(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を
図1〜
図7に従って説明する。
図1(a)に示すように、半導体パッケージ1は、配線基板10と、半導体素子70と、アンダーフィル樹脂75とを有している。配線基板10は、配線パターン20と、絶縁層30と、基板40と、半導体素子50と、導体ワイヤ55,56,57と、絶縁層60と、ソルダレジスト層65とを有している。この配線基板10は、配線パターン20及び絶縁層30と基板40とによって形成される収容部A1に半導体素子50を内蔵した基板である。
【0012】
配線パターン20は、同一の平面上に多数形成されている。配線パターン20の一部のパターンには、その配線パターン20の下面から絶縁層60側(ここでは、下側)に突出する突起部25が形成されている。例えば、半導体素子50の接続端子51が接続される部分の配線パターン20には上記突起部25が形成されている。また、導体ワイヤ55,56,57が接続される部分の配線パターン20には上記突起部25が形成されている。さらに、配線パターン20は、当該半導体パッケージ1の周縁部に枠状に形成された配線パターン21を有している。そして、配線パターン21の下面には枠状の突起部25Aが形成されている。各突起部25及び突起部25Aは、例えば断面視略矩形状に形成されている。
【0013】
絶縁層30は、配線パターン20の側面及び突起部25,25Aの側面を被覆するように形成されている。この絶縁層30は、配線パターン20同士を電気的に絶縁する機能と、配線パターン20同士を接着する機能とを有している。すなわち、多数の配線パターン20は絶縁層30によって支持されている。本例の絶縁層30は、その下面が突起部25,25Aの下面と面一になるように形成されている。なお、突起部25,25Aを、その下面が絶縁層30の下面よりも下方に突出するように形成するようにしてもよい。絶縁層30の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機樹脂を用いることができる。
【0014】
また、配線パターン20の一部のパターンは、絶縁層30の上面から絶縁層60とは反対側(ここでは、上側)に突出する突起部26を有している。例えば、半導体素子70の接続端子71が接続される部分の配線パターン20は上記突起部26を有している。各突起部26は、例えば断面視略半円状や断面視台形状に形成されている。
【0015】
ここで、配線パターン20及び突起部26の例としては、配線パターン20の下面側から銅(Cu)層/ニッケル(Ni)層/金(Au)層を順に積層した金属層を挙げることができる。また、配線パターン20及び突起部26の例としては、配線パターン20の下面側から、Cu層/Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層を順に積層した金属層、Cu層/Ni層/Pd層/銀(Ag)層を順に積層した金属層、Cu層/Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。ここで、上記Cu層はCu又はCu合金からなる金属層、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層、上記Ag層はAg又はAg合金からなる金属層である。このように、配線パターン20及び突起部26としては、Au層やAg層が絶縁層30から露出された金属層を用いることができる。また、突起部25の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0016】
図1(b)に示すように、基板40は、当該半導体パッケージ1の外周領域に形成された枠状の突起部25Aの下面に接合されている。例えば、基板40は、図示しない接着剤により、突起部25Aの下面に接着されている。基板40は、複数の配線層と複数の層間絶縁層とが交互に積層された多層配線基板である。本例の基板40では、3層の配線層41,42,43と3層の層間絶縁層44,45,46とが交互に積層され、層間絶縁層44,45,46にそれぞれ設けられたビア47,48,49によって配線層41,42,43及び突起部25Aが電気的に接続されている。なお、配線層41,42,43及びビア47,48,49の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。層間絶縁層44,45,46の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機樹脂を用いることができる。また、層間絶縁層44,45,46の材料としては、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ系やポリイミド系の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることもできる。
【0017】
図2に示すように、基板40は、その中央部に空洞部Bが形成されており、枠状に形成されている。具体的には、基板40の中央部には、側面に複数の段差を有する空洞部Bが形成されている。
【0018】
詳述すると、
図1(b)に示すように、突起部25Aの下面には、開口部B1を有する層間絶縁層44が形成されている。層間絶縁層44の上面は、突起部25Aの下面よりも小さく形成されている。そして、層間絶縁層44の上面全面は上記枠状の突起部25Aによって被覆されている。なお、層間絶縁層44よりも内側に形成された突起部25Aの下面は、層間絶縁層44の開口部B1から枠状に露出されている。
【0019】
層間絶縁層44の下面には、開口部B1の近傍に接続パッドP1が配置された配線層41が形成されている。突起部25Aと配線層41とは、層間絶縁層44を厚さ方向に貫通するビア47によって電気的に接続されている。
【0020】
配線層41の下面には層間絶縁層45が形成されている。この層間絶縁層45には、上記接続パッドP1が内側にはみ出すように上記開口部B1よりも一回り開口径の大きい開口部B2が形成されている。このため、開口部B1の近傍に形成された層間絶縁層44の下面がその下層の層間絶縁層45の開口部B2から枠状に露出されている。そして、この枠状に露出された層間絶縁層44の下面に上記接続パッドP1が配置されている。
【0021】
また、上記層間絶縁層45の下面には、開口部B2の近傍に接続パッドP2が配置された配線層42が形成されている。配線層41と配線層42とは、層間絶縁層45を厚さ方向に貫通するビア48によって電気的に接続されている。
【0022】
配線層42の下面には層間絶縁層46が形成されている。この層間絶縁層46には、上記接続パッドP2が内側にはみ出すように上記開口部B2よりも一回り開口径の大きい開口部B3が形成されている。このため、開口部B2の近傍に形成された層間絶縁層45の下面がその下層の層間絶縁層46の開口部B3から枠状に露出されている。そして、この枠状に露出された層間絶縁層45の下面に上記接続パッドP2が配置されている。
【0023】
また、最外層(ここでは、最下層)の上記層間絶縁層46の下面には、最外層(ここでは、最下層)の配線層43が形成されている。配線層42と配線層43とは、層間絶縁層46を厚さ方向に貫通するビア49によって電気的に接続されている。
【0024】
このように、基板40の中央部には、側面の階段状の段差を有する空洞部Bが形成されている。具体的には、空洞部Bの内面は、層間絶縁層44(配線層41)の内側面と、層間絶縁層44(配線層41)の下面と、層間絶縁層45(配線層42)の内側面と、層間絶縁層45(配線層42)の下面と、層間絶縁層46の内側面と、層間絶縁層46の下面とによって階段状に形成されている。
【0025】
そして、空洞部Bの層間絶縁層44の上面側(開口部B1側)の開口端は、上記突起部25及び絶縁層30によって閉塞されている。
基板40の空洞部B(具体的には、基板40の空洞部Bの内面)と突起部25,25A及び絶縁層とによって囲まれた収容部A1には、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子が収容されている。具体的には、半導体素子50は、その回路形成面(ここでは、上面)に配設された接続端子51を上側(突起部25側)に向けた状態で上記収容部A1に収容されている。各半導体素子50は上記突起部25に接続されている。例えば、各半導体素子50は、配線パターン20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子50の接続端子51を上記配線パターン20の下面に形成された突起部25に接合することにより、半導体素子50は配線パターン20にフェイスダウンで接合される。この半導体素子50は、接続端子51及び突起部25を介して、配線パターン20と電気的に接続されている。ここで、突起部25を介して接続端子51と接続される配線パターン20の一部は、配線基板10の厚さ方向と断面視で直交する平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が例えば突起部25及び導体ワイヤ57を介して基板40の接続パッドP1,P2に接続される。
【0026】
なお、半導体素子50としては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。また、接続端子51としては、例えばはんだバンプやAuバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金やSnとAgとCuの合金を用いることができる。
【0027】
基板40の空洞部Bには、所定の突起部25同士を接続する導体ワイヤ55が設けられている。この導体ワイヤ55により、所定の配線パターン20同士が電気的に接続されている。換言すると、所定の配線パターン20同士は、導体ワイヤ55により3次元的(立体的)に電気的に接続されている。また、空洞部Bには、所定の突起部25と突起部25Aとを接続する導体ワイヤ56が設けられている。この導体ワイヤ56により、所定の配線パターン20と配線パターン21とが電気的に接続されている。さらに、空洞部Bには、所定の突起部25と基板40の接続パッドP1,P2とを接続する導体ワイヤ57が設けられている。この導体ワイヤ57により、所定の配線パターン20と基板40の配線層41,42とが電気的に接続されている。これら導体ワイヤ55,56,57の材料としては、立体的に湾曲可能な材料を用いることができる。例えば、導体ワイヤ55,56,57としては、Cuワイヤ、Auワイヤやアルミニウム(Al)ワイヤを用いることができる。
【0028】
絶縁層60は、空洞部B(具体的には、開口部B1,B2,B3)を充填するように形成されている。絶縁層60は、基板40の内側面(空洞部Bの側面)、基板40から露出された突起部25及び絶縁層30の下面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55,56,57を被覆するように形成されている。この絶縁層60は、絶縁層30よりも弾性率の低い絶縁層である。すなわち、絶縁層60は、絶縁層30を構成する有機樹脂よりも弾性率の低い低弾性材料によって形成されている。この低弾性材料としては、例えば室温(20〜30℃)付近におけるヤング率が1MPa以上10MPa以下の材料であることが好ましい。このような低弾性材料としては、例えばシリコーン系、フッ素系、ポリオレフィン系やウレタン系のエラストマーを用いることができる。
【0029】
ソルダレジスト層65は、配線パターン20の上面の一部及び絶縁層30の上面の一部を被覆するように形成されている。ソルダレジスト層65は、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子70が実装されるチップ実装領域に対応する位置に開口部65Xが形成されている。本例のソルダレジスト層65では、
図3に示すように、中央部に平面視略矩形状の開口部65Xが形成されている。
【0030】
図1(a)に示すように、以上説明した構造を有する配線基板10には、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子70が実装されている。具体的には、半導体素子70は、配線基板10のチップ実装領域にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子70の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子71を上記配線パターン20上に形成された突起部26に接合することにより、半導体素子70は配線基板10にフェイスダウンで接合される。この半導体素子70は、接続端子71及び突起部26を介して、配線パターン20と電気的に接続されている。
【0031】
ここで、
図1(b)に示すように、接続端子71のうち所要数(
図1では、2つ)の接続端子71Aは、配線基板10に内蔵された(絶縁層60内に配置された)半導体素子50の接続端子51と配線パターン20を共有している。具体的には、接続端子71Aは、配線パターン20を介して対向配置された接続端子51と単軸状に導電接続される。「単軸状に導電接続される」とは、配線パターン20等を厚さ方向と断面視で直交する平面方向に引き回すことなく、配線基板10の厚さ方向に形成された導体(ここでは、配線パターン20及び突起部25,26)により接続することをいう。すなわち、上記接続端子71Aは、所定の接続端子51と同一の平面座標(平面視で重なる位置)で直線的に接続されている。これにより、半導体素子50,70の接続端子51,71Aを最短距離で接続することができる。なお、詳細な図示は省略するが、接続端子71のうち所要数の接続端子71Bと突起部26を介して接続される配線パターン20は平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が、半導体素子50の接続端子51に接続されている、又は基板40の接続パッドP1,P2に接続されている。
【0032】
また、2つの半導体素子70は、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ55により相互に電気的に接続されている。詳述すると、接続端子71のうち所要数(ここでは、2つ)の接続端子71Cは、突起部26及び配線パターン20を介して突起部25に電気的に接続されている。そして、この突起部25は、導体ワイヤ55と接続され、その導体ワイヤ55を介して、他方の半導体素子70の接続端子71Cと電気的に接続される突起部25と電気的に接続されている。すなわち、一方の半導体素子70の接続端子71Cが突起部26、配線パターン20(第1配線パターン)、突起部25及び導体ワイヤ55を介して突起部25に電気的に接続され、その突起部25が配線パターン20(第2配線パターン)及び突起部26を介して他方の半導体素子70の接続端子71Cに接続されている。このように、2つの半導体素子70は、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ55により3次元的(立体的)に電気的に接続されている。なお、一方の半導体素子70の接続端子71Cと突起部26を介して接続された配線パターン20を平面方向に引き回し、その引き回した先の端部を突起部26を介して他方の半導体素子70の接続端子71Cに接続するようにしてもよい。
【0033】
図3に示すように、各半導体素子50及び各半導体素子70は平面視略矩形状に形成されている。2つの半導体素子70は、図中の左右方向に沿って並んで配置されている。また、配線基板10に内蔵された各半導体素子50は、その一部が対応する半導体素子70の一部と平面視において重なるように配置されている。すなわち、各半導体素子50と各半導体素子70とは、平面視において互いに一部のみが重なるように配置されている。このとき、2つの半導体素子50は、一方の半導体素子50と他方の半導体素子50との離間距離が、一方の半導体素子70と他方の半導体素子70との離間距離よりも長くなるように配置され、図中の左右方向に沿って並んで配置されている。
【0034】
上記半導体素子70としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、接続端子71としては、上記接続端子51と同様に、例えばはんだバンプやAuバンプを用いることができる。
【0035】
図1(a)に示すように、アンダーフィル樹脂75は、配線基板10の上面と半導体素子70の下面との隙間を充填するように設けられている。このアンダーフィル樹脂75は、接続端子71と突起部26との接続部分の接続強度を向上させると共に、配線パターン20の腐食やエレクトロマイグレーションの発生を抑制し、配線パターン20の信頼性の低下を防ぐための樹脂である。なお、アンダーフィル樹脂75の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0036】
次に、上記半導体パッケージ1の作用について説明する。
半導体パッケージ1では、半導体素子50と半導体素子70との間に配線パターン20を介在させ、その配線パターン20により半導体素子50,70を相互に電気的に接続するようにした。これによれば、半導体素子50,70と電気的に接続される配線パターン20を平面方向に引き回すことにより、電源の供給経路や外部接続I/Oの経路を容易に確保することができる。また、配線パターン20を平面方向に引き回して半導体素子50,70を電気的に接続することもできるため、本例のように半導体素子50と半導体素子70とを平面視でずれた位置に配置することもできる。すなわち、半導体素子50,70の配置自由度を向上させることができる。
【0037】
また、半導体素子70の接続端子71の一部を、共通の配線パターン20及び突起部25,26を介して、半導体素子50の接続端子51と平面視で重なる位置で直線的に接続するようにした。これにより、半導体素子50,70の接続端子51,71を短距離で接続することができる。したがって、回路動作の高速化や配線の浮遊容量の低減が可能になる。
【0038】
さらに、2つの半導体素子70を、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ55により相互に電気的に接続するようにした。すなわち、一方の半導体素子70の接続端子71と接続される配線パターン20と、他方の半導体素子70の接続端子71と接続される配線パターン20とを、立体的に湾曲可能な導体ワイヤ55を用いて電気的に接続するようにした。これにより、例えば接続端子71が極めて高密度になった場合であっても、その接続端子71と電気的に接続される配線パターン20同士を容易に接続することができる。
【0039】
次に、上記半導体パッケージ1の製造方法を説明する。
図4(a)に示す工程では、まず、支持基板80を準備する。この支持基板80は、例えば平面視矩形状の平板である。この支持基板80としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅板を用いる。この支持基板80の厚さは、例えば70〜200μm程度である。なお、支持基板80としては、半導体パッケージ1が多数個取れる大判の基板を使用することができる。
図4〜
図7においては、説明の便宜上、1つの半導体パッケージ1となる領域の一部分を拡大して示している。
【0040】
次に、
図4(b)に示す工程では、支持基板80の下面に、突起部26の形状に対応した開口部81Xを有するレジスト層81を形成する。レジスト層81の材料としては、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層81の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、支持基板80の下面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層81を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層81を形成することができる。
【0041】
続いて、レジスト層81をエッチングマスクとして、支持基板80を下面側からエッチング(ハーフエッチング)し、支持基板80の下面に凹部80Xを形成する。具体的には、レジスト層81の開口部81Xから露出された支持基板80を下面側からエッチングして薄化し、その露出された支持基板80の下面に凹部80Xを形成する。本工程のエッチング処理は、例えばウェットエッチング(等方性エッチング)により行うことができる。このようなウェットエッチングにより支持基板80を薄化する場合には、そのウェットエッチングで使用されるエッチング液は、支持基板80の材質に応じて適宜選択することができる。例えば支持基板80の材料として銅を用いる場合には、エッチング液として塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液や過硫酸アンモニウム水溶液を使用することができ、支持基板80の下面側からスプレーエッチングにて上記支持基板80の薄化を行うことができる。このようにウェットエッチングにより支持基板80がパターニングされると、エッチングが支持基板80の面内方向に進行するサイドエッチ現象により凹部80Xの断面形状が半円状又は台形状(図示の例では、半円状)に形成される。
【0042】
次いで、
図4(c)に示す工程では、
図4(b)に示したレジスト層81を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
次に、
図4(d)に示す工程では、支持基板80の下面に、所定の箇所に開口部30Xを有する絶縁層30Aを形成するとともに、支持基板80の上面に、その上面全面を被覆するレジスト層83を形成する。開口部30Xは、配線パターン20の形成領域に対応する部分の支持基板80の下面を露出するように形成される。絶縁層30A及びレジスト層83の材料としては、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。レジスト層83の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばエポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。このレジスト層83は、上記レジスト層81と同様の方法により形成することができる。また、絶縁層30Aは、例えば支持基板80の下面にエポキシ系樹脂等からなる樹脂フィルムをラミネートし、その樹脂フィルムを押圧しながら190℃程度の温度で熱処理して硬化させた後に、所要箇所に開口部30Xを形成することにより形成することができる。なお、上記開口部30Xは、例えば絶縁層30Aが感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により形成することができる。また、開口部30Xは、例えばCO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によっても形成することができる。
【0043】
続いて、絶縁層30A及びレジスト層83をめっきマスクとして、支持基板80の下面に、その支持基板80をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、絶縁層30Aの開口部30Xから露出された支持基板80の下面及び凹部80Xの内面に電解めっき法を施すことにより、その支持基板80の下面及び凹部80Xの内面に金属層84を形成する。ここで、
図1に示した配線パターン20及び突起部25がAu層/Ni層/Cu層である場合には、電解めっき法により、開口部30Xから露出された支持基板80の下面及び凹部80Xの内面にAu層とNi層を順に積層して上記金属層84を形成する。
【0044】
次いで、
図5(a)に示す工程では、絶縁層30A及びレジスト層83をめっきマスクとして、金属層84の下面に、支持基板80をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。これにより、凹部80X内では、凹部80Xの内面に形成された金属層84から内側にめっきが施されて凹部80X内に銅などの導電層85が充填され、開口部30X内では、その開口部30Xから露出された支持基板80の下面又は上記導電層85の下面からめっきが施されて開口部30X内に銅などの導電層86が充填される。本工程により、金属層84及び導電層85によって構成される突起部26が形成されるとともに、金属層84及び導電層86によって構成される配線パターン20が形成される。また、本工程により、突起部26の下面に、導電層86によって構成される配線パターン20が形成される。すなわち、突起部26を有する配線パターン20が形成される。続いて、レジスト層83を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0045】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁層30A及び配線パターン20の下面に、所定の箇所に開口部30Yを有する絶縁層30Bを形成する。開口部30Yは、突起部25の形成領域に対応する部分の配線パターン20を露出するように形成される。この絶縁層30Bは、上記絶縁層30Aと同様の方法により形成することができる。本工程により、支持基板80の下面に、絶縁層30A及び絶縁層30Bによって構成される絶縁層30が形成される。
【0046】
続いて、
図5(c)に示す工程では、絶縁層30をめっきマスクとして、配線パターン20の下面に、支持基板80をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。これにより、開口部30Yから露出された配線パターン20の下面からめっきが施されて開口部30Y内に銅などからなる突起部25が形成される。また、枠状に形成された配線パターン21の下面からめっきが施されて開口部30Y内に銅などからなる突起部25Aが形成される。なお、本工程では、突起部25,25Aの下面が絶縁層30(絶縁層30B)の下面と面一になるように形成される。
【0047】
次いで、
図5(d)に示す工程では、支持基板80のうち上記半導体パッケージ1となる領域の周縁部に形成された枠状の突起部25Aの下面に、枠状の基板40を形成する。例えば、層間絶縁層44,45,46と配線層41,42,43とが交互に積層された基板40を準備し、その基板40を接着剤(図示略)によって突起部25Aの下面に接着する。また、ビルドアップ工法により、突起部25Aの下面に、層間絶縁層44,45,46と配線層41,42,43とを順に積層するようにしてもよい。本工程により、基板40の内側面と突起部25,25A及び絶縁層30とで囲まれた収容部A1が形成される。
【0048】
次に、
図6(a)に示す工程では、収容部A1において、半導体素子50の接続端子51を、所定の配線パターン20の下面に形成された突起部25にフリップチップ接合する。すなわち、収容部A1において、半導体素子50を配線パターン20にフリップチップ実装する。
【0049】
続いて、
図6(b)に示す工程では、収容部A1において、所定の突起部25同士を、導体ワイヤ55,56,57を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。
例えば、
図1(b)に示した2つの半導体素子70のうち一方の半導体素子70の接続端子71Cと突起部26及び配線パターン20を介して接続される予定の突起部25と、他方の半導体素子70の接続端子71Cと突起部26及び配線パターン20を介して接続される予定の突起部25とを、導体ワイヤ55により接続する。
【0050】
例えば、突起部25を介して接続端子51と接続された第1端部と、その第1端部から平面方向に引き回された先の端部である第2端部とを有する配線パターン20の第2端部に形成された突起部25と、突起部25Aとを、導体ワイヤ56により接続する。あるいは、突起部26を介して半導体素子70の接続端子71(
図1参照)と接続される予定の第1端部と、その第1端部から平面方向に引き回された先の端部である第2端部とを有する配線パターン20の第2端部に形成された突起部25と、突起部25Aとを、導体ワイヤ56により接続する。
【0051】
また、
図6(b)に示す工程では、収容部A1において、所定の突起部25と、基板40の接続パッドP1,P2とを、導体ワイヤ57を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。
【0052】
例えば、突起部25を介して接続端子51と接続された第1端部と、その第1端部から平面方向に引き回された先の端部である第2端部とを有する配線パターン20の第2端部に形成された突起部25と、接続パッドP1,P2とを、導体ワイヤ57により接続する。あるいは、突起部26を介して半導体素子70の接続端子71(
図1参照)と接続される予定の第1端部と、その第1端部から平面方向に引き回された先の端部である第2端部とを有する配線パターン20の第2端部に形成された突起部25と、接続パッドP1,P2とを、導体ワイヤ57により接続する。
【0053】
次に、
図6(c)に示す工程では、収容部A1において、突起部25,25A及び絶縁層30の下面、配線層41,42及び層間絶縁層44,45,46の側面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55〜57全体を被覆するように絶縁層60を形成する。具体的には、絶縁層60は、空洞部Bを完全に塞ぎ、突起部25,25A及び絶縁層30の下面、配線層41,42及び層間絶縁層44,45,46の側面、半導体素子50及び導体ワイヤ55〜57を全体的に被覆するのに十分な量で空洞部Bを充填するように形成される。また、絶縁層60は、その下面が基板40の層間絶縁層46の下面と略面一になるように形成される。例えば、絶縁層60は、液状の絶縁樹脂をポッティングにより収容部A1(空洞部B)内に塗布し、例えば50〜100℃程度の温度を維持して上記絶縁樹脂を硬化させることにより形成することができる。
【0054】
続いて、
図7(a)に示す工程では、
図6(c)に示した支持基板80を除去する。例えば支持基板80として銅板を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持基板80の除去を行うことができる。この際、
図6(c)に示した支持基板80と接する面には金属層84(例えば、Au層)及び絶縁層30が形成されており、それら金属層84及び絶縁層30がエッチングストッパ層として機能するため、銅板である支持基板80のみを選択的にエッチングすることができる。
【0055】
次に、
図7(b)に示す工程では、配線パターン20及び絶縁層30の上面に、所定の箇所に開口部65Xを有するソルダレジスト層65を形成する。開口部65Xは、チップ実装領域に対応する部分の突起部26、配線パターン20及び絶縁層30を露出するように形成される。ソルダレジスト層65は、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。
【0056】
以上の製造工程により、
図1に示した配線基板10を製造することができる。
続いて、
図7(c)に示す工程では、配線基板10の上面に半導体素子70を実装する。具体的には、上記ソルダレジスト層65の開口部65Xから露出された突起部26上に、半導体素子70の接続端子71をフリップチップ接合する。次いで、配線基板10とその配線基板10にフリップチップ実装された半導体素子70との間に、アンダーフィル樹脂75を充填し、そのアンダーフィル樹脂75を硬化する。なお、アンダーフィル樹脂75の充填の際に、上記ソルダレジスト層65は、アンダーフィル樹脂75が必要以上に流れ出ないように、アンダーフィル樹脂75をせき止めるためのダム部材として機能する。以上の製造工程により、
図1に示した半導体パッケージ1を製造することができる。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)半導体パッケージ1では、半導体素子50と半導体素子70との間に配線パターン20を介在させ、その配線パターン20により半導体素子50,70を相互に電気的に接続するようにした。これによれば、半導体素子50,70と電気的に接続される配線パターン20を平面方向に引き回すことにより、電源の供給経路や外部接続I/Oの経路を容易に確保することができる。
【0058】
また、配線パターン20を平面方向に引き回して半導体素子50,70を電気的に接続することもできるため、本例のように半導体素子50と半導体素子70とを平面視で一部のみが重なる位置に配置することもできる。すなわち、半導体素子50,70の配置自由度を向上させることができる。
【0059】
また、配線パターン20により半導体素子50,70を電気的に接続するようにしたため、半導体素子50,70に貫通電極を形成する必要がない。これにより、半導体素子50,70を安価に製造することができる。また、貫通電極を形成するための領域を確保する必要がないため、半導体素子50,70が大型化することを抑制できる。
【0060】
さらに、半導体素子70の上面(回路形成面と反対側の面)を露出させることができるため、その半導体素子70の上面に対して放熱経路(例えば、放熱板)を容易に形成することができる。
【0061】
(2)半導体素子70の接続端子71と半導体素子50の接続端子51とはその一部を、共通の配線パターン20及び突起部25,26を介して、平面視で重なる位置で直線的に接続するようにした。これにより、半導体素子50,70の接続端子51,71を短距離で接続することができる。したがって、回路動作の高速化や配線の浮遊容量の低減が可能になる。
【0062】
(3)ところで、2つの半導体素子70を相互に電気的に接続する方法としては、配線パターン20等の代わりに、微細配線を形成したシリコンインターポーザ等を用いて2つの半導体素子70を電気的に接続する方法も知られている。しかし、半導体素子70の接続端子71が極めて高密度になった場合には、シリコンインターポーザに形成される配線が極めて微細となるため、製造コストが増大するという問題が生じる。さらに、配線の断面積の縮小に伴う抵抗の増大により導体損失が増大するという問題や、配線ピッチの狭小化に伴ってクロストークが発生しやすくなるという問題も生じる。
【0063】
これに対し、本実施形態では、2つの半導体素子70を、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ55により相互に電気的に接続するようにした。すなわち、一方の半導体素子70の接続端子71と接続される配線パターン20と、他方の半導体素子70の接続端子71と接続される配線パターン20とを、立体的に湾曲可能な導体ワイヤ55を用いて電気的に接続するようにした。これにより、例えば接続端子71が極めて高密度になった場合であっても、上述した平面的な微細配線を利用せずに、上記接続端子71と電気的に接続される配線パターン20同士を導体ワイヤ55により容易に接続することができる。また、上記微細配線に比べて導体ワイヤ55の断面積を容易に増加させることができるため、導体損失の増大を抑制することができる。さらに、所定の配線パターン同士を導体ワイヤ55により立体的に接続したため、配線ピッチを広く確保することができ、クロストークを低減することができる。
【0064】
(4)配線パターン20の上面に、絶縁層30の上面よりも上方に突出する突起部26を形成するようにした。このような突起部26に対して半導体素子70の接続端子71を接続することにより、突起部26を形成しない場合に比べて、半導体素子70の接続端子71と突起部26(配線パターン20)とのコンタクト性を向上させることができる。
【0065】
(5)配線パターン20の下面に、その下面から下方に突出する突起部25を形成し、その突起部25の側面を被覆する絶縁層30を形成するようにした。これにより、突起部25を形成しない場合に比べて、半導体素子50の接続端子51と突起部25(配線パターン20)との接続信頼性を向上させることができる。例えば接続端子51の材料として低融点合金を使用した場合であっても、接続端子51の側面を被覆する絶縁層30によって接続端子51(低融点合金)が平面方向に広がることを抑制することができる。したがって、接続端子51を配線パターン20の所望の位置(つまり、突起部25)のみに好適に接続することができる。
【0066】
(6)絶縁層60を低弾性材料で形成することにより、半導体素子50,70と配線パターン20及び突起部25,26との間の熱膨張係数のミスマッチによって発生する応力を緩和することができる。
【0067】
(7)配線パターン20の下面側に枠状の基板40を形成し、その基板40に形成された接続パッドP1,P2と配線パターン20(突起部25)とを導体ワイヤ57により電気的に接続するようにした。これにより、半導体素子50と半導体素子70との積層位置から外側に引き出される配線パターン20が多数必要な場合であっても、配線パターン20と接続パッドP1,P2とを導体ワイヤ57により接続することで、多数の配線パターン20を容易に外側に引き出すことができる。
【0068】
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、配線基板10の上面に実装された各半導体素子70と、配線パターン20を挟んで半導体素子70と反対側に実装された各半導体素子50とを、平面視において互いに一部のみが重なるように配置するようにした。これに限らず、例えば
図8(a)及び
図8(b)に示すように、収容部A1内に実装された半導体素子50全体が平面視において上記半導体素子70と重なるように配置するようにしてもよい。この場合には、
図8(a)に示すように、半導体素子70の大部分の接続端子71を、半導体素子50の接続端子51と単軸状に導電接続させることができる。また、このような場合であっても、配線パターン20の下面側及び上面側にそれぞれ突起部25,26が形成されており、厚さ方向の空間が広く確保されているため、配線パターン20を平面方向に容易に引き回すことができる。このため、
図8(a)に示すように、平面方向に離間した位置に配置された半導体素子70と半導体素子50とであっても、配線パターン20を平面方向に引き回すことにより、半導体素子50,70の電気的な接続を容易に行うことができる。
【0069】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を
図9〜
図11に従って説明する。この実施形態は、突起部25,26を省略した点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図8に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0070】
図9(a)に示すように、絶縁層30は、配線パターン20の側面を被覆するように形成されている。絶縁層30の上面は配線パターン20の上面と略面一になるように形成され、絶縁層30の下面は配線パターン20の下面と略面一になるように形成されている。
【0071】
基板40は、半導体パッケージ1の周縁部に形成された枠状の配線パターン21の下面に接合されている。
図9(b)に示すように、本例の基板40では、3層の配線層41,42,43と3層の層間絶縁層44,45,46とが交互に積層されている。そして、配線層41は、層間絶縁層44を厚さ方向に貫通するビア47によって上記配線パターン21と電気的に接続されている。
【0072】
基板40の中央部に形成された空洞部Bは、その層間絶縁層44の上面側(開口部B1側)の開口端は、配線パターン20及び絶縁層30によって閉塞されている。なお、層間絶縁層44の上面全面は配線パターン21によって被覆されている。
【0073】
基板40の空洞部B(具体的には、空洞部Bの内面)と配線パターン20及び絶縁層30とによって囲まれた収容部A1には、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子50が収容されている。具体的には、半導体素子50は、その回路形成面(ここでは、上面)に配設された接続端子51を上側(配線パターン20側)に向けた状態で上記収容部A1に収容されている。例えば、各半導体素子50は、配線パターン20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子50の接続端子51を配線パターン20の下面に接合することにより、半導体素子50は配線パターン20にフェイスダウンで接合される。この半導体素子50は、接続端子51を介して、配線パターン20と電気的に接続されている。ここで、例えば配線パターン20の一部のパターンは、接続端子51と接続された端部から平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が導体ワイヤ56を介して配線パターン21に接続される。また、例えば配線パターン20の一部のパターンは、接続端子51と接続された端部から平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が導体ワイヤ57を介して基板40の接続パッドP1,P2に接続される。
【0074】
基板40の空洞部Bには、所定の配線パターン20同士を接続する導体ワイヤ55,56が設けられている。また、空洞部Bには、所定の配線パターン20と接続パッドP1,P2とを接続する導体ワイヤ57が設けられている。
【0075】
絶縁層60は、空洞部B(具体的には、開口部B1,B2,B3)を充填するように形成されている。絶縁層60は、基板40の内側面(空洞部Bの側面)、基板40から露出された配線パターン20及び絶縁層30の下面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55〜57全体を被覆するように形成されている。
【0076】
配線パターン20及び絶縁層30の上面には、チップ実装領域に対応する位置に形成された開口部65Xを有するソルダレジスト層65が形成されている。
以上説明した配線パターン20と、絶縁層30と、基板40と、半導体素子50と、導体ワイヤ55〜57と、絶縁層60と、ソルダレジスト層65とを有する配線基板10Aには、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子70が実装されている。具体的には、半導体素子70は、ソルダレジスト層65の開口部65Xから露出された配線パターン20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子70の接続端子71を配線パターン20の上面に接合することにより、半導体素子70は配線基板10Aにフェイスダウンで接合される。この半導体素子70は、接続端子71を介して、配線パターン20と電気的に接続されている。
【0077】
ここで、接続端子71のうち所要数(ここでは、2つ)の接続端子71Aは、配線基板10Aに内蔵された半導体素子50の接続端子51と配線パターン20を共有している。具体的には、接続端子71Aは、配線パターン20を介して対向配置された接続端子51と単軸状に導電接続される。本実施形態における「単軸状に導電接続される」とは、配線パターン20等を平面方向に引き回すことなく、配線基板10Aの厚さ方向に形成された導体(ここでは、配線パターン20)により接続することをいう。なお、詳細な図示は省略するが、接続端子71のうち所要数の接続端子71Bと接続される配線パターン20は平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が、半導体素子50の接続端子51に接続されている、又は基板40の接続パッドP1,P2に接続されている。
【0078】
また、2つの半導体素子70は、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ55により相互に電気的に接続されている。すなわち、一方の半導体素子70の接続端子71Cが配線パターン20を介して導体ワイヤ55に電気的に接続され、その導体ワイヤ55と接続された配線パターン20が他方の半導体素子70の接続端子71に接続されている。
【0079】
次に、上記半導体パッケージ1Aの製造方法を説明する。
図10(a)に示す工程では、まず、支持基板90を準備する。支持基板90は、例えば平面視矩形状の平板である。支持基板90としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅箔を用いる。この支持基板90の厚さは、例えば35〜100μm程度である。なお、支持基板90としては、半導体パッケージ1Aが多数個取れる大判の基板を使用することができる。
図10〜
図11においては、説明の便宜上、1つの半導体パッケージ1Aとなる領域の一部分を拡大して示している。
【0080】
次に、
図10(b)に示す工程では、支持基板90の下面に、所定の箇所に開口部30Xを有する絶縁層30を形成する。開口部30Xは、配線パターン20の形成領域に対応する部分の支持基板90を露出するように形成される。絶縁層30の材料としては、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。
【0081】
続いて、
図10(c)に示す工程では、絶縁層30をめっきマスクとして、支持基板90の下面に、その支持基板90をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、絶縁層30の開口部30Xから露出された支持基板90の下面に電解めっき法を施すことにより、その支持基板90の下面に金属層91を形成する。ここで、配線パターン20がAu層/Ni層/Cu層である場合には、電解めっき法により、開口部30Xから露出された支持基板90の下面にAu層とNi層を順に積層して上記金属層91を形成する。
【0082】
次いで、絶縁層30をめっきマスクとして、金属層91の下面に、支持基板90をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。これにより、金属層91の下面からめっきが施されて開口部30X内に銅などの導電層92が充填される。本工程により、金属層91及び導電層92によって構成される配線パターン20が形成される。
【0083】
次に、
図10(d)に示す工程では、支持基板90のうち上記半導体パッケージ1Aとなる領域の周縁部に形成された枠状の配線パターン21の下面に、枠状の基板40を形成する。続いて、収容部A1において、半導体素子50の接続端子51を所定の配線パターン20にフリップチップ接合する。
【0084】
次に、
図10(e)に示す工程では、収容部A1において、所定の配線パターン20同士を、導体ワイヤ55を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。また、所定の配線パターン20と配線パターン21とを、導体ワイヤ56を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。さらに、所定の配線パターン20と、基板40の接続パッドP1,P2とを、導体ワイヤ57を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。続いて、空洞部Bを充填し、配線パターン20及び絶縁層30の下面、基板40の内側面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55〜57全体を被覆する絶縁層60を形成する。
【0085】
次いで、
図11(a)に示す工程では、
図10(e)に示した支持基板90を除去する。例えば支持基板90として銅箔を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持基板90の除去を行うことができる。この際、
図10(e)に示した支持基板90と接する面には金属層91(例えば、Au層)及び絶縁層30が形成されており、それら金属層91及び絶縁層30がエッチングストッパ層として機能するため、銅箔である支持基板90のみを選択的にエッチングすることができる。
【0086】
次に、
図11(b)に示す工程では、配線パターン20及び絶縁層30の上面に、チップ実装領域に対応する部分の配線パターン20及び絶縁層30を露出させるための開口部65Xを有するソルダレジスト層65を形成する。以上の製造工程により、
図9に示した配線基板10Aを製造することができる。
【0087】
続いて、
図11(c)に示す工程では、ソルダレジスト層65の開口部65Xから露出された配線パターン20上に、半導体素子70の接続端子71をフリップチップ接合する。次いで、配線基板10Aと半導体素子70との間に、アンダーフィル樹脂75を充填し、そのアンダーフィル樹脂75を硬化する。以上の製造工程により、
図9に示した半導体パッケージ1Aを製造することができる。
【0088】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(3)、(6)、(7)と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を
図12及び
図13に従って説明する。この実施形態は、枠状の基板の構造が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図11に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0089】
図13(c)に示した半導体パッケージ1Bの製造方法について説明する。
図12(a)に示す工程では、
図10(a)〜
図10(c)に示した工程と同様の製造工程により、支持基板90の下面に絶縁層30及び配線パターン20を形成する。なお、配線パターン20は、支持基板90の下面に形成された金属層91と、その金属層91の下面に形成された導電層92とによって構成されている。
【0090】
次に、
図12(b)に示す工程では、配線パターン20のうち枠状に形成された配線パターン21の下面に、中央部に空洞部Cを有する枠状の絶縁層93を形成する。例えば、配線パターン20及び絶縁層30の下面にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂からなる樹脂フィルムをラミネートし、樹脂フィルムを押圧しながら190℃程度の温度で熱処理して硬化させた後に、所要箇所(ここでは、中央部)に空洞部Cを形成することにより、上記絶縁層93を形成することができる。なお、上記空洞部Cは、例えば絶縁層93が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により形成することができる。また、空洞部Cは、例えばCO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によっても形成することができる。本工程により、絶縁層93の内側面と配線パターン20及び絶縁層30とで囲まれた収容部A1が形成される。
【0091】
続いて、
図12(c)に示す工程では、絶縁層93の所要の箇所に、配線パターン21の下面の一部を露出させるための貫通孔93Xを形成する。この貫通孔93Xは、例えばCO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、例えば絶縁層93が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により上記空洞部Cの形成と同時に所要の貫通孔93Xを形成するようにしてもよい。
【0092】
次に、
図12(d)に示す工程では、収容部A1において、半導体素子50の接続端子51を所定の配線パターン20にフリップチップ接合する。続いて、収容部A1において、所定の配線パターン20同士を、導体ワイヤ55を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。次いで、空洞部Cを絶縁性樹脂で充填し、配線パターン20及び絶縁層30の下面、絶縁層93の内側面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55全体を被覆する絶縁層60を形成する。
【0093】
次に、
図13(a)に示す工程では、絶縁層93の貫通孔93Xから露出された配線パターン21の下面に、支持基板90をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。これにより、貫通孔93Xから露出された配線パターン20の下面からめっきが施されて貫通孔93X内に銅などからなる柱状の金属ポスト94が形成される。この金属ポスト94は、絶縁層93を厚さ方向に貫通するように形成され、その上面が上記配線パターン21と接続されている。続いて、金属ポスト94の下面に、支持基板90をめっき給電層に利用する電解めっき法を施して金属層94Aを形成する。この金属層94Aの例としては、金属ポスト94の下面からNi層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。このように金属層94AがNi層/Au層である場合には、電解めっき法により、金属ポスト94の下面にNi層とAu層を順に積層して上記金属層94Aを形成する。なお、金属層94Aの他の例としては、金属ポスト94の下面から、Ni層/Pd層/Au層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Ag層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。
【0094】
次に、
図13(b)に示す工程では、
図13(a)に示した支持基板90を除去する。例えば支持基板90として銅箔を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持基板90の除去を行うことができる。この際、
図13(a)に示した支持基板90と接する面には金属層91(例えば、Au層)及び絶縁層30が形成され、
図13(a)に示した構造体の下面側には金属層94A(例えば、Au層)及び絶縁層60,93が露出されているため、銅箔である支持基板90のみを選択的にエッチングすることができる。
【0095】
次に、
図13(c)に示す工程では、配線パターン20及び絶縁層30の上面に、開口部65Xを有するソルダレジスト層65を形成する。以上の製造工程により、本実施形態の配線基板10Bを製造することができる。
【0096】
続いて、ソルダレジスト層65の開口部65Xから露出された配線パターン20上に、半導体素子70の接続端子71をフリップチップ接合する。次いで、配線基板10Bと半導体素子70との間に、アンダーフィル樹脂75を充填し、そのアンダーフィル樹脂75を硬化する。以上の製造工程により、本実施形態の半導体パッケージ1Bを製造することができる。
【0097】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(3)、(6)と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態を
図14〜
図18に従って説明する。この実施形態は、枠状の基板の構造等が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図13に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0098】
図14(a)に示すように、半導体パッケージ1Cは、配線基板10Cと、2つの半導体素子70と、アンダーフィル樹脂76とを有している。配線基板10Cは、配線パターン20と、絶縁層30と、基板95と、リード部96と、半導体素子50と、導体ワイヤ55,58と、絶縁層60とを有している。
【0099】
基板95は、その中央部に空洞部Dが形成されており、枠状に形成されている。基板95は、その上面が配線パターン20の上面よりも上方に突出するように形成され、その下面が配線パターン20の下面よりも下方に突出するように形成されている。
図14(b)に示すように、基板95内にはリード部96の一部が形成されている。すなわち、基板95は、リード部96の一部を包含するように形成されている。なお、基板95の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機樹脂を用いることができる。
【0100】
絶縁層60は、配線パターン20よりも下方に形成された基板95の内側面と、配線パターン20及び絶縁層30の下面とによって形成される収容部A1を充填するように形成されている。絶縁層60は、配線パターン20よりも下方に形成された基板95の内側面、配線パターン20及び絶縁層30の下面、半導体素子50全体及び導体ワイヤ55,58全体を被覆するように形成されている。なお、絶縁層60の下面は基板95の下面と略面一になるように形成されている。
【0101】
リード部96は、基板95の外側面から外方に突出するように形成されている。リード部96は、基板95側の端部から下側に屈曲して断面視略L字状に形成されている。例えば、リード部96は、当該配線基板10Cの外周縁(外形)に沿ってペリフェラル状に形成されている。
【0102】
リード部96は、金属層97と、金属層97上に積層された金属層98とを有している。金属層97の一方の端部(配線パターン20側の端部)は、配線パターン20と同一の平面上に形成されている。金属層97は、配線パターン20側の端部が基板95を平面方向(幅方向)に貫通するように形成され、さらに上記端部が基板95の内側面よりも内側に突出するように形成されている。基板95内に形成された金属層97は、その側面及び下面が基板95によって被覆され、その上面が金属層98によって被覆されている。この金属層97は、絶縁層60内に設けられた導体ワイヤ58により所定の配線パターン20と電気的に接続されている。金属層97と電気的に接続される配線パターン20は、例えば、導体ワイヤ58が接続された端部から平面方向に引き回され、その引き回された先の端部が半導体素子50の接続端子51(又は半導体素子70の接続端子71)と電気的に接続されている。これにより、半導体素子50(又は半導体素子70)は、接続端子51(又は接続端子71)、配線パターン20及び導体ワイヤ58を介してリード部96と電気的に接続されている。なお、基板95の内側面から内側に突出された金属層97の下面は上記絶縁層60によって被覆されている。
【0103】
金属層97の例としては、配線パターン20と同様に、金属層97の下面側(絶縁層60の上面)からCu層/Ni層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。また、金属層97の例としては、金属層97の下面側から、Cu層/Ni層/Pd層/Au層を順に積層した金属層、Cu層/Ni層/Pd層/Ag層を順に積層した金属層、Cu層/Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層を挙げることができる。
【0104】
金属層98は、配線パターン20側の端部が基板95を平面方向に貫通するように形成され、さらに上記端部が基板95の内側面と略面一になるように形成されている。基板95内に形成された金属層98は、その側面及び上面が基板95によって被覆され、その下面が金属層97によって被覆されている。なお、金属層98の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0105】
図14(a)に示すように、以上説明した構造を有する配線基板10Cには、所要数(ここでは、2つ)の半導体素子70が実装されている。具体的には、半導体素子70は、配線パターン20よりも上方に形成された基板95の内側面と、配線パターン20及び絶縁層30の上面とによって形成される収容部A2内で配線基板10Cにフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子70の接続端子71を配線パターン20の上面に接合することにより、半導体素子70は配線基板10Cにフェイスダウンで接合される。
【0106】
アンダーフィル樹脂76は、収容部A2内に形成され、配線基板10Cの上面と半導体素子70の下面との隙間を充填するように形成されている。このアンダーフィル樹脂76は、配線パターン20よりも上方に形成された基板95の内側面の一部と、基板95から露出された金属層98の端面と、基板95から露出された配線パターン20、金属層97及び絶縁層30の上面と、半導体素子70の一部を被覆するように形成されている。
【0107】
次に、上記半導体パッケージ1Cの製造方法を説明する。
図15(a)に示す工程では、まず、支持基板100を準備する。この支持基板100は、例えば平面視矩形状の平板である。支持基板100は、その一部が最終的に金属層98となる部材である。この支持基板100としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅板を用いる。この支持基板100の厚さは、例えば70〜200μm程度である。
図15〜
図17においては、説明の便宜上、最終的に半導体パッケージ1Cとなる領域の一部分を拡大して示している。
【0108】
また、
図15(a)及び
図15(b)に示す工程では、支持基板100の下面に、配線パターン20の形状に対応した開口部101X(
図15(a)参照)及び金属層97の形状に対応した開口部101Y(
図15(b)参照)を有するレジスト層101を形成する。レジスト層101の材料としては、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。レジスト層101は、その一部が最終的に絶縁層30となる部材である。なお、
図15(b)は、
図15(a)に示した構造体の一部分(一点鎖線枠参照)を拡大した平面図であり、
図15(a)に示した構造体の下面側から見た平面図である。
【0109】
次に、
図15(c)及び
図15(d)に示す工程では、レジスト層101をめっきマスクとして、支持基板100の下面に、その支持基板100をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層101の開口部101X,101Yから露出された支持基板100の下面に電解めっき法を施すことにより、その支持基板100の下面に金属層102を形成する。ここで、
図14に示した配線パターン20及び金属層97がAu層/Ni層/Cu層である場合には、電解めっき法により、開口部101X,101Yから露出された支持基板100の下面にAu層とNi層を順に積層して上記金属層97を形成する。なお、
図15(c)には、
図15(b)に示した15a−15a線位置における断面構造が示されているため開口部101Yが図示されていない。また、
図15(d)には、
図15(b)に示した15d−15d線位置における断面構造が示されている。
【0110】
次いで、レジスト層101をめっきマスクとして、金属層102の下面に、支持基板100をめっき給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。これにより、金属層102の下面からめっきが施されて、開口部101X内に銅などの導電層103が充填されるとともに、開口部101Y内に銅などの導電層104が充填される。本工程により、開口部101X内では金属層102及び導電層103によって構成される配線パターン20が形成され、開口部101Y内では金属層102及び導電層104によって構成される金属層97が形成される。
【0111】
次に、
図16(a)〜
図16(c)に示す工程では、プレス加工又はエッチング加工により、支持基板100及びレジスト層101の一部を除去する。具体的には、プレス加工又はエッチング加工により、
図15(c)に示した構造体の外周領域(破線枠参照)に形成されたレジスト層101及びそのレジスト層101上に形成された支持基板100を除去して開口部100Xを形成する。これにより、レジスト層101が絶縁層30になるとともに、その絶縁層30の側面よりも外方に突出する突出部100Aが支持基板100に形成される。この突出部100Aは、絶縁層30の外周縁(外形)に沿ってペリフェラル状に多数形成されている。そして、突出部100A同士は、本工程で形成された開口部100Xによって互いに分離されている。
【0112】
次に、
図17(a)及び
図17(b)に示す工程では、金属層97及び突出部100Aの一部を囲むように枠状の基板95を形成する。このとき、基板95は、金属層97及び突出部100Aの一方の端部(配線パターン20側の端部)が基板95の内側面から突出するように、且つ金属層97及び突出部100Aの他方の端部が基板95の外側面から突出するように形成される。また、基板95は、その上面が突出部100Aの上面よりも上方に突出するように、且つ下面が金属層97の下面よりも下方に突出するように形成される。この基板95は、例えば樹脂モールド成形法により形成することができる。
【0113】
次に、
図17(c)に示す工程では、配線パターン20よりも下方に形成された基板95の内側面と配線パターン20の下面と金属層97の下面と絶縁層30の下面とによって形成される収容部A1において、半導体素子50の接続端子51を所定の配線パターン20にフリップチップ接合する。続いて、収容部A1において、所定の配線パターン20同士を、導体ワイヤ55を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。また、所定の配線パターン20と、基板95の内側面から突出された金属層97とを、導体ワイヤ58を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。次いで、収容部A1を充填し、収容部A1内に露出された基板95の内側面と、収容部A1内に露出された配線パターン20、金属層97及び絶縁層30の下面と、半導体素子50全体と、導体ワイヤ55,58全体とを被覆する絶縁層60を形成する。
【0114】
次いで、
図18(a)に示す工程では、
図17(c)に示した支持基板100の一部をエッチング等により除去する。具体的には、配線パターン20よりも上方に形成された基板95の内側面と、配線パターン20の上面と、金属層97の上面と、絶縁層30の上面とによって形成された収容部A2内に露出された支持基板100を除去する。これにより、突出部100Aのうち基板95の内側面から収容部A2内に突出された部分が除去され、金属層97上に積層された金属層98が形成される。そして、これら金属層97,98によって構成されるリード部96が形成される。以上の製造工程により、
図14に示した配線基板10Cを製造することができる。
【0115】
次に、
図18(b)に示す工程では、収容部A2において、半導体素子70の接続端子71を所定の配線パターン20にフリップチップ接合する。続いて、収容部A2内にアンダーフィル樹脂76を充填し、そのアンダーフィル樹脂76を硬化する。
【0116】
次いで、
図18(c)に示す工程では、基板95の外側面から外方に突出したリード部96の中途部分を下側に折り曲げることにより、リード部96を断面視略L字状に形成する。以上の製造工程により、
図14に示した半導体パッケージ1Cを製造することができる。
【0117】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(3)、(6)と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態を
図19〜
図21に従って説明する。この実施形態は、絶縁層の構造等が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図18に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0118】
図19(a)に示すように、半導体パッケージ1Dは、配線基板10Dと、2つの半導体素子70と、アンダーフィル樹脂75とを有している。配線基板10Dは、配線パターン20と、基板40と、半導体素子50と、導体ワイヤ55,56,57と、絶縁層61と、ソルダレジスト層65とを有している。
【0119】
図19(b)に示すように、絶縁層61は、配線パターン20を画定する開口部20Xと、空洞部Bとを充填するように形成されている。絶縁層61は、配線パターン20の側面及び下面と、基板40の内側面と、半導体素子50全体と、導体ワイヤ55,56,57とを被覆するように形成されている。この絶縁層61は、配線パターン20同士を電気的に絶縁する機能と、配線パターン20同士を接着する機能とを有している。すなわち、多数の配線パターン20は絶縁層61によって支持されている。本例の絶縁層61は、その下面が基板40の層間絶縁層46の下面と面一になるように形成されている。この絶縁層61は、弾性率の低い低弾性材料からなる絶縁層である。この低弾性材料としては、例えば室温付近におけるヤング率が1MPa以上10MPa以下の材料であることが好ましい。このような低弾性材料としては、例えばシリコーン系、フッ素系、ポリオレフィン系やウレタン系のエラストマーを用いることができる。
【0120】
このように、配線基板10Dは、配線パターン20同士を絶縁するとともに、配線パターン20同士を接着する第1絶縁層と、その第1絶縁層の下面に形成され、半導体素子50全体を被覆する第2絶縁層とが一体に形成された絶縁層61を有している。
【0121】
次に、上記半導体パッケージ1Dの製造方法を説明する。
図20(a)に示す工程では、まず、支持基板90を準備する。支持基板90は、例えば平面視矩形状の平板である。支持基板90としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅箔を用いる。次に、
図20(b)に示す工程では、支持基板90の下面に、所定の箇所に開口部105Xを有するレジスト層105を形成する。開口部105Xは、配線パターン20の形成領域に対応する部分の支持基板90を露出するように形成される。絶縁層105の材料としては、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。絶縁層105の材料としては、例えば上記レジスト層83と同様の材料を用いることができる。
【0122】
続いて、
図20(c)に示す工程では、
図10(c)に示した工程と同様に、レジスト層105の開口部105Xから露出された支持基板90の下面に電解めっき法を施すことにより、その支持基板90の下面に金属層91と導電層92とを順に積層する。これにより、金属層91及び導電層92からなる配線パターン20が形成される。
【0123】
次に、レジスト層105を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。これにより、各配線パターン20間には、それら配線パターン20を画定する開口部20Xが形成される。続いて、
図20(d)に示す工程では、枠状の配線パターン21の下面に枠状の基板40を形成する。次いで、収容部A1において、半導体素子50の接続端子51を所定の配線パターン20にフリップチップ接合する。
【0124】
次に、
図20(e)に示す工程では、収容部A1において、所定の配線パターン20同士を、導体ワイヤ55を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。また、所定の配線パターン20と配線パターン21とを、導体ワイヤ56を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。さらに、所定の配線パターン20と、基板40の接続パッドP1,P2とを、導体ワイヤ57を用いてワイヤボンディングにより電気的に接続する。
【0125】
続いて、収容部A1において、配線パターン20の側面及び下面と、基板40の内側面と、半導体素子50全体と、導体ワイヤ55〜57全体とを被覆するように絶縁層61を形成する。具体的には、絶縁層61は、開口部20X及び空洞部Bを完全に塞ぎ、配線パターン20の側面及び下面、基板40の内側面、半導体素子50及び導体ワイヤ55〜57を全体的に被覆するのに十分な量で開口部20X及び空洞部Bを充填するように形成される。例えば、絶縁層61は、液状の絶縁樹脂をポッティングにより開口部20X及び収容部A1(空洞部B)内に塗布し、例えば50〜100℃程度の温度を維持して上記絶縁樹脂を硬化させることにより形成することができる。そして、このように硬化された絶縁層61によって配線パターン20同士が接着される。
【0126】
次いで、
図21(a)に示す工程では、
図20(e)に示した支持基板90を除去する。例えば支持基板90として銅箔を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持基板90の除去を行うことができる。この際、
図20(e)に示した支持基板90と接する面には金属層91(例えば、Au層)及び絶縁層61が形成されており、それら金属層91及び絶縁層61がエッチングストッパ層として機能するため、銅箔である支持基板90のみを選択的にエッチングすることができる。
【0127】
次に、
図21(b)に示す工程では、配線パターン20及び絶縁層61の上面に、開口部65Xを有するソルダレジスト層65を形成する。以上の製造工程により、本実施形態の配線基板10Dを製造することができる。
【0128】
続いて、ソルダレジスト層65の開口部65Xから露出された配線パターン20上に、半導体素子70の接続端子71をフリップチップ接合する。次いで、配線基板10Dと半導体素子70との間に、アンダーフィル樹脂75を充填し、そのアンダーフィル樹脂75を硬化する。以上の製造工程により、本実施形態の半導体パッケージ1Dを製造することができる。
【0129】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(3)、(6)、(7)と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0130】
・上記各実施形態では、2つの半導体素子70を、絶縁層60,61内に設けた導体ワイヤ55により電気的に接続するようにした。あるいは、2つの半導体素子70を、平面方向に延在された配線パターン20により相互に電気的に接続するようにした。これに限らず、例えば
図22に示すように、2つの半導体素子70を、絶縁層60(又は、絶縁層61)内に形成した配線基板(インターポーザ)110により相互に電気的に接続するようにしてもよい。ここで、インターポーザ110は、一方の面(ここでは、上面)に多数形成された微細配線(図示略)に接続された接続端子111を多数有している。このインターポーザ110の基材の材料としては、例えばシリコン、ガラス、セラミックなどの無機材料を用いることができる。そして、接続端子111と所定の突起部25(又は、所定の配線パターン20)とを接続することにより、2つの半導体素子70を、配線パターン20及び接続端子111及びインターポーザ110内の微細配線等を介して相互に電気的に接続する。具体的には、一方の半導体素子70の接続端子71が突起部26と配線パターン20と突起部25を介して接続端子111と接続され、その接続端子111が上記微細配線と別の接続端子111を介して突起部25に接続され、その突起部25が配線パターン20と突起部26を介して他方の半導体素子70の接続端子71に接続されている。
【0131】
・上記第3〜第5実施形態における配線パターン20に対して突起部25,26を形成するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、導体ワイヤ55〜57が接続される部分の配線パターン20の下面に突起部25を形成するようにしたが、この突起部25を省略してもよい。すなわち、配線パターン20の下面に導体ワイヤ55〜57を直接接続するようにしてもよい。
【0132】
・上記各実施形態において、半導体素子50と半導体素子70との間に配線パターン20を介在させ、その配線パターン20により半導体素子50,70が相互に接続されている場合には、導体ワイヤ55を省略してもよい。
【0133】
・上記各実施形態において、絶縁層60,61内に導体ワイヤ55が形成されている場合には、半導体素子50を省略するようにしてもよい。
・上記第1及び第2及び第5実施形態における導体ワイヤ56を省略してもよい。
【0134】
・上記第1〜第3及び第5実施形態における基板40を省略してもよい。
・上記第3実施形態における絶縁層93、金属ポスト94及び金属層94Aを省略してもよい。
【0135】
・上記第1、第3及び第4実施形態における絶縁層30,60を上記第5実施形態の絶縁層61に変更してもよい。すなわち、第1、第3及び第4実施形態における絶縁層30,60を一体に形成するようにしてもよい。
【0136】
・上記各実施形態におけるソルダレジスト層65を省略してもよい。
・上記各実施形態におけるアンダーフィル樹脂75,76を省略してもよい。
・上記各実施形態において、例えば
図22に示すように、絶縁層60(又は、絶縁層61)内に配線パターン20(突起部25)に電気的に接続されたチップ部品112を設けるようにしてもよい。なお、チップ部品112としては、例えばチップコンデンサ、チップ抵抗、チップインダクタを用いることができる。
【0137】
・上記各実施形態では、半導体素子50を内蔵した配線基板10,10A,10B,10C,10Dに具体化した。これに限らず、例えば半導体素子50の代わりに、例えば上記チップ部品112や水晶振動子等の電子部品を内蔵した配線基板に具体化してもよい。
【0138】
・上記各実施形態では、配線基板10,10A,10B,10C,10D上に半導体素子70を実装するようにしたが、半導体素子70の代わりに、例えば上記チップ部品や水晶振動子等の電子部品を配線基板10,10A,10B,10C,10D上に実装するようにしてもよい。
【0139】
・上記各実施形態における配線基板10,10A,10B,10C,10D上に実装される電子部品の数は特に制限されない。
・上記各実施形態における配線基板10,10A,10B,10C,10Dに内蔵される電子部品の数は特に限定されない。