。
【0045】
また、前記係止部は、上述した直交方向対向面部、長手方向対向端部、及び長手方向対向面部のうち少なくともいずれか一つと組み合わせて構成してもよく、前記圧着部と前記端子接続部とのうち、少なくとも一方に構成することができる。
前記係止部は、例えば、挿入により係止する、突出片の折り曲げにより係止する、或いは、鍵状に折り曲げて形成した端部同士を係止する構成であってもよい。
【0046】
またこの発明の態様として、前記導体を、アルミ系材料で構成するとともに、前記端子接続部と前記圧着部とのうち、少なくとも前記圧着部を、銅系材料で構成することができる。
【0047】
この発明により、銅線による導体部分を有する被覆電線に比べて軽量化できるとともに、上述した確実な止水性により、被覆電線の導体を形成する金属表面の酸化を防止することができるとともに、いわゆる異種金属間腐食(以下において電食という)を防止することができる。
【0048】
具体的には、被覆電線と圧着端子との接続は、圧着端子における圧着部を被覆電線の導体先端部端子でかしめて圧着する圧着接合が一般的である。
しかし、被覆電線と圧着端子との接続部分に水分等が付着してしまうと、被覆電線の導体を形成する金属表面の酸化が進み、接続部分における抵抗が増加してしまう。
【0049】
また導体と圧着端子に用いられる金属が異なる場合、電食が進んでしまう。当該接続部分における金属材料の腐食の進行は、接続部分の割れや接触不良の原因となり、製品寿命への影響を免れない。
【0050】
特に近年では、例えば、被覆電線の導体をアルミニウム合金とし、圧着端子を銅合金とするワイヤハーネスが実用化されつつあり、接続部分の腐食の課題が顕著になりつつある。
【0051】
詳しくは、被覆電線の導体部分に従来用いられていた銅系材料をアルミニウムあるいはアルミニウム合金などのアルミ系材料に置き換え、そのアルミ系材料製の導体部分を圧着端子に圧着した場合においては、端子材料の錫めっき、金めっき、銅合金等の貴な金属との接触により、卑な金属であるアルミ系材料が腐食される現象、すなわち電食が問題となる。
【0052】
なお、電食とは、貴な金属と卑な金属とが接触している部位に水分が付着すると、腐食電流が生じ、卑な金属が腐食、溶解、消失等する現象である。この現象により、圧着端子の圧着部に圧着されたアルミ系材料製の導体部分が腐食、溶解、消失し、やがては電気抵抗が上昇する。その結果、十分な導電機能を果たせなくなるという問題があった。
【0053】
しかしながら、前記導体部分を、アルミ系材料で構成するとともに、前記端子接続部と前記圧着部とのうち、少なくとも前記圧着部を、銅系材料で構成した場合であっても、上述した確実な止水性を確保できつつ、しかも、銅系材料による導体部分を有する被覆電線に比べて軽量化を図りながら、いわゆる電食を防止することができる。
【0054】
またこの発明は、上述した圧着端子における圧着部によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した接続構造体であることを特徴とする。
【0055】
この発明によれば、圧着部と端子接続部とをしっかりと溶接等により連結できるため、被覆電線と圧着端子とを接続した状態において、仮に、被覆電線が曲がったり捩じれたりして圧着端子に応力が加わっても、圧着部と端子接続部との連結部分が分離したり、互いに位置ズレしたりすることがなく、圧着端子の優れた一体性を確保することができる。
【0056】
またこの発明は、上述した圧着端子をコネクタハウジング内に配置したコネクタであることを特徴とする。
【0057】
上述した構成によれば、圧着部と端子接続部との対向部分同士を連結して圧着端子を構成することにより、圧着部と端子接続部とのそれぞれをコンパクトに組み立てて互いに連結できる。この構成によれば、圧着部と端子接続部とを予め一体に形成した基材を折り曲げなどにより圧着端子を構成する場合よりも、圧着端子の形状が複雑となっても圧着端子全体としてコンパクトに構成することができる。
【0058】
よって、圧着部と端子接続部との対向部分同士を連結して圧着端子を構成することにより、圧着端子全体としてコンパクトに構成することができるため、圧着端子がコネクタハウジングの挿着部にしっかりと適切に挿着されたコネクタを構成することができる。
【0059】
またこの発明は、上述した複数本の接続構造体における圧着端子をコネクタハウジング内に配置したワイヤハーネスであることを特徴とする。
【0060】
上述した構成によれば、圧着部と端子接続部との対向部分同士を連結して圧着端子を構成することにより、圧着部と端子接続部とのそれぞれをコンパクトに組み立てて互いに連結できる。この構成によれば、圧着部と端子接続部とを予め一体に形成した基材を折り曲げなどにより圧着端子を構成する場合よりも、圧着端子の形状が複雑となっても圧着端子全体としてコンパクトに構成することができる。
【0061】
よって上述したように、圧着部と端子接続部との対向部分同士を連結して圧着端子を構成することにより、圧着端子全体としてコンパクトに構成することができる。
従って、圧着端子がコネクタハウジングの挿着部にしっかりと適切に挿着されたワイヤハーネスを構成することができる。
【0062】
またこの発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた導体先端部を備えた被覆電線における少なくとも前記導体先端部を圧着接続する圧着部と、接続相手側端子の接続を許容する端子接続部とを備えた圧着端子の製造方法であって、前記圧着部は、少なくとも前記導体先端部を基端側から挿入可能であるとともに、該導体先端部を囲繞可能な中空形状に形成されるとともに、前記圧着部の長手方向の先端側に、端子基材の内面同士が密着するように互いに重合して該先端側を封止する封止部が配置され、それぞれを別体で構成した前記端子接続部と前記圧着部とを、長手方向の先端側から後方側に沿ってこの順に直列に配置するとともに、前記端子接続部と前記圧着部とを一体に連結した状態となるように、前記封止部と前記端子接続部とを溶接する溶接工程を行うことを特徴とする。
【0063】
上述した溶接工程により、前記端子接続部と前記圧着部との対向部分を溶接するので、これら前記端子接続部と前記圧着部とをしっかりと連結することができる。
【0064】
この発明の態様として、前記溶接工程を、ファイバーレーザ溶接で行うことができる。
前記溶接工程を、ファイバーレーザ溶接で行うことにより、上述したように、確実な止水性を有する連結溶接部を構成することができる。
【0065】
またこの発明の態様として、前記圧着部と前記端子接続部とが対向する対向部分に、長手方向において対向する長手方向対向端部同士を突き合せし、突き合せた該長手方向対向端部同士を溶接する前記溶接工程において、前記レーザを、前記長手方向対向端部同士を突き合せた状態で、該長手方向対向端部に対して前記長手方向の少なくとも一方側から照射し、前記レーザが前記長手方向と略一致する方向から前記長手方向対向端部に対して照射する溶接を、前記レーザが前記長手方向対向端部に沿って移動するように前記レーザと、前記長手方向対向端部同士とのうち少なくとも一方を相対移動させながら行うことができる。
【0066】
上述した構成によれば、前記レーザ照射部を前記長手方向対向端部に沿って移動させている間、該長手方向対向端部に対してのレーザの焦点がずれることがなく、焦点をあわせた状態で適切に溶接することができる。
【0067】
さらに、前記レーザ照射部を前記長手方向対向端部に沿って移動させている間、長手方向対向端部に対してのレーザの焦点をあわせるために、長手方向対向端部に対して前記ファイバーレーザ照射部を接離動作させる必要がなく、スムーズ、且つ、簡易な構成で溶接することができる。
【0068】
ここで、上述した圧着端子の製造方法は、レーザによって前記長手方向対向端部を溶接する際には、例えば、前記レーザ照射部により照射するレーザを直接、前記長手方向対向端部に対して照射する方法を採用することができる。
【0069】
具体的には、前記長手方向対向端部同士を突き合せた状態で、該長手方向対向端部に対して前記長手方向の少なくとも一方側に配置し、前記レーザ照射部から前記長手方向と略一致する方向から前記長手方向対向端部に対して前記レーザを照射する溶接を、前記レーザ照射部を前記長手方向対向端部に沿って移動させながら行う方法を挙げることができる。
【0070】
但し、本発明の圧着端子の製造方法は、前記レーザ照射部により照射するレーザを直接、前記長手方向対向端部に対して照射する方法に限定せずに、前記レーザ照射部により照射するレーザを間接的に、前記長手方向対向端部に対して照射する方法であってもよい。
【0071】
例えば、前記レーザ照射部から照射したレーザを一旦、鏡などの反射手段で反射させ、該反射したレーザを前記長手方向対向端部同士に照射することで溶接してもよい。
【0072】
また、前記レーザが前記長手方向と略一致する方向から前記長手方向対向端部に対して照射する溶接は、前記レーザのみを前記長手方向対向端部に沿って移動させる方法に限定せず、前記長手方向対向端部側のみを移動させて行う、或いは、前記レーザと前記長手方向対向端部同士との双方を移動させて行ってもよい。
【0073】
またこの発明は、上述した圧着端子の製造方法に行う前記溶接工程の前に、前記圧着部に、前記導体先端部を圧着接続する圧着工程を行う接続構造体の製造方法であることを特徴とする。
【0074】
上述した製造方法によれば、前記溶接工程の前に、前記圧着工程を行うことにより、前記端子接続部と前記圧着部とを連結する前に、導体先端部に対して前記圧着部を圧着できる。
【0075】
これにより、このような前記端子接続部を連結していない状態であって、導体先端部を圧着した前記圧着部を、多数備えることができる。
従って、端子接続部が例えば、雄型端子、雌型端子のいずれの場合であっても、前記圧着部と連結できるため、これらいずれか一方の端子を連結するだけで、雄型端子を接続した電線として、或いは、雌型端子を接続した電線として用いることができ、汎用性に優れた電線を得ることができる。さらには、上述した構成によれば、端子接続部が例えば、相手側端子と嵌合により接続する端子嵌合部である場合には、端子嵌合部のサイズについても自在に変更、組み合わせすることができる。
【0076】
また、前記端子接続部と前記圧着部とを連結する前に、導体先端部に対して前記圧着部を圧着することにより、圧着部を導体先端部に圧着する際に端子接続部が邪魔になることなく、効率よく圧着工程を行うことができる。
【0077】
さらにまた、前記端子接続部と前記圧着部とを連結する前に、導体先端部に対して前記圧着部を圧着することにより、圧着部を導体先端部に圧着する際に圧着に伴う衝撃等が前記端子接続部と前記圧着部とを連結部分に伝わることがないため、圧着に伴う衝撃等によって、前記端子接続部と前記圧着部とを連結部分が離間したり、変形したりすることがなく、しっかりと圧着することができる。
【発明の効果】
【0078】
この発明によれば、圧着部と端子接続部とを、それぞれに要求される機能に応じて適切に構成することを可能とする優れた設計自由度を備えた圧着端子、接続構造体、コネクタ、ワイヤハーネス、並びに圧着端子の製造方法、接続構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0080】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
(第1実施形態)
図1(a)は第1実施形態の雌型圧着端子10の斜視図であり、
図1(b)は第1実施形態の圧着端子付き電線1の斜視図である。
図2は第1実施形態の圧着端子付き電線1の幅方向の中間部分の縦断面図であり、
図1(b)のA−A線断面図である。
【0081】
本実施形態の圧着端子付き電線1は、
図1(b)、及び
図2に示すように、被覆電線200を雌型圧着端子10に接続して構成している。つまり、被覆電線200における電線先端部200aを、雌型圧着端子10の圧着部40に圧着接続している。
【0082】
雌型圧着端子10に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線201aaを束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mm
2となるように、アルミニウム合金線を撚って構成しているが、この形態に限定しない。
【0083】
電線先端部200aは、被覆電線200の先端部分において、被覆先端部202aと導体先端部201aとを先端側へ向けてこの順に直列に備えた部分である。
【0084】
導体先端部201aは、被覆電線200の前方側の絶縁被覆202を剥がしてアルミニウム芯線201を露出させた部分である。被覆先端部202aは、被覆電線200の先端部分であるが、導体先端部201aよりも後方側部分であって、アルミニウム芯線201を絶縁被覆202で被覆した部分である。
【0085】
以下において、雌型圧着端子10について詳述する。
雌型圧着端子10は、
図1(a),(b)、及び
図2に示すように、長手方向Xの先端側である前方から基端側である後方に向かって、端子接続部20と圧着部40とを直列に配置するとともに、これら端子接続部20と圧着部40とを一体に連結する溶接連結部50とで構成している。
【0086】
また、長手方向Xとは、
図1に示すように、圧着部40を圧着して接続する被覆電線200の長手方向Xと一致する方向であり、幅方向Yは雌型圧着端子10の幅方向に相当し、長手方向Xに対して平面方向において交差する方向である。また、圧着部40に対するボックス部21の側を前方(先端側)とし、逆に、ボックス部21に対する圧着部40の側を後方(基端側)としている。
【0087】
また、雌型圧着端子10を
図2に示すように配置した状態において、
図2中の上方を上方向Zuに設定するとともに、下方を下方向Zdに設定する。
【0088】
端子接続部20は、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部21と、トランジション部30とで一体に構成している。
ボックス部21は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片21aを備えている。
【0089】
なお、本実施形態では、上述したように、端子接続部20と圧着部40で構成する雌型圧着端子10で構成したが、圧着部40を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子10の端子接続部20におけるボックス部21に挿入接続する挿入タブと圧着部40とで構成する雄型圧着端子でも、圧着部40のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0090】
また、トランジション部30は、ボックス部21の後端から所定の長さを有して突出し、トランジション底部31と、該トランジション底部31の幅方向Yの両側から上方へ突出する側壁部32とで形成している。トランジション部30は、端子接続部20に備えるに限らず、圧着部40の先端側に端子接続部20に向けて突出する態様で備えてもよく、端子接続部20と圧着部40との双方に備えてもよく、端子接続部20と圧着部40とを連結する後述する溶接連結部50の一部として備えてもよい。
【0091】
また、中空四角柱体であるボックス部21は、底面部22の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部23を重なり合うように折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0092】
圧着部40は、電線圧着部41と封止部42とを後方から前方側へこの順に配設するとともに、周方向全体において連続する連続形状で一体に形成している。
封止部42は、電線圧着部41よりも前方端部を略平板状に押し潰すように変形させて、雌型圧着端子10を構成する板状の端子基材100の内面同士が密着するように互いに重合させて、長手方向Xに対して直交する直交断面が略Uの字形状となるように形成している。
【0093】
電線圧着部41は、被覆圧着部41a、及び導体圧着部41bを、後方から前方側へこの順に連続して直列に配設している。
電線圧着部41は、電線先端部200aを挿入可能に後方側のみが開口するとともに、長手方向Xにおいて先端側、及び周面部全体が開口していない中空形状(筒状)で構成している。
【0094】
被覆圧着部41aは、電線先端部200aを電線圧着部41に挿入した状態において、電線圧着部41の長手方向Xにおける被覆先端部202aの配置箇所に相当する部分であり、被覆先端部202aを囲繞可能な中空形状に形成している。
導体圧着部41bは、電線先端部200aを電線圧着部41に挿入した状態において、電線圧着部41の長手方向Xにおける導体先端部201aの配置箇所に相当する部分であり、導体先端部201aを囲繞可能な中空形状に形成している。
なお、被覆圧着部41a、及び導体圧着部41bは、圧着前の状態においては互いに略同じ径をした筒状に形成している。
【0095】
溶接連結部50は、長手方向Xにおける端子接続部20と圧着部40との境界部分において、これら端子接続部20と圧着部40とを一体に溶接により連結する連結部分である。
【0096】
詳しくは、圧着部40と端子接続部20とが対向する対向部分60には、それぞれ長手方向Xにおいて対向する長手方向対向端部61(61a,61b)を形成している。
【0097】
圧着部40における長手方向対向端部61aは、長手方向Xの後方視した状態において略Uの字形状に形成するとともに、端子接続部20における長手方向対向端部61bは、長手方向Xの前方視した状態において幅方向Yに長い略偏平形状に形成している。
【0098】
続いて、上述した雌型圧着端子10の製造方法について
図3を用いて説明する。
図3は雌型圧着端子の製造方法の説明図であり、詳しくは、
図3(a)は別部材で構成した圧着部40と端子接続部20とを対向配置した状態を示している。
図3(b)は別部材で構成した圧着部40と端子接続部20とを溶接により連結する様子を示している。
【0099】
上述した雌型圧着端子10は、雌型圧着端子10の端子接続部20に相当する端子接続部構成部材20Aと、圧着部40に相当する圧着部構成部材40Aとの別体からなる2部材で構成している。
【0100】
端子接続部構成部材20Aは、端子接続部20を展開した展開形状で形成した図示しない板状の端子接続部構成基材から成り、該端子接続部構成基材を、中空四角柱体のボックス部21を備えた立体形状に曲げ加工して構成している。
【0101】
圧着部構成部材40Aは、圧着部40の展開形状に形成した図示しない板状の圧着部構成基材から成り、該圧着部構成基材を、筒状に曲げ加工するとともに、レーザLにより筒状に曲げた圧着部構成基材の対向端部を溶接して後方視略O型に形成してから、長手方向Xの前端部分に有する封止部42に相当する部分を金型でつぶして長手方向Xの後方に開口を有する略筒状のクローズドバレル形式で構成している。
【0102】
なお、端子接続部構成基材、及び圧着部構成基材は、雌型圧着端子10を構成するための板状の基材であり、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条(図示せず)により形成している。
【0103】
図3(a)に示すように、それぞれを別体で構成した端子接続部構成部材20Aと圧着部構成部材40Aとを、長手方向Xの先端側Xfから後方側Xbに沿ってこの順に直列に配置する。
【0104】
その状態で端子接続部20と圧着部40とを連結した状態に一体に溶接する溶接工程を行う。
詳しくは、
図3(b)に示すように、それぞれを別体で構成した端子接続部構成部材20Aと圧着部構成部材40Aとを、長手方向Xの先端側から後方側に沿ってこの順に直列に配置するとともに、圧着部40と端子接続部20とにおける長手方向対向端部同士61a,61bを突き合せする。そして、端子接続部20と圧着部40とに対して例えば、上方Zuに配置したファイバーレーザ溶接装置Fwのレーザ照射部FbからレーザLを該長手方向対向端部同士61a,61bが突き合わさった突合せ部分全体に対してファイバーレーザ溶接装置Fwを長手方向対向端部同士61a,61bに沿って動かしながら照射していき、圧着部40と端子接続部20とにおける長手方向対向端部同士61a,61bを溶接する。
以上により、端子接続部20と圧着部40とを一体に連結することができ、雌型圧着端子10を製造することができる。
【0105】
続いて、上述した雌型圧着端子10を、電線先端部200aに圧着接続することにより製造する圧着端子付き電線1の製造方法について手順について
図4を用いて説明する。
図4は、圧着端子付き電線1の製造方法の説明図であり、雌型圧着端子10の圧着部40に電線先端部200aを圧着する直前の様子を示している。
【0106】
まず、
図4に示すように、圧着部40における電線圧着部41に電線先端部200aを挿入する。このとき、被覆圧着部41aの内部に電線先端部200aの被覆先端部202aが挿入されるとともに、導体圧着部41bの内部に電線先端部200aの導体先端部201aが挿入される。
このとき、電線先端部200aが導体圧着部41bの奥に達するまで挿入する。
【0107】
この状態で、クリンパなどの図示しない圧着工具により電線先端部200aに対して電線圧着部41を圧着する。
これにより、
図2に示すように、電線先端部200aに対して雌型圧着端子10を圧着接続することができる。
以上により、圧着端子付き電線1を製造することができる。
【0108】
上述した雌型圧着端子10、圧着端子付き電線1、並びに圧着端子付き電線の製造方法が奏する作用効果について説明する。
圧着端子付き電線1における雌型圧着端子10は、端子接続部20と圧着部40とのそれぞれを、端子接続部構成部材20Aと圧着部構成部材40Aとで別体に構成し、端子接続部20と圧着部40とを長手方向Xの先端側から後方側に沿ってこの順に直列に連結する溶接連結部50を構成している。
【0109】
上述した構成によれば、別体に構成した端子接続部20と圧着部40とを溶接連結部50で連結したため、端子接続部20と圧着部40とを互いに異なる材質で形成したり、それぞれ異なるメッキ処理を施して容易に形成することができる。
【0110】
端子接続部20と圧着部40とは、別々に打ち抜き加工や、曲げ加工を行うことにより組み立てることができるため、雌型圧着端子10全体として一括で形成するよりもスムーズに形成することができるとともに、それぞれの形状がさらに複雑化しても正確、且つ容易に形成することができる。
【0111】
また、上述の実施形態では、圧着部40と接続部20とを銅合金で形成したが、圧着部40と接続部20とを別部材で形成したため、圧着部40と端子接続部20とを異なる材質で形成することが可能となる。
【0112】
例えば、圧着部40は、被覆電線200のアルミニウム芯線201の材質に応じて例えば、アルミニウム系金属で形成するとともに、端子接続部20は、雄型圧着端子の材質などに応じて、銅系金属で形成するなどことにより、例えば、電食が生じにくく、優れた導電性を得ることができる。
【0113】
また、雌型圧着端子10の形状が複雑化しても、雌型圧着端子10全体として複雑な形状のまま一括で形成する必要がなく、端子接続部20と圧着部40とを個別に形成できるため、結果的に、例えば、端子形状に打ち抜くための金型の費用を削減できるなど、雌型圧着端子10全体としての製造のコスト、労力を削減できる。
従って、このように雌型圧着端子10の設計自由度を大幅に向上させることができる。
【0114】
また、溶接連結部50を、端子接続部20と圧着部40とを溶接により一体に連結する溶接連結部で形成したため、端子接続部20と圧着部40との優れた一体性を有して強固に連結することができる。
【0115】
上述したように、溶接連結部50を、端子接続部20と圧着部40との溶接により一体に連結することができるため、被覆電線200と雌型圧着端子10とを圧着接続した状態において、仮に、被覆電線200が曲がったり捩じれたりして雌型圧着端子10に応力が加わっても、圧着部40と端子接続部20との溶接連結部50が分離したり、互いに位置ズレしたりすることがなく、さらに、連結部分の強度を高めることができるため、連結部分が変形することがなく雌型圧着端子10の優れた一体性を確保することができる。
【0116】
特に、上述した溶接工程を、ファイバーレーザ溶接で行うことにより、他のレーザ溶接と比べ、焦点を極小なスポットに合わせることができ、高出力なレーザ溶接を実現することができるとともに、連続照射可能である。
【0117】
したがって、溶接連結部50に隙間などの溶接の斑が生じることがなく、溶接連結部50に隙間が生じて水分が浸入することを防止できるため、確実な止水性を有する溶接を行うことができる。さらに、溶接連結部50の優れた強度を確保することもできる。
【0118】
また、圧着部40と端子接続部20とが対向する対向部分60に、長手方向Xにおいて対向する長手方向対向端部61(61a,61b)を形成し、溶接連結部50を、圧着部40と端子接続部20とにおける長手方向対向端部同士61a,61bを突き合せし、突き合せた該長手方向対向端部同士61a,61bの溶接により形成している。
【0119】
この構成により、圧着部40と端子接続部20との対向部分60において、圧着部40や端子接続部20を構成する各基材同士を重ね合わせることがないため、溶接部分が嵩張らずにコンパクトに溶接することができる。
【0120】
よって、雌型圧着端子10を図示しないコネクタハウジング内に配置する場合においても、雌型圧着端子10の溶接連結部50の特に、厚みが溶接により嵩張ることがないため、コネクタハウジングの挿着部にスムーズに挿着することができる。
【0121】
さらに、上述したように、突き合せた長手方向対向端部同士61a,61bを溶接することにより、突き合せた長手方向対向端部同士61a,61bの双方に対してレーザLを均等に照射し易くなり、これら双方の端部61a,61bをバランスよく溶解してしっかりと溶接することができる。
【0122】
また、圧着端子付き電線1の製造方法において、端子接続部20と圧着部40とのレーザLによる溶接については、上述した方法に限定せず、例えば、
図5に示すように、長手方向Xの一方側からレーザLを長手方向対向端部61に対して照射してもよい。
【0123】
図5は圧着部40と端子接続部20とを溶接により連結する他の溶接工程の説明図であり、
図5(a)は雌型圧着端子10の端子接続部20を仮想線で示した説明図であり、
図5(b)は雌型圧着端子10を断面で示した状態の他の溶接工程の説明図である。
【0124】
図5(a),(b)に示すように、溶接工程では、上述したように、圧着部40と端子接続部20とが対向する対向部分60に、長手方向Xにおいて対向する長手方向対向端部同士61a,61bを突き合せし、突き合せた該長手方向対向端部同士61a,61bを溶接する。
【0125】
この際に、長手方向対向端部同士61a,61bを突き合せた状態で、レーザ照射部Fbを、該長手方向対向端部61に対して長手方向Xにおける例えば、圧着部40の側に配置する。
【0126】
この状態でレーザ照射部Fbから長手方向Xと略一致する方向から長手方向対向端部61に対してレーザLを照射する。
【0127】
そして、このようなレーザLの照射は、レーザ照射部Fbを長手方向対向端部61に沿って移動させながら行うことで、長手方向対向端部61(61a,61b)の全長に亘って溶接することができる。
【0128】
レーザ照射部Fbを長手方向対向端部61に沿って移動させている間、該長手方向対向端部61に対してのレーザLの焦点がずれることがなく、焦点をあわせた状態で適切に溶接することができる。
【0129】
詳しくは、圧着部40の長手方向対向端部61aは、Uの字形状をした孤状の端部形状で形成しているため(
図3(a)、及び
図5(a)参照)、
図3(b)に示すように、例えば、雌型圧着端子10に対してレーザ照射部Fbを上方に配置し、幅方向Yに沿って形成した長手方向対向端部61に沿ってレーザ照射部Fbを移動させながらレーザLを照射した場合、レーザ照射部Fbの移動に伴ってレーザ照射部Fbと長手方向対向端部61との間の照射距離が変動するため、レーザLの焦点がずれることになる。
【0130】
これに対して、
図5(a),(b)に示した溶接方法によれば、レーザ照射部FbからレーザLを、長手方向Xと略一致する方向、すなわち、雌型圧着端子10の長手方向Xに沿って、長手方向対向端部同士61a,61bを突き合せた突合せ部分に対して照射している。
【0131】
これにより、圧着部40の長手方向対向端部61aが、Uの字形状をした孤状の端部形状であるにも関わらず、レーザ照射部Fbを圧着部40の長手方向対向端部61aに沿って動かしている間(
図5(a)中の矢印参照)、レーザLの長手方向対向端部同士61a,61bの突合せ部分に対する焦点距離が変動することがない。
【0132】
従って、レーザ照射部Fbを長手方向対向端部61に沿って移動させている間、該長手方向対向端部61に対してのレーザLの焦点がずれることがなく、焦点をあわせた状態で適切に溶接することができる。
【0133】
レーザ照射部Fbを長手方向対向端部61に沿って移動させている間、長手方向対向端部61に対してのレーザLの焦点をあわせるために、長手方向対向端部61に対してレーザ照射部Fbを接離動作させる必要がなく、スムーズ、且つ、簡易な構成で溶接連結部50を溶接することができる。
【0134】
また、上述した端子接続部20の長手方向対向端部61bは、上述したように偏平形状で形成するに限らず、圧着部40の長手方向対向端部61aと同様に、略Uの字形状の端部形状で形成してもよい。
【0135】
以下では、他の実施形態における圧着端子付き電線1Pa,1Pb,1Pc,1Pd,1Pe,1Pf,1Pg,1Ph,1Piについて説明する。
但し、以下で説明する圧着端子付き電線1Pa,1Pb,1Pc,1Pd,1Pe,1Pf,1Pg,1Ph,1Phの構成のうち、上述した第1実施形態における圧着端子付き電線1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0136】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態の雌型圧着端子10Pa、及び圧着端子付き電線1Paの説明図であり、詳しくは、
図6(a)は別部材で構成した圧着部40Paと端子接続部20とを対向配置した状態を示している。
図6(b)は第2実施形態の圧着端子付き電線1Paの一部を示す縦断面図である。
【0137】
第2実施形態の雌型圧着端子10Pa及び圧着端子付き電線1Paは、圧着部40Paと端子接続部20とで構成した雌型圧着端子10Paを備えて構成している。
【0138】
雌型圧着端子10Paは、
図6(a)に示すように、圧着部40Paの長手方向対向端部62を上述したようにUの字形状の端部形状ではなく、端子接続部20と同様に、幅方向Yに略直線状の偏平形状で形成している。
【0139】
上述した構成によれば、圧着部40Paと端子接続部20との長手方向対向端部同士62(62a,62b)を突き合わせた状態において、
図6(b)に示すように、幅方向Yにおいて線状に接触した状態で突き合わせることができる。すなわち、幅方向Yの略全長に亘って、圧着部40Paと端子接続部20とのうち、薄肉の方の板厚(肉厚)に相当する接触面積を確保することができる。
【0140】
従って、このような長手方向対向端部同士61a,61bが突き合わさった突合せ部分に対してレーザLを照射することで、点接触状態で突き合わせた場合よりも、より大きな溶接面積を確保することができ、溶接連結部50における優れた強度を得ることができる。
【0141】
しかも、長手方向対向端部62が幅方向Yに沿った平板形状である場合、Uの字型をした孤形状の長手方向対向端部同士61a,61bのように、幅方向Yに沿って上下方向(直交方向Z)の位置が変動しないため、レーザ照射部Fbを雌型圧着端子10Paに対して上方に配置しても、レーザLの焦点を、長手方向対向端部同士61a,61bが突き合わさった突合せ部分に対して正確、且つ、スムーズに合わせた状態で溶接することができる。
【0142】
(第3実施形態)
図7は第3実施形態の雌型圧着端子10Pb、及び圧着端子付き電線1Pbの説明図であり、
図7(a)は別部材で構成した圧着部40Pbと端子接続部20Pbとを対向配置した状態を示している。
図7(b)は第3実施形態の圧着端子付き電線1Pbの一部を示す縦断面図である。
【0143】
第3実施形態の圧着端子付き電線1Paは、
図7(a)に示すように、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとで構成した雌型圧着端子10Pbを備えて構成している。
【0144】
第3実施形態の雌型圧着端子10Pbは、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとが対向する対向部分60に、長手方向対向端部同士61a,61bの対向面積よりも大きな対向面積を有した長手方向対向面部63(63a,63b)を形成している。
【0145】
さらに、溶接連結部50を、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとにおける長手方向対向面部同士63a,63bを突き合せし、突き合せた該長手方向対向面部同士63a,63bの溶接により形成している。
【0146】
詳しくは、圧着部40Pbにおける封止部42の長手方向Xの前方側Xbの先端部分を上方に略直角に折り曲げて形成し、その折り曲げ部分の端面を、圧着部40Pbの長手方向対向面部63aとして形成している。
【0147】
一方、端子接続部20Pbにおけるトランジション部30の長手方向Xの後方側Xbの先端部分を上方に略直角に折り曲げて形成し、その折り曲げ部分の端面を、端子接続部20Pbの長手方向対向面部63bとして形成している。
【0148】
上述した構成によれば、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとのそれぞれにおける長手方向対向面部63a,63bは、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとのそれぞれの基板の肉厚よりも大きな厚み(上下方向幅)を有している。このため、これら長手方向対向面部同士63a,63bを突き合わせた場合、互いに面状に接触させることができ、第1実施形態、及び第2実施形態における長手方向対向端部同士(61a,61b、又は62a,62b)を突き合わせた場合と比較してより大きな対向面積を確保することができる。
【0149】
従って、長手方向対向面部同士63a,63bを突き合わせた広い対向部分60を溶接することで大きな溶接面積を得ることができ、しっかりと溶接することができるため、圧着部40Pbと端子接続部20Pbとの優れた一体性を得ることができる。
【0150】
(第4実施形態)
図8は第4実施形態の雌型圧着端子10Pc、及び圧着端子付き電線1Pcの説明図であり、詳しくは、
図8(a)は別部材で構成した圧着部40Paと端子接続部20とを対向配置した状態を示している。
図8(b)は第4実施形態の圧着端子付き電線1Pcの一部を示す縦断面図である。
【0151】
第4実施形態の圧着端子付き電線1Pcは、
図8(a)に示すように、圧着部40Paと端子接続部20とで構成した雌型圧着端子10Pcを備えて構成している。
【0152】
第4実施形態の雌型圧着端子10Pcは、圧着部40Paと端子接続部20とが対向する対向部分60に、長手方向Xと幅方向Yとの両方向に直交する直交方向Z(上下方向Z)において対向する直交方向対向面部64(64a,64b)を形成している。
【0153】
第4実施形態の雌型圧着端子10Pc及び圧着端子付き電線1Pcは、圧着部40Paと端子接続部20との対向部分60において、圧着部40Paと端子接続部20とにおける直交方向対向面部同士64a,64bを重ね合わせ、重ね合わせした該直交方向対向面部同士64a,64bの溶接により溶接連結部50を形成している。
【0154】
詳しくは、圧着部40Paにおける封止部42は、その長手方向Xの前端部を含めて略偏平な板状に形成し、端子接続部20におけるトランジション底部31は、その長手方向Xの後端部を含めて平板形状に形成している。
【0155】
そして、圧着部40Paにおける封止部42の略平坦な底面(下面)を、圧着部40Paの直交方向対向面部64aとして形成するとともに、端子接続部20におけるトランジション底部31の平坦な上面を端子接続部20の直交方向対向面部64bとして形成している。
【0156】
端子接続部20の直交方向対向面部64bに、圧着部40Paの直交方向対向面部64aを載置することで、互いに面接触状態で重ね合わせることができる。
【0157】
その状態で、該直交方向対向面部同士64a,64bを重ね合した重ね合わせ部分を溶接し、溶接連結部50を形成している。
【0158】
上述した構成によれば、圧着部40Paと端子接続部20との対向部分60を互いに面接触状態で重ね合わせることができる。
さらに、圧着部40Paと端子接続部20との対向部分60を重ね合わせた状態において、封止部42は、トランジション底部31の両側から突出するトランジション側壁部32によって幅方向Yの両側から係止される。
【0159】
このような状態で溶接することで、圧着部40Paと端子接続部20との直交方向対向面部同士64a,64bが面接触状態で重ね合った安定した状態で配置できるとともに、封止部42はトランジション側壁部32によって幅方向Yにおいて係止した状態となるため、互いに位置がずれることなく精度よく溶接することができるとともに、圧着部40Paと端子接続部20とを強固に連結することができる。
【0160】
なお、圧着部40Paと端子接続部20とを連結するための溶接工程において、この溶接工程に加え、封止部42に相当する位置において、端子接続部構成部材20Aを圧縮して重ね合わせた状態で一体に溶接する、封止部42を形成するための溶接工程を、一括してまとめて行ってもよい。
【0161】
(第5実施形態)
図9は第5実施形態の雌型圧着端子10Pd、及び圧着端子付き電線1Pdの説明図であり、詳しくは、
図9(a)は別部材で構成した圧着部40Pdと端子接続部20Pdとを対向配置した状態を示している。
図9(b)は第5実施形態の圧着端子付き電線1Pdの製造工程の説明図である。
図10は第5実施形態の圧着端子付き電線1Pdを示す縦断面図である。
【0162】
第5実施形態の圧着端子付き電線1Pdは、
図9(a)に示すように、圧着部40Pdと端子接続部20Pdとで構成した雌型圧着端子10Pdを備えて構成している。
なお、端子接続部20Pdのトランジション部30は、封止部42と導体圧着部41bと載置可能な長さで突出している。
【0163】
第5実施形態の雌型圧着端子10Pdは、圧着部40Pdにおける導体圧着部40Pdの例えば下部に、該圧着部40Pdにより圧着した導体先端部201aを導体圧着部41bの外側から視認可能に、圧着部構成基材を厚み方向に貫通する貫通孔81を形成している。
【0164】
上述したように、導体圧着部41bに貫通孔81を形成することにより、圧着部40Pdを導体先端部201aに対して圧着した状態において、圧着部40Pdの外側から内部の様子を視認することができる。
【0165】
これにより、例えば、圧着部40Pdの内部においてアルミニウム芯線201が幅方向Yの一方に偏在している、或いは、不用意に捩じれたり曲がったりしているなどといった圧着部40Pdの内部におけるアルミニウム芯線201の位置をはじめとする圧着部40Pdによる圧着状態を目視により確認することができる。さらに、圧着部40Pdを電線先端部200aに圧着する際において、導体先端部201aを導体圧着部41bの奥に達するまで挿入されているか否かについて貫通孔81を通じて目視により確認することができる。
【0166】
従って、優れた圧着状態の圧着端子付き電線1Pdを得ることができ、仮に圧着後に不良品が発生しても一目で不良品を排除することができ、品質向上に貢献することができる。
【0167】
この場合、圧着端子付き電線1Pdは、圧着部40Pdと端子接続部20Pdとを溶接により連結する前に、圧着部40Pdを電線先端部200aに圧着接続する。
これにより、圧着状態の圧着部40Pdは、特に、導体圧着部41bを圧着前と比較して薄肉の偏平形状とすることができる。
【0168】
ここで、この圧着状態の圧着部40Pdにおける封止部42と導体圧着部41bとの部分であって、貫通孔81を有する側の面を、圧着部40Pdの直交方向対向面部65aに設定する。
つまり、圧着部40Pdの封止部42、及び導体圧着部41の底面側を、圧着部40Pdの直交方向対向面部65aに設定する。
【0169】
一方、端子接続部20Pdのトランジション底面部の上面において、封止部42と導体圧着部41bとの載置可能な部分を、端子接続部20Pdの直交方向対向面部65bに設定する。
【0170】
そして、
図9(b)に示すように、上述した圧着部40Pdにおける貫通孔81が形成された直交方向対向面部65aを、端子接続部20Pdの直交方向対向面部65bに対向させ、互いに重ね合わせた状態で重ね合わせ部分を溶接することで圧着部40Pdと端子接続部20Pdとを連結する。
【0171】
上述した構成によれば、圧着部40Pdにおける貫通孔81を有する直交方向対向面部65aと端子接続部20Pdにおける直交方向対向面部65bとを互いに重ね合わせた状態で溶接することができる。
【0172】
よって、上述した態様で溶接することで、
図10に示すように、貫通孔81を塞ぐようにして溶接することができるため、圧着部40Pdと端子接続部20Pdとを連結した状態おいて、貫通孔81を通じて圧着部40Pdの内部に水分が浸入することがなく、優れた止水性を確保することができる。
【0173】
さらに、圧着部40Pdと端子接続部20Pdとの対向部分60同士を溶接により連結するという工程と、貫通孔81を塞ぐという工程との2つの別々の工程を一度にまとめて行うことができる。
【0174】
これにより、止水性に優れた雌型圧着端子10Pdの生産性の向上を図ることができる。
なお、貫通孔81は、正面視正円形状で形成するに限らず、楕円形状、長孔形状、多角形状など様々な形状で形成することができ、また、大きさ、形成する数、形成箇所も限定しない。
【0175】
(第6実施形態)
図11は第6実施形態の雌型圧着端子10Pe、及び圧着端子付き電線1Peの説明図であり、詳しくは、
図11(a)は別部材で構成した圧着部40Peと端子接続部20とを対向配置した状態を示している。
図11(b)は第6実施形態の圧着端子付き電線1Peの一部を示す縦断面図である。
【0176】
第6実施形態の圧着端子付き電線1Peは、
図11(a)に示すように、圧着部40Peと端子接続部20とで構成した雌型圧着端子10Peを備えて構成している。
【0177】
第6実施形態の雌型圧着端子10Peは、
図11(a),(b)に示すように、第6実施形態の雌型圧着端子10Pe及び圧着端子付き電線1Peは、圧着部40Peにおける封止部42において、2枚を重ね合わせた圧着部構成基材のうち、一方の基材(83S)を他方の基材(83L)よりも長手方向Xの前方側への突出長さを短小に形成している。
【0178】
ここで、封止部42における一方の基材を、短尺突出片83Sに設定するとともに、他方の基材を長尺突出片83Lに設定する。これにより、封止部42の前方側は、厚み方向(上下方向Z)において段違い形状で形成している。
【0179】
さらに、長尺突出片83Lの両面における短尺突出片83Sを配置した側の面の端面部を、圧着部40Peの直交方向対向面部66aに設定するとともに、短尺突出片83Sの長手方向Xの前方側の端部を、圧着部40Peの長手方向対向端部67aに設定する。
【0180】
一方、端子接続部20のトランジション底面部の上面において、圧着部40Peの長手方向対向端部61を載置可能な部分を、端子接続部20の直交方向対向面部66bに設定する。
【0181】
さらに、端子接続部20のトランジション底面部の長手方向Xの後方端部を、端子接続部20の長手方向対向端部67bに設定する。
【0182】
そして、
図11(b)に示すように、圧着部40Peと端子接続部20とを、圧着部40Peと端子接続部20との直交方向対向面部同士66(66a,66b)が対向するとともに、長手方向対向端部同士67(67a,67b)が対向するように配置する。
【0183】
これにより、圧着部40Peと端子接続部20との直交方向対向面部同士66a,66bが面接触状態で重なり合うとともに、圧着部40Peと端子接続部20との長手方向対向端部同士67a,67bが線接触状態で突き合わさった状態となる。
【0184】
よって、圧着部40Peと端子接続部20との直交方向対向面部同士66a,66bの重なり合い部分を溶接するとともに、圧着部40Peと端子接続部20との長手方向対向端部同士67a,67bの突き合わせ部分とを溶接することにより、いずれか一方のみを溶接する場合と比較して圧着部40Peと端子接続部20とを、強固に連結することができる。
【0185】
(第7実施形態)
図12は第7実施形態の雌型圧着端子10Pf、及び圧着端子付き電線1Pfの説明図であり、詳しくは、
図12(a)は別部材で構成した圧着部40Pfと端子接続部20Pfとを対向配置した状態を示している。
図12(b)は第7実施形態の圧着端子付き電線1Pfの一部を示す縦断面図である。
【0186】
第7実施形態の圧着端子付き電線1Pfは、
図12(a)に示すように、圧着部40Pfと端子接続部20Pfとで構成した雌型圧着端子10Pfを備えて構成している。
【0187】
第7実施形態の雌型圧着端子10Pfは、圧着部40Pfと端子接続部20Pfとが対向する対向部分60に、該対向部分60同士を対向状態に係止する押え係止部85を形成している。
【0188】
押え係止部85は、端子接続部20Pfの長手方向Xの後方側端部Xbにおいてトランジション側壁部32間を横架するように幅方向Yに配置している。端子接続部20Pfの長手方向Xの後方側端部を、トランジション部30、及び押え係止部85によって、圧着部40Pfの封止部42を嵌め込み可能な環状に構成している。
【0189】
ここで、圧着部40Pfの封止部42の底面を、圧着部40Pfの直交方向対向面部68aに設定するとともに、端子接続部20Pfのトランジション底部31の上面を、端子接続部20Pfの直交方向対向面部68bに設定する。
【0190】
そして、圧着部40Pfと端子接続部20Pfの直交方向対向面部同士68(68a,68b)を重合した状態において、圧着部40Pfの封止部42は、押え係止部85によって係止した状態となる。
【0191】
このように、圧着部40Pfの封止部42は、押え係止部85によって係止した状態で圧着部40Pfと端子接続部20Pfの直交方向対向面部同士68a,68bの重合なり合い部分を溶接することで圧着部40Pfと端子接続部20Pfとを一体に連結することができる。
【0192】
上述したように、圧着部40Pfと端子接続部20Pfとの対向部分60同士を係止した状態で溶接することができるため、対向部分60同士を溶接する際に、圧着部40Pfと端子接続部20Pfとが互いに位置ズレすることなく、互いに直列に配置した正確な形状で、スムーズに溶接することができる。
【0193】
さらに、圧着部40Pfと端子接続部20Pfとを連結後も押え係止部85によって封止部42を係止した状態とすることができるため、直交方向対向面部同士68a,68bを強固な連結状態に保つことができる。
【0194】
(第8実施形態)
図13は第8実施形態の雌型圧着端子10Pg、及び圧着端子付き電線1Pgの説明図であり、詳しくは、
図13(a)は別部材で構成した圧着部40と端子接続部20Pgとを対向配置した状態を示している。
図13(b)は第8実施形態の圧着端子付き電線1Pgの一部を示す縦断面図である。
【0195】
第8実施形態の圧着端子付き電線1Pgは、
図13(a)に示すように、圧着部40と端子接続部20Pgとで構成した雌型圧着端子10Pgを備えて構成している。
【0196】
第8実施形態の雌型圧着端子10Pgは、圧着部40と端子接続部20Pgとが対向する対向部分60に、該対向部分60同士を対向状態に係止する係止突片部86を形成している。
係止突片部86は、端子接続部20Pgの長手方向Xの後方側端部Xbにおいてトランジション側壁部32から突出状態で形成している。
また、圧着部40の封止部42は、直交断面が断面視Uの字形状に形成している。この圧着部40の封止部42の底面を、圧着部40の直交方向対向面部69aに設定する。一方、端子接続部20Pgのトランジション底部31の上面を、端子接続部20Pgの直交方向対向面部69bに設定する。
【0197】
そして、
図13(b)に示すように、圧着部40と端子接続部20Pgの直交方向対向面部同士69(69a,69b)を重合した状態において、係止突片部86を圧着部40の封止部42の側へ折り曲げることにより、圧着部40の封止部42は、断面Uの字形状をした幅方向Yの各端部を係止することができる。
【0198】
このように、圧着部40の封止部42は、係止突片部86によって係止した状態で圧着部40と端子接続部20Pgの直交方向対向面部同士69a,69bの重合なり合い部分を溶接することで圧着部40と端子接続部20Pgとを一体に連結することができる。
【0199】
上述したように、圧着部40と端子接続部20Pgとの対向部分60同士を係止した状態で溶接することができるため、対向部分60同士を溶接する際に、圧着部40と端子接続部20Pgとが互いに位置ズレすることなく、互いに直列に配置した正確な形状で、スムーズに溶接することができる。
【0200】
さらに、圧着部40と端子接続部20Pgとを連結後も係止突片部86によって封止部42を係止した状態とすることができるため、直交方向対向面部同士69a,69bを強固な連結状態に保つことができる。
【0201】
(第9実施形態)
図14は第9実施形態の雌型圧着端子10Ph、及び圧着端子付き電線1Phの説明図であり、詳しくは、
図14(a)は別部材で構成した圧着部40Phと端子接続部20Pgとを対向配置した状態を示している。
図14(b)は第9実施形態の圧着端子付き電線1Phの一部を示す縦断面図である。
図14(c)は第9実施形態の圧着端子付き電線1Phの一部を示す右側面図である。
【0202】
第9実施形態の圧着端子付き電線1Phは、
図14(a)に示すように、圧着部40Phと端子接続部20Pgとで構成した雌型圧着端子10Phを備えて構成している。
【0203】
第9実施形態の雌型圧着端子10Phは、第6実施形態の雌型圧着端子10Peと第8実施形態の雌型圧着端子10Pgとを組み合わせた構成とすることができる。
【0204】
詳しくは、第9実施形態の雌型圧着端子10Ph、及び圧着端子付き電線1Phは、圧着部40Phにおける封止部42を直交断面視Uの字形状で形成しているが、第6実施形態と同様に、2枚の基材を密着状態に重合させて構成した封止部42のうち、一方の基材(83S)を他方の基材(83L)よりも長手方向Xの前方側への突出長さを短小に形成している(
図14(b))。
【0205】
さらに、長尺突出片83Lの両面における短尺突出片83Sを配置した側の面の端面部を、圧着部40Phの直交方向対向面部71aに設定するとともに、短尺突出片83Sの長手方向Xの前方側の端部を、圧着部40Phの長手方向対向端部72aに設定する。
【0206】
一方、端子接続部20Pgのトランジション底面部の上面において、圧着部40Phの長手方向対向端部61を載置可能な部分を、端子接続部20Pgの直交方向対向面部71bに設定する。
さらに、端子接続部20Pgのトランジション底面部の長手方向Xの後方端部を、端子接続部20Pgの長手方向対向端部72bに設定する。
【0207】
また、第9実施形態の雌型圧着端子10Ph、及び圧着端子付き電線1Phは、第8実施形態と同様に、端子接続部20Pgにおける圧着部40Phと対向する対向部分60に、該対向部分60同士を対向状態に係止する第1係止突片部86aを形成している。
【0208】
さらに、圧着部40Phにおける端子接続部20Pgと対向する対向部分60に、第1係止突片部86aと長手方向Xにおいて係合可能な第2係止突片部86bを形成している。
そして、圧着部40Phと端子接続部20Pgとを、圧着部40Phと端子接続部20Pgとの直交方向対向面部同士71(71a,71b)が対向するとともに、長手方向対向端部同士72(72a,72b)が対向するように配置する。
【0209】
この状態で、
図14(b),(c)に示すように、係止突片部86を圧着部40Phの封止部42の側へ折り曲げることにより、圧着部40Phの封止部42は、断面Uの字形状をした幅方向Yの各端部を係止することができる。
さらに、この状態において、第1係止突片部86aと第2係止突片部86bとは、長手方向Xにおいて互いに係合し合う。
【0210】
よって、圧着部40Phの封止部42は、係止突片部86によって係止した状態で、圧着部40Phと端子接続部20Pgとの直交方向対向面部同士71a,71bの重なり合い部分を溶接するとともに、圧着部40Phと端子接続部20Pgとの長手方向対向端部同士72a,72bの突き合わせ部分とを溶接することができる。
従って、いずれか一方のみを溶接する場合と比較して圧着部40Phと端子接続部20Pgとを、強固に連結することができる。
【0211】
さらに、圧着部40Phと端子接続部20Pgとの対向部分60同士を係止した状態で溶接することができるため、対向部分60同士を溶接する際に、圧着部40Phと端子接続部20Pgとが互いに位置ズレすることなく、互いに直列に配置した正確な形状で、スムーズに溶接することができる。
【0212】
なお、第6実施形態の雌型圧着端子10Phの構成において、上述したように、係止突片部86a,86bを備えた構成に限らず、押え係止部85を備えて構成してもよい。
【0213】
(第10実施形態)
図15は第10実施形態の雌型圧着端子10Pi、及び圧着端子付き電線1Piの説明図であり、
図15は第10実施形態の圧着端子付き電線1Piの一部を示す縦断面図である。
【0214】
第10実施形態の圧着端子付き電線1Piは、
図15に示すように、圧着部40Piと端子接続部20Piとで構成した雌型圧着端子10Piを備えて構成している。
【0215】
第10実施形態の雌型圧着端子10Piは、端子接続部20Piにおけるトランジション底部31の基部を上方Zuに突き立てた突立て突出片88を形成している。
ここで、突当て突出片88の後方側Xfの端面を、端子接続部20の長手方向対向面部74bに設定するとともに、端子接続部20のトランジション底部31の上面を、端子接続部20の直交方向対向対面部75bに設定して形成する。
【0216】
一方、圧着部40の封止部42の前方側Xfの端部を、圧着部40の長手方向対向面部74aとして形成するとともに、圧着部40の封止部42の略平坦な底面(下面)を、圧着部40Paの直交方向対向面部75aとして形成する。
【0217】
そして、
図15に示すように、圧着部40Piと端子接続部20Piとを、圧着部40Piと端子接続部20Piとの長手方向対向面部同士74(74a,74b)が対向するとともに、直交方向対向面部同士75(75a,75b)が対向するように配置する。
【0218】
これにより、圧着部40Piと端子接続部20Piとの直交方向対向面部同士75(75a,75b)が面接触状態で重なり合うとともに、圧着部40Piと端子接続部20Piとの長手方向対向面部同士74(74a,74b)が面接触状態で突き合わさった状態となる。
【0219】
よって、圧着部40Piと端子接続部20Piとの直交方向対向面部同士75a,75bの面接触状態の重なり合い部分を溶接するとともに、圧着部40Piと端子接続部20Piとの長手方向対向面部同士74a,74bの面接触状態の突き合わせ部分とを溶接することにより、いずれか一方のみを溶接する場合と比較して圧着部40Piと端子接続部20Piとを、強固に連結することができる。
【0220】
この発明の構成と、実施形態との対応において、
この発明の圧着接続構造体は、実施形態の圧着端子付き電線1,1Pa,1Pb,1Pc,1Pd,1Pe,1Pf,1Pg,1Ph,1Piに対応し、
以下同様に、
圧着端子は雌型圧着端子10,10Pa,10Pb,10Pc,10Pd,10Pe,10Pf,10Pg,10Ph,10Piに対応し、
係止部は押え係止部85、係止突片部86、又は、第1係止突片部86aと第2係止突片部86bに対応し、
導体はアルミニウム芯線201に対応し、
接続相手側端子は雄型圧着端子に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、圧着端子付き電線は、端子接続部と圧着部との対向部分60を上述した実施形態の形成に限らず、その他の実施形態で構成することができる。
また、上述した実施形態の圧着端子付き電線1Pa,1Pb,1Pc,1Pd,1Pe,1Pf,1Pg,1Ph,1Piの製造方法は、上述した製造方法に限定しない。
例えば、第1実施形態の雌型圧着端子10及び圧着端子付き電線1は、
図16(a),(b)に示すように製造することができる。
なお、
図16は他の実施形態の圧着端子付き電線1の他の製造方法の説明図であり、詳しくは、
図16(a)は圧着部40と端子接続部20とを連結する前に、電線先端部に接続した状態の圧着部40と、端子接続部20とを対向配置した状態を示す説明図である。
図16(b)は別部材で構成した圧着部40と端子接続部20とを溶接により連結する様子を示している。
【0221】
具体的には、第1実施形態の雌型圧着端子10及び圧着端子付き電線1は、圧着部40と端子接続部20とを連結後に圧着部40を電線先端部に圧着するに限らず、第5実施形態の雌型圧着端子10Pd及び圧着端子付き電線1Pdと同様に、
図16(a)に示すように、圧着部40を電線先端部200aに圧着した後で
図16(b)に示すように、圧着部40と端子接続部20とを連結してもよい。
【0222】
第1実施形態、及び第5実施形態以外の他の実施形態についても第1実施形態の雌型圧着端子10及び圧着端子付き電線1と同様に、圧着部40と端子接続部20との連結と、圧着部40の電線先端部200aに対する圧着とを行う工程の前後は限定しない。
【0223】
また、圧着部構成部材40Aは、上述した製造方法で構成するに限らず、例えば、封止部42に相当する部分を、金型でつぶした状態でレーザLにより幅方向Yの溶接個所に沿って溶接して封止して形成してもよい。
【0224】
さらに、圧着部構成部材40Aは、該圧着部構成部材40Aにおける別の溶接方法について説明する説明図である
図17に示すように、圧着部構成部材40Aの形状を形成してから、直交方向Z(厚み方向)に変動する溶接個所Waを溶接して形成してもよい。
【0225】
詳述すると、
図17(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた圧着部構成基材(銅合金条)を丸めて端部40t同士を突き合わさるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部42を含む圧着部構成部材40Aの形状にあらかじめ形成する。
【0226】
そして、丸めて重ね合わさる端部40t同士を長手方向Xの溶接個所Waに沿ってレーザLにより溶接することで溶接部W1を形成とともに、封止部42において幅方向Yの溶接個所Wbに沿って溶接することで溶接部W2を形成して封止することで圧着部構成部材40Aを完成させる。
【0227】
また、圧着部構成部材40Aは、
図17(a),(b)に示すように、圧着部構成部材40A上面側で端部40t同士を重ね合わして溶接してもよいが、これに限らず、図示しないが圧着部構成部材40Aの底面側で端部40t同士を重ね合わして溶接してもよい。
【0228】
なお、上述した圧着部構成基材(銅合金条)を丸めて端部40t同士を重ね合わせるとは、端部40t同士が突き合わさるように端部40t同士を周方向において重ね合わせることに限らず、端部40t同士を、筒状に丸めた圧着部構成基材の径方向において重ね合わせることも含む。
【0229】
ここで、上述したように、圧着端子付き電線1を製造する様々な工程において、レーザ溶接を行っている。
例えば、圧着部構成部材40Aを製造する際において、圧着部構成基材(銅合金条)を丸めて突き合わさる端部40t同士を長手方向Xの溶接個所Waに沿ってレーザ溶接したり、封止部42において幅方向Yの溶接個所Wbに沿ってレーザ溶接している。或いは、上述したように、端子接続部20,20Pb,20Pd,20Pf,20Pg,20Pgと圧着部40,40Pa,40Pb,40Pd,40Pe,40Pf,40Ph,40Pi,40’とを一体に連結する際においても、レーザ溶接している。
【0230】
このように、レーザ溶接を行うことで、端子材料の変形の少ない接続状態を実現することができるとともに、非接触での溶接が可能であるため、圧着部で導体部分を圧着する際の強度を保持することができる。
【0231】
詳述すると、超音波溶接や抵抗溶接などの接触溶接の場合、圧痕が残るほどの機械的圧接が必要となり、応力集中が生じて材料強度が低下し、導体部分を圧着する際に圧着部が損傷するおそれがあるが、非接触溶接である高出力密度ビームを用いた溶接では、上述したような機械的圧接に比べて材料強度の低下がなく、導体部分の圧着の際に圧着部が損傷することなく、止水性が確保できるとともに、安定した圧着状態を維持することができる。
【0232】
また、例えば、上記溶接を、接触溶接として、ろう付けで行う場合はコストが高くなり、超音波接合であればアンビルとホーンが必要となるとともに、抵抗溶接であれば、電極を挿入するスペースが必要であり設備も大掛かりになるとともに、上述したような、圧接加工による材料の薄肉化による端子圧着時の溶接部機械的強度の低下が心配されるが、非接触溶接であるレーザ溶接では大気下で溶接することができ、設備のコンパクト化を図ることができる。
【0233】
特に、レーザ溶接として、ファイバーレーザ溶接で行うことで、容易に深い溶け込みの溶接を行うことができる。詳しくは、ファイバーレーザはビーム品質に優れ集光性が高いため、高出力密度加工を実現可能である。したがって、高アスペクト比の深溶け込み溶接によって、材料に余分な熱影響を与えることなく、確実な溶接状態を効率よく行うことができる。
【0234】
なお、ファイバーレーザには、連続発振、パルス発振、QCW発振、あるいはパルス制御された連続発振されるファイバーレーザビームであることを含む。
【0235】
また、圧着部構成部材40Aは、
図17(b)に示すように、該圧着部構成部材40Aを構成し、その後、該圧着部構成部材40Aと端子接続部構成部材20Aとを直列に一体に連結して雌型圧着端子10を構成する際において、該圧着部構成部材40Aの長手方向Xの後端側Xbが帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態と分離した状態とのうちいずれの状態であってもよい。
【0236】
さらに、圧着部構成部材40Aは、該圧着部構成部材40Aにおける電線圧着部41に、被覆電線200の電線先端部200aを挿入して圧着接続するのは、圧着部構成部材40Aを構成後において、圧着部構成部材40Aの長手方向Xの後端側XbがキャリアKに取り付けられたままの状態と分離した状態とのうちいずれの状態であってもよく、また、端子接続部構成部材20Aに対して一体に連結する前の状態と後の状態とのいずれの状態であってもよい。
【0237】
また、圧着部40は、上述したクローズドバレルに限定せず、
図18(a)に示すように、オープンバレルで形成してもよい。さらに、オープンバレル型の圧着部40’についても、
図18(b)に示すように、圧着部40’と端子接続部20とを連結後に圧着部40’を電線先端部200aに圧着してもよく、また、
図18(c)に示すように、電線先端部200aに圧着した状態の圧着部40’と、端子接続部20とを連結してもよい。
【0238】
なお、
図18(a)はオープンバレル形式の圧着部40’と端子接続部20とを連結する前に圧着部40’と、端子接続部20とを対向配置した状態を示す説明図である。
図18(b)はオープンバレル形式の圧着部40’と端子接続部20とを連結した状態の雌型圧着端子10と電線先端部200aとを接続する直前の様子を示す説明図である。
図18(c)は電線先端部200aを圧着接続した状態の圧着部40’と端子接続部20とを連結する様子を示している。
【0239】
また、上述の説明では、雌圧着端子10の圧着部40を、卑な金属であるアルミニウム合金からなる電線導体としてのアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、このようなアルミニウム合金やアルミニウム等の卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる電線導体に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
詳しくは、上述の構成の圧着部40は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線200を接続してもよい。
【0240】
また、他の実施形態として、例えば、第1実施形態の雌型圧着端子10の他の実施形態の雌型圧着端子10Pjを示す
図19(a),(b)のように、電線圧着部41jは、長手方向Xの先端側から基端側へこの順に、導体先端部201aを圧着する導体圧着部41bjと、絶縁被覆202の先端側の被覆先端部202aを圧着する被覆圧着部41ajとを配設して構成してもよい。
なお、
図19(a)は他の実施形態の雌型圧着端子10Pjの外観図であり、
図19(b)は電線圧着部41を圧着前の雌型圧着端子10Pj、及び電線先端部200aに挿入した状態の電線先端部200aの縦断面図である。
【0241】
上述した電線圧着部41jは、被覆圧着部41ajを、被覆先端部202aを囲繞可能な中空形状に形成し、導体圧着部41bjを、被覆圧着部41ajよりも小径に形成するとともに、導体先端部201aを囲繞可能な中空形状に形成し、導体圧着部41bjと被覆圧着部41ajとを長手方向Xに沿って連続する中空形状で構成している。
【0242】
上述した構成によれば、電線先端部200aを圧着端子10に圧着した状態において、電線先端部200aと雌型圧着端子10Pjの電線圧着部41jとをしっかりと密着させることができ、安定した導電性を得ることができる。
【0243】
詳しくは、本実施形態の雌型圧着端子10Pjは、上述したように、電線圧着部41jを、被覆圧着部41ajと、被覆圧着部41ajよりも小径に形成した導体圧着部41bjとで構成したため、電線先端部200aを電線圧着部41jに挿入すると、導体先端部201aを導体圧着部41bjに適切に配置することができるとともに、被覆先端部202aを被覆圧着部41ajに適切に配置することができる。
【0244】
これにより、電線圧着部41jの内部において、導体先端部201aが捩じれたり、傾いたりすることがなく、また、挿入が足りずに電線圧着部41jの内部において、導体先端部201aよりも先端側に無駄な空隙が残留することがない。
【0245】
さらに本実施形態の雌型圧着端子10Pjは、導体圧着部41bjを、被覆圧着部41ajよりも小径であり、導体先端部201aの外径より僅かに大きな径で形成しているため、電線圧着部41jと電線先端部200aを圧着する際に、導体圧着部41bjの圧着に伴う変形を抑えることができる。
【0246】
従って、電線先端部200aを電線圧着部41jに圧着した状態において、導体先端部201aと導体圧着部41bjとをしっかりと密着させることができ、安定した導電性を得ることができる。
【0247】
加えて、上述したように、導体圧着部41bjを、被覆圧着部41ajよりも小径に形成することで電線圧着部41jを圧着した状態において、電線圧着部41jの内部において空隙が生じることがなく、また圧着に伴って電線圧着部41jが大きく変形して破損することを防ぐことができるため、電線圧着部41jの内部に水分が浸入し、浸入した水分が電線圧着部41jの内部に留まることを防止できる。
【0248】
以上により、電線圧着部41jを圧着した状態において、電線圧着部41jにおける優れた止水性を得ることができる。
【0249】
また、他の実施形態として、雌型圧着端子10Pkは、
図20に示すように、溶接連結部50をボックス部21の底面部、及び圧着部40Paの底面に対して底上げして形成している。
なお、
図20は他の実施形態の圧着端子付き電線1Pkの縦断面図を示している。
【0250】
すなわち、溶接連結部50を、例えば、第2雌型圧着端子1Paにおける溶接連結部50のように、ボックス部21の底面部、及び圧着部40Paの底面に対して面一で形成する(
図6(b)参照)のではなく、ボックス部21、及び圧着部40の直交方向Z(厚み方向)の略中間部分の高さになるように形成している。
【0251】
上述した構成のように、溶接連結部50をボックス部21の直交方向Z(厚み方向)の略中間部分の高さになるように形成することで、厚み方向において、溶接連結部50がボックス部21における底面側、或いは、上面側のいずれか一方側に偏在した形状に成形する場合と比較して所望の形状に確実に成形することができる。
【0252】
例えば、端子接続部構成部材20Aを、上型と下型とで成る図示しない一対の成形型によりプレス成形する際に伴って、端子接続部構成部材20Aの対向部分(長手方向対向端部62b)とボックス部21との境界部分に、大きな形状の変化に伴う極所的な引張り荷重が集中的に加わることを回避することができるため、該境界部分が破断することなく、所望の形状に確実に成形することができる。
【0253】
同様に、圧着部構成部材40Aを、上型と下型とで成る図示しない一対の成形型によりプレス成形する際に伴って、圧着部構成部材40Aの対向部分(長手方向対向端部62b)と圧着部40との境界部分に、大きな形状の変化に伴う極所的な引張り荷重が集中的に加わることを回避することができるため、該境界部分が破断することなく、所望の形状に確実に成形することができる。
【0254】
なお、上述した被覆電線200は、例えば、アルミニウム芯線201が上述したように、0.75mm
2の断面である場合、すなわち、1.0mmの標準外径で形成した場合には、1.4mmの標準外径で形成することができるが、上記サイズに限定せず、様々なサイズで形成することができる。
【0255】
さらに、上述した圧着部40は、電線先端部200aを挿入した状態において、電線先端部200aの外径と電線圧着部41の内周面との隙間が僅かになるように、被覆電線200の外径サイズに応じて様々な内径で構成することができる。