(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基体と、列方向に配列され、それぞれが行方向に複数のレンズ部を有する複数のレンズアレイと、前記基体上に配置された複数の半導体レーザ素子と、を備えた発光装置であって、
前記複数の半導体レーザ素子はレーザ光をそれぞれ出射し、
各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を前記複数のレンズ部の各光入射面において有し、
前記複数のレンズ部は、個々のレンズ部の最大外径と列方向の頂点間距離とのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離を有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有し、
前記基体と前記複数のレンズアレイとの間に封止部材を備え、
前記複数のレンズアレイは、前記レンズ部と前記レンズ部同士を接続する接続部とを備えるとともに、前記接続部において接着剤により前記封止部材に固定され、
前記接続部は開口部を有し、
前記複数のレンズアレイと前記封止部材との間の空間は、前記開口部により開放された開放空間であることを特徴とする発光装置。
基体と、列方向に配列され、それぞれが行方向に複数のレンズ部を有する複数のレンズアレイと、前記基体上に配置された複数の半導体レーザ素子と、を備えた発光装置であって、
前記複数の半導体レーザ素子はレーザ光をそれぞれ出射し、
各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を前記複数のレンズ部の各光入射面において有し、
前記複数のレンズ部は、個々のレンズ部の最大外径と列方向の頂点間距離とのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離を有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有し、
前記基体と前記複数のレンズアレイとの間に封止部材を備え、
前記複数のレンズアレイは、前記レンズ部と前記レンズ部同士を接続する接続部とを備えるとともに、前記接続部において接着剤により前記封止部材に固定され、
前記接続部は貫通孔を有し、
前記複数のレンズアレイと前記封止部材との間の空間は、前記貫通孔により開放された開放空間であることを特徴とする発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1に係る発光装置]
図1Aは実施形態1に係る発光装置の模式的平面図である。また、
図1Bは
図1A中のA−A断面図であり、
図1Cは
図1A中のB−B断面図であり、
図1Dは
図1A中のC−C断面図である。
図1Aにおいては、理解を容易にするため、最も左上のレンズ部下方に配置される半導体レーザ素子30等を透過的に示している。
図1Aから
図1Dに示すように、実施形態1に係る発光装置1は、基体10と、行列状に複数のレンズ部22を有するレンズアレイ20と、基体10上に配置された複数の半導体レーザ素子30と、を備えた発光装置であって、複数の半導体レーザ素子30はレーザ光をそれぞれ出射し、各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を複数のレンズ部22の各光入射面LAにおいて有し、複数のレンズ部22は、個々のレンズ部22の最大外径Eと列方向の頂点間距離PYとのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離PXを有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有する発光装置である。以下、順に説明する。
【0009】
(基体10)
図2Aは基体の模式的平面図である。また、
図2Bは
図2A中のD−D断面図であり、
図2Cは
図2A中のE−E断面図である。
図2Aから
図2Cに示すように、基体10は、例えば、基部12と、基部12から突出する側壁14と、基部12と側壁14とにより形成される凹部10aと、を有する。基部12は凸部12aを有し、凸部12aは凹部10a内に形成されている。このような凸部12aを有する基部12を用いれば、基体10が凹部10aを有することにより生じ得る基部12の反り(この反りは特に基部12と側壁14とが異なる材料からなる場合に生じやすい。)を抑制することができるため、基部12に対する半導体レーザ素子30等の実装が容易となる。また、凸部12a上に半導体レーザ素子30などの部材を配置することにより、これらの部材をレンズアレイ20に近づけることができるため、レンズアレイ20(レンズ部22)の光入射面LAにおけるレーザ光の拡がりを抑制することも可能となる。なお、基体10、基部12、及び側壁14の形状や厚みは特に限定されるものではなく、例えば、基体10には、凹部10aを有する部材のほか、例えば平板状の部材(例:側壁14を有しておらず基部12のみからなる部材)を用いることもできる。
【0010】
基体10(基部12、側壁14)には例えば鉄、鉄合金、若しくは銅などの金属材料、AlN、SiC,若しくはSiNなどのセラミック材料、又はこれらの材料を組み合わせた材料を用いることができる。
【0011】
基体10には発光装置1を外部と電気的に接続するための配線90(例:リード)が設けられている。配線90は発光装置1の外周のいずれに設けられていてもよいが、基体10の上面又は側面に設けられることが好ましい。つまり、配線90は基体10の下面には設けられていないことが好ましい。このようにすれば、基体10の下面全面を実装面として利用することができるため、本開示のように熱源となる半導体レーザ素子30が1つの基体10に複数配置される場合においても熱引きの良好な発光装置を提供することができる。なお、基体10の側壁14に配線90を設ける場合は、側壁14の高さが一定以上必要となるため、側壁14に配線90を設けない場合よりも基部12上に配置される半導体レーザ素子30等がレンズアレイ20から離れて配置されることになる。しかるに、前述した凸部12aを有する基部12を用いれば、このような場合においても半導体レーザ素子30やミラー50などをレンズアレイ20(レンズ部22)に近づけて配置することが可能となる。
【0012】
(レンズアレイ20)
図3Aはレンズアレイの模式的平面図である。また、
図3Bは
図3A中のF−F断面図であり、
図3Cは
図3A中のG−G断面図であり、
図3Dは
図3A中のH−H断面図である。
図3Aから
図3Dに示すように、レンズアレイ20は複数のレンズ部22と接続部24を有している。各レンズ部22は光入射面LAと光出射面LBをそれぞれ有しており、各レンズ部22の光入射面LAに入射した各レーザ光は屈折され各レンズ部22の光出射面LBからそれぞれ出射される。接続部24は列方向(図
3A中のY方向)において隣り合うレンズ部22同士を接続する。なお、レンズアレイ20はレンズ部22だけで構成することもできる。この場合は、例えば、レンズ部22が接続部24を介さず互いに直接接続される。レンズアレイ20(レンズ部22や接続部24)はガラスや合成石英などの透光性を有する材料を用いて形成することができる。
【0013】
(複数のレンズ部22)
複数のレンズ部22はm行n列(m≧2、n≧1)の行列状に設けられる。複数のレンズ部22は、個々のレンズ部22の最大外径Eと列方向(図
3A中のY方向)の頂点間距離PYのいずれよりも小さい行方向(図
3A中のX方向)の頂点間距離PXを有する。このようにすれば、各レンズ部22が行方向(図
3A中のX方向)において連なって(連続して)形成されるため、行方向(図
3A中のX方向)においてレーザ光が出射されない空間の無駄を削減して、レンズアレイ20(ひいては発光装置1)の小型化を図ることができる。なお、「列方向の頂点間距離」とは列方向において隣り合うレンズ部の頂点間距離をいう。また、「行方向の頂点間距離」とは行方向において隣り合うレンズ部の頂点間距離をいう。また、「頂点」とは平面視におけるレンズ部の中心をいい、「最大外径」とは平面視におけるレンズ部の直径のうち最長のものをいう。
【0014】
列方向(図
3A中のY方向)の頂点間距離PYは、好ましくは1mm以上12mm以下、より好ましくは3mm以上9mm以下とすることができる。また、行方向(図
3A中のX方向)の頂点間距離PXは、好ましくは0.5mm以上9mm以下、より好ましくは2mm以上6mm以下とすることができる。頂点間距離PXや頂点間距離PYをこれらの下限値以上にすることで、隣り合う半導体レーザ素子30からのレーザ光が干渉し合うのを抑制することができる。また、頂点間距離PXや頂点間距離PYをこれらの上限値以下にすることで、より小型の発光装置を提供することができる。
【0015】
個々のレンズ部22の最大外径Eは、頂点間距離PXの好ましくは1倍以上2倍以下、より好ましくは1.25倍以上1.75倍以下とすることができる。最大外径Eをこれらの下限値以上にすることで、隣り合う半導体レーザ素子30からのレーザ光が干渉し合うのを抑制することができる。また、最大外径Eをこれらの上限値以下にすることでより小型の発光装置を提供することができる。
【0016】
個々のレンズ部22は行方向(図
3A中のX方向)と列方向(図
3A中のY方向)とにおいて同じ曲率を有する。すなわち、個々のレンズ部22は、レンズ部22の頂点を通る行方向(図
3A中のX方向)の断面において曲率RXの曲線を有するとともに、レンズ部22の頂点を通る列方向(図
3A中のY方向)の断面において曲率RXに等しい曲率RY(曲率RX=曲率RY)の曲線を有する。このようにすれば、レンズアレイ20が所定の向きから僅かに回転して実装された場合であっても、光源(半導体レーザ素子30。ミラー50を備える場合はミラー50。以下同じ。)とレンズ部22の位置関係に大きなずれが生じにくい。なお、個々のレンズ部22は、行方向(図
3A中のX方向)と列方向(図
3A中のY方向)だけではなく、各レンズ部22の頂点を通るすべての方向において同じ曲率を有すること、すなわち、各レンズ部22の頂点を通るすべての断面において同じ曲率の曲線を有することが好ましい。このようにすれば、より一層、光源とレンズ部22の位置関係に大きなずれが生じにくくなる。
【0017】
複数のレンズ部22は、特に限定されないが、好ましくは半導体レーザ素子30から入射するレーザ光を平行化(コリメート)できる形状を有することが好ましい。例えば、複数のレンズ部22は、それぞれ、少なくとも一部が非球面状曲面(例:光入射面LAが平面で光出射面LBが非球面状曲面)からなるものであることが好ましい。このようにすれば、半導体レーザ素子30からのレーザ光を光の強度分布を変化させずに平行化させることができる。
【0018】
複数のレンズ部22は、それぞれ、少なくとも一部周縁が平面視円弧状からなることが好ましい。このようにすれば、他の平面視形状からなる場合と比較して、レンズ部22に非球面状曲面をより多く設けることができるため、半導体レーザ素子30からのレーザ光を効率良くレンズ部22から出射させることができる。
【0019】
レンズアレイ20は、公知の方法により、基体10(基体10とレンズアレイ20との間に封止部材80を設ける場合は封止部材80)に固定することができる。例えば、基体10にレンズアレイ20を直接固定する場合は、接着固定やレーザ溶接、あるいは抵抗溶接等の方法により、レンズアレイ20と基体10とを固定することができる。レーザ溶接や抵抗溶接などにより固定する場合、レンズアレイ20中の少なくとも溶接加工される部位は金属材料により構成される。また、基体10とレンズアレイ20との間に封止部材80を設ける場合は、UV硬化性接着剤等の接着剤により、レンズアレイ20と封止部材80とを接着固定することができる。
【0020】
半導体レーザ素子30が配置された空間を密閉空間にするためには、基体10に蓋をする部材を溶接により固定するのが好ましい。しかしながら、溶接は位置ずれを生じさせやすい。このため、レンズアレイを基体に溶接で直接固定し、レンズアレイで基体に直接蓋をすると、レンズアレイが位置ずれし、半導体レーザ素子からの光をレンズ部に対し所定の態様(例:所定の広がり角、所定の位置関係)で入射させることができなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、レンズアレイ20とは別の部材である封止部材80を設けて、封止部材80により基体10に蓋をするものとする。このようにすれば、封止部材80を基体10に対し溶接により固定する一方で、レンズアレイ20を封止部材80に対しUV硬化性接着剤により固定することができるため、半導体レーザ素子30が配置された空間を封止部材80で密閉空間にしながら、レンズアレイ20の位置ずれを抑制することができる。
【0021】
(複数の半導体レーザ素子30)
図4Aは基体上に配置された半導体レーザ素子の模式的平面図である。また、
図4Bは
図4A中のI−I断面図であり、
図4Cは
図4A中のJ−J断面図であり、
図4Dは
図4C中の破線で囲んだ部分を拡大して示す図である。
図4Aから
図4Dに示すように、複数の半導体レーザ素子30は基体10上に配置される。具体的に説明すると、複数の半導体レーザ素子30が、行方向(
図4A中のX方向)及び列方向(
図4A中のY方向)に配置されている。半導体レーザ素子30は、例えば、基体10の凹部10a底面(凸部12aを有する基部12を用いる場合は凸部12a上)に、直接配置することもできるし、載置体40などを介して配置することもできる。載置体40を介して配置するようにすれば、複数の半導体レーザ素子30にて生じた熱を載置体40を介して効率的に排熱することができる。
【0022】
複数の半導体レーザ素子30はレーザ光をそれぞれ出射し、各レーザ光は、直接またはミラー50などを介して、個々のレンズ部22の光入射面LAにそれぞれ入射する。各レーザ光は行方向(図
4A中のX方向)より列方向(図
4A中のY方向)に幅が広くなるビーム形状を複数のレンズ部22の各光入射面LAにおいて有する(列方向のビーム幅WY>行方向のビーム幅WX)。複数の半導体レーザ素子30には窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子などを用いることができる。
【0023】
複数の半導体レーザ素子30はワイヤ60等により互いに電気的に接続することができる。ワイヤ60としては、金、銀、銅、アルミニウム等を用いることができる。接続の態様は特に限定されないが、例えば、ワイヤ60を用いて行方向(図
4A中のX方向)に設けられた複数の半導体レーザ素子30を直列接続することができる。
【0024】
図4Aでは、各行において複数の半導体レーザ素子30は直線上に配置されており、隣り合う半導体レーザ素子30間には中継部材70が設けられている。そして、中継部材70を介して隣り合う半導体レーザ素子30がワイヤ60により電気的に接続されている。こうすることで、各ワイヤ60の長さを比較的短くすることができるため、電気抵抗が大きくなるのを抑制することができる。また、各行において、隣り合う半導体レーザ素子30間の距離を大きくすることができるため、半導体レーザ素子30同士の熱干渉を低減することができる。中継部材70としては、鉄、鉄合金、銅などの金属材料、又は上面に電気配線が形成されたAlN、SiC、SiNなどの絶縁材料を用いることができる。中継部材70上に半導体レーザ素子30は配置されない。
【0025】
中継部材70の上面は、載置体40の上面又は半導体レーザ素子30の上面と実質的に同じ高さに位置するのが好ましい。このようにすれば、ワイヤ60を実装しやすくなる。半導体レーザ素子30が載置体40に設けられる場合は、中継部材70の上面は、載置体40の上面と実質的に同じ高さに位置するのがよい。これにより、半導体レーザ素子30の上面と実質的に同じ高さとする場合に比較して、中継部材70の高さ方向における厚みを小さくすることができ、部材費を低減することができる。
【0026】
半導体レーザ素子30は、各レンズ部に対応してm行n列(m≧2、n≧1)に設けられる。このとき、行方向における半導体レーザ素子30の数は、列方向における半導体レーザ素子30の数よりも多いことが好ましい。そして、半導体レーザ素子30は、複数の半導体レーザ素子30からの光(発光装置1としての光)の分布が正方形となるように、設けられるのがよい。これにより、発光装置1をプロジェクタの一部として用いる場合に、発光強度の分布を均一化しやすくすることができる。
【0027】
(ミラー50)
図4Aから
図4Dに示すように、発光装置1は、基体10上に、半導体レーザ素子30の出射光をレンズ部22に向けて反射するミラー50を備えていてもよい。ミラー50は半導体レーザ素子30の出射面(レーザ光を出射する面。以下、同じ。)とミラー50とが向かい合うように配置される。これにより、半導体レーザ素子30の光出射面から出射されたレーザ光がレンズ部22の出射面に達するまでの距離(以下「光路長」という。)を長くすることができる。したがって、レンズアレイ20の光出射面における光密度を低減することができ、レンズ部22での集塵を抑制しやすくなる。また、光路長を長くすることで、光路長が短い場合(例えば、ミラー50を配置せずに半導体レーザ素子30からレンズ部22に光を直接照射する場合)と比較して、レンズ部22から出射される光の強度分布の変化を低減することができる。これは、光路長を長くすることで、半導体レーザ素子30の位置ずれにより半導体レーザ素子30からの光がレンズ部22の光入射面に対して垂直以外の方向から入射したとしても、レンズ部22を通過した後の光の傾きを小さくできるためである。
【0028】
ミラー50の数や形状等は特に限定されない。例えば、行方向(図
4AのX方向)に長いミラーを列状に複数配置してもよいし、複数のレンズ部22に対応してm行n列(m≧2、n≧1)の行列状に複数のミラー50を配置してもよい。行列状に配置する場合は、複数のレンズ部22の各々に対して1つのミラー50が設けられるため、ある半導体レーザ素子30とあるミラー50の位置関係にずれが生じても他の半導体レーザ素子30と他のミラー50との位置関係には影響が生じなくなる。したがって、1つのミラー50の実装ずれによる影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
ミラー50にはガラス、合成石英、サファイア、アルミニウムなどを用いることができる。ミラー50は半導体レーザ素子30の出射光(半導体レーザ素子30から出射されたレーザ光。以下同じ。)を反射させる反射面を有する。反射面には例えば誘電体多層膜等の反射膜が設けられる。なお、ミラー50を利用せず、複数の半導体レーザ素子30の各出射光をそのままレンズアレイ20に入射させる場合には、例えば、ミラー50ではなく、複数の半導体レーザ素子30をm行n列(m≧2、n≧1)の行列状で基体10上に配置する。
【0030】
ミラー50は、特に限定されるわけではないが、レンズ部22の頂点直下に位置していることが好ましい。なかでも、ミラー50の反射部がレンズ部22の頂点直下に位置していることが好ましい。このようにすれば、ミラー50において、半導体レーザ素子30の出射光をレンズ部22の頂点に向けて反射することができるため、レンズアレイ20(レンズ部22)から出射する光の強度分布が変化しにくい。なお、ここでいう反射部とはミラー50に設けられた反射面のうち半導体レーザ素子30の出射光を反射する部分をさす。
【0031】
図1Aから
図1Dに示すように(例えば、
図1A中の最も左上に位置するレンズ部22において透過的に示された半導体レーザ素子30及びミラー50を参照。)、半導体レーザ素子30及びミラー50は、平面視においてレンズ部22の周縁より内側に配置されていることが好ましい。このようにすれば、半導体レーザ素子30がミラー50に近接して配置されるため、レンズ部22から出射される光の面積が大きくなるのを抑制することができる。
【0032】
(封止部材80)
図1Aから
図1Dに示すように、発光装置1は、基体10とレンズアレイ20との間に封止部材80を備えていてもよい。封止部材80を設けることでレンズアレイ20のみを設ける場合と比較して気密封止の効果を高めることができる。特に、半導体レーザ素子30として窒化物半導体を用いる場合は、有機物等が半導体レーザ素子30の出射面に集塵されやすくなるため、封止部材80による気密封止の効果がより顕著となる。
【0033】
図5Aは封止部材の模式的平面図である。また、
図5Bは
図5A中のK−K断面図であり、
図5Cは
図5A中のL−L断面図である。
図5Aにおいては、理解を容易にするため、窓部82aを破線により透過的に示している。
図5Aから
図5Cに示すように、封止部材80は複数の窓部82aを有する本体部82と透光性部材84とを有している。本体部82にはガラス、金属、セラミック、又はこれらの材料を組み合わせた材料などを用いることができ、好ましくは金属を用いる。これにより、溶接等により基体10と封止部材80とを固定することができるため、気密封止しやすくなる。また、透光性部材84には少なくとも半導体レーザ素子30の出射光を透過させる部材を用いることができる。本体部82や透光性部材84の形状は特に限定されない。例えば、本実施形態では本体部82がレンズアレイ20側に凹部82bを有しているが、基体10として平板状の部材を用いる場合は基体10側に凹部82bを有するものとしてもよい。
【0034】
本体部82は、2つ以上の半導体レーザ素子30に対して1つの窓部82aを有していてもよいが、複数の半導体レーザ素子30の各々に対して1つの窓部82aをそれぞれ有していることが好ましい。このようにすれば、窓部82aを除く本体部82と透光性部材84との接合面積を増やすことができるため、基体10と本体部82とを気密封止のために抵抗溶接等により接合する場合において、応力による透光性部材84の割れを抑制することができる。
【0035】
以上のとおり、実施形態1に係る発光装置1によれば、複数のレンズ部22が行方向(
図1AのX方向)と列方向(
図1AのY方向)とにおいて同じ曲率を有する。したがって、レンズアレイ20が所定の向きから僅かに回転して実装された場合であっても、光源とレンズ部22の位置関係に大きなずれが生じにくく、レンズアレイ20から出射する光の強度分布が変化しにくい発光装置を提供することができる。
【0036】
[実施形態2に係る発光装置2]
図6Aは実施形態2に係る発光装置の模式的平面図であり、
図6Bは
図6A中のM−M断面図であり、
図6Cは
図6A中のN−N断面図であり、
図6Dは
図6A中のO−O断面図である。
図6Aにおいては、理解を容易にするため、最も左上のレンズ部下方に配置される半導体レーザ素子30などを透過的に示している。
図6Aから
図6Dに示すように、実施形態2に係る発光装置2は、複数のレンズアレイ20A、20B、20C、20Dが列方向(図
6AのY方向)に配列されるとともに、複数のレンズアレイ20A、20B、20C、20Dの各々が行方向(図
6AのX方向)に複数のレンズ部22を有する点で、実施形態1に係る発光装置1と相違する。実施形態2によっても、実施形態1と同様に、レンズアレイ20が所定の向きから僅かに回転して実装された場合であっても、光源とレンズ部22の位置関係に大きなずれが生じにくく、レンズアレイ20から出射する光の強度分布が変化しにくい発光装置を提供することができる。
【0037】
[実施形態3に係る発光装置3]
図7に実施形態3に係る発光装置3の模式的平面図を示す。
図7では、凹部82bの外縁を破線で示している。また、
図7では、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域にハッチングを施している。
図7に示すように、発光装置3では、レンズアレイ20が、レンズ部22とレンズ部22同士を接続する接続部24とを備えるとともに、接続部24において接着剤により封止部材80に固定されている。封止部材80は、基体10における複数の半導体レーザ素子30が載置された領域に向かって凹んだ凹部82bを有している。レンズアレイ20は、平面視において、凹部82bの内側に貫通孔Fを有するとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。
【0038】
レンズアレイと封止部材との間の空間が密閉空間であると、レンズアレイが有機物を含む接着剤(例えば、UV硬化性接着剤)により固定される場合において、接着剤から気化したガスがレンズアレイと封止部材との間の空間に留まってしまう。このとき、気化したガスに含まれる有機物が、レーザ光に反応し、透光性部材やレンズアレイに堆積するおそれがある。これに対して、接続部24に貫通孔Fを設ければ、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となるため、接着剤から気化したガスを当該空間外へと逃がし、有機物の堆積(集塵)を抑制しやすくなる。開放空間とは開放された空間をいう。
【0039】
貫通孔Fは複数設けられるのが好ましい。そして、複数の貫通孔Fは、レンズアレイ20の中心線に対して線対称に設けられることが好ましい。このようにすれば、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内に空気の流れを形成しやすくなるため(例えば、2つの貫通孔を線対称に設けた場合には、一方の貫通孔から空間内に空気が流入し、他方の貫通孔から空間外へ空気が流出する空気の流れが形成されやすくなる。)、より一層、接着剤から気化したガスを当該空間外へと逃がして、当該空間内における有機物の堆積(集塵)を抑制することができる。また、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内における結露の発生を抑制することもできる。UV硬化性接着剤などの有機物を含む接着剤は水分を吸収しやすい材料であるため、レンズアレイ20がUV硬化性接着剤により固定される場合においては、大気中から接着剤に吸収された水分が封止部材80とレンズアレイ20との間の空間に留まりやすく、使用状況によっては空間内に結露が発生するおそれがある。したがって、空間内に空気の流れを形成する上記の構成は、UV硬化性接着剤などの有機物を含む接着剤でレンズアレイ20を封止部材80に固定する場合に特に好ましく適用することができる。
【0040】
[実施形態4に係る発光装置4]
図8に実施形態4に係る発光装置4の模式的平面図を示す。
図8では、凹部82bの外縁を実線及び破線で示している。また、
図8では、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域にハッチングを施している。
図8に示すように、発光装置4では、封止部材80は、基体10における複数の半導体レーザ素子30が載置された領域に向かって凹んだ凹部82bを有している。レンズアレイ20は、平面視において、レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに(
図8中の開口部Gを参照)、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。発光装置4においても、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となるため、有機物の堆積(集塵)や結露の発生を抑制しやすくなる。
【0041】
開口部Gの数及び配置は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82bの内側に位置させるものであればよく、
図8に図示した数及び配置に限定されるものではない。ただし、開口部Gは、平面視において、レンズアレイ20の外縁の2箇所以上(四隅に限らない。)に設けられていることが好ましい。そして、この場合、それらの開口部Gは、レンズアレイ20の中心に対して点対称の位置に設けられることが好ましい。このようにすれば、複数の貫通孔Fをレンズアレイ20の中心線に対して線対称に設ける場合と同様に、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内に空気の流れを形成しやすくなる。したがって、より一層、有機物の堆積(集塵)や結露の発生を抑制することができる。
【0042】
以上、実施形態3、4について説明したが、貫通孔Fや開口部Gは、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間を開放空間とする具体的な構成の一例である。レンズアレイ20と封止部材80との間の空間は、空間内で生じたガスを外部に逃がすことができるよう開放されていればよく、このような開放された空間(すなわち開放空間)を具体的にどのように構成するのかは特に限定されない。
【0043】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明によって特許請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。