(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1樹脂層形成工程及び前記第2樹脂層形成工程において、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、それぞれフォトリソグラフィ法によって感光性樹脂材料を用いて形成されることを特徴とする請求項5に記載の発光装置の製造方法。
前記第1樹脂層形成工程において、複数の開口を有する前記第1樹脂層を形成した後、前記第1金属層形成工程において、前記第1樹脂層に形成された複数の開口内に、それぞれ前記第1金属層を形成し、
前記第2金属層形成工程は、複数の前記第1金属層をシード層とする電解メッキ法によって形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法の実施形態について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、斜視図、平面図、断面図の間において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0014】
また、本発明の各実施形態に係る発光装置において、「上」、「下」、「左」及び「右」などは、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」などは、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0015】
[発光装置の構成]
まず、
図1〜
図5を参照して、本発明の実施形態に係る発光装置の構成について説明する。
なお、
図1(b)に示す断面図は、
図1(a)に示す平面図のI−I線における断面を模式的に示したものである。
図1(a)に示したI−I線上の位置A1〜A6と、
図1(b)に矢印で示した位置A1〜A6とが、対応しているが、断面構造を分かりやすく示すために、
図1(b)の断面図における距離間隔は、
図1(a)の平面図における距離間隔(部材の長さ)を適宜に伸長又は短縮して示しているため、両図面における距離間隔は一致していない。また、後記する他の断面図についても、特に断らない限り
図1(b)と同様に、
図1(a)に示す平面図のI−I線に相当する断面を示すものである。
また、
図3〜
図5は、本実施形態に係る発光装置100の積層構造を説明するために、層ごとに平面視での配置領域をハッチングを施して示すものである。
【0016】
本実施形態に係る発光装置100は、
図1〜
図5に示すように、外形が略正四角柱形状をしており、成長基板が除去されたLED(発光ダイオード)構造を有する半導体発光素子1(以下、適宜に「発光素子」と呼ぶ)と、発光素子1の一方の面側に設けられた支持体2とから構成されるCSPである。また、詳細は後記するが、発光装置100は、ウエハレベルで作製されるWCSP(ウエハプロセスによるCSP)である。
【0017】
発光素子1の一方の面側(
図1(b)における上面)には、n側電極13及びp側電極15が設けられるとともに、第1樹脂層21及び第2樹脂層22が積層してなる支持体2が設けられている。また、第1樹脂層21内と第2樹脂層22内とには、それぞれ、内部配線として第1金属層(n側第1金属層)31n及び第1金属層(p側第1金属層)31pと、第2金属層(n側第2金属層)32n及び第2金属層(p側第2金属層)32pとが設けられている。第2金属層32nは、第1金属層31nを介してn側電極13と導通しており、第2金属層32pは、第1金属層31pを介してp側電極15と導通しており、第2樹脂層22から露出した第2金属層32n,32pの上面が、外部と電気的に接続するための実装面となっている。平面視において、第2金属層32nと第2金属層32pとの間は、第2樹脂層22によって区画されている。また、第2金属層32n,32pの上面は、半導体積層体12の積層方向についての半導体積層体12からの距離である「高さ」が、第2樹脂層22の上面よりも低くなるように設けられている。
なお、発光素子1の下面側が、光取り出し面である。
【0018】
また、第1樹脂層21と第2樹脂層22との境界には、平面視で第2樹脂層22の外縁が第1樹脂層21の外縁よりも内側となるように間隔dの段差23が設けられている。また、第1樹脂層21の側面にも、平面視で、下部の外縁が、上部の外縁よりも内側となるように段差21bが設けられている。
【0019】
なお、本実施形態では、発光素子1は、半導体積層体12を半導体材料の結晶成長により形成する際に用いる成長基板11(
図8(a)参照)が除去されているが、成長基板11をそのまま又は研磨により薄肉化して有するようにしてもよい。また、成長基板11を剥離した後の半導体積層体12の裏面側に、又は成長基板11の裏面側に、蛍光体を含有する蛍光体層を設けるようにしてもよい。
【0020】
次に、発光装置100の各部の構成について順次に詳細に説明する。
発光素子1は、平面視で略正方形をした板状の形状を有しており、一方の面側にn側電極13及びp側電極15を備えたフェイスダウン型のLEDチップである。
【0021】
発光素子1は、n型半導体層12nとp型半導体層12pとを積層した半導体積層体12を備えている。半導体積層体12は、n側電極13及びp側電極15間に電流を通電することにより発光するようになっており、n型半導体層12nとp型半導体層12pとの間に活性層12aを備えることが好ましい。
【0022】
図1及び
図3(a)に示すように、半導体積層体12には、p型半導体層12p及び活性層12aが部分的に存在しない領域、すなわちp型半導体層12pの表面から凹んでn型半導体層12nが露出した領域(この領域を「第1露出部12b」と呼ぶ)が形成されている。発光素子1は、平面視で、円形の第1露出部12bが、4個ずつ3列に合計で12個が設けられている。第1露出部12bの底面には、開口部16nが形成された層間絶縁膜16を有し、この層間絶縁膜16の開口部16nを介して、n型半導体層12nとn側電極13とが電気的に接続されている。
【0023】
また、半導体積層体12の外周に沿って、p型半導体層12p及び活性層12aが存在せず、n型半導体層12nが露出した領域である第2露出部12cが設けられている。第2露出部12cは、ウエハ状態の発光素子1の境界線40(
図8(d)参照)に沿った領域である境界領域(ダイシングストリート)に設けられ、ウエハ状態の発光素子1を個片化する際の切り代となる領域の残りである。
なお、第1露出部12b及び第2露出部12cは、完成した発光装置100においては、層間絶縁膜16、第1樹脂層21及び第2樹脂層22などによって全部又は一部が被覆されているが、便宜的に「露出部」と呼ぶ。
【0024】
また、平面視において半導体積層体12の外縁となる側面、すなわち、n型半導体層12nの外縁となる側面は、層間絶縁膜16及び第1樹脂層21の何れによっても被覆されていない。ウエハレベルプロセスによる発光装置100の製造工程の最後の工程である個片化工程S115(
図7参照)において半導体積層体12が割断され、当該割断面が平面視で外縁となる側面として形成される。このため、個片化された発光装置100において、半導体積層体12の外縁となる側面は露出した状態となり、広配光タイプの発光装置とすることができる。
【0025】
また、
図1(b)、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、半導体積層体12のp型半導体層12pの上面の略全面には、光反射電極14a及びカバー電極14bが積層された全面電極14が設けられている。すなわち、
図3(a)において、ハッチングを施した領域が、p型半導体層12p及びカバー電極14bが設けられた領域である。また、光反射電極14aは、上面及び側面がカバー電極14bで被覆されており、
図3(b)においてハッチングを施して示すように、平面視で、カバー電極14bが配置された領域に包含される内側の領域に配置されている。
【0026】
また、
図1(b)及び
図4(a)に示すように、全面電極14の上面及び側面、半導体積層体12の上面及び側面(
図4(a)において網掛けのハッチングを施した領域)には、層間絶縁膜16が設けられている。層間絶縁膜16は、第1露出部12bの底面に開口部16nを有するとともに、カバー電極14b上の一部に開口部16pを有する。開口部16nは、12カ所に設けられた各第1露出部12bの底面において、円形形状に設けられており、開口部16pは、カバー電極14b上の10カ所に角に丸みを帯びた矩形形状に設けられている。また、層間絶縁膜16は、第2露出部12cの底面にも開口部を有している。
なお、層間絶縁膜16は、第2露出部12cにおいては開口部を有さずに、n型半導体層12nの上面を端部まで被覆するようにしてもよい。
【0027】
また、
図1(b)及び
図4(b)に示すように、発光素子1のp側のパッド電極であるp側電極15が、開口部16pにおいてカバー電極14bと電気的に接続されるとともに、層間絶縁膜16を介して、
図4(b)における右半分の領域のカバー電極14bの上面及び第2露出部12cの側面及び底面の一部に延在するように形成されている。
また、発光素子1のn側のパッド電極であるn側電極13が、開口部16nにおいてn型半導体層12nと電気的に接続されるとともに、層間絶縁膜16を介して、第1露出部12bの底面及び側面、p側電極15が設けられた領域及びその近傍を除くカバー電極14bの上面及び側面及び第2露出部12cの側面及び底面に延在するように設けられている。
すなわち、発光素子1は、半導体積層体12の一方の面側に、n側電極13及びp側電極15の両方が設けられている。
また、このように、n側電極13又は/及びp側電極15を、発光素子1の上面及び側面に広範囲に設けることにより、後記する支持体3の樹脂層31に対して効率的に熱を伝導させる、発光装置100の放熱性を向上させることがきる。
【0028】
半導体積層体12(n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12p)は、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等の半導体が好適に用いられる。また、これらの半導体層は、それぞれ単層構造でもよいが、組成及び膜厚等の異なる層の積層構造、超格子構造等であってもよい。特に、活性層12aは、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸又は多重量子井戸構造であることが好ましい。
【0029】
全面電極14は、電流拡散層及び光反射層としての機能を有するものであり、光反射電極14aとカバー電極14bとを積層して構成されている。
光反射電極14aは、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように設けられる。また、光反射電極14aの上面及び側面の全体を被覆するように、カバー電極14bが設けられている。光反射電極14aは、カバー電極14b及びカバー電極14bの上面の一部に設けられたp側電極15を介して供給される電流を、p型半導体層12pの全面に均一に拡散するための層である。また、光反射電極14aは良好な光反射性を有し、発光素子1が発光する光を、光取り出し面である下方向に反射する層としても機能する。
【0030】
光反射電極14aは、良好な導電性と光反射性とを有する金属材料を用いることができる。特に可視光領域で良好な反射性を有する金属材料としては、Ag、Al又はこれらの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。また、光反射電極14aは、これらの金属材料を単層で、又は積層したものが利用できる。
【0031】
また、カバー電極14bは、光反射電極14aを構成する金属材料のマイグレーションを防止するためのバリア層である。特に光反射電極14aとして、マイグレーションを起こしやすいAg又はAgを主成分とする合金を用いる場合には、カバー電極14bを設けることが好ましい。
カバー電極14bとしては、良好な導電性とバリア性とを有する金属材料を用いることができ、例えば、Al、Ti、W、Au、AlCu合金などを用いることができる。また、カバー電極14bは、これらの金属材料を単層で、又は積層したものが利用できる。
なお、
図1において、カバー電極14bの平面視での配置領域を、便宜的にp型半導体層12pの配置領域と一致するように記載しているが、カバー電極14bはp型半導体層12pよりも僅かに内側に設けられる。後記する製造工程図においても同様である。
【0032】
n側電極13は、12カ所に設けられた第1露出部12bの底面における層間絶縁膜16の開口部16nで、n型半導体層12nと電気的に接続されている。このように広範囲に亘る箇所でn型半導体層12nと接続することにより、n側電極13を介して供給される電流を、n型半導体層12nに均等に拡散できるため、発光効率を向上させることができる。
また、p側電極15は、カバー電極14bの上面の10カ所に設けられた層間絶縁膜16の開口部16pにおいて、カバー電極14bと電気的に接続されている。
図5(a)に示すように、n側電極13の上面には、10個の第1金属層31nがn側電極13と電気的に接続されるように設けられ、p側電極15の上面には、10個の第1金属層31pがp側電極15と電気的に接続されるように設けられている。
【0033】
n側電極13及びp側電極15としては、金属材料を用いることができ、例えば、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Cu、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、Wなどの単体金属又はこれらの金属を主成分とする合金などを好適に用いることができる。なお、合金を用いる場合は、例えば、AlSiCu合金(ASC)のように、組成元素としてSiなどの非金属元素を含有するものであってもよい。また、n側電極13及びp側電極15は、これらの金属材料を単層で、又は積層したものを利用することができる。
【0034】
層間絶縁膜(絶縁膜)16は、半導体積層体12及び全面電極14の上面及び側面を被覆する膜である。層間絶縁膜16は、発光素子1の保護膜及び帯電防止膜として機能する。また、層間絶縁膜16の上面の広範囲には、n側電極13及びp側電極15が相補的に延在して設けられている。層間絶縁膜16としては、金属酸化物や金属窒化物を用いることができ、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の酸化物又は窒化物を好適に用いることができる。また、層間絶縁膜16として、屈折率の異なる2種以上の透光性誘電体を用いて積層し、DBR(Distributed Bragg Reflector)膜を構成するようにしてもよい。
【0035】
なお、
図1に示した発光素子1は、一例を示したものであり、これに限定されるものではない。発光素子1は、n側電極13及びp側電極15が半導体積層体12の一方の面側に設けられていればよく、第1露出部12b、n側電極13及びp側電極15の配置領域などは適宜に定めることができる。また、第1露出部12bに代えて、又は加えて、第2露出部12cでn型半導体層12nとn側電極13とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0036】
支持体2は、平面視で発光素子1の外形と略同形状の、四角柱形状をしており、発光素子1のn側電極13及びp側電極15が設けられた面側と接合するように設けられ、成長基板11(
図8(a)参照)が除去された発光素子1の構造を機械的に保つための補強部材である。支持体2は、第1金属層31n,31pを内部に有する第1樹脂層21と、第2金属層32n,32pを内部に有する第2樹脂層22とを積層して構成されている。
なお、
図1に示した発光装置100は、平面視において、支持体2が発光素子1に内包されるように構成されているが、平面視で重なるように構成されてもよく、支持体2が発光素子1を内包するように構成されてもよい。
【0037】
第1樹脂層21及び第2樹脂層22からなる積層体は、発光素子1の補強部材としての母体である。第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、
図1に示すように、平面視で、発光素子1の外形形状とほぼ同じであるが、第2樹脂層22の外形が第1樹脂層21の外形に内包されるように形成されている。このため、第1樹脂層21と第2樹脂層22の厚さ方向の境界において段差23が形成されている。
また、第1樹脂層21の側面は、平面視において下部が上部に内包されるように段差21bが形成されており、半導体積層体12(特に、n型半導体層12n)から外部に出射された光が、第1樹脂層21に遮光されるのを軽減することができる。
【0038】
第1樹脂層21は、内部配線として、厚さ方向に貫通するように、10個の第1金属層31nと、10個の第1金属層31pとを有している。
また、第2樹脂層22は、内部配線として、厚さ方向に貫通するように、1個の第2金属層32nと、1個の第2金属層32pとを有している。第2樹脂層22は、2つの極性の外部接続用電極である第2金属層32nと第2金属層32pとを区画するとともに、平面視で外縁となる領域における上面と、当該区画領域における上面とが同じ高さで形成されている。このため、発光装置100をフェイスダウン実装する際に、発光装置100を実装基板と良好に密着させることができるとともに、区画領域を構成する内壁によって第2金属層32n側において用いられる接着部材と第2金属層32p側において用いられる接着部材とが接触することを防止することができる。
なお、第2樹脂層22において、第2金属層32nと第2金属層32pとを区画する領域の幅は、200μm以上500μm以下程度とすることが好ましい。
【0039】
第1樹脂層21及び第2樹脂層22の樹脂材料としては、当該分野で公知のものを使用することができるが、フォトレジストとして用いられる感光性樹脂材料を用いることが好ましい。感光性樹脂材料を用いることにより、フォトリソグラフィ法によって、第1樹脂層21及び第2樹脂層22を容易にパターニングすることができる。
【0040】
第1樹脂層21及び第2樹脂層22を合わせた厚さは、成長基板が剥離や薄肉化された発光素子1の補強部材として十分な強度を有するように下限を定めることができる。
例えば、補強部材としての観点からは第1樹脂層21及び第2樹脂層22を合わせた厚さが30μm程度以上とすることが好ましく、90μm程度以上とすることが更に好ましい。
また、第1樹脂層21及び第2樹脂層22における金属の体積の割合と発光素子1の発熱量とを勘案して、十分な放熱性が得られるように、第1樹脂層21及び第2樹脂層22を合わせた厚さの上限を定めることができ、例えば150μm程度以下が好ましく、120μm程度以下とすることが更に好ましい。
【0041】
第1金属層(n側第1金属層)31nは、第1樹脂層21の内部に厚さ方向に貫通するように設けられ、発光素子1の電極であるn側電極13と、外部と接続するための電極となる第2金属層32nとを電気的に接続するためのn側の内部配線である。
本実施形態では、発光装置100の左半分の領域におけるn側電極13(
図4(b)参照)上に、
図5(a)に示すように、5個ずつ2列に配列した10個の第1金属層31n(
図5(a)において右上がりの斜線のハッチングを施した領域)が設けられている。
【0042】
第1金属層(p側第1金属層)31pは、第1樹脂層21の内部に厚さ方向に貫通するように設けられ、発光素子1の電極であるp側電極15と、外部と接続するための電極となる第2金属層32pとを電気的に接続するためのp側の内部配線である。
本実施形態では、発光装置100の右半分の領域におけるp側電極15(
図4(b)参照)上に、
図5(a)に示すように、5個ずつ2列に配列した10個の第1金属層31p(
図5(a)において右下がりの斜線のハッチングを施した領域)が設けられている。
【0043】
第2金属層(n側第2金属層)32nは、第2樹脂層22の内部に厚さ方向に貫通するように設けられ、上面が、外部と接続するための実装面となるn側の内部配線である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態では、発光装置100の左半分の領域に1個の第2金属層32nが設けられ、第2金属層32nの下面には、10個の第1金属層31nの上面が電気的に接続されている。
【0044】
第2金属層(p側第2金属層)32pは、第2樹脂層22の内部に厚さ方向に貫通するように設けられ、上面が、外部と接続するための実装面となるp側の内部配線である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態では、発光装置100の右半分の領域に1個の第2金属層32pが設けられ、第2金属層32pの下面には、10個の第1金属層31pの上面が電気的に接続されている。
【0045】
また、
図1及び
図2に示した発光装置100は、第2金属層32n,32pの上面が水平(半導体積層体12の積層方向に垂直)な平坦面となるように形成され、当該上面の全体が第2樹脂層22の上面よりも低くなるように設けられている。
また、第2金属層32n,32pの上面と、第2樹脂層22の上面との高さの差は、5μm以上10μm以下程度とすることが好ましい。当該高さの差を5μm程度以上とすることで、接着部材を収容して、過剰な接着部材の漏出を抑制することができる。また、当該高さの差の上限は、特に制限されるものではないが、接着部材の使用量が過度に増加しないように、10μm以下程度とすることが好ましい。
【0046】
ここで、第2樹脂層22をフォトリソグラフィ法で形成する場合、製造できる第2樹脂層22の厚さの上限が80μm程度である。また、電解メッキ法でメッキ成長する際の成長レートは、垂直方向(
図1(b)において縦方向)と水平方向(
図1(b)において横方向)とで大きな差がない。そこで、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第2金属層32n,32pを電解メッキ法で形成する際のシード層となる第1金属層31n,31pが、離散的に配置されている場合について考察する。第2樹脂層22の開口部22n,22pの底面において、第2金属層32n,32pが垂直方向に第2樹脂層22の上面の高さに達する前に、第2金属層32n,32pを水平方向に全領域に亘って成長させることが好ましい。このためには、離散的に配置された第1金属層31n,31pの水平方向の離間距離が、第2樹脂層22の厚さの2倍よりも短いことが必要である。従って、第1金属層31n,31pの離間距離と、第2樹脂層22の厚さに応じて、第2金属層32n,32pの上面と、第2樹脂層22の上面との高さの差の上限を定めることができる。
【0047】
なお、第2金属層32n,32pの上面の形状は、これに限定されるものではない。第2金属層32n,32pの上面は、傾斜した平坦面であってもよく、凹凸形状を有するものであってもよい。また、第2金属層32n,32pの上面は、少なくとも一部が第2樹脂層22の上面よりも低くなるように形成されていればよく、上面に凹凸形状を設けた場合において、凸部の上端が、第2樹脂層22の上面よりも高くなるようにしてもよい。
【0048】
また、第1金属層31n,31p及び第2金属層32n,32pは、発光素子1が発生した熱を放熱するための熱伝達経路としても機能する。そのため、第1樹脂層21及び第2樹脂層22に対する金属の体積の比率が大きい方が好ましい。
【0049】
第1金属層31n,31p及び第2金属層32n,32pとしては、Cu、Au、Niなどの金属を好適に用いることができる。また、第1金属層31n,31p及び第2金属層32n,32pを複数種類の金属を用いた積層構造としてもよい。特に、上面が実装面となる第2金属層32n,32pは、腐食防止及びAu−Sn共晶半田などのAu合金系の接着部材を用いた実装基板との接合性を高めるために、少なくとも最上層をAuで形成することが好ましい。また、第2金属層32n,32pの下層部がCuなどの、Au以外の金属で形成されている場合は、Auとの密着性を高めるために、上層部をNi/AuやNi/Pd/Auのような、積層構造としてもよい。
また、接着部材としてSn−CuやSn−Ag−Cuなどの半田を用いることもできる。その場合は、第2金属層32n,32pの最上層を、用いる接着部材と良好な密着性が得られる材料で構成することが好ましい。
第1金属層31n,31p及び第2金属層32n,32pは、電解メッキ法により形成することができる。第1金属層31n,31p及び第2金属層32n,32pの形成方法の詳細については後記する。
【0050】
[発光装置の実装]
次に、
図6を参照して、発光装置100を実装基板に実装する際の、半田の這い上がりの防止について説明する。
図6に示すように、発光装置100は、配線パターン92が設けられた実装基板91の実装面と、支持体2が設けられた側の面、すなわち第2金属層32n,32pの第2樹脂層22からの露出面とが対向するようにしてフェイスダウン実装される。従って、
図6における発光装置100は、
図1(b)とは上下が逆になっている。
また、発光装置100は、Au−Sn共晶半田などの接着部材93を用いたリフロー法による実装に適した構成を有するものである。
【0051】
実装時に、第2金属層32nと配線パターン92との間、及び第2金属層32pと配線パターン92との間に予め設けられた接着部材93が溶融し、その後に接着部材93が冷却されることにより、第2金属層32n,32pと配線パターン92とが強固に接合される。
【0052】
ここで、接着部材93が溶融して液体の状態となったときに、接着部材93は、第2金属層32nの表面と対応する極性の配線パターン92との間、及び第2金属層32pと対応する極性の配線パターン92との間に充填される。
また、第2金属層32n,32pの上面(
図6においては下面)の少なくとも一部が、第2樹脂層22の上面(
図6においては下面)よりも低くなる(
図6においては高くなる)ようにすることで、第2樹脂層22の開口部22n,22p内に隙間ができ、当該隙間に、接着部材93が収容される。更にまた、第2樹脂層22が壁となり、外側への過剰な接着部材93aの漏出が防止される。
これによって、過剰な接着部材93aが支持体の側面、すなわち、第2樹脂層22及び第1樹脂層21の側面に沿って這い上がることが防止される。
【0053】
なお、リフロー法によって発光装置100を実装基板91に実装する際に、配線パターン92上に供給される接着部材93を含有するペースト(半田ペースト)の量は、第2樹脂層22の開口部22n,22p内に隙間の体積を考慮して定めることが好ましい。供給されるペースト中の金属である接着部材93の体積が、第2樹脂層22の開口部22n,22p内に隙間の体積よりも大きくなるようにペーストを供給することにより、第2金属層32n,32pと配線パターン92とをより良好に接合することができる。
【0054】
また、
図6に示すように、例えば、過剰な接着部材93aが、第2金属層32n,32pと配線パターン92との間からはみ出し、更に、第2樹脂層22の側面に沿って這い上がったとしても、第2樹脂層22と第1樹脂層21との境界に段差23が設けられているため、この段差23によって過剰な接着部材93aがせき止められ、更に第1樹脂層21の側面に沿って這い上がることが防止される。
図1に示すように、第1樹脂層21と第2樹脂層22との間の段差23の間隔をdとすると、間隔dは、1μm以上10μm以下程度とすることが好ましく、1μm以上5μm以下程度とすることが更に好ましい。これによって、より効果的に半田の這い上がりを防止することができる。
【0055】
また、
図6に示した例では、第1樹脂層21の側面にも段差21bが設けられているため、過剰な接着部材93aが第2樹脂層22と第1樹脂層21との境界の段差23を乗り越えて、第1樹脂層21の側面に沿って這い上がることがあっても、過剰な接着部材93aは段差21bにトラップされ、更に這い上がることが抑制される。なお、第1樹脂層21の側面に形成される段差21bの間隔は、前記した第1樹脂層21と第2樹脂層22との間の段差23の間隔dと同程度とすることが好ましい。
【0056】
このように、第2金属層32n,32pの上面(
図6においては下面)の少なくとも一部が、第2樹脂層22の上面(
図6においては下面)よりも低くなる(
図6においては高くなる)ようにすることで、第2樹脂層22の開口部22n,22p内に隙間ができ、当該隙間に接着部材93が収容され、外部への漏出が防止される。
更にまた、第1樹脂層21及び第2樹脂層22からなる樹脂層の側面に段差23を設けることにより、好ましくは更に段差21bを設けることにより、過剰な接着部材93aの這い上がりを阻止し、半田が半導体積層体12の露出した側面にまで到達することをより確実に防止することができる。
【0057】
[発光装置の動作]
次に、
図1及び
図6を参照して、発光装置100の動作について説明する。
発光装置100は、外部との接続用の正負電極である第2金属層32n,32pに、実装基板91を介して外部電源が接続されると、第1金属層31n,31pを介して、発光素子1のn側電極13及びp側電極15間に電流が供給される。そして、n側電極13及びp側電極15間に電流が供給されると、発光素子1の活性層12aが発光する。
【0058】
発光素子1の活性層12aが発光した光は、半導体積層体12内を伝播して、発光素子1の下面(
図6においては上面)又は側面から出射して、外部に取り出される。
なお、発光素子1内を上方向(
図6においては下方向)に伝播する光は、光反射電極14aによって反射され、発光素子1の下面(
図6においては上面)から出射して、外部に取り出される。
【0059】
[発光装置の製造方法]
次に、
図7を参照して、
図1に示した発光装置100の製造方法について説明する。
図7に示すように、発光装置100の製造方法は、半導体積層体形成工程S101と、光反射電極形成工程S102と、カバー電極形成工程S103と、n型半導体層露出工程S104と、層間絶縁膜形成工程S105と、パッド電極形成工程S106と、マスク形成工程S107と、第1樹脂層形成工程S108と、第1金属層形成工程S109と、第2樹脂層形成工程S110と、第2金属層形成工程S111と、マスク除去工程S112と、パッド電極分離工程S113と、成長基板除去工程S114と、個片化工程S115と、を含み、この順で各工程が行われる。
また、半導体積層体形成工程S101〜パッド電極形成工程S106が、ウエハ状態の発光素子1を準備するウエハ準備工程として含まれ、光反射電極形成工程S102及びカバー電極形成工程S103が、全面電極形成工程として含まれる。
【0060】
以下、
図8〜
図14を参照(適宜
図1〜
図5及び
図7参照)して、各工程について詳細に説明する。なお、
図8〜
図14において、各部材について、形状、サイズ、位置関係を適宜に簡略化したり、誇張したりしている場合がある。
また、ウエハレベルでの発光装置100の製造工程において、多数の発光素子が2次元配列した状態で各工程が行われる。
図8〜
図14では、多数の発光素子の配列の内で、断面図においては2個の発光素子について、平面図においては2×2=4個の発光素子について示したものである。
また、
図8〜
図14に示した断面図は、
図1(b)に示した断面図と同様に、
図1(a)のI−I線に相当し、発光素子が2個分の断面を示したものである。
【0061】
本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法は、まず、複数の発光素子1が一枚の成長基板11上に配列された発光素子1を準備するウエハ準備工程を行う。ウエハ準備工程では、前記したように、半導体積層体形成工程S101と、光反射電極形成工程S102と、カバー電極形成工程S103と、n型半導体層露出工程S104と、層間絶縁膜形成工程S105と、パッド電極形成工程S106とが含まれる。
【0062】
まず、半導体積層体形成工程S101において、
図8(a)に示すように、サファイアなどからなる成長基板11の上面に、前記した半導体材料を用いて、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pを順次積層して半導体積層体12を形成する。
【0063】
次に、光反射電極形成工程S102において、
図8(b)に示すように、光反射電極14aを所定の領域に形成する。光反射電極14aは、リフトオフ法により形成することができる。すなわち、フォトリソグラフィ法により、光反射電極14aを配置する領域に開口を有するレジストパターンを形成した後、ウエハ全面にスパッタリング法や蒸着法などによりAgなどの前記した反射性の良好な金属膜を成膜する。そして、レジストパターンを除去することにより、金属膜がパターニングされ、光反射電極14aが形成される。
【0064】
次に、カバー電極形成工程S103において、
図8(c)に示すように、光反射電極14aの上面及び側面を被覆するように、カバー電極14bを形成する。カバー電極14bは、所定の金属材料を用いて、スパッタリング法や蒸着法などによりウエハ全面に金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法により、カバー電極14bを配置する領域に開口を有するレジストパターンを形成する。そして、当該レジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより金属膜がパターニングされ、その後にレジストパターンを除去することでカバー電極14bが形成される。
【0065】
次に、n型半導体層露出工程S104において、
図8(d)に示すように、半導体積層体12の一部の領域について、
図8(d)に示すように、p型半導体層12p、活性層12a及びn型半導体層12nの一部をドライエッチングにより除去して、n型半導体層12nが底面に露出する第1露出部12b及び第2露出部12cを形成する。
なお、ドライエッチングの際のエッチングマスク(不図示)は、フォトリソグラフィ法により、カバー電極14bを被覆するように形成される。このため、
図8(d)において、便宜的にカバー電極14bの端部とp型半導体層12pの端部(すなわち、第1露出部12b及び第2露出部12cの端部)とが一致するように記載しているが、カバー電極14bの側面に設けられたエッチングマスクの厚さ分だけ、p型半導体層12pは、カバー電極14b配置領域よりも広い範囲まで残される。
【0066】
次に、層間絶縁膜形成工程(絶縁膜形成工程)S105において、
図8(e)に示すように、所定の絶縁材料を用いて、第1露出部12b及びカバー電極14bの上面の一部に、それぞれ開口部16n及び開口部16pを有する層間絶縁膜16を形成する。また、層間絶縁膜16は、境界線40に沿った領域である第2露出部12cの底面の一部についても開口するように形成される。なお、第2露出部12cの底面については、開口を有さずに全面が層間絶縁膜16によって被覆されるようにしてもよい。
また、層間絶縁膜16は、ウエハ全面にスパッタリング法などにより絶縁膜を形成した後に、前記した所定領域に開口を有するレジストパターンを形成し、絶縁膜をエッチングすることによってパターニングすることができる。
【0067】
次に、パッド電極形成工程(電極形成工程)S106において、
図9に示すように、例えば、スパッタリング法などによって、層間絶縁膜16上に金属層50を形成する。なお、金属層50は、例えば、リフトオフ法によってパターニングすることができる。
金属層50は、発光素子1としてのパッド電極であるn側電極13及びp側電極15となるものである。そのため、金属層50は、n側電極13となる領域(
図9において、右下がり斜線のハッチングを施した領域)に設けられている層間絶縁膜16の開口部16nで、n型半導体層12nと接続されている。また、金属層50は、p側電極15となる領域(
図9において、右上がり斜線のハッチングを施した領域)に設けられている層間絶縁膜16の開口部16pで、カバー電極14bと接続されている。
【0068】
金属層50は、境界線40で区画された各発光素子1の領域内では、n側電極13となる領域とp側電極15となる領域とが互いに接触しないように分離して形成されているが、境界線40に沿った領域で接続され、ウエハ上に配列して形成された全ての発光素子1についての金属層50が導通するように形成されている。
金属層50は、後工程である第1金属層形成工程S109において第1金属層31n,31pを電解メッキ法で形成する際のシード層として用いられるとともに、第2金属層形成工程S111において第2金属層32n,32pを電解メッキ法で形成する際のシード層、すなわち電流経路としても用いられる。本実施形態では、パッド電極であるn側電極13及びp側電極15となる金属層50が、電解メッキのシード層を兼ねるように形成されるため、製造工程を簡略化することができる。
【0069】
次に、マスク形成工程S107において、
図10に示すように、境界線40に沿った領域である第2露出部12cに形成された金属層50を被覆するマスク33を形成する。マスク33は、フォトレジストやSiO
2などの絶縁材料を用いて形成される。マスク33は、後工程である第1金属層形成工程S109及び第2金属層形成工程S111において、境界領域である第2露出部12c上に、メッキ成長させないための絶縁性のマスクである。
なお、マスク33は、マスク除去工程S112において、第1樹脂層21及び第2樹脂層22を残したまま選択的に除去できるように、第1樹脂層21及び第2樹脂層22とは異なる材料で形成される。
また、マスク33は、次の第1樹脂層形成工程S108で形成される第1樹脂層21(
図11(a)参照)の上面よりも低い高さで、かつ、第1樹脂層21の開口部21a(
図11(a)参照)よりも広い幅で形成することが好ましい。これによって、第1樹脂層21の側面に段差21b(
図12(b)参照)を形成することができる。
【0070】
次に、第1樹脂層形成工程S108において、
図11(a)に示すように、金属層50上に、フォトリソグラフィ法によって第1樹脂層21を形成する。第1樹脂層21は、金属層50のn側電極13となる領域上に開口部21nを有し、金属層50のp側電極15となる領域上に開口部21pを有するように形成される。更に、第1樹脂層21は、境界線40に沿った領域上に開口部21aを有し、各発光素子1の領域ごとに分離して形成される。また、開口部21aは、マスク33の幅よりも狭い幅で形成することが好ましい。
【0071】
次に、第1金属層形成工程S109において、
図11(b)に示すように、第1樹脂層21の開口部21n,21p内に、電解メッキ法によって第1金属層31n,31pを形成する。第1金属層31n,31pは、前記したように、全体が導通するように形成されている金属層50を、電解メッキの電流経路となるシード層として用い、第1樹脂層21の開口部21n,21p内でメッキ成長させることで形成される。
また、本工程において、境界線40に沿った領域である第2露出部12c(
図10(b)参照)において、第1樹脂層21は開口しているが、マスク33によって金属層50が被覆されているため、メッキ成長はしない。これによって、境界領域に厚膜のメッキ層が形成されないため、後工程であるパッド電極分離工程S113において、容易に不要な金属層50を除去することができる。
【0072】
なお、
図11(b)に示した例では、第1金属層31n,31pは、第1樹脂層21から突出するように形成されているが、これに限定されるものではなく、第1金属層31n,31pの上面が、第1樹脂層21の上面と同じか、低くなるように形成するようにしてもよい。
【0073】
次に、第2樹脂層形成工程S110において、
図11(c)に示すように、第1樹脂層21上に、フォトリソグラフィ法によって第2樹脂層22を形成する。第2樹脂層22は、平面視において、第1金属層31nが形成された領域を包含する開口部22nを有し、第1金属層31pが形成された領域を包含する開口部22pを有するように形成される。更に、第2樹脂層22は、境界線40に沿った領域上に開口部22aを有し、各発光素子1の領域ごとに分離して形成される。
また、境界線40に沿った領域、すなわち、完成後の発光装置100の外縁部において、第2樹脂層22の側面が第1樹脂層21の側面よりも、平面視で内側となるように間隔dの段差23が形成される。
【0074】
次に、第2金属層形成工程S111において、
図12(a)に示すように、第2樹脂層22の開口部22n,22p内に、電解メッキ法によって第2金属層32n,32pを形成する。第2金属層32n,32pは、前記したように、全体が導通するように形成されている金属層50と第1金属層31n,31pとを電解メッキのシード層、すなわち電流経路として用い、第2樹脂層22の開口部22n,22p内でメッキ成長させることで形成される。このとき、第2金属層32n,32pの上面の少なくとも一部が、第2樹脂層22の上面よりも低くなる状態で電解メッキを終了させる。
【0075】
なお、第2金属層32n,32pを電解メッキ法によって形成する際に、メッキ層は、第1金属層31n,31pの第1樹脂層21から露出した箇所から、等方的に成長する。このため、第1金属層31n,31pの露出面が、第2樹脂層22の開口部22n,22pの底面全体に一様に配置されていない場合は、メッキ成長後の上面に凹凸形状が形成されることがある。そこで、スパッタリング法などによって、第2樹脂層22の開口部22n,22pの底面全体に金属膜を形成し、当該金属膜を電流経路として電解メッキを行うようにすることで、第2金属層32n,32pの上面が、より平坦に形成されるようにしてもよい。
【0076】
また、複数の第1金属層31n,31pの水平方向の離間距離が短くなるように、密に配置することで、メッキ成長後の第2金属層32n,32pの上面をより平坦にすることができる。
更に、第1露出部12bの直上領域などを除き、平面視で第2樹脂層22の開口部22n,22pの略全領域下に、n側及びp側にそれぞれ1つの連続した第1金属層31n,31pを形成するようにしてもよい。これによって、第2金属層32n,32pの上面を更に平坦に形成することができる。
【0077】
また、
図12(a)に示した例では、第2金属層32n,32pの上面は平坦面に形成され、その全体が第2樹脂層22の上面よりも低くなるように形成されているが、これに限定されるものではない。第2金属層32n,32pの上面が、第2樹脂層22の上面から突出したり、第2樹脂層22の上面より低くなるように形成するようにしてもよい。また、第2金属層32n,32pの上面は平坦に形成してもよいし、凹凸を有するように形成してもよい。
【0078】
次に、マスク除去工程S112において、
図12(b)に示すように、適宜な溶剤や薬剤を用いてマスク33を除去する。また、マスク33をドライエッチングすることで除去することもできる。
マスク33を除去することで、境界線40に沿った領域に形成された金属層50が、第1樹脂層21の開口部21aの底面に露出する。また、マスク33を除去することによって、第1樹脂層21の下部側面に段差21bが形成される。
【0079】
次に、パッド電極分離工程(電極分離工程)S113において、
図13に示すように、エッチングにより、第1樹脂層21の開口部21aの底面に露出した金属層50を除去する。これによって、金属層50は、発光装置100ごとに分離されるとともに、各発光装置100内においても、n側電極13となる領域とp側電極15となる領域とが分離される。
【0080】
なお、金属層50をエッチングする際に、第2金属層32n,32pの上面にマスクを設けて第2金属層32n,32pがエッチングされないようにしてもよい。また、第2金属層32n,32pが金属層50に比べて十分に厚い場合は、第2金属層32n,32pの厚さが金属層50の厚さと同程度分だけ減少することを構わずに、第2金属層32n,32pの上面にマスクを設けずに金属層50のエッチングを行うようにしてもよい。
【0081】
次に、成長基板除去工程S114において、
図14に示すように、LLO(レーザ・リフト・オフ)法やケミカルリフトオフ法などによって成長基板11を剥離することで除去する。
なお、成長基板除去工程S114は必須の工程ではなく、成長基板11を剥離しないようにしてもよい。また、成長基板11の剥離に代えて、成長基板11の下面側を研磨して薄肉化するようにしてもよい。
また、成長基板11の剥離後に、半導体積層体12の下面をウェットエッチングして凹凸形状を形成するようにしてもよい。
更にまた、成長基板11の剥離後に、又は成長基板11を剥離せずに、発光装置100の光取り出し面となる下面側に、発光素子1が発光する光の波長を変換する蛍光体を含有する蛍光体層を設けるようにしてもよい。
【0082】
次に、個片化工程S115において、ダイシング法やスクライビング法によって、
図14に示した境界線40に沿ってウエハを切断することにより、発光装置100を個片化する。個片化によって形成された半導体積層体12の外縁となる側面は、
図1(b)に示すように、層間絶縁膜16及び第1樹脂層21の何れによっても被覆されず、露出している。
なお、第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、それぞれ境界線40に沿った領域に開口部21a及び開口部22aを有するように、発光装置100ごとに分離して形成されているため、半導体積層体12を割断するだけで、容易に個片化することができる。
【0083】
<変形例>
次に、
図15及び
図16を参照して、本発明の実施形態の変形例に係る発光装置について説明する。
[発光装置の構成]
図15及び
図16に示すように、変形例に係る発光装置100Aは、
図1及び
図2に示した発光装置100において、第2金属層32n,32pに代えて、第2金属層32An,32Apを備え、半導体積層体12の下面側に、成長基板11を有するように構成されている。発光装置100Aの他の構成は、発光装置100と同様であるから、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
なお、変形例に係る発光装置100Aは、成長基板11を有する構成としたが、発光装置100と同様に、成長基板11を除去した構成としてもよい。また、成長基板11に代えて半導体積層体12の下面に、又は成長基板11の下面側に、蛍光体層を設けるようにしてもよい。
【0084】
発光装置100Aの第2金属層32An,32Apは、上面が凹凸形状を有しており、当該上面の一部が第2樹脂層22の上面よりも低くなるように形成されるとともに、当該凹凸形状の凸部の上端が、第2樹脂層22の上面よりも高くなるように形成されている。
なお、第2金属層32An,32Apの凸部の上端が、第2樹脂層22の上面と同じ高さか、低くなるように形成してもよい。
【0085】
第2金属層32An,32Apの少なくとも一部の上面を、第2樹脂層22の上面より低くすることにより、実装時に前記した発光装置100と同じ効果を得ることができる。
具体的には、
図15及び
図16に示すように、第2金属層32An,32Apが、略半球状の複数の凸部が隣接してなる形状である場合は、当該凸部の隣接した部分、すなわち、谷となる部分の高さが、第2樹脂層22の上面の高さよりも低くなるようにすればよい。これによって、第2金属層32An,32Apの、第2樹脂層22の上面よりも低く設けられた部分に収容された接着材料93が、第2樹脂層22によって取り囲まれるため、当該接着材料93が外部へ漏出する量を低減することができる。
【0086】
更に、第2金属層32An,32Apの上面が凹凸形状を有するように構成することで、発光装置100Aの実装時に、第2金属層32An,32Apの表面と、接着部材93との接触面積が増加する。このため、両者の密着性が向上するとともに、溶融した接着部材93が第2金属層32An,32Apの表面から離れ難くすることができる。これによって、過剰な接着部材93aの這い上がりを、より効果的に防止することができる。
【0087】
発光装置100Aの動作は、発光装置100と同様であるから、説明は省略する。
また、発光装置100Aのは、発光装置100と同様にして製造することができるため、詳細な説明は省略する。
なお、第2金属層32An,32Apの上面の凹凸形状は、前記した第2金属層形成工程S111において、第1金属層31n,31pが、第2樹脂層22の開口部22n,22pの底面の複数の箇所に離散的に露出するように配置して、第1金属層31n,31pを電流経路とする電解メッキ法によってメッキ成長させることで形成される。当該電解メッキにおいて、第1金属層31n,31pの露出した上面から、等方的に、すなわち半球状にメッキ層が成長する。このため、第2金属層32An,32Apは、それぞれ第2樹脂層22の開口部22n,22p内に、第1金属層31n,31pと同数の10個のボールを押し潰しながら詰め込んだような形状に形成される。
【0088】
なお、第1金属層31n,31pの第1樹脂層21からの露出面の大きさ、形状、個数、配置箇所などを適宜に変更することで、第2金属層32An,32Apの上面の形状を変えることができる。
また、第2樹脂層22の上面に対して、第2金属層32An,32Apの上面が低くなる領域は、電解メッキを行う際の、メッキ液の濃度、温度、メッキ時間などによって、調整することができる。
【0089】
また、図示は省略するが、個片化工程S115(
図7参照)において、ダイシング法やスクライビング法などによって、半導体積層体12に加えて成長基板11を境界線40(
図14参照)に沿って割断することで、発光装置100Aを個片化することができる。
【0090】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。