(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子から出射した光の光量をPoutとした場合、前記第2センサ部に入射する光の光量が0.3×Pout以上となるように、前記光反射部が配置される請求項1から請求項11の何れか一項に記載の受発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<全体構成>
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について説明する。本実施形態に係る受発光装置は、発光素子と、発光素子から出力された光が入射するようにそれぞれ配置された第1センサ部及び第2センサ部を有する受発光装置である。この受発光装置は、第1主面(例えば、表面)と、第1主面と対向する第2主面(例えば、裏面)とを有し、第1主面上に発光素子と第1センサ部とが設けられた第1基板を備える。また、この受発光装置は、第1主面(例えば、表面)と、第1主面と対向する第2主面(例えば、裏面)とを有し、第1主面上に第2センサ部が設けられた第2基板を備える。
【0010】
第1センサ部の配置位置は、第1基板の第1主面であって、発光素子から出力された光のうちの第1基板の第2主面で反射した光が入射する位置に設定されている。これにより、発光素子から放射された光が常に同一状態の環境(光路)を通過して第1センサ部に入射する。それゆえ、使用環境の変化や経年変化で発光素子の発光特性が変化した場合でも、又は、温度によって受光素子の感度が変化したとしても、第2センサ部(状態検出用の受光素子)による空間状態の検出を正確に行うことが可能になる。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る受発光装置において、第1センサ部と第2センサ部は、同一の温度特性を有することが好ましい。本実施形態において「同一の温度特性」とは、本発明の効果を妨げない程度に温度特性が概ね揃っている状態を意味する。具体的には、被検出ガスが存在しない条件下において、受発光装置の一般的な使用温度範囲(例えば0℃から50℃の範囲では)センサ温度がTxにおいて、第1センサ部の出力信号がS1、第2センサ部の出力信号がS2とした場合を考える。この場合で、温度が1℃変化した場合、つまりセンサ温度がTx±1℃となった時に、第1センサ部の出力信号がa×S1へ、第2センサ部の出力信号がb×S2へと変化した場合、a/bが1℃あたり0.8以上1.2以下であることが好ましく、0.9以上1.1以下であることがより好ましく、0.99以上1.01以下であることが更に好ましい。
【0012】
1℃あたりの第1センサ部及び第2センサ部の出力の変化係数の比(a/b[/℃])の最大値と最小値の比が0.8以上1.2以下であれば、受発光装置の環境温度によらず、発光素子の発光特性が変化した場合でも第2センサ部による空間状態の検出を正確に行うことが可能になるため好ましい。具体的には、第1センサ部及び第2センサ部の温度を0℃から50℃まで変化させたときの第1センサ部及び第2センサ部の出力変化係数(a及びb)を求め、温度をΔT変化させたときの、a/b/ΔT比を計算することによって、上記の1℃あたりの出力の変化係数の比を確認することができる。
【0013】
本発明では、第1基板に設けられた第1センサ部の温度と第2基板に設けられた第2センサ部との間の温度差
を極力抑える必要がある。環境温度だけではなく、空間に流れる流体、又はガスの温度自身が変化した場合、これらの変化が第1基板及び第2基板の温度差(つまり、第1センサ部及び第2センサ部の温度差)を瞬間的に変動させる要因となりうる。
本発明は、第1基板と第2基板とが接近するように配置され、流体/ガスの温度変化による外乱、又は環境温度の急激な温度変化の影響を抑制することができる。本発明では、第1基板と第2基板との離間距離Lは、第1基板及び第2基板の各辺のうち一番長い辺の長さよりも小さいことが好ましい。具体的に、基板の平面視による形状が長方形で、この長方形の各辺の長さがaとb(a≧b)とし、第1基板と第2基板との間の隙間の長さ(即ち、離間距離)をLとすると、L≦bであれば良く、L≦0.8bは更に良く、L≦0.5bは更に望ましい。
【0014】
また、発光・受光のS/N比の観点からみれば、発光素子の発光面の重心と第2センサ部の受光面の重心との距離が3mm以内であると、発光・受光のS/N比が高くな
り、高精度の空間状態測定が可能となる。また、発光・受光のS/Nが大きくなると発光素子に低電流化が実現でき、受発光装置の低消費電力化が更に実現できる。
第1センサ部及び第2センサ部の1℃あたりの出力の変化係数比の最大値と最小値を上述の範囲にする方法としては、第1センサ部及び第2センサ部を同一の材料で同一の積層構造にする方法が挙げられる。同一の材料及び同一の積層構造とすることにより、第1センサ部及び第2センサ部の温度特性は理論上同一となる。
【0015】
また、第1センサ部と第2センサ部の温度特性を同じにするには、積層構造が同じであることと、同時に製造される(即ち、積層構造を構成する各層について、第1センサ部及び第2センサ部の間で同時に形成する)ことが好ましい。
また、受発光装置全体の高いS/N比を実現するために、第1センサ部と第2センサ部の面積を変えても良い。例えば、第1センサ部に届く光が強い場合、第1センサ部の受光面積をS/Nが低下しない程度に小さくしても、受発光装置全体のS/N比が低下しない。このため、第1センサ部の受光面積を小さくし、その分、発光素子が占める面積を広くすることができ、受発光装置全体のS/N比の向上を図ることができる。
【0016】
また、第1センサ部及び第2センサ部は、多数の受光部で形成されると良い。この場合、受光面積が受光部の数に比例し、受光面積が大きい程、高いS/N比が得られる。また、第1センサ部と第2センサ部の各受光面積を変えても、分光感度特性や温度特性が変わることはないので、本発明の効果は維持される。第1センサ部の受光部の数をnとし、第2センサ部の受光部の数をmとしたとき、受光部の数の比は、n/mが1/500程度でも良いが、場合によって、1/100程度でも良く、1/10程度でも良い。発光素子の発光能力に応じて、受光部の数の比を設計することが好ましい。
【0017】
また、同一基板上に、同一材料、同一工程で第1センサ部と第2センサ部を形成するとよい。これにより、第1センサ部と第2センサ部の分光感度特性が同じになると共に第1センサ部と第2センサ部の温度特性が同一となり、本発明の効果が最も発揮される。ここで分光感度特性とは、各波長における感度を意味する。後述のように、第1基板の第2主面上に、光の波長を選択するような光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を設けることによって、第1センサ部と第2センサ部に入射する波長帯を選択することが可能となる。このような光学フィルタは光路の途中に設ける必要はあるが、第1基板及び/又は第2基板の第2主面に設けると良い。光学フィルタは半値幅の狭い透過特性(数10nm〜数100nm)を実現できるため、特定の波長を選択することが容易にできる。
【0018】
更に、本発明では同じ光学フィルタに同じ光線が2回通ることでフィルタ特性がより急峻になり、より高精度の空間状態検出が測定可能となる。
基板面積の利用効率の観点から、第1センサ部と第2センサ部は同一の構造の多数の受光部を有し、第1センサ部と第2センサ部とで受光部の数が異なっていることが好ましい。受光部の数の相違数は特に制限されないが、一般的に発光素子と同じ基板に設置される受光部は、異なる基板に設置される受光部より、単位面積当たり、多くの光束を吸収することができる。このため、第1基板の受光面積を第2基板の受光面積よりも小さくしても良い。
【0019】
また、第1センサ部と第2センサ部の両方の信号のS/N比のバランスを無駄なく保つために、受光面積(受光部の数)が異なることは好ましい。本実施形態に係る受発光装置をガスセンサに適用した場合、第1センサ部と第2センサ部の出力信号(Ip1、Ip2)に基づいて、濃度を計算するため、ガスセンサ全体の最小分解能は第1センサ部と第2センサ部のS/N比で決まる。
出力信号比(Ip1/Ip2)は、第1基板及び第2基板の各材質、第1基板の第2主面及び第2基板の第2主面の各加工方法、制御層の有無やその光学特性等によって変化する。後述のように、これらの出力信号比が適切な割合になるようにすれば、基板の利用効率を高め、センサ部の面積を最低限にして小型化を図りながら所望の精度を有する受発光装置が設計できる。
【0020】
次に、受発光装置の各構成部について、より具体的に説明する。
[第1基板]
本実施形態に係る受発光装置において、第1基板は、第1主面上に発光素子と第1センサ部を有する。第1基板の材料は特に制限されない。第1基板の材料として、例えばSi、GaAs、サファイヤ、InP、InAs、Ge等が挙げられるがこの限りではなく、使用する波長帯に応じて選択すればよい。第1センサ部と発光素子とを電気的に絶縁させることが容易にできる観点から、第1基板として半絶縁性基板を利用することが好ましい。半絶縁性基板が作成可能であり、大口径化が可能である観点から、GaAs基板は特に好ましい。測定感度向上の観点から、第1基板の材料は、発光素子から出力される光の透過性が高いものであることが好ましい。また、発光素子の出力変動を高精度に補償する観点から、第1基板の材料は、第2主面において発光素子から出力された光が効率的に反射する材料であることが好ましい。更に、後述のようにインジウム(In)又はアンチモン(Sb)を含む積層構造の第1センサ部、第2センサ部及び発光素子を形成しやすい観点から、第1基板はGaAs基板であることが好ましい。
【0021】
第1センサ部、第2センサ部及び受光素子に用いられる材料としては、III−V族系の化合物半導体が好ましく、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)からなる群より選択される少なくとも一つのIII族原子と、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)からなる群より選択される少なくとも一つのV族原子の化合物半導体であることがより好ましく、InSb或いは、AlInSb、GaInSb、AsInSbを少なくとも含む化合物半導体であることがより更に好ましい。被検出ガスがCO
2の場合、CO
2の波長4.3μm付近の吸収を検出するために、第1センサ部、第2センサ部及び受光素子には、AlInSb又はGaInSbを利用すると良い。また、気化したアルコールのような気体を検出する場合、更に長波長(9〜10μm)にする必要があり、この場合第1センサ部、第2センサ部及び受光素子には、AsInSbを利用すると良い。
【0022】
また、第1基板は、光取り出し効率及び光反射・散乱効率の観点から、第1基板の第2主面上に、発光素子から出力される光のうち、基板内で散乱する光量及び反射・散乱角度と、第1基板の第2主面からセル内に放射される光量及び放射角度を制御するための制御層を有することが好ましい。一般的に使われる基板材料の屈折率は高いため、基板から外部への光取り出しは難しく、発光素子から出力された光の多くが基板内で散乱することとなる。本実施形態に係る受発光装置においては、第1基板の第2主面上に制御層を設けることによって、センサ全体のS/N比を高くする(高分解能が得られる)ように設計することが可能になる。制御層の具体例としては、反射防止膜や、屈折率の異なる多数の材料の積層膜、粗面化した層、又は、それらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
[発光素子]
本実施形態に係る受発光装置において、発光素子は第1基板の第1主面上に形成される。発光素子は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光を出力するものであれば特に制限されない。発光素子の具体的な形態は第1基板の第1主面上に形成できるものであれば特に制限されない。発光素子の具体的な例としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やLED(Light Emitting Diode)が挙げられ、その中でも、被検出ガス以外の成分の光吸収によるノイズを低減する観点から、被検出ガスの吸収が大きい波長帯の光のみを出力するものであることが好ましい。具体的には、発光波長帯をアクティブ層のバンドギャップでコントロールということから、LED構造は望ましい場合がある。
【0024】
発光素子はMBE(Molecular Beam Epitaxy)又はCVD(Chemical Vapor Deposition)のような成膜方法を用いて成膜した、PN接合又はPIN接合の積層構造部を持つことが好ましい。この積層構造部に電力を供給することによって、LEDとして動作し、積層構造部の材料のバンドギャップに応じた波長の光を放出することができる。この積層構造部(即ち、活性層)がIn又はSbを含むことにより赤外線領域の光(即ち、赤外線)を発光させることが可能になる。具体的には、活性層にInSbやInAlSbやInAsSbを用いることにより、1〜12μmの波長を出力することができる。
活性層がIn及び/又はSbを含むようなナローバンドギャップ材料は、一般的に温度特性(発光素子自体の温度による発光特性の変化)が大きい。しかしながら、本実施形態の受発光装置によれば、大きな発光特性の変化であってもその変化を常に正確にモニタリングすることが可能であり、そのモニタリング結果に基づいて発光素子の動作を制御することで常に一定の発光特性を実現することが可能である。
【0025】
[第1センサ部]
本実施形態に係る受発光装置において、第1センサ部は、第1基板の第1主面上に形成される。第1センサ部の配置位置は、発光素子から出力された光のうち、第1基板の第1主面と対向する第2主面において反射した光が入射する位置であれば特に制限されない。信号処理の応答速度の観点から、第1センサ部の積層構造としては、PN接合又はPIN接合のダイオード構造であり、インジウム又はアンチモンの何れかの材料を含んでも良い。更に、Ga、Al、Asからなる群より選択される少なくとも1つの材料をさらに含む混晶系の材料を含んでも良い。また、温度特性を揃える観点から、第1センサ部の受光素子の材料及び積層構造は、発光素子の材料及び積層構造と同様のものであることが好ましい。
【0026】
センサ部を回路(増幅器)に接続した場合のS/N比の観点から、多数の受光素子を直列に設けることが好ましい。これにより、受光部全体の内部抵抗を大きくすることができるため、増幅器に接続した場合、高いS/N比が実現できる。そのため、本実施形態の第1センサ部は、受光素子を複数直列接続した形態であることが好ましい。
また、発光素子と第1センサ部とが同じ第1基板に配置されているため、第1センサ部に入射する光量は、第2センサ部に入射する光量よりも大きくなる傾向がある。このため、第1センサ部の受光部の総面積は、第2センサ部の受光部の総面積よりも小さくすることができる。これにより、受発光装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0027】
[第2基板]
本実施形態に係る受発光装置において、第2基板は第1主面上に第2センサ部を有していれば特に制限されない。第2主面側から入射した光は、第2基板内部を通過して、第2センサ部に入射される。第2基板の材料は特に制限されない。第2基板の材料として、例えばSi基板、GaAs基板、サファイヤ等が挙げられるがこの限りではない。測定感度向上の観点から、第2基板の材料は、第2主面側から入射した光に対する透過性が高いものであることが好ましい。
【0028】
小型化の観点から、第2基板は、第1基板と互いに側面を対向させて隣り合って配置され、第1基板と第2基板との間に光遮断部が配置されることが好ましい。この形態の受発光装置は、後述の光反射部を備えることが好ましい。また、上記の光遮断部は、第1基板及び第2基板の接合部に配置されることが好ましい。このように配置された光遮断部を有することにより、発光素子から出力された光が外部空間を経由せずに第2センサ部に入射することを防ぐことができ、第2センサ部における検出感度を向上することができるため好ましい。本実施形態では、封止部の一部が第1基板と第2基板との間に介在していてもよい。封止部のうち第1基板と第2基板との間に介在する部分が、光遮断部として機能する。
【0029】
[第2センサ部]
本実施形態に係る受発光装置において、第2センサ部は、第2基板上に配置されるものであれば特に制限されない。前述のとおり、第2センサ部と第1センサ部の温度特性を同等のものにする観点から、第2センサ部と第1センサ部は、その製造工程において同一基板上に形成されたものであることが好ましく、同じ積層構造を有することがより好ましい。
信号処理の応答速度の観点から、第2センサ部の積層構造としては、PN接合又はPIN接合のダイオード構造であり、インジウム又はアンチモンの何れかの材料を含むことが好ましい。
測定感度向上の観点から、第1基板の第2主面から放射された光が第2センサ部に入射するまでの光路中に、特定の波長帯(予め設定した波長帯)のみを透過する光学フィルタを有することが好ましい。本実施形態に係る受発光装置において、発光素子から出力される光が広範な波長帯の光である場合、特に上記光学フィルタを有することが好ましい。
【0030】
また、本実施形態に係る受発光装置において、第1センサ部を有する第1基板と第2センサ部を有する第2基板は元々同じ(即ち、ダイシング前は同一の)ウエハーであり、第1センサ部と第2センサ部が同様の積層構造であることが好ましい。これにより、第1センサ部と第2センサ部との間の感度特性及び感度の温度特性のバラつきが抑制され、本発明の効果がより発揮することができる。具体的に、第1センサ部の感度をRi2(λ)[A/W]とし、第2センサ部の感度をRi2(λ)[A/W]としたとき、|Ri2(λ)−Ri1(λ)|/(Ri1(λ))が20%以内であればよく、10%以下にすると更に良く、5%以下にすると更に好ましいが、2%以内、更に1%以下であった方が本発明の効果を更に発揮でき、超高精度の温度・経時変化補償が可能となる。
【0031】
これまで、第1基板に発光素子(第1発光素子)と第1センサ部が設けられ、第2基板には第2センサ部のみが設けられている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、上記の構成に加えて、第2基板に発光素子(第2発光素子)が設けられていてもよい。この場合、時間T1では第1発光素子から出射する光の一部は第1基板の第2主面で反射されて第1センサ部に入射し、第1基板の第2主面から出射した光は光反射部(例えば、凹面鏡)の鏡面で反射されて、第2基板にある第2センサ部に入射する。時間T2では、時間T1と同様に、第2発光素子から出射された光の一部は第2基板の第2主面で反射されて第2センサ部に入射し、第2基板の第2主面から出射した光は光反射部の鏡面で反射されて、第1基板にある第1センサ部に入射する。
このような設定では、光の受発光の際に、光が双方向に同じS/N比を持つことが望ましい。温度補正をするために、第1センサ部と第2センサ部の感度と温度特性を等しくすることが望ましく、空間状態の透過率に応じた信号と基板を介した信号の比を取る必要がある。これにより、発光素子の温度特性と経時変化が補償できる。時間T1で得られる信号比はR1=S2/S1となり、時間T2で得られる信号比はR2=S1/S2となり、信号比の平均値R=(R1+R2)/2を空間状態の透過率を情報を検出することに利用すると、S/N比が実現できるので、この構成は好ましい場合はある。
【0032】
[光反射部]
光反射部として、凹面鏡を用いることができる。凹面鏡の役割は発光素子から出力された光のうち、基板から出射した光を反射して第2センサ部に検出させることである。凹面鏡を用いることによって、受発光装置のS/N比が飛躍的に向上できる。凹面鏡の構造として、封止部上に固定されるような構造であれば良い。凹面鏡に使用される材料は金属でも樹脂でもセラミックでも、或いは、その組み合わせでも良く、内壁が発光素子からの光を効率よく反射できる構造であれば、材料の制限、又は組み合わせの制限はない。樹脂を利用した場合、受発光素子の半田リフローの際に、高温(例えば150℃)以上の耐熱性を持つ樹脂が望ましい。一般的な半導体素子の樹脂モールド部に使われる樹脂の例として、エポキシー樹脂やポリフタルアミド等が挙げられる。また、図示していないが、被検出物質(液体やガスなど)が光路に入るように、凹面鏡、樹脂モールド部、又は、凹面鏡と樹脂モールド部の間に、開口部を設けても良い。後述ように、凹面鏡は発光素子の数だけ増やしても良い。
なお、光素子から出射した光の光量をPoutとした場合、第2センサ部に入射する光の光量が0.3×Pout以上となるように、凹面鏡が配置されることが好ましい。
【0033】
[信号処理部]
信号処理部は発光素子に電流を供給し、各センサ部の出力信号を受け、空間状態(例えば透過率や濃度、など)に応じた信号を出力する。
[光学フィルタ]
光学フィルタは光の一部の波長のみ透過する役割を持つ。光学フィルタの具体的な構成は透明基板(例えば、長波長の赤外線の場合、Si)上に屈折率の異なる膜を交互に積層したものが一般である。例えば、CO
2ガスのような物質の場合、波長4.3μm付近の波長のみを透過するバンドパスフィルタを利用すると良い。このフィルタを固定するにはフィルタ保持部を更に設けても良い。
また、後述のように、光が2回同じフィルタを透過するため、光学フィルタに積層される膜の枚数を減らしても鋭いバンドパス特性が得られる。従って、簡易的な光学フィルタでも、高精度フィルタ級のバンドパスフィルタ半値幅が実現できるので、好ましい場合はある。
【0034】
[(被検出物質)供給口]
被検出物質の供給口は、例えば、光反射部と封止部とで囲まれるセル内の光路に被検出物質が出入ができるようにするための開口である。セルに設けられる供給口の開口の径及び設置場所には制限ないが、断面積が小さく、長い程、被検出物質の供給速度が低下し、状態検出機能の応答速度が低下する。一方、開口部が凹面鏡に設けられた場合、断面積が大きい程、光の反射面が狭まれるので、受発光の効率(発光量/受光量)が低下するので、受発光装置の設計の際、応答速度と共に、S/N比を十分に考慮する必要はある。
【0035】
<実施形態の効果>
本実施形態は、以下の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)発光素子から第1センサ部に至る光路は第1基板内にあり、この光路中に光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)や外部空間は存在しない。これにより、光路中にバンドパスフィルタや外部空間が存在する場合と比べて、受発光装置の使用環境によらず、光路での光の減衰を抑えることができ、第1センサ部が検出する信号のS/N比の低下を抑えることができる。
(2)上述したように、第1センサ部が検出する信号のS/N比の低下を抑えることができる。また、発光素子の発光強度の変化を定期的に校正しなくても、発光強度の変化による測定誤差を補償することができる。これにより、受発光装置の測定ばらつきを低減することができるため、高精度で、信頼性の高い受発光装置を提供することができる。
(3)第1センサ部と第2センサ部の外乱による温度差の抑制ができる。即ち、本実施形態は、経時変化や使用環境(例えば、環境温度)の変化により生じる、発光・受光の信号変動を補償し、発光素子の発光特性が変化した場合でも、又は、温度によって第1センサ部や第2センサ部の各感度が変化したとしても、第2センサ部による空間状態の検出をより高精度に行うことを可能とした受発光装置を提供することができる。更に、外乱による、第1、第2センサ部間の温度差を極限まで低減しながら、発光素子から第2センサ部に至る長い光路を実現できるため、被検出物質の濃度の変化を高い感度で検出できる。
このように、本実施形態によれば、長い光路を実現ししながら、補償用の第1センサ部と空間状態検出用の第2センサ部の温度差を極限まで低減することを可能とし、発光・受光の信号変動を精密に補償し、空間状態の検出をより高精度に行うことができる。
【0036】
<実施形態の適用>
以上記載したように、本実施形態に係る受発光装置は、種々の機器に適用することが可能であり、発光素子と第2センサ部の光路空間の状態(特定のガスの有無や濃度、流体の特定成分の有無や濃度等)を検出することが可能になる。例えば建物や測定機器中の特定のガスの濃度を検出するためのガスセンサや、携帯電話やスマートフォンなどの携帯通信機器に搭載されるガスセンサや、自動車や電車、航空機等の移動手段中のガス濃度を検出するためのガスセンサ、発光素子から第2センサ部間の光路空間を流れる物質(例えば水や体液)の成分検出装置、血液中のグルコース濃度測定などに用いることができる。
例えば、CO
2濃度は生物の睡眠との相関性があると考えられている。本実施形態に係る受発光装置の測定対象ガスをCO
2とした場合、周囲の温度が大きく変化しやすい環境下であっても、高精度にCO
2濃度を検出することが可能になる。これにより、本実施形態に係る受発光装置は、例えば、車の運転における居眠り防止装置(例えば、所定のCO
2濃度に達したら警報を発する/自動的に換気を行う等)として好適である。
【0037】
また、血液中のグルコース検出は波長9.6μmという波長での吸収を測定することより血糖中のグ
ルコース濃度を測定することができる。本実施形態に係る受発光装置を利用することによって、9.6μmの波長帯でも小型で高精度・高信頼性の測定計を実現することができる。このようなグルコース濃度測定計を実現することによって、糖尿病の患者が自分自身で侵襲式の方法で生じるような皮膚にダメージを与えずに精度良く血糖値を調べることができ、より正確に投薬(例えばインスリン)の管理が実現できる。
また、本実施形態に係る受発光装置は従来の受発光装置と比較してS/N比が高いため、従来よりも小型・薄型化しても同等以上の性能を示すため、従来適用することが困難であった小型の機器(例えば携帯通信機器)等への適用が可能になる。
【0038】
<実施形態の具体例>
次に、図面を参照して本発明の実施形態の具体例(第1〜第5実施形態)について説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)はこの平面図をX1−X´1線で切断した断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、この受発光装置では、第1基板41と第2基板42とが互いに離間した状態で、その側面(即ち、外周側面の一部)を対向させて隣り合って配置されている。
また、第1基板41の第1主面411とその側面、第2基板42の第1主面421とその側面は、樹脂モールド部50によって覆われて封止されている。第1基板41と第2基板42との間の隙間には樹脂モールド部50の一部が介在している。これにより、第1基板41の側面と第2基板42の側面との間が遮光されている。また、第1基板41の第2主面412と第2基板42の第2主面422はそれぞれ、樹脂モールド部50から露出している。なお、この例では、第1基板41の第2主面412と第2基板42の第2主面422は、樹脂モールド部50の表面(例えば、上面)と面一となっている。
【0039】
また、
図1(a)に示すように、この受発光装置は、樹脂モールド部50に封止された信号処理部45と、この信号処理部45に接続された端子と、をさらに備える。信号処理部45は、第1基板41の第1主面411上に形成された発光素子に電流を供給すると共に、第1基板41の第1主面411上に形成された第1センサ部及び第2基板42の第1主面421上に形成された第2センサ部からの各出力信号を処理する機能を有する。
図7に、信号処理部45に接続された端子47の一例を示す。
図7に示すように、第1基板41にある素子と第2基板42にある素子と信号処理部45との間は、ワイヤボンディング(例えば、
図7に示すようなワイヤー49)によって接続されてもよい。また、信号処理部45と端子47との間もワイヤーボンディングによって接続されてもよい。この信号処理部45のうち少なくとも能動面(回路が形成された側の面)は樹脂モールド部50に覆われて封止されている。また、この信号処理部45に接続された端子47の少なくとも一部は樹脂モールド部50から露出している。これにより、この端子47は、受発光装置の内部/外部間電気接続用の端子として用いるようになっている。
【0040】
また、
図1(a)及び(b)に示すように、この受発光装置は、第1基板41及び第2基板42からそれぞれ離れた位置であって、第1基板41の第2主面412側及び第2基板42の第2主面422側に配置された凹面鏡60を備える。凹面鏡60の凹面(即ち、凹状の曲面)601は光を反射する鏡面であり、第1基板41の第2主面及び第2基板42の第2主面の側に向けら
れている。これにより、凹面鏡60は、第1基板41の第2主面412から出射した光を第2センサ部32に向けて反射することが可能となっている。また、この受発光装置は、凹面鏡60と樹脂モールド部50とでセル10を構成している。このセル10には、被検出物質(例えば、測定対象ガス)を導入するための供給口(図示せず)が設けられている。この供給口を通して、セル10内の空間に測定対象ガスが導入される。
【0041】
図2は、第1基板41及び第2基板42の構成例を示す断面図である。
図2では、第1基板41と第2基板42の寸法は異なるが、互いに同じ寸法でも良い。また、後述のように、第2基板42上にも、発光素子(第2の発光素子)を設けても良い。
図2に示すように、発光素子20は、例えば、第1基板41の第1主面411上に形成された第1導電型の半導体層201と、半導体層201上に形成された第2導電型の半導体層202及び電極203と、半導体層202上に形成された電極204とを有する。
第1センサ部31は、例えば、第1基板41の第1主面411上に形成された第1導電型の半導体層311と、半導体層311上に形成された第2導電型の半導体層312及び電極313と、半導体層312上に形成された電極314とを有する。第2センサ部32は、例えば、第2基板42の第1主面421上に形成された第1導電型の半導体層321と、半導体層321上に形成された第2導電型の半導体層322及び電極323と、半導体層322上に形成された電極324とを有する。第1導電型の半導体層201、311、321は、例えばN型半導体層である。第2導電型の半導体層202、312、322は、例えばP型半導体層である。
【0042】
なお、
図2においては、第1センサ部31、第2センサ部32は一つの素子として示したが、S/N比の観点から複数の素子を電気的に接続して各々一つのセンサ部としてもよい。また、発光効率の観点から、発光素子20も電気的に接続された多数の素子であっても良い。また、第1導電型の半導体層201、311、321と、第2導電型の半導体層202、312、322との間にそれぞれ真正半導体層(いわゆるi型半導体層)を挿入し、PIN接合を形成してもよい。
また、
図2では第1基板41と第2基板42との間に隙間が設けら
れており、この隙間に遮光性の樹脂モールド部50(
図1参照)が介在している。これにより、発光素子から出た光は、基板経由で第2センサ部へ到達しない。温度補正を併用した受発光装置の場合、より高精度に温度補正を行うことができる。
【0043】
第1実施形態に係る受発光装置によれば、第2基板42と第1基板41とを平行配置させていることにより、受発光装置の更なる小型化が可能である。更に、第1基板41と第2基板42を接近した位置に配置することによって、発光素子20から出射した光がより効率よく集光し、検出することができる。更に、第1基板41と第2基板42を接近させることにより、基板温度差、すなわち、第1センサ部31と第2センサ部32の温度差を低減することができる。つまり、受発光装置周囲に発生した気体又は液体の不均一な滞留が生じても、第1センサ部31と第2センサ部32の温度差が低減でき、高精度の測定が実現できる。
具体的には、発光素子20の発光面の重心と第1センサ部31の受光面の重心との距離が10mm以下、更に良いのは5mm以下、最も良いのは3mm以下である。また、受発光装置が光反射部として凹面鏡60を備えることにより、発光素子20から出力された光のうち、第1基板41の第2主面412から出射した赤外線(一点破線)を、凹面鏡60で反射し選択的に第2センサ部32に入射させることが可能になるため、より高感度な受発光装置を実現することが可能になる。
【0044】
[第2実施形態]
図3は本発明の第2実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。
第2実施形態に係る受発光装置は光学フィルタ70を備える。光学フィルタ70は、その外周部がフィルタ保持部材71で保持され、第1基板41の第2主面412と第2基板42の第2主面422に対向して配置される。
図3で示すように、凹面鏡60の凹面(即ち、鏡面)601は半球形状となっているが、光の集光を効率よくできれば、どんな曲面でも良い。光学フィルタ70を設けることによって、特性の波長のみ選択することができる。
また、第2実施形態に係る受発光装置では、同じ光学フィルタ70に光が2回透過する(即ち、第1基板41の第2主面412から出射して凹面鏡60に向かう光が光学フィルタ70を透過し、凹面鏡60で反射して第2基板42の第2主面422に向かう光が光学フィルタ70を透過する)ので、発光スペクトルの内非常に狭い半値幅の発光・受光特性が実現できる。このようにして、波長分解能を極めることができ、例えば、ガスセンサの用途においては、混合ガスの正確な濃度測定は可能となる。
第2の実施形態では、第1、第2基板とは別に光学フィルタ70の基板を設けたが、第1基板41の第2主面と、第2基板42の第2主面の少なくとも一方に直接2種類以上の屈折率の膜を設けても良い。この場合、組み立ての観点では、部品数は減り、組み立て工程は簡易となるので、好ましい場合はある。
【0045】
[第3の実施形態]
図4は本発明の第3実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。
上述の第2実施形態では、光学フィルタ70が第1基板41の第2主面と第2基板42の第2主面に対向して配置される場合について説明した。第2実施形態の
図3では、凹面鏡60の凹面(即ち、鏡面)601が半球形状となっている場合を示したが、凹面鏡60の凹面は曲面のみに限定されない。
図4で示すように、鏡面601は、中央部が曲面で、外周部が平面でも良い。この場合、凹面鏡60の一部(例えば、中央部)のみに光が反射するように、光学フィルタ70のフィルタサイズを設計しても良い。この場合、第1基板41に設けられた発光素子からの光の一部は光学フィルタ70の側面Sに反射され、凹面鏡60へ進行し、凹面鏡60の中央部で反射され、再度隣接する第2基板42に入射・検出される。
【0046】
つまり、発光・受光の視野角は、
図4に示すように光学フィルタ70の寸法によって制限される。これにより、凹面鏡60での多重反射は発生せず、第1基板41に設けられた発光素子から出射された光は光学フィルタ70を透過し、凹面鏡60で1回のみ反射され、再度光学フィルタ70を透過し、第2基板42に設けられた第2センサ部に入射する。発光素子から放出された光を凹面鏡60で1回のみ反射させることによって、凹面鏡60の反射率の経年変化は極限に抑えることができる。更にこのような設計をすると、非常に小型の受発光装置が実現できる。例えば、30mm×30mm×16mm以下、又は、15mm×15mm×10mm以下の受発光装置が実現できる。
【0047】
[第4実施形態]
図5は本発明の第4実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。基板上にある発光素子及びセンサ部に接続された信号処理部(受発光制御部)65が樹脂モールド部50に一体化されている。
図5に示すように、第4実施形態に係る受発光装置では、第1基板41と第2基板41’内に、それぞれ、発光素子20、20’とセンサ部31、31’が設けられている。但し、第4実施形態はこれに限定されるものではなく、第1、第2実施形態と同様に第1基板には発光素子及び第1センサ部が設けられ、第2基板には第2センサ部のみが設けられている構成でも良い。信号処理部45の構成は、第1基板と第2基板の構造次第で、異なっても良い。
【0048】
図5に示すように、この受発光装置では、第1基板41と第2基板41’とが互いに側面(即ち、外周側面の一部)を対向させ、かつ隙間を設けて隣り合って配置されている。この隙間の大きさは樹脂モールド部50が入り込むような寸法であれば良い。例えば、第1基板と第2基板との間の隙間の長さ(即ち、第1基板と第2基板との離間距離)をLとしたとき、L=50μmであればよい。但し、基板経由の光伝達を抑制する場合、使用樹脂の透過特性次第で、隙間の長さLを広げる必要がある。隙間の長さLを広げる程熱伝導が低下し、第1基板と第2基板の温度差が生じやすいので、受発光装置の設計の際、この距離を最適化する必要がある。一般的なエポキシー樹脂を利用する場合、Lは100μm、又は200μm以上であっても良い。
【0049】
図5に示すように、第4実施形態に係る受発光装置は、第1基板41の第2主面412側及び第2基板41’の第2主面412’側に、光反射部として凹面鏡60を備える。即ち、この受発光装置は、第1基板41及び第2基板41’からそれぞれ離れた位置に配置され、第1基板41の第2主面412から出射した光を第2センサ部31’に向けて反射し、第2基板41’の第2主面412’から出射した光を第1センサ部31に向けて反射する凹面鏡60を備える。
信号処理部45を樹脂モールド部50と一体化することによって、信号処理部45と発光素子、及び信号処理部45と受光素子の間の接続配線を短くできる。その効果として、下記の2点がある。
【0050】
(1)発光素子の駆動による、磁場発生の低減
多くの場合、LEDの発光効率を高めるために、発熱を抑える必要がある。特に波長は長い程、例えばナローギャップ半導体で構成されるLEDのような発光素子は、その発光層のバンドギャップは小さいため、室温で強い発光量は得られ難い。例えば、後述のようにInSbやInAlSbのようなナローギャップ半導体の場合、直流で駆動すると、再結合による発光よりも、発熱による光は大きく現れる。そのため、瞬間的に(例えば数μs〜数ms)パルスを印加し、その瞬間だけ、光を受光する必要がある。従って、高周波(数100Hz〜数MHz)の電磁ノイズが、駆動回路と発光素子を繋ぐ配線から発生する可能性ある。
【0051】
(2)受光素子と信号処理回路(アンプなど)間の配線によるノイズ除去。
特にナローギャップ半導体で構成される受光素子の場合、出力信号は微弱であるため、外乱又はLEDに流れる電流自身の磁場によるノイズは、受光素子のS/N比を低下させてしまう可能性がある。この場合、初段アンプとセンサ部との間の配線は短くすることで、効果が発揮する。従って、特に長波長の受発光装置では、信号処理部65を同一の樹脂モールド部50内に設けることによって、その効果が最も発揮できる。長波長の受発光装置の応用例としては、環境ガスセンサである、NO、CO、CO
2などが挙げられる。従って、これらのようなガスの検出装置に本発明を実施すると飛躍的な効果が得られる。
【0052】
第4実施形態に係る受発光装置によれば、第1基板41と第2基板41’とが平行配置されることにより、受発光装置の更なる小型化が可能である。また、受発光装置が凹面鏡60を備えることにより、第1の発光素子20から出力された光のうち、第1基板41の第2主面412から出射した光(一点破線)を凹面鏡60で反射し第2センサ部31’に選択的に入射させることが可能になる。また、第2の発光素子20’から出力された光のうち、第2基板41’の第2主面412’から出射した光(図示無し)を凹面鏡60で反射し第1センサ部31に選択的に入射させることが可能になる。このため、空間状態に異なった物質の混合が混入しても、特性の物質を高S/N比で測定することが可能となる。
なお、第4実施形態でも、
図5で示すように、第1基板41と第2基板41’との間に、封止に使われる樹脂モールド部50の一部がある。また、
図5では、被検出物質(例えば、測定対象ガス)を導入するための供給口51が凹面鏡60に設けられている場合を示している。
【0053】
[第5実施形態]
図6は本発明の第5実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。この第5実施形態では、第1〜第4実施形態と違って、凹面鏡は2部に分かれるように設計されている。これにより、更に光集効率向上が図れる。この構造は発光素子が多数ある場合に、その効果が発揮できる。
具体的な形状としては、
図6に示すように、第1基板41にある発光素子20から出射される光の一部は第1凹面鏡61によって、集光され、第2基板41’にある第2センサ部31’に入射する。また、第2基板41’にある発光素子20’から出射される光の一部は第2凹面鏡62によって集光され、第1基板41にある第1センサ部31に入射する。
この構造は第1基板41から第2基板41’への光路と第2基板41’から第1基板41への光路が等しくなるように設計しても良い。これにより、2対の発光・受光素子によるS/N向上、且つ、第1基板41と第2基板41’の温度差低減(従って、第1センサ部31と第2センサ部31’の温度差低減)が実現できると同時に、非常に小型・高精度の受発光装置が実現できる。
【0054】
<その他>
本発明は、以上に記載した実施形態に限定されるものではない。当業者の知識に基づいて実施形態に設計の変更等を加えてもよく、また、第1〜第5実施形態を任意に組み合わせてもよく、そのような変更が加えられた態様も本発明の範囲に含まれる。
また、本発明の受発光装置は、赤外線式の受発光装置に限定されるものではなく、例えば紫外線式の受発光装置であってもよい。この場合は、発光部が紫外線を放射し、この放射された紫外線の一部を第1センサ部が受光し、紫外線の他の一部を第2センサ部が受光する。