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特許6288488絶縁材料、絶縁膜及びこれを用いたトランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288488
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】絶縁材料、絶縁膜及びこれを用いたトランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20180226BHJP
   C08G 77/442 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 21/283 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20180226BHJP
   C09D 183/10 20060101ALI20180226BHJP
   C09D 155/00 20060101ALI20180226BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20180226BHJP
   C09D 175/14 20060101ALI20180226BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20180226BHJP
   C08F 299/08 20060101ALI20180226BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20180226BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H01L21/312 C
   C08G77/442
   H01L29/78 617T
   H01L21/283 B
   H01L21/283 C
   H01L21/90 S
   H01L21/90 Q
   C09D183/10
   C09D155/00
   C09D175/04
   C09D175/14
   C09D11/00
   C08F299/08
   C08F290/06
   H01B3/30 Z
【請求項の数】7
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-179544(P2013-179544)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-82467(P2014-82467A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-214105(P2012-214105)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】水口 良
(72)【発明者】
【氏名】庄司 敏博
(72)【発明者】
【氏名】矢木 直人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 朋子
(72)【発明者】
【氏名】山東 善成
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−246582(JP,A)
【文献】 特開2003−026927(JP,A)
【文献】 特開2006−328354(JP,A)
【文献】 特開2000−178327(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108705(WO,A1)
【文献】 特開平07−209880(JP,A)
【文献】 特開2012−111864(JP,A)
【文献】 特開2008−130910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
C08F 290/06
C08F 299/08
C08G 77/442
C09D 11/00
C09D 155/00
C09D 175/04
C09D 175/14
C09D 183/10
H01B 3/30
H01L 21/283
H01L 21/768
H01L 23/532
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル系重合体セグメント(a2)とが結合された複合樹脂(A)を含有する絶縁材料であって、
該ポリシロキサンセグメント(a1)が、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基と、を有するポリシロキサンセグメントであり、
該ポリシロキサンセグメント(a1)と該ビニル系重合体セグメント(a2)とが、下記一般式(3)で表される結合により結合されている複合樹脂(A)を含有することを特徴とするゲート絶縁材料。
【化1】
(1)
【化2】
(2)
(一般式(1)及び(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、−R−CH=CH2、−R−C(CH3)=CH2、−R−O−CO−C(CH3)=CH2、及び−R−O−CO−CH=CH2からなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但し、Rは単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子数が7〜12のアラルキル基を表す。)
【化3】
(3)
(一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、該ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする。)
【請求項2】
前記一般式(1)及び(2)中、R、R及びRのうち、少なくとも一つが重合性二重結合を有する基である請求項1に記載のゲート絶縁材料。
【請求項3】
前記ビニル系重合体セグメント(a2)が、アルコール性水酸基を有する請求項1又は2に記載のゲート絶縁材料。
【請求項4】
さらに、ポリイソシアネート(B)を有する請求項3に記載のゲート絶縁材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲート絶縁材料を含有することを特徴とするゲート絶縁インキ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲート絶縁材料を硬化して形成したことを特徴とするゲート絶縁膜。
【請求項7】
請求項6に記載のゲート絶縁膜を有することを特徴とするトランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁材料、該絶縁材料を有する絶縁膜及び該絶縁膜を有するトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体を用いた有機薄膜トランジスタは、無機半導体より低温で製造できるため、その基板としてフレキシブルなプラスチック基板やフィルムを用いることができ、軽量で壊れにくい素子を得ることができる。また、有機材料を含む溶液の塗布や印刷法を用いた成膜により素子作製でき、大面積の基板に多数の素子を低コストで製造できる可能性があり、近年注目されている。
【0003】
有機薄膜トランジスタの素子構成の一つであるボトムゲート型では、有機半導体層がゲート絶縁層に重ねて形成される。そのため、塗布や印刷法で製造する場合、ゲート絶縁層には、高い絶縁破壊強度や低いリーク電流密度などの電気絶縁性と、基板への密着性だけでなく、有機半導体を溶解する溶媒に対する耐溶剤性が求められる。
このような材料として、特許文献1および特許文献2にはシルセスキオキサン系の硬化材料が開示されている。優れた電気絶縁性を有し、耐溶剤性にも優れた材料であるという。しかしながら、当該硬化材料は硬化時間が長いため、短時間に印刷成膜できず、生産コストの増大になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012―009796号公報
【特許文献2】特開2009―059651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、絶縁破壊強度とリーク電流密度の低さを兼ね備えつつ、印刷法に適した早い硬化速度と耐溶剤性を兼ね備えた、絶縁材料を提供すること、及び該絶縁材料を有する絶縁膜及びトランジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、
ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル系重合体セグメント(a2)とが結合された複合樹脂(A)を含有する絶縁材料であって、
該ポリシロキサンセグメント(a1)が、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基と、を有するポリシロキサンセグメントであり、
該ポリシロキサンセグメント(a1)と該ビニル系重合体セグメント(a2)とが、下記一般式(3)で表される結合により結合されている複合樹脂(A)を含有することを特徴とする絶縁材料。
【0007】
【化1】
(1)
【0008】
【化2】
(2)
(一般式(1)及び(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、−R−CH=CH、−R−C(CH)=CH、−R−O−CO−C(CH)=CH、及び−R−O−CO−CH=CHからなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但し、Rは単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子数が7〜12のアラルキル基を表す。)
【0009】
【化3】
(3)
(一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、該ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、高度な絶縁破壊強度とリーク電流密度の低さを兼ね備えつつ、印刷法に適した早い硬化速度と耐溶剤性を兼ね備えた、絶縁材料を提供することができる。また、該絶縁材料を有する絶縁膜及びトランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トランジスタの構造の一例である。
図2】トランジスタの構造の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(複合樹脂(A))
本発明で使用する複合樹脂(A)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)(以下単にポリシロキサンセグメント(a1)と称す)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、前記一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)である。前記一般式(3)で表される結合は、塗液の安定性、得られた塗膜の基材への塗布性、耐溶剤性にも優れ、好ましい。
【0013】
【化4】
(3)
【0014】
後述のポリシロキサンセグメント(a1)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、後述のビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが脱水縮合反応して、前記一般式(3)で表される結合が生じる。従って前記一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする。
複合樹脂(A)の形態は、例えば、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が前記重合体セグメント(a2)の側鎖として化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂や、前記重合体セグメント(a2)と前記ポリシロキサンセグメント(a1)とが化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂等が挙げられる。また、上記複合樹脂(A)は、シアノ基を有していてもよい。
【0015】
(ポリシロキサンセグメント(a1))
本発明におけるポリシロキサンセグメント(a1)は、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有すセグメントである。
また、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位中には、重合性二重結合を有する基を有していてもよい。
また、本発明におけるポリシロキサンセグメント(a1)は、更にシアノ基を有していてもよい。
【0016】
(一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位)
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位は、重合性二重結合を有する基を有していてもよい。
具体的には、前記一般式(1)及び(2)におけるR、R及びRは、それぞれ独立して、−R−CH=CH、−R−C(CH)=CH、−R−O−CO−C(CH)=CH、及び−R−O−CO−CH=CHからなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但しRは単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子数が7〜12のアラルキル基、または、−CN基を表す。
【0017】
また前記Rにおける前記炭素原子数が1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基、1,1,2−トリメチルプロピレン基、1,2,2−トリメチルプロピレン基、1−エチル−2−メチルプロピレン基、1−エチル−1−メチルプロピレン基等が挙げられる。中でもRは、原料の入手の容易さから単結合、アリール基、または炭素原子数が2〜4のアルキレン基が好ましい。
【0018】
また、前記炭素原子数が1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
また、前記炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
また、前記炭素原子数が7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0019】
また、R、R及びRの少なくとも1つは前記重合性二重結合を有する基であることが好ましく、具体的には、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(1)で表される構造単位のみを有する場合にはRが前記重合性二重結合を有する基であり、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(2)で表される構造単位のみを有する場合にはR及び/又はRが前記重合性二重結合を有する基であり、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(1)と一般式(2)で表される構造単位の両方を有する場合には、R、R及びRの少なくとも1つが重合性二重結合を有する基であることが好ましい。
【0020】
また、R、R及びRの少なくとも1つは、前記重合性二重結合を有する基の代わりに、重合性二重結合を有するアリール基である4−ビニルフェニル基であっても良く、具体的には、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(1)で表される構造単位のみを有する場合にはRが4−ビニルフェニルを有する基であり、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(2)で表される構造単位のみを有する場合にはR及び/又はRが4−ビニルフェニルを有する基であり、ポリシロキサンセグメント(a1)が一般式(1)と一般式(2)で表される構造単位の両方を有する場合には、R、R及びRの少なくとも1つが4−ビニルフェニルを有する基であることが好ましい。
【0021】
本発明においては、前記重合性二重結合は、ポリシロキサンセグメント(a1)中に2つ以上存在することが好ましく、3〜200個存在することがより好ましく、3〜50個存在することが更に好ましく、絶縁性と耐溶剤性に優れた樹脂塗膜を得ることができる。具体的には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有率が3〜20重量%であれば、所望の絶縁性と耐溶剤性を得ることができる。
なおここで重合性二重結合の含有率の計算は、−CH=CHを有する基であれば分子量を27とし、−C(CH)=CHを有する基であれば分子量を41として計算した。
【0022】
また、本発明において、前記4−ビニルフェニル基は、ポリシロキサンセグメント(a1)中に2つ以上存在することが好ましく、3〜200個存在することがより好ましく、3〜50個存在することが更に好ましく、絶縁性と耐溶剤性に優れた樹脂塗膜を得ることができる。具体的には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有率が3〜40重量%であれば、所望の絶縁性と耐溶剤性を得ることができる。
なおここで4−ビニルフェニル基の含有率は、C=C−C6H4−を有する基であれば分子量を103として計算した。
【0023】
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位は、ケイ素の結合手のうち2または3つが架橋に関与した、三次元網目状のポリシロキサン構造単位である。三次元網目構造を形成しながらも密な網目構造を形成しないので、製造時にゲル化等を生じることもなく、得られる複合樹脂の長期保存安定性も良好となる。
【0024】
(シラノール基および/または加水分解性シリル基)
本発明においてシラノール基とは、珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。該シラノール基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が水素原子と結合して生じたシラノール基であることが好ましい。
【0025】
また本発明において加水分解性シリル基とは、珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、一般式(4)で表される基が挙げられる。
【0026】
【化5】

(4)
【0027】
(一般式(4)中、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群から選ばれる加水分解性基である。またbは0〜2の整数である。)
【0028】
前記Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等、が挙げられる。
またアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
またアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0029】
前記Rにおいて、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0030】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
またアシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
またアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ペテニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
前記Rで表される加水分解性基が加水分解されることにより、一般式(4)で表される加水分解性シリル基はシラノール基となる。加水分解性に優れることから、中でも、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
また前記加水分解性シリル基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が前記加水分解性基と結合もしくは置換されている加水分解性シリル基であることが好ましい。
【0032】
前記シラノール基や前記加水分解性シリル基は、紫外線硬化による塗膜形成の際に、紫外線硬化反応と平行して、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、塗膜のポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、耐溶剤性などに優れた塗膜を形成することができる。
また、前記シラノール基や前記加水分解性シリル基を含むポリシロキサンセグメント(a1)と後述のビニル系重合体セグメント(a2)とを、前記一般式(3)で表される結合を介して結合させる際に使用する。
【0033】
ポリシロキサンセグメント(a1)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する以外は特に限定はなく、他の基を含んでいてもよい。例えば、
前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、特に限定はない。
【0034】
また、ポリシロキサンセグメント(a1)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する以外は特に限定はなく、他の基を含んでいてもよい。例えば、前記一般式(1)におけるRが4−ビニルフェニルを有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRがビニルフェニル基を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRが前記ビニルフェニルを有する基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基および/またはシアノエチル基等のシアノ基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、特に限定はない。
【0035】
具体的には、ポリシロキサンセグメント(a1)としては、例えば以下の構造を有するもの等が挙げられる。
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
本発明においては、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を複合樹脂(A)の全固形分量に対して、10〜90重量%含むことが好ましく、高度な耐擦傷性と絶縁性と耐溶剤性を両立させることが可能となる。中でも50〜90重量%含むことが好ましい。
【0049】
(複合樹脂(A) ビニル系重合体セグメント(a2))
本発明におけるビニル系重合体セグメント(a2)は、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族系ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等のビニル重合体セグメントである。これらは用途により適宜選択することが好ましい。
【0050】
例えばアクリル系重合体は、汎用の(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定はなく、またビニルモノマーも共重合可能である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドン等の3級アミド基含有モノマー類等が挙げられる。
【0051】
また、芳香族系ビニル系共重合体は、汎用の芳香族含有ビニルモノマーを重合または共重合させて得られる。芳香族含有ビニルモノマーとしては、特に限定はなく、または、上記(メタ)アクリルモノマーやビニルモノマーも共重合可能である。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α―エチルスチレン、α―ブチルスチレンまたは、4−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレンおよびスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸ベンゾイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチルグリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ―3―フェノキシプロピル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0052】
(シアノ基含有モノマー)
本発明において、ビニル系重合体セグメント(a2)中には、シアノ基含有モノマーを共重合できる。高い双極子モーメントを有する官能基を導入することで絶縁膜の誘電率を向上させることができるため、シアノ基を有することで、絶縁膜の高誘電率化という効果が得られるため好ましい。
ビニル系重合体セグメント(a2)にシアノ基含有モノマーを共重合させる場合、シアノ基を含有するラジカル重合性不飽和モノマーを用いることが好ましい。
【0053】
(シアノ基を有するラジカル重合性不飽和モノマー)
例えば、下記一般式(1)で表されるモノマーが挙げられる。
【0054】
【化18】
【0055】
(ただし、Rは、H、アルキル基、ハロゲン、フェニル基、nは、0を含む正の整数を表す。)
【0056】
以上のビニル系重合体の中でも、芳香族系ビニル重合体は、リーク電流密度が低い絶縁膜を得ることができるため好ましい。
【0057】
前記モノマーを共重合させる際の重合方法、溶剤、あるいは重合開始剤にも特に限定はなく、公知の方法によりビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。例えば、塊状ラジカル重合法、溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法等の種々の重合法により、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の重合開始剤を使用してビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。
【0058】
前記ビニル系重合体セグメント(a2)の数平均分子量としては、数平均分子量(以下Mnと略す)に換算して500〜200,000の範囲であることが好ましく、前記複合樹脂(A)を製造する際の増粘やゲル化を防止でき、且つ耐久性に優れる。Mnは中でも700〜100,000の範囲がより好ましく、1,000〜50,000の範囲が、基材上に層を形成させる際に良好な硬化膜を形成できる等の理由からなお好ましい。
【0059】
また前記ビニル系重合体セグメント(a2)は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)と一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)とするために、ビニル系重合体セグメント(a2)中の炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有する。これらのシラノール基および/または加水分解性シリル基は、後述の複合樹脂(A)の製造において一般式(3)で表される結合となってしまうために、最終生成物である複合樹脂(A)中のビニル系重合体セグメント(a2)には殆ど存在しない。しかしながらビニル系重合体セグメント(a2)にシラノール基および/または加水分解性シリル基が残存していても何ら問題はなく、前記重合性二重結合を有する基の硬化反応による塗膜形成の際に、該硬化反応と平行して、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、得られる硬化物のポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、耐溶剤性などに優れた硬化物を形成することができる。
【0060】
炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有するビニル系重合体セグメント(a2)は、具体的には、前記汎用モノマー、及び、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとを共重合させて得る。
炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0061】
さらに、炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとしては、例えば、スチリル基を有するモノマーとして、4−スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0062】
また、後述のポリイソシアネート(B)等の反応性化合物を含有する際には、前記ビニル系重合体セグメント(a2)はアルコール性水酸基等の反応性官能基を有することが好ましい。例えばアルコール性水酸基を有するビニル系重合体セグメント(a2)は、アルコール水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを共重合させて得ることができる。アルコール水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMもしくはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物、等が挙げられる。
中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが、反応が容易であり好ましい。
【0063】
前記アルコール性水酸基量は、後述のポリイソシアネートの添加量から算出して適宜決定するのが好ましい。
【0064】
(複合樹脂(A)の製造方法)
本発明で用いる複合樹脂(A)は、具体的には下記(方法1)〜(方法3)に示す方法で製造する。
【0065】
(方法1)
前記酸基を有する(メタ)アクリルモノマー、前記汎用の(メタ)アクリルモノマー等、及び、前記炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとを共重合させて炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。これに、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる。
該方法においては、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物のシラノール基あるいは加水分解性シリル基と、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが加水分解縮合反応し、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が形成されると共に、前記ポリシロキサンセグメント(a1)と、アルコール性水酸基を有するビニル系重合体セグメント(a2)とが前記一般式(3)で表される結合により複合化された複合樹脂(A)が得られる。
【0066】
(方法2)
方法1と同様にして、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。
一方、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物を加水分解縮合反応させ、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。そして、ビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、とポリシロキサンセグメント(a1)とが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とを加水分解縮合反応をさせる。
【0067】
(方法3)
方法1と同様に、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。一方、方法2と同様にして、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。更に、重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物と、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる。
【0068】
前記(方法1)〜(方法3)で使用する、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0069】
さらに、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに4−ビニルフェニル基を併有するシラン化合物としては、4−スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。4−スチリルトリメトキシシランは、絶縁膜のリーク電流密度が低くなることから更に好ましい。
【0070】
また、前記(方法1)〜(方法3)で使用する、汎用のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の各種のオルガノトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシランもしくはメチルフェニルジメトキシシラン等の、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランもしくはジフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類が挙げられる。中でも、加水分解反応が容易に進行し、また反応後の副生成物を容易に除去することが可能なオルガノトリアルコキシシランやジオルガノジアルコキシシランが好ましい。
【0071】
また、ポリシロキサンセグメント(a1)がエポキシ基を有する場合には、エポキシ基含有シラン化合物を使用すればよい。
エポキシ基含有シラン化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン等が挙げられる。
【0072】
また、シアノ基を有するシランカップリング剤も使用することができ、例えば、シアノエチルトリエトキシシランやシアノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。前記複合樹脂(A)がシアノ基を含む場合、得られた塗膜の誘電率が高くなるため、特に好ましい。
【0073】
また、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラn−プロポキシシランなどの4官能アルコキシシラン化合物や該4官能アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。前記4官能アルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物を併用する場合には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、該4官能アルコキシシラン化合物の有する珪素原子が、20モル%を超えない範囲となるように併用することが好ましい。
【0074】
また、前記シラン化合物には、ホウ素、チタン、ジルコニウムあるいはアルミニウムなどの珪素原子以外の金属アルコキシド化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。例えば、ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、上述の金属アルコキシド化合物の有する金属原子が、25モル%を超えない範囲で、併用することが好ましい。
【0075】
前記(方法1)〜(方法3)における加水分解縮合反応は、前記加水分解性基の一部が水などの影響で加水分解され水酸基を形成し、次いで該水酸基同士、あるいは該水酸基と加水分解性基との間で進行する進行する縮合反応をいう。該加水分解縮合反応は、公知の方法で反応を進行させることができるが、前記製造工程で水と触媒とを供給することで反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
【0076】
使用する触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩等が挙げられる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0077】
前記触媒の添加量に特に限定はないが、一般的には前記シラノール基または加水分解性シリル基を有する各々の化合物全量に対して、0.0001〜10重量%の範囲で使用することが好ましく、0.0005〜3重量%の範囲で使用することがより好ましく、0.001〜1重量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0078】
また、供給する水の量は、前記シラノール基または加水分解性シリル基を有する各々の化合物が有するシラノール基または加水分解性シリル基1モルに対して0.05モル以上が好ましく、0.1モル以上がより好ましく、特に好ましくは、0.5モル以上である。
これらの触媒及び水は、一括供給でも逐次供給であってもよく、触媒と水とを予め混合したものを供給しても良い。
【0079】
前記(方法1)〜(方法3)における加水分解縮合反応を行う際の反応温度は、0℃〜150℃の範囲が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃の範囲内である。また、反応の圧力としては、常圧、加圧下又は減圧下の、いずれの条件においても行うことができる。また、前記加水分解縮合反応において生成しうる副生成物であるアルコールや水は、必要に応じ蒸留などの方法により除去してもよい。
【0080】
前記(方法1)〜(方法3)における各々の化合物の仕込み比率は、所望とする本発明で使用する複合樹脂(A)の構造により適宜選択される。中でも、得られる塗膜の耐久性が優れることから、ポリシロキサンゼグメント(a1)の含有率が30〜80重量%となるよう複合樹脂(A)を得るのが好ましく、30〜75重量%が更に好ましい。
【0081】
前記(方法1)〜(方法3)において、ポリシロキサンセグメントとビニル系重合体セグメントをブロック状に複合化する具体的な方法としては、ポリマー鎖の片末端あるいは両末端のみに前記したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有するような構造のビニル系重合体セグメントを中間体として使用し、例えば、(方法1)であれば、当該ビニル系重合体セグメントに、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる方法が挙げられる。
【0082】
一方、前記(方法1)〜(方法3)において、ビニル系重合体セグメントに対してポリシロキサンセグメントをグラフト状に複合化させる具体的な方法としては、ビニル系重合体セグメントの主鎖に対し、前記したシラノール基および/または加水分解性シリル基をランダムに分布させた構造を有するビニル系重合体セグメントを中間体として使用し、例えば、(方法2)であれば、当該ビニル系重合体セグメントが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、前記したポリシロキサンセグメントが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とを加水分解縮合反応をさせる方法を挙げることができる。
【0083】
(絶縁材料)
本発明の絶縁材料は、複合樹脂(A)を含有する。該絶縁材料において、絶縁材料の全固形分中に対するポリシロキサンセグメント(a1)の含有量に特に制限はないが、10〜90重量%であることが好ましい。10%以上であれば、含有する重合性二重結合および含有するシラノール基および/または加水分解性シリル基の硬化により、耐溶剤性に優れるため好ましい。
【0084】
本発明の絶縁材料は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、硬化方法に合わせて光重合開始剤と、熱重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては光硬化性樹脂組成物において公知のものを使用すればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類からなる群から選ばれる一種以上を好ましく用いることができる。前記アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられる。前記ベンジルケタール類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。前記ベンゾイン類等としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。光重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0085】
また、前記複合樹脂(A)にビニルエーテル基やエポキシ基などの光カチオン重合性基を有する場合は、光カチオン開始剤を併用することができる。光カチオン開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF4−、PF6−、SbF6−、[BY4]−(ただし、Yは少なくとも2つ以上のフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩であるが好ましくは、安定性の観点よりリン系化合物であるカチオン重合開始剤である。具体的には四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができる。
【0086】
市販の光重合開始剤としては、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア819、イルガキュア907、イルガキュア1870、イルガキュア500、イルガキュア369、イルガキュア1173、イルガキュア2959、イルガキュア4265、イルガキュア4263、ダロキュアTPO、イルガキュアOXE01等(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。また、イルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、CPI100P、CPI101A、CPI−200K、CPI210S(サンアプロ株式会社製)、アデカオプトマーSP300、SP150(株式会社ADEKA製)等のカチオン系光重合開始剤も使用することができる。
【0087】
前記光重合開始剤の使用量は、前記複合樹脂(A)100重量%に対して、1〜15重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
【0088】
また、前記光重合開始剤と組合せて増感色素を併用することにより、感光性を大幅に向上させることができる。増感色素の具体例としては、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系などの色素類が挙げられる。
【0089】
熱重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤として一般的に知られるものが使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられる。カチオン系熱重合開始剤としてはサンエイドSI60L、80L、100L(三新化学工業株式会社製)、サンアプロTA90、TA100、TA120、TA160(サンアプロ株式会社製)等を使用することができる。また、これらの重合開始剤は単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
(反応性化合物)
本発明における絶縁材料には、複合樹脂(A)のほかに反応性化合物を含有しても良い。
反応性化合物としては、複合樹脂(A)との硬化反応に直接寄与する反応性基を有するポリマーまたはモノマーを使用することができる。特に、ポリイソシアネート(B)や活性エネルギー線硬化性モノマーといった、反応性希釈剤が特に好ましい。
【0091】
前記複合樹脂(A)に反応性官能基を導入することで、複合樹脂(A)と反応性希釈剤とが3次元架橋するため、一般的に硬化性が上昇し、耐溶剤性に優れた塗膜を得ることができる。
【0092】
反応性化合物としてポリイソシアネート(B)を使用する場合は、前記複合樹脂(A)における前記ビニル系重合体セグメント(a2)がアルコール性水酸基を有することが好ましい。その際のポリイソシアネート(B)は、本発明の絶縁材料全量に対して5〜50重量%含有させることが好ましい
【0093】
使用するポリイソシアネート(B)としては特に限定はなく公知のものを使用することができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類や、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略す)、2,2,4−(又は、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、アロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられる。
【0094】
ポリイソシアネート(B)と系中の水酸基(これは、前記ビニル系重合体セグメント(a2)中の水酸基や後述のアルコール性水酸基を有する前記活性エネルギー線硬化性モノマー中の水酸基である)との反応は、特に加熱等は必要なく、室温に放置することで徐徐に反応していく。また必要に応じて、80℃で数分間〜数時間(20分〜4時間)加熱して、アルコール性水酸基とイソシアネートの反応を促進してもよい。その場合は、必要に応じて公知のウレタン化触媒を使用してもよい。ウレタン化触媒は、所望する反応温度に応じて適宜選択する。
【0095】
また、紫外線硬化させる場合は、必要に応じて活性エネルギー線硬化性モノマーとして多官能(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、前述の通り、ポリイソシアネート(B)と反応させることからアルコール性水酸基を有するものが好ましい。例えば、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート等の1分子中に2個以上の重合性2重結合を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等も多官能アクリレートとして例示することができる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
中でも、ポリイソシアネート(B)と反応させる場合は、アルコール性水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートが好ましい。
【0096】
また、前記多官能(メタ)アクリレートに併用して、または単独で単官能(メタ)アクリレートを使用することもできる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えばダイセル化学工業(株)製商品名「プラクセル」)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、コハク酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、各種エポキシエステルの(メタ)アクリル酸付加物、等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、などのカルボキシル基含有ビニル単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有ビニル単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−プロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルりん酸などの酸性りん酸エステル系ビニル単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有するビニル単量体等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。単量体としては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。
【0097】
また、前記反応性化合物として活性エネルギー線硬化性モノマーを使用する場合は、必要に応じて多官能(メタ)アクリレートまたは単官能(メタ)アクリレートを含有することができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、9、9ビスフェニルフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート、等の1分子中に2個以上の重合性2重結合を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0098】
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えばダイセル化学工業(株)製商品名「プラクセル」)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、コハク酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、各種エポキシエステルの(メタ)アクリル酸付加物、等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、などのカルボキシル基含有ビニル単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有ビニル単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−プロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルりん酸などの酸性りん酸エステル系ビニル単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有するビニル単量体、ジルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる
【0099】
前記多官能および単官能アクリレートを用いる場合の使用量としては、本発明の絶縁材料の全固形分量に対して1〜85重量%が好ましく、5〜80重量%がより好ましい。前記多官能アクリレートおよび単官能を前記範囲内で使用することによって、得られる塗膜の耐溶剤性、絶縁性を改善することができる。
【0100】
本発明の絶縁材料は、上記複合樹脂(A)を含有し、その他成分も含有していてかまわない。本発明の絶縁材料は、低粘度の液状にすることで、塗布法や印刷法に好適に使用が可能である。
【0101】
(配合材料)
本発明の複合樹脂(A)は、無機酸化物粒子の添加が無くても絶縁材料として好適に使用できるが、添加してもかまわない。
また、発明の効果を損ねない範囲であれば、他の配合材料を添加してもよく、有機フィラー、無機フィラー、顔料、酸化防止剤、重合禁止剤、界面活性剤、離型剤等を適時使用してかまわない。
【0102】
(絶縁インキ)
本発明の絶縁材料は、上記複合樹脂(A)を含有し、その他成分も含有していてかまわない。本発明の絶縁材料は、低粘度から高粘度に至る広い範囲で調整することができ、塗布法や印刷法に好適に使用が可能な、絶縁インキとすることができる。
【0103】
本発明の絶縁膜形成用インキ組成物に用いる有機溶剤としては、絶縁材料を溶解するものであれば任意の溶剤を使用することが出来、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、シクロヘキサノール、α-テルピネオールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノンなどのケトン系溶剤、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール-t-ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール-t-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコール系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジオキサン、フラン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒などがあるが、特に限定するものではない。また、これらは単独または二種類以上を併用してもよい。
【0104】
(絶縁膜)
本発明の絶縁材料や絶縁インキを硬化することで、絶縁膜とすることができる。例えば、本発明の絶縁材料を基板上に展開し、硬化させることで、絶縁膜を得ることができる。絶縁膜を形成するには、形成したい基板上に直接本発明の絶縁材料を塗布、塗工、印刷等の方法で展開し、硬化させて得ることができる。また、別の基板上や型へと展開し、硬化させてから、絶縁膜として各種電子部材へと使用してもよく、絶縁材料を押し出し成形等の公知の成形方法でフィルム上に製膜したうえで、硬化させて得られる絶縁膜であってもかまわない。
【0105】
(基板への展開)
本発明の絶縁材料を、基板上へと展開する方法は、公知慣用の方法を用いればよく、例えば塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、反転印刷法、等を挙げることができる。
【0106】
(基板)
絶縁材料を基板上で形成する場合、本発明の絶縁材料が展開できれば特に材質に制限はないが、例えば、石英、サファイア、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Al、Ni、Cu、Cr、Fe、ステンレス等の金属基材、スクリーンメッシュ、紙、木材、シリコン等の合成樹脂、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基材、TFTアレイ基材、サファイアやGaN等の発光ダイオード(LED)基材、ガラスや透明プラスチック基材、インジウム錫オキサイド(ITO)や金属等の導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコン等の半導体作製基材等が挙げられる。これらのものは光透過性でも非光透過性であってもよい。
【0107】
(絶縁膜の形成)
基板上へと絶縁膜を展開した後、公知慣用の方法で硬化させることで、絶縁膜を得ることができる。硬化の方法は、硬化の方法は、光硬化でも、熱硬化でもかまわないが、硬化スピードの観点から、光硬化するほうが好ましい。光照射に用いる光としては、光重合開始剤が反応する光であればよく、中でも、光重合開始剤が容易に反応し、より低温で硬化させることができる面から、450nm以下の波長の光(紫外線、X線、γ線等の活性エネルギー線)が好ましい。操作性の面から200から450nmの波長の光が特に好ましい。
絶縁膜の形成は、目的とする電子部材上の基板で直接行ってもよいし、別の基板上で形成したのち、目的の電子部材に導入してもかまわない。
【0108】
(薄膜トランジスタ)
本発明の絶縁膜は、各種電子部材に使用することができる。特に薄膜トランジスタ用途としては好適に使用できる。本発明の薄膜トランジスタは、前出の絶縁膜を用いたものであればその構成は特に制限されない。一例として、図1乃至図2に本発明のゲート絶縁膜を用いた薄膜トランジスタの構成例を示す。
【0109】
図1乃至図2の例では、本発明の薄膜トランジスタは、基板1上にゲート電極2が形成されており、ゲート電極2は、本発明のゲート絶縁膜3で覆われている。
図1の例では、ゲート絶縁膜3の上にソース電極4とドレイン電極4とが設置されており、これらを覆うように半導体層5が形成されている。
一方、図2の例では、ゲート絶縁膜3の上に半導体層5が形成され、その上にソース電極4とドレイン電極4とが設置されている。
【0110】
本発明の薄膜トランジスタに用いられる電極材料(ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極)としては、例えば、金、銀、胴、アルミニウム、カルシウムなどの金属や、カーボンブラック、フラーレン類、カーボンナノチューブなどの無機材料、さらには、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフルオレンおよびこれらの誘導体などの有機π共役ポリマーなどが挙げられる。
【0111】
これらの電極材料は1種類で用いてもよいが、薄膜トランジスタの電界効果移動、オン/オフ比の向上を目的として、もしくは閾値電圧の制御を目的として、複数の材料を組み合わせて用いてもよい。又、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のそれぞれにおいて異なる電極材料を用いてもよい。
【0112】
電極の形成方法としては、真空蒸着、スパッタなどをもちいるのが一般的であるが、製造方法の簡略化のため、スプレーコート法、印刷法、インクジェット法などの塗布法による電極の形成方法が提案されている。また近年では紫外線照射によってゲート絶縁膜の面エネルギーを一部変化させ高精細な電極パターンを形成する塗布方法も提案されている。 塗布可能な電極材料としては、ナノ金属微粒子や有機π共役ポリマーなどがある。
【0113】
塗布法による電極形成の際、ナノ金属インクや有機π共役ポリマーの溶媒としては、本発明のゲート絶縁膜へのダメージ(インターミキシング)が少ないことから、水や各種アルコール類が好ましい。
また、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、n−エチル−2−ピロリドン、n−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素などの極性溶媒も電極材料の溶解性に優れる観点から好ましいが、これらは、本発明のゲート絶縁膜へのダメージが少ない範囲において使用することが好ましい。
【0114】
本発明の薄膜トランジスタに含まれる半導体層に用いられる材料は、本発明のゲート絶縁膜上、上記の電極上、及び上記のプラスチック基板上に形成可能であれば特に限定されないが、具体例として、ペンタセン、オリゴチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体などの有機低分子材料、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などのπ共役ポリマー、InGaZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系、ZnO、SnO2等の酸化物半導体などが挙げられる。
【0115】
これら半導体材料の成膜方法は、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法、スプレー法などを用いることができる。特に、インクジェット法、スプレー法などの塗布法は簡便であり、製造コストを下げることができるので好ましい。
【0116】
塗布法に適した半導体材料としては、溶媒溶解性が高く、均一な薄膜が容易に得られるπ共役ポリマーが挙げられる。
【0117】
成膜の際、π共役ポリマーの溶媒としては、これらを溶解または均一に分散させることができ、かつ本発明のゲート絶縁膜へのダメージ(インターミキシングなど)が少ないものであれば特に限定されず、オルトジクロロベンゼン、キシレン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンなどを例示することができる。
【実施例】
【0118】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
【0119】
(合成例1)
(ポリシロキサン1の調製例))
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS) 415部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)756部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。
次いで、「Phoslex A−4」〔堺化学(株)製のiso−ブチルアシッドホスフェート〕 0.1部と脱イオン水 121部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1〜30キロパスカル(kPa)の減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1−1) 1000部を得た。
尚、「有効成分」とは、使用したシランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)を、加水分解縮合反応後の実収量(重量部)で除した値、即ち、〔シランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)/加水分解縮合反応後の実収量(重量部)〕の式により算出したものである。
【0120】
(合成例2)
(複合樹脂1の調製例)
合成例1と同様の反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(PTMS) 20.1部、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS) 24.4部、酢酸n−ブチル 106.4部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。
次いで、メチルメタクリレート(MMA) 15部、n− ブチルメタクリレート(BMA) 45部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA) 39部、n−ブチルアクリレート(BA) 1.5部、アクリル酸(AA) 1.5部、MPTS 4.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 45部、酢酸n−ブチル 15部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH) 15部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。
さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「Phoslex A−4」0.05部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で4時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。
反応生成物を、H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。
次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前記反応生成物に、合成例1で得られたポリシロキサン(a1−1) 162.5部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水 27.5部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンの加水分解縮合反応を行った。
得られた反応生成物を、10〜300kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン(MEK) 150部、酢酸n−ブチル 27.3部を添加し、不揮発分が55.0%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A−1) 600部を得た。
複合樹脂(A−1)は、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)の比が50/50で、ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有量が14%であった。
【0121】
(合成例3)
(ポリシロキサン2の調製例)
合成例1の添加量をMTMS425部、MPTS588部、シアノエチルトリエトキシシラン238部へ変更した以外は、同様の合成方法を行うことで、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1−2)1000部を得た。
【0122】
(合成例4)
(複合樹脂2の調製例)
合成例3と同様の反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(PTMS) 20.1部、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS) 24.4部、酢酸n−ブチル 106.4部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。
次いで、メチルメタクリレート(MMA) 15部、n− ブチルメタクリレート(BMA) 45部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA) 39部、n−ブチルアクリレート(BA) 1.5部、アクリル酸(AA) 1.5部、MPTS 4.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 45部、酢酸n−ブチル 15部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH) 15部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。
さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「Phoslex A−4」0.05部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で4時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。
反応生成物を、H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。
次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前記反応生成物に、合成例3で得られたポリシロキサン(a1−2) 162.5部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水 27.5部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンの加水分解縮合反応を行った。
得られた反応生成物を、10〜300kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン(MEK) 150部、酢酸n−ブチル 27.3部を添加し、不揮発分が55.0%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A−2) 600部を得た。
複合樹脂(A−2)は、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)の比が50/50で、ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有量が11%であった。
【0123】
(実施例1)
(塗料の調製)
合成例2で得られた複合樹脂(A−1)を固形分濃度が20wt%になるようシクロヘキサノンで希釈し、開始剤としてイルガキュア(登録商標)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を固形分に対して2部添加し、塗料Aを得た。
【0124】
(耐溶剤性試験)
塗料Aをガラス基板(5cm角、厚み0.7mm)に、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。
その後オーブンで、80℃、10分間加熱処理し、有機溶媒を揮発させた後、窒素雰囲気下で500mJ/cmの条件となるように1分間UV照射を行って硬化し、膜厚約700nmの樹脂付きガラス基板を得た。
得られた樹脂つきガラス基板に、o−ジクロロベンゼンをスポイドで数滴たらし、大気中室温で30分放置し、その後、オーブンで80℃30分熱処理した。
そして、得られた樹脂つきガラス基板を目視により耐溶剤性を評価した。
結果を表1に示す。
【0125】
(絶縁性評価)
塗料Aをクロム付きガラス基板(2.5cm角、厚み1mm)に、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。
その後オーブンで、80℃、10分間加熱処理し、有機溶媒を揮発させた後、窒素雰囲気下で500mJ/cmの条件となるように1分間UV照射を行って硬化し、厚み約700nmの樹脂塗布ガラス基板を得た。
次に、表面を金蒸着することで、ガラス/クロム/樹脂/金で構成された積層板を得た。
そして、得られた基板の電流―電圧測定を行った。
結果を表1に示す。
【0126】
(トランジスタ特性)
塗料Aをゲート電極としてクロムを用いたパターン処理ガラス基板(5cm角、厚み0.7mm)に、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後オーブンで、80℃、10分間加熱処理し、有機溶媒を揮発させた後、窒素雰囲気下で500mJ/cmの条件となるように1分間UV照射を行って硬化し、厚さ約700nmのゲート絶縁膜を得た。
【0127】
次に、上記ゲート絶縁膜上に金を約40nm積層し、チャネル長Lが100μm、チャネル幅Wが2mmのソース・ドレイン電極を形成した。
さらに、ポリ(3−ヘキシル)チオフェン(メルク社製、重量平均分子量約5万、以下、P3HTと称す)を0.5質量%の濃度でo―ジクロロベンゼンに溶解し、P3HTの塗布溶液を調製し、該塗布液を前述のゲート絶縁膜およびソースドレイン電極上にディスペンサーにより塗布した。
その後、溶媒および水分を完全に揮発させるため、オーブンで窒素雰囲気か150℃、15分間加熱処理し、半導体層とし、有機トランジスタを完成させた。
なお、図2に示した有機薄膜トランジスタの断面図は、実施例1の有機トランジスタに相当する。
【0128】
上述より、得られた有機トランジスタの真空中の電気特性のドレイン電流とゲート電圧
の特性を評価した。
詳細には、ソース・ドレイン電圧(VD)を−40Vとして、ゲート電圧(VG)を+40Vから−80Vまで、2Vステップで変化させ、電流が十分安定するまで1秒間電圧を保持した後の値をドレイン電流の測定値として記録した。
なお、測定には、半導体パラメータアナライザー Keithley社製、製品名SCS4200を用いた。
【0129】
一般に、飽和状態におけるドレイン電流IDは下記式で表すことができる。つまり、有機半導体の移動度μは、ドレイン電流IDの絶対値の平方根を縦軸に、ゲート電圧VGを横軸にプロットしたときのグラフの傾きから求めることができる。
ID=WCμ(VG−VT)2/2L
【0130】
上記式において、Wはトランジスタのチャネル幅、Lはトランジスタのチャネル長、Cはゲート絶縁膜の静電容量、VTはトランジスタの閾値電圧、μは移動度である。P3HTの移動度μをこの式を元に計算したところ、2×10−3cm/Vsとなった。また閾値電圧は+3.0V、オン状態とオフ状態の比(オン/オフ比)は10のオーダーであった。なお、ヒステリシスはみられなかった。なお、有機トランジスタの評価は窒素雰囲気中で行った。すなわち、塗料Aから得られたゲート絶縁膜は有機トランジスタ用ゲート絶縁膜として適用可能であることが示された。
【0131】
(実施例2)
合成例4で得られた複合樹脂(A−2)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製 アロニックス(登録商標)M−402)を複合樹脂100部に対して5部添加し、固形分濃度が20wt%になるようシクロヘキサノンで希釈し、開始剤としてイルガキュア(登録商標)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を固形分に対して2部添加し、塗料Bを得た。
【0132】
得られた塗料Bを用いて、実施例1と同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価、トランジスタ評価を行った。
実施例1同様、トランジスタ評価においてヒステリシスは見られなかった。
結果は、表1、2に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
(合成例5)
(ポリシロキサン3の調製例)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS) 415部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)756部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。
次いで、「Phoslex A−4」〔堺化学(株)製のiso−ブチルアシッドホスフェート〕 0.1部と脱イオン水 121部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1〜30キロパスカル(kPa)の減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1−3) 1000部を得た。
【0136】
(比較例1)
合成例5で得られたポリシロキサン(a1−3)を固形分濃度が15wt%になるようシクロヘキサノンで希釈し、開始剤としてチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のイルガキュア(登録商標)907を固形分に対して2部添加し、塗料Cを得た。
【0137】
塗料Cを用いて、実施例1と同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価を行った。
結果は、表3に示す。
【0138】
(比較例2)
アクリル樹脂 (DIC(株)製 アクリディック(登録商標)198)を固形分13wt%になるようトルエンで希釈し、塗料Dを得た。
【0139】
(耐溶剤性試験)
塗料Dを用いて、塗膜の作成条件を80℃、60分間加熱処理し、有機溶媒を揮発させた以外は、実施例1と同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価を行った。
結果は、表3に示す。
【0140】
(絶縁性評価)
塗料Dをクロム付きガラス基板(2.5cm角、厚み1mm)に、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後オーブンで、80℃、60分間加熱処理し、有機溶媒を揮発させた厚み約700nmの樹脂塗布ガラス基板を得た。
次に、表面を金蒸着することで、ガラス/クロム/樹脂/金で構成された積層板を得た。
そして、得られた基板の電流―電圧測定を行った。
結果を表3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
(合成例6)
(ポリシロキサン4の調製例)
合成例1の添加量をMTMS 413部、PTMS 517部、p−スチリルトリメトキシシラン 303部へ変更した以外は、同様の合成方法を行うことで、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1−4) 1000部を得た。
【0143】
(合成例7)
(複合樹脂3の調製例)
合成例3と同様の反応容器に、PTMS 22.1部、シクロヘキサノン 118.5部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、スチレン(St) 148.5部、MPTS 16.5部、シクロヘキサノン 16.5部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH) 9.9部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。
さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「Phoslex A−4」0.02部と脱イオン水 6.0部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で4時間攪拌することにより、PTMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。
反応生成物を、H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。
次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前記反応生成物に、合成例6で得られたポリシロキサン(a1−4) 162.4部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水 38.8部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンの加水分解縮合反応を行った。
得られた反応生成物を、10〜300kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、シクロヘキサノン 188.3部を添加し、不揮発分が55.0%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A−3) 600部を得た。
複合樹脂(A−3)は、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)の比が50/50で、ポリシロキサンセグメント(a1)中の4−ビニルフェニル基の含有量が15%であった。
【0144】
(合成例8)
(ポリシロキサン5の調製例)
合成例1の添加量をMTMS 413部、PTMS 517部、MPTS 290部へ変更した以外は、同様の合成方法を行うことで、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1−5) 1000部を得た。
【0145】
(合成例9)
(複合樹脂4の調製例)
合成例3と同様の反応容器に、PTMS 22.1部、シクロヘキサノン 118.5部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、スチレン(St) 148.5部、MPTS 16.5部、シクロヘキサノン 16.5部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH) 9.9部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。
さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「Phoslex A−4」0.02部と脱イオン水 6.0部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で4時間攪拌することにより、PTMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。
反応生成物を、H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前記反応生成物に、合成例8で得られたポリシロキサン(a1−5) 162.4部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水 37.8部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンの加水分解縮合反応を行った。
得られた反応生成物を、10〜300kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、シクロヘキサノン 186.5部を添加し、不揮発分が55.0%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A−4) 600部を得た。
複合樹脂(A−4)は、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)の比が50/50で、ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有量が5%であった。
【0146】
(実施例3)
(インキの調整)
合成例7で得られた複合樹脂(A−3)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製 アロニックスM−402)を複合樹脂に対して20部添加し、固形分濃度が15wt%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、開始剤としてイルガキュア907を固形分に対して2部添加し絶縁インキAを得た。絶縁インキAの粘度は、25℃で20mPa・sであった。
【0147】
得られた絶縁インキAを用いて、実施例1と同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価、トランジスタ評価を行った。実施例1同様、トランジスタ評価においてヒステリシスは見られなかった。
結果は、表4、5に示す。
【0148】
(実施例4)
合成例9で得られた複合樹脂(A−4)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製 アロニックス(登録商標)M−402)を複合樹脂(A−4)100部に対して20部添加し、固形分濃度が12wt%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、開始剤としてイルガキュア907を固形分に対して2部添加し絶縁インキBを得た。
絶縁インキBの粘度は、25℃で15mPa・sであった。
得られた絶縁インキBを用いて、実施例1と同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価、トランジスタ評価を行った。
実施例1同様、トランジスタ評価においてヒステリシスは見られなかった。
結果は、表4、5に示す。
【0149】
(実施例5)
合成例2で得られた複合樹脂(A−1)とポリイソシアネート(DIC(株)製 バーノック(登録商標)DN−902Sを複合樹脂(A−1)100部に対して16部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製 アロニックス(登録商標)M−402)を10部添加し、固形分濃度が10wt%になるようシクロヘキサノンで希釈し、開始剤としてイルガキュア907を固形分に対して2部添加し、絶縁インキCを得た。
絶縁インキCの粘度は、25℃で20mPa・sであった。
得られた絶縁インキCを用いて、実施例1のUV照射後に、60℃オーブンでアニールを行う以外は同様に、耐溶剤性試験、絶縁性評価、トランジスタ評価を行った。
実施例1同様、トランジスタ評価においてヒステリシスは見られなかった。
結果は、表4、5に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
【表5】
【0152】
比較例1においては、リーク電流密度が実施例と比較して十分でなかった。また比較例1及び2は、耐溶剤性を有さないことから、印刷法でのトランジスタモジュール製造には適さないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の絶縁材料及び絶縁膜は、薄膜トランジスタ用ゲート絶縁膜、半導体用層間絶縁膜をはじめとした各種電子部材に好適に利用可能である。
【0154】
(符号の説明)
1 支持体(基板)
2 ゲート電極
3 絶縁層(ゲート絶縁膜)
4 ソース、ドレイン電極
5 有機半導体膜(層)
図1
図2