(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送電カップラと前記受電カップラとの間に、前記送電カップラ及び前記受電カップラと同じ形状の前記2つの電極及び前記インダクタを有する中継カップラが配置される
ことを特徴とする請求項7または8に記載の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】比較例1の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図4】比較例1の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図5】比較例1の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置における電界分布を説明する模式図である。
【
図6】第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置における電界分布を説明する模式図である。
【
図7】第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置における電界分布図である。
【
図8】本発明の第2実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図10】第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図11】第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図12】第4実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図13】比較例2の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す断面図である。
【
図14】第4実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図15】比較例2の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図16】第5実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図17】第5実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図18】第6実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図19】比較例3の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図20】第6実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図21】比較例3の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図22】第7実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図23】比較例4の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図24】第7実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図25】比較例4の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図26】第8実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の構成を示す斜視図である。
【
図27】第8実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の伝送効率を示すグラフである。
【
図28】第8実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を作業用ロボットに適用した一例を示す模式図である。
【
図29】第8実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置においてカップラを矩形型として作業用リフトに適用した一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施の形態における電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。また、交流電源及び負荷の入力インピーダンスは、断らない限り全て50Ωとしている。
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100の構成を示す斜視図である。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100は、電力を供給する送電カップラ110と、送電カップラ110から受電する受電カップラ120を備えている。
【0022】
送電カップラ110は、円板状の中心電極111と、中心電極111の周りに円環状に形成された外周電極112の2つの電極を備えている。中心電極111と外周電極112は、各中心が一致する同心円状に形成されている。同様に受電カップラ120も、円板状の中心電極121とその周りに円環状に形成された外周電極122を備えており、それぞれの中心が一致する同心円状に形成されている。
【0023】
送電カップラ110において、中心電極111及び外周電極112にはそれぞれインダクタ113、114の一端が接続されており、インダクタ113、114の他端が交流電源(図示せず)に接続される構成となっている。中心電極111と外周電極112間は容量結合電極であり、これらインダクタ113,114、中心電極111、外周電極112、交流電源にて直列共振回路を形成しており、インダクタ113、114に交流電力が供給されると、中心電極111と外周電極112との間で電界結合(容量結合)が生じる。上記の直列共振回路の共振周波数及び共振波長を、以下ではfc及びλcとする。外周電極112の外周の直径をλc/(2π)より短くして中心電極111及び外周電極112を直径λc/(2π)より狭い領域に配置する。これにより送電カップラからの不要放射を抑制することができる。
【0024】
同様に受電カップラ120においても、中心電極121及び外周電極122にそれぞれインダクタ123、124の一端が接続されており、インダクタ123、124の他端が負荷(図示せず)に接続される構成となっている。これらインダクタ123,124、中心電極121、外周電極122、負荷にて直列共振回路を形成している。送電カップラ110と同様、外周電極122の外周の直径をλc/(2π)より短くして中心電極121及び外周電極122を直径λc/(2π)より狭い領域に配置する。これにより受電カップラからの不要放射を抑制することができる。
【0025】
上記のように構成された送電カップラ110と受電カップラ120とを所定の間隔を設けて対向させて配置することで、送電カップラ110と受電カップラ120との間を電界結合(容量結合)させることができる。これにより、交流電源から送電カップラ110に供給された電力を、電界結合により受電カップラ120にワイヤレスで伝送することができ、受電カップラ120に接続された負荷に電力を供給することが可能となる。また、送電カップラ110の中心電極111と外周電極112、及び受電カップラ120の中心電極121と外周電極122、がそれぞれ同心円状に形成されて軸対称性を有していることから、中心軸を一致させて対向させることで、例えば受電カップラ120を中心軸の周りに回転させても特性は変化せず、同じ効率で電力伝送を行うことができる。なお、送電カップラ110と受電カップラ120の中心間距離をλc/(2π)以下に抑えることで、送受カップラは近傍界結合する形となり、送受結合に伴って生じる不要放射を抑制することができる。
【0026】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100では、中心電極111、121の半径を70mmとし、外周電極112、122の内周の半径を225mm、外周の半径を240mmとしている。これより、外周電極112、122の幅が15mmとなり、中心電極111の外周と外周電極112の内周との間、及び中心電極121の外周と外周電極122の内周との間の距離が、ともに155mmとなっている。中心電極111、121及び外周電極112、122を形成する材料として、電気伝導性の高い例えば銅を用いることができる。
【0027】
また、インダクタ113、114は、線径1mmの銅線を用いてそれぞれ巻き数13、長さ13.4mm、直径21mmに形成したものであり、抵抗値が一個当たり0.5Ωとなっている。インダクタ113、114は、両者の間隔が22.5mmとなるように配置されている。インダクタ123、124についても、インダクタ113、114と同様に形成されている。
【0028】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100は、上記の構成に加えて半径10mmの金属支柱130を備えており、さらに中心電極111,121のそれぞれの中心に、半径20mmの貫通孔111a、121aが形成されている。金属支柱130は、貫通孔111a、121aの中心を貫通するように配置されており、貫通孔111a、121aの内周とは10mmのギャップを有している。金属支柱130を形成する材料として、やはり銅を用いることができる。
【0029】
上記のように金属支柱130を貫通孔111a、121aの中心に貫通させることにより、送電カップラ110から受電カップラ120にワイヤレスで電力伝送可能なカップラ間の距離を延伸させることが可能となる。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100では、送電カップラ110と受電カップラ120との間隔を例えば450mmとすることができる。
【0030】
これに対し、金属支柱130を用いない
図2に示す従来構成の比較例1の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置90では、電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100と同程度の高い効率で電力伝送を行うために、送電カップラ110と受電カップラ120との間隔を例えば200mmとする必要がある。なお、
図2に示す比較例1では、金属支柱130の有無を除いて電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100と同じ構成とするために、比較例1の中心電極111、121にもそれぞれ貫通孔111a、121aを形成している。本実施形態では、金属支柱130を用いることで、送電カップラ110と受電カップラ120との距離を従来より2倍以上延伸することが可能となっている。
【0031】
金属支柱130を用いて送電カップラ110と受電カップラ120との間の距離を450mmとしたときの伝送効率η21を
図3に示す。また、比較のために
図2に示した比較例1における伝送効率η21を
図4に示す。
図3、4では、横軸を周波数としており、伝送効率η21の周波数に対する変化を示している。
【0032】
伝送効率η21は、送電カップラ110から受電カップラ120に電力伝送される効率を示すものであり、SパラメータのS21を用いてη21=|S21|
2で与えられる。
図3、4では、伝送効率η21に加えて反射損η11=|S11|
2、及び|S11|、|S21|を併せて示している。
【0033】
図4に示すように、金属支柱130を用いない比較例1では、送電カップラ110と受電カップラ120との距離を200mmとしたときに、共振周波数約27MHzで約96%の伝送効率が得られる。これに対し、金属支柱130を用いた本実施形態では、送電カップラ110と受電カップラ120との距離を450mmに延伸しても、共振周波数約27MHzで約96%の伝送効率が得られている。本実施形態では、金属支柱130を電界の仲介媒体に用いることで、電力伝送距離を200mmから450mmに延伸することが可能となっている。
【0034】
次に、中心に金属支柱130を配置した本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100における電界分布を、
図2に示した金属支柱130を配置しない比較例1における電界分布と比較して説明する。まず、金属支柱130を配置しない比較例1における電界分布を
図5を用いて説明する。同図は、送電カップラ110及び受電カップラ120の中心軸を通る断面で見たときの各カップラの断面における電荷分布、及び電極間の電界分布を示している。
【0035】
送電カップラ110に交流電力が供給されることにより、中心電極111と外周電極112に正(+)の電荷と負(−)の電荷が1/2周期で交互に分布する。また電界ベクトルは、1/4周期で中心電極と外周電極の結合の向きから中心電極同士、外周電極同士の結合の向きに変化し、次の1/4周期で中心電極同士、外周電極同士の結合の向きから中心電極と外周電極の結合の向きに変化するように1周期で1回転する。即ち、中心電極111と外周電極112との間で電界結合するとともに、受電カップラ120との間でも、例えばある時点で
図5(a)に示すような電界分布で結合し、1/4周期後に
図5(b)に示すような電界分布で結合する。
図5(a)に示す電界分布のときは、受電カップラ120の中心電極121に負の電荷が分布し、外周電極122には正の電荷が分布する。また、1/4周期後の
図5(b)に示す電界分布のときは、中心電極121に正の電荷が分布し、対向する送電カップラの中心電極111には負の電荷が分布する。
【0036】
一方、中心に金属支柱130を配置した本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100における電界分布を
図6に示す。
図6は、
図5と同様に送電カップラ110及び受電カップラ120の中心軸を通る断面で見たときの各カップラの断面における電荷分布、及び電極間の電界分布を示している。また、
図6(a)、(b)は、それぞれ
図5(a)、(b)に対応する時点の電荷及び電界の分布を示している。送電カップラ110及び受電カップラ120のそれぞれの電極に分布する電荷は、金属支柱130が配置されていないときの
図5と金属支柱130が配置されているときの
図6とで同じとなっている。
【0037】
一方電界分布については、金属支柱130が配置された場合には、送電カップラ110及び受電カップラ120とも、各電極が金属支柱130との間で電界結合することが
図6に示されている。その結果、金属支柱130に電荷の流れが生じ、送電カップラ110と受電カップラ120との距離を大きくしても、金属支柱130を介した電界結合により伝送効率を低下させることなく電力伝送することが可能となる。
図6(a)に示す電界分布では、主として外周電極112と中心電極121間に金属支柱130を介しての強い電界結合が生じている。
図6(b)に示す電界分布では、主として中心電極111と中心電極121間に金属支柱130を介しての強い電界結合が生じている。
図6(a)、(b)に示す電界分布をより詳細に表示したものを、それぞれ
図7(a)、(b)に示す。この場合金属支柱は送電側カップラ110における中心電極111と外周電極112間の結合、及び受電側カップラ120における中心電極121と外周電極122間の結合にはほとんど寄与しておらず、主に送受カップラ間の結合増大に寄与している。
【0038】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100では、送電カップラ110及び受電カップラ120の中心軸に金属支柱130を配置することで、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を従来の約2.5倍に拡張することが可能となっている。また、本実施形態の送電カップラ110及び受電カップラ120が中心軸を中心に同心円状に形成されていることから、回転体の回転軸と金属支柱130とを一致させて該回転体に受電カップラ120を配置することで、回転体にワイヤレスで電力供給することができる。
【0039】
一例として、回転しながら作業する作業用ロボットの回転軸を金属支柱130に用い、該作業用ロボットに受電カップラ120を設置しておく。一方、貫通孔111aに回転軸を貫通させて固定した送電カップラ110を交流電源に接続することで、作業用ロボットに必要な電力を送信カップラ110からワイヤレスで受電カップラ120に伝送し、受電カップラ120から作業用ロボットに供給することができる。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200の構成を示す斜視図である。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200は、第1実施形態と同様に金属支柱130を備えており、これに加えて送電カップラ110及び受電カップラ120の周囲を囲むように金属壁240が設けられている。
【0041】
本実施形態では、送電カップラ110及び受電カップラ120を金属壁240で取り囲むことで、金属支柱130に加えて、金属壁240との間でも電界結合させている。より詳細には、中心電極111と外周電極122間に金属壁240を介しての強い電界結合が加わっている。また1/4周期後には外周電極112と外周電極122間に金属壁240を介しての強い電界結合が加わっている。金属壁240の直径は、外周電極112、122の直径の1.2倍以下とするのがよい。外周電極112、122と金属壁240との間隔(ギャップ)は、たとえば20mmとすることができる。外周電極112、122の外周の半径が240mmであるが、金属壁240との間隔がこれと比して十分小さい、望ましくは1/10以下であれば、中心電極と外周電極間の結合に比べて金属壁240と外周電極の結合が大であり、伝送距離延長の効果を得られる。
【0042】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200では、金属支柱130に加えて金属壁240を電界結合の仲介媒体に用いていることから、金属支柱130及び金属壁240を介して送電カップラ110と受電カップラ120との間でさらに強い電界結合が実現されている。その結果、伝送効率を低下させることなく送電カップラ110と受電カップラ120との距離をさらに大きくすることができる。送電カップラ110と受電カップラ120との距離を600mmとしたときの伝送効率η21を
図9に示す。
図9は、横軸を周波数としたときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200の伝送効率η21の変化を示している。
【0043】
図9では、
図3、4と同様に、伝送効率η21に加えて反射損η11、|S11|及び|S21|を併せて示している。
図9に示すように、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200では、送電カップラ110と受電カップラ120との距離を600mmとしても、この距離を200mmとした比較例1及び距離を450mmとした第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100と同程度の共振周波数fcで約96%の伝送効率を実現することができる。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200によれば、伝送効率を低下させることなく伝送距離を比較例1の3倍まで延伸することが可能となっている。
【0044】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300の構成を示す斜視図である。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300は、第2実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200が備える金属壁240の下端と上端に、それぞれショート板351、352を設けている。
【0045】
ショート板351は金属支柱130の下端と金属壁240の下端に接続されており、ショート板352は金属支柱130の上端と金属壁240の上端に接続されている。これにより、金属支柱130と金属壁240とが電気的にショートされる。ショート板351、352を設けることで、送電カップラ110及び受電カップラ120から放射される電磁波を外部に漏出させないようにすることができる。
【0046】
しかしながら、ショート板351と送電カップラ110、及びショート板352と受電カップラ120、のそれぞれの距離が近いと、それぞれの間の電界結合が強くなって送電カップラ110と受電カップラ120との間の電界結合が弱くなってしまう。その結果、送電カップラ110から受電カップラ120への電力の伝送効率が低下する。
【0047】
そこで、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300では、ショート板351、352と送電カップラ110及び受電カップラ120との距離を、それぞれ送電カップラ110と受電カップラ120との距離の1/6以上としている。
図10に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300では、送電カップラ110と受電カップラ120との間の距離を第2実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200と同じ600mmとするとともに、ショート板351、352と送電カップラ110及び受電カップラ120との間のそれぞれの距離を100mmとしている。
【0048】
上記のように構成された電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300の伝送効率η21を
図11に示す。
図11は、横軸を周波数としたときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300の伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300でも共振周波数fcにおいて約95%の伝送効率を実現しており、伝送効率を低下させることなく第2実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置200と同じ伝送距離を実現することができる。
【0049】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400の構成を示す断面図である。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400は、第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300と同様に、金属支柱430、金属壁440及びショート板351、352を備えている。
図12は、金属支柱430の中心を通る断面で見た断面図を示している。
【0050】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400は、金属支柱430及び金属壁440の一部が切断されている点で、第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300と異なっている。金属支柱430及び金属壁440は、送電カップラ110と受電カップラ120とを結ぶ方向の電荷の流れを遮断するように、例えば送電カップラ110(受電カップラ120)と平行な面で切断されている。
【0051】
金属支柱430及び金属壁440が切断された状態の比較例2を
図13に示す。ここでは、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を、第3実施形態と同じ600mmとしている。金属支柱430及び金属壁440が切断されて送電カップラ110と受電カップラ120とを結ぶ方向の電荷の流れが遮断されると、電荷の流れに付随する電界の流れも遮断されることになる。その結果、第3実施形態において金属支柱130及び金属壁240により実現された伝送効率が大幅に劣化してしまう。但し、金属支柱430及び金属壁440の切断により形成されたギャップには、ギャップ幅に応じた容量が生じることから、電界結合が生じてわずかな電力伝送が行われる。
【0052】
そこで本実施形態では、金属支柱430及び金属壁440の切断部分に、それぞれ対向させて配置した2つの結合用電極431及び2つの結合用電極441を設けている。ここでは、結合用電極431の幅を100mmとし、結合用電極441の幅を60mmとしている。結合用電極431、441を設けることで、対向する2つの結合用電極431間、及び対向する2つの結合用電極441間、のそれぞれに変位電流が流れて電荷の流れが回復する。その結果、電荷の流れに付随する電界の流れも回復して伝送効率が再び向上する。
【0053】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400の伝送効率η21を
図14に示す。また、結合用電極431、441を有さない比較例2の伝送効率η21を
図15に示す。
図14、15は、横軸を周波数としたときの伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。
図15に示す結合用電極431、441を有さない比較例2では、共振周波数fcにおける伝送効率が約9.8%と大幅に劣化している。
【0054】
これに対し本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400では、結合用電極431、441を設けるとともに、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を300mmとすることにより、
図14に示すように、共振周波数fcにおける伝送効率が約95%に回復している。伝送距離は、第3実施形態に比べて短くする必要があるが、金属支柱130及び金属壁240を有さない比較例1に比べて、伝送距離は1.5倍程度に延伸されている。
【0055】
なお、上記では本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400の金属支柱430と金属壁440の両方が切断されているとしたが、これに限定されず、いずれか一方のみが切断されているものであってもよい。また、第3実施形態と同様にショート板351、352を備えるものとしたが、これに限定されず、第2実施形態のようにョート板351、352を備えないものであってもよい。
【0056】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図16を用いて説明する。
図16は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500の構成を示す斜視図である。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500は、第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300の金属支柱130及び金属壁240を湾曲させた形状を有している。
【0057】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500では、曲率半径R=300mmで湾曲させた金属支柱530及び金属壁540を用いることで、送電カップラ110と受電カップラ120とを略90°の角度で配置している。また、金属壁540の下端と上端には、第3実施形態と同様にショート板351、352をそれぞれ備えている。本実施形態では、送電カップラ110と受電カップラ120とを90°に限らず所定の角度で配置することが可能であり、これにより例えば所定の角度の回転面上で回転する回転体に対して、ワイヤレスで電力を供給することが可能となる。
【0058】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500では、送電カップラ110と受電カップラ120とを略90°の角度で配置したことにより、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300と同じにすると伝送効率が低下する。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300と同程度の高い伝送効率を実現するためには、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を約480mmとするのがよい。もちろんこれより短くしても良好な伝送特性が得られるが、金属筐体の物理的な形成が難しくなる。仮に金属支柱を除去した場合は伝送特性は大幅に劣化する。なお、本実施形態では送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を、金属支柱530が各カップラ面と交差する2点間の長さとしている。
【0059】
伝送距離を約480mmとした本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500の伝送効率η21を
図17に示す。
図17は、横軸を周波数としたときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置400の伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500では、伝送距離を約480mmとすることで共振周波数fcにおいて約96%の伝送効率を実現している。高い伝送効率を実現するために、伝送距離を第3実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置300より短くする必要があるものの、
図2に示した金属支柱等を有さない比較例1の伝送距離の約2.4倍まで延伸することが可能となっている。
【0060】
なお、上記では本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置500が第3実施形態と同様にショート板351、352を備えるものとしたが、これに限定されず、第2実施形態のようにョート板351、352を備えないものであってもよい。
【0061】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600の構成を示す斜視図である。電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600は、第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100の送電カップラ110及び受電カップラ120に切欠き部を形成した構造を有している。なお、以下の説明は、送電カップラ110と受電カップラ120のいずれか一方のみに切欠き部が形成されている場合でも同様である。
【0062】
図18に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600では、送電カップラ610の中心電極611及び外周電極612のそれぞれに、半径方向に幅5mmの切欠き部611a、612aが形成されている。同様に受電カップラ620でも、中心電極621及び外周電極622のそれぞれに、半径方向に幅5mmの切欠き部621a、622aが形成されている。各切欠き部の半径方向の向きは、送電カップラ610と受電カップラ620とで異なっていてよく、また中心電極611と外周電極612との間及び中心電極621と外周電極622との間でも異なっていてよい。
【0063】
また、比較のために、
図2に示した比較例1の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置90の送電カップラ110及び受電カップラ120のそれぞれに、電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600と同様の切欠き部を形成した比較例3の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置90’を
図19に示す。
【0064】
切欠き部を形成した本実施形態の送電カップラ610及び受電カップラ620を用いたときの伝送効率η21を
図20に示す。
図20は、横軸を周波数としたときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600の伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。また、比較のために、比較例3の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置90’の伝送効率η21を
図21に示す。
【0065】
図20より、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600でも、共振周波数fcにおける伝送効率が第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100と同程度の約96%を実現している。これより、伝送効率を低下させることなく送電カップラ及び受電カップラに切欠き部を形成することが可能であることが示されている。また、
図21に示す比較例3の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置90’の伝送効率η21でも、切欠き部を有さないときの伝送効率を示す
図4とほぼ同程度の約96%が得られている。
【0066】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図22を用いて説明する。
図22は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700(700a及び700b)の構成を示す斜視図である。本実施形態では、送受カップラの形状が第1乃至第6実施形態のものと異なっている。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700の送電カップラ710及び受電カップラ720は、それぞれ矩形形状の金属板を同一平面上に2つ平行に配列して形成されている。送電カップラ710は、矩形電極711、712を備え、それぞれにインダクタ713、714が接続されている。また受電カップラ720は、矩形電極721、722を備え、それぞれにインダクタ723、724が接続されている。
【0067】
図22に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700では、送電カップラ710及び受電カップラ720の寸法を250mm×250mmとしており、矩形電極711と712との間、及び矩形電極721と722との間に、それぞれ34mmの間隙を設けている。
【0068】
矩形電極711、712を備えた送電カップラ710及び矩形電極721、722を備えた受電カップラ720は、ともに軸対称性を有していない。しかし、矩形電極は第6実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600の送受電カップラに形成された切欠き部を大きくしたものに類似すると考えられる。従って、矩形電極を用いた送受電カップラの近傍に金属板を配置することで送受電カップラ間の伝送距離を延伸できることが、第6実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置600から推定できる。
【0069】
そこで、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700では、送電カップラ710及び受電カップラ720に近接させて金属板760を配置している。
図22(a)に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700aでは、送電カップラ710の一方の矩形電極711(または712)の他方の矩形電極712(又は711)とは反対側の辺、及び受電カップラ720の一方の矩形電極721(または722)の他方の矩形電極722(又は721)とは反対側の辺に、金属板760を近接させて配置している。また、
図22(b)に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700bでは、送電カップラ710及び受電カップラ720の両側に、金属板760を2枚配置している。送電カップラ710及び受電カップラ720の幅は250mmであるが、カップラと金属板760との距離は、これと比して十分小さい、望ましくは1/10以下であれば、送電カップラの矩形電極711と712間の電界の結合、あるいは受電カップラの矩形電極721と722間の電界の結合に比べて金属板と矩形電極の結合が大であり、伝送距離延長の効果が得られる。
【0070】
これに対し、矩形電極からなる送電カップラ及び受電カップラのみを備えて金属板760を備えない電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、比較例4として
図23に示す。比較例4の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置では、送電カップラ710と受電カップラ720との間の伝送距離を200mmとしたときに高い伝送効率が得られる。
【0071】
本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700では、金属板760を備えることにより、送電カップラ710と受電カップラ720との間の伝送距離を比較例4より延伸することができる。
図22(a)に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700aでは、伝送距離を比較例4の約1.5倍に相当する300mmに延伸することができ、
図22(b)に示す電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700bでは、伝送距離を比較例4の約3.5倍に相当する700mmに延伸することができる。
【0072】
伝送距離を上記のように設定したときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700a、700b及び比較例4の伝送効率η21を、それぞれ
図24、25に示す。
図24、25は、横軸を周波数としたときの伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。
図24、25より、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700a、700b、及び比較例4とも、約95%の伝送効率を実現している。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置700a、700bは、同じ伝送効率で比較例4の約1.5〜3.5倍まで伝送距離を延伸することができる。
【0073】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置を、
図26を用いて説明する。
図26は、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800の構成を示す斜視図である。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800は、第1実施形態と同様に送電カップラ110、受電カップラ120及び金属支柱130を備えている。金属支柱130を備えることで送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を延伸することができるが、本実施形態ではさらに中継カップラ870を備えており、これにより伝送距離をさらに延伸することが可能となっている。
【0074】
中継カップラ870は、中心電極871と外周電極872を有しており、それぞれにインダクタ873、874が接続されている。中継カップラ870では、インダクタ873と874との間がショートされている。中継カップラ870の中心電極871、外周電極872及びインダクタ873、874は、送電カップラ110及び受電カップラ120のそれぞれと同じ寸法とすることができる。中継カップラ870を送電カップラ110と受電カップラ120との間に配置し、中心電極111、121、及び871のそれぞれに形成された貫通孔に金属支柱130を貫通させることにより、伝送距離を第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100よりさらに延伸することができる。
【0075】
本実施形態では、送電カップラ110と中継カップラ870との間の伝送距離、及び中継カップラ870と受電カップラ120との間の伝送距離、をそれぞれ450mmとしており、送電カップラ110と受電カップラ120との間の伝送距離を、第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100の伝送距離のさらに2倍の900mmに延伸することができる。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800の伝送効率η21を
図27に示す。
図27は、横軸を周波数としたときの本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800の伝送効率η21の変化を示しており、併せて反射損η11、|S11|及び|S21|を示している。
【0076】
図27に示すように、本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800では、伝送距離を900mmまで大幅に延伸しても約92%の高い伝送効率を実現することが可能となっている。
【0077】
なお、上記では第1実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置100に中継カップラ870を追加した構成について説明したが、これに限定されず、他の実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置に同様の中継カップラを追加することも可能である。例えば、送電カップラ110、受電カップラ120及び中継カップラ870を取り囲むように金属壁を設けてもよく、金属壁の上下端にショート板を設けてもよい。あるいは、金属支柱と金属壁を湾曲させてもよい。さらには、送受電カップラ及び中継カップラに矩形電極を用いてもよい。中継カップラは、上記いずれの実施形態においても適用可能である。
【0078】
中継カップラ870は、送電カップラ110と受電カップラ120との中間位置に配置する必要は必ずしもなく、例えば中間位置から所定の範囲で上下に移動させるようにすることも可能である。本実施形態の電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800を作業ロボットに適用した一例を
図28に示す。図示されていないが、受電カップラ120は誘電体等の台で支持され、カップラの先には整流器、DC−DCコンバータ、モーターが接続されている。受電カップラ120には把持用アーム51が設置されている。モーターの回転に伴い受電カップラ120は回転し、把持用アーム51も回転する。更にモーターの回転はギア、カム等を通じ把持用アーム51の駆動に利用されている。これにより把持用アーム51は受電カップラ120から一定距離以内の任意の物体を把持することが可能となる。
【0079】
同様に中継カップラ870は、誘電体等の台で支持され、カップラには整流器、DC−DCコンバータ、モーターが接続されている。中継カップラ870には溶接用アーム52とねじ締め用アーム53が設置されている。モーターの回転に伴い中継カップラ870は回転し、溶接用アーム52とねじ締め用アーム53も回転する。また、モーターの回転をギア、カム等を通じ上下駆動力に変換することで、中継カップラ870及び溶接用アーム52とねじ締め用アーム53を上下に駆動させることができる。更にモーターの回転は溶接用アーム52とねじ締め用アーム53の駆動に利用されている。これらにより溶接用アーム52とねじ締め用アーム53は中継カップラ870の回転、上下移動可能領域から一定距離以内の任意の物体に対して溶接、ねじ締めの作業を行うことができる。
【0080】
このような作業ロボットは従来はケーブルでモーターに電力を送っていたが、ケーブルを使用した場合ケーブルの取り回し、よじれ耐性などから可動域に制約を受ける。本構成であればケーブルによる稼働の制約は全く無くなり無くなり、作業領域を大幅に拡大させることができる。尚、中継カップラ870に給電するときは、受電カップラ120の出力端子はオープンとすることで、送電側カップラ110の出力を効率よく中継カップラ870に送ることが出来る。
【0081】
また、本実施形態の別の実施例として、電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置800においてカップラを矩形型とし作業用リフトに適用した例を
図29に示す。図示されていないが、受電カップラ720は誘電体等の台で支持され、カップラの先には整流器、DC−DCコンバータ、モーターが接続されている。モーターの回転はギア、カム等を通じ受電カップラ720即ち台の上下の駆動に利用されている。即ち台の上に荷物を置き荷物を上下方向に移動させることが可能となる。同様に中継カップラ870は誘電体等の台で支持され、カップラには整流器、DC−DCコンバータ、モーターが接続されている。モーターの回転はギア、カム等を通じ中継カップラ870即ち台の上下の駆動に利用されている。即ち台の上に荷物を置き荷物を上下方向に移動させることが可能となる。このような作業用リフトには一般に有線ケーブルが伴うが、本構成であればケーブルの取り回しに伴うリフトの可動範囲の制約から解放される。尚、中継カップラ870に給電するときは、受電カップラ720の出力端子はオープンとすることで、送電側カップラ710の出力を効率よく中継カップラ870に送ることが出来る。
【0082】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における電界共鳴型ワイヤレス電力伝送装置の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。