(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、本実施の形態において、冷凍サイクル装置として空気調和装置を例に説明するが、これに限定されるものではなく、冷凍機、ヒートポンプ給湯機、または、その他の冷凍サイクル装置でもよい。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の回路構成の一例を示す図である。なお、
図1では室内機200a〜200d(以下、室内機200と総称することがある)が4台接続されている例が示されている。
【0012】
図1に示すように、空気調和装置1は、熱源側である室外機100と、利用側である室内機200とが、配管300a、300b(以下、配管300と総称することがある)によって接続されている。この配管300のうち、配管300aは室内機200の絞り装置202(後述する)に接続されており、配管300bは室内機200の利用側熱交換器201(後述する)に接続されている。そして冷媒は、この配管300を流れることによって室外機100と室内機200との間を流通する。
【0013】
この空気調和装置1内に構成される冷媒回路には、冷媒としてHFO1123、またはHFO1123を含む混合冷媒が封入されているものとする。混合冷媒としては、HFO1123+R32、HFO1123+HFO1234yf、HFO1123+HFO1234ze、などである。なお、混合冷媒はHFO1123が含まれていればよく、混合割合を特に定める必要はない。
【0014】
(室外機100の構成)
室外機100は、
図1で示されるように、アキュムレーター107、圧縮機101、油分離器108、逆止弁102、四方弁である流路切替装置103、熱源側熱交換器104a、104b(以下、熱源側熱交換器104と総称することがある)、および開閉弁である電磁弁105が、配管によって順次接続されて構成されている。また、圧縮機101の吸込側と油分離器108の流入側とは、油戻キャピラリー109を介して接続されている。また、配管にはアース線400が接続されており、配管は接地されている。なお、電磁弁105は、熱源側熱交換器104bにのみ接続されている。
【0015】
圧縮機101は、ガス冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧の状態にして冷媒回路に搬送するものであり、例えば、容量制御可能なインバータ圧縮機などで構成されるものとすればよい。
油分離器108は、圧縮機101の吐出側に設けられており、冷媒と冷凍機油とを分離させるものである。
【0016】
逆止弁102は、油分離器108の下流側に設けられており、一方向の流れのみを許容する逆流防止装置である。
流路切替装置103は、油分離器108の下流側に設けられており、冷房運転モード時における冷媒の流れと、暖房運転モード時における冷媒の流れとを切り替えるものである。
なお、本実施の形態では四方弁としたが、それに限定されるものではなく、二方弁や三方弁などを組み合わせて構成してもよい。
熱源側熱交換器104は、冷房運転モード時には放熱器(ガスクーラー)として機能し、暖房運転モード時には蒸発器として機能し、ファンなどの送風機(図示せず)から供給される空気と冷媒との間で熱交換を実施し、その冷媒を凝縮または蒸発させるものである。
【0017】
アキュムレーター107は、圧縮機101の吸入側に設けられており、冷房運転モード時と暖房運転モード時との違いによる余剰冷媒、または、過渡的な運転の変化(例えば、室内機200の運転台数の変化)に対する余剰冷媒を蓄えるものである。
油戻キャピラリー109は、油分離器108によって捕捉された冷凍機油を圧縮機101の吸入側に戻すものである。
電磁弁105は、負荷変動が生じた時に開閉するものである。本実施の形態では熱源側熱交換器104bに接続されているため、電磁弁105を開状態とすることで熱源側熱交換器104bを使用することができる。
【0018】
(室内機200の構成)
室内機200は、
図1で示されるように4台によって構成されており、
図1の左側から室内機200a、室内機200b、室内機200c、そして、室内機200dとする。これらの室内機200a〜200dは、
図1で示されるようにそれぞれ並列に接続されている。また、室内機200a〜200dは、利用側熱交換器201a〜201d(以下、利用側熱交換器201と総称することがある)、および絞り装置202a〜202d(以下、絞り装置202と総称することがある)が、配管によって直列に接続されて構成されている。
【0019】
ここで、
図1で示される4つの利用側熱交換器201a〜201dを、室内機200a〜200dに応じて、利用側熱交換器201a、利用側熱交換器201b、利用側熱交換器201c、そして、利用側熱交換器201dとする。また、
図1で示される4つの絞り装置202a〜202dを、室内機200a〜200dに応じて、絞り装置202a、絞り装置202b、絞り装置202c、そして、絞り装置202dとする。
【0020】
利用側熱交換器201は、冷房運転モード時には蒸発器として機能し、暖房運転モード時には放熱器(ガスクーラー)として機能し、ファンなどの送風機(図示せず)から供給される空気と冷媒との間で熱交換を実施し、空調対象空間に供給するための冷房用空気または暖房用空気を生成するものである。
【0021】
絞り装置202は、減圧弁または膨張弁としての機能を有し、冷媒を減圧して膨張させるものであり、開度が可変に制御可能なもの、例えば、電子式膨張弁などで構成すればよい。
【0022】
なお、
図1で示されるように室内機200を4台として構成し、それに伴って、利用側熱交換器201および絞り装置202もそれぞれ4台を備える構成としているが、これらの台数に限定されるものではない。
【0023】
(冷房運転モード)
図2は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の冷房運転モード時における冷媒の流れを示す回路図である。なお、
図2中の矢印2は冷媒の流れる方向を示している。
本実施の形態では、全ての室内機200が稼働している場合を例に説明する。
【0024】
まず、冷房運転モードにおいて制御装置(図示せず)は、室外機100の流路切替装置103を切り替えて、冷媒が圧縮機101から吐出して油分離器108を経由した後、熱源側熱交換器104へ流入するようにする。
【0025】
低温低圧のガス冷媒が圧縮機101によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機101から吐出された高温高圧のガス冷媒は、油分離器108へ流入し、そこでガス冷媒に混在した冷凍機油が分離される。油分離器108によってガス冷媒から分離された冷凍機油は、油戻キャピラリー109を経由して、圧縮機101の吐出側に戻される。また、油分離器108によって冷凍機油から分離されたガス冷媒は、逆止弁102、流路切替装置103を経由して、熱源側熱交換器104へ流入する。
【0026】
熱源側熱交換器104へ流入したガス冷媒は、送風機(図示せず)から供給される外気と熱交換が実施され、室外空気に放熱する。このとき、熱源側熱交換器104へ流入した高温高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器104において冷却され、ガス状態、気液二相状態、液状態に相変化することで、凝縮熱を放出する。熱源側熱交換器104から流出した液冷媒は、(熱源側熱交換器104bは電磁弁105を経由して)配管300aに流れ出ることによって、室外機100から流出する。
【0027】
なお、本実施の形態では全ての室内機200が稼働しており、冷房負荷が大きいため電磁弁105を開状態として熱源側熱交換器104aと熱源側熱交換器104bとの両方を使用することで、凝縮負荷を賄っている。
【0028】
空調対象空間である室内での冷房負荷が小さくなり、例えば、室内機200aのみの1台運転となった場合、凝縮負荷も小さくなる。このような場合、熱源側熱交換器104の送風機(図示せず)の回転数を少なくし、風量を少なくすることで凝縮負荷を小さくする。熱源側熱交換器104の送風機(図示せず)のみでは賄えない場合は、電磁弁105を閉状態として熱源側熱交換器104bに冷媒が流れないようにし、熱源側熱交換器104の伝熱面積を小さくすることによって凝縮負荷を小さくする。このような制御を行うことで、凝縮温度の低下によるフラッシュの発生を防止し、冷凍サイクルを安定させることができる。その結果、安定した冷房能力を出力することが可能となる。
【0029】
室外機100から流出した高圧液冷媒は、室内機200へ流入し、絞り装置202へ流入する。絞り装置202へ流入した冷媒は、そこで膨張および減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。絞り装置202から流出した低温低圧の気液二相冷媒は、利用側熱交換器201へ流入する。利用側熱交換器201へ流入した気液二相冷媒は、送風機(図示せず)から供給される室内空気と熱交換が実施され、室内空気を冷却する。このとき、気液二相冷媒は、室内空気から吸熱することによって、低温低圧のガス冷媒となって利用側熱交換器201から流出する。利用側熱交換器201から流出した低温低圧のガス冷媒は、配管300bに流れ出ることによって、室内機200から流出する。
【0030】
ここで、通常、利用側熱交換器201の冷媒の流出口および流入口にはそれぞれ温度センサー(図示せず)が設置されており、利用側熱交換器201への冷媒供給量は、これら温度センサーからの温度情報に基づいて調整されている。具体的には、制御装置がこれら温度センサーからの温度情報に基づいて、過熱度(流出側における冷媒温度−流入側における冷媒温度)を算出し、その過熱度が2〜5℃程度になるように絞り装置202の開度を決定し、利用側熱交換器201への冷媒供給量を調整する。
【0031】
室内機200から流出した低温低圧のガス冷媒は、再び室外機100へ流入し、流路切替装置103を経由してアキュムレーター107へ流入する。アキュムレーター107へ流入した気液二相冷媒は、ガス冷媒に混在した液冷媒が分離される。そして、液冷媒から分離されたガス冷媒はアキュムレーター107から流出し、圧縮機101へ吸入され、再度圧縮される。
【0032】
このような冷房運転モードにおいては、各室内機200において過熱度制御が実施されているので、基本的に液状の冷媒はアキュムレーター107に流れ込まない。しかしながら、過渡的な状態である場合、あるいは、停止している室内機200がある場合は、少量の液状の冷媒(乾き度0.95程度)がアキュムレーター107に流れ込むことがある。そして、アキュムレーター107に流れ込んだ液冷媒は、蒸発して圧縮機101に吸引されたり、アキュムレーター107の出口配管に設けられている油戻し穴(図示せず)を介して圧縮機101に吸引されたりする。
【0033】
(暖房運転モード)
図3は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の暖房運転モード時における冷媒の流れを示す回路図である。なお、
図3中の矢印3は冷媒の流れる方向を示している。
本実施の形態では、全ての室内機200が稼働している場合を例に説明する。
【0034】
まず、暖房運転モードにおいて制御装置(図示せず)は、室外機100の流路切替装置103を切り替えて、冷媒が圧縮機101から吐出して油分離器108を経由した後、室内機200へ流出するようにする。
【0035】
低温低圧のガス冷媒が圧縮機101によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機101から吐出された高温高圧のガス冷媒は、油分離器108へ流入し、そこでガス冷媒に混在した冷凍機油が分離される。油分離器108によってガス冷媒から分離された冷凍機油は、油戻キャピラリー109を経由して、圧縮機101の吐出側に戻される。また、油分離器108によって冷凍機油から分離されたガス冷媒は、流路切替装置103を経由して、配管300bに流れ出ることによって、室外機100から流出する。
【0036】
室外機100から流出した高温高圧のガス冷媒は、室内機200へ流入し、利用側熱交換器201へ流入する。利用側熱交換器201へ流入したガス冷媒は、送風機(図示せず)から供給される室内空気と熱交換が実施され、室内空気に放熱する。利用側熱交換器201へ流入した高温高圧のガス冷媒は、気液二相状態、液状態に相変化することで、凝縮熱を放出する。利用側熱交換器201から流出した低温高圧の液冷媒は、絞り装置202へ流入する。絞り装置202へ流入した冷媒は、そこで膨張および減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。絞り装置202から流出した低温低圧の気液二相冷媒は、配管300aに流れ出ることによって、室内機200から流出する。
【0037】
ここで、通常、利用側熱交換器201の冷媒の流出口には温度センサーおよび圧力センサー(ともに図示せず)が設置されており、利用側熱交換器201への冷媒供給量は、この温度センサーからの温度情報、および、圧力センサーからの圧力情報に基づいて調整されている。具体的には、制御装置がこれら温度センサーからの温度情報、および圧力センサーからの圧力情報に基づいて、過冷却度(流出側における冷媒の検出圧力から換算された飽和温度−流出側における冷媒温度)を算出し、その過冷却度が2〜5℃程度になるように絞り装置202の開度を決定し、利用側熱交換器201への冷媒供給量を調整する。
なお、本実施の形態では利用側熱交換器201の冷媒の流出口および流入口に設置された温度センサを用いて過熱度を算出するとしたが、過冷却度を算出するのと同様に、温度センサーおよび圧力センサーを用いて算出してもよい。
【0038】
室内機200から流出した低温低圧の気液二相冷媒は、再び室外機100へ流入し、(熱源側熱交換器104bは電磁弁105を経由して)熱源側熱交換器104へ流入する。熱源側熱交換器104へ流入した気液二相冷媒は、送風機(図示せず)から供給される外気と熱交換が実施される。このとき、気液二相冷媒は外気から吸熱することによって、乾き度の大きい状態の気液二相冷媒となって熱源側熱交換器104から流出する。熱源側熱交換器104から流出した気液二相冷媒は、流路切替装置103を経由して、アキュムレーター107へ流入する。アキュムレーター107へ流入した気液二相冷媒は、ガス冷媒に混在した液冷媒が分離される。そして、液冷媒から分離されたガス冷媒はアキュムレーター107から流出し、圧縮機101へ吸入され、再度圧縮される。
【0039】
なお、本実施の形態では全ての室内機200が稼働しており、暖房負荷が大きいため電磁弁105を開状態として熱源側熱交換器104aと熱源側熱交換器104bとの両方を使用することで、蒸発負荷を賄っている。
【0040】
室内での暖房負荷が小さくなり、例えば、室内機200aのみの1台運転となった場合、蒸発負荷も小さくなる。このような場合、熱源側熱交換器104の送風機(図示せず)の回転数を少なくし、風量を少なくすることで蒸発負荷を小さくする。熱源側熱交換器104の送風機(図示せず)のみでは賄えない場合は、電磁弁105を閉状態として熱源側熱交換器104bに冷媒が流れないようにし、熱源側熱交換器104の伝熱面積を小さくすることによって蒸発負荷を小さくする。このような制御を行うことで、蒸発温度が上昇し、絞り装置202aの前後の差圧が小さくなり、運転が不安定になるが、このような制御を行うことで、絞り装置202aでの差圧を確保できるため、冷凍サイクルを安定させることができる。その結果、安定した暖房能力を出力することが可能となる。
【0041】
(逆止弁)
図4は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の逆止弁102の構成の一例を示す図(冷媒が流れていないとき)、
図5は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の逆止弁102の構成の一例を示す図(冷媒が流れているとき)である。なお、
図4および
図5の(a)は逆止弁102の平面図、(b)は逆止弁102の縦断面図である。また、
図5中の矢印4は冷媒の流れる方向を示している。
【0042】
本実施の形態に係る逆止弁102は、弁体102aと、弁体102aの上昇を制限するストッパー102bと、弁体102aの先端部が嵌る弁座102cと、それらを収納するケーシング102dとで構成されている。
【0043】
弁体102aより上側の圧力P1が弁体102aより下側の圧力P0よりも高い状態(P1>P0)では、
図4に示すように上側からの圧力P1により弁体102aは弁座102cに押さえつけられる。そのため、弁体102aと弁座102cとの間の冷媒流路102eが塞がれ、逆止弁102を冷媒が流れない。
【0044】
一方、弁体102aより上側の圧力P1が弁体102aより下側の圧力P0よりも低い状態(P1<P0)では、
図5に示すように下側からの圧力P0により弁体102aは弁座102cから離れ、ストッパー102bに制限されるまで上昇する。そのため、弁体102aと弁座102cとの間の冷媒流路102eが開放され、逆止弁102を矢印4の方向に冷媒が流れる。
【0045】
ここで、HFO1123は他の冷媒と同じように、体積抵抗率が大きい絶縁流体である。また、逆止弁102は通常、弁体102a以外の材料に体積抵抗率が小さい導電体が用いられているが、弁体102aの材料にはPPSやテフロン(登録商標)などの樹脂が用いられており、それら樹脂の体積抵抗率は10
16〜10
18(Ωcm)と大きく絶縁体である。
【0046】
したがって、
図5に示すように逆止弁102を冷媒が流れている状態では、絶縁物質同士(冷媒と弁体102a)での摩擦により、弁体102aに電荷が溜まる。つまり、流動帯電現象を引き起こす。そして、HFO1123が流れる冷媒回路内でこの電荷が放電した場合、不均化反応が発生し、冷媒回路内の圧力が急に上昇することにより、冷媒回路が破裂する恐れがある。
【0047】
そこで、本実施の形態では逆止弁102の弁体102aの材料に、体積抵抗率が10
10より小さい導電性の真ちゅうを用いる。また、配管の材料にも同じく導電性の銅を用いる。
そして、弁体102aと、ストッパー102bと、弁座102cと、ケーシング102dと、配管とはそれぞれ導通しており、配管にはアース線400が接続されており、配管は接地されている。
【0048】
このように、体積抵抗率が(比較的)小さい(<10
10Ωcm)導電性の材料を逆止弁102の弁体102aに用いると、弁体102aに電荷が帯電しづらくなり、電荷が帯電したとしても導電性のストッパー102b、弁座102c、ケーシング102d、配管、アース線400を伝って冷媒回路の外へ逃がすことができるため、HFO1123が流れる冷媒回路内での放電を防ぐことができる。
【0049】
以上より、本実施の形態に係る空気調和装置1によれば、冷媒としてHFO1123、またはHFO1123を含む混合冷媒を採用するため、地球温暖化への影響を抑えることができる。また、HFO1123が流れる冷媒回路内での放電を防ぐことができるため、不均化反応の発生を防ぐことができる。したがって、配管の破裂を防ぎ、安全性を向上させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では弁体102aの材料に真ちゅうを用いたが、それに限定されるものではなく、鉄、銅、導電性プラスチックなど、導電性であればよい。
また、本実施の形態では配管の材料に銅を用いたが、それに限定されるものではなく、鉄、アルミなど、導電性であればよい。
また、逆止弁102を設ける位置は
図1〜3に示される位置に限定されるものではなく、冷媒回路の構成に応じて決定すればよく、複数設けてもよい。
【0051】
(電磁弁)
図6は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の電磁弁105の構成の一例を示す図(冷媒が流れていないとき)、
図7は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の電磁弁105の構成の一例を示す図(冷媒が流れているとき)である。なお、
図7中の矢印5は冷媒の流れる方向を示している。
【0052】
本実施の形態に係る電磁弁105は直動型であり、プランジャー105aと、プランジャー105aを動かすコイル105bと、プランジャー105aの先端に設けられ冷媒流路105fを塞ぐ弁体105cと、プランジャー105aに接続されたスプリング105dと、それらを収納するケーシング105eとで構成されている。
【0053】
コイル105bが通電されていないときは、
図6に示すようにプランジャー105aの弁体105cによって冷媒流路105fが塞がれ、電磁弁105を冷媒が流れない。
一方、コイル105bが通電され、励磁されると
図7に示すようにプランジャー105aは上昇し、冷媒流路105fが開放され、電磁弁105を矢印5の方向に冷媒が流れる。
【0054】
ここで、HFO1123は他の冷媒と同じように、体積抵抗率が大きい絶縁流体である。また、電磁弁105は通常、弁体105c以外の材料に体積抵抗率が小さい導電体が用いられているが、弁体105cの材料にはPPSやテフロン(登録商標)などの樹脂が用いられており、それら樹脂の体積抵抗率は10
16〜10
18(Ωcm)と大きく絶縁体である。
【0055】
したがって、
図7に示すように電磁弁105を冷媒が流れている状態では、絶縁物質同士(冷媒と弁体105c)での摩擦により、弁体105cに電荷が溜まる。つまり、流動帯電現象を引き起こす。そして、HFO1123が流れる冷媒回路内でこの電荷が放電した場合、不均化反応が発生し、冷媒回路内の圧力が急に上昇することにより、冷媒回路が破裂する恐れがある。
【0056】
そこで、本実施の形態では電磁弁105の弁体105cの材料に、体積抵抗率が10
10より小さい導電性の真ちゅうを用いる。また、配管の材料にも同じく導電性の銅を用いる。
そして、弁体105cと、プランジャー105aと、スプリング105dと、ケーシング105eと、配管とはそれぞれ導通しており、配管にはアース線400が接続されており、配管は接地されている。
【0057】
このように、体積抵抗率が(比較的)小さい(<10
10Ωcm)導電性の材料を電磁弁105の弁体105cに用いると、弁体105cに電荷が帯電しづらくなり、電荷が帯電したとしても導電性のプランジャー105a、スプリング105d、ケーシング105e、配管、アース線400を伝って冷媒回路の外へ逃がすことができるため、HFO1123が流れる冷媒回路内での放電を防ぐことができる。
【0058】
以上より、本実施の形態に係る空気調和装置1によれば、冷媒としてHFO1123、またはHFO1123を含む混合冷媒を採用するため、地球温暖化への影響を抑えることができる。また、HFO1123が流れる冷媒回路内での放電を防ぐことができるため、不均化反応の発生を防ぐことができる。したがって、配管の破裂を防ぎ、安全性を向上させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では電磁弁105を直動型として説明したが、比較的弁口径が大きいパイロット型でもよい。
また、本実施の形態では弁体105cの材料に真ちゅうを用いたが、それに限定されるものではなく、鉄、銅、導電性プラスチックなど、導電性であればよい。
また、本実施の形態では配管の材料に銅を用いたが、それに限定されるものではなく、鉄、アルミなど、導電性であればよい。
また、電磁弁105を設ける位置は
図1〜3に示される位置に限定されるものではなく、冷媒回路の構成に応じて決定すればよく、複数設けてもよい。
【0060】
また、電磁弁105は本発明の「開閉弁」に相当する。