(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方のアーム板部の突起部と他方のアーム板部の突起部とは、閉脚時に互いに干渉しない位置に取り付けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の内視鏡用クリップ。
一方のアーム板部の他方のアーム板部の突起部に対応する位置に該他方のアーム板部の突起部の先端部が貫通可能な貫通孔を有することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用クリップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、腫瘍等の切除後の比較的に大きい粘膜の欠損部を内視鏡用クリップを用いて縫縮する場合には、粘膜を手繰り寄せて把持する必要がある。しかしながら、上述した従来技術では、突起が微小であるため、粘膜を手繰り寄せる際に滑りを生じ、当該欠損部を把持する作業(手技)が容易でなく、作業に長時間を要し、あるいは確実な把持を行えない場合がある。また、かかる突起を打ち出し加工や折り曲げ加工により形成する場合には、加工上の制約により、先端が鋭利で十分な強度を有する突起を形成することが難しく、処置すべき欠損部の大きさや形状等に、より適合するような形状の突起を形成することが難しい。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、粘膜欠損部の縫縮を容易かつ確実に行うことができる内視鏡用クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内視鏡用クリップは、その先端部に向かって開脚するように略ハの字状に配置された一対のアーム板部と、前記アーム板部の基端部を連結する連結板部と、前記連結板部にスライド可能に外嵌された略筒状の部材からなり、前記アーム板部の先端側にスライドさせることにより、前記アーム板部を閉脚させる締め付けリングと、前記アーム板部のそれぞれの先端部を互いに内側を指向して折り曲げることにより形成された爪部と、前記アーム板部のそれぞれの先端部の近傍に、その先端が鋭利に形成され、互いに内側を指向して取り付けられた突起部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る内視鏡用クリップにおいて、前記突起部の高さは、前記爪部の高さ以上に設定することができる。
【0009】
本発明に係る内視鏡用クリップにおいて、前記突起部は、円錐又は角錐からなる錐状部を有することができる。
【0010】
本発明に係る内視鏡用クリップにおいて、前記突起部は、前記アーム板部のそれぞれに複数取り付けることができる。
【0011】
本発明に係る内視鏡用クリップにおいて、一方のアーム板部の突起部と他方のアーム板部の突起部とは、閉脚時に互いに干渉しない位置に取り付けることができる。
【0012】
本発明に係る内視鏡用クリップにおいて、一方のアーム板部の他方のアーム板部の突起部に対応する位置に該他方のアーム板部の突起部の先端部が貫通可能な貫通孔を有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の内視鏡用クリップは、アーム板部の先端の爪部の近傍に取り付けられた先端が鋭利な突起部を備えており、例えば、腫瘍等の切除後の比較的に大きい粘膜の欠損部を縫縮する場合に、該突起部が粘膜に突き刺さることにより、先端の爪部の滑りが防止され、確実に該粘膜を手繰り寄せることができる。従って、欠損部の縫縮作業を容易かつ確実に行うことができるようになる。また、突起部は独立して製造した後に、アーム板部に取り付けるので、突起部として、縫縮すべき欠損部の形状や大きさに、より適合するように所望の形状のものを採用することができるとともに、その強度も十分に確保することができ、欠損部の縫縮をさらに容易かつ確実に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の内視鏡用クリップの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の内視鏡用クリップの要部構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態の内視鏡用クリップの開脚状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態の内視鏡用クリップの閉脚状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る内視鏡用処置具(クリップ装置)の外観を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態の内視鏡用クリップをクリップ装置のインナーシースの遠位端に取り付けた状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態の内視鏡用クリップをクリップ装置のインナーシースの遠位端に取り付け、さらにアウターシースの遠位端に収納した状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態の内視鏡用クリップを用いた粘膜縫縮の手技工程を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態の内視鏡用クリップを用いた粘膜縫縮の手技工程を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態の内視鏡用クリップを用いた粘膜縫縮の手技工程を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態の内視鏡用クリップを用いた粘膜縫縮の手技工程を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態の内視鏡用クリップを用いた粘膜縫縮の手技工程を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の高さを爪部の高さよりも大きく設定した例を示す斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の形状を変更した例を示す斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の形状を変更した他の例を示す斜視図である。
【
図17】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の形状を変更したさらに他の例を示す斜視図である。
【
図18】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の数を2本にした例を示す斜視図である。
【
図19】本発明の実施形態の内視鏡用クリップにおいて、突起部の数を3本にした例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1及び
図2に示されているように、本実施形態に係る内視鏡用クリップ2は、略U字形状に折り曲げられた連結板部4を有する。連結板部4のU字形状の各端部には、その先端に行くに従って略ハの字状に開いて(開脚して)配置された一対のアーム板部6がそれぞれ一体的に形成されている。
【0016】
各アーム板部6の先端部には、爪部8が一体的に形成されている。爪部8は、アーム板部6の先端において、内側(即ち、閉じ方向)を指向して折り曲げられることにより、形成されている。各爪部8は、その先端の中間部分に凹陥する切欠部8aを有している(
図2参照)。
【0017】
内視鏡用クリップ2を構成する連結板部4と、一対のアーム板部6と、一対の爪部8とは、一枚の板材を折り曲げ成形することにより形成されている。内視鏡用クリップ2を構成する板材の板厚は、特に限定されないが、好ましくは0.10〜0.30mmである。板材としては、弾性を有する板材が好ましく、例えばステンレスが用いられる。
【0018】
アーム板部6は、それぞれ、基端部6aと、把持部6bと、リング係止部6cとを有している。爪部8は把持部6bの先端部が内側に折り曲げられることにより形成されている。リング係止部6cは基端部6aと把持部6bとの間の境界部分に配置されている。リング係止部6cの板幅は、基端部6aの板幅よりも幅広であることが好ましく、締め付けリング10の内径との関係で決定される。締め付けリング10は、略円筒状のリング部材から構成されてもよいが、線材をコイル状に巻回してなるスプリングで構成されてもよい。
【0019】
締め付けリング10は、その内側の案内孔に、連結板部4が挿通され、連結板部4の外周とアーム板部6の基端部6aの外周との間を軸方向に移動(スライド)可能に装着(外嵌)されている。締め付けリング10が、連結板部4からアーム板部6の基端部6aの外周にスライドされた場合に、リング10の内部(案内孔)に一対のアーム板部6の基端部6aが入り込み、これらのアーム板部6を閉脚、即ちアーム板部6のそれぞれを互いに近接させるようになっている。
【0020】
締め付けリング10が、
図3に示されるように、後方寄り(連結板部4)に配置された状態では、アーム板部6は自己の弾性により開いた(開脚した)状態になっており、必要に応じて、
図4に示されるように、締め付けリング10を前方寄りの位置に移動(スライド)させることにより、アーム板部6を徐々に閉じ、リング係止部6cまで移動させることにより、アーム板部6を閉じた(閉脚した)状態にすることができる。
【0021】
各アーム板部6の先端部近傍には、内側(即ち、閉じ方向)を指向して突出するように、先端が鋭利な針状の部材からなる突起部12が取り付けられている。ここでは、突起部12は、アーム板部6側の基端部から先端側に行くに従って徐々に細くなるように形成された円錐状の部材から構成されている。突起部12は、ステンレス又は鉄等の金属から形成され、アーム板部6とは別部材として所望の形状に製造された後、アーム板部6の内面(他方のアーム板部6に対向する側の面)に一体的に取り付けられる。
【0022】
突起部12は、レーザ溶接によりアーム板部6の内面に一体的に溶着するのが好適である。突起部12は、ここでは、該突起部12の軸線がアーム板部6の内面に対して略垂直になるように固定されている。但し、突起部12は、該突起部12の軸線がアーム板部6の内面に対して斜交するように固定されてもよい。突起部12をアーム板部6の内面に対して斜交して設ける場合には、突起部12はアーム板部6の長手方向に沿う方向において先端側に向けて傾け、又は基端部側に向けて傾けることができる。また、突起部12はアーム板部6の幅方向(短手方向)に沿う方向において一方の側辺側に向けて傾け、又は他方の側辺側に向けて傾けることができ、アーム板部6の長手方向及び幅方向の両方に傾けてもよい。
【0023】
突起部12の高さ(アーム板部6の内面からの高さ)は、本実施形態では、爪部8の高さ(アーム板部6の内面からの高さ)と実質的に同一としている。但し、突起部12の高さは、爪部8の高さよりも小さく又は大きくすることができる。突起部12の高さは、爪部8の高さの0.5〜1.5倍であることが好ましく、1.0〜1.5倍であることがより好ましい。突起部12の高さが爪部8の高さの0.5倍未満(即ち、微小)であると、爪部8が邪魔になって突起部12を粘膜に突き刺すことが困難となり、粘膜の手繰り寄せ作業が困難となるおそれがある。また、突起部12の高さが爪部8の高さの1.5倍を超えると、内視鏡用クリップ2が後述するクリップ装置20のアウターシース24の遠位端部に収納される際に(
図8参照)、一方のアーム板部6の突起部12の先端が他方のアーム板部6に干渉し、収納作業の支障となるおそれがある。本実施形態では、爪部8の高さを1.0mmに設定しているので、突起部12の高さは0.5〜1.5mmの範囲が好ましく、1.0〜1.5mmの範囲がより好ましい。
【0024】
粘膜欠損部の縫縮時における粘膜の手繰り寄せを容易かつ確実に行うという観点のみからは、例えば、
図14に示されているように、突起部12の高さを爪部8の高さの1.5倍を超えるものとしてもよい。この場合において、クリップ装置20のアウターシース24の遠位端部に対する収納時における干渉の問題を生じる場合には、これを回避するため、例えば、一方のアーム板部6の他方の突起部(他方のアーム板部6の突起部)12に対応する位置に貫通孔を設ければ、突起部12の高さを、1.5倍を超えるものとしても、かかる干渉を回避することが可能である。この場合における突起部12の高さの最大値は、爪部8の高さの2.0倍程度が好ましい。
【0025】
突起部12のアーム板部6(把持部6b)の幅方向(短手方向)における固定位置としては、該幅方向の略中央部とすることができる。但し、アーム板部6の幅方向においてアーム板部6の一方の側辺寄りに、又は他方の側辺寄りに固定してもよい。また、突起部12のアーム板部6(把持部6b)の長手方向における固定位置としては、突起部12のアーム先端(爪部8の外面)から、把持部6bの長手方向の寸法の半分よりも先端側とすることが好ましい。本実施形態では、把持部6bの長手方向の寸法を5mmに設定しているので、アーム板部5の先端(爪部8の外面)から2.5mmよりも先端側であることが好ましい。
【0026】
一対のアーム板部6のうちの一方のアーム板部6の突起部12と、他方のアーム板部6の突起部12とは、互いに対応する位置に固定してもよいが、アーム板部6の閉脚時に互いに干渉することを避けるため、アーム板部6の幅方向又は長手方向に互いに干渉しない程度にずれた位置に固定することが好ましい。本実施形態では、各突起部12のアーム板部6の幅方向の固定位置を該幅方向の略中央部とし、長手方向の固定位置を互いにずれた位置としている。即ち、一方の突起部12のアーム板部6の先端からの寸法と、他方の突起部12のアーム板部6の先端からの寸法を異ならせている。
【0027】
上述したような内視鏡用クリップ2は、内視鏡用処置具(クリップ装置)の遠位端部に装着・収納され、クリップ装置のシースを、内視鏡のルーメン内に挿入して、処置すべき生体組織まで導かれる。ここで、クリップ装置の一例について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0028】
このクリップ装置20は、連結フック21、インナーシース(インナーチューブ)22、操作ワイヤ23(
図6参照)、アウターシース(アウターチューブ)24、補強チューブ25、スライダー26、第1ベース27、第1操作部28、第2ベース29、及び第2操作部30を概略備えて構成されている。
【0029】
連結フック21は先端に向かって開脚するように略ハの字状に配置された弾性体からなる一対のアーム部を有し、インナーシース22との協働によって、開脚(開いた)状態と閉脚(閉じた)状態の二つの状態をとり得るようになっている。連結フック21のアーム部の先端部は、内側(互いに相対する側)に折り曲げられており、内視鏡用クリップ2の連結板部4が形成する連結孔4a(
図1,
図3参照)を把持して連結する把持部となっている。連結フック21の基端部は、インナーシース22内にスライド可能に挿入された操作ワイヤ23(
図6参照)の先端に取り付けられている。インナーシース22はアウターシース24内にスライド可能に挿入され、アウターシース24の基端部側近傍は補強チューブ25に挿入されて該補強チューブ25に一体的に固定されている。
【0030】
補強チューブ25はスライダー26に一体的に固定されており、スライダー26の内側に第1ベース27が挿入配置されている。スライダー26は、第1ベース27に対して、先端側に移動した位置と基端部側に移動した2つの位置との間で位置決め可能にスライドし得るようになっている。スライダー26のスライドは、ロック部27aを操作してロックを解除することにより行うことができる。第1ベース27には、第1操作部28が一体的に固定されているとともに、操作ワイヤ23が固定されている。第1ベース27には第2ベース29がスライド可能に保持されており、第2ベース29にはインナーシース22が固定されている。なお、26aは、注水(液)口である。
【0031】
第1操作部28及び第2操作部30を互いに離間するように操作すると、インナーシース22が操作ワイヤ23に対して引き込まれて、操作ワイヤ23の先端の連結フック21がインナーシース22の先端から突出して、自己の弾性により略ハの字状に開脚する。第1操作部28及び第2操作部30を互いに近接するように操作すると、操作ワイヤ23がインナーシース22に対して引き込まれて、操作ワイヤ23の先端の連結フック21がインナーシース22内に入り込みつつ、徐々に閉脚し、インナーシース22内に埋没することにより、完全に閉脚するようになっている。
【0032】
スライダー26を第1ベース27に対して基端部側の位置にスライドすると、インナーシース22をアウターシース24の先端から突出させることができ、反対に、スライダー26を第1ベース27に対して先端側の位置にスライドすると、インナーシース22の先端をアウターシース24内に収納(埋没)させることができるようになっている。
【0033】
次に、上述した内視鏡用クリップ2の使用方法について説明する。連結板部4の外周で基端部6aの近くに締め付けリング10が外嵌された状態では、断面U字状の連結板部4には連結孔4aが形成される(
図1,
図3参照)。この連結孔4aに、
図5の連結フック21を係合させ、連結フック21の先端をインナーシース22の内部に引き込むことで、連結フック21が閉脚し、内視鏡用クリップ2がインナーシース22の遠位端に取り付けられる(
図7参照)。この状態で、インナーシース22の遠位端(内視鏡用クリップ2)をアウターシース24内に引き込み、
図8に示されているように、内視鏡用クリップ2をアウターシース24の遠位端部に収納する。この状態では、内視鏡用クリップ2の締め付けリング10は連結板部4に位置したままであり、アーム板部6はアウターシース24の内壁によって閉脚している。
【0034】
不図示の内視鏡を用いて、内視鏡用クリップ2が取り付けられたクリップ装置20のシースの遠位端部を、縫縮処置を行うべき生体組織の近傍に位置させる。次いで、アウターシース24を近位端側にスライドさせることにより、内視鏡用クリップ2をアウターシース24の遠位端から突出させる。これにより、
図7に示されているように、アーム板部6が自己の弾性により開脚した状態となる。
【0035】
アーム板部6が開脚した状態から、例えば、
図9〜
図13に示されているように、粘膜(生体組織)の欠損部の縫縮を行う。まず、
図9に示されているように、一方のアーム板部6の先端を縫縮すべき欠損部31の一方の側の粘膜(生体組織)31aの近傍に位置させ、
図10に示されているように、該一方のアーム板部6の先端を該粘膜31aに押し付ける。これにより、該一方のアーム板部6の爪部8が該粘膜31aに押し込まれるとともに、該一方のアーム板部6の突起部12が該粘膜31aに突き刺さる。このように突起部12が粘膜31aに突き刺さっているので、該粘膜31aに押し込まれている爪部8が粘膜31aに対して滑ることが抑制される。
【0036】
次いで、
図11に示されているように、アーム板部6相互の開き角度(交差角)を大きくして、アーム板部6の他方の先端を、縫縮すべき欠損部31の他方の側の粘膜(生体組織)31bの近傍に位置させ、
図12に示されているように、他方のアーム板部6の先端を該粘膜31bに押し付ける。これにより、該他方のアーム板部6の爪部8が該粘膜31bに押し込まれるとともに、該他方のアーム板部6の突起部12が該粘膜31bに突き刺さる。このように突起部12が粘膜31bに突き刺さっているので、該粘膜31bに押し込まれている爪部8が粘膜31bに対して滑ることが抑制される。
【0037】
この状態から、インナーシース22を操作ワイヤ23に対して遠位端側にスライドさせることにより、締め付けリング10がアーム板部6の先端側にスライドする。その結果、アーム板部6が徐々に閉脚し(互いに近づき)、
図13に示されているように、欠損部30を挟んで一方の側の粘膜31aと他方の側の粘膜31bとが手繰り寄せられる。このとき、各突起部12が粘膜31a,31bにそれぞれ突き刺さっているので、各爪部8が該粘膜31a,31bに対して滑ることなく、両粘膜31a,31bを確実に手繰り寄せることができる。
【0038】
インナーシース22を操作ワイヤ23に対して遠位端側にさらにスライドさせることにより、締め付けリング10がアーム板部6のリング係止部6cに至り(
図4参照)、欠損部31を挟んで一方の側の粘膜31aと他方の側の粘膜31bとが縫縮される。この状態で、インナーシース22を操作ワイヤ23に対して近位端側にスライドさせることにより、連結フック21がインナーシース22の遠位端から押し出されて開脚し、内視鏡用クリップ2の連結フック21による把持(係合)が解除される。これにより、内視鏡用クリップ2は、一対のアーム板部6が閉じた状態を維持した状態で、体内に留置される。
【0039】
本実施形態の内視鏡用クリップ2は、アーム板部6の先端の爪部8の近傍に取り付けられた先端が鋭利な突起部12を備えており、例えば、腫瘍等の切除後の粘膜31a,31bの比較的に大きい欠損部31を縫縮する場合に、該突起部12が粘膜31a,31bに突き刺さることにより、爪部8が滑ることがなくなり、該粘膜31a,31bを容易かつ確実に手繰り寄せることができ、この手繰り寄せられた粘膜31a,31bを先端の爪部8により把持することにより、該欠損部31を縫縮することができるので、その作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0040】
また、突起部12はアーム板部6、爪部8及び連結板部4を含む本体部とは独立して製造(成形)した後に、アーム板部6に溶接固定するようにしたので、突起部12として、縫縮すべき欠損部の形状や大きさに、より適合するように所望の形状のものを採用することができ、粘膜欠損部31の縫縮をさらに容易かつ確実に行うことができる。
【0041】
上述した実施形態では、アーム板部6の把持部6bに取り付けられる突起部12として、円錐形状のものを用いたが、これに代えて、
図15に示されているように、基端部側を円柱形状とし先端側を円錐形状にした突起部12Aを用いてもよい。また、
図16に示されているように、四角錐形状の突起部12Bを用いてもよい。なお、四角錐形状以外に、三角錐形状又は五角以上の角錐形状でもよい。さらに、
図17に示されているように、円柱を斜めに切断した形状の突起部12Cを用いてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、アーム板部6の把持部6bに設けられる突起部12の数はアーム板部6のそれぞれについて1つとしたが、
図18に示されているように、2つとし、
図19に示されているように、3つとし、図示は省略するが、さらに複数(4つ以上)としてもよい。
【0043】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。