特許第6294689号(P6294689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294689
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20180305BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180305BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20180305BHJP
   C08G 59/17 20060101ALI20180305BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20180305BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   G03F7/027 515
   G03F7/004 505
   G03F7/027 502
   G03F7/031
   C08G59/17
   C08F2/50
   C08F290/06
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-21054(P2014-21054)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-148698(P2015-148698A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 豊史
(72)【発明者】
【氏名】六谷 翔
(72)【発明者】
【氏名】三原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 真廣
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/146855(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/147626(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/187209(WO,A1)
【文献】 特開2010−015025(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/084279(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0220372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/06;7/075−7/115;
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物に不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加化合物と、多塩基酸無水物とのエステル化反応により得られる反応生成物である構造を有する光重合性不飽和化合物(A)、下記一般式(2)で表される光重合性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)及び着色剤(D)を含有する光硬化性組成物。
【化1】
(式中、X1は炭素原子数1〜4のアルキリデン基、炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基、又は下記式(イ)、若しくは(ハ)で表される置換基を表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、mは0〜10の整数を表す。)
【化2】
(式中、Y1は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Y1は、隣接するY1同士で環を形成していてもよく、nは0〜4の整数を表す。)
【化3】
(式中、Y2及びZ2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Z2は、隣接するZ2同士で環を形成していてもよく、pは0〜4の整数を表し、qは0〜8の整数を表し、rは0〜4の整数を表し、sは0〜4の整数を表し、rとsの数の合計は2〜4の整数である。)
【化4】
(式中、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、下記一般式(3)又は(4)で表される置換基であり、5、R6及びR7それぞれの一般式(3)又は(4)におけるsを合計すると、1、2、3又は6である。)
【化5】
(式中、R8は、水素原子又はメチル基であり、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基であり、p及びqは、それぞれ独立に、1〜14の数であり、sは0〜5の数である。)
【化6】
(式中、R8、R9、R10、R11、R12、p、q及びsは、上記一般式(3)と同じである。)
【請求項2】
一般式(2)中、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、下記一般式(3’)で表される置換基であり、R5、R6及びR7それぞれの一般式(3’)におけるsを合計すると、1、2、3又は6である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【化7】
(式中、sは0〜5の数である。)
【請求項3】
上記光重合開始剤()が、下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
【化8】
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、R17、OR18、SR19、NR2021、COR22、SOR23、SO224又はCONR2526を表し、R15及びR16は、互いに結合して環を形成していてもよく、
17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
2は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR2728、CO、NR29又はPR30を表し、
3は、単結合又はCOを表し、
27、R28、R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、上記アルキル基又はアリールアルキル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基又は複素環基で置換されてもよく、上記アルキル基又はアリールアルキル基中のメチレン基は−O−で中断されていてもよく、
27、R28、R29及びR30は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよく、
aは、0〜4の整数を表し、
bは、0〜5の整数を表す。)
【請求項4】
上記着色剤(D)が黒色顔料であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
請求項記載の光硬化性組成物を用いたブラックマトリックス。
【請求項6】
請求項記載のブラックマトリックスを有するカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する光重合性不飽和化合物を含有する光硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性組成物は、通常、着色剤、光重合性不飽和化合物及び光重合開始剤を含有するものである。この光硬化性組成物は、紫外線又は電子線を照射することによって重合硬化させることができるので、着色剤として、特に黒色顔料を用いた場合、表示コントラストや発色効果を高めるためにカラーフィルタのR、G、Bの着色層間の境界部分に設けられたブラックマトリックスとして有用である。
最近、ブラックマトリックスの製造工程において、露光、現像、ポストキュアを経て得られた黒色パターンの透明基板との密着性が十分ではなく、黒色パターンを形成していく剥離工程を繰り返すことで、先に形成した着色パターンの一部が同時に剥離され、パターンが欠落したり、露光硬化部が透明基板上に残留したりするという問題がある。
【0003】
下記特許文献1には、ε‐カプロラクトンで変性されたイソシアヌレート骨格を有するモノマーを含有する光硬化性インク組成物が開示され、下記特許文献2には、バインダー樹脂がトリアジン構造を持つモノマーを含有するカラーフィルタ用着色組成物が開示され、下記特許文献3には、イソシアヌレート骨格含有モノマーを含有するカラーフィルタ用着色組成物が開示され、下記特許文献4には、分子中に重合性反応基とアルキレンオキシド鎖を有するイソシアヌル酸誘導体を含む硬化性組成物が開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載の光硬化性組成物では、感度及び密着性において不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−143974号公報
【特許文献2】特表2012−103587号公報
【特許文献3】特開2013−164586号公報
【特許文献4】WO2009/090803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、感度及び密着性に優れ、カラーフィルターとして好適な光硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤及び着色剤を含有する光硬化性組成物において、光重合性不飽和化合物として、特定の構造を有する2種類の化合物を用いることにより、上記目的を達成できることを知見した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物に不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加化合物と、多塩基酸無水物とのエステル化反応により得られる反応生成物である構造を有する光重合性不飽和化合物(A)、下記一般式(2)で表される光重合性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)及び着色剤(D)を含有する光硬化性組成物を提供するものである。
【0007】
【化1】
(式中、X1は炭素原子数1〜4のアルキリデン基、炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基、又は下記式(イ)、(ロ)若しくは(ハ)で表される置換基を表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、mは0〜10の整数を表す。)
【0008】
【化2】
(式中、Y1は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Y1は、隣接するY1同士で環を形成していてもよく、nは0〜4の整数を表す。)
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
(式中、Y2及びZ2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Z2は、隣接するZ2同士で環を形成していてもよく、pは0〜4の整数を表し、qは0〜8の整数を表し、rは0〜4の整数を表し、sは0〜4の整数を表し、rとsの数の合計は2〜4の整数である。)
【0011】
【化5】
(式中、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環基又は下記一般式(3)若しくは(4)で表される置換基であり、R5、R6及びR7のうち少なくとも1つは下記一般式(3)又は(4)で表される置換基である。)
【0012】
【化6】
(式中、R8は、水素原子又はメチル基であり、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基であり、p及びqは、それぞれ独立に、1〜14の数であり、sは0〜5の数である。)
【0013】
【化7】
(式中、R8、R9、R10、R11、R12、p、q及びsは、上記一般式(3)と同じである。)
【0014】
また、本発明は、上記光硬化性組成物を用いたカラーフィルタを提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光硬化性組成物は、特定の構造を有する2種類の光重合性不飽和化合物を含有することにより、感度、密着性に優れるものである。また、その硬化物は、表示デバイス用カラーフィルタ及び液晶表示パネル並びに有機EL表示パネルに好適なものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の光硬化性組成物について、好ましい実施形態に基づき説明する。
【0017】
本発明の光硬化性組成物は上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物に不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加化合物と、多塩基酸無水物とのエステル化反応により得られる反応生成物である構造を有する光重合性不飽和化合物(A)、上記一般式(5)で表される光重合性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)及び着色剤(D)を含有する。以下、各成分について順に説明する。
【0018】
<光重合性不飽和化合物(A)及び(B)>
本発明の光硬化性組成物に用いられる光重合性不飽和化合物は、光重合開始剤が光照射により活性化された状態で重合し得る特性を有する。
光重合性不飽和化合物(A)は、上記一般式(1)で表わされるエポキシ化合物に不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加化合物と、多塩基酸無水物とのエステル化反応により得られる反応生成物である構造を有する。
【0019】
上記一般式(1)中、X1で表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、メチリデン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、イソブチリデン、トリフルオロメチリデン、ジトリフルオロイソプロピリデン等が挙げられ、
1で表される炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3−メチルシクロペンチリデン、シクロペンテニリデン、シクロヘキセニリデン、3−メチルシクロヘキシリデン、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン、3,5−ジメチルシクロヘキシリデン等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、iso−プロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数2〜5のアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等が挙げられ、
1、R2、R3及びR4で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0020】
上記一般式(1)中のX1である(イ)において、Y1で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、上記R1、R2、R3及びR4の説明で例示したものの他、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられ、
1で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル、2,5−ジ−t−アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−トリクロロフェニル、4−トリフルオロフェニル、パーフルオロフェニル等が挙げられ、
1で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、4−クロロフェニルメチル等が挙げられ、
1で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
1で表されるハロゲン原子としては、上記R1、R2、R3及びR4の説明で例示したものが挙げられる。
隣接するY1同士で形成してもよい環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環及びナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、アセナフテン環、インダン環、テトラリン環等の縮合環が挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)中のX1である(ハ)において、Y2及びZ2で表される炭素原子数1〜20の炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基及び炭素原子数2〜20の複素環基としては、上記一般式(1)中のX1である(イ)の説明において例示したものが挙げられる。
隣接するZ2同士で形成してもよい環としては、上記一般式(1)中のX1である(イ)における隣接するY1同士で形成してもよい環と同様の環が挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)で表されるエポキシ化合物の中でも、X1が上記式(イ)、(ロ)又は(ハ)で表される置換基であるものが好ましい。
【0023】
上記エポキシ化合物のエポキシ基に作用させる上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、等が挙げられる。ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
また、上記不飽和一塩基酸を付加させた後にエステル化反応させる上記多塩基酸無水物としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2'−3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられ、中でも、無水コハク酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物等の二酸無水物、又は前記二酸無水物と、無水コハク酸等の一酸無水物の組み合わせが好ましい。
【0024】
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応モル比は、以下の通りとすることが好ましい。
即ち、上記エポキシ化合物のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸のカルボキシル基が0.1〜1.0個、好ましくは0.3〜1.0個で付加させた構造を有するエポキシ付加物において、該エポキシ付加物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物の酸無水物構造が0.1〜1.0個、好ましくは0.3〜1.0個となる比率となるようにするのが好ましい。
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応は、常法に従って行なうことができる。
【0025】
本発明の光硬化性組成物に用いられる光重合性不飽和化合物(B)は、上記一般式(2)で表される化合物である。
【0026】
上記一般式(2)中、R5、R6及びR7で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基及び炭素原子数2〜20の複素環基としては、上記一般式(1)中のX1である(イ)の説明で例示したものが挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物の中でも、R5、R6及びR7が、上記一般式(3)又は(4)で表されるものが、密着性が高いので好ましい。
【0027】
上記一般式(2)で表される化合物としては、市販のものを用いることもでき、例えば、A−9300−1CL、A−9300−2CL、A−9300−3CL、A−9300−6CL(新中村化学工業社製)、CIC酸アクリレート(四国化成社製)、アロニックスM−327、アロニックスM−325(東亞合成社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明の光硬化性組成物において、上記光重合性不飽和化合物の含有量は、組成物(但し、溶媒は除く)中、上記光重合性不飽和化合物(A)及び(B)の合計で、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは、15〜70質量%である。
また、上記光重合性不飽和化合物(A)及び(B)の比率は、質量比で、上記光重合性不飽和化合物(A):上記光重合性不飽和化合物(B)=35〜95:5〜65であるのが好ましく、40〜90:10〜60であるのがより好ましい。
【0029】
<光重合開始剤(C)>
本発明の光硬化性組成物に用いられる光重合開始剤(C)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、ベンゾイン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン等のアルキルフェノン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;エチルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール化合物;2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;4、4−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル等の過酸化物;1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン等が挙げられ、市販品としては、N−1414、N−1717、N−1919、PZ−808、NCI−831、NCI−930((株)ADEKA社製)、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE651、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF(株)社製)等が挙げられる。
【0030】
本発明の光硬化性組成物に用いられる光重合開始剤としては、特に、下記一般式(5)で表される化合物が、感度及び耐熱性の点から好ましい。
【0031】
【化8】
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、R17、OR18、SR19、NR2021、COR22、SOR23、SO224又はCONR2526を表し、R15及びR16は、互いに結合して環を形成していてもよく、
17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
2は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR2728、CO、NR29又はPR30を表し、
3は、単結合又はCOを表し、
27、R28、R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、上記アルキル基又はアリールアルキル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基又は複素環基で置換されてもよく、上記アルキル基又はアリールアルキル基中のメチレン基は−O−で中断されていてもよく、
27、R28、R29及びR30は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよく、
aは、0〜4の整数を表し、
bは、0〜5の整数を表す。)
【0032】
上記一般式(5)中、R13、R14、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基及び炭素原子数7〜30のアリールアルキル基
13、R14、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては上記一般式(1)中のX1である(イ)の説明で例示したものが挙げられる。
27、R28、R29及びR30で表されるアルキル基又はアリールアルキル基を置換してもよい複素環基としては、上記一般式(1)中のX1である(イ)の説明で例示した複素環基と同様のものが挙げられる。
15及びR16が互いに結合して形成してもよい環としては、上記一般式(1)中のX1である(イ)における隣接するY1同士で形成してもよい環と同様の環が挙げられる。
【0033】
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5')で表される化合物が好ましく、中でも、R16が、ニトロ基又はCOR22であるものが特に好ましい。
【化8A】
(式中、R13、R14、R15、R16、R29、X3、a及びbは、上記一般式(5)と同じである。
【0034】
本発明の光硬化性組成物において、上記光重合開始剤(C)の含有量は、本発明の光硬化性組成物の固形分中、0.1〜30質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。上記光重合開始剤の含有量が0.1質量%より小さいと、露光による硬化が不十分になる場合があり、30質量%より大きいと、樹脂組成物中に開始剤が析出する場合がある。
【0035】
<着色剤(D)>
本発明の光硬化性組成物に用いられる着色剤(D)としては、無機色材又は有機色材を用いることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記無機色材又は有機色材としては、例えば、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物、クマリン化合物、フタロシアニン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キナクリドン化合物、アンタンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、ジケトピロロピロール化合物、チオインジゴ化合物、ジオキサジン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノフタロン化合物、ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;疎水性樹脂、酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、アンバー等の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。
【0036】
上記無機色材又は有機色材としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0037】
上記無機色材又は有機色材としては、公知の染料を用いることも可能である。公知の染料としては例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられる。
【0038】
本発明の光硬化性組成物において、上記着色剤(D)の含有量は、上記光重合性不飽和化合物(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは20〜250質量部である。350質量部を超えると、着色剤が凝集しやすくなり保存安定性が悪くなる。
【0039】
本発明の光硬化性組成物には、更に分散剤を用いることができる。該分散剤としては、着色剤(D)を分散、安定化できるものであれば何でも良く、市販の分散剤、例えばビックケミー社製、BYKシリーズ等を用いることができ、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0040】
本発明の光硬化性組成物には、更に、上記一般式(2)で表される以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を用いることができる。該エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、特に限定されず、従来、感光性組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和一塩基酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.A1〜No.A4、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N−ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物が挙げられる。
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
また、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、アクリル酸エステルの共重合体や、フェノール及び/又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂を用いることもできる。
【0046】
上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の中でも、酸価を有する化合物を用いた場合、本発明の光硬化性組成物にアルカリ現像性を付与することができる。上記酸価を有する化合物を用いる場合、その使用量は上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物全体の50〜99質量%となるようにすることが好ましい。
また、上記酸価を有する化合物は、更に単官能又は多官能エポキシ化合物を反応させることにより酸価を調整してから用いることもできる。上記酸価を有する化合物の酸価を調整することにより、光硬化性組成物のアルカリ現像性を改良することができる。上記酸価を有する化合物(即ちアルカリ現像性を付与するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物)は、固形分の酸価が5〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、単官能又は多官能エポキシ化合物の使用量は、上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
【0047】
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、上記化合物No.A2、No.A3等が挙げられる。
【0048】
上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物及びグリシジルエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を用いると、特性の一層良好な光硬化性組成物を得ることができるので好ましい。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物を用いることができる他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物も用いることができる。
また上記グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタン等を用いることができる。
その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物;トリフェニルメタン型エポキシ化合物;ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることもできる。
【0049】
また、本発明の光硬化性組成物は、エチレン性不飽和結合を有さず、アルカリ現像性を付与する化合物を含有してもよく、そのような化合物としては、酸価を有することでアルカリ水溶液に可溶な化合物であれば特に限定されないが、代表的なものとしてアルカリ可溶性ノボラック樹脂(以下、単に「ノボラック樹脂」という)が挙げられる。ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に重縮合して得られる。
【0050】
上記フェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、ビスフェノールA、ジヒドロキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル等が用いられ、これらのフェノール類のうちフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール及びビスフェノールAが好ましい。これらのフェノール類は、単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0051】
上記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド等が用いられ、これらの化合物のうちホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒド類は、単独で又は2種以上混合して用いられる。アルデヒド類はフェノール類1モル当たり、好ましくは0.7〜3モル、特に好ましくは0.7〜2モルの割合で使用される。
【0052】
上記酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、又は蟻酸、蓚酸、酢酸等の有機酸が用いられる。これらの酸触媒の使用量は、フェノール類1モル当たり、1×10-4〜5×10-1モルが好ましい。縮合反応においては、通常、反応媒質として水が用いられるが、縮合反応に用いられるフェノール類がアルデヒド類の水溶液に溶解せず、反応初期から不均一系になる場合には、反応媒質として親水性溶媒を使用することもできる。これらの親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。これらの反応媒質の使用量は、通常、反応原料100質量部当たり、20〜1000質量部である。縮合反応の反応温度は、反応原料の反応性に応じて適宜調整することができるが、通常、10〜200℃、好ましくは70〜150℃である。縮合反応終了後、系内に存在する未反応原料、酸触媒及び反応媒質を除去するため、一般的には内温を130〜230℃に上昇させ、減圧下に揮撥分を留去し、次いで熔融したノボラック樹脂をスチール製ベルト等の上に流涎して回収する。
また縮合反応終了後に、前記親水性溶媒に反応混合物を溶解し、水、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の沈殿剤に添加することにより、ノボラック樹脂を析出させ、析出物を分離し、加熱乾燥することにより回収することもできる。
【0053】
上記ノボラック樹脂以外の例としては、ポリヒドロキシスチレン又はその誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0054】
本発明の光硬化性組成物には、更にシランカップリング剤を用いることができる。該シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル酸エステル官能性アルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ −アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができ、特に、アルキル官能性アルコキシシラン、エポキシ官能性アルコキシシラン、イソシアネートシランが、耐湿熱試験における密着性が高いので好ましい。
【0055】
上記シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、光硬化性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、1〜20質量部の範囲である。
【0056】
本発明の光硬化性組成物には、更に溶媒を加えることができる。該溶媒としては、通常、必要に応じて上記の各成分(本発明の光重合性不飽和化合物(A)及び(B)、光重合開始剤(C)、着色剤(D)等)を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。これらの中でもケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン等が、着色組成物においてレジストと光重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0057】
本発明の光硬化性組成物において、上記溶媒の使用量は、溶媒以外の組成物の濃度が5〜30質量%になることが好ましく、5質量%より小さい場合、膜厚を厚くする事が困難であり所望の波長光を十分に吸収できないため好ましくなく、30質量%を超える場合、組成物の析出による組成物の保存性が低下したり、粘度が向上したりするためハンドリングが低下するため好ましくない。
【0058】
本発明の光硬化性組成物には、更に無機化合物を含有させることができる。該無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でも、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。本発明の光硬化性組成物において、無機化合物の含有量は、上記光重合性不飽和化合物(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜20質量部であり、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0059】
本発明の光硬化性組成物に無機化合物を含有させることで、感光性ペースト組成物として用いることができる。該感光性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いられる。
また、これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等としても好適に用いられる。
【0060】
また、本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、p−アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;触媒;効果促進剤;架橋剤;増粘剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0061】
本発明の光硬化性組成物において、光重合性不飽和化合物(A)及び(B)、光重合開始剤(C)、着色剤(D)以外の任意成分(但し、溶媒は除く)の含有量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記光重合性不飽和化合物(A)及び(B)の合計100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0062】
本発明の光硬化性組成物には、更に、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、メラミン化合物等を併用することができる。
【0063】
上記連鎖移動剤、増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、下記化合物No.C1、昭和電工社製カレンズPE1、NR1等が挙げられる。
【0064】
【化13】
【0065】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。これらのなかでも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0067】
本発明の光硬化性組成物において、体積抵抗率は、1×1011Ω・cm以上であり、非導電性の点から、好ましくは1×1013Ω・cm以上である。表面抵抗率は、1×1013Ω・cm以上であり、非導電性の点から、好ましくは1×1014Ω・cm以上である。
【0068】
本発明の光硬化性組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0069】
また、本発明の光硬化性組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【0070】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0071】
本発明の光硬化性組成物(又はその硬化物)は、光硬化性塗料或いはワニス、光硬化性接着剤、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるカラーフィルタ、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、タッチパネル、プラズマ表示パネル用の電極材料、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、液状及び乾燥膜の双方、はんだレジスト、絶縁膜、種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、電気及び電子部品を封入するための組成物、ソルダーレジスト、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷用ステンシル、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料、ホログラフィ記録用材料、画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料、印刷配線板用フォトレジスト材料、UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料或いは保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0072】
本発明の光硬化性組成物は、黒色顔料を用いた場合、ブラックマトリックスを形成する目的で使用され、該ブラックマトリックスは、特に液晶表示パネル等の画像表示装置用の表示デバイス用カラーフィルタに有用である。
【0073】
上記ブラックマトリックスは、(1)本発明の光硬化性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して活性光を照射する工程、(3)露光後の被膜を現像液(特にアルカリ現像液)にて現像する工程、(4)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。また、本発明の光硬化性組成物は、現像工程の無いインクジェット方式組成物としても有用である。
液晶表示パネル等に用いるカラーフィルタの製造は、本発明又はそれ以外の光硬化性組成物を用いて、上記(1)〜(4)の工程を繰り返し行い、2色以上のパターンを組み合わせて作成することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0075】
[製造例1]光重合性不飽和化合物No.1の製造
1,1−ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニル〕インダンの30.0g、アクリル酸7.52g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.080g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.183g及び、PGMEA11.0gを仕込み、90℃で1時間、105℃で1時間及び120℃で17時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸8.11g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.427g及びPGMEA11.1gを加えて、100℃で5時間撹拌した。さらに、1,1−ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニル〕インダン12.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.080g及び、PGMEA0.600gを加えて、90℃で90分、120℃で5時間撹拌後、PGMEA24.0gを加えて、PGMEA溶液として光重合性不飽和化合物No.1を得た。
【0076】
[製造例2] 光重合性不飽和化合物No.2の製造
9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン75.0g、アクリル酸23.8g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.273g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.585g、及びPGMEA65.9gを仕込み、90℃で1時間、100℃ で1時間、110℃ で1時間及び120℃ で14時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸25.9g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.427g、及びPGMEA1.37gを加えて、100℃ で5時間撹拌した。さらに、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン30.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.269g、及びPGMEA1.50gを加えて、90℃ で90分、120℃ で4時間撹拌後、PGMEA93.4gを加えて、PGMEA溶液として目的物である光重合性不飽和化合物No.2を得た。
【0077】
[製造例3] 光重合性不飽和化合物No.3の製造
ビス〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル〕−4−ビフェニリル(シクロヘキシル)メタン89.9g 、アクリル酸23.5g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.457g 、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.534g及びPGMEA75.6gを仕込み、120℃ で16時間撹拌した。室温まで冷却し、2,4−ペンタンジオン12.0g、トリエチルアミン1.0gを仕込み、92℃ で17時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸25.6g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド1.39g 、PGMEA40.42gを加えて100℃ で5時間撹拌した。室温まで冷却し、PGMEA46.7gを加えて、PGMEA溶液として目的物である光重合性不飽和化合物No.3を得た。
【0078】
[比較製造例1]比較光重合性不飽和化合物No.1の製造
ビスフェノールAジグリシジルエーテルの35.0g、アクリル酸7.52g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.080g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.183g及び、PGMEA11.0gを仕込み、90℃で1時間、105℃で1時間及び120℃で17時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸8.11g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.427g及びPGMEA11.1gを加えて、100℃で5時間撹拌した。さらに、1,1−ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニル〕インダン12.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.080g及び、PGMEA0.600gを加えて、90℃で90分、120℃で5時間撹拌後、PGMEA24.0gを加えて、PGMEA溶液として比較光重合性不飽和化合物No.1を得た。
【0079】
[実施例1〜5及び比較例1〜4]光硬化性組成物No.1〜No.5及び比較光硬化性組成物No.1〜No.4の調製
[表1]の配合に従って各成分を混合し、ボールミルで微粉砕して、実施例1〜5の光硬化性組成物No.1〜No.5及び比較例1〜4の比較光硬化性組成物No.1〜No.4を得た。尚、数字は質量部を表す。
【0080】
【表1】
【0081】
A−1 光重合性不飽和化合物No.1
A−2 光重合性不飽和化合物No.2
A−3 光重合性不飽和化合物No.3
A’−1 比較光重合性不飽和化合物No.1
B−1 アロニックスM−327(一般式(2)で表される化合物;東亞合成社製)
B'−1 カヤラッドDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬社製)
B’−2 アロニックスM−315(イソシアヌレート含有トリアクリレート;東亞合成社製)
B'−3 カヤラッドDPCA−120(ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート;日本化薬社製)
C−1 NCI−831(一般式(5')で表される化合物;ADEKA社製)
C−2 OXE−02(BASF社製)
D−1 MA100(カーボンブラック;三菱化学社製)
E−1 KBM403(アルコキシシランカップリング剤;信越化学)
E−2 PGMEA
【0082】
[評価例1〜5及び比較評価例1〜4]
基板上にγ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシランをスピンコートして良くスピン乾燥させた後、実施例1〜5で得られた光硬化性組成物No.1〜No.5及び比較例1〜4で得られた比較光硬化性組成物No.1〜No.4をスピンコート(1300r.p.m、50秒間)し乾燥させた。70℃で20分間プリベークを行った後、ポリビニルアルコール5%溶液をコートして酸素遮断膜とした。70℃ にて20分間の乾燥後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光後、2.5%炭酸ナトリウム溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃ で1時間ベークしてパターンを定着させた。得られたパターンについて、以下の感度及び密着性の評価(シール強度及び密着性試験)の測定を行った。結果を[表1]に示す。
(感度)
露光時に、露光量が70mJ/cm2で十分だったものをa、70mJ/cm2では不十分で、100mJ/cm2で露光したものをb、100mJ/cm2では不十分で、150mJ/cm2で露光したものをcとした。
(シール強度)
ガラス基板に6mm×3.5mmの面積で熱硬化接着剤(シール剤:三井化学社製XN−21S)を塗布し、樹脂製ブラックマトリックス層のあるガラス基板と貼り合わせ、接着剤を硬化させた。貼り合わされた基板を120℃、2atm、相対湿度100%の条件の高温高湿装置内に5時間静置した。このサンプルについて島津製EZ−Graphにて3点支持曲げ試験を実施し、密着強度を測定してシール強度とした。
(密着性試験)
120℃、2atm、相対湿度100%の条件の高温高湿装置内に5時間静置された塗膜にJIS D 0202の試験方法に従い、基盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハンテープによってピーリングテストを行い、基盤目の剥離の状態を目視により評価した。全く剥離が認められなかったものを○、剥離が認められたものを×とした。
【0083】
以上の結果より、特定の構造を有する光重合性不飽和化合物を含有する本発明の光硬化性組成物は感度及び密着性に優れる。よって、本発明の光硬化性組成物はカラーフィルタに有用である。