(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運動検出部は、各軸の加速度信号が、正側について設定された第1の閾値および負側について設定された第2の閾値の双方に達したことを検出したときに当該軸の方向の運動が行われたことを検出する請求項1に記載の運動検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付与している。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る運動検出装置10の構成を示すブロック図である。
図10には、運動検出装置10とともに使用される加速度センサ20も示されている。
【0014】
加速度センサ20は、3次元直交座標系におけるX軸、Y軸およびZ軸の各軸の方向に生じた加速度を検出して検出した加速度の大きさに応じた加速度信号を軸毎に出力する。すなわち、加速度センサ20は、X軸の加速度の大きさを示す加速度信号S
aX、Y軸の加速度を示す加速度信号S
aY、Z軸の加速度を示す加速度信号S
aZを出力する。加速度センサ20は、X軸、Y軸およびZ軸の加速度を単一のデバイスで検出する3軸加速度センサであってもよい。また、加速度センサ20は、軸毎に異なるデバイスで構成されていてもよい。
【0015】
運動検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、入出力ポート(I/Oポート)14はおよびこれらを相互に接続するバス15を含むマイクロコンピュータである。また、運動検出装置10は、半導体基板上に上記の構成要素が搭載された半導体装置の形態を有する。
【0016】
CPU11は、運動検出装置10の全体の制御を司る。ROM13は、CPU11によって実行される後述する運動検出プログラム16および後述する指定軸の設定順序を示す順序情報17を記憶した記憶媒体である。RAM12は、CPU11における演算処理に使用するデータや命令等を一時的に格納するワークエリアを提供する記憶媒体である。加速度センサ20から出力される各軸毎の加速度信号S
aX、S
ay、およびS
aZは、入出力ポート14を介してCPU11に供給される。またCPU11が運動検出プログラム16を実行することによって生成される後述する運動検出信号S
dは、入出力ポート14を介して外部に出力される。
【0017】
図2は、加速度センサ20から出力されたX軸、Y軸およびZ軸の加速度信号S
aX、S
aYおよびS
aZの一例を示す図である。
図2において、横軸は時間であり、縦軸は加速度である。
図2は、加速度センサ20にY軸方向に沿った1往復の運動を生じさせた場合の例である。このように、外部から力を加えて加速度センサ20に運動(加速度)を生じさせることを「シェイキング」と称する。例えば、加速度センサ20をY軸に沿った1往復のシェイキングを行うと、加速度センサ20は、
図2に示すように、上側(正側)および下側(負側)にピークを有する加速度信号S
aYを出力する。また、この場合、Z軸およびX軸についての加速度信号S
aXおよびS
aZは略ゼロレベルとなる。加速度信号のゼロレベルは、加速度センサ20に運動(加速度)が生じていないことを示し、加速度信号の正負は、当該軸に沿った加速度の向きを示す。
【0018】
運動検出装置10は、所定期間内に各軸の加速度信号S
aX、S
ay、およびS
aZについて設定された正側および負側の閾値の双方を当該加速度信号が超えた場合に当該軸方向に沿った運動(シェイキング)が行われたものと判定する。例えば、
図2に示す例では、Y軸の加速度信号S
aYは、正側について設定された第1の閾値T
Y1を超え、その後、負側について設定された第2の閾値T
Y2を超えているので、運動検出装置10は、Y軸方向の運動(シェイキング)が行われたものと判定する。なお、負側について設定された閾値を超えるとは、負の方向の加速度の絶対値が負側について設定された閾値よりも大きくなることを意味する。
【0019】
運動検出装置10は、運動検出プログラム16を実行することにより、以下のようにして運動検出を行う。すなわち、運動検出装置10は、予め定められている順序情報17に基づいて3軸のうちから選択される複数の軸の各々を、所定の順序で指定軸として設定する。運動検出装置10は、加速度センサ20から供給される各軸の加速度信号S
aX、S
ay、およびS
aZに基づいて検出される運動の方向が、設定された指定軸の各々に沿った方向であると判定した場合に運動検出信号S
dを出力する。つまり、運動検出装置10は、順次切り替わる指定軸の方向に沿った運動(シェイキング)が、全ての指定軸について行われたことを検出した場合に運動検出信号S
dを出力する。
【0020】
図3は、運動検出装置10のCPU11がROM13に記憶された運動検出プログラム16を実行することにより実施される本発明の第1の実施形態に係る運動検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0021】
ステップS11において、CPU11は、ROM13に記憶された指定軸の設定順序を示す順序情報17を読み込む。指定軸は3軸のうちの少なくとも2つの軸を含む。順序情報17は、3軸のうちから選択される複数の指定軸の設定順序を示す情報である。
図4は、順序情報17の内容の一例を示す図である。
図4に示す例では、1番目にX軸を指定軸とし、2番目にY軸を指定軸とし、3番目にZ軸を指定軸とし、4番目にX軸を指定軸として設定することが示されている。
【0022】
ステップS12において、CPU11は、順序情報17に基づいて、X軸、Y軸およびZ軸のうち、1番目の指定軸を設定する。また本ステップS12において、CPU11は、全て軸について加速度検出信号が第1の閾値または第2の閾値を超えたことを示す閾値検出情報を消去する。すなわち、ステップS12は、リセット処理に相当する。
【0023】
ステップS13において、CPU11は、X軸、Y軸およびZ軸の各々の加速度信号S
aX、S
ay、およびS
aZを加速度センサ20から取得する。
【0024】
ステップS14において、CPU11は、ステップS13の処理を開始してからの時間が、所定のタイムアウト時間に到達したか否かを判定する。CPU11は、タイムアウト時間にはまだ到達していないと判定した場合には、処理をステップS15に移行し、タイムアウト時間を超えたと判定した場合には、処理をステップS12に戻す。
【0025】
ステップS15において、CPU11は、いずれかの軸の加速度が、正側について設定された第1の閾値または負側について設定された第2の閾値のいずれか一方を超えたか否かを判定する。CPU11は、いずれかの軸の加速度が、いずれか一方の閾値を超えたと判定した場合には、閾値検出情報を生成してRAM12に記憶して処理をステップS16に移行する。一方、CPU11は、いずれかの軸の加速度が、第1の閾値または第2の閾値のいずれも超えていないと判定した場合には、処理をステップS13に戻す。
【0026】
ステップS16において、CPU11は、ステップS15において第1の閾値および第2の閾値のいずれか一方の閾値を超えたと判定された加速度の軸と同じ軸の加速度が、第1の閾値および第2の閾値のうちの他方の閾値を超えたか否かを判定する。例えば、CPU11は、ステップS15においてX軸の加速度が、正側について設定された第1の閾値T
X1を超えたと判定した場合には、ステップS16において、X軸の加速度が負側について設定された第2の閾値T
X2を超えたか否かを判定する。CPU11は、当該軸の加速度が、当該閾値を超えたと判定した場合には、閾値検出情報をRAM12に記憶して処理をステップS17に移行する。一方、CPU11は、当該軸の加速度が、当該閾値を超えたと判定しない場合には、処理をステップS13に戻す。
【0027】
ステップS17において、CPU11は、現在設定されている指定軸の方向の運動(シェイキング)を検出したか否かを判定する。すなわち、CPU11は、ステップS15およびS16において第1の閾値および第2の閾値を超えたと判定された加速度の軸が指定軸である場合に指定軸方向の運動(シェイキング)を検出したと判定する。例えば、X軸が指定軸として設定されている場合において、CPU11は、ステップS15においてX軸の加速度が第1の閾値T
X1を超えたことを検出し、ステップS16においてX軸の加速度が第2の閾値T
X2を超えたことを検出した場合には、ステップS17において指定軸方向の運動(シェイキング)を検出したと判定する。
【0028】
CPU11は、ステップS17において、現在設定されている指定軸の方向の運動(シェイキング)を検出したと判定した場合には処理をステップS18に移行する。一方、CPU11は、現在設定されている指定軸の方向に沿った運動(シェイキング)を検出しない場合(ステップS15およびS16において第1の閾値および第2の閾値を超えたと判定した加速度の軸が、指定軸以外の軸である場合)には、処理をステップS21に移行する。例えば、X軸が指定軸として設定されている場合において、Y軸方向の運動(シェイキング)を検出した場合には、ステップS17において否定判定がなされて処理はステップS21に移行される。
【0029】
ステップS18において、CPU11は、現在設定されている指定軸の方向の運動(シェイキング)を検出したことを示す指定軸検出情報を生成し、これをRAM12に記憶するとともに、全て軸について、加速度検出信号が第1の閾値または第2の閾値を超えたことを示す閾値検出情報を消去する。
【0030】
ステップS19において、CPU11は、全ての指定軸について、指定軸方向の運動(シェイキング)を検出したか否かを判定する。CPU11は、全ての指定軸について指定軸方向の運動(シェイキング)を検出したと判定した場合には処理をステップS20に移行し、全ての指定軸について指定軸方向の運動(シェイキング)を検出したと判定しない場合には処理をステップS22に移行する。
【0031】
ステップS20において、CPU11は、組み合わせシェイキングが成立したものとして、運動検出信号S
dを生成し、これを入出力ポート14から出力して本ルーチンを終了させる。組み合わせシェイキングとは、全ての指定軸について指定軸方向の運動(シェイキング)を行うことをいう。
【0032】
ステップS17において否定判定がなされた場合に移行されるステップS21において、CPU11は、RAM12に記憶されている全ての指定軸検出情報を消去して処理をステップS12に移行する。すなわち、現在設定されている指定軸の方向とは異なる軸の方向の運動を検出した場合には、これまでに検出された指定軸方向の運動は全て検出されなかったものとされ、初期状態に戻される。
【0033】
ステップS19において否定判定がなされた場合に移行されるステップS22において、CPU11は、次の指定軸を設定して処理をステップS13に戻す。
【0034】
図5(A)および
図5(B)は、上記した運動検出処理(
図3参照)を行う運動検出装置10の動作の一例を示す図であり、指定軸の設定順序が、X軸、Y軸、Z軸、X軸の順とされている場合の動作例である。ROM13には、上記の指定軸の設定順序(X軸、Y軸、Z軸、X軸)を示す順序情報17が記憶されておりCPU11によって読み込まれる(ステップS11)。
【0035】
運動検出装置10は、
図5(A)に示すように、1番目にX軸を指定軸に設定する(ステップS12)。運動検出装置10は、X軸が指定軸に設定されているときにX軸方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS17肯定判定)、2番目の指定軸としてY軸を設定する(ステップS22)。運動検出装置10は、Y軸が指定軸に設定されているときにY軸方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS17肯定判定)、3番目の指定軸としてZ軸を設定する(ステップS22)。運動検出装置10は、Z軸が指定軸に設定されているときにZ軸方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS17肯定判定)、4番目の指定軸としてX軸を指定軸に設定する(ステップS22)。運動検出装置10は、4番目の指定軸としてX軸が設定されているときにX軸方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS19肯定判定)、組み合わせシェイキングが成立したものとして運動検出信号S
dを出力する(ステップS20)。すなわち、X軸、Y軸、Z軸、X軸の順にシェイキングが行われた場合に運動検出信号S
dが出力される。
【0036】
また、運動検出装置10は、
図5(B)に示すように、1番目にX軸を指定軸に設定する(ステップS12)。運動検出装置10は、X軸が指定軸に設定されているときにX軸方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS17肯定判定)、2番目の指定軸としてY軸を設定する(ステップS22)。運動検出装置10は、Y軸が指定軸に設定されているときに指定軸とは異なるZ軸の方向の運動(シェイキング)を検出すると(ステップS17否定判定)、組み合わせシェイキングが失敗したものと判定し、先に検出された指定軸(X軸)方向の運動は検出されなかったものとし(ステップS21)、指定軸の設定を1番目に戻す(ステップS12)。
【0037】
以上のように、本発明の実施形態に係る運動検出装置10は、三次元直交座標系の3つの軸の各軸毎の加速度を示す加速度信号を入力し、3つの軸のうちから選択される複数の軸を、所定の順序で指定軸として設定する。運動検出装置10は、入力された各軸の加速度信号に基づいて検出される運動の方向が、設定された指定軸の各々に沿った方向であると判定した場合に運動検出信号S
dを出力する。
【0038】
すなわち、本発明の実施形態に係る運動検出装置10においては、全ての指定軸について指定軸方向の運動(シェイキング)を行う組み合わせシェイキングが成立した場合に運動検出信号S
dを出力する。このような態様によれば、重力軸を含む三次元直交座標系の各軸について運動検出が可能である。また、複数の軸が指定軸として設定されるので、歩行時や階段昇降時に生じる単調な運動を、ユーザ操作による意図された運動(シェイキング)として判定させないようにすることができる。
【0039】
[第2の実施形態]
例えば、ユーザがX軸方向のシェイキングを行ったつもりでも、実際には、X軸方向成分およびY軸方向成分の双方を含む斜め方向のシェイキングが行われてしまうことがある。
図6は、加速度センサ20に対してX軸方向成分およびY軸方向成分の双方を含む斜め方向のシェイキングが行われた場合の加速度信号の一例を示す図である。このような斜め方向のシェイキングが行われると、
図6に示すように、X軸およびY軸の各々において、上側(正側)および下側(負側)にピークを有する加速度信号S
aX、S
aYが出力される。X軸方向成分およびY軸方向成分の双方を含む斜め方向のシェイキングが行われる場合でも、加速度信号の振幅および位相は、X軸とY軸とで互いに異なるものとなる。
図6に示す例では、Y軸の加速度信号S
aYの位相が、X軸の加速度信号S
aXの位相よりも僅かに進んでいる場合が示されている。
【0040】
図6に示す斜め方向のシェイキングが行われた場合には、運動検出装置10は、時刻t
1にY軸方向の運動(シェイキング)を検出し、その後、時刻t
2にX軸方向の運動(シェイキング)を検出する。すなわち、
図6に示す斜め方向のシェイキングが行われると、Y軸方向の運動(シェイキング)が先行して検出されてしまうので、例えば、X軸が指定軸に設定されている場合には、指定軸以外の軸の方向の運動が検出されたものと判定され、組み合わせシェイキングが成立しない。従って、ユーザは、組み合わせシェイキングを最初からやり直す必要がある。このように、第1の実施形態に係る運動検出装置10によれば、ユーザは、指定軸の方向に沿って正確にシェイキングを行うことを要する。第2の実施形態に係る運動検出装置10は、斜め方向のシェイキングが行われた場合でも、組み合わせシェイキングが成立可能となる点において第1の実施形態と異なる。
【0041】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る運動検出装置10における運動検出処理の内容を説明するための図である。なお、X軸が指定軸として設定されているものとする。
【0042】
第2の実施形態に係る運動検出装置10は、指定軸の加速度信号が第1の閾値および第2の閾値のうちのいずれか一方を超えてから他方を越えるまでの期間を、指定軸以外の軸の方向の運動(シェイキング)の検出が無効となる検出無効期間とする。
図7に示す例では、指定軸であるX軸の加速度信号S
aXが第1の閾値T
X1を超えた時刻t
3から第2の閾値T
X2を超えた時刻t
4までの期間が、検出無効期間とされる。
図7に示す例では、指定軸であるX軸の方向の運動(シェイキング)が検出される前に、Y軸の加速度信号S
aYが、第2の閾値T
Y2を超えており、Y軸方向の運動(シェイキング)がX軸方向の運動(シェイキング)に先行して検出されることとなる。しかしながら、Y軸方向の運動(シェイキング)が検出されるタイミングは、検出無効期間内であるので、Y軸方向の運動(シェイキング)は、検出されなかったものとして扱われる。本実施形態では、Y軸方向の運動(シェイキング)の検出を無効とするべく、Y軸の加速度信号S
aYが第1の閾値T
Y1および第2の閾値T
Y2を超えたことを示す閾値検出情報がRAM12から消去される。このように、斜め方向のシェイキングが行われた場合には、指定軸以外の軸の方向の運動の検出情報を消去することにより、斜め方向のシェイキングが行われた場合でも組み合わせシェイキングを成立させることが可能となる。
【0043】
なお、
図6および
図7においては、Y軸の加速度信号S
aYの位相が、指定軸であるX軸の加速度信号S
aXの位相よりも僅かに進んでいる場合を例示したが、逆の場合もある。すなわち、斜め方向のシェイキングが行われた場合に、指定軸であるX軸の方向の運動が先に検出され、その後、Y軸方向の運動が検出される場合もある。この場合については、上記した運動検出処理(
図3参照)によれば、指定軸方向の運動が検出された場合には(ステップS17肯定判定)、全ての軸の閾値検出情報が消去されるので(ステップS18)、後に検出されたY軸方向の運動は無効とされるので問題はない。
【0044】
図8は、CPU11がROM13に記憶された運動検出プログラム16を実行することにより実施される、本発明の第2の実施形態に係る運動検出処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示す運動検出処理におけるステップS11〜S20およびS22の処理は、
図3に示す第1の実施形態に係る運動検出処理におけるステップS11〜S20およびS22の処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0045】
CPU11は、ステップS17において、指定軸方向の運動を検出しない場合(指定軸以外の軸の方向の運動を検出した場合)には、処理をステップS31に移行する。ステップS31において、CPU11は、指定軸の加速度が第1の閾値および第2の閾値のうちの一方を超えているか否かを判定する。すなわち、この判定により、上記した検出無効期間内であるか否かが判定される。かかる判定は、RAM12に記憶された閾値検出情報に基づいて行うことができる。CPU11は、指定軸の加速度が第1の閾値および第2の閾値のうちの一方を超えていると判定した場合(すなわち、検出無効期間内であると判定した場合)には、処理をステップS32に移行する。一方、CPU11は、指定軸の加速度が第1の閾値および第2の閾値のうちのいずれも超えていないと判定した場合(すなわち、検出無効期間内ではないと判定した場合)には、処理をステップS33に移行する。
【0046】
ステップS32において(すなわち、検出無効期間内であると判定した場合において)、CPU11は、ステップS15およびS16において肯定判定がなされたことにより生成された指定軸以外の軸の閾値検出情報を消去し、処理をステップS13に戻す。この処理により、指定軸以外の軸の方向の運動の検出が無効とされる。
【0047】
ステップS33において(すなわち、検出無効期間内ではないと判定した場合において)、CPU11は、RAM12に記憶されている全ての指定軸検出情報を消去して処理をステップS12に移行する。すなわち、現在設定されている指定軸の方向とは異なる方向の運動を検出し且つ指定軸の加速度が第1の閾値および第2の閾値のうちのいずれも超えていない場合には、これまでに検出された指定軸方向の運動は全て検出されなかったものとされ、初期状態に戻される。
【0048】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る運動検出装置10によれば、
図6に示すような斜め方向の運動(シェイキング)が行われた場合でも、指定軸以外の軸の方向の運動の検出が無効とされる。従って、斜め方向の運動(シェイキング)が行われた場合でも指定軸方向成分が含まれていれば、組み合わせシェイキングを成立させることができる。すなわち、第2の実施形態に係る運動検出装置10によれば、指定軸の方向に沿った正確なシェイキングを行うことを要しないので、第1の実施形態と比較して操作性を向上させることができる。
【0049】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る運動検出装置10の構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る運動検出装置10は、加速度センサ20から出力される加速度信号に加え、近接センサ22から出力される近接検出信号S
bが入出力ポート14に入力される。
【0050】
近接センサは、様々な方式のものが知られているが、本実施形態に係る近接センサ22としては、赤外線型の近接センサを好適に用いることができる。近接センサ22は、赤外線を発する発光素子と、受信した光を電気信号に変換する受光素子とを含んで構成されている。発光素子から出射された赤外線は物体に照射されると反射され、受光素子によって受光され電力に変換される。近接センサ22は、変換された電力が一定以上になると物体が一定距離内に近づいたと判定し、近接検出信号S
bを出力する。
【0051】
近接センサ22を用いることにより、加速度センサ20、近接センサ22および運動検出装置10を搭載した電子機器(例えば、後述する携帯端末装置50)が、鞄の中やポケットの中に入れられた状態であることを検出することができる。すなわち、近接センサ22から近接検出信号S
bが出力されている場合には、ユーザが当該電子機器を手に持っている状態ではなく、このような場合には、ユーザが意図的なシェイキングを行うことはないものと想定される。第3の実施形態に係る運動検出装置10は、上記した第1の実施形態または第2の実施形態に係る運動検出処理を実施して、組み合わせシェイキングが成立した場合には運動検出信号S
dを出力するが、近接センサ22から近接検出信号S
bが出力されている場合には、運動検出信号S
dを出力しない。このように、近接検出信号S
bが出力されている場合に、運動検出信号S
dを出力しないようにすることで、ユーザが意図しない運動による誤判定をより効果的に防止することができる。
【0052】
[適用例]
図10は、上記した各実施形態に係る運動検出装置10および加速度センサ20を内蔵した本発明の実施形態に係る携帯端末装置50の上面図である。携帯端末装置50は、携帯電話やスマートフォンのような携帯通信端末装置であってもよい。
【0053】
携帯端末装置50は、上面中央に表示画面51が設けられている。加速度センサ20(
図7において図示せず)は、X軸が表示画面51の左右方向に対応し、Y軸が表示画面51の上下方向に対応し、Z軸が表示画面51の前後方向に対応するように、携帯端末装置50の内部に搭載されている。
【0054】
図11は、携帯端末装置50の構成を示すブロック図である。携帯端末装置50は、加速度センサ20、運動検出装置10、メインコンピュータ30およびアプリケーションソフトウェア40を含んで構成されている。なお、上記した第3の実施形態のように、近接センサ22を適用することも可能である。
【0055】
メインコンピュータ30は、携帯端末装置50全体の制御を司るコンピュータであり、図示しないCPU、RAM、ROMを含んで構成されている。メインコンピュータ30は、マイクロコンピュータにより構成される運動検出装置10よりも回路規模の大きい半導体集積回路によって構成されている。なお、メインコンピュータ30は、本発明に係る携帯端末装置の制御部に対応する。
【0056】
メインコンピュータ30は、運動検出装置10の入出力ポート14に接続されており、入出力ポート14から出力される運動検出信号S
dがメインコンピュータ30に供給されるようになっている。アプリケーションソフトウェア40は、メインコンピュータ30にインストールされている。アプリケーションソフトウェア40は、一例として、電子メールを送受信および閲覧等するための機能を提供するものであってもよく、他の例として、音声データを再生する機能を提供するものであってもよい。
【0057】
メインコンピュータ30は、運動検出装置10から運動検出信号S
dを受信した場合に、所定の動作を行う。一例として、メインコンピュータ30は、運動検出装置10から運動検出信号S
dを受信すると、アプリケーションソフトウェア40を起動させてもよい。他の例として、メインコンピュータ30は、運動検出装置10から運動検出信号S
dを受信すると、アプリケーションソフトウェア40によって提供される機能を発揮させてもよい。例えば、アプリケーションソフトウェア40が電子メールを送受信および閲覧等するための機能を提供するものである場合には、メインコンピュータ30は、運動検出信号S
dに応じて電子メールの送信を行うようにしてもよい。
【0058】
このように、加速度センサ20および運動検出装置10を内蔵した本発明の実施形態に係る携帯端末装置50によれば、携帯端末装置50をシェイキングによって操作することが可能となる。運動検出信号S
dは、組み合わせシェイキングが成立した場合にのみ出力されるので、歩行時や階段昇降時に生じる単調な運動によって意図しない動作が行われることを防止することができる。
【0059】
ここで、運動検出装置10によって実施される運動検出処理をメインコンピュータ30に行わせることとすると、メインコンピュータ30は加速度センサ20からの加速度信号を常時監視することとなる。メインコンピュータ30は、比較的回路規模の大きい半導体集積回路で構成されており、常時動作させた場合には、消費電力が大きくなり、バッテリ消費が増大する。本実施形態に係る携帯端末装置50によれば、メインコンピュータ30よりも回路規模の小さいマイクロコンピュータで構成される運動検出装置10が運動検出処理を行うので、メインコンピュータ30が運動検出処理を行う場合と比較して、消費電力を低減することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態の態様に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記の各実施形態においては、指定軸の設定順序を示す順序情報17をROM13に記憶する場合を例示したが、順序情報17を適宜書き換えることができるように構成してもよい。また、運動検出装置10において、複数の組み合わせシェイキングを規定し、各組み合わせシェイキングに対応した運動検出信号S
dを出力するように構成してもよい。例えば、運動検出装置10は、第1の組み合わせシェイキングが成立した場合に第1の運動検出信号S
d1を出力し、第2の組み合わせシェイキングが成立した場合に第2の運動検出信号S
d2を出力してもよい。この場合において、携帯端末装置50は、第1の運動検出信号S
d1に応じて第1の動作を行い、第2の運動検出信号S
d2に応じて第2の動作を行ってもよい。また、運動検出装置10は、加速度センサ20と一体的に構成されたモジュールの形態を有していてもよい。