特許第6288923号(P6288923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6288923符号化方法、タイムコード信号発生装置、動画記録再生装置及び動画編集装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6288923
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】符号化方法、タイムコード信号発生装置、動画記録再生装置及び動画編集装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/92 20060101AFI20180226BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H04N5/92 H
   H04N5/91 N
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-35197(P2013-35197)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-165682(P2014-165682A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月4日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小出 大一
【審査官】 後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−197455(JP,A)
【文献】 特開2012−060509(JP,A)
【文献】 特開2004−303386(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038522(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/04− 5/12
H04N 5/76
H04N 5/80− 5/907
H04N 5/91− 5/956
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、
120fpsの映像フォーマットの場合に、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、60fpsの場合の2つのサブフレーム識別子を含む4つのサブフレーム識別子を順に付与し、
当該4つのサブフレーム識別子を、互いに異なる表示用キャラクタを対応付けた2ビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを60fpsの場合の1ビットと共通にする符号化方法。
【請求項2】
前記4つのサブフレーム識別子を表現する符号を、順に、00、01、11、10とする請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、
30×2[fps](nは2以上の整数)の映像フォーマットの場合に、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、2個のサブフレーム識別子を付与し、
当該サブフレーム識別子を、互いに異なる表示用キャラクタを対応付けたnビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを30×2n−1[fps]の場合のn−1ビットと共通にする符号化方法。
【請求項4】
映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、
30×m[fps](mは2以上の整数)の映像フォーマットの場合に、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、m個のサブフレーム識別子を付与し、
当該サブフレーム識別子を、互いに異なる表示用キャラクタを対応付けた、
30×m[fps]≦30×2[fps](nは整数)
の関係が成り立つ最小のnビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを30×2n−1[fps]の場合のn−1ビットと共通にする符号化方法。
【請求項5】
映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、
24×m[fps](mは3以上の整数)の映像フォーマットの場合に、0から23までのフレーム番号それぞれに対して、m個のサブフレーム識別子を付与し、
当該サブフレーム識別子を、互いに異なる表示用キャラクタを対応付けた、
24×m[fps]≦24×2[fps](nは整数)
の関係が成り立つ最小のnビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを24×2n−1[fps]の場合のn−1ビットと共通にする符号化方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の符号化方法によって符号化されたタイムコードを順次発生させるタイムコード信号発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像フォーマットのフレームに割り当てられるタイムコードの符号化方法、タイムコード信号発生装置、動画記録再生装置及び動画編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送局又は映画製作現場等における映像編集を行う業務では、映像信号のフレーム1枚毎に固有の番号を割り当てたタイムコード(Time Code、以下TCという。)と呼ばれるインデキシング情報が利用されている。TCは、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers、米国映画テレビ技術者協会)において標準化されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、映像フォーマットとして、複数のフレームレートが採用されている。
例えば、映画の場合、主に1秒間に24フレーム(24 Frame per second、以下24fps)での動画撮影及び表示を行っている。また、テレビの場合、NTSCフォーマットでは、60fps又は59.94fps、PAL及びSECAMでは、50fps、HDTV(High−definition television)では、59.94fpsで運用されている。
特に、VTRやその他映像記録機器では、LTC(Longitudinal Time Code)又はVITC(Vertical Interval Time Code)等のTCが採用され、映像編集業務等に利用されている。
また、これら映像フォーマットの間でタイムコードを変換、生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
さらに、近年、120、180、240Hz等の倍速表示ディスプレイや、120、240Hz駆動撮像素子が登場している。
また、映像の画素数フォーマットについても、1920×1080のHDTVから、3840×2160の、いわゆる4k2kや、7680×4320の、いわゆる8Kと高精細化され、画面も大型化の傾向にある。このため、動画表示時の時間分解能の粗さが目立つようになり、時間分解能を上げるために、60fpsを超える高いフレームレートの映像フォーマットが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4438849号公報
【特許文献2】特許第4130376号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】SMPTE 12M
【非特許文献2】SMPTE 262M
【非特許文献3】SMPTE 309M
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、60fps以下の映像フォーマットの場合、業務用の映像編集、音入れ作業、映像と音声の同期運転、放送送出等において、従来のTCフォーマットで運用できていた。
例えば、NTSC又はHDTVの525,1080/60方式においては、1秒間に30フレーム又は29.97フレームの画像を表示し、インタレース方式では、1秒間に60フレームの映像を、奇数(odd)番号の走査線で構成されるフレームと、偶数(even)番号の走査線で構成されるフレームとで分けてインデキシングして表示している。このとき、TCには、0f odd/even、1f odd/even、・・・、29f odd/evenの順で、1秒当たり60のフレーム番号が割り当てられる。
【0008】
ところが、120fps又は240fps等で撮影し表示される映像信号について、既存のTCを基準に同期運転したり映像編集したりする場合、TCに対してフレーム数が多いために、各フレームに固有のTCが割り当てられない。
【0009】
本発明は、60fpsを超えるフレームレートの映像フォーマットの場合にも、各フレームを一意に識別できるTCの符号化方法、TC信号発生装置、動画記録再生装置及び動画編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る符号化方法は、映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、120fpsの映像フォーマットの場合に、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、60fpsの場合の2つのサブフレーム識別子を含む4つのサブフレーム識別子を順に付与し、当該4つのサブフレーム識別子を、2ビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを60fpsの場合の1ビットと共通にする構成である。
【0011】
この構成によれば、60fpsの映像フォーマットで用いられるタイムコードを継承して、120fpsの映像フォーマットに対しても、各フレームに固有のタイムコードが割り当てられて符号化される。これにより、120fpsの映像素材に対して、フレーム精度でのインデキシング、編集及び同期再生等が可能となる。
さらに、このタイムコードは、60fpsの映像フォーマットのタイムコードと上位ビットが共通であることにより高い互換性がある。これにより、例えば、120fpsの映像を60fpsに容易にダウンコンバートでき、また、変換後も容易にこの映像素材を取り扱うことができる。
【0012】
前記4つのサブフレーム識別子を表現する符号を、順に、00、01、11、10としてもよい。
【0013】
この構成によれば、60fpsの映像フォーマットにおけるサブフレーム識別子に対応する符号間距離が最大となり、補完された120fps用のサブフレーム識別子に対応する符号間距離も最大となる。したがって、符号化されたタイムコードがランダムノイズを含む有線又は無線で伝送された場合に、符号誤りが起こり難く、正確に伝送される。
【0014】
本発明に係る符号化方法は、映像データを処理するコンピュータが所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、当該映像フォーマットのフレーム毎に割り当てられたタイムコードを符号化する符号化方法であって、30×2fps(nは2以上の整数)の映像フォーマットの場合に、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、2個のサブフレーム識別子を付与し、当該サブフレーム識別子を、nビットの符号で表現し、かつ、上位ビットを30×2n−1fpsの場合のn−1ビットと共通にする構成である。
【0015】
この構成によれば、30×2n−1fpsの映像フォーマットで用いられるタイムコードを継承して、30×2fpsの映像フォーマットに対しても、各フレームに固有のタイムコードが割り当てられて符号化される。これにより、60fpsを超える映像素材に対して、フレーム精度でのインデキシング、編集及び同期再生等が可能となる。
さらに、このタイムコードの符号化方法は、自身よりも低いフレーム周波数(30×2n−1fps)のタイムコードと上位ビットが共通であることにより高い互換性がある。これにより、例えば、高いフレーム周波数の映像を容易にダウンコンバートでき、また、変換後も容易にこの映像素材を取り扱うことができる。
【0016】
本発明に係るタイムコード信号発生装置は、上記の符号化方法によって符号化されたタイムコードを順次発生させる構成である。
【0017】
本発明に係る動画記録再生装置は、上記の符号化方法によって符号化されたタイムコードが割り当てられた動画データを記録又は再生する構成である。
【0018】
本発明に係る動画編集装置は、上記の符号化方法によって符号化されたタイムコードによって編集対象のフレームを一意に識別する構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、60fpsを超えるフレームレートの映像フォーマットの場合にも、各フレームを一意に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るTCの割り当て方法を例示する図である。
図2】実施形態に係るバイナリデータ配置を例示する図である。
図3】実施形態に係るTCの配置を示す概念図である。
図4】実施形態に係るTCの表示例を示す図である。
図5】実施形態に係る動画記録再生装置の構成を示す図である。
図6】実施形態に係る映像フォーマット間の対応付けを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
映像データを処理するコンピュータは、所定のフレーム周波数を持つ映像フォーマットの時間同期をとるために、この映像フォーマットのフレーム毎に固有のTCを割り当てる。
【0022】
例えば、30P(30fps、プログレッシブ)のような30fpsの映像フォーマットの場合、1秒当たり0f(Frame)〜29fの30フレーム分のTCが割り当てられる。また、60i(インタレース)又は60P(プログレッシブ)のような60fpsの映像フォーマットの場合、1秒当たり0f−Odd、0f−Even、1f−Odd、1f−Even、・・・、29f−Odd、29f−Evenのように、30枚のメインフレームのそれぞれに対して2枚のサブフレーム(Odd/Even)があるものとして、合計で60フレーム分のTCが割り当てられる。
【0023】
60fpsを超えるフレーム周波数を持つ映像フォーマットの場合に、60fps以下のフレーム周波数(例えば、60fps)を持つ映像フォーマットで用いられるTCの間を補完するサブフレーム識別子が付与される。これにより、60fps以下のフレーム周波数を持つ映像フォーマットで用いられるTCとの互換性を保ち、かつ、各フレーム(サブフレーム)が一意に識別される。
【0024】
図1は、本実施形態に係るTCの割り当て方法を例示する図である。
この例では、120fpsで撮像され表示される動画の場合に、各フレームに対して同期運転や記録のためにTCを割り当てる方法を示している。
【0025】
120fpsの映像フォーマットの場合に、1秒間に相当する120枚のフレームは、まず、00から29までのフレーム番号にグループ化される。そして、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、60fpsの場合の2つのサブフレーム識別子(Odd/Even)を含む4つのサブフレーム識別子(Odd/Quater/Even/Three−Quarters)が順に付与される。これにより、1秒当たり120フレームの全てに固有のTCが割り当てられる。
【0026】
また、これら4つのサブフレーム識別子(Odd/Quater/Even/Three−Quarters)は、バイナリ(デジタル)データで表現される場合、2ビットに符号化されてコンピュータ処理される。
このとき、2ビットの一方、例えば上位ビットは、60fpsの場合の1ビットと共通である。具体的には、4つのサブフレーム識別子を表現する符号は、順に、00、01、11、10とされる。これにより、120fpsの映像フォーマットに割り当てられたTCの半数が、60fpsの場合のOdd(符号:0)及びEven(符号:1)と共通化されるので、互換性が保たれる。
【0027】
SDI伝送フォーマットで送信されるデジタルビデオストリームの補助領域(アンセラリデータ)に重畳するTC、例えば、コードワード長が80ビットで構成されるLTC、又は90ビットで構成されるVITC等について、上述の符号化が適用可能である。さらに、例えば、MXF(Material Exchange Format)ファイルにラップされ、KLV(Key Length Value)構造を持つメタデータの中に付与されたTCについても同様である。
【0028】
図2は、本実施形態に係るバイナリデータ配置を例示する図である。
この例は、SMPTE 12M規格における1125/60テレビフォーマットのVITCを表現するためのバイナリデータ配置である。
【0029】
サブフレーム識別子は、任意のビット割り当てが可能なバイナリグループのうち、Odd/Evenを表現するためのビット(35ビット目の「フィールド表示マーク」)が「Odd:0、Even:1」で表現される場合、続くバイナリグループビット(36ビット目)に符号を付加して、計2ビットで表現される。
これにより、「Odd:00、Quarter:01、Even:11、Three−Quarters:10」と表現される。
【0030】
これにより、120fpsフォーマットの動画と、30P、60i、60P動画との混合編集を行う際に、ビットの互換性が保たれる。
また、Odd及びEvenについて、2ビット目を1ビット目に揃えることにより、両者のユークリッド距離を最大、すなわち全てのビットを反転した関係にする。これにより、例えば、これらの符号を、ランダムノイズを含む有線又は無線で伝送した場合に、符号誤りが起こり難く、正確に伝送される。
【0031】
さらに、Quarterを「01」とすることで「Odd:00」に隣接した表記となり、また、Three−Quartersを「10」とすることで、「Even:11」に隣接した表記となる。これらQuarter及びThree−Quartersの符号のユークリッド距離が最大となることで、Odd及びEvenの場合と同様に、符号誤りが起こり難くなる。
【0032】
図3は、本実施形態に係る120fpsの映像フォーマットにおけるTCの配置を示す概念図である。
【0033】
120fpsにおけるTCは、円周上で、30fpsのフレーム情報に対して位相を90度ずつずらした等間隔の配置として表現できる。具体的には、xf−Oddは0度、xf−Quarterは90度、xf−Evenは180度、xf−Three−Quartersは270度に配置される。
【0034】
そして、OddとEvenとが対向し、QuarterとThree−Quartersとが対向しているので、それぞれの組み合わせのユークリッド距離が最大となるように、サブフレームOdd/Quarter/Even/Three−Quartersは、それぞれ、00/01/11/10と符号化される。
【0035】
また、サブフレーム識別子のOdd/Quarter/Even/Three−Quartersのそれぞれに対して、互いに異なる表示用キャラクタ、例えば、O/Q/E/Tが対応付けられている。これにより、120fpsの場合、フレーム情報は、xf−O、xf−Q、xf−E、xf−T(xは0〜29)のように表される。
したがって、TCは、時間情報と共に、例えば、「10h10m10s15f−O」、「10h10m10s15f−Q」、「10h10m10s15f−E」、「10h10m10s15f−T」のように順に表記される。
【0036】
図4は、本実施形態に係る動画編集装置におけるTCの表示例を示す図である。
動画編集作業又は音入れ作業等の業務の際には、映像にTCが重畳して、又は映像の近傍にTCが表示される。作業者は、O、Q、E、Tの記号によってサブフレームを容易に視認でき、効率的に作業できる。
また、フレームレートが異なる複数の映像を編集する場合にも、サブフレーム識別子の少なくとも一部(例えば、O/E)が共通しているため、時間同期がとれ、作業が効率化される。
【0037】
次に、120fps以外のフレームレートの場合について説明する。
30×2fps(nは2以上の整数)の映像フォーマットの場合、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、30×2n−1fpsの場合のサブフレーム識別子を含む2個のサブフレーム識別子を付与する。
この場合、サブフレーム識別子は、nビットの符号で表現される。上述の120fpsの場合と同様に、これらのビットは、任意のバイナリグループビット(図2)に割り当て可能である。
【0038】
また、この場合、サブフレーム識別子を示すnビットの符号のうち、上位ビットを30×2n−1fpsの場合のn−1ビットと共通にする。例えば、240fpsの場合、120fpsで使用される2ビットとの互換性を保ちつつ、3ビット目が割り当てられる。
このとき、2個のサブフレーム識別子を順に円周上に等間隔で配置した場合に対向するサブフレーム識別子同士を、ユークリッド距離が最大となるように符号化する。
【0039】
30×mfps(mは3以上の整数)の映像フォーマットの場合、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、m個のサブフレーム識別子を付与する。
この場合、サブフレーム識別子は、
30×mfps≦30×2fps(nは整数)
の関係が成り立つ最小のnビットの符号で表現される。例えば、180(=30×6)fpsの場合、
30×2≦180≦30×2
の関係が成り立つので、3ビットで符号化される。
【0040】
24×mfps(mは3以上の整数)の映像フォーマットの場合、0から23までのフレーム番号それぞれに対して、m個のサブフレーム識別子を付与する。
この場合、サブフレーム識別子は、
24×mfps≦24×2fps(nは整数)
の関係が成り立つ最小のnビットの符号で表現される。例えば、240(=24×10)fpsの場合、
24×2≦240≦24×2
の関係が成り立つので、4ビットで符号化される。
【0041】
なお、従来のテレビ映像フォーマットにおけるNDF(No Drop Frame)モードの30fps、及びDF(Drop Frame)モードの29.97fpsと同様に、120fpsの映像フォーマットの場合も、NDFモード(120fps)及びDFモード(例えば、119.88fps)の各モードが考えられる。この場合にも、互換性が保たれているので、30fps又は60fpsの場合と同様に、10分毎の00、10、20、30、40、50分を除く毎分の0f及び1fの2フレーム分を落とす方法により、TCが割り当てられる。
【0042】
図5は、本実施形態に係る動画記録再生装置1の構成を示す図である。
動画記録再生装置1は、入力部10と、TC信号発生部20と、記録再生部30と、伝送部40と、出力部50とを備える。
【0043】
入力部10には、撮像された映像又は収録された音声、あるいは別の再生装置から送信された映像又は音声が入力される。
このとき、同期のマスタ機器となるジェネレータから、TCが入力され、TC信号発生部20がスレーブ機器として動作してもよい。
【0044】
TC信号発生部20は、例えば、120fpsのTCを順に生成し、記録再生部30へ提供する。
なお、動画記録再生装置1が複数のフレームレートに対応する場合、フレームレートを示すフラグが映像と共に入力されてもよいし、切り替えスイッチ等の操作によってユーザにより指定されてもよい。
【0045】
記録再生部30は、入力部10を介して入力された映像又は音声のそれぞれを記録し、再生した信号を、出力部50を介して外部機器へ出力する。
このとき、記録再生部30は、入力された映像又は音声にTCが割り当てられていなければ、TC信号発生部20から受信したTCを、映像フレーム及び音声データに対して順に割り当てて記録する。
【0046】
伝送部40は、映像信号、音声信号及びTC信号を、それぞれ単独で、又はHD−SDIインタフェース等により多重化して伝送する。
動画再生時には、記録再生部30は、映像信号、音声信号及びTC信号を同期させながら、伝送部40により出力部50を介して出力する。
【0047】
また、動画編集装置においては、映像及び音声に割り当てられたTCに基づいて、任意のフレームからフレームまでを一意に選別し、カット等の編集が可能である。
さらに、上述のように60fpsを超えるフレームレートの映像フォーマットに対してTCが割り当てられると、フレームレートが異なる複数の映像素材を混合編集することができる。
【0048】
図6は、本実施形態に係る異なるフレームレートの映像フォーマット間の対応付けを例示する図である。
この例は、120fpsのTCと60fps(例えば、60i、60P)のTCとの対応付けを示している。
【0049】
上述のように、120fpsの映像には、1秒間のうち、0フレーム(f)から29フレームに、それぞれOdd/Quarter/Even/Three−Quartersの4つのサブフレーム識別子が付与されたTCが割り当てられる。また、60fpsの映像には、1秒間のうち、0フレーム(f)から29フレームに、それぞれOdd/Evenの2つのサブフレーム識別子が付与されたTCが割り当てられる。
【0050】
このとき、120fpsの映像フレームのうち、先頭のサブフレーム(Odd)と、1つ飛んだ3番目のサブフレーム(Even)を選択することで、60fpsの場合のTCと同様に扱うことができる。すなわち、Odd及びEvenのサブフレームのみを選択することにより、120fpsの映像と60fpsの映像とが対応付けられ、同一のフレーム番号及びサブフレーム識別子によりカット編集が可能となる。
【0051】
このとき、120fpsの映像については、1つ飛びのフレームを使用するため、60fpsの映像と同様の時間解像度の映像データが得られる。したがって、混合編集後に、60fpsの映像データが容易に得られる。つまり、複数のフレームレートの間でTCに互換性があり、編集によって時間方向の解像度が劣化しない。
【0052】
なお、30fps(例えば、30P)の場合は、Oddのみを使用することにより、同様に60fps又は120fpsと互換性が保たれ、編集により時間方向の解像度は劣化しない。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、60fpsよりも大きい、例えば、120fpsの高フレームレートの映像素材に対し、映像編集等の作業を行うためのTCがフレーム単位で割り当てられるので、フレーム精度での編集及びインデキシングが可能となる。これにより、60fpsを超える高フレームレートの映像素材を、容易に精度良く編集することができる。
【0054】
また、個別のフレームに固有の記号O、Q、E、Tが与えられるので、映像の上又は近傍にガイドでTCを表示しても、Odd、Quarter、Even、Three−Quartersのいずれのフレームなのかが一目で判別され、映像編集作業、音入れ作業等の映像制作業務が効率的になる。
【0055】
また、60fpsを超える映像フォーマットのTCは、従来の60fps以下の映像フォーマットのTCと互換性があるので、60fpsを超える映像を60fps以下にダウンコンバートした後も容易にこの映像素材を取り扱うことができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0057】
なお、前述のTCの割り当て方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROMのようなリムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 動画記録再生装置
10 入力部
20 TC信号発生部
30 記録再生部
40 伝送部
50 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6