(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、表示素子、電子デバイス、通信機器、自動車部品、航空機部品、機械部品、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明は特定の構造を有する化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、当該化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、表示素子、電子デバイス、通信機器、自動車部品、航空機部品、機械部品、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品、重合性液晶組成物、当該重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
【0011】
位相差フィルムに対する入射光の波長λを横軸に取りその複屈折率Δnを縦軸にプロットしたグラフにおいて、波長λが短くなるほど複屈折率Δnが大きくなる場合、そのフィルムは「正分散性」であり、波長λが短くなるほど複屈折率Δnが小さくなる場合、そのフィルムは「逆波長分散性」又は「逆分散性」であると当業者間で一般的に呼ばれている。本発明において、波長450nmにおける面内位相差(Re(450))を波長550nmにおける面内位相差Re(550)で除した値Re(450)/Re(550)が0.95以下である位相差フィルムを構成する化合物を逆波長分散性化合物と呼ぶ。また、Re(450)/Re(550)が0.95より大きく1.05以下である位相差フィルムを構成する化合物を低波長分散性化合物と呼ぶ。位相差の測定方法は下記に示すとおりである。
《位相差の測定》
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得る。得られた塗膜を市販のラビング装置を用いてラビング処理する。
【0012】
ラビングした基材に評価対象の化合物を20質量%含有するシクロペンタノン溶液をスピンコート法で塗布し、100℃で2分乾燥する。得られた塗布膜を室温まで冷却した後、高圧水銀ランプを用いて、30mW/cm
2の強度で30秒間紫外線を照射することによって評価対象のフィルムを得る。得られたフィルムの位相差を、位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100(大塚電子株式会社製)を使用し測定する。
【0013】
評価対象の化合物がシクロペンタノンに溶解しない場合、溶媒としてクロロホルムを使用する。また、評価対象の化合物が単独で液晶性を示さない場合、下記の式(A)で表される化合物(50質量%)及び式(B)で表される化合物(50質量%)
【0015】
からなる母体液晶に対し、評価対象の化合物(10質量%、20質量%又は30質量%)を添加した組成物を用いてフィルムを作製し、外挿によって位相差を測定する。
【0016】
一般式(I)において、R
1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R
1はP
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表す。液晶性及び合成の容易さの観点から、R
1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、若しくは、P
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基又は直鎖アルコキシ基、若しくは、P
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表すことがより好ましく、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基又は直鎖アルコキシ基、若しくは、P
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表すことがさらに好ましく、位相差及び逆波長分散性の経時変化、基材からの剥離の観点から、P
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表すことが特に好ましい。
【0017】
一般式(I)において、R
2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、R
2はP
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表す。液晶性及び合成の容易さの観点から、R
2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、若しくは、P
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基又は直鎖アルコキシ基、若しくは、P
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことがより好ましく、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基又は直鎖アルコキシ基、若しくは、P
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことがさらに好ましく、位相差及び逆波長分散性の経時変化、基材からの剥離の観点から、P
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことが特に好ましい。
【0018】
一般式(I)において、逆波長分散性及び位相差の経時的安定性、剥離の起こりにくさの観点から、R
1がP
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表し、R
2はP
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基以外の基を表すか、R
1はP
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基以外の基を表し、R
2がP
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すか、R
1がP
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表し、R
2がP
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことがより好ましく、R
1がP
1−(Sp
1−X
1)
k1−で表される基を表し、R
2がP
2−(Sp
2−X
2)
k2−で表される基を表すことが特に好ましい。
【0019】
一般式(I)において、存在するP
1、存在するP
2及びP
3はそれぞれ独立して重合性基を表し、重合性基としては、ラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合により重合する基であるが、各々独立して下記の式(P−1)から式(P−19)
【0021】
から選ばれる基を表すことが好ましい。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−6)、式(P−10)、式(P−12)、式(P−14)又は式(P−17)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−6)、式(P−10)又は式(P−12)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
【0022】
一般式(I)において、存在するSp
1、存在するSp
2及びSp
3はそれぞれ独立してスペーサー基を表すが、Sp
1、Sp
2及びSp
3が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキレン基を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から12の直鎖状アルキレン基を表すことがさらに好ましい。液晶性及び溶媒への溶解性の観点から、Sp
1及びSp
2は各々独立して炭素原子数1から12の直鎖状アルキレン基を表し、Sp
3は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から12の直鎖状アルキレン基を表すことが特に好ましい。
【0023】
一般式(I)において、存在するX
1、存在するX
2及びX
3は、それぞれ独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
1、X
2及びX
3が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、X
1、X
2及びX
3は複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことがより好ましい。合成の容易さの観点から、X
1及びX
2は−O−を表し、X
3は単結合を表すことが特に好ましい。
【0024】
一般式(I)において、k1及びk2は各々独立して0から10の整数を表す。液晶性、原料の入手容易さの観点から、各々独立して0から3の整数を表すことが好ましい。フィルムにした場合の硬化収縮の観点から、各々独立して1から3の整数を表すことがより好ましく、1を表すことが特に好ましい。
【0025】
一般式(I)において、k3は1から10の整数を表す。液晶性、原料の入手容易さの観点から、1から3の整数を表すことが好ましい。フィルムにした場合の硬化収縮の観点から、1を表すことが特に好ましい。
【0026】
一般式(I)において、P
3−(Sp
3−X
3)
k3−で表される基中のN原子と直接結合する基は、合成の容易さの観点から、−CH
2−であることが好ましい。
【0027】
一般式(I)において、P
3−(Sp
3−X
3)
k3−で表される基は、位相差及び逆波長分散性の経時的安定性及び紫外光を長時間照射した場合の剥離の観点から、下記の式(P3−1)、式(P3−2)又は式(P3−3)
【0029】
(式中、P
3は一般式(I)と同様の意味を表し、k3aは2から20の整数を表し、k3bは1から6の整数を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましい。式(P3−1)において、k3aは液晶性の観点から、2から12の整数を表すことがより好ましく、2から8の整数を表すことが特に好ましい。式(P3−2)及び式(P3−3)において、k3bは液晶性の観点から、1から3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが特に好ましい。
【0030】
一般式(I)において、A
1及びA
2は各々独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。合成の容易さ、原料の入手容易さ及び液晶性の観点から、A
1及びA
2は、各々独立して無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表すことがより好ましく、各々独立して下記の式(A−1)から式(A−11)
【0032】
から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−8)から選ばれる基を表すことがさらにより好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−4)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0033】
一般式(I)において、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、LはP
L−(Sp
L−X
L)
kL−で表される基を表しても良く、ここでP
Lは重合性基を表し、重合性基としては、ラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合により重合する基であり、Sp
Lはスペーサー基又は単結合を表すが、Sp
Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X
Lは−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P
L−(Sp
L−X
L)
kL−には−O−O−結合を含まない。)、kLは0から10の整数を表すが、化合物内にLが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶性、合成の容易さの観点から、Lは複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、Lは複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがより好ましく、Lは複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1から8の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことがさらに好ましく、Lは複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基を表すことが特に好ましい。また、LがP
L−(Sp
L−X
L)
kL−で表される基を表す場合、P
L、Sp
L、X
L及びkLの好ましい構造は各々P
1、Sp
1、X
1及びk1の好ましい構造と同一である。
【0034】
一般式(I)において、Z
1及びZ
2は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。Z
1及びZ
2は、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を表すことが特に好ましい。
【0035】
一般式(I)において、m1及びm2は各々独立して0から6の整数を表すが、m1+m2は0から6の整数を表す。溶媒への溶解性、液晶性、位相差及び逆波長分散性の経時的安定性の観点から、m1及びm2は各々独立して1から3の整数を表すことが好ましく、各々独立して1又は2を表すことがより好ましく、2を表すことが特に好ましい。また、m1+m2は1から4の整数を表すことが好ましく、m1+m2は2から4の整数を表すことがより好ましく、m1+m2は2又は4を表すことがさらに好ましく、m1+m2は4を表すことが特に好ましい。
【0036】
一般式(I)において、Mは置換されていても良い三価の芳香族基を表す。溶媒への溶解性、液晶性及び合成の容易さの観点から、Mは下記の式(M−1)から式(M−6)
【0038】
(式中、水平方向の2本の結合手は各々R
1−(A
1−Z
1)
m1−又は−(Z
2−A
2)
m2−R
2と結合し、上方の結合手は残りの基と結合することを意味し、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L
Mによって置換されても良く、任意の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。溶媒への溶解性、液晶性及び合成の容易さの観点から、Mは下記の式(M−1−1)から式(M−6−1)
【0040】
(式中、水平方向の2本の結合手は各々R
1−(A
1−Z
1)
m1−又は−(Z
2−A
2)
m2−R
2と結合し、上方の結合手は残りの基と結合することを意味する。)から選ばれる基を表すことがより好ましく、式(M−1−1)又は式(M−2−1)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0041】
式(M−1)から式(M−6)において、L
Mはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、L
MはP
LM−(Sp
LM−X
LM)
kLM−で表される基を表しても良く、ここでP
LMは重合性基を表し、重合性基としては、ラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合により重合する基であり、Sp
LMはスペーサー基又は単結合を表すが、Sp
LMが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X
LMは−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
LMが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P
LM−(Sp
LM−X
LM)
kLM−には−O−O−結合を含まない。)、kLMは0から10の整数を表すが、化合物内にL
Mが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶性、合成の容易さの観点から、L
Mは複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、複数存在する場合同一であっても異なっていても良く、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、メチル基又はメトキシ基を表すことが特に好ましい。また、L
MがP
LM−(Sp
LM−X
LM)
kLM−で表される基を表す場合、P
LM、Sp
LM、X
LM及びkLMの好ましい構造は各々P
1、Sp
1、X
1及びk1の好ましい構造と同一である。
【0042】
一般式(I)において、Yは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い。液晶性及び合成の容易さの観点から、Yは水素原子、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、Yは水素原子又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、Yは水素原子又は炭素原子数1から12の直鎖状アルキル基を表すことがさらに好ましく、Yは水素原子を表すことが特に好ましい。
【0043】
一般式(I)において、W
1は置換されていても良い炭素原子数1から40の芳香族基及び/又は非芳香族基を含む基を表すが、当該芳香族基は炭化水素環又は複素環であっても良く、当該非芳香族基は炭化水素基又は炭化水素基の任意の炭素原子がヘテロ原子に置換された基であっても良い(ただし、W
1基中には−O−O−結合を含まない。)。W
1は、液晶性及び合成の容易さの観点から、下記の式(W−1)から式(W−20)
【0045】
(式中、環構造には任意の位置に結合手を有して良く、これらの基から選ばれる2つ以上の芳香族基を単結合で連結した基を形成しても良く、任意の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−NR
T−(式中、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、−CS−又は−CO−に置き換えられても良いが、−O−O−結合を含まない。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基L
Wによって置換されても良い。ここで、任意の位置に結合手を有して良くとは、例えば、W
1は1価の基であることから、任意の位置に結合手を1つ有することを意図する(以下、本発明において、任意の位置に結合手を有して良くとは同様な意味を示す。)。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0046】
L
Wはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、L
WはP
LW−(Sp
LW−X
LW)
kLW−で表される基を表す。液晶性、合成の容易さの観点から、L
Wはフッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1から8の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことが特に好ましい。また、L
WがP
LW−(Sp
LW−X
LW)
kLW−で表される基を表す場合、P
LW、Sp
LW、X
LW及びkLWの好ましい構造は各々P
1、Sp
1、X
1及びk1の好ましい構造と同一である。
【0047】
上記の式(W−1)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−1−1)から式(W−1−7)
【0049】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−2)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−2−1)から式(W−2−8)
【0051】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−3)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−3−1)から式(W−3−6)
【0053】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−4)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−4−1)から式(W−4−9)
【0055】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−5)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−5−1)から式(W−5−13)
【0057】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−6)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−6−1)から式(W−6−12)
【0059】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−7)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−7−1)から式(W−7−8)
【0061】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−8)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−8−1)から式(W−8−19)
【0063】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−9)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−9−1)から式(W−9−7)
【0065】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−10)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−10−1)から式(W−10−16)
【0067】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−11)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−11−1)から式(W−11−10)
【0069】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−12)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−12−1)から式(W−12−4)
【0071】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−13)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−13−1)から式(W−13−8)
【0073】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−14)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−14−1)から式(W−14−8)
【0075】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−15)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−15−1)から式(W−15−10)
【0077】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−16)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−16−1)から式(W−16−8)
【0079】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−17)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−17−1)から式(W−17−4)
【0081】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−18)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−18−1)から式(W−18−4)
【0083】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−19)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−19−1)から式(W−19−16)
【0085】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、上記の式(W−20)で表される基としては、無置換であるか又は1つ以上の上述の置換基L
Wによって置換されても良い下記の式(W−20−1)から式(W−20−4)
【0087】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、R
Tは水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましい。溶媒への溶解性、液晶性及び逆波長分散性の観点から、W
1は下記の式(W−7−7−1)から式(W−14−7−1)
【0089】
(式中、L
W1はフッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、化合物内にL
W1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、sは0から4の整数を表し、tは0から3の整数を表し、uは0から2の整数を表す。)から選ばれる基を表すことがより好ましく、W
1は下記の式(W−7−7−1−1)から式(W−14−7−1−1)
【0091】
から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、W
1は上記の式(W−7−7−1−1)を表すことが特に好ましい。
【0092】
一般式(I)で表される化合物は、位相差及び逆波長分散性の経時的安定性、紫外光を照射した場合の基材からの剥離しにくさの観点から、下記の一般式(I−i)
【0094】
(式中、P
1、P
2、P
3、Sp
1、Sp
2、Sp
3、X
1、X
2、X
3、k1、k2、k3、A
1、A
2、Z
1、Z
2、m1、m2、M、Y及びW
1は一般式(I)と同じ意味を表す。)で表されることが好ましく、下記の一般式(I−i−i)
【0096】
(式中、P
1、P
2、P
3、Sp
1、Sp
2、Sp
3、X
1、X
2、X
3、k1、k2、k3、M、Y及びW
1は一般式(I)と同じ意味を表し、A
11及びA
22は各々独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
1によって置換されても良く、A
12及びA
21は各々独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
2によって置換されても良く、L
1及びL
2は各々独立して一般式(I)におけるLと同じ意味を表すが、化合物内にL
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、化合物内にL
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
11及びZ
22は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表し、Z
12及びZ
21は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表す。)で表されることが好ましく、下記の一般式(I−i−i−i)
【0098】
(式中、P
1、P
2、P
3、Sp
1、Sp
2、Sp
3、X
1、X
2、X
3、k1、k2及びk3は一般式(I)と同様の意味を表し、A
111及びA
221は1,4−フェニレン基を表すが、当該基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
11によって置換されても良く、A
121及びA
211は1,4−シクロヘキシレン基を表し、L
11はフッ素原子、塩素原子、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、化合物内にL
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
111及びZ
221は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を表し、Z
121及びZ
211は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を表し、M
1は下記の式(M−1−1)又は式(M−2−1)
【0100】
(式中、水平方向の2本の結合手は各々Z
121又はZ
211と結合し、上方の結合手は残りの基と結合することを意味する。)から選ばれる基を表し、Y
1は水素原子を表し、W
11は前記の式(W−7−7−1)から式(W−14−7−1)から選ばれる基を表す。)で表されることがより好ましい。
【0101】
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−103)で表される化合物が好ましい。
【0123】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(S−12)で表される化合物の製造
【0125】
(式中、P
S1及びP
S2は一般式(I)におけるP
1、P
2又はP
3と同じ意味を表し、Sp
S1及びSp
S2は一般式(I)におけるSp
1、Sp
2又はSp
3と同じ意味を表し、X
S1は一般式(I)におけるX
1又はX
2と同じ意味を表し、W
1は一般式(I)におけるW
1と同じ意味を表し、L
S1は一般式(I)におけるLと同じ意味を表し、L
S2は一般式(I)におけるL
Mと同じ意味を表し、sは各々独立して0から4の整数を表し、tは0から3の整数を表し、PGは保護基を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−1)で表される化合物のカルボキシル基を保護基(PG)によって保護する。保護基(PG)としては、脱保護工程に至るまで安定に保護しうるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、John Wiley & Sons,Inc.,Publication)等に挙げられている保護基(PG)が好ましい。保護基の具体例としてはテトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基が挙げられる。
【0126】
式(S−2)で表される化合物を式(S−3)で表される化合物と反応させることによって、式(S−4)で表される化合物を得ることができる。反応条件としては例えば縮合剤を用いる方法若しくは式(S−2)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−3)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合、縮合剤として例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
【0127】
式(S−4)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、式(S−5)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、前記文献に挙げられているものが好ましい。
【0128】
式(S−5)で表される化合物を式(S−6)で表される化合物と反応させることによって、式(S−7)で表される化合物を得ることができる。反応条件としては例えば前記と同様のものが挙げられる。
【0129】
式(S−8)で表される化合物を例えばヒドラジン一水和物と反応させることによって、式(S−9)で表される化合物を得ることができる。
【0130】
式(S−9)で表される化合物を塩基存在下、式(S−10)で表される化合物と反応させることによって、式(S−11)で表される化合物を得ることができる。塩基としては例えば炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0131】
式(S−11)で表される化合物を酸触媒存在下、式(S−7)で表される化合物と反応させることによって、式(S−12)で表される化合物を得ることができる。酸としては例えばp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、10−カンファースルホン酸等が挙げられる。
(製法2)下記式(S−24)で表される化合物の製造
【0134】
(式中、P
S1は一般式(I)におけるP
1又はP
2と同じ意味を表し、Sp
S1及びSp
S2は一般式(I)におけるSp
1、Sp
2又はSp
3と同じ意味を表し、X
S1は一般式(I)におけるX
1又はX
2と同じ意味を表し、W
1は一般式(I)におけるW
1と同じ意味を表し、L
S1は一般式(I)におけるLと同じ意味を表し、L
S2は一般式(I)におけるL
Mと同じ意味を表し、sは各々独立して0から4の整数を表し、tは0から3の整数を表し、PGは保護基を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−13)で表される化合物のカルボキシル基を保護基(PG)によって保護する。保護基(PG)としては例えば製法1に記載のものが挙げられる。
【0135】
式(S−14)で表される化合物を還元することによって式(S−15)で表される化合物を得ることができる。還元剤としては例えばボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体等のボラン錯体や、ジボラン等が挙げられる。
【0136】
式(S−15)で表される化合物をハロゲン化することによって式(S−16)で表される化合物を得ることができる。ハロゲン化の条件としては、トリフェニルホスフィン、イミダゾール存在下、ヨウ素と反応させる方法、トリフェニルホスフィン存在下、四臭化炭素又はN−ブロモスクシンイミドと反応させる方法、塩基存在下、塩化リチウムと反応させる方法が挙げられる。また、塩基存在下、メタンスルホニルクロリド又はp−トルエンスルホニルクロリドと反応させることによってハロゲン等価体へと誘導する方法が挙げられる。
【0137】
式(S−16)で表される化合物を塩基存在下、式(S−17)で表される化合物と反応させることによって式(S−18)で表される化合物を得ることができる。塩基としては例えば製法1に記載のものが挙げられる。
【0138】
式(S−18)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、式(S−19)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、前記文献に挙げられているものが好ましい。
【0139】
式(S−19)で表される化合物を式(S−20)で表される化合物と反応させることによって、式(S−21)で表される化合物を得ることができる。反応条件としては例えば製法1に記載のものが挙げられる。
【0140】
式(S−22)で表される化合物を例えばヒドラジン一水和物と反応させることによって、式(S−23)で表される化合物を得ることができる。
【0141】
式(S−23)で表される化合物を塩基存在下、式(S−24)で表される化合物と反応させることによって、式(S−25)で表される化合物を得ることができる。塩基としては例えば炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0142】
式(S−25)で表される化合物を酸触媒存在下、式(S−21)で表される化合物と反応させることによって、式(S−26)で表される化合物を得ることができる。酸としては例えばp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、10−カンファースルホン酸等が挙げられる。
【0143】
式(S−26)で表される化合物にアクリル基を導入することによって、式(S−27)で表される化合物を得ることができる。反応条件としては例えば、アクリル酸と縮合剤を用いる方法若しくはアクリル酸クロリドと塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤としては前記のものが挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
【0144】
製法1及び製法2の各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載の条件又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)又はReaxys(Elsevier Ltd.)等のオンライン検索サービスから提供される条件が挙げられる。
【0145】
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無いが、例えばイソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、スチレン、テトラヒドロフラン、ピリジン、1−メチル−2−ピロリジノン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、メチルエチルケトン等が挙げられる。有機溶媒及び水の二相系で反応を行う場合、相間移動触媒を添加することも可能である。相間移動触媒としては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート[Tween 20]、ソルビタンモノオレアート[Span 80]等が挙げられる。
【0146】
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。
【0147】
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0148】
本願発明の重合性化合物と混合して使用される他の重合性化合物としては、具体的には一般式(X−11)
【0152】
(式中、P
11、P
12及びP
13は各々独立して重合性基を表し、Sp
11、Sp
12及びSp
13は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X
11、X
12及びX
13は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z
11及びZ
12は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、A
11、A
12、A
13及びA
14は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A
11、A
12、A
13及びA
14は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R
11は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m11及びm12は0、1、2又は3を表すが、m11及び/又はm12が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA
11、A
13、Z
11及び/又はZ
12は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物が好ましく、P
11、P
12及びP
13がアクリル基又はメタクリル基である場合が特に好ましい。一般式(X−11)で表される化合物として具体的には、一般式(X−11a)
【0154】
(式中、W
11及びW
12は各々独立して水素原子又はメチル基を表し、Sp
14及びSp
15は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X
14及びX
15は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z
13及びZ
14は各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A
15、A
16及びA
17は各々独立して無置換若しくはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数1から4の直鎖状又は分岐状アルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(X−11a−1)から式(X−11a−4)
【0156】
(式中、W
11、W
12、Sp
14及びSp
15は一般式(X−11a)と同様の意味を表す。)で表される化合物が特に好ましい。上記式(X−11a−1)から式(X−11a−4)において、Sp
14及びSp
15が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0157】
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(X−11b−1)から式(X−11b−3)
【0159】
(式中、W
13及びW
14は各々独立して水素原子又はメチル基を表し、Sp
16及びSp
17は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)で表される化合物が挙げられる。上記式(X−11b−1)から式(X−11b−3)において、Sp
16及びSp
17が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0160】
また、一般式(X−12)で表される化合物として具体的には、下記一般式(X−12−1)から式(X−12−7)
【0162】
(式中、P
14は重合性基を表し、Sp
18は単結合又は炭素原子数1から20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−に置き換えられても良く、X
16は単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表し、Z
15は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、L
11はフッ素原子、塩素原子、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、s11は0から4の整数を表し、R
12は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0163】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。具体例として例えば「光硬化技術データブック、材料編(モノマー,オリゴマー,光重合開始剤)」(市村國宏、加藤清視監修、テクノネット社)記載のものが挙げられる。
【0164】
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤の具体例としては2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、安息香酸[1−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]ヘプチリデン]アミノ(IRGACURE OXE 01)等が挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤の具体例としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
【0165】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(X−13−1)から式(X−13−35)
【0173】
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0174】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0175】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiO
2を斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
【0176】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
【0177】
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0178】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm
2〜2W/cm
2が好ましい。強度が0.1mW/cm
2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm
2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0179】
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
【0180】
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0181】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。各工程において酸素及び/又は水分に不安定な物質を取り扱う際は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で作業を行うことが好ましい。以下具体的に記載されている作業に加えて必要に応じて、当業者間において通常行われている反応のクエンチ、分液・抽出、中和、洗浄、分離、精製、乾燥、濃縮等の作業を行っても良い。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0182】
【化72】
【0183】
【化73】
【0184】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−1)で表される化合物10.0g、トリエチルアミン6.0g、テトラヒドロフラン40mLを加えた。氷冷しながら、クロロギ酸エチル6.4gを滴下し室温1時間で撹拌した。析出物を濾過により除去した。窒素雰囲気下、別の反応容器に水素化ホウ素ナトリウム2.2g、テトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら前記濾液を滴下した。メタノール40mL及び水10mLの混合液を滴下し室温で3時間撹拌した。10%塩酸20mLを加えた後、酢酸エチルで抽出した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製を行い、式(I−1−2)で表される化合物7.4gを得た。
【0185】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−2)で表される化合物7.4g、ピリジン4.1g、ジクロロメタン35mLを加えた。氷冷しながらメタンスルホニルクロリド5.4gを滴下し室温で3時間撹拌した。水に注ぎ、5%塩酸及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)及び再結晶(アセトン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−1−3)で表される化合物7.5gを得た。
【0186】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−4)で表される化合物25.0g、酢酸100mL、48%臭化水素酸100mLを加え、12時間加熱還流させた。冷却し水1Lに注いだ。酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄した。溶媒を留去し、残留する酢酸をトルエンで共沸除去した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル)により精製を行い、式(I−1−5)で表される化合物12.0gを得た。
【0187】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−5)で表される化合物2.1g、式(I−1−3)で表される化合物7.5g、炭酸カリウム6.2g、N,N−ジメチルホルムアミド70mLを加え90℃で3日間加熱撹拌した。水に注ぎ、トルエンで抽出し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−1−6)で表される化合物4.8gを得た。
【0188】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−6)で表される化合物4.8g、テトラヒドロフラン20mL、メタノール20mL、25%水酸化ナトリウム水溶液10mLを加え60℃で2時間加熱撹拌した。溶媒を留去しテトラヒドロフラン及び水の混合溶媒に再溶解させた。10%塩酸を加え溶液のpHを2にした。溶媒を留去し、水を加え、析出した固体を濾過した。得られた固体を水で洗浄し乾燥させることにより、式(I−1−7)で表される化合物4.0gを得た。
【0189】
反応容器に式(I−1−8)で表される化合物15.0g、式(I−1−9)で表される化合物17.7g、炭酸カリウム16.0g、N,N−ジメチルホルムアミド100mLを加え80℃で12時間加熱撹拌した。冷却しジクロロメタンで希釈した後、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−1−10)で表される化合物24.2gを得た。
【0190】
反応容器に式(I−1−10)で表される化合物24.2g、テトラヒドロフラン60mL、メタノール60mL、濃塩酸1mLを加え室温で8時間撹拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル)及び再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行い、式(I−1−11)で表される化合物16.5gを得た。
【0191】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−11)で表される化合物3.8g、式(I−1−7)で表される化合物3.0g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.9g、ジクロロメタン200mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド2.3gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再結晶(ジクロロメタン/メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−1−12)で表される化合物4.6gを得た。
【0192】
窒素雰囲気下、反応容器にヒドラジン一水和物100mL、エタノール100mLを加えた。50℃で加熱しながら式(I−1−13)で表される化合物10.0gを滴下し3時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、式(I−1−14)で表される化合物7.7gを得た。
【0193】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−15)で表される化合物4.9g、1,2−ジメトキシエタン30mL、トリエチルアミン3.2gを加えた。60℃で加熱しながら式(I−1−14)で表される化合物7.7gを滴下し2時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、析出した固体を濾過した。固体を水及びヘキサンで順次洗浄した後、乾燥させることにより、式(I−1−16)で表される化合物4.6gを得た。
【0194】
反応容器に式(I−1−16)で表される化合物1.5g、式(I−1−12)で表される化合物5.1g、(±)−10−カンファースルホン酸0.6g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−1−17)で表される化合物4.6gを得た。
【0195】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−17)で表される化合物4.6g、ジイソプロピルエチルアミン0.6g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−1)で表される化合物3.8gを得た。
1H NMR(CDCl
3)δ 1.24(m,4H),1.48−1.93(m,30H),2.08(t,4H),2.23(m,4H),2.54(m,2H),3.86(dd,4H),3.94(t,4H),4.17(t,4H),4.53(t,2H),4.65(t,2H),5.82(dd,3H),6.12(dd,3H),6.40(dd,3H),6.88(m,6H),6.97(dd,4H),7.16(t,1H),7.34(t,1H),7.54(d,1H),7.66(d,1H),7.70(d,1H),8.36(s,1H)ppm.
LCMS:1212[M+1]
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0196】
【化74】
【0197】
【化75】
【0198】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−1)で表される化合物20.0g、tert−ブチルアルコール8.8g、N,N−ジメチルアミノピリジン1.3g、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド16.3gを滴下し室温で8時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、濾液を5%塩酸及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−2−2)で表される化合物20.8gを得た。
【0199】
反応容器に式(I−2−2)で表される化合物20.8g、メタノール200mL、25%水酸化ナトリウム水溶液30mLを加え60℃で加熱撹拌した。冷却しクロロホルムを加えた。10%塩酸を加え水層のpHを4〜5とし、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。不溶物をセライト濾過した後、溶媒を留去し乾燥させることにより、式(I−2−3)で表される化合物17.7gを得た。
【0200】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−3)で表される化合物17.7g、テトラヒドロフラン100mLを加えた。氷冷しながら0.9mol/Lボラン−テトラヒドロフラン錯体103mLを滴下し1時間撹拌した。5%塩酸を滴下した後、酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、式(I−2−4)で表される化合物14.9gを得た。
【0201】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−4)で表される化合物14.9g、ピリジン7.2g、ジクロロメタン150mLを加えた。氷冷しながらメタンスルホニルクロリド8.8gを滴下し室温で3時間撹拌した。水に注ぎ、5%塩酸及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)及び再結晶(アセトン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−2−5)で表される化合物16.3gを得た。
【0202】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−6)で表される化合物25.0g、ジクロロメタン200mLを加えた。氷冷しながら三臭化ホウ素113.1gを滴下し2時間撹拌した。氷水に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル)により精製を行うことにより、式(I−2−7)で表される化合物18.7gを得た。
【0203】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−7)で表される化合物2.5g、式(I−2−5)で表される化合物10.6g、炭酸カリウム7.5g、N,N−ジメチルホルムアミド70mLを加え90℃で3日間加熱撹拌した。水に注ぎ、トルエンで抽出し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(アセトン/メタノール)により精製を行い、式(I−2−8)で表される化合物7.7gを得た。
【0204】
反応容器に式(I−2−8)で表される化合物7.7g、ジクロロメタン150mL、ギ酸100mLを加え8時間加熱還流させた。溶媒を留去した後、得られた固体を水で洗浄し乾燥させることにより、式(I−2−9)で表される化合物5.5gを得た。
【0205】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−9)で表される化合物5.5g、式(I−2−10)で表される化合物6.9g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.8g、ジクロロメタン200mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド4.1gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再結晶(ジクロロメタン/メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−2−11)で表される化合物8.4gを得た。
【0206】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−13)で表される化合物7.0g、1,2−ジメトキシエタン70mL、トリエチルアミン5.0gを加えた。60℃で加熱しながら式(I−2−12)で表される化合物3.5gを滴下し2時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、析出した固体を濾過した。固体を水及びヘキサンで順次洗浄した後、乾燥させることにより、式(I−2−14)で表される化合物6.0gを得た。
【0207】
反応容器に式(I−2−14)で表される化合物1.1g、式(I−2−11)で表される化合物5.0g、(±)−10−カンファースルホン酸0.6g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−2−15)で表される化合物4.2gを得た。
【0208】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−15)で表される化合物4.2g、ジイソプロピルエチルアミン0.6g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−2)で表される化合物3.5gを得た。
転移温度(昇温速度5℃/分)C 122 N 142 I
1H NMR(CDCl
3)δ 1.24(m,4H),1.48(m,8H),1.60−1.83(m,12H),1.93(m,2H),2.08(t,4H),2.23(m,4H),2.54(m,2H),3.86(dd,4H),3.94(t,4H),4.17(t,4H),4.53(t,2H),4.65(t,2H),5.78(dd,1H),5.82(dd,2H),6.08(dd,1H),6.12(dd,2H),6.39(dd,1H),6.40(dd,2H),6.88(m,6H),6.97(dd,4H),7.16(t,1H),7.34(t,1H),7.54(d,1H),7.66(d,1H),7.70(d,1H),8.36(s,1H)ppm.
LCMS:1156[M+1]
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0209】
【化76】
【0210】
窒素雰囲気下、反応容器にヒドラジン一水和物100mL、エタノール100mLを加えた。50℃で加熱しながら式(I−3−1)で表される化合物10.0gを滴下し3時間加熱撹拌した。溶媒を留去することにより、式(I−3−2)で表される化合物を含有する混合物を得た。
【0211】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−3−3)で表される化合物5.0g、1,2−ジメトキシエタン30mL、トリエチルアミン3.6gを加えた。60℃で加熱しながら式(I−3−2)で表される化合物を含有する混合物を加え2時間加熱撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈した後、水及び食塩水で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、式(I−3−4)で表される化合物7.0gを得た。
【0212】
反応容器に式(I−3−5)で表される化合物5.0g、式(I−3−4)で表される化合物1.6g、(±)−10−カンファースルホン酸0.6g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−3−6)で表される化合物3.9gを得た。
【0213】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−3−6)で表される化合物3.9g、ジイソプロピルエチルアミン0.6g、ジクロロメタン80mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−3)で表される化合物2.5gを得た。
転移温度(昇温速度5℃/分)C 71 N 115 I
1H NMR(CDCl
3)δ 1.19−1.29(m,4H),1.41−1.82(m,22H),1.91(m,2H),2.08(m,4H),2.24(m,4H),2.53(m,2H),3.62(m,3H),3.67(m,2H),3.84−3.90(m,5H),3.94(t,4H),4.15−4.19(m,6H),4.53(t,2H),5.76(dd,1H),5.82(dd,2H),6.08(dd,1H),6.12(dd,2H),6.37(dd,1H),6.40(dd,2H),6.84−6.90(m,6H),6.95−6.98(m,4H),7.14(t,1H),7.32(t,1H),7.53(d,1H),7.65(d,1H),7.69(d,1H),8.34(s,1H)ppm.
LCMS:1244[M+1]
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0214】
【化77】
【0215】
【化78】
【0216】
反応容器に式(I−4−1)で表される化合物15.0g、式(I−4−2)で表される化合物13.8g、炭酸セシウム37.7g、ジメチルスルホキシド100mLを加え70℃で8時間加熱撹拌した。冷却しジクロロメタンで希釈した後、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−4−3)で表される化合物18.9gを得た。
【0217】
反応容器に式(I−4−3)で表される化合物18.9g、テトラヒドロフラン80mL、メタノール80mL、濃塩酸1mLを加え室温で8時間撹拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル)により精製を行い、式(I−4−4)で表される化合物11.0gを得た。
【0218】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−5)で表される化合物5.0g、式(I−4−4)で表される化合物5.3g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.7g、ジクロロメタン200mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド3.8gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再結晶(ジクロロメタン/メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−4−6)で表される化合物6.9gを得た。
【0219】
窒素雰囲気下、反応容器にヒドラジン一水和物100mL、エタノール100mLを加えた。50℃で加熱しながら式(I−4−7)で表される化合物10.0gを滴下し3時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、式(I−4−8)で表される化合物8.6gを得た。
【0220】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−9)で表される化合物10.8g、1,2−ジメトキシエタン100mL、トリエチルアミン7.7gを加えた。60℃で加熱しながら式(I−4−8)で表される化合物8.6gを滴下し2時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、析出した固体を濾過した。固体を水及びヘキサンで順次洗浄した後、乾燥させることにより、式(I−4−10)で表される化合物8.5gを得た。
【0221】
反応容器に式(I−4−10)で表される化合物1.4g、式(I−4−6)で表される化合物5.0g、(±)−10−カンファースルホン酸0.6g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で8時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−4−11)で表される化合物5.0gを得た。
【0222】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−11)で表される化合物5.0g、ジイソプロピルエチルアミン0.8g、ジクロロメタン80mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.5gを滴下し室温で12時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−4)で表される化合物3.2gを得た。
LCMS:1086[M+1]
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0223】
【化79】
【0224】
【化80】
【0225】
ディーンスターク装置を備えた反応容器に式(I−5−1)で表される化合物30.0g、アクリル酸19.0g、p−トルエンスルホン酸一水和物2.1g、シクロヘキサン300mL、ジイソプロピルエーテル150mLを加えた。水を除去しながら12時間加熱還流させた。ジクロロメタンで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−5−2)で表される化合物33.5gを得た。
【0226】
反応容器に式(I−5−2)で表される化合物10.0g、ヒドロキノン28.9g、炭酸カリウム21.7g、アセトン150mLを加え、8時間加熱還流させた。5%塩酸に注いだ後、ジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−5−3)で表される化合物9.7gを得た。
【0227】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−3)で表される化合物9.7g、式(I−5−4)で表される化合物7.9g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.4g、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド5.6gを滴下し室温で6時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−5−5)で表される化合物11.9gを得た。
【0228】
反応容器に式(I−5−5)で表される化合物11.9g、ジクロロメタン80mLを加えた。トリフルオロ酢酸20mLを滴下し8時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジイソプロピルエーテルを加え、析出した固体を濾過した。得られた固体をジイソプロピルエーテルで洗浄し乾燥させることにより、式(I−5−6)で表される化合物10.7gを得た。
【0229】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−6)で表される化合物9.1g、式(I−5−7)で表される化合物1.5g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン150mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド3.4gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再結晶(ジクロロメタン/メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−5−8)で表される化合物7.1gを得た。
【0230】
反応容器に式(I−5−9)で表される化合物10.0g、式(I−5−2)で表される化合物13.8g、炭酸カリウム12.5g、N,N−ジメチルホルムアミド100mLを加え、70℃で8時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈した後、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−5−10)で表される化合物11.6gを得た。
【0231】
反応容器に式(I−5−10)で表される化合物2.0g、式(I−5−8)で表される化合物5.9g、(±)−10−カンファースルホン酸0.7g、テトラヒドロフラン24mL、エタノール24mLを加え50℃で8時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−5)で表される化合物5.4gを得た。
1H NMR(CDCl
3)δ 1.24(m,4H),1.48−1.93(m,28H),2.08(t,4H),2.23(m,4H),2.54(m,4H),3.94(t,4H),4.17(t,4H),4.53(t,2H),4.65(t,2H),5.82(dd,3H),6.12(dd,3H),6.40(dd,3H),6.88(m,6H),6.97(dd,4H),7.16(t,1H),7.34(t,1H),7.54(d,1H),7.66(d,1H),7.70(d,1H),8.36(s,1H)ppm.
LCMS:1240[M+1]
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0232】
【化81】
【0233】
【化82】
【0234】
【化83】
【0235】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−1)で表される化合物5.0g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら三臭化ホウ素20.4gを滴下し3時間撹拌した。氷水に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、式(I−6−2)で表される化合物3.4gを得た。
【0236】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−3)で表される化合物5.0g、式(I−6−4)で表される化合物4.0g、ヨウ化銅(I)0.1g、トリエチルアミン30mL、N,N−ジメチルホルムアミド90mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.2gを加え90℃で5時間加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル)により精製を行い、式(I−6−5)で表される化合物3.7gを得た。
【0237】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−5)で表される化合物3.7g、式(I−6−6)で表される化合物2.8g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド1.8gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−7)で表される化合物4.4gを得た。
【0238】
オートクレーブに式(I−6−7)で表される化合物4.4g、テトラヒドロフラン30mL、エタノール30mL、5%パラジウム炭素0.4gを加えた。水素圧0.5MPa、50℃で6時間加熱撹拌した。パラジウムを濾過した後、溶媒を留去することにより、式(I−6−8)で表される化合物5.2gを得た。
【0239】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−8)で表される化合物5.2g、式(I−6−2)で表される化合物1.9g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン60mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド1.8gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−6−9)で表される化合物2.8gを得た。
【0240】
ディーンスターク装置を備えた反応容器に式(I−6−10)で表される化合物20.0g、アクリル酸28.4g、p−トルエンスルホン酸一水和物1.8g、シクロヘキサン300mL、ジイソプロピルエーテル150mLを加えた。水を除去しながら12時間加熱還流させた。ジクロロメタンで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−6−12)で表される化合物34.0gを得た。
【0241】
反応容器に式(I−6−12)で表される化合物11.3g、式(I−6−13)で表される化合物5.0g、炭酸カリウム8.5g、N,N−ジメチルホルムアミド200mLを加え、12時間加熱還流させた。5%塩酸に注いだ後、ジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−6−14)で表される化合物10.4gを得た。
【0242】
反応容器に式(I−6−14)で表される化合物10.4g、リン酸二水素ナトリウム二水和物5.1g、メタノール100mL、水50mL、35%過酸化水素水5.4mLを加えた。亜塩素酸ナトリウム4.4gを水20mLに溶解させた溶液を滴下し60℃で3時間加熱撹拌した。水を加え冷却し、析出物を濾過した。得られた固体を乾燥させることにより、式(I−6−15)で表される化合物8.7gを得た。
【0243】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−15)で表される化合物8.7g、式(I−6−13)で表される化合物3.2g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン60mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド4.0gを滴下し室温で6時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−16)で表される化合物9.1gを得た。
【0244】
反応容器に式(I−6−16)で表される化合物9.1g、リン酸二水素ナトリウム二水和物5.1g、メタノール100mL、水50mL、35%過酸化水素水3.5mLを加えた。亜塩素酸ナトリウム3.4gを水15mLに溶解させた溶液を滴下し60℃で3時間加熱撹拌した。水を加え冷却し、析出物を濾過した。得られた固体を乾燥させることにより、式(I−6−17)で表される化合物7.6gを得た。
【0245】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−17)で表される化合物2.2g、式(I−6−9)で表される化合物2.8g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド0.7gを滴下し室温で6時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−18)で表される化合物3.4gを得た。
【0246】
反応容器に式(I−6−18)で表される化合物3.4g、テトラヒドロフラン15mL、メタノール15mL、濃塩酸5mLを加え50℃で5時間加熱撹拌した。ジクロロメタンを加え、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−19)で表される化合物2.2gを得た。
【0247】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−19)で表される化合物2.2g、ジイソプロピルエチルアミン0.5g、ジクロロメタン40mLを加えた。氷冷しながら塩化メタクリロイル0.3gを滴下し室温で6時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−20)で表される化合物1.9gを得た。
【0248】
反応容器に式(I−6−21)で表される化合物3.0g、式(I−6−22)で表される化合物3.3g、炭酸カリウム3.9g、アセトン30mLを加え5時間加熱還流させた。冷却した後、ジクロロメタンを加え、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去することにより、式(I−6−23)で表される化合物2.9gを得た。
【0249】
反応容器に式(I−6−23)で表される化合物0.6g、式(I−6−20)で表される化合物1.9g、(±)−10−カンファースルホン酸0.3g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で8時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6)で表される化合物1.9gを得た。
LCMS:1227[M+1]
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
【0250】
【化84】
【0251】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−1)で表される化合物5.0g、式(I−7−2)で表される化合物3.8g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド3.8gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−7−3)で表される化合物5.6gを得た。
【0252】
窒素雰囲気下、反応容器にヒドラジン一水和物150mL、エタノール150mLを加えた。50℃で加熱しながら式(I−7−4)で表される化合物10.0gを滴下し3時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、式(I−7−5)で表される化合物7.8gを得た。
【0253】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−6)で表される化合物4.7g、1,2−ジメトキシエタン30mL、トリエチルアミン3.2gを加えた。60℃で加熱しながら式(I−7−5)で表される化合物7.8gを滴下し2時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、析出した固体を濾過した。固体を水及びヘキサンで順次洗浄した後、乾燥させることにより、式(I−7−7)で表される化合物6.2gを得た。
【0254】
反応容器に式(I−7−3)で表される化合物5.6g、式(I−7−7)で表される化合物2.7g、(±)−10−カンファースルホン酸0.6g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−7−8)で表される化合物5.7gを得た。
【0255】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−8)で表される化合物5.7g、ジイソプロピルエチルアミン0.9g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら塩化メタクリロイル0.7gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−7)で表される化合物3.7gを得た。
LCMS:1042[M+1]
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
【0256】
【化85】
【0257】
【化86】
【0258】
反応容器に式(I−8−1)で表される化合物5.0g、式(I−8−2)で表される化合物4.8g、炭酸セシウム12.2g、ジメチルスルホキシド50mLを加え60℃で5時間加熱撹拌した。5%塩酸に注いだ後、ジクロロメタンで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−8−3)で表される化合物4.6gを得た。
【0259】
ディーンスターク装置を備えた反応容器に式(I−8−4)で表される化合物10.0g、式(I−8−5)で表される化合物11.0g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、シクロヘキサン100mL、ジイソプロピルエーテル100mLを加えた。水を除去しながら12時間加熱還流させた。ジクロロメタンで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−8−6)で表される化合物11.1gを得た。
【0260】
反応容器に式(I−8−7)で表される化合物5.0g、式(I−8−6)で表される化合物5.4g、炭酸カリウム4.8g、アセトン50mLを加え5時間加熱還流させた。冷却した後、ジクロロメタンを加え、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去することにより、式(I−8−8)で表される化合物5.2gを得た。
【0261】
反応容器に式(I−8−9)で表される化合物2.0g、式(I−8−8)で表される化合物4.9g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルを加え、水及び食塩水で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去することにより、式(I−8−10)で表される化合物5.3gを得た。
【0262】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−10)で表される化合物5.3g、式(I−8−3)で表される化合物3.3g、トリフェニルホスフィン3.6g、テトラヒドロフラン70mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル2.6gを滴下し室温で5時間撹拌した。ジクロロメタンを加え、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−8−11)で表される化合物4.2gを得た。
【0263】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−11)で表される化合物4.2g、式(I−8−12)で表される化合物1.6g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド0.8gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−8)で表される化合物4.0gを得た。
LCMS:1090[M+1]
(実施例9)式(I−58)で表される化合物の製造
【0264】
【化87】
【0265】
反応容器に式(I−58−1)で表される化合物5.0g、塩化マグネシウム3.2g、パラホルムアルデヒド2.0g、トリエチルアミン20mL、アセトニトリル80mLを加えた。60℃で撹拌しながら適宜パラホルムアルデヒドを追加した。酢酸エチルで希釈し5%塩酸及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−58−2)で表される化合物5.3gを得た。
【0266】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−58−2)で表される化合物2.0g、式(I−58−3)で表される化合物3.4g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン30mLを加えた。ジイソプロピルカルボジイミド1.2gを滴下し室温で8時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を5%塩酸及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−58−4)で表される化合物4.2gを得た。
【0267】
反応容器に式(I−58−4)で表される化合物4.2g、式(I−58−5)で表される化合物1.9g、(±)−10−カンファースルホン酸0.5g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加えた。50℃で8時間加熱撹拌した後、溶媒を留去しメタノールで分散洗浄した。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−58−6)で表される化合物4.2gを得た。
【0268】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−58−6)で表される化合物4.2g、ジイソプロピルエチルアミン0.9g、ジクロロメタン40mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.7gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し溶媒を留去した後、分散洗浄(メタノール)を行った。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−58)で表される化合物3.5gを得た。
LCMS:980[M+1]
(実施例10)式(I−69)で表される化合物の製造
【0269】
【化88】
【0270】
【化89】
【0271】
ディーンスターク装置を備えた反応容器に式(I−69−1)で表される化合物8.0g、2−フルオロアクリル酸8.7g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.6g、シクロヘキサン100mL、ジイソプロピルエーテル50mLを加えた。水を除去しながら12時間加熱還流させた。ジクロロメタンで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−69−2)で表される化合物10.1gを得た。
【0272】
反応容器に式(I−69−2)で表される化合物10.1g、式(I−69−3)で表される化合物4.8g、炭酸セシウム19.2g、ジメチルスルホキシド70mLを加え60℃で6時間加熱撹拌した。5%塩酸に注いだ後、ジクロロメタンで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−69−4)で表される化合物7.8gを得た。
【0273】
反応容器に式(I−69−4)で表される化合物7.8g、リン酸二水素ナトリウム二水和物5.1g、メタノール100mL、水50mL、35%過酸化水素水4.8mLを加えた。亜塩素酸ナトリウム4.2gを水20mLに溶解させた溶液を滴下し60℃で3時間加熱撹拌した。水を加え冷却し、析出物を濾過した。得られた固体を乾燥させることにより、式(I−69−5)で表される化合物6.6gを得た。
【0274】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−69−6)で表される化合物2.5g、式(I−69−7)で表される化合物2.3g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド2.0gを滴下し室温で8時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−69−8)で表される化合物3.2gを得た。
【0275】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−69−8)で表される化合物3.2g、式(I−69−5)で表される化合物2.8g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド1.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−69−9)で表される化合物4.0gを得た。
【0276】
ディーンスターク装置を備えた反応容器に式(I−69−10)で表される化合物5.0g、プロピオル酸5.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.5g、シクロヘキサン80mL、ジイソプロピルエーテル50mLを加えた。水を除去しながら12時間加熱還流させた。ジクロロメタンで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−69−11)で表される化合物6.2gを得た。
【0277】
反応容器に式(I−69−11)で表される化合物4.5g、式(I−69−12)で表される化合物5.0g、炭酸カリウム5.3g、アセトン50mLを加え5時間加熱還流させた。冷却した後、ジクロロメタンを加え、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去することにより、式(I−69−13)で表される化合物3.9gを得た。
【0278】
反応容器に式(I−69−13)で表される化合物1.4g、式(I−69−9)で表される化合物2.8g、(±)−10−カンファースルホン酸0.5g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−69)で表される化合物3.1gを得た。
LCMS:909[M+1]
(実施例11)式(I−70)で表される化合物の製造
【0279】
【化90】
【0280】
【化91】
【0281】
Macromolecular Chemistry and Physics誌、2009年、210巻、7号、531−541頁に記載の方法によって式(I−70−2)で表される化合物を製造した。窒素雰囲気下、式(I−70−1)で表される化合物5.0g、式(I−70−2)で表される化合物7.1g、トリフェニルホスフィン11.2g、テトラヒドロフラン30mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル8.0gを加え室温で3時間撹拌した。水を加えた後、ジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−70−3)で表される化合物8.1gを得た。
【0282】
反応容器に式(I−70−3)で表される化合物8.1g、リン酸二水素ナトリウム二水和物5.5g、メタノール100mL、水50mL、35%過酸化水素水5.0mLを加えた。亜塩素酸ナトリウム4.7gを水20mLに溶解させた溶液を滴下し60℃で2時間加熱撹拌した。水を加え冷却し、析出物を濾過した。得られた固体を乾燥させることにより、式(I−70−4)で表される化合物6.7gを得た。
【0283】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−5)で表される化合物7.0g、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.7g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン5.8gを滴下し室温で8時間撹拌した。5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−70−6)で表される化合物10.6gを得た。
【0284】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−7)で表される化合物6.3g、テトラヒドロフラン30mL、水素化ナトリウム1.9gを加え撹拌した。氷冷しながら式(I−70−6)で表される化合物10.6gをテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液を滴下し、50℃で8時間加熱撹拌した。水に注いだ後、ジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−70−8)で表される化合物8.1gを得た。
【0285】
反応容器にギ酸80mL、ジクロロメタン80mL、35%過酸化水素10mLを加え撹拌した。氷冷しながら式(I−70−8)で表される化合物8.1gをジクロロメタン16mLに溶解させた溶液を滴下し、40℃で10時間加熱撹拌した。亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、ジクロロメタンで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)により精製を行い、式(I−70−9)で表される化合物7.7gを得た。
【0286】
反応容器に式(I−70−9)で表される化合物7.7g、メタノール30mL、テトラヒドロフラン30mL、濃塩酸5mLを加え、50℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈した後、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)により精製を行い、式(I−70−10)で表される化合物4.4gを得た。
【0287】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−11)で表される化合物10.0g、式(I−70−12)で表される化合物7.6g、炭酸カリウム8.7、テトラヒドロフラン50mL、水25mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.5gを加え、8時間加熱還流させた。5%塩酸に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル)及び再結晶(アセトン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−70−13)で表される化合物8.6gを得た。
【0288】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−13)で表される化合物8.6g、1,3−プロパンジチオール9.6g、トリフルオロ酢酸50mLを加え60℃で3時間加熱撹拌した。冷却した後、tert−ブチルメチルエーテルを加え、析出物を濾過した。得られた固体をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し乾燥させることによって、式(I−70−14)で表される化合物13.7gを得た。
【0289】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−14)で表される化合物13.7g、式(I−70−15)で表される化合物5.0g、ジクロロメタン100mLを加えた。−65℃でトリエチルアミン三フッ化水素酸塩12.9g、臭素12.7gを順次滴下し2時間撹拌した。室温で水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、分液処理し、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル)及び再結晶(アセトン/ヘキサン)により精製を行い、式(I−70−16)で表される化合物7.7gを得た。
【0290】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−70−16)で表される化合物4.0g、式(I−70−4)で表される化合物3.0g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド1.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を5%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−70−17)で表される化合物4.8gを得た。
【0291】
反応容器に式(I−70−18)で表される化合物5.0g、式(I−70−19)で表される化合物5.3g、炭酸カリウム4.8g、アセトン50mLを加え5時間加熱還流させた。冷却した後、ジクロロメタンを加え、食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去することにより、式(I−70−20)で表される化合物5.1gを得た。
【0292】
反応容器に式(I−70−20)で表される化合物2.1g、式(I−70−17)で表される化合物4.8g、(±)−10−カンファースルホン酸0.5g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−70)で表される化合物5.5gを得た。
LCMS:1184[M+1]
(実施例12)式(I−71)で表される化合物の製造
【0293】
【化92】
【0294】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−71−1)で表される化合物3.0g、式(I−71−2)で表される化合物2.4g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.4g、ジクロロメタン150mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド2.2gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−71−3)で表される化合物3.6gを得た。
【0295】
反応容器に式(I−71−3)で表される化合物3.6g、式(I−71−4)で表される化合物1.3g、(±)−10−カンファースルホン酸0.5g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去し分散洗浄(メタノール)した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−71−5)で表される化合物3.4gを得た。
【0296】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−71−5)で表される化合物3.4g、ジイソプロピルエチルアミン0.6g、ジクロロメタン40mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し溶媒を留去した後、分散洗浄(メタノール)を行った。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−71)で表される化合物2.8gを得た。
LCMS:1012[M+1]
(実施例13)式(I−77)で表される化合物の製造
【0297】
【化93】
【0298】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−77−1)で表される化合物1.0g、式(I−77−2)で表される化合物3.6g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.4g、ジクロロメタン20mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド2.2gを滴下し室温で10時間撹拌した。析出物を濾過により除去した後、濾液を1%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した。再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−77−3)で表される化合物3.0gを得た。
【0299】
反応容器に式(I−77−3)で表される化合物3.0g、式(I−77−4)で表される化合物1.1g、(±)−10−カンファースルホン酸0.5g、テトラヒドロフラン20mL、エタノール20mLを加え50℃で10時間加熱撹拌した。溶媒を留去し分散洗浄(メタノール)した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−77−5)で表される化合物3.2gを得た。
【0300】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−77−5)で表される化合物3.2g、ジイソプロピルエチルアミン0.6g、ジクロロメタン40mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.4gを滴下し室温で8時間撹拌した。1%塩酸及び食塩水で順次洗浄し再沈殿(メタノール)を行った後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−77)で表される化合物2.7gを得た。
LCMS:840[M+1]
実施例1から実施例13と同様の方法及び公知の方法を用いて、式(I−9)から式(I−57)、式(I−59)から式(I−68)、式(I−72)から式(I−76)、式(I−78)から式(I−103)で表される化合物を製造した。
(実施例14〜39、比較例1〜6)
実施例1から実施例13に記載の式(I−1)から式(I−8)、式(I−58)、式(I−69)、式(I−70)、式(I−71)、式(I−77)で表される化合物及び特許文献1記載の化合物(R−1)、特許文献2記載の化合物(R−2)、特許文献3記載の化合物(R−3)を評価対象の化合物とした。
【0301】
【化94】
【0302】
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
【0303】
評価対象の化合物に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を1%、4−メトキシフェノールを0.1%及びクロロホルムを80%添加し塗布液を調製した。この塗布液をラビングしたガラス基材にスピンコート法により塗布した。下表に記載の温度で2分間乾燥させた後、さらに高圧水銀ランプを用いて、紫外線を40mW/cm
2の強度で25秒間照射することにより、評価対象のフィルムを作製した。
【0304】
評価対象のフィルムを90℃で1000時間加熱処理した。加熱処理前の波長450nmにおける面内位相差Re(450)及び波長550nmにおける面内位相差Re(550)並びに加熱処理後の波長450nmにおける面内位相差Re’(450)及び波長550nmにおける面内位相差Re’(550)を各々測定し、逆波長分散性変化率(%)={Re’(450)/Re’(550)}/{Re(450)/Re(550)}×100を算出した。また、位相差変化率(%)=Re’(550)/Re(550)×100を算出した。結果を下表に示す。
【0305】
【表1】
【0306】
表より、本願発明の式(I−1)から式(I−8)、式(I−58)、式(I−69)、式(I−70)、式(I−71)、式(I−77)で表される化合物はいずれも、逆波長分散性変化率が100%以下であることから、加熱処理後に逆波長分散性が向上していることがわかる。また、位相差変化率が100%以下であることから、加熱処理後に位相差が小さくなる方向へ変化していることがわかる。一方、比較化合物(R−1)及び(R−3)で表される化合物は逆波長分散性変化率が100%より大きいことから、加熱処理後に逆波長分散性が低下していることがわかる。また、位相差変化率が100%より大きいことから、加熱処理後に位相差が大きくなる方向へ変化していることがわかる。
【0307】
さらに表より、本願発明の式(I−1)から式(I−8)、式(I−58)、式(I−69)、式(I−70)、式(I−71)、式(I−77)で表される化合物は、加熱処理前後における、逆波長分散性の変化の大きさ(|逆波長分散性変化率(%)−100%|)及び位相差の変化の大きさ(|位相差変化率(%)−100%|)が、比較化合物(R−1)から(R−3)と比較し小さいことから、加熱による逆波長分散性及び位相差の変化が起こりにくく経時的に安定であることがわかる。
【0308】
評価対象のフィルムについて、キセノンランプ照射テスト機(アトラス社製サンテストXLS)を用い60mW/cm
2、28℃で120Jのサンテストを行った。サンテスト後のフィルムを縦10マス×横10マス、計100マスの領域に区分し、剥離の生じたマス目をカウントした。剥離の生じたマス目の数の割合(%)を下表に示す。
【0309】
【表2】
【0310】
表より、本願発明の式(I−1)から式(I−8)、式(I−58)、式(I−69)、式(I−70)、式(I−71)、式(I−77)で表される化合物はいずれも比較化合物(R−1)から比較化合物(R−3)と比較し剥離の程度が同等か、剥離がより生じにくいことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。