特許第6291766号(P6291766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6291766易開封性積層フィルム、易開封性ラミネートフィルム及び蓋材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291766
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】易開封性積層フィルム、易開封性ラミネートフィルム及び蓋材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/28 20060101AFI20180305BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180305BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180305BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B32B27/28 101
   B32B27/00 H
   B32B27/32 Z
   B65D65/40 D
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-198276(P2013-198276)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-63072(P2015-63072A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】森谷 貴史
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−338267(JP,A)
【文献】 特開2011−162228(JP,A)
【文献】 実公昭58−052120(JP,Y2)
【文献】 特公平05−082818(JP,B2)
【文献】 特開2000−079663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − 43/00
B65D 65/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
易開封性未延伸積層フィルムと、延伸基材フィルムが積層接着された易開封性ラミネートフィルムであって、
前記易開封性未延伸積層フィルムが、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体を含有するヒートシール層(A)と、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜1.0g/10minのエチレン系樹脂を主成分とするラミネート層(B)とを有する易開封性未延伸積層フィルムであり、
前記易開封性未延伸積層フィルムのラミネート層(B)上に延伸基材フィルムが積層接着されていることを特徴とする易開封性ラミネートフィルム。
【請求項2】
前記ヒートシール層(A)に、更に粘着付与剤を含有する請求項1記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項3】
前記ヒートシール層(A)に用いる樹脂の190℃におけるメルトフローレートが0.5〜30g/10minである請求項1又は2記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項4】
前記ラミネート層(B)に用いるエチレン系樹脂の密度が、0.910〜0.960g/cmの範囲である請求項1〜3の何れか1項記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項5】
前記ヒートシール層(A)と前記ラミネート層(B)の間に中間層(C)を有する請求項1〜4の何れか1項記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項6】
前記中間層(C)が、エチレン系樹脂を主成分とするものである請求項5記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項7】
前記易開封性未延伸積層フィルムが、共押出積層法を用いて製造されたものである請求項1〜6の何れか1項記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項8】
前記易開封性積層フィルムの全厚が20〜100μmの範囲であり、ヒートシール層(A)の厚み比率が10〜50%の範囲である請求項1〜7の何れか1項記載の易開封性ラミネートフィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の易開封性ラミネートフィルムを用いることを特徴とする包装容器の蓋材。
【請求項10】
前記包装容器の蓋材と接する部分がポリオレフィン系樹脂からなるものである請求項記載の蓋材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器のヒートシール部等の被着体に対してシール温度に依らず、優れた易開封性を発現し、包装容器の蓋材用等として好適に使用できる積層フィルムとラミネートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年医療用具包装体や食品包装において、ユニバーサルデザイン化傾向の中で、社会的弱者(高齢者、幼児、障害者等)に対しての配慮として、消費者が開封しやすい方式、例えば易開封性が重要視されつつある。
【0003】
易開封性の蓋材としては、一般にホットメルト剤と呼ばれるワックス状の樹脂をシール剤として使用した蓋材が使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。前記特許文献1で提供された蓋材を実際に使用する場面において、内容物の咬み込みなどでシール不良が発生するのを抑制するために、シール温度を上げることがあるが、シール温度を上げると接着強度も上がることになり、結果として開封強度が強くなり、易開封性が発現されなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−089521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情を鑑み、本発明の課題は、熱可塑性樹脂素材からなるヒートシール部を有する被着体に対し、シール温度に依らずに優れた易開封性を有し、包装容器の蓋材等の用途に好適な積層フィルムと、この積層フィルムを基材フィルムにラミネートしたラミネートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意研究した結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体を含有するヒートシール層と、特定のエチレン系樹脂を主成分とするラミネート層とを有する積層フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体を含有するヒートシール層(A)と、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜1.0g/minのエチレン系樹脂を主成分とするラミネート層(B)とを有することを特徴とする易開封性積層フィルム、及びこの積層フィルムのラミネート層に接着剤を介して延伸基材フィルムが積層接着されていることを特徴とする易開封性ラミネートフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層フィルム及びラミネートフィルムは、ヒートシール温度に相違があっても、確実に界面剥離に基づく易開封性を発現できる。これにより、内容物の咬み込み防止のためにシール温度を上げても、開封が容易であることから、包装容器の蓋材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の積層フィルムとラミネートフィルムを構成する各部分について詳述する。
【0010】
本発明におけるヒートシール層(A)はエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体を含有する。エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体としては、特に限定されないが、なかでも酢酸ビニル及び/又はメチルメタクリレート由来成分含有率5〜35質量%、190℃でのメルトフローレート(MFR)が0.5〜30g/10minのものが好ましい。被着体を構成する熱可塑性樹脂素材に対する接着性が良好で、後述するラミネート層(B)との多層成形性に優れることから、酢酸ビニル由来成分含有率7〜25質量%、MFR1.0〜10g/10minのものがより好ましい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体としては、接着性の機能付与として(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸やその無水物を導入した変性物であってもよい。
【0011】
又、ヒートシール層(A)には、各種の粘着付与剤を含有していてもよい。粘着付与剤としては、脂肪族系炭化水素樹脂(脂環式系炭化水素樹脂を含む)、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン類、ポリテルペン系樹脂等が挙げられる。
【0012】
脂肪族系炭化水素樹脂としては、例えば、ブテン−1、ブタジエン、イソブチレン、1,3−ペンタジエン等の炭素原子数4〜5のモノオレフィンまたはジオレフィンを主成分とする重合体、シクロペンタジエンやスペントC4〜C5留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂等の環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を環内水添した樹脂等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂としては、例えば、α−メチルトルエン、ビニルトルエン、インデン等のビニル芳香族系炭化水素を主成分とした樹脂等が挙げられる。ロジン類としては、例えば、ロジン、重合ロジン、ロジングリセリンエステル、ロジングリセリンエステルの水添物、ロジングリセリンエステルの重合物、ロジンペンタエリストリトールエステル、ロジンペンタエリストリトールエステルの水添物、ロジンペンタエリストリトールエステルの重合物等が挙げられる。ポリテルペン系樹脂としては、例えば、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール共重合樹脂、ジペンテン重合体、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、α−ピネン−フェノール共重合樹脂等が挙げられる。
【0013】
前記粘着付与剤としては、更に前記以外の合成樹脂系の粘着付与剤、例えば、酸変性C5石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
【0014】
前記粘着付与剤としては、低臭気性、透明性、成形性等に優れることから、脂肪族系炭化水素樹脂が好ましく使用できる。
【0015】
ヒートシール層(A)におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体と粘着付与剤との配合比としては、被着体を構成する熱可塑性樹脂素材に対する接着性に優れ、製膜性が良好なことから、これらの質量比(共重合体/粘着付与剤)が97/3〜70/30となる範囲が好ましい。
【0016】
前記ヒートシール層(A)には、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体と粘着付与剤と共にスチレン系樹脂を配合することができる。スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンの単独重合体;ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の合成ゴムにスチレンの単量体をグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂等が挙げられる。スチレン系樹脂の配合は、特にスチレン系樹脂素材の被着体に対して有効であり、MFR1〜40g/10minのものが好ましく、5〜20g/10minのものが成形加工性に優れることからより好ましい。
【0017】
前記ヒートシール層(A)にスチレン系樹脂を配合する場合の配合比としては、特にスチレン系樹脂素材の被着体に対して有効で透明性の低下が少ないことから、これらの質量比(共重合体/粘着付与剤/スチレン系重合体)が50〜92/3〜30/5〜20となる範囲であることが好ましい。
【0018】
本発明におけるラミネート層(B)は、190℃におけるメルトフローレートが0.1〜1.0g/minのエチレン系樹脂を主成分とすることを必須とする。ここで、主成分とするとは、当該層(B)を構成する樹脂成分中、特定のエチレン系樹脂を65質量%以上で含有することを必須とすることであり、好ましくは80質量%以上が特定のエチレン系樹脂であることをいうものである。
【0019】
前述のヒートシール層(A)に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体は、シール温度を高くすると、樹脂流れが生じ、シール部分(熱がかかったところ)のシール層(A)の厚みが減る傾向がある。そのためシール部分と接する所の厚みが相対的に増大し、結果、接着強度が高くなる問題が発生すると考えられる。本発明では、ヒートシール層(A)に積層するラミネート層(B)に用いる樹脂を、従来フィルムに使用されている一般的な樹脂よりも流動性の悪い(=MFRが小さい)樹脂であって、且つエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体との層間接着強度が高いエチレン系樹脂を用いることで、ヒートシール層(A)のエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メチルメタクリレート共重合体の樹脂流れを抑えることにより、シール温度を高めた際の、被着体との接着強度の向上を有効的に制御し、もって、安定的な易開封性発現という効果を発現させたものである。
【0020】
前述のエチレン系樹脂としては、MFRが0.1〜1.0g/minであれば良く、その他の物性等においては特に限定されるものではないが、成膜性が良好である観点から、密度0.910〜0.960g/cmのポリエチレンを用いることが好ましく、特に密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0021】
前記エチレン系樹脂としては、単一のエチレン系樹脂からなるものであっても、複数の密度やMFRの異なるエチレン系樹脂を混合して用いてもよい。この時、MFRは混合物としてのMFRが本発明で規定する0.1〜1.0g/minの範囲であることが必要である。
【0022】
本発明で規定するMFRを満たす範囲で、ラミネート層(B)にはエチレン系樹脂以外の樹脂を併用してもよい。この時併用できる樹脂としては、エチレン系樹脂との相溶性の観点より、オレフィン系樹脂であることが好ましく、特にプロピレン−エチレン共重合体あるいは前述のヒートシール層(A)で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体や、酸変性エチレン系樹脂であってもよい。
【0023】
本発明においては、前述のように、ヒートシール層(A)とラミネート層(B)とを有する積層フィルムであれば良く、層(A)と層(B)との間に更に中間層(C)を有している積層フィルムであってもよい。
【0024】
前記中間層(C)に用いることができる樹脂としては、共押出積層法でヒートシール層(A)、ラミネート層(B)との積層が容易である点から、オレフィン系樹脂を用いることが好ましく、特に層間接着性の観点から、エチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
前記中間層(C)に用いるエチレン系樹脂は、前述のラミネート層(B)に用いるエチレン系樹脂と同一であっても、異なっていてもよく、特にMFRが0.1〜5.0g/minの比較的流動性の悪いエチレン系樹脂を用いることが、本発明の効果を損なわない観点より好ましい。この中間層(C)には、いわゆる回収品を混合して用いることができる。
【0026】
本発明の積層フィルムの全厚、ヒートシール層(A)およびラミネート層(B)の厚さは、特に限定されないが、通常、全厚が20〜100μm、ヒートシール層(A)の厚さが2〜50μm、全厚に対するヒートシール層(A)の厚み比率が10〜50%の範囲であると、被着体に対する接着性と易開封性とのバランスに優れる点から好ましいものである。
【0027】
本発明の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、共押出積層成形法、例えば、2台以上の押出機を用いて溶融押出する、共押出多層ダイス法、フィードブロック法等の種々の共押出法により溶融状態で積層した後、インフレーション、Tダイ・チルロール法等の方法で長尺巻フィルムに加工する方法が好ましく、Tダイを用いた共押出法がより好ましい。
【0028】
本発明の積層フィルムとしては、一般に破断しない強度の確保、ヒ−トシール時の耐熱性確保、および印刷の意匠性向上等が図れることから、延伸基材フィルムとラミネートされることが望ましい。ラミネートする基材フィルムとしては、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられるが、破断強度、透明性等の点で2軸延伸ポリエステルフィルムがより好ましい。また、前記基材フィルムとしては、必要性に応じて、易裂け性処理や帯電防止処理が施されていてもよい。積層フィルムと基材フィルムのラミネート方法としては、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミート等の複合化技術を用いればよい。
【0029】
本発明の積層フィルムは、ラミネート適性の向上を目的としてラミネート層(A)にコロナ処理等の表面処理が施されていてもよく、またフィルム成膜加工性、機能性付与として、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、導電剤等を適宜添加、或いはコーティングしてもよい。これらの添加剤、コーティング剤としては、オレフィン系樹脂用の各種添加剤、コーティング剤を使用することが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明する。なお、例中の「%」「部」は特に断りのない限り、質量換算である。
【0031】
合成例1〔ヒートシール層(A)用樹脂組成物の製造〕
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル由来成分含有率15%、MFR4.0g/10min。以下、EVA1と略記する。)と環式脂肪族系石油樹脂(荒川化学製アルコンP−100。以下、石油樹脂1と略記する。)を、EVA1/石油樹脂1(質量比)=85/15で用い、これらの合計に対してエルカ酸アミド(ブロッキング防止剤)と平均粒径3μmの合成ゼオライトを、エルカ酸アミドが2000ppm、合成ゼオライトが5000ppmとなるように混合し、口径40mmの単軸押出機にて溶融混練後、ペレット化して、ヒートシール層(A)用樹脂組成物1のペレットを得た。
【0032】
合成例2(同上)
エチレン−メチルメタアクリレート共重合樹脂(メチルメタアクリレート由来成分含有率15%、MFR4.0g/10min。以下、EMMA1と略記する。)と石油樹脂1を、EMMA1/石油樹脂1(質量比)=85/15で用い、これらの合計に対してエルカ酸アミド(ブロッキング防止剤)と平均粒径3μmの合成ゼオライトを、エルカ酸アミドが2000ppm、合成ゼオライトが5000ppmとなるように混合し、口径40mmの単軸押出機にて溶融混練後、ペレット化して、ヒートシール層(A)用樹脂組成物2のペレットを得た。
【0033】
実施例1
イージーピール層(A)用の樹脂として、前記合成例1で得られた樹脂を用いた。ラミネート層(B)用の樹脂として、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−ヘキセン共重合体〔MFR(190℃)が0.9g/10min、密度0.944g/cm〕(以下メタロセンLLDPE(b)という)を用いた。中間層(C)は、ラミネート層(B)と同じ樹脂を用いた。中間層用押出機(口径40mm)、ラミネート層用押出機(口径30mm)、ヒートシール層用押出機(口径30mm)、のそれぞれに樹脂を供給し、共押出法により押出温度280℃でTダイから(A)/(C)/(B)の各層の厚さが10μm/15μm/5μmになるように押出し、40℃の水冷金属冷却ロールで冷却し、ラミネート層の表層にコロナ放電処理を施し、ロールに巻き取り、35℃の熟成室で48時間熟成させて、全厚が30μmの本発明の積層フィルムを得た。
【0034】
得られた積層フィルムを、二軸延伸ポリエステルフィルム12μmとドライラミネート接着剤を用いて貼り合わせて、40℃で36時間エージングした後、10cm×10cmに切り出し、ポリプロピレン製丸型射出成形カップと、ヒートシール面がポリプロピレン容器フランジ側に来るように重ね合わせて、カップシーラー(シンワ機械製カップシーラー)を用いて、所定の温度に調節された上部ヒートシール金型で、約100kg、1秒の条件でヒートシールした。
【0035】
ヒートシールされたフランジ部分の外側フィルム部分をプッシュプルゲージ先端で掴み、フランジ水平面から45度の角度で蓋材を引き剥がしたときの最大強度を開封強度とした。
【0036】
実施例2
ラミネート層(B)及び中間層(C)用の樹脂として、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−ヘキセン共重合体〔MFR(190℃)が0.4g/10min、密度0.944g/cm〕(以下メタロセンLLDPE(a)という)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の積層フィルムを得た。
【0037】
実施例3
各層の厚さが40μm/30μm/10μmになるように押出した以外は、実施例1と同様にして実施例3の積層フィルムを得た。
【0038】
実施例4
ラミネート層(B)及び中間層(C)用の樹脂として、メタロセンLLDPE(a)、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−ヘキセン共重合体〔MFR(190℃)が4.0g/10min、密度0.944g/cm〕(以下メタロセンLLDPE(c)という)と低密度ポリエチレン〔MFR(190℃)が0.5g/10min、密度0.92g/cm〕(以下LDPE(a)という)を、比率が50/30/20となるように混合して、MFRが約0.7g/10minになるよう用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4の積層フィルムを得た。
【0039】
実施例5
ヒートシール層(A)用の樹脂として、前記合成例2で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の積層フィルムを得た。
【0040】
実施例6
中間層(C)用の樹脂として、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−ブテン共重合体〔MFR(190℃)が3g/10min、密度0.880g/cm〕(以下メタロセンLLDPE(d)という)のみを用い、(A)/(C)/(B)の各層の厚さが10μm/10μm/10μmになるように押出した以外は実施例1と同様にして実施例6の積層フィルムを得た。
【0041】
比較例1
ラミネート層(B)及び中間層(C)用樹脂として、メタロセンLLDPE(c)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層フィルムを得た。
【0042】
比較例2
ラミネート層(B)及び中間層(C)用樹脂として、ヒートシール層(A)用の樹脂組成物1を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の積層フィルムを得た。
【0043】
比較例で得られた積層フィルムを用いて、実施例と同様にしてラミネートフィルムを得、同様の評価を行った。実施例及び比較例での開封強度について、表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1〜6の積層フィルムは、開封強度の測定において10〜34Nの値を示し、160〜190℃のヒートシール温度において、良好な開封性を示した。一方、比較例1及び比較例2で得られた積層フィルムを用いた開封強度の測定では、それぞれ180℃及び170℃のヒートシールにおいて、開封できなかった。