(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293755
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ランプ動作温度の調整および制御による熱応力低減方法および装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/57 20150101AFI20180305BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20180305BHJP
H01J 61/52 20060101ALI20180305BHJP
F28C 3/04 20060101ALI20180305BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20180305BHJP
F21V 29/85 20150101ALI20180305BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20180305BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20180305BHJP
【FI】
F21V29/57
F21V29/503
H01J61/52
F28C3/04
F21V23/00 117
F21V23/00 140
F21V29/85
F21S2/00 377
F21Y101:00 300
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-530004(P2015-530004)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-531976(P2015-531976A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013057132
(87)【国際公開番号】WO2014036171
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月25日
(31)【優先権主張番号】61/693,886
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/975,945
(32)【優先日】2013年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジンチュヨン
(72)【発明者】
【氏名】チムマルギ アナント
(72)【発明者】
【氏名】パティル ラジーフ
(72)【発明者】
【氏名】キム エリック
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン チュエン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ローレン
(72)【発明者】
【氏名】グロス ケネス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ベゼル イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ラファルグ セドリック
(72)【発明者】
【氏名】スコット ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォラ ユーナス
(72)【発明者】
【氏名】デルスタイン マシュー
【審査官】
松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−541630(JP,A)
【文献】
特開平02−072554(JP,A)
【文献】
特開平05−028968(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/039669(WO,A1)
【文献】
米国特許第05758823(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0037926(US,A1)
【文献】
特開2010−197583(JP,A)
【文献】
特開2004−296125(JP,A)
【文献】
特開2011−076892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/57
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/85
F28C 3/04
H01J 61/52
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電球を冷却するための装置であって、
冷却用流体を受けて、前記冷却用流体を実質的に一様に電球の周縁へ分配するように構成される冷却用流体マニホールドと、
前記冷却用流体マニホールド上に配置され、前記冷却用流体を前記冷却用流体マニホールドから電球の表面に沿って分配するように構成される、1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素であって、前記1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素が、実質的に層流の冷却用流体の流れを前記電球の表面に沿って生成するように構成される、冷却用流体分配要素と、
を備え、
前記1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素が、前記冷却用流体を導くための環状ノズルを備え、
前記環状ノズルが、前記冷却用流体を受けるように構成される上室と、前記冷却用流体を前記電球の前記表面に沿って射出するように構成される下室とを画定し、前記上室および下室が、制限された空間によって連結され、
前記制限された空間が、前記上室から前記下室への冷却用流体の流れを制御するように構成され、さらに前記冷却用流体のジュール・トムソン冷却を成すように構成される、
電球を冷却するための装置。
【請求項2】
前記1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素が、前記冷却用流体を前記電球の腰部部分に向けて導くために前記冷却用流体マニホールドの表面に沿って実質的に均等に配置された複数の真っ直ぐなパイロット噴出口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素が、冷却用流体の渦を前記電球の前記表面の周囲に生成するために前記冷却用流体マニホールドの表面に沿って実質的に均等に配置された複数の傾斜したパイロット噴出口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つまたは2つ以上の冷却用流体分配要素が、前記冷却用流体を導くための翼を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電球の前記表面上および排出口を通る前記冷却用流体の前記流れを促進するように構成される排出要素をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記排出要素が、前記電球の温度を測定するように構成される熱電対を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記熱電対に連結されるプロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、
温度データを前記熱電対から受信するように、かつ
前記温度データに基づいて前記冷却用流体マニホールドへの冷却用流体の流れを変えるように、
構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記冷却用流体マニホールドが、アーク灯電球の表面温度を通常動作の間、600℃未満に維持するのに十分な流量で、前記冷却用流体を受け、かつ分配するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
電球の表面に沿って熱を分配するための装置であって、
冷却用流体を受けて、前記冷却用流体を実質的に一様に電球の周縁へ分配するように構成され、1つまたは2以上の環状ノズルを具備した冷却用流体マニホールドと、
前記冷却用流体マニホールドに連結される冷却用流体ジャケットであって、前記冷却用流体ジャケットが、前記電球の第1の接続点に対応する電球の一部分を取り囲むように構成される、冷却用流体ジャケットと、
を備え、
前記冷却用流体ジャケットが、紫外線を吸収するように処理されたガラスを備え、
前記1つまたは2以上の環状ノズルは、それぞれ、前記冷却用流体を受けるように構成された上室と、前記電球の表面に沿って前記冷却用流体を噴出する下室と、を画定し、
前記上室および前記下室は、前記上室から前記下室への前記冷却用流体の流れを制御するように構成された制限された空間を介して連結される、
熱を分配するための装置。
【請求項10】
前記冷却用流体マニホールドが、前記冷却用流体ジャケットと前記電球の腰部部分との間に配置されるように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電球の第2の接続点に接続し、かつ冷却用流体が排出領域に通過するのを可能にするように構成される開孔付き出口要素をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記開孔付き出口要素が、前記電球の温度を測定するように構成される熱電対を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記熱電対に連結されるプロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、
温度データを前記熱電対から受信するように、かつ
前記温度データに基づいて前記冷却用流体マニホールドへの冷却用流体の流れを変えるように、
構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記冷却用流体マニホールドが、アーク灯電球の表面温度を通常動作の間、600℃未満に維持するのに十分な流量で、前記冷却用流体を受け、かつ分配するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
電球を冷却するための方法であって、
冷却用流体を冷却用流体分配マニホールド内に注入することと、
1つまたは2つ以上の環状ノズルで、前記冷却用流体を電球の周縁に分配することと、
実質的に層流の冷却用流体の流れを前記電球の表面上に生成することと、
を備え、
前記実質的に層流の冷却用流体の流れが、概して、前記電球の第1の接続点および前記電球の第2の接続点によって画定された軸に沿って導かれ、
前記1つまたは2つ以上の環状ノズルは、前記冷却用流体を受けるように構成された上室と、前記電球の表面に沿って前記冷却用流体を噴出するように構成された下室と、を画定し、
前記上室および前記下室は、前記上室から前記下室への前記冷却用流体の流れを制御するように構成された制限された空間を介して連結される、
電球を冷却するための方法。
【請求項16】
前記電球の接続点に負圧領域を形成することをさらに備え、前記負圧領域が、前記電球の前記表面上の冷却用流体の流れを排出領域に促進するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電球の少なくとも一部に関連する温度を検出することと、
前記温度に基づいて注入の流量を調整することと、
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2012年8月28日に出願された米国仮特許出願第61/693,886号の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概して、アーク灯を対象とし、より具体的には、アーク灯の電球の冷却を対象としている。
【背景技術】
【0003】
アーク灯およびその他の高出力電球では、熱クリープに起因する残留応力が、電球の破損の主たる原因である。動作温度を高くするガラスにおける高い紫外光吸収作用に起因して、従来型の直流放電動作モードでもランプにおけるレーザ支持プラズマでも、アーク灯からの高い紫外線(UV)出力で熱クリープは悪化する。
【0004】
従来、電球の冷却は自然対流に頼ってきた。自然対流冷却は、高度に非対称的な温度分布をランプにもたらす。また、一般に受容されている750℃未満というランプが動作する温度の限界は、高過ぎであって、残留応力を急速に蓄積させる。600℃未満のピーク温度がより好適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、高出力電球を600℃未満の動作温度まで能動的に冷却するのに適する装置があれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、高出力電球を600℃未満の動作温度まで能動的に冷却するのに適する新規な方法および装置を対象とする。
【0007】
本発明の一実施形態では、流体入力マニホールドは、注入された流体を電球の本体の周囲に分配して、電球を閾値未満まで冷却する。注入された流体はまた、電球の表面に沿って熱をより均等に分配して、熱応力を低減する。
【0008】
一実施形態では、流体入力マニホールドは、1つまたは2つ以上の翼を備えて、実質的に層流の流体の流れを電球の表面に沿って導き得る。別の実施形態では、流体入力マニホールドは、実質的に層流の流体の流れを生成するように方向付けられた複数の流体注入ノズルを備え得る。
【0009】
本発明の一実施形態では、出力部分は、注入された流体を電球から熱を吸収した後に容易に排出させることによって、または注入された流体を電球の表面に沿って、そして遠くへ能動的に引くために負圧をかけることによって、電球の表面に沿う流体の流れを促進するように構成され得る。
【0010】
先の概要および以下の詳細な説明の両方は、単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に請求された発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を説明し、また概要と併せて、原理を説明する役割を果たす。
【0011】
本発明の多数の利点は、添付の図面を参照することによって、当業者により良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】翼を有する本発明の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の入力部分を示す周辺図である。
【
図3】本発明の一実施形態の入力部分を示す断面詳細図である。
【
図4】本発明の一実施形態の入力部分を示す別の断面詳細図である。
【
図5】本発明の一実施形態の入力部分を示す断面詳細俯瞰図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるパイロット噴出口アセンブリを示す斜視詳細図である。
【
図7】本発明の別の実施形態の入力部分を示す断面詳細図である。
【
図8】本発明の別の実施形態の入力部分を示す断面詳細図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による環状ノズルを示す透視詳細図である。
【
図10】本発明の一実施形態の出力部分を示す断面詳細図である。
【
図11】本発明の一実施形態の出力部分を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態による出力滑りクランプを示す斜視詳細図である。
【
図13】本発明の一実施形態による開孔付き電球固定要素を示す斜視詳細図である。
【
図14】本発明の一実施形態による出力キャップを示す斜視詳細図である。
【
図15】本発明の別の実施形態を示す断面図である。
【
図16】本発明の別の実施形態を示す断面図である。
【
図17】本発明の別の実施形態を示す断面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付の図面に示されている開示される主題を詳細に参照する。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、多数の代替策、修正および均等物が包含されている。明確にすることを目的として、不必要に説明を妨げるのを避けるために、実施形態に関する技術分野において既知である技術項目は、詳細に説明されていない。
【0014】
熱クリープに起因する残留応力は、電球の破損の主たる原因である。動作温度を高くするガラスにおける高いUV光吸収作用に起因して、従来型の直流放電動作モードにおける、またランプ内側にあるレーザ支持プラズマによる、アーク灯からの高いUV出力でこの現象は悪化する。本発明は、ランプ動作温度をより良く制御および最適化し、ひいては、クリープによって引き起こされる応力レベルを安全限界まで低減して電球の破損を防ぐための方法を提供する。モデリング手法を用いれば、様々なガラス材料でそれらの粘度特性に基づいて作られたランプでは、600℃未満の安全な動作温度限界が、応力レベルが過度に高まるのを防ぐ。
【0015】
図1を参照すると、翼を有する本発明の一実施形態の断面図が示されている。本発明の少なくとも一実施形態では、アーク灯保持接続点104は、流体入力100を含み得る。流体入力100は、流体が流体マニホールド128によって画定された空間内に流れるのを可能にする。少なくとも一実施形態では、流体マニホールド128は、翼要素106を含む、またはこれに向けて流体の流れを導く。翼要素106は、実質的に層流の流体の流れを電球108の表面上に促進し得る。電球108の表面を覆う流体の流れは、電球108の温度を低減し、かつ電球108の表面全体へより均等に熱を分配して、熱応力を低減し得る。
【0016】
翼型のデザインは、より低いレーザ出力動作では、ランプ温度の制御に有効であるが、これは、高レーザ出力動作の間、ランプ温度制御において円形に一様になるためには、望ましい流体の量を超過して消費する。
【0017】
図2を参照すると、本発明の一実施形態の入力部分の周辺図が示されている。少なくとも一実施形態では、ランプは、電球208の1つの接続点を電源206に送達ワイヤ202を通して連結する電球固定止めナット204を含む。電球固定止めナット204は、電球208と関連してパイロット噴出口アセンブリ228を保持し得る。パイロット噴出口アセンブリ228は、入力200を通して流体の流れを受けて、流体の流れを電球208の上に導く。
【0018】
図3を参照すると、本発明の一実施形態の入力部分の別の断面詳細図が示されている。入力部分は、電球固定止めナット304を含んで、電球308と関連して真っ直ぐなパイロット噴出口アセンブリ328を保持し、かつ送達ワイヤ302が電球308の接続点に接触するのを可能にする。真っ直ぐなパイロット噴出口アセンブリ328は、入力300を通して流体の流れを受けて、流体の流れを複数の真っ直ぐな流体誘導噴出口310を通して電球308の上に導く。
【0019】
真っ直ぐなパイロット噴出口アセンブリ328は、空気、窒素、またはその他の好適な気体などの冷却用流体を複数の真っ直ぐな流体誘導噴出口310に分配するためのマニホールドであり得る。当業者は、本発明の一部の実施形態において役立つ流体はまた、液体を含み得ることを理解し得る。複数の真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、真っ直ぐなパイロット噴出口アセンブリ328の周囲へ実質的に一様に配置され得る。真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、電球308の表面に付着する傾向がある高速なプルームを生成し得る。真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、流体の流れの方向性に対する良好な制御を提供し、縮小した出力ノズル(例えば、0.45mm)は、流体がノズルからより低圧の大気圧内に出る際に、ジュール・トムソン冷却を通して追加的な冷却効果を提供し得る。本発明との関連では、「真っ直ぐな(straight)」流体誘導噴出口310は、それぞれの真っ直ぐな流体誘導噴出口310ごとに、真っ直ぐな流体誘導噴出口310によって画定される軸と、電球308によって画定される軸とが平面を画定するという点において真っ直ぐであり得る。それぞれの真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、流体の流れを電球308の表面に向けて導くように方向付けられ得る。少なくとも一実施形態では、真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、流体の流れを電球308の「腰部(hip)」(球根状部分が実質的に真っ直ぐな部分と交わる電球308の一部分)に向けて導くように方向付けられ得る。真っ直ぐな流体誘導噴出口310は、定常状態の勾配を生成し得る。
【0020】
図4を参照すると、本発明の一実施形態の入力部分の断面詳細図が示されている。入力部分は、電球固定止めナット404を含んで、電球408と関連して傾斜したパイロット噴出口アセンブリ428を保持し、かつ送達ワイヤ402が電球408の接続点に接触するのを可能にする。傾斜したパイロット噴出口アセンブリ428は、入力400を通して流体の流れを受けて、流体の流れを1つまたは2つ以上の傾斜した流体誘導噴出口410を通して電球408の上に導く。
【0021】
傾斜したパイロット噴出口アセンブリ428は、冷却用流体を複数の傾斜した流体誘導噴出口410に分配するためのマニホールドであり得る。複数の傾斜した流体誘導噴出口410は、傾斜したパイロット噴出口アセンブリ428の周囲へ実質的に一様に配置され得る。傾斜した流体誘導噴出口410は、電球408の表面に付着する傾向がある高速なプルームを生成し得る。傾斜した流体誘導噴出口410は、流体の流れの方向性に対する良好な制御を提供し、縮小した出力ノズル(例えば、0.45mm)は、流体がノズルからより低圧の大気圧内に出る際に、ジュール・トムソン冷却を通して追加的な冷却効果を提供し得る。本発明との関連では、「傾斜した(inclined)」流体誘導噴出口410は、それぞれの傾斜した流体誘導噴出口410ごとに、傾斜した流体誘導噴出口410によって画定される軸と、電球408によって画定される軸とが平面を画定せず、かつ傾斜した流体誘導噴出口410が、流体の流れの渦を電球408の周囲に引き起こすという点において傾斜状態にあり得る。それぞれの傾斜した流体誘導噴出口アセンブリ410は、流体の流れをおおむね電球408の表面に向けて導くように方向付けられ得る。少なくとも一実施形態では、傾斜した流体誘導噴出口410は、流体の流れを電球308の腰部に向けて導くように方向付けられ得る。傾斜した流体誘導噴出口310は、局所的な勾配を低減し、非円筒状の包絡線上の衝突角を低下し得る。
【0022】
図5を参照すると、本発明の一実施形態の入力部分の断面詳細俯瞰図が示されている。本発明の少なくとも一実施形態による入力部分は、冷却用流体を受けて、冷却用流体を複数の流体誘導噴出口510に分配するマニホールドとして構成されるパイロット噴出口アセンブリ528を含み得、ノズル550を画定する各流体誘導噴出口510は、流体を電球508に向けて、またはその周囲に導くように構成されて、流体が、電球508の表面に付着して、電球508を冷却する、または熱を電球508の表面の周囲に再分配する、あるいはこれらの両方を行うようにし得る。少なくとも一実施形態では、流体誘導噴出口510は、冷却用流体の流れを電球508の腰部部分548に向けて導く。
【0023】
動作中の電球508上の熱負荷は、電球508の赤道部(ガラスの放射吸収に起因する)および電球508の頂部部分(対流に起因する)にかかる。電球508の底部部分は、より低温となる傾向があり、また内部の気体の循環に関し、停滞した領域を有する傾向がある。外部冷却用流体の流れを電球508の高温部分から電球508の基部に導くことは、基部の温度を上げることを可能にして、より一様な電球508の温度分布をもたらし、熱応力を低減し、ソラリゼーションを減らし、また電球508のすべての部分が所望の温度範囲内に保たれるように補助する。電球508の基部部分の温度制御はまた、電球508、例えば、HgまたはH
2Oを収容している電球508の内部にある化学種の気化を要する用途において重要である。
【0024】
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるパイロット噴出口アセンブリ628の斜視詳細図が示されている。パイロット噴出口アセンブリ628は、冷却用流体を受けるための入力部分614を画定する。パイロット噴出口アセンブリ628は、冷却用流体を、パイロット噴出口アセンブリ628の表面の周囲に規則正しく配置された複数の流体誘導噴出口610に分配する。動作の間、機械的設計に起因して、パイロット噴出口アセンブリの内側にかなりの圧力レベルが確立されて、流体が各流体誘導噴出口610から一様に流れ出る。流体誘導噴出口610は、冷却用流体を電球に向けて導く。電球は、パイロット噴出口アセンブリ628によって画定された電球アクセス部分612を通して電球の接続点を通過することによって電源に連結され得る。複数の流体誘導噴出口610は、真っ直ぐまたは電球の周囲に渦を生成するように傾斜状態であり得る。
【0025】
少なくとも一実施形態では、パイロット噴出口アセンブリ628は、別の設計バリエーションにおいて、電球の基部に設置され得る。冷却用流体の流れを導くこと、および/または電球付近の過熱蒸気などの冷却噴流の追加的な化学種を収容することを可能にする、外部にある透明な遮蔽体が電球の周囲に存在し得る。
【0026】
図7を参照すると、本発明の別の実施形態の入力部分の断面詳細図が示されている。少なくとも一実施形態では、ランプは、電球708の1つの接続点を電源706に送達ワイヤ702を通して連結する電球固定止めナット704を含む。電球固定止めナット704は、電球708と関連して環状ノズル728を保持し得る。環状ノズル728は、入力700を通して流体の流れを受けて、流体を電球708の上に導く。
【0027】
図8を参照すると、本発明の別の実施形態の入力部分の断面詳細図が示されている。入力部分は、電球固定止めナット804を含んで、電球808と関連して環状ノズル828を保持する。環状ノズル828は、入力800を通して流体の流れを受けて、流体を電球808と、電球808の円周方向の周囲に冷却用流体のマントルを作るように構成される1つまたは2つ以上の流体室を画定する流体誘導カラー830との上に導く。
【0028】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態による環状ノズルの透視詳細図が示されている。環状ノズルは、電球の円周方向の周囲に冷却用流体のマントルを作るように構成される1つまたは2つ以上の流体室932、934を画定する流体誘導カラー930を含み得る。上部流体室932および下部流体室934は、流体の圧力および流れを調整するように構成される間隙によって分離され得る。一実施形態では、間隙は、0.100mmであり得る。別の実施形態では、間隙は、0.075mmであり得る。間隙の寸法が、上部流体室932および下部流体室934の間、ひいては電球の周囲における流体の流れを規定し得る。
【0029】
加えて、本発明は、電球の基部に位置する気体を冷却するための排出孔を含み得る。排出孔は、電球の周囲および基部に流体の流れを導くのを助ける。排出孔は、排出ラインに負圧を形成することによって補強および/または制御され得る。
【0030】
図10を参照すると、本発明の一実施形態の出力部分の断面詳細図が示されている。出力部分は、電球1008の接続点を保持するように構成される開孔付き電球固定要素1020を含み得る。開孔付き電球固定要素1020は、滑りクランプ1018によって所定の位置に保持され得る。滑りクランプ1018は、水路への伝導経路を備え得る。滑りクランプ1018はまた、UVを導くように構成されるバッフルを含み得る。開孔付き電球固定要素1020および滑りクランプ1018は、出力キャップ1016内に実質的に収容され得る。出力キャップ1016は、流体の流れを出力に反らすための1つまたは2つ以上のそらせ板1024を含み得る。そらせ板1024は、電球1008への電気的接続を可能にすると同時に、このような電気的接続を、電球1008によって生じた熱およびそのような熱を吸収した後の流体の流れから守り得る。
【0031】
図11を参照すると、本発明の一実施形態の出力部分の斜視図が示されている。電球1108の表面上を流れる流体は、開孔付き電球固定要素1120によって画定された1つまたは2つ以上の開孔1124を通過し得る。開孔付き電球固定要素1120は、出力滑りクランプ1118によって所定の位置に保持され得る。
【0032】
図12を参照すると、本発明の一実施形態による出力滑りクランプ1218の斜視詳細図が示されている。滑りクランプ1218は、冷却用流体を滑りクランプ1218の周囲に導くための1つまたは2つ以上の流体チャネル1222を含み得る。滑りクランプ1218は、開孔付き電球固定要素を固定保持するように構成され得る。
【0033】
図13を参照すると、本発明の一実施形態による開孔付き電球固定要素1320の斜視詳細図が示されている。開孔付き電球固定要素1320は、1つまたは2つ以上の開孔1324を画定して、開孔付き電球固定要素1320によって固定された電球の上を流れる流体が通過するのを可能にし得る。さらに、開孔付き電球固定要素1320は、熱電対などの1つまたは2つ以上の感熱要素1340を含み得る。感熱要素1340は、電球冷却システムが、電球の温度に基づいて冷却用流体の流量を変えるのを可能にする。感熱要素1340由来の温度に基づくフィードバックは、ランプ製造において用いられる多くのガラス材料のための安全限界である600℃未満に温度を下げる手段を提供する。
【0034】
図14を参照すると、本発明の一実施形態による出力キャップ1416の斜視詳細図が示されている。出力キャップ1416は、滑りクランプおよび開孔付き電球固定要素を収容し得る。開孔付き電球固定要素にある開孔を通って流れる流体は通過して、出口1426を通って出ることができる。
【0035】
図15を参照すると、本発明の別の実施形態の断面図が示されている。少なくとも一実施形態では、ランプ保持接続点1504は、電球1508の1つの接続点との電気的接触を可能にする。ランプ保持接続点1504は、電球1508を、冷却用流体入力1500を有する冷却用流体マニホールド1528に固定する。冷却用流体は、いくらかの圧力下で冷却用流体入力1500を通って、冷却用流体マニホールド1528内に流れる。そこから、冷却用流体は、電球1508の一部分を取り囲む冷却用流体ジャケット1536によって画定された流体空間1552内に流れ得る。冷却用流体ジャケット1536は、誘導された、実質的に層流の流れを電球1508の表面上に形成して、冷却用流体ジャケット1536によって囲まれていない電球1508の部分を冷却し得る。ランプ保持接続点1504または冷却用流体マニホールド1528あるいはこれらの両方は、冷却をさらに強化するためにヒートシンク部分を含み得る。
【0036】
図16を参照すると、本発明の別の実施形態の断面図が示されている。ランプ保持装置は、ランプ1604の接続点を保持し、かつ接続点との電気的接触を可能にするように構成されるランプ保持接続点1604を含み得る。さらに、ランプ保持接続点1604は、ヒートシンク1628をランプ1608に固定し、冷却用流体ジャケット1636を所定の位置に保持し得る。冷却用流体ジャケット1636は、冷却用流体空間1652を画定し得る。さらに、冷却用流体ジャケット1636は、未使用のUV放射などの特定の放射を吸収するための材料を備え得る。冷却用流体ジャケット1636の一実施形態は、管状に電球1608の周囲に巻かれた薄い可撓性のガラスシートであり得る。冷却用流体ジャケット1636は、内面または外面あるいはその両方に堆積された反射防止コーティングを有し得る。
【0037】
冷却用流体は、入力1600を通って流れ、実質的に層流の流体の流れを電球1608の周囲に形成する。さらに、冷却用流体は、冷却用流体空間1652内に流れ込み得る。
【0038】
図17を参照すると、本発明の別の実施形態の断面透視図が示されている。ランプは、電球1708の接続点を保持し、かつ供給電流が電球1708に流れるのを可能にする、電球固定止めナット1704を含み得る。冷却用流体供給管1700は、冷却用流体を供給する。少なくとも一実施形態では、冷却用流体は、熱的に適合するノズル1746によって画定された空間内に流れ込み得る。
【0039】
熱的に適合するノズル1746は、冷却用流体の送達を制限し得る。熱的に適合するノズル1746は、流体供給管1700断面の約70%を備え得る噴出口を画定し得る。噴射された注入は、流体をヒートシンク上に引き得る。溶融石英の絶縁スペーサなどの絶縁スペーサ1744は、流体の流れを導くための流体空間を画定し得る。少なくとも一実施形態では、電球冷却装置は、絶縁スペーサ1744によって画定された空間を通る流体の流れ1738を容易にするように構成されるヒートシンク1728を含み得る。
【0040】
この結果、本発明は、従来型の連続直流放電モード又はレーザ励起および支持プラズマモードで動作するアーク灯における動作の間および後の残留応力を低減し、これらのランプの有用な動作寿命を延ばす。
【0041】
本発明およびその付随する利点の多くが、先の本発明の実施形態の説明によって理解されると考えられ、また本発明の範囲および精神から逸脱することなく、またはその本質的な利点のすべてを犠牲にすることなく、その構成要素の形態、構成、および配置において様々な変更がなされ得ることは明らかである。本明細書に上記した形態は、その例示的な実施形態にすぎず、以下の特許請求の範囲は、このような変更を含むことを意図している。