【実施例】
【0054】
下記に、実施例及び比較例に基づいて本発明を説明するが、これらの実施例、比較例は、理解を容易にするためのものであり、これらの実施例によって本発明を制限するものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形及び他の実施例は、当然本発明に含まれる。
【0055】
(実施例1)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を5時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.070g/cm
3、曲げ強度115MPa、バルク抵抗率0.110mΩ・cm、平均結晶粒径3.43μm、酸化錫リッチ相の面積率0.45%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.08%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は28回/24hr、ノジュール被覆率は1%と良好であった。
この結果を、表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
(実施例2)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1330℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.100g/cm
3、曲げ強度120MPa、バルク抵抗率0.116mΩ・cm、平均結晶粒径3.54μm、酸化錫リッチ相の面積率0.39%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.07%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は23回/24hr、ノジュール被覆率は0.8%と良好であった。
【0058】
この実施例2について、同様のDCパワー密度、ガス圧で、スパッタガスにアルゴンと、酸素含有量を0、1、2、4%とし、ガス流量300sccmでガラス基板(EagleXG)に無加熱で成膜し、40nmのITO膜を作製した。
この膜を、イナートオーブン炉(型番:INL−45−S)を用いて、50〜200℃まで大気雰囲気で60分加熱し、加熱前後の膜をXRD(装置型番:リガク製_全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab)測定にて結晶化の有無を確認した。結晶化温度は、XRD測定にてIn
2O
3の(222)面のピークが認められた温度とした。
【0059】
酸素濃度が0%の場合、膜抵抗率は2.70mΩ・cm、500nm波長での透過率は80.5%、結晶化温度は100℃であった。
酸素濃度が1%の場合、膜抵抗率は1.01mΩ・cm、500nm波長での透過率は84.0%、結晶化温度は100℃であった。
酸素濃度が2%の場合、膜抵抗率は0.59mΩ・cm、500nm波長での透過率は88.1%、結晶化温度は100℃であった。
酸素濃度が4%の場合、膜抵抗率は0.81mΩ・cm、500nm波長での透過率は87.4%、結晶化温度は100℃であった。
この結果を、表2に示す。いずれも、良好な結果が得られた。
【0060】
【表2】
【0061】
(実施例3)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を15時間とした。その後、降温冷却時に1370℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.105g/cm
3、曲げ強度121MPa、バルク抵抗率0.124mΩ・cm、平均結晶粒径3.66μm、酸化錫リッチ相の面積率0.35%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.05%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は20回/24hr、ノジュール被覆率は0.3%と良好であった。
【0062】
(実施例4)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1430℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1330℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.082g/cm
3、曲げ強度116MPa、バルク抵抗率0.118mΩ・cm、平均結晶粒径3.26μm、酸化錫リッチ相の面積率0.68%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.10%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は25回/24hr、ノジュール被覆率は0.7%と良好であった。
【0063】
(実施例5)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.058g/cm
3、曲げ強度113MPa、バルク抵抗率0.121mΩ・cm、平均結晶粒径3.20μm、酸化錫リッチ相の面積率0.83%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.15%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は31回/24hr、ノジュール被覆率は1.2%と良好であった。
【0064】
(実施例6)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1350℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1250℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.036g/cm
3、曲げ強度110MPa、バルク抵抗率0.129mΩ・cm、平均結晶粒径3.01μm、酸化錫リッチ相の面積率0.95%、酸化錫リッチ相三重点存在確率97%、空孔面積率は0.23%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は40回/24hr、ノジュール被覆率は1.5%と良好であった。
【0065】
(実施例7)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.074g/cm
3、曲げ強度111MPa、バルク抵抗率0.131mΩ・cm、平均結晶粒径3.96μm、酸化錫リッチ相の面積率0.21%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.08%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は31回/24hr、ノジュール被覆率は0.9%と良好であった。
【0066】
この実施例7について、同様のDCパワー密度、ガス圧で、スパッタガスにアルゴンと、酸素含有量を0、1、2、4%とし、ガス流量300sccmでガラス基板(EagleXG)に無加熱で成膜し、40nmのITO膜を作製した。
この膜を、イナートオーブン炉(型番:INL−45−S)を用いて、50〜200℃まで大気雰囲気で60分加熱し、加熱前後の膜をXRD(装置型番:リガク製_全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab)測定にて結晶化の有無を確認した。結晶化温度は、XRD測定にてIn
2O
3の(222)面のピークが認められた温度とした。
【0067】
酸素濃度が0%の場合、膜抵抗率は2.93mΩ・cm、500nm波長での透過率は81.1%、結晶化温度は80℃であった。
酸素濃度が1%の場合、膜抵抗率は1.33mΩ・cm、500nm波長での透過率は83.2%、結晶化温度は80℃であった。
酸素濃度が2%の場合、膜抵抗率は0.65mΩ・cm、500nm波長での透過率は88.7%、結晶化温度は80℃であった。
酸素濃度が4%の場合、膜抵抗率は0.96mΩ・cm、500nm波長での透過率は86.9%、結晶化温度は80℃であった。
この結果を、同様に表2に示す。いずれも、良好な結果が得られた。
【0068】
(実施例8)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.045g/cm
3、曲げ強度107MPa、バルク抵抗率0.125mΩ・cm、平均結晶粒径3.46μm、酸化錫リッチ相の面積率0.26%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.11%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は33回/24hr、ノジュール被覆率は1.2%と良好であった。
【0069】
(実施例9)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.1%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.079g/cm
3、曲げ強度113MPa、バルク抵抗率0.125mΩ・cm、平均結晶粒径3.55μm、酸化錫リッチ相の面積率0.18%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.12%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は30回/24hr、ノジュール被覆率は1.3%と良好であった。
【0070】
(実施例10)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.1%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.050g/cm
3、曲げ強度110MPa、バルク抵抗率0.122mΩ・cm、平均結晶粒径2.75μm、酸化錫リッチ相の面積率0.22%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.13%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は31回/24hr、ノジュール被覆率は1.6%と良好であった。
【0071】
(実施例11)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.6%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.088g/cm
3、曲げ強度119MPa、バルク抵抗率0.123mΩ・cm、平均結晶粒径2.97μm、酸化錫リッチ相の面積率0.33%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.10%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は25回/24hr、ノジュール被覆率は1%と良好であった。
【0072】
(実施例12)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.6%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.071g/cm
3、曲げ強度115MPa、バルク抵抗率0.119mΩ・cm、平均結晶粒径2.83μm、酸化錫リッチ相の面積率0.38%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.10%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は28回/24hr、ノジュール被覆率は1.1%と良好であった。
【0073】
(実施例13)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.0%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として酸素雰囲気中で用いて焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.103g/cm
3、曲げ強度126MPa、バルク抵抗率0.117mΩ・cm、平均結晶粒径3.67μm、酸化錫リッチ相の面積率0.41%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.08%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は21回/24hr、ノジュール被覆率は0.9%と良好であった。
【0074】
(実施例14)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.0%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.091g/cm
3、曲げ強度121MPa、バルク抵抗率0.115mΩ・cm、平均結晶粒径3.49μm、酸化錫リッチ相の面積率0.46%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.09%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は24回/24hr、ノジュール被覆率は0.9%と良好であった。
【0075】
(実施例15)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.2%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.109g/cm
3、曲げ強度127MPa、バルク抵抗率0.110mΩ・cm、平均結晶粒径3.82μm、酸化錫リッチ相の面積率0.55%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.07%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は18回/24hr、ノジュール被覆率は0.7%と良好であった。
【0076】
この実施例15について、同様のDCパワー密度、ガス圧で、スパッタガスにアルゴンと、酸素含有量を0、1、2、4%とし、ガス流量300sccmでガラス基板(EagleXG)に無加熱で成膜し、40nmのITO膜を作製した。
この膜を、イナートオーブン炉(型番:INL−45−S)を用いて、50〜200℃まで大気雰囲気で60分加熱し、加熱前後の膜をXRD(装置型番:リガク製_全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab)測定にて結晶化の有無を確認した。結晶化温度は、XRD測定にてIn
2O
3の(222)面のピークが認められた温度とした。
【0077】
酸素濃度が0%の場合、膜抵抗率は2.65mΩ・cm、500nm波長での透過率は80.1%、結晶化温度は110℃であった。
酸素濃度が1%の場合、膜抵抗率は0.97mΩ・cm、500nm波長での透過率は83.6%、結晶化温度は110℃であった。
酸素濃度が2%の場合、膜抵抗率は0.60mΩ・cm、500nm波長での透過率は89.2%、結晶化温度は110℃であった。
酸素濃度が4%の場合、膜抵抗率は0.84mΩ・cm、500nm波長での透過率は87.6%、結晶化温度は110℃であった。
この結果を、同様に表2に示す。いずれも、良好な結果が得られた。
【0078】
(実施例16)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.2%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.100g/cm
3、曲げ強度123MPa、バルク抵抗率0.104mΩ・cm、平均結晶粒径3.77μm、酸化錫リッチ相の面積率0.62%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.06%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は18回/24hr、ノジュール被覆率は0.6%と良好であった。
【0079】
(実施例17)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.5%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.112g/cm
3、曲げ強度130MPa、バルク抵抗率0.111mΩ・cm、平均結晶粒径4.02μm、酸化錫リッチ相の面積率0.62%、酸化錫リッチ相三重点存在確率98%、空孔面積率は0.06%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は15回/24hr、ノジュール被覆率は0.6%と良好であった。
【0080】
(実施例18)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.5%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.102g/cm
3、曲げ強度128MPa、バルク抵抗率0.106mΩ・cm、平均結晶粒径3.89μm、酸化錫リッチ相の面積率0.70%、酸化錫リッチ相三重点存在確率97%、空孔面積率は0.05%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は14回/24hr、ノジュール被覆率は0.5%と良好であった。
【0081】
(比較例1)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1550℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1450℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.112g/cm
3、曲げ強度122MPa、バルク抵抗率0.135mΩ・cm、平均結晶粒径7.64μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.52%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は120回/24hr、ノジュール被覆率は2.5%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0082】
(比較例2)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1500℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1400℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.106g/cm
3、曲げ強度120MPa、バルク抵抗率0.124mΩ・cm、平均結晶粒径5.98μm、酸化錫リッチ相の面積率0.02%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.68%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は148回/24hr、ノジュール被覆率は3.1%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0083】
(比較例3)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を1時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度6.989g/cm
3、曲げ強度103MPa、バルク抵抗率0.121mΩ・cm、平均結晶粒径3.25μm、酸化錫リッチ相の面積率0.58%、酸化錫リッチ相三重点存在確率94%、空孔面積率は0.20%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は334回/24hr、ノジュール被覆率は4.8%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0084】
(比較例4)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1550℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1450℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.098g/cm
3、曲げ強度115MPa、バルク抵抗率0.125mΩ・cm、平均結晶粒径6.21μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.55%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は100回/24hr、ノジュール被覆率は2.6%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0085】
(比較例5)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1500℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1400℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.066g/cm
3、曲げ強度111MPa、バルク抵抗率0.120mΩ・cm、平均結晶粒径5.12μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.63%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は114回/24hr、ノジュール被覆率は2.9%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0086】
(比較例6)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.6%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.048g/cm
3、曲げ強度103MPa、バルク抵抗率0.133mΩ・cm、平均結晶粒径4.05μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.62%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は128回/24hr、ノジュール被覆率は2.9%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0087】
(比較例7)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.6%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.024g/cm
3、曲げ強度98MPa、バルク抵抗率0.138mΩ・cm、平均結晶粒径3.83μm、酸化錫リッチ相の面積率0.02%、酸化錫リッチ相三重点存在確率99%、空孔面積率は0.66%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は145回/24hr、ノジュール被覆率は3.3%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0088】
(比較例8)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.4%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.030g/cm
3、曲げ強度99MPa、バルク抵抗率0.139mΩ・cm、平均結晶粒径4.68μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.78%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は138回/24hr、ノジュール被覆率は3.2%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0089】
この比較例8について、同様のDCパワー密度、ガス圧で、スパッタガスにアルゴンと、酸素含有量を0、1、2、4%とし、ガス流量300sccmでガラス基板(EagleXG)に無加熱で成膜し、40nmのITO膜を作製した。
この膜を、イナートガスオーブン炉(型番:INL−45−S)を用いて、50〜200℃まで大気雰囲気で60分加熱し、加熱前後の膜をXRD(装置型番:リガク製_全自動水平型多目的X線回折装置SmartLab)測定にて結晶化の有無を確認した。結晶化温度は、XRD測定にてIn
2O
3の(222)面のピークが認められた温度とした。
【0090】
酸素濃度が0%の場合、膜抵抗率は6.21mΩ・cm、500nm波長での透過率は72.9%、結晶化温度は50℃であった。
酸素濃度が1%の場合、膜抵抗率は4.60mΩ・cm、500nm波長での透過率は76.3%、結晶化温度は50℃であった。
酸素濃度が2%の場合、膜抵抗率は3.01mΩ・cm、500nm波長での透過率は78.7%、結晶化温度は50℃であった。
酸素濃度が4%の場合、膜抵抗率は4.38mΩ・cm、500nm波長での透過率は75.4%、結晶化温度は50℃であった。
この結果を、同様に表2に示す。いずれも、本発明の条件を満たしておらす、不良となった。
【0091】
(比較例9)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.4%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.015g/cm
3、曲げ強度90MPa、バルク抵抗率0.145mΩ・cm、平均結晶粒径4.07μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.85%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は162回/24hr、ノジュール被覆率は3.5%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0092】
(比較例10)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.2%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.009g/cm
3、曲げ強度88MPa、バルク抵抗率0.148mΩ・cm、平均結晶粒径5.03μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は0.88%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は173回/24hr、ノジュール被覆率は3.8%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0093】
(比較例11)
原子比でSn/(In+Sn)が、1.2%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1400℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1300℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度6.994g/cm
3、曲げ強度80MPa、バルク抵抗率0.156mΩ・cm、平均結晶粒径4.54μm、酸化錫リッチ相の面積率0.00%、酸化錫リッチ相三重点存在確率0%、空孔面積率は1.02%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は199回/24hr、ノジュール被覆率は1.3%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0094】
(比較例12)
原子比でSn/(In+Sn)が、3.7%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1350℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.112g/cm
3、曲げ強度120MPa、バルク抵抗率0.120mΩ・cm、平均結晶粒径4.32μm、酸化錫リッチ相の面積率2.3%、酸化錫リッチ相三重点存在確率92%、空孔面積率は0.22%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は60回/24hr、ノジュール被覆率は1.3%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0095】
この比較例12について、同様のDCパワー密度、ガス圧で、スパッタガスにアルゴンと、酸素含有量を0、1、2、4%とし、ガス流量300sccmでガラス基板(EagleXG)に無加熱で成膜し、40nmのITO膜を作製した。
この膜を、イナートガスオーブン炉(型番:INL−45−S)を用いて、50〜200℃まで大気雰囲気で60分加熱し、加熱前後の膜をXRD(装置型番:リガク製_全自動水平型多目的X線回折装置SmartLab)測定にて結晶化の有無を確認した。結晶化温度は、XRD測定にてIn
2O
3の(222)面のピークが認められた温度とした。
【0096】
酸素濃度が0%の場合、膜抵抗率は2.74mΩ・cm、500nm波長での透過率は77.1%、結晶化温度は130℃であった。
酸素濃度が1%の場合、膜抵抗率は0.99mΩ・cm、500nm波長での透過率は84.6%、結晶化温度は130℃であった。
酸素濃度が2%の場合、膜抵抗率は0.61mΩ・cm、500nm波長での透過率は86.8%、結晶化温度は130℃であった。
酸素濃度が4%の場合、膜抵抗率は0.87mΩ・cm、500nm波長での透過率は85.1%、結晶化温度は130℃であった。
この結果を、同様に表2に示す。いずれも、本発明の条件を満たしておらす、不良となった。
【0097】
(比較例13)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、特定の温度で保持せず降温冷却した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.093g/cm
3、曲げ強度110MPa、バルク抵抗率0.110mΩ・cm、平均結晶粒径3.55μm、酸化錫リッチ相の面積率0.10%、酸化錫リッチ相三重点存在確率91%、空孔面積率は0.07%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は156回/24hr、ノジュール被覆率は2.0%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0098】
(比較例14)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1250℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.095g/cm
3、曲げ強度115MPa、バルク抵抗率0.123mΩ・cm、平均結晶粒径3.58μm、酸化錫リッチ相の面積率0.08%、酸化錫リッチ相三重点存在確率92%、空孔面積率は0.06%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は140回/24hr、ノジュール被覆率は2.2%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0099】
(比較例15)
原子比でSn/(In+Sn)が、2.8%となるように比率を調整したSnO
2粉末とIn
2O
3粉末を焼結原料として用いて酸素雰囲気中で焼結した。最高焼結温度を1450℃とし、最高焼結温度での保持時間を10時間とした。その後、降温冷却時に1400℃で1時間保持した。こうして得られた焼結体は、焼結体密度7.100g/cm
3、曲げ強度120MPa、バルク抵抗率0.136mΩ・cm、平均結晶粒径3.65μm、酸化錫リッチ相の面積率0.05%、酸化錫リッチ相三重点存在確率90%、空孔面積率は0.07%であった。
この焼結体を用いてターゲットを作製し、DCパワー密度2.3W/cm
2、ガス圧は0.6Pa、スパッタガスはアルゴン(Ar)、ガス流量300sccmで連続的に35時間スパッタリングを行ったところ、アーキング発生回数は230回/24hr、ノジュール被覆率は2.6%と、本願発明の条件を満たしておらず、不良であった。
【0100】
上記、実施例、比較例におけるスパッタリングする場合の酸素濃度を変化させた場合の膜抵抗率、500nm波長での透過率、結晶化温度については、実施例2、実施例7、実施例15、比較例8、比較例12について述べ、他の実施例、比較例については、省略したが、これは、煩雑さを避けるためであり、それぞれ同様の結果が得られていることを付言する。