(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1透光性部材を形成する工程は、波長変換物質の粒子を液状の樹脂に分散させたスラリーを、前記凹部内に滴下して、その後に前記スラリーを硬化させる、請求項1又は請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る発光装置及び発光装置の製造方法について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、各実施形態及び変形例の構成は、相互に他の実施形態及び変形例にも適用可能である。
【0012】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
まず、第1実施形態に係る発光装置の構成について、
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
本実施形態に係る発光装置100は、平面視で略正方形の四角柱の外形形状を有している。発光装置100は、平面視での形状が略正方形である半導体発光素子1(以下、適宜「発光素子」と呼ぶ)と、発光素子1の側面を囲むように設けられた第2透光性部材4と、発光素子1及び第2透光性部材4の上面に設けられた第1透光性部材3と、発光素子1の底面、第2透光性部材4の側面及び第1透光性部材3の側面を被覆するように設けられた遮光性部材2と、を備えて構成されている。
発光装置100は、上面側が光取り出し面であり、発光素子1が発した光は、第1透光性部材3を通って外部に取り出される。また、発光装置100は、下面側が実装面であり、発光素子1の一対のパッド電極であるn側電極13及びp側電極15の下面が接続用端子として露出している。
【0013】
次に、発光装置100の各部の構成について順次に詳細に説明する。
本実施形態の発光素子1は、LEDなどの半導体発光素子を好適に用いることができる。本実施形態における発光素子1は、平面視で略正方形である略四角柱形状を有する。一方の面側にn側電極13及びp側電極15が設けられ、フリップチップ実装に適した構成を有している。
ここで、発光素子1の構成例について、
図2を参照して説明する。なお、
図2においては、n側電極13及びp側電極15が設けられた面が上方となるように示しており、
図1Bとは上下を逆に示している。また、
図1A、
図1B、後記する
図4B〜
図7B、及び
図9A〜
図9Jでは、発光素子1の構成は簡略化して示している。
【0014】
発光素子1は、基板11と、半導体積層体12と、n側電極13と、全面電極14と、p側電極15と、絶縁膜16とを備えている。
発光素子1は、基板11の一方の主面上に、n型半導体層12nと活性層12aとp型半導体層12pとを積層したLED構造を有する半導体積層体12を備えている。また、半導体積層体12は、n側電極13及びp側電極15に外部電源を接続して通電することにより発光するようになっている。
【0015】
基板11は、半導体積層体12を支持する部材である。具体的な材料としては、サファイアやSiCのような材料を用いることができる。また、基板11は、例えば、半導体積層体12をエピタキシャル成長させる成長基板であってもよい。例えば、半導体積層体12をGaN(窒化ガリウム)などの窒化物半導体を用いて形成する場合には、サファイアを好適に用いることができる。
【0016】
なお、基板11上に半導体積層体12を形成後に、LLO(レーザ・リフト・オフ)法などにより基板11を除去し、半導体積層体12の電極形成面と反対側の面を光取り出し面としてもよい。この場合は、電極形成面側に樹脂などの支持層を設けることで発光素子1の機械的強度を向上させてから基板11を剥離することが好ましい。
【0017】
図2に示すように、半導体積層体12は、基板11の上面である一方の主面上に、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pが積層されている。
半導体積層体12には、p型半導体層12p及び活性層12aが部分的に存在しない領域、つまりn型半導体層12nが半導体積層体12の上面側に露出した領域である露出部12bを有する。露出部12bにはn側電極13が設けられ、n型半導体層12nと電気的に接続されている。なお、露出部12bは、n側電極13及び絶縁膜16で被覆されているが、便宜的に「露出部」と呼ぶ。
p型半導体層12pの上面の略全面には、良好な導電性と光反射性とを有する全面電極14が設けられている。また、半導体積層体12の表面は、直接又は全面電極14を介して、露出部12bの上面の一部及び全面電極14の上面の一部を除き絶縁膜16によって被覆されている。
【0018】
半導体積層体12(n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12p)は、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で表される窒化物半導体を好適に用いることができる。また、これらの半導体層は、それぞれが単層構造でもよいが、組成及び膜厚などの異なる層の積層構造としてもよく、一部に超格子構造を有するものなどであってもよい。特に、活性層12aは、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸又は多重量子井戸構造であることが好ましい。
【0019】
全面電極14は、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように設けられる。全面電極14は、上面の一部に設けられたp側電極15を介して供給される電流を、p型半導体層12pの全面に拡散させるための導体層である。また、全面電極14は良好な光反射性を有し、発光素子1が発光する光を、光取り出し面である下方向(
図1Bにおいては上方向)に反射させる反射膜としても機能する。
【0020】
全面電極14は、良好な導電性と反射性とを有する金属材料を用いることができる。特に可視光領域で良好な反射性を有する金属材料としては、Ag、Al又はこれらの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。また、全面電極14は、これらの金属材料を単層で、又は積層したものが利用できる。特に全面電極14の下層(p型半導体層12p側)としてマイグレーションしやすいAgを用いる場合には、上層として、例えば、Al、Ti、W、Auなどのような良好な導電性とバリア性とを有する金属材料を用いて、当該下層を被覆することが好ましい。
【0021】
n側電極13は、半導体積層体12の露出部12bの上面において、絶縁膜16の開口部16n内でn型半導体層12nと電気的に接続されるように設けられている。また、p側電極15は、全面電極14の上面において、絶縁膜16の開口部16p内で全面電極14と電気的に接続されるように設けられている。
また、n側電極13及びp側電極15は、絶縁膜16を介して、全面電極14上の広範囲に延在するように設けられている。
【0022】
n側電極13及びp側電極15としては、金属材料を用いることができ、例えば、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Cu、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、Wなどの単体金属又はこれらの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。また、n側電極13及びp側電極15は、これらの金属材料を単層で、又は積層したものを利用することができる。
【0023】
絶縁膜16は、半導体積層体12及び全面電極14の上面及び側面を被覆する膜である。絶縁膜16は、露出部12bの底面の一部に開口部16nを有し、全面電極14の上面の一部に開口部16pを有している。また、絶縁膜16の上面の広範囲には、n側電極13及びp側電極15が相補的に延在するように設けられている。絶縁膜16としては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3などの酸化物、Si
3N
4などの窒化物、MgF
2などのフッ化物を好適に用いることができる。
【0024】
また、発光素子1は、電極形成面側に樹脂などの支持層を設け、更にn側電極13及びp側電極15上に金属バンプ、ポスト電極などの外部接続用の金属端子を設けた、CSP(Chip Size Package又はChip Scale Package)型の発光素子であることが好ましい。これによって、発光装置を小型化することができる。また、前記したように、発光素子1は、基板11を有さない構成であってもよい。
【0025】
図1に戻って、発光装置100の構成について説明を続ける。
遮光性部材2は、第2透光性部材4を介して発光素子1の側面を囲み、上面が発光素子1の上面である光取り出し面1aよりも高くなるように設けられている。そのため、遮光性部材2の上部を側壁とし、発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面を底面とする、略正四角柱形状の凹部2aが形成されている。この凹部2a内には、第1透光性部材3が設けられている。言い換えれば、遮光性部材2は、第2透光性部材4の側面及び第1透光性部材3の側面を被覆するように設けられている。
遮光性部材2は、光を透過せずに遮光する部材であり、光を反射することで遮光する光反射性材料、又は、光を吸収することで遮光する光吸収性材料を用いることができる。
【0026】
遮光性部材2に光反射性材料を用いる場合は、遮光性部材2は、発光素子1の側面から出射して、第2透光性部材4を伝播する光を光取り出し方向である上方向に反射させるとともに、第1透光性部材3の側面から出射する光を第1透光性部材3内に戻すように機能する。これによって、発光装置100の上面の発光輝度を向上させることができる。
また、遮光性部材2に光吸収性材料を用いる場合は、遮光性部材2は、発光素子1の側面から出射して、第2透光性部材4を透過して遮光性部材2に入射する光を吸収する。このため、発光装置100の上面のみから光を出射させることができる。
【0027】
また、光反射性材料又は光吸収性材料の何れを遮光性部材2に用いる場合であっても、この遮光性部材2を設けることで、発光装置100からの光の出射が第1透光性部材3の上面に限定されるため、発光領域と非発光領域とのコントラストが高い、「見切り性」の良好な発光装置100とすることができる。
【0028】
見切り性の良好な発光装置を、バックライト装置や照明装置などに用いると、以下のような利点がある。
導光板を用いた端面入光型バックライト装置にこのような発光装置を用いる場合には、発光装置100の正面輝度が高くなるため、導光板の端面からの入光効率が高くなり、バックライト照明光として利用される光の効率を高めることができる。
また、導光板を用いない直下型バックライト装置にこのような発光装置を用いる場合には、発光装置100の発光面積を小さくできるため、二次レンズを用いた配光制御が容易になる。そのため、バックライト照明光の輝度ムラや色ムラを低減することができる。
また、一般的な照明装置にこのような発光装置を用いる場合には、発光装置100の発光面積を小さくできるため、レンズを用いた配光制御が容易になる。このため、複数の発光装置100を狭ピッチで実装したときに、発光装置100が発する光が、隣接する発光装置100に照射されて、吸収されたり、遮光されたりすることが低減される。すなわち、発光装置100が発する光が、隣接する発光装置100の影響を受け難くなる。その結果、照明装置の光の利用効率が、発光装置100の外形を構成する遮光性部材2の基材の光反射率の影響を受け難いため、当該基材の材料の選択肢を広げることができる。
【0029】
なお、本実施形態の発光装置は、第2透光性部材4を省略してもよい。その場合は、遮光性部材2は、発光素子1の側面に接して設けられる。ここで、光反射性材料を用いて遮光性部材2を構成したときは、発光素子1と遮光性部材2との界面で反射された光は、発光素子1内に戻され、発光素子1内を伝播して光取り出し面1aから外部に取り出される。また、光吸収性材料を用いて遮光性部材2を構成したときは、発光素子1と遮光性部材2との界面に入射した光は、一部は界面で反射されるが、他の部分は遮光性部材2に吸収されて外部に取り出されない。
【0030】
光反射性材料としては、良好な透光性及び絶縁性を有する樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させて光反射性を付与された樹脂材料を用いることができる。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを好適に用いることができる。また、光反射性物質としては、例えば、TiO
2,Al
2O
3,ZrO
2,MgOなどを好適に用いることができる。
また、光吸収性材料としては、前記した光反射性材料と同様の樹脂に、光吸収性物質の粒子を含有させて光吸収性を付与された材料を用いることができる。光吸収性物質としては、黒色顔料を用いることができ、カーボンブラックやグラファイトなどの炭素系顔料を好適に用いることができる。
【0031】
遮光性部材2は、光反射性物質を含有することで光反射性を付与された樹脂材料、又は光吸収性物質を含有することで光吸収性を付与された樹脂材料を用いて、金型を用いたトランスファーモールド法、射出成形法、圧縮成形法などの成形法、スクリーン印刷法などの塗布法などによって形成することができる。
遮光性部材2に光反射性材料を用いる場合は、発光素子1からの光を効率的に外部に取り出すことができる。また、遮光性部材2に光吸収性材料を用いる場合は、樹脂の成形性に優れるため、発光装置100の信頼性を高めることができる。
【0032】
第1透光性部材3は、凹部2a内に設けられ、発光素子1の光取り出し面1aである上面側と、第2透光性部材4の上面とを連続して被覆するように設けられている。また、第1透光性部材3の側面は、遮光性部材2によって被覆されている。
第1透光性部材3としては、例えば、透光性を有する樹脂に、発光素子1が発する光を異なる波長の光に変換する波長変換物質を含有させた波長変換部材を用いることができる。また、第1透光性部材3として、透光性を有する樹脂に、発光素子1及び第2透光性部材4の上面から出射される光を拡散する光拡散性物質を含有させた光拡散部材を用いることもできる。また、第1透光性部材3として、単に透光性を有する樹脂を用いて、発光素子1を保護するようにしてもよい。
【0033】
波長変換物質である蛍光体材料としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、緑〜黄色に発光するセリウムで賦活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑色に発光するセリウムで賦活されたLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑〜赤色に発光するユーロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、青〜赤色に発光するユーロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、緑色に発光するβサイアロン蛍光体、赤色に発光するCASN系又はSCASN系蛍光体などの窒化物系蛍光体、赤色に発光するKSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体、緑色又は赤色に発光する硫化物系蛍光体などが挙げられる。
【0034】
また、光拡散性物質としては、前記した光反射性物質と同様の材料を用いることができる。
更にまた、透光性を有する樹脂に、複数種類の波長変換物質や光拡散性物質などを混在させた材料を用いて第1透光性部材3を形成してもよい。
【0035】
第1透光性部材3は、凹部2a内に、前記した波長変換物質や光拡散性物質などの各種機能を付与するための粒子を含有した樹脂材料を充填することで形成される。なお、前記した粒子を含有しない樹脂材料を用いてもよい。
第1透光性部材3の形成方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ポッティング法(滴下法)などの塗布法や、射出成形法、トランスファーモールド法、圧縮成形法などの金型を用いた成型法などを用いることができる。
【0036】
また、波長変換物質などの機能性物質には、例えば、KSF蛍光体のように脆いものがある。このような脆い蛍光体の粒子を用いる場合は、スプレー法のように塗布時に蛍光体の粒子に衝撃が加えられる手法や、スクリーン印刷法のように蛍光体の粒子に圧力が加えられる手法を用いると、蛍光体の粒子が損傷する恐れがある。
そのため、脆い粒子を含有する樹脂材料を用いて第1透光性部材3を形成する場合は、ポッティング法を用いることが好ましい。ポッティング法によれば、蛍光体の粒子を含有するスラリーを塗布する際に、当該蛍光体の粒子に大きな衝撃や圧力が加わり難いため、蛍光体の粒子を損傷する恐れを大きく低減することができる。
【0037】
また、本実施形態では、第1透光性部材3は、遮光性部材2によって区画された凹部2a内に設けられる。このため、ポッティング法によってスラリーや液状の樹脂を塗布する場合においても、配置位置の精度や形状精度を良好に、第1透光性部材3を形成することができる。
【0038】
第2透光性部材4は、発光素子1の少なくとも側面に接して、平面視で発光素子1の外周を取り囲むように設けられる。第2透光性部材4は、発光素子1の側面から出射する光を、光取り出し方向である上方向に導くための導光部材として機能する。
第2透光性部材4は、平面視で発光素子1の側面の全領域ではなく、その一部に設けるようにしてもよい。また、第2透光性部材4は、発光素子1の側面に、厚さ方向の全領域ではなく、少なくとも光取り出し面1aの近傍を含む一部の領域に設けるようにしてもよい。このように構成することで、発光素子1の上面側の光取り出し面1aが第2透光性部材4によって拡張され、発光装置100からの光取り出し効率を向上させることができる。
【0039】
また、第2透光性部材4の形状は、本実施形態のように、発光素子1の厚さ方向について光取り出し面方向である上方ほど、平面視の形状が大きくなるように傾斜した外側面を有することが好ましい。また、第2透光性部材4の外側面は、本実施形態のように、その断面形状が直線となるように平面で構成されるものでもよく、下に凸状に、又は上に凸状に湾曲した外側面としてもよい。このような形状の第2透光性部材4を設けることで、発光素子1の側面から出射する光を第2透光性部材4の外側面で上方に反射させて、より効率的に外部に取り出すことができる。
【0040】
また、第2透光性部材4の外側面は、遮光性部材2によって被覆されており、第2透光性部材4の上面は、第1透光性部材3によって発光素子1の上面から連続して被覆されている。第2透光性部材4の上面から出射する光は、第1透光性部材3を通って外部に取り出される。
【0041】
第2透光性部材4は、良好な透光性を有する樹脂やガラスなどの材料で形成することができる。また、第2透光性部材4は、遮光性部材2に用いられる樹脂材料よりも屈折率の高い材料を用いて形成することが好ましい。第2透光性部材4を遮光性部材2の樹脂材料よりも屈折率の高い材料で構成することにより、スネルの法則に基づき、遮光性部材2との界面である外側面で光を効率的に反射させることができる。
また、第2透光性部材4は、液状又はペースト状の樹脂材料を、例えば、ディスペンサを用いて発光素子1の側面に供給し、その後に硬化させることで形成することができる。
【0042】
[発光装置の動作]
次に、第1実施形態に係る発光装置100の動作について、
図1A、
図1Bを参照して説明する。
本実施形態において、発光素子1は青色光を発光し、第1透光性部材3は青色光を吸収して黄色光を発光する蛍光体(波長変換物質)の粒子を含有しているものである。
【0043】
発光装置100は、外部電源からn側電極13及びp側電極15間に電流が供給されると、発光素子1が青色光を発光する。
発光素子1が発光した青色光は、その一部は、発光素子1の半導体積層体12及び基板11内を伝播して、発光素子1の上面である光取り出し面1aから第1透光性部材3に入射する。また、発光素子1内を横方向に伝播する光の一部は、第2透光性部材4に入射し、更に遮光性部材2によって反射され、拡張された光取り出し面である第2透光性部材4の上面から第1透光性部材3に入射する。第2透光性部材4を設けることで、発光素子1からの光取り出し効率を向上させることができる。また、発光素子1内を下方向に伝播する光は、全面電極14などによって上方に反射され、光取り出し面1aから第1透光性部材3に入射する。
なお、遮光性部材2に光吸収性材料を用いる場合は、第2透光性部材4と遮光性部材2との界面では、光の一部は反射されるが、他の部分は遮光性部材2に吸収される。
【0044】
第1透光性部材3に入射した青色光の一部は、第1透光性部材3に含有される蛍光体に吸収され、黄色光に波長変換されて発光装置100の外部に取り出される。また、第1透光性部材3に入射した青色光の他の少なくとも一部は、蛍光体に吸収されることなく青色光のまま発光装置100の外部に取り出される。そして発光装置100からは、白色光が外部に取り出される。
【0045】
なお、第1透光性部材3に蛍光体を含有させないことで、発光素子1が発した光を、波長変換せずに発光装置100から外部に取り出すことができる。また、第1透光性部材3に多量の蛍光体を含有させることで、発光素子1が発した光の全てを、その光の波長とは異なる波長に変換して発光装置100から外部に取り出すこともできる。
【0046】
[発光装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、
図3〜
図4Iを参照して説明する。
発光装置100の製造方法は、発光素子準備工程S101と、溶解性部材配置工程S102と、発光素子配置工程S103と、第2透光性部材形成工程S104と、溶解性部材成形工程S105と、遮光性部材形成工程S106と、転写工程S107と、溶解性部材除去工程S108と、第1透光性部材形成工程S109と、個片化工程S110と、を含んでいる。
【0047】
まず、発光素子準備工程S101において、例えば、
図2に示した構成の、個片化された発光素子1を準備する。以下に、発光素子1を製造する工程例について説明するが、市販の発光素子1を入手することで当該発光素子準備工程S101としてもよい。
【0048】
具体的には、まず、サファイアなどからなる基板11上に、前記した半導体材料を用いて、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pを順次積層した半導体積層体12を形成する。その後、半導体積層体12の上面の一部の領域について、p型半導体層12p及び活性層12aの全部、並びにn型半導体層12nの一部をエッチングにより除去してn型半導体層12nが上面側に露出した露出部12bを形成する。
【0049】
次に、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように、光反射性を有する全面電極14を形成する。
次に、n側電極13とn型半導体層12nとが接続される領域、及びp側電極15と全面電極14とが接続される領域に、開口部16n,16pを有するように、ウエハの表面に、SiO
2などで絶縁膜16を形成する。
次に、開口部16nから絶縁膜16の上面にかけて延在するように、パッド電極であるn側電極13を形成する。また、開口部16pから絶縁膜16の上面にかけて延在するように、パッド電極であるp側電極15を形成する。
【0050】
以上により、ウエハ状態の発光素子1が形成される。
次に、ダイシング法、スクライブ法などにより、ウエハ状態の発光素子1を所定の分割領域で割断することにより個片化された発光素子1を作製することができる。
なお、ウエハを割断する前に、基板11の裏面を研磨して薄肉化したり、基板11を除去したり、前記した金属バンプやポスト電極を形成したりしてもよい。
【0051】
次に、溶解性部材配置工程S102において、
図4Aに示すように、シート状ないし板状の支持部材71上に、溶解性部材5を配置する。溶解性部材5は、所定の溶剤に溶解する溶解性材料を用いてフィルム状に形成された部材である。
なお、支持部材71は、樹脂、金属、セラミックスなどを用いることができる。後工程である溶解性部材除去工程S108において支持部材71が用いられる場合には、溶解性部材5を溶解させるための所定の溶剤に溶解しない材料が用いられる。また、支持部材71は、後工程である転写工程S107で容易にウエハから剥離できるように、可撓性を有することが好ましい。
【0052】
溶解性材料としては、所定の溶剤によって溶解するものが用いられる。詳細は後記するが、遮光性部材2として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などが好適に用いられる。所定の溶剤としては、このような遮光性部材2に用いられる材料を溶解しない溶剤が用いられる。
所定の溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系の有機溶剤、水、温水、アルカリ性水溶液などの水系の溶剤を挙げることができる。
【0053】
ケトン系の溶剤に溶解する溶解性材料としては、(A)ガラス転移点(Tg)が40〜80℃で、エポキシ樹脂と反応する官能基を有するアクリル樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)フェノール樹脂、及び、(D)テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートからなる樹脂フィルムを挙げることができる。
ここで、前記(A)アクリル樹脂が、前記エポキシ樹脂と反応する官能基として水酸基を有し、前記(B)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂および脂肪族型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記(B)エポキシ樹脂の含有量が、前記(A)アクリル樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であり、前記(C)フェノール樹脂が、テルペンフェノール樹脂、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記(C)フェノール樹脂の含有量が、前記(A)アクリル樹脂100質量部に対して、10〜35質量部である。
なお、この溶解性材料については、例えば、特許第4944269号公報に詳しいため、詳細な説明は省略する。
【0054】
また、水又は温水に溶解する溶解性材料としては、ポリビニルアルコールや水溶性ポリエステル、オブラート(デンプン)などを挙げることができる。
また、アルカリ性水溶液に溶解する溶解性材料としては、例えば、半導体製造に用いられる、ノボラック樹脂系やポリヒドロキシスチレン系などのポジ型フォトレジスト材料を挙げることができる。
【0055】
溶解性部材5は、前記した溶解性材料からなるフィルムを支持部材71の上面に、例えば、ラミネーターを用いて貼付したり、透光性を有する樹脂を接着剤として用いて貼付することで配置してもよく、溶解性材料を溶融又は溶剤に溶解した状態で支持部材71の上面に塗布することで配置してもよい。
また、溶解性部材5は、第1透光性部材3の厚さに相当する膜厚で形成される。従って、溶解性部材5の膜厚は、第1透光性部材3に要求される機能に応じて定められ、例えば、数μmから数百μm程度とすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、複数の発光装置100を同時に製造するものとするが、1個ずつ独立して製造するものであってもよい。また、
図4A〜
図4Iにおいて、個々の発光装置100の領域を区画する仮想線である境界線91を破線で示している。後記する
図5A及び
図5B、並びに
図9A〜
図9Jも同様である。
【0057】
次に、発光素子配置工程(溶解性部材を設ける工程)S103において、
図4Bに示すように、フィルム状の溶解性部材5上に、n側電極13及びp側電極15が設けられた電極形成面を上向きに発光素子1を配置する。このとき、発光素子1は、光取り出し面1aが溶解性部材5と密着するように配置される。言い換えれば、
図1Aに示したように、発光素子1の光取り出し面1aが上面となるように配置した場合に、発光素子1の上面側(
図4Bでは下面)に、溶解性部材5が設けられる。
発光素子1は、例えば、透光性を有する樹脂を接着剤とし、ダイボンダーを用いて、溶解性部材5に接着させることで配置することができる。
なお、本実施形態では、複数の発光装置100を同時に製造するため、複数の発光素子1が、側面が露出するように互いに所定の間隔を開けて配置される。
【0058】
次に、第2透光性部材形成工程(第2透光性部材を形成する工程)S104において、
図4Cに示すように、透光性を有する樹脂材料を、ディスペンサなどを用いて発光素子1の側面に接するように供給し、その後に樹脂材料を硬化させることで、樹脂フィレットである第2透光性部材4を形成する。
第2透光性部材4は、外側面が、平面視で光取り出し面1aの方向(
図4Cにおいて下方)ほど外側となるように傾斜した傾斜面とすることが好ましい。このような形状は、発光素子1の基板11の側面と溶解性部材5の上面とが成す角部に、適切な粘度を有する樹脂材料を供給し、発光素子1の基板11の側面及び溶解性部材5の上面に供給された樹脂材料に作用する表面張力及び重力により下方ほど広がった形状となった状態で硬化させることにより形成することができる。
【0059】
また、本実施形態では、発光素子1を、平坦面である溶解性部材5上に電極が形成された面を上にして配置した後に、第2透光性部材4を当該溶解性部材5に接するように形成するため、発光素子1の光取り出し面1a(
図4Cにおいて下面)と、第2透光性部材4によって拡張される光取り出し面(
図4Cにおいて下面)とが、連続した同一平面となるように形成される。
【0060】
なお、第2透光性部材4の外側面は、光取り出し面1aに対して垂直な面であってもよい。また、第2透光性部材4は、発光素子1の透光性を有する部位である基板11及び半導体積層体12の側面の略全領域を被覆するように設けることが好ましいが、一部の領域に設けるようにしてもよい。
【0061】
また、第2透光性部材4は、金型を用いて外側面の形状を成型するようにしてもよい。また、マスキングテープなどを用いて、第2透光性部材4を形成する領域の外縁を囲むように枠を設け、当該枠と発光素子1の側面との間の空間に液状の樹脂材料を充填し、硬化させることで第2透光性部材4を形成してもよい。
更にまた、第2透光性部材4は、金型や枠を用いずに、液状の樹脂材料を発光素子1の側面にスプレー装置やディスペンサなどを用いて供給し、硬化させることで形成してもよい。
なお、第2透光性部材4には、後記する溶解性部材5を溶解させるための所定の溶剤に溶解しない材料が用いられる。
【0062】
次に、溶解性部材成形工程S105において、
図4Dに示すように、例えば、ダイサー81を用いて、境界線91に沿った所定幅の領域に設けられている溶解性部材5を除去することで、溶解性部材5を所定の形状にパターニングする。このとき、第2透光性部材4が境界線91まで又はその近傍まで広がっている場合は、第2透光性部材4の不要部分も除去されることで成形される。また、第2透光性部材4が繋がって形成されている場合は、対応する発光素子1ごとに分離される。本実施形態のように、フィルム状の溶解性部材5の上に複数の発光素子1を配置した後に溶解性部材5を分離して、所定の形状にパターニングすることで、量産性を向上させることができる。
なお、溶解性部材5のパターニングは、発光素子1のサイズや配置間隔、後記する遮光性部材2の厚みなどに応じて行うことができる。溶解性部材5を切断する際には、溶解性部材5の除去したい部分の幅の切断幅を有するダイサー81を用いることができる。
【0063】
また、溶解性部材5が、感光性を有するフォトレジスト材料で形成されている場合は、フォトリソグラフィ法によってパターニングを行ってもよい。
また、溶解性部材配置工程S102において、フィルム状の溶解性材料を裁断するなどして、予め所定の形状に形成された溶解性部材5を、支持部材71の所定の位置に配置するようにしてもよい。この場合は、溶解性部材成形工程S105を省略することができる。
【0064】
溶解性部材5の平面視における形状は、発光装置100の凹部の平面視における形状によって適宜選択される。例えば、矩形、六角形をはじめとする多角形、円形、楕円形などが挙げられる。中でも、発光素子1の平面視における形状よりも一回り大きい略同じ形状であることが好ましい。また、溶解性部材5の平面視における形状は、第2透光性部材4の発光素子1の光取り出し面1aの周囲における外形よりも一回り大きく(例えば、長さ比で1.01倍〜1.5倍程度大きい)、略同じ形状であることが好ましい。これによって、発光装置100の小型化を実現することができる。
【0065】
次に、遮光性部材形成工程(遮光性部材を形成する工程)S106において、
図4Eに示すように、溶解性部材5の側面及び第2透光性部材4の側面を被覆するように、遮光性部材2を形成する。遮光性部材2は、光反射性を付与された白色樹脂又は光吸収性を付与された黒色樹脂を用いて、例えば、トランスファーモールド法などによって形成することができる。
なお、遮光性部材2が、発光素子1のn側電極13及びp側電極15の上面が被覆される高さまで形成される場合は、n側電極13及びp側電極15の上面を露出させるために、遮光性部材2を上面側から研削する工程が行われてもよい。
【0066】
次に、転写工程S107において、
図4Fに示すように、支持部材71から支持部材72に溶解性部材5、第2透光性部材4,発光素子1及び遮光性部材2を転写する。具体的には、
図4Eに示した状態の上面側、すなわち発光素子1の電極形成面側に新たな支持部材72を貼付する。その後、支持部材71を剥離することで、支持部材72への転写を行うことができる。転写工程S107を行うことによって、溶解性部材5が露出する。
また、支持部材72は、支持部材71と同様のシート状ないし板状のものを用いることができるが、支持部材72として、発光素子1を実装する実装基板を用いることもできる。この場合は、各発光素子1が、支持部材72である実装基板にフリップチップ実装される。
【0067】
次に、溶解性部材除去工程(凹部を形成する工程)S108において、
図4Gに示すように、溶解性部材5を、その材料に対応する所定の溶剤を用いて溶解させて除去する。これによって、発光素子1の光取り出し面1aである上面及び拡張された光取り出し面である第2透光性部材4の上面を底面とし、遮光性部材2を内側面とする凹部2aが形成される。
【0068】
次に、第1透光性部材形成工程(第1透光性部材を形成する工程)S109において、
図4Hに示すように、ディスペンサ82を用いて、凹部2a内に透光性を有する樹脂材料を充填し、その後に当該樹脂材料を硬化させることで第1透光性部材3を形成する。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0069】
充填される樹脂材料が蛍光体などの固形粒子を含有するスラリーである場合は、ポッティング法を用いることで、当該スラリーに含まれる固形粒子に大きな衝撃や圧力を加えることなく、凹部2a内に滴下して充填することができる。従って、前記したKSFのような脆い固形粒子を含有する第1透光性部材3に損傷を与えることなく、第1透光性部材3を良好な信頼性で形成することができる。また、第1透光性部材3が形成される領域は凹部2aによって区画されているため、ポッティング法を用いても、形状精度よく第1透光性部材3を形成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、凹部2aの形状、すなわち第1透光性部材3の形状が、溶解性部材5の形状によって精度よく定められる。このため、第1透光性部材3を先に形成した後に、その側面に遮光性部材2を設ける製造方法と比べて、第1透光性部材3の外縁を精度よく形成することができる。このため、より容易に見切り性の良好な発光装置100を製造することができる。
【0071】
なお、第1透光性部材3の樹脂材料を硬化させた後で、発光装置100の上面を研削する工程を行うことで、第1透光性部材3の上面を平坦化して膜厚が均一になるようしてもよい。
また、凹部2a内に滴下するスラリーにおいて、蛍光体の粒子の比重が樹脂の比重よりも大きくなるように樹脂を選択し、スラリーを滴下後に、蛍光体の粒子を沈降させてから樹脂を硬化させるようにしてもよい。これによって、蛍光体の粒子を十分な厚さの樹脂層で被覆することができるため、当該蛍光体の粒子を外気中の水分やガスなどから良好に保護することができる。そのため、特に、KSF蛍光体や量子ドット蛍光体を用いる場合、本実施形態の構成を好ましく適用することができる。
【0072】
次に、個片化工程S110において、例えば、ダイサー83を用いて、境界線91に沿って所定幅で切断することで、発光装置100を個片化する。ここで、発光装置100の個片化には、発光装置100の外形や配置間隔などに応じた切断幅を有するダイサー83が用いられる。
その後、発光装置100を支持部材72から剥離することで、個片化された発光装置100を得ることができる。
また、支持部材72が発光素子1を実装する実装基板である場合は、支持部材72もダイサー83によって切断することで、実装基板を備えた発光装置100を個片化してもよい。
【0073】
<変形例1>
次に、第2透光性部材4を形成する工程の変形例について、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。
本変形例において、第2透光性部材4は、発光素子配置工程S103において、発光素子1を配置する際に形成される。従って、別途の第2透光性部材形成工程S104を省略することができる。
【0074】
まず、
図5Aに示すように、溶解性部材5上の発光素子1が配置される領域に、第2透光性部材4と接着剤とを兼ねるように、適量の透光性樹脂を配置する。ここで、適量とは、発光素子1を溶解性部材5に接着させるだけでなく、接着剤である透光性樹脂が平面視で発光素子1の外側にはみ出て、発光素子1の側面を被覆できる量である。
そして、ダイボンダーなどを用いて、光取り出し面1aが下向きとして、液状の透光性樹脂上に加圧するように配置する。
これによって、
図5Bに示すように、発光素子1の下面が透光性樹脂によって接着されるとともに、余剰の透光性樹脂が外側にはみ出して発光素子1の側面を被覆するように設けられる。従って、本変形例によって形成される第2透光性部材4は、発光素子1の下面と側面とを一体的に被覆するように設けられる。
また、発光素子1を加圧力を加減することで、発光素子1の下面側の透光性樹脂の厚さを調整することもできる。
なお、本変形例において、その他の工程は、
図3に示した手順で各工程が行われる。
【0075】
<変形例2>
次に、溶解性部材5を成形する工程の変形例について、
図6A〜
図6Dを参照して説明する。
図6A〜
図6Dの各図において、左図は、溶解性部材成形工程で形成される溶解性部材5を示し、右図は、当該成形された溶解性部材5を用いて形成される第1透光性部材3を備える発光装置100A〜100Dを示している。また、右図において、破線で囲まれた領域には、遮光性部材形成工程において遮光性部材2が形成される。
【0076】
溶解性部材5の側面は、発光素子1の上面に対して略垂直であってもよいが、
図6A〜
図6Dに示す変形例のように、傾斜していてもよい。
特に、
図6Aに示すように、発光素子1から遠い側に向かって広がるように溶解性部材5の側面を傾斜することが好ましい。これによって、溶解性部材5を溶解させることにより形成される凹部2aの形状を、発光素子1から遠い側に向かって広がるように傾斜するものとすることができる。これによって、第1透光性部材3が当該溶解性部材5と同じ形状で形成されるため、発光装置100の光取り出し効率を高めることができる。
このような溶解性部材5の傾斜する側面は、どのような方法で形成されてもよい。例えば、前記したダイサー81に代えて、刃の形状に傾斜面を備えるダイサー81Aを用いることにより、溶解性部材5の切断と同時に容易に形成することができる。
【0077】
また、溶解性部材5の側面は、
図6Bに示す例のように、厚さ方向の一部が傾斜するようにしてもよい。このような形状は、例えば、ダイサー81Aを用いて、溶解性部材5の厚さ方向の途中までの深さの溝を掘ることで形成することができる。
また、
図6Cに示す例のように、溶解性部材5の側面の厚さ方向の一部を発光素子1から遠い側に向かって狭まるように傾斜するようにしてもよい。このような形状は、例えば、
図6Aに示した例と同様に、ダイサー81Aを用いて、フィルム状の溶解性部材5に、略膜厚と同じ深さの溝を掘り、裏返して支持部材71に載置して用いるようにすればよい。
また、
図6Dに示す例のように、溶解性部材5の側面の厚さ方向の中間部分が突出するように傾斜するようにしてもよい。このような形状は、次のようにして形成することができる。例えば、まず
図6Bに示した例と同様に、ダイサー81Aを用いて、フィルム状の溶解性部材5に、厚さ方向の途中までの深さの溝を掘る。そして、裏返して支持部材71に載置して、ダイサー81Aを用いて、反対側の面から厚さ方向の途中までの深さの溝を掘ることで形成することができる。
図6A〜
図6Dに示すように、側面に種々の形状の傾斜を設けた溶解性部材5を用いることで、当該溶解性部材5と同じ形状の第1透光性部材3を備える発光装置100A〜100Dを製造することができる。
【0078】
<第2実施形態>
[発光装置の構成]
第2実施形態に係る発光装置の構成について、
図7A及び
図7Bを参照して説明する。
本実施形態に係る発光装置100Eは、平面視で横長の略長方形であり、略直方体の外形形状を有している。本実施形態に係る発光装置100Eは、第1実施形態に係る発光装置100とは、発光素子1の平面視形状が異なり、遮光性部材2に代えて、遮光性部材2Eを備えていることが異なる。
発光装置100Eは、上面側が光取り出し面であり、発光素子1が発した光は、第1透光性部材3を介して外部に取り出される。また、発光装置100Eは、下面側が実装面であり、発光素子1の一対の電極であるn側電極13及びp側電極15の下面が接続用端子として露出している。
その他の構成は、外形形状の違いに伴う相違以外は概ね同様であるから、詳細な説明は適宜に省略する。
【0079】
なお、発光装置100Eにおける発光素子1の平面視での外形形状は、前記したように略長方形であるが、例えば、三角形、正方形やその他の四角形、六角形、八角形などの多角形、円形、楕円形などであってもよい。
また、本実施形態における第1透光性部材3は、平面視で発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面を包含し、これらが設けられた領域よりも広い領域に設けられているが、第1透光性部材3は、第1実施形態と同様に、平面視で発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面と同じ領域に配置されるものであってもよく、これらの領域よりも狭い領域に配置されるものであってもよい。
【0080】
本実施形態における遮光性部材2Eは、第1遮光性部材21と第2遮光性部材22とが積層された構造を有している。下層部である第1遮光性部材21は、第2透光性部材4の側面を被覆するように設けられ、上層部である第2遮光性部材22は、第1透光性部材3の側面を被覆するように設けられている。詳細は後記するが、第1遮光性部材21と第2遮光性部材22とは、それぞれ異なる工程で形成されるが、好ましくは同じ樹脂材料を用いて、一体化されるように形成される。
【0081】
本実施形態に係る発光装置100Eは、第1実施形態に係る発光装置100と同様に動作するため、動作についての詳細な説明は省略する。
【0082】
[発光装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る発光装置100Eの製造方法について、
図8〜
図9Jを参照して説明する。
発光装置100Eの製造方法は、発光素子準備工程S201と、第2透光性部材形成工程S202と、発光素子配置工程S203と、第1遮光性部材形成工程S204と、研削工程S205と、溶解性部材配置工程S206と、溶解性部材成形工程S207と、第2遮光性部材形成工程S208と、溶解性部材除去工程S209と、第1透光性部材形成工程S210と、個片化工程S211と、を含んでいる。
【0083】
発光素子準備工程S201は、第1実施形態における発光素子準備工程S101と同様にして行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
次に、第2透光性部材形成工程S202において、発光素子1の側面に、第2透光性部材4を形成する。この工程は、第1実施形態における発光素子配置工程S103及び第2透光性部材形成工程S104と同様にして行うことができる。すなわち、
図9Aに示すように、シート状又は板状の支持部材73上に、n側電極13及びp側電極15が設けられた電極形成面を上向きに発光素子1を配置し、その後に、発光素子1の側面を被覆するように、透光性を有する樹脂材料を用いて、第2透光性部材4を形成する。
なお、第2実施形態においても、複数の発光装置100Eを同時に製造するため、複数の発光素子1が、側面が露出するように互いに所定の間隔を開けて配置されるものとして説明する。
【0085】
また、配置された発光素子1が位置ずれしないように、上面に粘着性を有する支持部材73を用いるか、接着剤を用いて固定することが好ましい。また、粘着性を有する支持部材73に代えて、又は加えて、第1実施形態の変形例として
図5A及び
図5Bに示した手法と同様の手法によって、第2透光性部材4を形成するようにしてもよい。
また、支持部材73は、前記した支持部材71と同様のものを用いることができるが、第2透光性部材4を形成後に発光素子1から容易に剥離できるように、この支持部材73は可撓性を有するものが好ましい。
【0086】
次に、発光素子配置工程S203において、
図9Bに示すように、側面に第2透光性部材4が形成された発光素子1を、電極形成面を下向きとしたフリップチップ型で支持部材74上に配置する。このとき、第2透光性部材4付きの発光素子1を、第2透光性部材4の側面が露出するように、互いに所定の間隔を開けて配置する。
支持部材74は、前記した支持部材72と同様に、シート状ないし板状のものを用いることができる。また、支持部材74として、発光素子1を実装する実装基板を用いることもできる。この場合は、各発光素子1が、支持部材72である実装基板にフリップチップ型で実装される。
【0087】
また、支持部材74が実装基板でない場合は、配置された発光素子1が位置ずれしないように、上面に粘着性を有する支持部材74を用いることが好ましいが、これに代えて、例えば白色樹脂を接着剤としてダイボンダーを用いて、発光素子1を支持部材74と接着させることで配置してもよい。接着剤として用いる白色樹脂は、第1遮光性部材21と同じ樹脂材料を用いることが好ましい。これによって、第1遮光性部材21と接着剤とが一体化して発光素子1の下面及び側面を被覆する光反射膜を構成することができる。
また、支持部材74として実装基板を用いる場合は、光反射性物質の粒子を含有した異方性導電接着剤を用いて実装するようにしてもよい。
【0088】
また、第2透光性部材形成工程S202は、発光素子配置工程S203の後に行うようにしてもよい。すなわち、支持部材74上に発光素子1をフリップチップ型で配置し、その後に、発光素子1の側面に第2透光性部材4を形成するようにしてもよい。この場合、第2透光性部材4は、例えば透光性を有する樹脂を発光素子1の側面に塗布したり、金型やマスキングテープなどによる枠体を用いて透光性樹脂を充填することで成形したりしてもよい。
更にまた、第2透光性部材4を形成する工程は省略することができる。
【0089】
次に、第1遮光性部材形成工程(第1遮光性部材を形成する工程)S204において、
図9Cに示すように、発光素子1の側面を第2透光性部材4を介して被覆するように、第1遮光性部材21を形成する。第1遮光性部材21は、第1実施形態における遮光性部材2と同様に、白色樹脂又は黒色樹脂を用いて、例えば、トランスファーモールド法によって形成することができる。このとき、第1遮光性部材21は、発光素子1の上面である光取り出し面1a以上の高さとなるように形成される。
【0090】
次に、研削工程S205において、第1遮光性部材21を、上面側から
図9Cに示した研削線92の高さまで研削して除去する。ここで、研削線92の高さは、発光素子1の上面の高さである。これによって、
図9Dに示すように、発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面を露出させる。
なお、第1遮光性部材形成工程S204において、第1遮光性部材21を、上面が発光素子1の上面と同じ高さとなるように形成し、発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面が露出している場合は、研削工程S205を省略することができる。
【0091】
次に、溶解性部材配置工程(溶解性部材を設ける工程)S206において、
図9Eに示すように、発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面を含め、ウエハの上面全体を被覆するように、所定の膜厚の溶解性部材5を配置する。本実施形態における溶解性部材5は、第1実施形態の溶解性部材5と同様のものを用いることができ、第1実施形態の溶解性部材配置工程S102と同様の手法で配置することができる。
【0092】
次に、溶解性部材成形工程S207において、
図9Fに示すように、第1実施形態における溶解性部材成形工程S105と同様に、例えば、ダイサー84を用いて、境界線91に沿った所定幅の領域に設けられている溶解性部材5を除去することで、溶解性部材5を所定の形状にパターニングする。
なお、このときに、ダイサー84によって、第1遮光性部材21が、厚さ方向に一部又は全部が除去される深さまで切断してもよい。第1遮光性部材21の除去された部分は、第2遮光性部材形成工程S208において、第2遮光性部材22を形成するための白色樹脂又は黒色樹脂で充填することができる。
【0093】
また、溶解性部材5が感光性を有する場合は、フォトリソグラフィ法によって溶解性部材5をパターニングするようにしてもよい。
更にまた、溶解性部材配置工程S206において、予め所定の形状に形成された溶解性部材5を発光素子1の上面及び第2透光性部材4の上面に配置するようにしてもよく、この場合は、溶解性部材成形工程S207を省略することができる。
【0094】
次に、第2遮光性部材形成工程(第2遮光性部材を形成する工程)S208において、
図9Gに示すように、第1遮光性部材21の上面に、溶解性部材5の側面を被覆するように第2遮光性部材22を形成する。第2遮光性部材22は、第1遮光性部材21と同じ樹脂材料を用いることが好ましい。これによって、第1遮光性部材21と第2遮光性部材22とが良好に密着するため、実質的に一体化した遮光性部材2Eを形成することができる。
第2遮光性部材22は、例えば、トランスファーモールド法やスクリーン印刷法などによって形成することができる。
【0095】
なお、溶解性部材5の上面と第2遮光性部材22上面の高さが同じになるように、第2遮光性部材22を形成することが好ましい。これによって、凹部2aの深さの精度を、溶解性部材5の膜厚の精度で定めることができる。
また、第2遮光性部材22を、上面の高さが溶解性部材5と異なるように形成した後、上面側から研削して両者の高さに揃えるようにしてもよい。この場合は、研削加工の精度によって、凹部2aの深さの精度が定められることになる。
【0096】
次に、溶解性部材除去工程(凹部を形成する工程)S209において、
図9Hに示すように、溶解性部材を、その材料に対応する所定の溶剤を用いて溶解させて除去する。これによって、発光素子1の光取り出し面1aである上面及び拡張された光取り出し面である第2透光性部材4の上面を底面とし、第2遮光性部材22を内側面とする凹部2Eaが形成される。
【0097】
次に、第1透光性部材形成工程(第1透光性部材を形成する工程)S210において、
図9Iに示すように、第1実施形態における第1透光性部材形成工程S109と同様にして、凹部2Ea内に、第1透光性部材3を形成する。
【0098】
次に、個片化工程S211において、
図9Jに示すように、第1実施形態における個片化工程S110と同様にして、例えば、ダイサー85を用いて、境界線91に沿って所定幅で切断することで、発光装置100Eを個片化する。
その後、発光装置100Eを支持部材74から剥離することで、個片化された発光装置100Eを得ることができる。
また、支持部材74が発光素子1を実装する実装基板である場合は、支持部材74もダイサー86によって切断することで、実装基板を備えた発光装置100Eを個片化してもよい。
【0099】
以上、本発明に係る発光装置の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。