特許第6287816号(P6287816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287816
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】給鉱設備および給鉱方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/56 20060101AFI20180226BHJP
   F16K 7/07 20060101ALI20180226BHJP
   C22B 11/00 20060101ALN20180226BHJP
【FI】
   B65D90/56
   F16K7/07 B
   !C22B11/00
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-260527(P2014-260527)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-70483(P2016-70483A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】14/500427
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 英生
(72)【発明者】
【氏名】岡田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】越智 大司
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健司
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−335155(JP,A)
【文献】 特開昭53−130523(JP,A)
【文献】 実開昭61−099767(JP,U)
【文献】 特開2001−183209(JP,A)
【文献】 特開昭59−145715(JP,A)
【文献】 特表2005−523408(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0322721(US,A1)
【文献】 特開2013−193747(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/141356(WO,A1)
【文献】 特開2001−354324(JP,A)
【文献】 米国特許第03369716(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/56
F16K 7/07
C22B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱石スラリーを貯留する貯留部と、
前記貯留部から前記鉱石スラリーを排出する配管部と、
前記配管部に設けられ、エラストマーから成る管状の弁体を変形させることにより前記配管部の流路の断面積を変化させる調節弁と、
前記調節弁の内部に配置され、前記調節弁が前記流路の断面積が最小となるように調節された際に前記流路を完全に封止する封止手段と、
前記調節弁の開度を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記調節弁の開度を第1の時間の間、大開度とする第1のステップと、
前記調節弁の開度を前記第1の時間と同程度の第2の時間の間、中開度とする第2のステップと、
前記調節弁の開度を前記第1の時間と前記第2の時間に比べて長い第3の時間の間、小開度とする第3のステップと、から成る給鉱サイクルを1回または複数回実行して前記鉱石スラリーの供給を行うことを特徴とする給鉱設備。
【請求項2】
前記封止手段は、軟質の材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の給鉱設備。
【請求項3】
前記調節弁が前記流路の断面積が最小となるように調整された際の前記流路の断面形状である最小断面は円形であり、
前記封止手段の断面形状は、前記最小断面の直径よりも直径のやや大きい円形であることを特徴とする請求項2に記載の給鉱設備。
【請求項4】
前記封止手段は、管状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の給鉱設備。
【請求項5】
前記封止手段は、水平方向に移動可能に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の給鉱設備。
【請求項6】
前記封止手段の上端は、前記貯留部の上端より上に位置し、
前記封止手段が鉛直面内で回転可能なように、前記封止手段の上端付近が前記貯留部に支持されることを特徴とする請求項5に記載の給鉱設備。
【請求項7】
鉱石スラリーを貯留する貯留部から配管部を介して鉱石スラリーを選鉱機に給鉱する方法において、
前記配管部に、エラストマーから成る管状の弁体を変形させることにより配管部の流路の断面積を変化させる調節弁を設け、
前記調節弁の内部に、前記調節弁が前記流路の断面積が最小となるように調節された際に前記流路を完全に封止する封止手段を設けると共に
前記調節弁の開度を制御する制御部をさらに設け
前記制御部は、前記調節弁の開度を第1の時間の間、大開度とする第1のステップと、
前記調節弁の開度を前記第1の時間と同程度の第2の時間の間、中開度とする第2のステップと、
前記調節弁の開度を前記第1の時間と前記第2の時間に比べて長い第3の時間の間、小開度とする第3のステップと、から成る給鉱サイクルを1回または複数回実行して前記鉱石スラリーの供給を行い、
前記封止手段により前記鉱石スラリーの給鉱を遮断することができるようにしたことを特徴とする給鉱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石から精鉱を得るために用いる選鉱機用の給鉱設備および給鉱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱石から精鉱を得る選鉱方法は、従来から種々の方法が用いられている。たとえば、金鉱石の選鉱方法としては、金鉱石を破砕した後、適当な粒度に微粉砕し、得られた鉱粒をシアン化物水溶液中に懸濁させて金を浸出するいわゆる青化法によって金を脈石鉱物や硫化鉱物から分離・濃縮する方法、比重選鉱および浮遊選鉱によって金鉱物を脈石鉱物や硫化鉱物から分離・濃縮した後に、さらに青化法により金を分離・濃縮する方法が採られている。
【0003】
これらの方法で用いられる青化法では、鉱粒のうち粗大なものに含まれる金は、そのすべてを溶解させることができず、金の回収が不充分となる問題がある。
【0004】
そこで、比重選鉱のみによって、直接精製可能な高品位の金精鉱を回収する方法として、テーブル比重選鉱(揺動薄流選鉱ともいう)が提案されている(たとえば、特許文献1)。また、上記のテーブル比重選鉱と画像処理技術とを組み合わせ、仕切り板の調整を自動化する技術が特許文献2に記載されている。
【0005】
図21は、テーブル比重選鉱の原理を説明する図である。テーブル比重選鉱では、複数のリッフル104が設けられた揺動テーブル100に給鉱樋101から、鉱石を粉砕して鉱粒とし水を加えて製造した鉱石スラリー105を供給し、揺動テーブル100を搖動させつつ給水樋102から水106を供給する。鉱石スラリー中の固形分(鉱粒)の比重と粒径による揺動テーブル100上の「流れ方」の違いによって、金品位の高い鉱粒の流れ107を形成させ、仕切り板103によってこの流れだけを回収することにより分離している。金品位の高い鉱粒の流れの部分を「金線」という。
【0006】
このような方法によって得られた金精鉱は、直接熔錬し、鋳造され、純度が90%以上のインゴットの製品(ドーレとも言う場合がある)として、生産される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6818042号明細書
【特許文献2】特開2012−139675号公報
【特許文献3】実開平06−051655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般的にテーブル選鉱機では安定して精鉱を回収する上で、均一な速度で鉱石(鉱石スラリーと添加水)を給鉱することが重要である。たとえば、特許文献3に記載があるとおり、バルブの制御方法を変更することが、安定した給鉱(給鉱量および給鉱速度の安定)を得るために必要不可欠である。
【0009】
給鉱タンクからテーブルに供給される鉱石スラリーの流量を調節する調節弁として、エラストマー製の弁体を空気圧により駆動し流路の断面積を調節するものが用いられている。このような弁では、最小開度にしたときの隙間が大きすぎ、いくら流動性が低いといっても鉱石スラリーは一気に流出してしまうため、給鉱量を適切な量に調節することはできなかった。
【0010】
また、より小さい開度とすることができる他種類の弁(バタフライ弁など)だと、弁の開度を固定すると、鉱石スラリーはすぐに詰まって配管が閉塞する。鉱石スラリーは固形分の比重が大きいので、固形分の沈降速度が速く、給鉱タンク内の下部に充填しやすいためである。その結果、安定した給鉱量が確保できずテーブル選鉱操業の障害となっている。
【0011】
なお、ここでいう「給鉱量の確保」とは、鉱石スラリーの流速に変動があったとしても、配管閉塞を起こすことなく連続的に鉱石スラリーを供給することが可能であり、一定の時間内で平均すれば所望の給鉱が実現できる、ということを指す。
【0012】
本発明は、安定した給鉱量を確保するこができる給鉱設備および給鉱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するために、本発明の給鉱設備は、鉱石スラリーを貯留する貯留部と、貯留部から鉱石スラリーを排出する配管部と、配管部に設けられ、エラストマーから成る管状の弁体を変形させることにより配管部の流路の断面積を変化させる調節弁と、調節弁の内部に配置され、調節弁が流路の断面積が最小となるように調節された際に流路を完全に封止する封止手段と、調節弁の開度を制御する制御部と、を備え、制御部は、前記調節弁の開度を第1の時間の間、大開度とする第1のステップと、調節弁の開度を第1の時間と同程度の第2の時間の間、中開度とする第2のステップと、調節弁の開度を第1の時間と第2の時間に比べて長い第3の時間の間、小開度とする第3のステップと、から成る給鉱サイクルを1回または複数回実行して鉱石スラリーの供給を行うことを特徴とする。
【0014】
前述した課題を解決するために、本発明の給鉱方法は、鉱石スラリーを貯留する貯留部から配管部を介して鉱石スラリーを選鉱機に給鉱する方法において、配管部に、エラストマーから成る管状の弁体を変形させることにより配管部の流路の断面積を変化させる調節弁を設け、調節弁の内部に、調節弁が流路の断面積が最小となるように調節された際に流路を完全に封止する封止手段を設けると共に調節弁の開度を制御する制御部をさらに設け、制御部は、調節弁の開度を第1の時間の間、大開度とする第1のステップと、調節弁の開度を第1の時間と同程度の第2の時間の間、中開度とする第2のステップと、調節弁の開度を第1の時間と第2の時間に比べて長い第3の時間の間、小開度とする第3のステップと、から成る給鉱サイクルを1回または複数回実行して鉱石スラリーの供給を行い、封止手段により鉱石スラリーの給鉱を遮断することができるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、調節弁はエラストマーの弁体により鉱石スラリーの流路断面積を変化させる構造となっているので、配管部の閉塞が起こりにくい。そして、封止手段は、調節弁が鉱石スラリーの流路断面積が最小となるように調整されたときに流路を完全に封止することができる。そのため、本発明によれば配管部から供給される鉱石スラリーの流量を自在に調節して安定した給鉱量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、テーブル比重選鉱機の全体構造を説明する概略側面図である。
図2図2は、テーブル比重選鉱機の全体構造を説明する概略平面図である。
図3図3は、給鉱タンクの構造を説明する図である。
図4図4は、給鉱タンクの正面図である。
図5図5は、給鉱タンクの背面図である。
図6図6は、給鉱タンクの左側面図である。
図7図7は、給鉱タンクの右側面図である。
図8図8は、給鉱タンクの平面図である。
図9図9は、給鉱タンクの底面図である。
図10図10は、封止管(封止手段)の取り付け方を説明する図である。
図11図11は、封止管(封止手段)の取り付け方を説明する図である。
図12図12は、封止コマ(封止手段)の取り付け方を説明する図である。
図13図13は、封止管(封止手段)の取り付け方を説明する図である。
図14図14は、調節弁の切断斜視図である。
図15図15は、調節弁の開度が最大のときの縦断面図である。
図16図16は、図15のA−A線の断面図である。
図17図17は、調節弁の開度が最小のときの縦断面図である。
図18図18は、図17のB−B線の断面図である。
図19図19は、図17のB−B線の断面図(封止管がない場合)である。
図20図20は、調節弁の制御例を示す図である。
図21図21は、テーブル選鉱の原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施形態では、粉砕した金鉱石に水を加えて製造した鉱石スラリーをテーブル比重選鉱機に供給する例について説明するが、本発明は他の種類の鉱石スラリー、また、他の種類の選鉱機にも適用することができる。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態であるテーブル比重選鉱機1の全体構造を説明する概略側面図である。テーブル比重選鉱機1は、揺動テーブル2、堰3、給鉱樋4、給水樋5、精鉱側貯槽9、尾鉱側貯槽10を備えている。揺動テーブル2は、図1で右側が上になるように傾斜して配置され、図示しないフレームによって支持されている。堰3、給鉱樋4、給水樋5は揺動テーブル2の上面に設けられ、揺動テーブル2と同様に図1の左右方向に傾斜して右側が上になるように配置されている。精鉱側貯槽9は、精鉱、たとえば金、を貯留するための容器である。尾鉱側貯槽10は、尾鉱を貯留する容器である。精鉱側貯槽9と尾鉱側貯槽10は、上下方向には、その上面が揺動テーブル2の上面よりも下になるように配置される。揺動テーブル2の右端には、揺動テーブル2を図1の左右方向に揺動する揺動機構7が設けられている。給鉱樋4の上部には、テーブル比重選鉱機1に鉱石スラリーを供給する給鉱タンク20(給鉱設備の一例)が設けられている。揺動テーブル2の左端には、精鉱と尾鉱を分離してそれぞれ精鉱側貯留槽9と尾鉱側貯留槽10に収容するための仕切り板8が設けられている。
【0019】
図2はテーブル比重選鉱機1の全体構造を説明する概略平面図である。揺動テーブル2は、平面形状が平行四辺形の板状の部材である。揺動テーブル2は、図1に示したように左右方向に傾斜すると共に、図2の上下方向にも図2の上側が高くなるように傾けて設置されている。すなわち、揺動テーブル2は、図2で右上の隅角部が最も高く、左下の隅角部が最も低くなるように、斜めに傾斜して設置されている。
【0020】
揺動テーブル2の上面には、図2の左上部分を除き、板状部材であり左右方向に伸びるリッフル6が上方に突出して複数設けられている。また、揺動テーブル2の上辺には壁状の堰3が全長にわたって設けられ、鉱石スラリーと水が揺動テーブル2の上辺から流出しないようにしている。堰3の下側の右端部には、給鉱タンク20(給鉱設備の一例)から供給された鉱石スラリーを揺動テーブル2に供給する給鉱樋4が設けられている。堰3の下側の残りの部分には、長手方向のほぼ全長にわたって図2の矢印16に示すように揺動テーブル2に水を供給する給水樋5が設けられている。
【0021】
給鉱樋4は、たとえば金属製のU字形断面の樋状部材で、給鉱タンク20から供給された鉱石スラリーを、たとえばその下面に設けられた開口部から流出させることによって揺動テーブル2に供給する。
【0022】
給鉱樋5は、たとえば金属製で上側と堰3の側が開口したL字型断面の樋状部材で、図示しない給水ホースから供給された水を堰3の側に流出させることにより揺動テーブル2に供給する。水は、一旦図2の上側に向かって給水樋5から流出するが、堰3に跳ね返されて下に向かって流れる。
【0023】
鉱石スラリーは、揺動テーブル2の上面の勾配に従って、概ね図2の右上から左下の方向に流れる。鉱石スラリーに含まれる鉱粒のうち粒径の小さいものや比重の小さいものは、リッフル6を乗り越えやすく図2の矢印15aのように流れる。粒径が大きくなるにしたがって、また、比重が大きくなるにしたがって鉱粒はリッフル6を乗り越えにくくなるため、リッフル6に沿って流れるようになり、図2の矢印15b、15cのように流れるようになる。この例では、鉱石スラリーに含まれる金粒子は、上流から4個目のリッフル6の端部から金線11をなして流れ、揺動テーブル2の左端で仕切り板8によって尾鉱と分離されて精鉱側貯槽9に収容される。鉱石スラリーのうち金粒子以外の部分はテーブル2の下流端で尾鉱側貯槽10に収容される。
【0024】
図3は、給鉱タンク20の構造を説明する図であり、給鉱タンク20、封止管24、支持部材25b、調節弁30については、縦断面を示している。給鉱タンク20は、図示しない鉱石スラリー製造施設に連通する配管12から供給される鉱石スラリーを一旦貯留し、これを給鉱樋4に供給するための設備である。給鉱タンク20は、鉱石スラリーを貯留する貯留部21と、貯留部21から給鉱樋4に鉱石スラリーを送出する配管部22とを備えている。貯留部21は、管状の形状で上端が開口している上部21aと漏斗状の形状で高さが上部21aとほぼ等しい下部21bとを備えている。上部21aの下端と下部21bの上端は、溶接等によって接続されている。また上部21aの上端の周囲には、補強のためにフランジ21cが設けられている。
【0025】
配管部22は、上端が貯留部21の下部21bの下端と接続され、下端が調節弁30の流入ポートに接続されるパイプ22aと、上端が調節弁30の流出ポートに接続されるパイプ22bとを備えている。パイプ22aとパイプ22bは、例えば鋼管とし、その径は、テーブル比重選鉱機1の単位時間あたりの処理量を勘案して、流出する鉱石スラリーの流量が適切になるように定める。
【0026】
配管部22の中間には鉱石スラリーの流量を調節する調節弁30が、下端付近には仕切り弁23が設けられている。仕切り弁23は、全開または全閉にすることができるが、それらの中間の開度にはできない弁である。この実施形態では、後述するように調節弁30と封止管24によって鉱石スラリー流を完全に遮断することができるため、仕切り弁23は必ずしも必要でないが、安全のため設けておくことが好ましい。
【0027】
調節弁30には、空気圧により調節弁30を駆動するアクチュエーター50と、アクチュエーター50を制御する制御部51が設けられている。制御部51は、アクチュエーター50と電気的に接続されたコンピューターであり、アクチュエーター50を介して調節弁30の開度を調整する。
【0028】
給鉱タンク20の平面における中心部には、封止管24(封止手段の一例)が設けられている(図8も参照)。封止管24の外径は、調節弁30の開度が最小となったときに残される円形断面の鉱石スラリー流路の直径よりやや大きい。封止管24の上端は貯留部21の上端から上に突出し、下端は調節弁30の流出側端部よりも下に突出している。封止管24の上端部付近にはボルト25a、リングプレート25c、25dが設けられ、封止管24は、これらを介して支持部材25bによって支持される。封止管24の構成とその支持方法については、後述する。
【0029】
図4は給鉱タンク20の正面図、図5は給鉱タンク20の背面図である。調節弁30とアクチュエーター50は、それぞれのフランジ同士が図示しない接合用プレートを介してボルトナットによって固定されている。封止管24は、貯留部21の上端に配置された支持部材25bによって支持されている。
【0030】
図6は給鉱タンク20の左側面図、図7は給鉱タンク20の右側面図である。封止管24の上端付近には、リングプレート25c、25dが固定されている。封止管24は、リングプレート25c、25dとリングプレート25cに取り付けられたボルト25aによって支持部材25bにつり下げるように支持されている。
【0031】
図8は、給鉱タンク20の平面図である。中央付近に開口部25fが設けられた支持部材25bが貯留部21の直径方向に架け渡されている。封止管24には、リングプレート25c、25dが2組のボルトナット25eによって固定されている。一方のリングプレート25cには、ネジ部25gが設けられ、このネジ部25gにボルト25aがねじ込まれている。封止管24は、リングプレート25c、25dの平板部25hとボルト25aが開口部25fの周囲に引っかかるようにして、支持部材25bにより支持されている。
【0032】
図9は、給鉱タンク20の底面図である。配管部22、封止管24、調節弁30、の各中心は平面的に一致するように配置されている。ただし、後述するように、封止管24は平面的に移動可能に設置されているので、調節弁30が解放されている状態では、封止管24の中心は配管部22の中心から多少ずれていてもかまわない。
【0033】
図10は、封止管24の給鉱タンク20への取り付け方を説明する図である。支持部材25bはフランジの幅に比べてウェブの高さが小さい扁平な溝型断面の鋼材である。支持部材25bは、開口側を下にして給鉱タンク20の貯留部21の上縁に、貯留部21の直径方向に架け渡すように固定されている。支持部材25bの中央部には、封止管24が貫通できるように4角形の開口部25fが設けられている。支持部材25bは貯留部21の直径方向に配置されているので、開口部25fが貯留部21の平面的な中心に位置する。
【0034】
リングプレート25c、25dは、封止管24の外径よりも僅かに大きい曲げ半径で半円状に曲げ加工された板状の金属部材で、その両端にはボルト止めのための平板部25hが設けられている。リングプレート25cには、ネジ部25gが設けられ、このネジ部25gにはボルト25aがねじ込まれている。リングプレート25c、25dは、封止管24の上端付近、たとえば上端から2インチ(51mm)程度の位置を挟み込むように2組のボルト・ナット25eにより固定される(図8も参照)。
【0035】
リングプレート25c、25dを取り付けた封止管24を、その下端から開口部25fを通して給鉱タンク20の内部に落とし込む。そうすると、ボルト25aの下端部と平板部25hの下端部が支持部材25bの開口部25fの周囲のフランジ部の上面に当接し、封止管24の上下方向の位置が定まる。ここで、ボルト25aと平板部25hは、支持部材25bに当接させるだけで溶接等により固定することはしない。そのため、メンテナンス作業等の際に封止管24を簡単に取り除くことができる。また、開口部25fの大きさは、封止管24の外径に対して余裕を持たせているので、封止管24は、水平方向(図8の上下左右方向)に移動することができる。また、ボルト25aと支持部材25b、平板部25hと支持部材25bがそれぞれ接触する部分の面積は小さく、封止管24はその接触する部分で支持されているので、接触する部分を中心に鉛直面内で回転することができる。
【0036】
封止管24の材質は、金属、合成樹脂などから移送の対象となる鉱石スラリーの性質を勘案して適宜選択すれば良いが、HDPE(高密度ポリエチレン)等の柔軟性のある軟質のものが好ましい。調節弁30のスリーブ34(図17参照)が封止管24の外面に当接してきたときに、封止管24が変形することにより、封止管24とスリーブ34とを確実に密着させることができるからである。
【0037】
封止手段は、調節弁30の開度が最小となったときに残される流路を封止できればよく、図3の封止管24のように給鉱タンク20の上端から調節弁30の下端まで達する長さを持つことは必須ではない。また、封止手段の断面形状は管である必要はなく、充実断面としてもよい。
【0038】
図11は、封止管24の給鉱タンク20への別の取り付け方を説明する図である。図11では、見やすいように、封止管24、ボルト26a、支持部材26b、26cの給鉱タンク20に対する相対的な太さを強調して示している。
【0039】
封止管24の形状寸法は、図10に示したものと同じであるが、上端付近には2個の孔24aが設けてある。そして、孔24aから両側に突出するように1本のボルト26aを貫通させてある。孔24aの位置は、図10の場合と同様に、たとえば上端から2インチ(51mm)程度の位置とする。
【0040】
支持部材26b、26cは、封止管24を支持できる強度を持つ棒状の部材である。支持部材26b、26cの断面形状は、ここでは1辺が1インチ(25mm)程度の角形パイプとしたが、他の形状としても良い。支持部材26b、26cを貯留部21の直径方向と平行に、貯留部21の平面的な中心を挟んで、貯留部21の上端に架け渡すように配置する。支持部材26b、26cの間隔は、封止管24の外径よりもやや大きくする。
【0041】
封止管24を支持部材26b、26cの間で貯留部21の平面的な中心付近の位置で、給鉱タンク20の内部に落とし込む。そうすると、ボルト26aの下端部が支持部材26b、26cの上面に当接し、封止管24の上下方向の位置が定まる。ここで、ボルト26aは、支持部材26b、26cに当接させるだけで溶接等により固定することはしない。そのため、メンテナンス作業等の際に封止管24を簡単に取り除くことができる。また、封止管24は平面的にボルト26aの軸線方向(図8の左右方向)と支持部材26b、26cの軸線方向(図8の上下方向)に移動することができる。また、ボルト26aは、支持部材26b、26cと線状の部分で接触しているので、その部分を中心として鉛直面内で回転することができる。
【0042】
図12に封止手段の別の構成例を示す。この例では、封止手段として充実断面の円筒形の封止コマ27を用いている。封止コマ27の外径は、封止管24と同様に、調節弁30が最小開度となった場合の鉱石スラリーの流路の直径(図18のD1)よりもやや大きくしてある。封止コマ27の上下方向の長さは、調節弁30の開度が最小となったときに残される鉱石スラリーの流路を封止するのに必要十分な長さとしている。この例では、封止コマ27の上下方向の長さは、調節弁30のスリーブ34(図15参照)の長さと同程度としている。封止コマ27の材料も、封止管24と同様に種々のものを用いることができるが、柔軟性のあるものが好ましい。
【0043】
封止コマ27の上端には、線状部材28の一端が接続されている。線状部材28の他端は、ボルト26aの長さの中央付近に接続されている。線状部材28は、チェーン、ワイヤー等の可撓性の細長い部材である。
【0044】
図11の例と同様に、2本の支持部材26b、26cを貯留部21の上端に配置し、長さの中央付近に、ボルト26aを支持部材26b、26cに架け渡すように置き、線状部材28で封止コマ27をつり下げて支持する。この場合も、ボルト26aと支持部材26b、26cとは溶接等で固定はしない。このように配置したとき、封止コマ27が調節弁30の内部に来るように線状部材28の長さを調節する。また、ボルト26aは支持部材26b、26cに固定されていないから、封止コマ27は、平面的に移動することができる。さらに、線状部材28は可撓性の部材であるから、封止コマ27は、ボルト26aと線状部材28との接続点を中心に鉛直面内で回転することができる。
【0045】
図13に封止手段のさらに別の構成例を示す。封止手段が図10と同じ形状・材質の封止管24であり、その上端付近に2個の孔24aを設けてある構成は、図10の場合と同じである。
【0046】
この例では、給鉱タンク20の側面に貯留部21の平面的な中心を挟んで対称の位置に板状の固定部材29a、29bを固定する。そして、2個の孔24aを貫通する線状部材29cの一端を固定部材29aに、他端を固定部材29bにそれぞれ連結する。線状部材29cは、チェーン、ワイヤー等の可撓性の細長い部材である。線状部材29cの固定部材29a、29bへの連結は、線状部材29cの端部を輪状にして固定部材29a、29bに設けたフックにかける等、着脱可能にすると封止管24の取り外しが容易となり好ましい。図13の構成でも、封止管24は、線状部材29cの長さ方向に移動でき、また線状部材29cを中心に回転することができる。
【0047】
図14は調節弁30の切断斜視図である。調節弁30は、弁箱を構成するハウジング31、32と、弁体として機能するスリーブ34と、スリーブを変形させるマッスル33と配管部22を接続する2個のリテーナー35とを備えている。
【0048】
ハウジング31は、管状の形状の外側板36と、やはり管状で外径が外側板36より小さく外側板36の内側に位置する内側板37と、外側板36と内側板37のそれぞれの配管部22が接続される側の端部(一端)を接続する接続部材38と、外側板36のハウジング32と結合される側の端部(他端)に設けられたフランジ39と、接続部材38に設けられた突出部40とが、たとえば鋳造により一体に形成された部材である。内側板37の中心軸C方向の長さは、外側板36のそれよりもやや小さくなっている。内側板37の外径は一定であるが、外側板36の外径は一端から他端に向かって僅かに増大している。ハウジング31の材質は、たとえばダクタイル鋳鉄である。
【0049】
ハウジング31の形状は、ハウジング32の形状とほぼ同一であり、外側板41、内側板42、結合部材43、フランジ44、突出部45から構成されているが、フランジ44に切り欠き46が設けられている点が異なる。ハウジング32の材質は、たとえばダクタイル鋳鉄である。
【0050】
ハウジング31のフランジ39とハウジング32のフランジ44とは、複数組のボルトナット48により結合され、ハウジング31とハウジング32に囲まれる空間が弁箱を構成している。
【0051】
マッスル33は、管状の部材であり、外側板36、41と内側板37、42との間の空間に、外側に僅かな空間47を残してはめ込まれている。マッスル33の材質は、エラストマー、たとえば合成ゴムである。
【0052】
調節弁30の弁体として機能するスリーブ34は、管状の形状であり、調節弁30が全開の状態では、外面が内側板37、42の内面に密着するように配置されている。スリーブ34の内径は、配管部22の内径よりもやや大きい。スリーブ34の材質は、エラストマー、たとえば合成ゴムである。スリーブ34が変形することにより鉱石スラリーの流路の断面積を変化させ調節弁30の開度が調整される。このような弁の一例としては、Pentair Valves & Controls社の「C−Valve」が知られている。
【0053】
図15は、調節弁30の開度が最大のときの縦断面図である。2個のリテーナー35には、配管部22のパイプ22a、22bがそれぞれ接続されている。マッスル33は、外側板36、41と内側板37、42の間の空間に完全に収まり、その内面は内側板37、42の内側の面と一致し、スリーブ34の外面に当接している。スリーブ34は、マッスル33によって変形させられることなく、その外面が内側板37、42の内面に当接し、内面はまっすぐ伸びている。配管部22、スリーブ34の中心軸と、その中心軸が一致する位置に封止管24が配置されている。封止管24の外面とスリーブ34の内面との間の空間が鉱石スラリーの流路49となっている。封止管24の外面とスリーブ34の内面との間隔は一定であり鉱石スラリーの流路49の断面積は一定となっている。
【0054】
図16は、図15のA−A線の断面図である。ハウジング32、マッスル33、スリーブ34、封止管24の各中心が一致するように配置されている。スリーブ34と封止管24との間の円環状の空間が鉱石スラリーの流路49となっている。ただし、前述のように、封止管24は平面的に移動可能に配置されているので、この状態では封止管24の中心の位置は、スリーブ34の中心と多少ずれていても差し支えない。
【0055】
図17は、調節弁30の開度が最小のときの縦断面図である。アクチュエーター50(図3参照)により空間47に圧縮空気が送り込まれると、マッスル33は、内側板37と内側板42との間の隙間から内側に突出するように変形し、スリーブ34を内側に押しつける。スリーブ34は、円弧状に変形し、B−B線の位置とその上下の近傍では、スリーブ34の内面は封止管24の外面に密着する。そのため、鉱石スラリーの流路49の面積は、スリーブ34の上下の端部では図16と同じであるが中央に向かって滑らかに減少し、スリーブ34と封止管24とが密着する部分ではゼロとなる。
【0056】
図18は、図17のB−B線の断面図である。空間47の面積は、空気圧の変動により、図16の場合に比べで増大している。それによって、マッスル33とスリーブ34は中心に向かって縮小し、スリーブ34の内面は封止管24の外面に密着する。
【0057】
図19は、図18と同じく図17のB−B線の断面図であるが、封止管24または封止コマ27がない場合、すなわち調節弁30の本来の最小開度の状態を示す図である。スリーブ34の内面の直径D2は、封止管24の外面の直径D1(図18参照)よりもやや小さくなっている。たとえば、D2が2インチ(51mm)の場合、封止管24として内径が2インチのHDPE管を用いれば外径D1が約2.4インチ(61mm)となり好適である。
【0058】
図20に制御部51による調節弁30の開度調整の例を示す。縦軸がバルブの開度(%)を、横軸が時間(秒)を示している。ここで、「開度」は、封止管24も入った状態の調節弁30の中心(図15のA−A線)での、全開時の流路断面積に対する、ある開度の状態における流路断面積の割合である。
【0059】
(ステップ0:準備)
鉱石スラリーを前工程から連続する配管12(図1参照)を通じて、給鉱タンク20に供給する。この際、調節弁30の開度は最小にし、調節弁30以降の流路に鉱石スラリーが流れることがないようにする。仕切り弁23も閉じておく。引き続き、調節弁30の開度を調整して、鉱石スラリーを揺動テーブル2に向けて移送するが、鉱石スラリーの移送が開始された後も、給鉱タンク20への鉱石スラリー供給は連続しても良いし、断続的に供給しても良い。
【0060】
(ステップ1:開度=大)
ステップ1では、仕切り弁23を開き、調節弁30の開度を大(たとえば、50%)とし、後述するステップ3に比べて短時間(たとえば、5秒間)保持する。調節弁30の開度が0%(ステップ0の状態)では、鉱石スラリー流量はゼロであるため、最初は鉱石スラリーが流れ始めるようにするため、また、開度が不充分だと一旦流れ始めても閉塞を起こすため、開度を大きくする。このように操作することで、確実に流れ始め、閉塞を起こさない鉱石スラリー流れを形成する。この間、鉱石スラリー流量は非常に大きくなる。
【0061】
(ステップ2:開度=中)
ステップ2では、調節弁30の開度を中(たとえば、15%)とし、後述するステップ3に比べて短時間(たとえば、5秒間)保持する。ステップ2での調節弁30の開度は、後述するステップ3での開度に比べると大きく(たとえば、ステップ3での開度の1.5倍程度)、ステップ1の開度に比べると大幅に小さい。このように操作することで、ステップ1で形成した、確実に流れ始めて閉塞を起こさない状態の鉱石スラリー流れの状態を維持しつつ、スラリー流量を絞ることができる。ステップ3の開度まで一気に絞ると、鉱石スラリー流量はより絞れたとしても、配管部22の閉塞を起こしやすくなる場合があるからである。
【0062】
(ステップ3:開度=小)
ステップ3では、調節弁30の開度を3つのステップのなかで最も小さく(たとえば、10%)し、この開度を保持する時間は、ステップ1〜3を通じて給鉱される量が必要量に達する時間(たとえば、120秒間)保持する。このように操作することで、鉱石スラリー流量としては充分に絞れた状態に制御され、閉塞を起こさない鉱石スラリー流れを維持することができる。ステップ3での調節弁30の開度は、鉱石スラリーの流量が、給鉱樋4が単位時間あたりに揺動テーブル2に供給すべき鉱石スラリーの量よりやや小さくなるようにし、ステップ1〜3から成る1給鉱サイクルを通じて給鉱樋4に供給される鉱石スラリーの量が1給鉱サイクルの間(たとえば、130秒)にテーブル比重選鉱機1が処理する鉱石スラリーの量とほぼ等しくなるようにする。
【0063】
通常、貯留部21には、1回の給鉱サイクルで移送される鉱石スラリー量の10倍以上の鉱石スラリーが貯留されているため、連続的に操業する際は、給鉱サイクルを繰り返し操作する。
【0064】
図17に示した通り、調節弁30はスリーブ34を変形させて開度を調節する構造となっている。調節弁30の開度を絞った際、鉱石スラリー流れの中心線に沿った断面形状が、鉱石スラリー流れに対して円弧状の曲線となっている。すなわち、鉱石スラリー流にとっては、調節弁30の端部から中心部に向かって滑らかに流路の断面積が減少している。そのため、調節弁30は、バタフライ弁や仕切り弁などと比較して、鉱石スラリーが配管を閉塞する作用(鉱石スラリー中の固形分がアーチを形成する作用)が分散されるために、流路の断面積が小さくても、閉塞しにくい構造となっている。
【0065】
更に、本発明では、調節弁30の最小開度において、残されている流路断面にぴったりとはまり、しかも適度な柔軟性を持つ封止管24を、水平方向に(図16で左右上下に)自在に振れるように配置している。このため、仮に微小なアーチ形成が始まったとしても、この局所的な鉱石スラリーの塊が封止管24の外壁面を押して通り抜けることができるので、閉塞は起こりにくくなる。
【0066】
給鉱タンク20では、調節弁30はエラストマーから成り弁体として機能するスリーブ34により鉱石スラリーの流路断面積を変化させる構造となっているので、配管部22の閉塞が起こりにくい。そして、封止管24または封止コマ27は、調節弁30が鉱石スラリーの流路断面積が最小となるように調整されたときに流路を完全に封止することができる。そのため、給鉱タンク20によれば、配管部22から供給される鉱石スラリーの流量を自在に調節して安定した給鉱量を確保することができる。
【0067】
封止管24または封止コマ27を軟質の材料で構成すれば、スリーブ34に押圧されたときに変形することができるため、多少の形状のゆがみ、たとえば円形断面の場合真円からのずれ、を吸収して調節弁30の開度が最小となっているときに、流路を確実に封止することができる。特に、封止管24のように封止手段を円管形状とするとこのような変形をしやすくなり好ましい。また、封止管24または封止コマ27の外面に多少の凹凸があっても、スリーブ34を密着させることができる。
【0068】
封止管24または封止コマ27は、水平方向に移動できるように配置されている。そのため、鉱石スラリー中の固形分によるアーチ形成作用を妨げ、配管部22の閉塞が起こりにくくなっている。また、封止管24または封止コマ27の中心軸が配管部22の中心軸から多少ずれていても、スリーブ34に押されたときに水平方向に動くことができ、流路を完全に封止することができる。
【0069】
図10、11、13のように、封止管24の上端が貯留部21の上端よりも上に位置するようにし、封止管24が鉛直面内で回転可能なように、貯留部21に支持されるようにすれば、簡便な構成で、調節弁30の位置での水平方向の移動を実現することができる。
【0070】
制御部51は、図20に示した給鉱サイクルに従って調節弁30を制御する。そのため、ステップ1では、鉱石スラリーが閉塞を起こすことなくスムーズに流れ始めることができる。ステップ2では、安定した鉱石スラリーの流れを維持しつつ流量を絞ることができる。ステップ3では、鉱石スラリー流量が十分絞られた状態で閉塞を起こさない鉱石スラリー流れを維持することができる。給鉱タンク20によれば、このような給鉱サイクル全体を通じて、テーブル比重選鉱機1が必要とする量の鉱石スラリーを過不足なく安定して供給することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 テーブル比重選鉱機、 2 揺動テーブル、 3 堰、 4 給鉱樋、 5 給水樋、 20 給鉱タンク(給鉱設備)、 21 貯留部 、 22 配管部、 24 封止管(封止手段)、 27 封止コマ(封止手段)、 30 調節弁、 34 スリーブ(弁体)、 50 アクチュエーター、 51 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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