特許第6292885号(P6292885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292885
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   B65D5/54 301D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-897(P2014-897)
(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公開番号】特開2015-129001(P2015-129001A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田原 正光
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宏智
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052759(JP,A)
【文献】 特開2009−208804(JP,A)
【文献】 実開昭49−044635(JP,U)
【文献】 特開2011−225230(JP,A)
【文献】 特開2014−061905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された胴体の開口側の両端が、該両端に折曲端縁を介して接続された内側妻板および外側妻板を折り込んで閉鎖されるカートンであって、
前記内側妻板は、前記折曲端縁と、これに対向する対向端縁と、前記折曲端縁と前記対向端縁との端部間を結ぶ2つの側端縁とを有する四角形状に形成され、
前記胴体の、前記内側妻板に対して前記折曲端縁を介して接続された面には、前記折曲端縁上の離間した2点を結ぶ開封補助部が区画され、
前記折曲端縁には、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かって伸びる切開用切れ目線がそれぞれ形成され、
前記内側妻板には、前記2つの側端縁に向かってそれぞれ伸びる所定長さの案内用切れ目線が形成されるとともに、該案内用切れ目線および前記切開用切れ目線により前記開封補助部と一体の開封部が区画され、
前記内側妻板および前記外側妻板は、前記開封部に形成された接着部により接着され、
前記切開用切れ目線は、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かう途中までそれぞれ形成されるとともに、前記側端縁側の先端が前記対向端縁側であって前記側端縁の方向に屈曲し
前記案内用切れ目線は、それぞれの前記側端縁側にて複数形成され、
前記複数の案内用切れ目線は、前記切開用切れ目線と略平行で、互いに一定間隔をあけて前記折曲端縁から前記対向端縁側に配列され、かつ、前記折曲端縁から前記対向端縁に向かうにしたがって前記側端縁側に寄るように位置し、
前記切開用切れ目線および前記複数の案内用切れ目線は、前記折曲端縁から前記対向端縁の方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有し
前記折曲端縁と前記切開用切れ目線の前記側端縁側の先端とのなす角度は、前記折曲端縁と、最も前記対向端縁側に配置された案内用切れ目線の前記側端縁側の端部を前記側端縁側に延長した場合の前記側端縁との交点を結ぶ線とのなす角度よりも大きい
ことを特徴とするカートン。
【請求項2】
請求項1に記載のカートンにおいて、
前記切開用切れ目線は、複数の切開用切れ目により構成され、
前記複数の切開用切れ目のうちの少なくとも一つの切開用切れ目の開封補助部側の先端は、前記対向端縁側であって、前記開封補助部の方向に屈曲し、
前記複数の切開用切れ目のうち、最も側端縁側に配置された切開用切れ目の側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲し、
前記複数の案内用切れ目線のうちの少なくとも一つの案内用切れ目線の前記側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲している
ことを特徴とするカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妻面を開封開始位置とするカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルト食品や各種包装体等の内容物を収容した外箱として、妻面から開封して内容物を取り出す構成のカートンが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
このようなカートンでは、カートンの開封時において、底面と妻面との折曲線を起点に、底面にかけて形成された、略円弧状の切込みからなる押込部を押し込むことで、底面の一部を破断した後、妻面を構成する内側妻板および外側妻板を、それぞれ開封して内容物を取り出す構成になっている。
【0003】
上記のような構成を有するカートンにおいて、カートン高さを高い形状とする場合には、内側妻板と外側妻板との高さをカートンの高さよりも短くすることが行われている。このような構成では、内側妻板と外側妻板を折り込んだときに、内側妻板と外側妻板とのすべてが重ならず、その一部のみが重なることになる。この場合には、内側妻板と外側妻板とが互いに重なる領域には接着部が設けられ、互いに重ならない領域には切れ目線が設置される。
このように、接着部と切れ目線との設置位置を異なる位置にすることで、切れ目線に沿って開封する際に、切れ目線の途中に接着部が存在しないため、開封性の良いカートンを提供できる。
【0004】
一方で、カートン高さを低い形状とする場合には、内側妻板と外側妻板とを接着させるための接着部が形成される領域に、切れ目線が形成されることを避けるため、折曲端縁上に切れ目線を設けるか、或いは、指をかける略円弧状の押込部のみに切れ目線を入れる方法が一般的である。
折曲端縁上に切れ目線を設ける場合には、カートンの強度を一定以上に維持する必要があるため、切れ目線を形成するための切り込みを大きく入れることができない。このため、開封時に所定応力を加えても、折曲端縁上の切れ目線に沿って、切れ目線の全てを破断することができず、切れ目線の途中で応力を加えた方向の妻面側に破れてしまい、開封面の見栄えが悪くなるという不具合を生じる。
仮に、開封し易くするために切れ目線を形成するための切り込みを大きく入れると、折曲端縁が脆弱化し易く、カートンの保管中や輸送中などに、折曲端縁上の切れ目線が破断してしまう不具合を生じる。
また、押込部のみに切れ目線を入れた場合には、押込部の切れ目線に沿って破断された後は、破断端部から応力を加えた方向に妻面側が破れてしまい、満足のいく開封ができない不具合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−231518号公報
【特許文献2】特開2009−179328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、胴体の底部に位置する面の、折曲端縁の近傍位置に、両端が両側端縁にまで伸びる切れ目線を設置した構成も知られている。
胴体に切れ目線を設置した構成では、カートンの高さが低い形状であっても、内側妻板と外側妻板とを接着させるための接着部が形成される領域に切れ目線が形成されないため、接着部と切れ目線とが重なり合うことに起因する開封性の悪化を回避できる。また、折曲端縁上に切れ目線が設けられていないため、カートンの保管中や輸送中であっても、切れ目線からの破れは生じないため、カートンの強度を一定以上に維持することができる。
しかし、胴体を構成する面に切れ目線が設けられていることから、開封口が広く形成されてしまうため、開封面の見栄えが悪くなるという不具合を生じる。
【0007】
本発明の目的は、カートンの高さが低い形状であっても、カートン強度を一定以上に維持でき、かつ、開封性が良好なカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の構成によるものである。
(1)筒状に形成された胴体の開口側の両端が、該両端に折曲端縁を介して接続された内側妻板および外側妻板を折り込んで閉鎖されるカートンであって、前記内側妻板は、前記折曲端縁と、これに対向する対向端縁と、前記折曲端縁と前記対向端縁との端部間を結ぶ2つの側端縁とを有する四角形状に形成され、前記胴体の、前記内側妻板に対して前記折曲端縁を介して接続された面には、前記折曲端縁上の離間した2点を結ぶ開封補助部が区画され、前記折曲端縁には、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かって伸びる切開用切れ目線がそれぞれ形成され、前記内側妻板には、前記2つの側端縁に向かってそれぞれ伸びる所定長さの案内用切れ目線が形成されるとともに、該案内用切れ目線および前記切開用切れ目線により前記開封補助部と一体の開封部が区画され、前記内側妻板および前記外側妻板は、前記開封部に形成された接着部により接着され、前記切開用切れ目線は、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かう途中までそれぞれ形成されるとともに、前記側端縁側の先端が前記対向端縁側であって前記側端縁の方向に屈曲し、前記案内用切れ目線は、それぞれの前記側端縁側にて複数形成され、前記複数の案内用切れ目線は、前記切開用切れ目線と略平行で、互いに一定間隔をあけて前記折曲端縁から前記対向端縁側に配列され、かつ、前記折曲端縁から前記対向端縁に向かうにしたがって前記側端縁側に寄るように位置し、前記切開用切れ目線および前記複数の案内用切れ目線は、前記折曲端縁から前記対向端縁の方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有し、前記折曲端縁と前記切開用切れ目線の前記側端縁側の先端とのなす角度は、前記折曲端縁と、最も前記対向端縁側に配置された案内用切れ目線の前記側端縁側の端部を前記側端縁側に延長した場合の前記側端縁との交点を結ぶ線とのなす角度よりも大きいことを特徴とするカートン。
【0009】
(2)上記(1)に記載のカートンにおいて、前記切開用切れ目線は、複数の切開用切れ目により構成され、前記複数の切開用切れ目のうちの少なくとも一つの切開用切れ目の開封補助部側の先端は、前記対向端縁側であって、前記開封補助部の方向に屈曲し、前記複数の切開用切れ目のうち、最も側端縁側に配置された切開用切れ目の側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲し、前記複数の案内用切れ目線のうちの少なくとも一つの案内用切れ目線の前記側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲していることを特徴とするカートン。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カートンの高さが低い形状であっても、カートン強度を一定以上に維持でき、かつ、開封性が良好なカートンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るカートンを形成するブランク板の展開図である。
図2】底面板と内側妻板を示す部分拡大図である。
図3図2の底面板と内側妻板を示す部分拡大図であり、(A)は切れ目線の先端の角度の関係を示す図であり、(B)は切れ目線の間隔の関係を示す図である。
図4】前記カートンを包装する状態を示す斜視図である。
図5】前記カートンを示す斜視図であり、(A)は開封前の状態、(B)は開封後の状態を示す。
図6】他の実施形態における、カートンの底面板と内側妻板を示す部分拡大図である。
図7】比較例1における、カートンの底面板と内側妻板を示す部分拡大図である。
図8】比較例2における、カートンの底面板と内側妻板を示す部分拡大図である。
図9】比較例3における、カートンの底面板と内側妻板を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のカートンは、筒状に形成された胴体の開口側の両端が、該両端に折曲端縁を介して接続された内側妻板および外側妻板を折り込んで閉鎖されるカートンであって、前記内側妻板は、前記折曲端縁と、これに対向する対向端縁と、前記折曲端縁と前記対向端縁との端部間を結ぶ2つの側端縁とを有する四角形状に形成され、前記胴体の、前記内側妻板に対して前記折曲端縁を介して接続された面には、前記折曲端縁上の離間した2点を結ぶ開封補助部が区画され、前記折曲端縁には、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かって伸びる切開用切れ目線がそれぞれ形成され、前記内側妻板には、前記2つの側端縁に向かってそれぞれ伸びる所定長さの案内用切れ目線が形成されるとともに、該案内用切れ目線および前記切開用切れ目線により前記開封補助部と一体の開封部が区画され、前記内側妻板および前記外側妻板は、前記開封部に形成された接着部により接着され、前記切開用切れ目線は、前記開封補助部の両端から前記2つの側端縁に向かう途中までそれぞれ形成され、前記案内用切れ目線は、それぞれの前記側端縁側にて複数形成され、前記複数の案内用切れ目線は、前記切開用切れ目線と略平行で、互いに一定間隔をあけて前記折曲端縁から前記対向端縁側に配列され、かつ、前記折曲端縁から前記対向端縁に向かうにしたがって前記側端縁側に寄るように位置し、前記切開用切れ目線および前記複数の案内用切れ目線は、前記折曲端縁から前記対向端縁の方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有していることを特徴とする。
【0014】
このような本発明によれば、案内用切れ目線および切開用切れ目線により区画された開封部に、内側妻板および外側妻板を接着させるための接着部が形成されている。このように、接着部が形成される領域に案内用切れ目線や切開用切れ目線が形成されないため、接着部と切れ目線とが重なり合うことに起因する開封性の悪化が回避される。
また、切開用切れ目線が、折曲端縁上で開封補助部の両端から2つの側端縁に向かう途中までそれぞれ形成されている。このため、切開用切れ目線が折曲端縁上で開封補助部の両端から側端縁までそれぞれ形成されている場合に比べて、折曲端縁の強度が保たれるので、カートンの強度を一定以上に維持できる。結果として、カートンの保管時や輸送中であっても、折曲端縁に形成された切開用切れ目線からの破れの発生が低減される。
また、案内用切れ目線がそれぞれの側端縁側にて複数形成されている。複数の案内用切れ目線が側端縁側にて形成されることで、案内用切れ目線および切開用切れ目線により区画された開封部の領域を大きくできる。したがって、開封部に形成する接着部の領域も大きくできるので、内側妻板と外側妻板とをより強固に接着することが可能になる。また、接着部の領域を大きくできるため、一般的に使用されている線状の接着部を形成するような接着剤塗布装置の使用が可能であり、本発明のカートンを製造するにあたって、点状の接着部を形成するような特殊な接着剤塗布装置を新たに導入する必要がない。
また、複数の案内用切れ目線は、切開用切れ目線と略平行で、互いに一定間隔をあけて折曲端縁から対向端縁側に配列され、かつ、折曲端縁から対向端縁に向かうにしたがって側端縁側に寄るように位置し、切開用切れ目線および複数の案内用切れ目線は、折曲端縁から対向端縁の方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有している。このため、開封時には、先ず、開封補助部の両端から切開用切れ目線が両側端縁に向かう途中まで破断される。次いで、破断された切開用切れ目線の両端から、切開用切れ目線と、この切開用切れ目線と隣接する案内用切れ目線との間が応力を加えた方向に破断され、破断部分が、この切開用切れ目線と隣接する案内用切れ目線にまで到達する。次に、切開用切れ目線と隣接する案内用切れ目線が、到達した破断部分から、側端縁側の端部まで破断される。続いて、破断された案内用切れ目線の端部から、案内用切れ目線と、この案内用切れ目線の対向端縁側に隣接する案内用切れ目線との間が応力を加えた方向に破断され、破断部分がこの切開用切れ目線と隣接する案内用切れ目線にまで到達する。そして、複数の案内用切れ目線が上記案内用切れ目線と同様に破断されることで、破断が側端縁にまで至る。このように、各切れ目線に沿って、順次、破断されるため、カートンの高さが低い形状であっても、良好な開封性が得られる。
【0015】
そして、本発明では、前記切開用切れ目線は、複数の切開用切れ目により構成され、前記複数の切開用切れ目のうちの少なくとも一つの切開用切れ目の開封補助部側の先端は、前記対向端縁側であって、前記開封補助部の方向に屈曲し、前記複数の切開用切れ目のうち、最も側端縁側に配置された切開用切れ目の側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲し、前記複数の案内用切れ目線のうちの少なくとも一つの案内用切れ目線の前記側端縁側の先端は、前記対向端縁側であって、前記側端縁の方向に屈曲していることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、複数の切開用切れ目のうちの少なくとも一つの切開用切れ目の開封補助部側の先端が、対向端縁側であって、開封補助部の方向に屈曲している。
このため、開封時には、破断部分が、屈曲を有する切開用切れ目と開封補助部側で隣接する切開用切れ目の側端縁側の端部にまで到達した後、破断された切開用切れ目の端部から、応力を加えた方向へと破断する。そして、破断部分が、破断された切開用切れ目の側端縁側で隣接する切開用切れ目の開封補助部側の先端の屈曲に到達することで、破断の方向が屈曲を有する切開用切れ目へと誘導される。これにより、切開用切れ目線は、開封補助部側から側端縁側へと各切れ目間の破断が良好に行われる。
また、複数の切開用切れ目のうち、最も側端縁側に配置された切開用切れ目の側端縁側の先端が、対向端縁側であって、側端縁の方向に屈曲している。このため、開封時には、破断部分が、最も側端縁側に配置された切開用切れ目の側端縁側の端部にまで到達した後、破断の方向がその先端に設けられた屈曲の方向に向かって誘導される。そして破断部分が、屈曲の方向の先にある、対向端縁側に配置された案内用切れ目線にまで到達する。これにより、切開用切れ目線から案内用切れ目線への破断が、円滑に行われる。
さらに、複数の案内用切れ目線のうちの少なくとも一つの案内用切れ目線の側端縁側の先端は、対向端縁側であって、側端縁の方向に屈曲している。このため、開封時には、破断部分が側端縁側の先端に屈曲を有する案内用切れ目線の側端縁側の端部にまで到達した後、破断の方向がその先端に設けられた屈曲の方向に向かって誘導される。そして破断部分が、屈曲の方向の先にある、対向端縁側に配置された案内用切れ目線にまで到達する。これにより、側端縁側の先端に屈曲を有する案内用切れ目線から、この案内用切れ目線と対向端縁側で隣接する案内用切れ目線への破断が、円滑に行われる。
【0017】
また、本発明では、前記案内用切れ目線の開封補助部側の先端は、前記折曲端縁側であって、前記開封補助部の方向に屈曲していることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、案内用切れ目線の開封補助部側の先端は、折曲端縁側であって、開封補助部の方向に屈曲している。
先端に上記屈曲を有する案内用切れ目線が切開用切れ目線と隣接する場合では、開封時には、破断部分が切開用切れ目の側端縁側の端部にまで到達した後、破断された切開用切れ目の端部から、応力を加えた方向へと破断する。そして、破断の方向は、強度の弱い、案内用切れ目線の先端の屈曲へと誘導される。これにより、切開用切れ目線から案内用切れ目線への破断が、円滑に行われる。
また、先端に上記屈曲を有する案内用切れ目線が切開用切れ目線と隣接していない場合では、開封時には、破断部分が案内用切れ目線の側端縁側の端部にまで到達した後、破断された案内用切れ目線の端部から、応力を加えた方向へと破断する。そして、破断の方向は、強度の弱い、破断された案内用切れ目線と対向端縁側で隣接する案内用切れ目線の先端の屈曲へと誘導される。これにより、屈曲端縁側の案内用切れ目線から、この案内用切れ目線と対向端縁側で隣接する案内用切れ目線への破断が、円滑に行われる。
【0019】
以下、本発明のカートンに係る一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、レトルト食品等の被包装物を包装するカートンについて説明する。このカートンは、四角柱状のような筒状に形成された胴体の両端を封止する妻板に切れ目線が形成され、この切れ目線に沿って切断することで開封されるものである。
【0020】
[カートンの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るカートンを形成するブランク板の展開図である。
図1に示すように、ブランク板10Aは、紙を主材とする材料から構成され、被包装物の種類に応じて適当な材料が選択される。具体的には、マニラボール、コートボール等の白板紙、これらの白板紙に耐油処理を施した耐油紙、これらの紙とアルミ箔を組み合わせたもの、および合成紙等が挙げられる。
ブランク板10Aは、それぞれ矩形状とされた天面板1と、側面板2と、底面板3と、下重ね側面板4と、が折り曲げ線を介してこの順に設けられている。また、天面板1の側面板2とは反対側には、折り曲げ線を介して矩形状の上重ね側面板5が設けられている。
【0021】
天面板1の一対の短辺には、外側妻板6が折り曲げ線を介してそれぞれ設けられている。
底面板3の一対の短辺には、内側妻板7が折り曲げ線を介してそれぞれ設けられている。
側面板2の一対の短辺には、サイドフラップ8が折り曲げ線を介してそれぞれ設けられている。
上重ね側面板5の一対の短辺には、サイドフラップ9が折り曲げ線を介してそれぞれ設けられている。
【0022】
内側妻板7は、4つの端縁によって四角形状、具体的には台形状の外形を有している。ここで、底面板3との境界となる折り曲げ部を折曲端縁7A、折曲端縁7Aに対向する端縁を対向端縁7B、折曲端縁7Aと対向端縁7Bとの端部間を結ぶ端縁を側端縁7C、7Dとする。台形状とされた内側妻板7では、折曲端縁7Aの方が対向端縁7Bよりもわずかに長い。
また、外側妻板6は、上記内側妻板7と略同形状の外形が形成されている。
【0023】
次に、図2に基づいて、各切れ目線の構成について説明する。
図2は、底面板3と内側妻板7を示す部分拡大図である。
なお、側端縁7C側に位置する各切れ目線について説明するが、各切れ目線は、図2において、内側妻板7の長手方向(図中上下方向)の中央を境界として対称に設けられているため、側端縁7D側に位置する各切れ目線も同様の構成である。
【0024】
[押切用切れ目線]
底面板3には、折曲端縁7A上の離間した2点P1,P2を結ぶ押切用切れ目線31が形成されている。押切用切れ目線31は、略円弧状であり、折曲端縁7A上の離間した2点P1,P2が押切用切れ目線31の両端に位置するように形成されている。なお、押切用切れ目線31の両端となる、離間した2点P1,P2は、この2点P1,P2を結ぶ仮想線の中央が折曲端縁7Aの略中央部に位置するように設けられている。また、離間した2点P1,P2の間隔は、親指の幅か、或いはそれよりも若干大きい程度の間隔である。この押切用切れ目線31と折曲端縁7Aとにより、内側妻板7に隣接する開封補助部32が区画されている。
【0025】
[切開用切れ目線]
折曲端縁7Aには、押切用切れ目線31の端部である点P1から側端縁7Cに向かって伸びる切開用切れ目線71が形成されている。この切開用切れ目線71は、押切用切れ目線31の端部である点P1、即ち、開封補助部32の端部から側端縁7Cに向かう途中まで形成されている。
本実施形態では、切開用切れ目線71は、3つの切開用切れ目71A,71B,71Cにより構成されている。この3つの切開用切れ目71A,71B,71Cのうちの、押切用切れ目線31の端部である点P1とは隣接していない、切開用切れ目71B,71Cの開封補助部32側の先端71B1,71C1は、対向端縁7B側であって、開封補助部32の方向に屈曲している。
また、3つの切開用切れ目71A,71B,71Cのうち、最も側端縁7C側に配置された切開用切れ目71Cの側端縁7C側の先端71C2は、対向端縁7B側であって、側端縁7Cの方向に屈曲している。
【0026】
[案内用切れ目線]
内側妻板7には、側端縁7Cに向かって伸びる所定長さの案内用切れ目線72が形成されている。この案内用切れ目線72および切開用切れ目線71により開封補助部32と一体の開封部73が区画されている。
そして、開封部73の略中央部部分には、略線状の接着部74が形成されている。後述するが、内側妻板7および外側妻板6は、この接着部74により接着される。
【0027】
本実施形態では、側端縁7C側にて2つの案内用切れ目線72A,72Bが形成されている。2つの案内用切れ目線72A,72Bは、切開用切れ目線71と略平行で、互いに一定間隔をあけて折曲端縁7Aから対向端縁7B側に配列されている。また、2つの案内用切れ目線72A,72Bは、折曲端縁7Aから対向端縁7Bに向かうにしたがって側端縁7C側に寄るように位置している。さらに、切開用切れ目線71および2つの案内用切れ目線72A,72Bは、折曲端縁7Aから対向端縁7Bの方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有している。
そして、案内用切れ目線72Aの側端縁7C側の先端72A1は、対向端縁7B側であって、側端縁7Cの方向に屈曲している。案内用切れ目線72Aと先端72A1とのなす角度は、切開用切れ目線71と先端71C2とのなす角度と同じであることが好ましい。
【0028】
図3は、図2の底面板と内側妻板を示す部分拡大図であり、(A)は切れ目線の先端の角度の関係を示す図であり、(B)は切れ目線の間隔の関係を示す図である。なお、図3では、一部符号を省略している。
図3(A)に示すように、最も側端縁7C側に配置された切開用切れ目71Cの側端縁7C側の先端71C2の角度は、以下の式(F1)に示す関係を満たすことが好ましい。
θ1 > θ …(F1)
上記式(F1)中、θ1は折曲端縁7Aと、最も側端縁7C側に配置された切開用切れ目71Cの側端縁7C側の先端71C2とのなす角度である。θ1は、15°以上であることが好ましい。また、θは折曲端縁7Aと、最も対向端縁7B側に配置された案内用切れ目72Bの側端縁7C側の端部を側端縁7C側に延長した場合の側端縁7Cとの交点7C1を結ぶ線とのなす角度である。
上記式(F1)の関係を満たさない場合、開封時に横向きの力が強くなり、破断が対向端縁7B側に配列されている案内用切れ目線72Aに誘導されにくくなるため、開封性が悪くなるおそれがある。
【0029】
図3(B)に示すように、切開用切れ目線71および2つの案内用切れ目線72A,72Bにおける、各切れ目のそれぞれの間隔t1は、3mm以上5mm以下の範囲内に設定することが好ましい。間隔t1が3mm未満だと、カートン強度が低下するおそれがあり、間隔t1が5mmを超えると、開封性が悪化するおそれがある。
また、切開用切れ目線71および2つの案内用切れ目線72A,72Bの、折曲端縁7Aから対向端縁7Bの方向における、隣接する各切れ目線との重なりt2は、3mm以上5mm以下の範囲内に設定することが好ましい。重なりt2が3mm未満だと、各切れ目線の重なる領域が少なすぎるため、開封時に円滑な破断が行われないおそれがあり、重なりt2が5mmを超えると、重なる領域が増えてしまい、カートン強度が悪化するおそれがある。
【0030】
[ブランク板による包装方法]
次に、ブランク板10Aによる包装方法について、図4に基づいて説明する。
図4は、カートン10を包装する状態を示す斜視図である。なお、図4では、本発明の構成を理解し易くするために、上側に底面板3が配置された構成の斜視図を示している。
先ず、図1に示した状態から底面板3と側面板2との間の折り曲げ線で、側面板2を底面板3に対して起立させる方向に折り曲げる。次いで、側面板2と天面板1との間の折り曲げ線で、天面板1を底面板3側に折り曲げる。次に、天面板1と上重ね側面板5との間の折り曲げ線で、上重ね側面板5を底面板3側に折り曲げる。また、底面板3と下重ね側面板4との間の折り曲げ線で、下重ね側面板4を底面板3に対して起立させる方向に折り曲げる。そして、図4に示すように、下重ね側面板4に上重ね側面板5を重ね合わせる。これにより、天面板1、側面板2および底面板3と、重ね合わせた下重ね側面板4および上重ね側面板5とにより、胴体10Bが筒状に形成される。なお、重ね合わせた下重ね側面板4と上重ね側面板5とは、接着剤により接着してもよいし、接着しなくてもよい。
【0031】
次に、サイドフラップ8,9を胴体10B内側の方向に折り込む。そして、内側妻板7をサイドフラップ8,9に重ねるように折り曲げた後、内側妻板7の外側妻板6と接する側であって、開封部73における接着部74を形成する領域に接着剤を塗布する。続いて、外側妻板6を内側妻板7の上に重ねるように折り曲げて、外側妻板6と内側妻板7とを重ね合わせ、接着部74により外側妻板6と内側妻板7とを接着させる。これにより、図5(A)に示すように、カートン10は、角柱状に成形されて封止状態となる。なお、図5(A)では、本発明の構成を理解し易くするために、上側に底面板3が配置された構成の斜視図を示している。この状態では、接着部74により外側妻板6と内側妻板7とが接着されているので、角柱形状を維持することができる。
なお、被包装物(図示せず)は、胴体10Bを形成し、この胴体10Bの内部に入れた後に、外側妻板6と内側妻板7とを接着することでカートン10中に収容してもよい。また、胴体10Bを形成する前のブランク板10Aの底面板3の上に被包装物を載置した後に、胴体10Bを筒状に形成し、外側妻板6と内側妻板7とを接着することでカートン10中に収容してもよい。
【0032】
[カートンの開封]
カートン10を開封する際は、底面板3に区画された開封補助部32を、カートン10の内側に向かって押し込む。これにより、押切用切れ目線31が破断され、開封補助部32がカートン10の内側に押し込まれる。続いて、開封補助部32がカートン10の内側に押し込まれることで形成された空間部分に指を入れて外側妻板6と内側妻板7とで構成された妻板を把持し、妻板を天面板1側に引き上げる。これにより、内側妻板7に形成された切開用切れ目線71および案内用切れ目線72に沿って切断され、図5(B)に示すように、カートン10は開封される。
【0033】
[本実施形態の作用効果]
以上のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)案内用切れ目線72および切開用切れ目線71により区画された開封部73に、内側妻板7および外側妻板6を接着させるための接着部74が形成されている。このように、接着部74が形成される領域に案内用切れ目線72や切開用切れ目線71が形成されないため、接着部74と切れ目線71,72とが重なり合うことに起因する開封性の悪化を回避できる。
(2)切開用切れ目線71が、折曲端縁7A上で押切用切れ目線31の両端から2つの側端縁7C,7Dに向かう途中までそれぞれ形成されている。このため、切開用切れ目線71が折曲端縁7A上で押切用切れ目線31から側端縁7C,7Dまで形成されている場合に比べて、折曲端縁7Aの強度が保たれるので、カートン10の強度を一定以上に維持できる。結果として、カートン10の保管時や輸送中であっても、折曲端縁7Aに形成された切開用切れ目線71からの破れの発生を低減できる。
【0034】
(3)側端縁7C側にて2つの案内用切れ目線72A,72Bが形成されている。2つの案内用切れ目線72A,72Bが側端縁7C側にて形成されることで、案内用切れ目線72および切開用切れ目線71により区画された開封部73の領域を大きくできる。したがって、開封部73に形成する接着部74の領域も大きくできるので、内側妻板7と外側妻板6とをより強固に接着することが可能になる。また、接着部74の領域を大きくできるため、一般的に使用されている線状の接着部を形成するような接着剤塗布装置の使用が可能であり、本発明のカートンを製造するにあたって、点状の接着部を形成するような特殊な接着剤塗布装置を新たに導入する必要がない。
また、2つの案内用切れ目線72A,72Bは、切開用切れ目線71と略平行で、互いに一定間隔をあけて折曲端縁7Aから対向端縁7B側に配列されている。また、折曲端縁7Aから対向端縁7Bに向かうにしたがって側端縁側7Cに寄るように位置している。さらに、切開用切れ目線71および2つの案内用切れ目線72A,72Bは、折曲端縁7Aから対向端縁7Bの方向において、隣接する各切れ目線との重なりを有している。このため、開封時には、先ず、押切用切れ目線31が破断され、続いて、切開用切れ目線71が側端縁7Cに向かう途中まで破断される。次いで、破断された切開用切れ目線71の両端から、切開用切れ目線71と案内用切れ目線72Aとの間が応力を加えた方向に破断され、破断部分が、案内用切れ目線72Aにまで到達する。次に、案内用切れ目線72Aが、到達した破断部分から、側端縁7C側の端部まで破断される。続いて、破断された案内用切れ目線72Aの端部から、案内用切れ目線72Aと案内用切れ目線72Bとの間が応力を加えた方向に破断され、破断部分が案内用切れ目線72Bにまで到達し、案内用切れ目線72Bが破断されることで、破断が側端縁7Cにまで至る。このように、各切れ目線に沿って、順次、破断されるため、カートン10の高さが低い形状であっても、良好な開封性を得ることができる。
【0035】
(4)切開用切れ目71B,71Cの開封補助部32側の先端71B1,71C1が、対向端縁7B側であって、開封補助部32の方向に屈曲している。
このため、開封時には、破断部分が、切開用切れ目71Aの側端縁7C側の端部にまで到達した後、破断された切開用切れ目71Aの端部から、応力を加えた方向へと破断する。そして、破断部分が、破断された切開用切れ目71Aの側端縁7C側で隣接する切開用切れ目71Bの開封補助部32側の先端71B1の屈曲に到達することで、破断の方向が屈曲を有する切開用切れ目71Bへと誘導される。また、切開用切れ目71Bから切開用切れ目71Cへの破断も上記と同様に行われる。これにより、切開用切れ目線71では、開封補助部32側から側端縁7C側へと各切れ目間を良好に破断できる。
(5)3つの切開用切れ目71A,71B,71Cのうち、最も側端縁7C側に配置された切開用切れ目71Cの側端縁7C側の先端71C2が、対向端縁7B側であって、側端縁7Cの方向に屈曲している。このため、開封時には、破断部分が、最も側端縁7C側に配置された切開用切れ目71Cの側端縁7C側の端部にまで到達した後、破断の方向がその先端71C2に設けられた屈曲の方向に向かって誘導される。そして破断部分が、屈曲の方向の先にある、対向端縁7B側に配置された案内用切れ目線72Aにまで到達する。これにより、切開用切れ目線71から案内用切れ目線72Aへ円滑に破断できる。
(6)案内用切れ目線72Aの側端縁7C側の先端72A1は、対向端縁7B側であって、側端縁7Cの方向に屈曲している。このため、開封時には、破断部分が案内用切れ目線72Aの側端縁7C側の端部にまで到達した後、破断の方向がその先端72A1に設けられた屈曲の方向に向かって誘導される。そして破断部分が、屈曲の方向の先にある、対向端縁7B側に配置された案内用切れ目線72Bにまで到達する。これにより、案内用切れ目線72Aから案内用切れ目線72Bへ円滑に破断できる。
【0036】
[変形例]
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、2つの案内用切れ目線72A,72Bが形成されている構成としたが、2つの案内用切れ目線に限らず、3つ以上の案内用切れ目線から構成されていてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、切開用切れ目線71を3つの切開用切れ目71A,71B,71Cによる構成としたが、3つの切開用切れ目に限らず、2つの切開用切れ目から構成されていてもよいし、また、4つ以上の切開用切れ目から構成されていてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、切開用切れ目71B,71Cの開封補助部32側の先端71B1,71C1、切開用切れ目71Cの側端縁7C側の先端71C2、並びに、案内用切れ目線72Aの側端縁7C側の先端72A1をそれぞれ特定の方向に屈曲する構成を示したが、切開用切れ目線の切開用切れ目、並びに案内用切れ目線における上記先端は、このような特定の方向に屈曲を有していない構造としてもよい。
また、上記屈曲の代わりに、図6に示すように、2つの案内用切れ目線72A,72Bの開封補助部32側の先端72A2,72B2は、折曲端縁側7Aであって、前記開封補助部32の方向に屈曲していてもよい。
また、上記実施形態では、図1に示すブランク板10Aや、図4,5に示すカートン10のように、いずれか一方の妻面のみに各切れ目線を形成した構成としたが、上記構成に限られず、双方の妻面にそれぞれ各切れ目線を形成した構成としてもよい。
また、上記実施形態では、開封補助部32を指で押し込むことにより空間部分が形成される形状としたが、開封補助部32は上記押し込み形状に限られず、指を引掛ける形状や、把持部を有する形状にしてもよい。
【0039】
その他、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【実施例】
【0040】
次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1、比較例1〜3〕
実施例1として、図1に示す構成のブランク板を用意した。
また、比較例1〜3として、各切れ目線が図7図9に示される構成を有するブランク板を用意した。
比較例1は、図7に示すように、折曲端縁7A上に、押切用切れ目線31の端部である点P1から側端縁7Cに形成された小さな切込みからなる切れ目線171が設けられたブランク板である。なお、折曲端縁7A上には、点P2から側端縁7Dにも、小さな切込みからなる切れ目線171が形成されている。
比較例2は、図8に示すように、折曲端縁7A上に、押切用切れ目線31の端部である点P1から側端縁7Cに形成された大きな切込みからなる切れ目線271が設けられたブランク板である。なお、折曲端縁7A上には、点P2から側端縁7Dにも、大きな切込みからなる切れ目線271が形成されている。
比較例3は、図9に示すように、内側妻板7に、押切用切れ目線31の端部である点P1から側端縁7Cに向かって、直線状の切れ目線172を設けたブランク板である。即ち、直線状の切れ目線172は内側妻板7を斜めに横断し、側端縁7Cと交点7C1で交わるように構成されている。ここで、折曲端縁と切れ目線172のなす角度は、15°未満である。なお、点P2から側端縁7Dの切れ目7D1を繋ぐ直線にも、直線状の切れ目線172が形成されている。
実施例1及び比較例1〜3のブランク板の材質は、秤量が270〜350g/mのコートボールである。
次に、用意したブランク板からカートンを作製し、合わせて、成形時の工程適性についての評価を行った。また、作製したカートンについてのカートン強度及び開封性についての評価を行い、これら3つの評価結果に基づき総合評価した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
*1:上記3つの評価項目のうち、1つでも「×」の評価がある場合には、総合評価を「×」の評価とした。
【0044】
表1から明らかなように、比較例1,2を比較すると、切れ目の大きさ(切込みの大きさ)の違いによって、成形時の工程に及ぼす適性への影響は殆どなかった。しかし、比較例2のように、切込みを大きくするとカートンの開封性は良好になるものの、カートンの強度を一定以上に維持することができなかった。一方で、比較例1のように、カートンの強度を一定以上にするために、切れ目線の切込みを小さくした場合は、カートンの開封性が悪化する結果になった。
また、比較例3では、カートンの強度は一定以上を維持できたが、成形時の工程において、切れ目線172が設けられている内側妻板7を折り曲げる際に、この切れ目線172に沿って折り曲がってしまう危険性があった。この結果から、内側妻板7を斜めに横断する直線状の切れ目線172を設けた場合、カートンの強度の低下に繋がるものと推察される。
一方、実施例1では、案内用切れ目線72A,72Bを折曲端縁7A上に沿って設けていないので、カートンの強度は一定以上に維持されていた。また、案内用切れ目線72A,72Bは、各切れ目線を一体的にみた場合、押切用切れ目線31の端部である点P1から側端縁7Cに渡って、内側妻板7を斜めに横断するように構成されている。しかし、実施例1の案内用切れ目線72A,72Bは、比較例3の切れ目線172のように直線状には形成されていないため、成形時の工程において、切れ目線に沿って折り曲がる危険性を低減できると推察される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のカートンは、食品、化粧品、工業品、玩具や文具などの各種物品を収容する容器に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
6…外側妻板、7…内側妻板、7A…折曲端縁、7B…対向端縁、7C,7D…側端縁、10…カートン、10B…胴体、32…開封補助部、71…切開用切れ目線、72…案内用切れ目線、72A,72B…案内用切れ目線、73…開封部、74…接着部、P1,P2…点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9