(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
(表示装置の構成)
実施形態に係る表示装置100の構成について図面に基づいて説明する。
図1は、表示装置100を例示する斜視図であり、
図2は、
図1のA−A'断面を例示する概略図である。なお、以下に示す図面において、X方向は表示装置100の幅方向、Y方向は奥行き方向、Z方向は高さ方向を示している。
【0012】
表示装置100は、
図1及び
図2に示す様に、透明基板11,12、ディスプレイ21、スペーサ30を有する。なお、表示装置100は、例えば金属材料、樹脂材料等により形成され、透明基板11,12の周縁部分を挟み込んで固定する枠を有してもよい。
【0013】
(透明基板)
透明基板11と透明基板12とは、周縁に設けられるスペーサ30を挟んで対向配置されている。透明基板11,12は、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、無アルカリガラス等の無機ガラス、樹脂製の有機ガラス等であるが、これらに限られない。また、透明基板11,12の厚さは、例えば2〜6mm程度である。
【0014】
また、透明基板11,12は、無機ガラスの場合には例えば化学強化処理又は物理強化処理等の表面強化処理が施されていてもよい。この様な表面強化処理が施されている場合には、透明基板11,12の強度が向上するため、透明基板11,12はより薄くてもよい。
【0015】
(中空層)
図2に示す様に、透明基板11と透明基板12との間には、中空層25が形成されている。中空層25は、例えばY方向の間隔が6〜25mmであり、周囲がスペーサ30等により囲まれて密閉され、外部環境とは遮断されている。中空層25には、例えば空気又は不活性ガス等が充填されている。
【0016】
(ディスプレイ)
ディスプレイ21は、表示面が透明基板11の中空層25側の面に接合されている。ディスプレイ21の表示面が透明基板11に密接されることで、外部からディスプレイ21に表示される画像をより鮮明に見ることが可能になる。
【0017】
ディスプレイ21は、表示装置100の中空層25に設けられて透明基板11,12に保護され、外部の人や物に直接接触することがない。また、表示装置100に人や物が接触しても、透明基板11,12によりディスプレイ21への衝撃が緩和される。したがって、ディスプレイ21が破損、故障する可能性が低減されている。
【0018】
ディスプレイ21は、例えば液晶ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置等である。また、ディスプレイ21は、透過性を有する透明ディスプレイであってもよい。ディスプレイ21が透明ディスプレイの場合には、例えば透明基板11側から、ディスプレイ21に表示される画像越しに、ディスプレイ21の背後を透けて見ることが可能になる。この場合には、例えば表示装置100をショーケース前面のガラスドア等に設け、ショーケース内部の商品に重なって見える様にディスプレイ21に商品の宣伝広告を行う画像等を表示させることで、消費者の購買意欲を高めることが可能になる。
【0019】
ディスプレイ21は、例えば商品等の宣伝広告、各種案内等の静止画、動画等の画像を表示する。ディスプレイ21が表示する画像は、例えば不図示の記憶装置に記憶されている画像、あるいは表示装置100の外部に設けられている外部機器等から送信される画像である。
【0020】
なお、ディスプレイ21は、透明基板11の略全面に設けられてもよく、あるいは透明基板11の一部に設けられてもよい。また、表示装置100は、透明基板11に設けられるディスプレイ21に加えて、例えば透明基板12の中空層25側の面に表示面が接合されるディスプレイを有してもよい。表示装置100は、透明基板11,12にそれぞれ設けられるディスプレイにより、両面に画像を表示することが可能になる。さらに、表示装置100は、透明基板11,12にそれぞれ複数のディスプレイを有してもよい。
【0021】
(透明基板とディスプレイとの接合)
ディスプレイ21は、例えば透明接着剤又は透明粘着剤(以下、総称して透明接着剤という)、透明接着テープ又は透明粘着テープ等により、透明基板11に貼り付けられている。透明接着剤としては、例えば透明樹脂や、液状の硬化性樹脂組成物等が用いられる。
【0022】
例えば硬化性樹脂組成物を用いる場合には、まず透明基板11の中空層25側の面に未硬化の樹脂組成物を塗布する。次に、塗布された樹脂組成物の上にディスプレイ21を配置した後、樹脂組成物を硬化させることで、透明基板11とディスプレイ21とが接合される。
【0023】
透明接着剤は、25℃におけるせん断弾性率が、例えば10
3Pa〜10
7Paであることが好ましく、10
4Pa〜10
6Paであることがより好ましい。特に、透明接着剤の25℃におけるせん断弾性率が10
4Pa〜10
5Paである場合には、透明基板11及びディスプレイ21との接合の際に生じ得る空隙を比較的容易に消失させることができる。
【0024】
透明接着剤の25℃におけるせん断弾性率が10
3Pa以上の場合には、塗布された透明接着剤の形状が維持される。したがって、塗布された透明接着剤の厚さが比較的厚い場合であっても、透明接着剤全体で厚さが均一に維持され、透明基板11とディスプレイ21との接合時に、ディスプレイ21と透明接着剤との界面に空隙が発生し難くなる。
【0025】
また、透明接着剤は、25℃におけるせん断弾性率が10
4Pa以上で変形が抑制され、25℃におけるせん断弾性率が10
7Pa以下で透明基板11とディスプレイ21との接合密着性が向上する。
【0026】
透明接着剤層の厚さは、例えば0.03mm〜2mmが好ましく、0.1mm〜0.8mmがより好ましい。透明接着剤の厚さが0.03mm以上であれば、透明基板11の外側から外力等が加えられた際に、透明接着剤が外力による衝撃を十分に低減し、ディスプレイ21を保護できる。また、透明基板11とディスプレイ21との間に、透明接着剤の厚さ未満の寸法の異物が混入しても、透明接着剤の厚さが変化しないため、異物混入による光透過性能への影響が抑制される。また、ディスプレイ21の表示画面の視認性が低下するため、透明接着剤層の厚さは2mm以下であることが好ましい。
【0027】
なお、透明接着剤は、単一の層としてではなく、平面視中央部分の層状部と、層状部の周囲を取り囲む堰状部とで構成されてもよい。堰状部は、例えば透明基板11上で、液状の硬化性樹脂組成物から透明接着剤を形成する際に、硬化性樹脂組成物が所定の範囲を超えて、外方に広がることを抑制する(すなわち、層状部用の液状の硬化性樹脂組成物の流出を堰き止める)。堰状部は、中央部分の層状部を構成する硬化性樹脂組成物とは異なる硬化性樹脂組成物で形成されてもよい。
【0028】
(機能膜)
図2に示す様に、透明基板11の中空層25とは反対側の面には、機能膜として反射防止膜40が設けられている。反射防止膜40は、例えばシリケートや金属酸化物の薄膜がスパッタリング法、蒸着法、湿式コーティング法等の方法にて透明基板11の外側表面に直接形成される。あるいは、反射防止膜40は、フッ素樹脂などの低屈折率の樹脂薄膜を、粘着層などを介して透明基板11の外側表面に張り合わせることで形成される。特に最外層にフッ素樹脂を有する反射防止膜40は、透明基板に防汚性能や易清浄性を付与できるため好ましい。この様な反射防止膜40によって反射が抑制され、外部からディスプレイ21に表示される画像をより鮮明に見ることが可能になる。
【0029】
また、例えば商品を冷蔵するショーケース前面のガラスドア等、透明基板11側と透明基板12側とに温度差がある場所に表示装置100が設置される場合には、透明基板11,12の少なくとも一方に機能膜として断熱効果を高める低放射膜が設けられてもよい。低放射膜は、例えば銀を主成分とする膜が亜鉛を主成分とする酸化物薄膜で挟まれた積層膜(亜鉛酸化物/銀/亜鉛酸化物)等、薄膜が積層された積層膜が用いられる。また、低放射膜の放射率を下げるために、例えば銀を主成分とする膜を2層含む積層膜(亜鉛酸化物/銀/亜鉛酸化物/銀/亜鉛酸化物)にしてもよい。この様な銀を主成分とする膜が含まれる積層膜は放射率が低いため、表示装置100の断熱性能が向上する。また、この様な積層膜は透過率が高いため、例えばディスプレイ21として透明ディスプレイが設けられる場合等には、ディスプレイ21側から表示装置100背後にある商品等の視認性が向上する。
【0030】
(スペーサ)
図3は、
図1に例示する表示装置100のA−A'断面の一端側の拡大図である。
【0031】
図3に示す様に、スペーサ30は、例えばアルミニウムを主材料とする金属材料で内部に中空部31を有し、シリカゲル等の乾燥剤32を中空部31に収納している。また、スペーサ30の中空層25側の面には貫通孔33が設けられ、貫通孔33を通じて中空層25に存在する水分が乾燥剤32に吸収される。
【0032】
透明基板11と透明基板12との間の中空層25は、周囲がスペーサ30により囲まれ、一次シール材35、二次シール材36が積層されたシール層によって外周が覆われている。
【0033】
一次シール材35としては、例えば架橋処理されていないブチルゴム、もしくは、ポリイソブチレンをベースとし、着色と補強を目的としたカーボンブラック等のフィラーが含有されたもの等が用いられる。二次シール材36としては、例えばポリサルファイド、シリコーン、ウレタン等の硬化性エラストマをベースとし、透明基板との接着性を発現するために適当な変性を加えられたもの等が使用される。
【0034】
なお、スペーサ30は、
図3に示す態様の他に、乾燥剤が練り込まれた樹脂製スペーサであってもよい。樹脂製スペーサは、密閉性及び透明基板との密着性が良好であり好ましい。また、スペーサとしては、複層パネルの全周のうち一部が樹脂製スペーサで、その他の部分に1次、2次シールが用いられた
図3に例示するスペーサであってもよい。
【0035】
図4は、
図2に例示する表示装置100のB−B'断面の一部を例示する図である。
【0036】
図4に示す様に、透明基板11と透明基板12との間の中空層25は、複数のスペーサ30で囲われ、さらに一次シール材35及び二次シール材36により密閉されている。
【0037】
スペーサ30は、中空部31、中空部31に収容される乾燥剤32、貫通孔33、両端部に連結孔34を有する。複数のスペーサ30は、それぞれコネクタ50のジョイント部52,53又はコーナージョイント60のジョイント部62,63が連結孔34に挿入され、中空層25を囲む様に連結されている。
【0038】
スペーサ30の連結孔34には、コネクタ50のジョイント部52,53又はコーナージョイント60のジョイント部62,63が挿入され、連結孔34の開口部は、コネクタ50のハウジング51の側面又はコーナージョイント60の本体61の側面に密接する。さらに、スペーサ30が設けられる周縁部分は、一次シール材35及び二次シール材36によりシールされることで、透明基板11と透明基板12との間の中空層25は密閉され、表示装置100の外部環境からは遮断されている。
【0039】
(コネクタ)
図5は、実施形態に係るコネクタ50の斜視図である。
図5(a)は、コネクタ50の前面からの斜視図、
図5(b)は、コネクタ50の背面からの斜視図である。
【0040】
コネクタ50は、表示装置100の中空層25に設けられるディスプレイ21と、表示装置100の外部に設けられる外部機器との接続を中継する。外部機器は、コネクタ50を介してディスプレイ21と接続し、例えばディスプレイ21に画像データ等を送信して画像を表示させたり、電力の供給等を行う。
【0041】
図5に示す態様では、コネクタ50は、ハウジング51、ジョイント部52,53、ディスプレイ端子54、外部端子55を有する。ハウジング51は、接続端子としてのディスプレイ21に接続されるディスプレイ端子54及び外部機器に接続される外部端子55を収容する。ジョイント部52,53は、ハウジング51の両側面からそれぞれ反対方向に突出してスペーサ30の連結孔34に挿入される。ディスプレイ端子54は、例えばディスプレイ21に設けられているケーブルのコネクタに接続される。また、外部端子55は、例えば外部機器に設けられているケーブルのコネクタに接続される。
【0042】
コネクタ50のハウジング51、ディスプレイ端子54及び外部端子55は、ディスプレイ21と外部機器を接続可能であればよく、例えばVGA(Video Graphics Array)、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)、DisPlayPort、USB(Universal Serial Bus)等のコネクタに対応する形状を有する。
【0043】
コネクタ50のジョイント部52,53は、スペーサ30の連結孔34に嵌合し、スペーサ30とコネクタ50とを固定し、スペーサ30の連結孔34の開口部とコネクタ50のハウジング51の側面とを密着させる。なお、ジョイント部52,53は、スペーサ30の連結孔34に挿入可能であればよく、本実施形態において例示する形状に限られない。
【0044】
図6は、コネクタ50がスペーサ30と連結される様子を例示する図である。
【0045】
図6に示す様に、コネクタ50は、ハウジング51の側面から突出するジョイント部52,53が、それぞれスペーサ30の連結孔34に挿入されることで、スペーサ30と連結される。スペーサ30とコネクタ50とが連結されると、スペーサ30の連結孔34の開口部とコネクタ50のハウジング51の側面とが密着される。また、スペーサ30とコーナージョイント60とも同様な構成により連結され、スペーサ30の連結孔34の開口部とコーナージョイント60の本体61の側面とが密着されている。
【0046】
さらに、コネクタ50及びスペーサ30が設けられる周縁部分は、一次シール材35及び二次シール材36によりシールされている。したがって、透明基板11と透明基板12との間の中空層25は、スペーサ30、コネクタ50、コーナージョイント60、一次シール材35及び二次シール材36により密閉され、表示装置100の外部環境からは遮断されている。
【0047】
なお、コネクタ50の位置は
図4又は
図5に例示される位置とは異なる位置に設けられてもよく、見栄え等を考慮した上でスペーサ30のあらゆる箇所に設置可能である。例えば、
図7に示す様に、コネクタ50を中空層25の角部に設け、コネクタ50がコーナージョイント機能を備える様に構成してもよい。また、コネクタ50は複数設けられてもよい。
【0048】
また、コネクタ50のハウジング51の厚さは、中空層25の機密性を保つために、スペーサ30の厚さと一致していることが好ましい。
【0049】
さらに、コネクタ50のディスプレイ端子54と外部端子55とが配線により接続され、外部端子55が表示装置100の外部に設けられてもよい。この場合には、中空層25の機密性を保つため、ディスプレイ端子54と外部端子55との配線は、二次シール材36の中に設けられることが好ましい。
【0050】
この様に、表示装置100においてディスプレイ21が設けられる中空層25は、密閉されて外部環境から遮断されるため、外部から塵埃が侵入することがない。また、中空層25は、外部の温湿度等が変化してもその影響を受けにくく、スペーサ30が有する乾燥剤32により湿度が低く保たれているため、温湿度の変化により内部が結露する様なことがない。したがって、表示装置100の中空層25に設けられているディスプレイ21に塵埃や水滴等が付着することがなく、表示装置100がこれらに起因して故障することがない。また、表示装置100の中空層25に封入されたガスの効果による断熱性が長期間に渡って維持される。
【0051】
以上で説明した様に、本実施形態に係る表示装置100は、ディスプレイ21が透明基板11,12の間の中空層25に設けられているため、表示装置100に人や物が接触しても、透明基板11,12によりディスプレイ21への衝撃が緩和される。また、表示装置100においてディスプレイ21が設けられる中空層25は、スペーサ30、コネクタ50等により密閉されるため、外部環境の変動による影響が低減されている。したがって、本実施形態に係る表示装置100は、衝撃や環境変動に対する耐性に優れ、長期に渡って使用することが可能になる。
【0052】
以上、実施形態に係る表示装置及びコネクタについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。