(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインを通じて洗浄液または処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を実行することを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインまたは前記処理液供給ラインに取り付けられたフィルタの交換を促す警報を発することを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
処理液供給源に接続された分配ラインを通じて基板処理装置内の処理液供給ラインに洗浄液または処理液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導く工程と、
前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を前記基板処理装置内で処理する工程と、
前記基板の膜厚を測定する工程とを含み、
前記膜厚の測定値が所定の許容範囲を超えた場合には、前記分配ラインを通じて前記洗浄液または前記処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を再度実行することを特徴とする基板処理方法。
処理液供給源に接続された分配ラインを通じて基板処理装置内の処理液供給ラインに洗浄液または処理液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導く工程と、
前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を前記基板処理装置内で処理する工程と、
前記基板の欠陥を検出する工程とを含み、
検出された前記欠陥の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインを通じて前記洗浄液または前記処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を再度実行することを特徴とする基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、本来の性質を発揮した処理液をウェハなどの基板に直接または間接に供給しながら該基板を処理することができる基板処理システムおよび基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、処理液を処理液供給源から該処理液供給源に接続されたラインに供給する基板処理方法であって、前記ラインは、前記処理液供給源に接続された分配ラインと、該分配ラインに接続された処理液供給ラインと、該処理液供給ラインから分岐して液体廃棄箇所まで延びるドレインラインとを含み、前記処理液供給源から処理液を供給して、前記分配ライン内および前記処理液供給ライン内に残留している処理液を押し流し、前記ドレインラインを通じて前記処理液を前記液体廃棄箇所まで導き、前記処理液供給ラインおよび前記ドレインラインに取り付けられたドレイン切り替え弁を操作して、前記ドレインラインを閉じ、前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を基板処理装置内で処理することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ラインは、洗浄液を前記分配ラインを通じて前記処理液供給ラインに供給する洗浄液供給ラインをさらに含み、前記分配ラインおよび前記洗浄液供給ラインには、前記処理液または前記洗浄液のいずれか一方が前記分配ライン内を流れることを許容する供給切り替え弁が取り付けられており、前記基板の処理が行われる前に、前記供給切り替え弁を作動させて前記洗浄液を前記処理液供給ライン内に流すことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、単位体積当たりの前記処理液に含まれる粒子の数を測定する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、警報を発し、または前記基板処理装置の運転を停止することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインを通じて洗浄液または処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインまたは前記処理液供給ラインに取り付けられたフィルタの交換を促す警報を発することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
本発明の他の態様は、処理液供給ラインに接続された処理液供給ノズルから処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を処理する基板処理装置と、処理液供給源と前記処理液供給ラインとを接続する分配ラインと、前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄するフラッシング装置とを備え、前記フラッシング装置は、洗浄液を前記分配ラインに供給する洗浄液供給ラインと、前記分配ラインを通じて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導くドレイン機構と、前記分配ラインおよび前記洗浄液供給ラインに取り付けられ、前記処理液または前記洗浄液のいずれか一方が前記分配ライン内を流れることを許容する供給切り替え弁と、前記ドレイン機構および前記供給切り替え弁の動作を制御する動作制御部とを備え、前記分配ラインおよび前記供給切り替え弁は、前記基板処理装置の外に配置されており、前記ドレイン機構は、前記処理液供給ノズルを、前記基板を処理するための所定位置から、前記液体廃棄箇所の上方の位置に移動させるノズル移動機構であることを特徴とする基板処理システムである。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい
参考例は、前記ドレイン機構は、前記処理液供給ラインから分岐して前記液体廃棄箇所まで延びるドレインラインと、前記処理液供給ラインおよび前記ドレインラインに取り付けられたドレイン切り替え弁とを備え、前記ドレイン切り替え弁は、前記処理液供給ラインを流れる前記洗浄液を前記ドレインラインに導くように構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記ドレイン切り替え弁は、前記処理液供給ノズルの直ぐ上流側に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記動作制御部は、前記基板の処理が行われる前に、前記供給切り替え弁を作動させて前記洗浄液を前記処理液供給ライン内に流すことを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい
参考例は、前記動作制御部は、前記基板処理装置の運転時間が所定の時間に達したときに、前記供給切り替え弁および前記ドレイン機構を作動させて前記洗浄液を前記処理液供給ライン内に流しつつ、前記洗浄液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、単位体積当たりの前記処理液に含まれる粒子の数をカウントする粒子測定装置をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記動作制御部は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、警報を発し、または前記基板処理装置の運転を停止することを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記動作制御部は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記供給切り替え弁を作動させて前記洗浄液を前記分配ラインを通じて前記処理液供給ライン内に流し、かつ前記ドレイン機構を作動させて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記処理液に含まれる前記粒子を捕捉するためのフィルタをさらに備え、前記粒子測定装置は前記フィルタの下流側に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい
参考例は、前記動作制御部は、前記粒子の数が所定のしきい値に達した場合には、前記フィルタの交換を促す警報を発することを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、処理液供給ラインに接続された処理液供給ノズルから処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を処理する基板処理装置と、処理液供給源と前記処理液供給ラインとを接続する分配ラインと、前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄するフラッシング装置と、前記基板の膜厚を測定する膜厚測定器とを備え、前記フラッシング装置は、洗浄液を前記分配ラインに供給する洗浄液供給ラインと、前記分配ラインを通じて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導くドレイン機構と、前記分配ラインおよび前記洗浄液供給ラインに取り付けられ、前記処理液または前記洗浄液のいずれか一方が前記分配ライン内を流れることを許容する供給切り替え弁と、前記ドレイン機構および前記供給切り替え弁の動作を制御する動作制御部とを備え、前記分配ラインおよび前記供給切り替え弁は、前記基板処理装置の外に配置されており、前記動作制御部は、前記膜厚の測定値が所定の許容範囲を超えた場合には、前記供給切り替え弁を作動させて前記洗浄液または前記処理液を前記分配ラインを通じて前記処理液供給ライン内に流し、かつ前記ドレイン機構を作動させて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする基板処理システムである。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様は、処理液供給ラインに接続された処理液供給ノズルから処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を処理する基板処理装置と、処理液供給源と前記処理液供給ラインとを接続する分配ラインと、前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄するフラッシング装置と、前記基板の欠陥を検出する基板検査器とを備え、前記フラッシング装置は、洗浄液を前記分配ラインに供給する洗浄液供給ラインと、前記分配ラインを通じて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導くドレイン機構と、前記分配ラインおよび前記洗浄液供給ラインに取り付けられ、前記処理液または前記洗浄液のいずれか一方が前記分配ライン内を流れることを許容する供給切り替え弁と、前記ドレイン機構および前記供給切り替え弁の動作を制御する動作制御部とを備え、前記分配ラインおよび前記供給切り替え弁は、前記基板処理装置の外に配置されており、前記動作制御部は、検出された前記欠陥の数が所定のしきい値に達した場合には、前記供給切り替え弁を作動させて前記洗浄液または前記処理液を前記分配ラインを通じて前記処理液供給ライン内に流し、かつ前記ドレイン機構を作動させて前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする基板処理システムである。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の
一参考例は、処理液供給源に接続された分配ラインを通じて基板処理装置内の処理液供給ラインに洗浄液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液を液体廃棄箇所にまで導き、前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を前記基板処理装置内で処理することを特徴とする基板処理方法である。
【0011】
本発明の好ましい
参考例は、前記処理液供給源から新たな処理液を前記分配ラインに供給して前記分配ライン内に残留している処理液を押し流し、さらに前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする
。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、処理液供給源に接続された分配ラインを通じて基板処理装置内の処理液供給ラインに洗浄液または処理液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導く工程と、前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を前記基板処理装置内で処理する工程と、前記基板の膜厚を測定する工程とを含み、前記膜厚の測定値が所定の許容範囲を超えた場合には、前記分配ラインを通じて前記洗浄液または前記処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を再度実行することを特徴とする基板処理方法である。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様は、処理液供給源に接続された分配ラインを通じて基板処理装置内の処理液供給ラインに洗浄液または処理液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液または前記処理液を液体廃棄箇所にまで導く工程と、前記処理液供給ラインを通じて処理液を基板に直接または間接に供給しながら、該基板を前記基板処理装置内で処理する工程と、前記基板の欠陥を検出する工程とを含み、検出された前記欠陥の数が所定のしきい値に達した場合には、前記分配ラインを通じて前記洗浄液または前記処理液を前記処理液供給ラインに流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記洗浄液または前記処理液を前記液体廃棄箇所にまで導く工程を再度実行することを特徴とする基板処理方法である。
本発明の好ましい態様は、前記処理液供給ラインおよび前記分配ラインは、前記基板処理装置のハウジングに設けられた接続部によって互いに接続されていることを特徴とする。
本発明の好ましい参考例は、前記基板処理装置の運転時間が所定の時間に達したときに、前記分配ラインを通じて前記処理液供給ラインに前記洗浄液を流して前記分配ラインおよび前記処理液供給ラインを洗浄しながら、前記処理液供給ラインに供給された前記洗浄液を前記液体廃棄箇所にまで導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
洗浄液は分配ラインおよび処理液供給ライン内を流れて、分配ラインおよび処理液供給ラインに滞留している劣化した処理液を洗い流す。さらに、洗浄液は、処理液とともにドレイン機構によって液体廃棄箇所に導かれ、液体廃棄箇所に排出される。したがって、洗浄液および劣化した処理液は基板には供給されず、基板の処理に悪影響を与えることがない。分配ラインおよび処理液供給ラインを洗浄液で洗浄した後は、本来の性質を発揮することができる処理液が基板に直接または間接に供給される。したがって、基板の処理を正常に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1乃至
図11において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、基板処理装置1の一実施形態を示す平面図である。この基板処理装置1は、ウェハなどの基板の研磨、洗浄、および乾燥を含む複数の処理を実行することができる複合装置である。
図1に示すように、基板処理装置1は、略矩形状のハウジング10と、多数のウェハを収容する基板カセットが載置されるロードポート12を備えている。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。ロードポート12には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0017】
ハウジング10の内部には、ウェハを洗浄する複数(この実施形態では4つ)の研磨ユニット14a〜14dと、研磨されたウェハを洗浄する第1洗浄ユニット16及び第2洗浄ユニット18と、洗浄されたウェハを乾燥させる乾燥ユニット20が収容されている。研磨ユニット14a〜14dは、基板処理装置1の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット16,18及び乾燥ユニット20も基板処理装置1の長手方向に沿って配列されている。
【0018】
ロードポート12、研磨ユニット14a、及び乾燥ユニット20に囲まれた領域には、第1基板搬送ロボット22が配置され、また研磨ユニット14a〜14dと平行に、基板搬送ユニット24が配置されている。第1基板搬送ロボット22は、研磨すべきウェハをロードポート12から受け取って基板搬送ユニット24に渡すとともに、乾燥されたウェハを乾燥ユニット20から受け取ってロードポート12に戻す。基板搬送ユニット24は、第1基板搬送ロボット22から受け取ったウェハを搬送して、各研磨ユニット14a〜14dとの間でウェハの受け渡しを行う。各研磨ユニット14a〜14dは、研磨面に研磨液(スラリー)を供給しながら、ウェハを研磨面に摺接させることで、ウェハの表面を研磨する。
【0019】
第1洗浄ユニット16と第2洗浄ユニット18の間に位置して、これらの洗浄ユニット16,18および基板搬送ユニット24の間でウェハを搬送する第2基板搬送ロボット26が配置される。第2洗浄ユニット18と乾燥ユニット20との間に位置して、これらの各ユニット18,20の間でウェハを搬送する第3基板搬送ロボット28が配置されている。更に、ハウジング10の内部に位置して、基板処理装置1の各ユニットの動きを制御する処理制御部29が配置されている。
【0020】
第1洗浄ユニット16および第2洗浄ユニット18として、薬液の存在下で、ウェハの表裏両面にロールスポンジを擦り付けてウェハを洗浄する第1洗浄ユニット16が使用されている。第2洗浄ユニット18として、薬液の存在下でペン型のスポンジをウェハに擦り付ける洗浄装置が使用されてもよい。乾燥ユニット20として、移動するノズルからIPA蒸気を噴出してウェハを乾燥させ、更にウェハを高速で回転させることによってウェハを乾燥させるスピン乾燥装置が使用されている。
【0021】
ウェハは、研磨ユニット14a〜14dの少なくとも1つにより研磨される。研磨されたウェハは、第1洗浄ユニット16と第2洗浄ユニット18により洗浄され、さらに洗浄されたウェハは乾燥ユニット20により乾燥される。
【0022】
乾燥ユニット20で乾燥されたウェハは、第1基板搬送ロボット22によって膜厚測定器21に搬送される。この膜厚測定器21は、ウェハの膜厚を測定するように構成されている。膜厚の測定後、第1基板搬送ロボット22は、ウェハを膜厚測定器21から取り出してロードポート12に戻す。
【0023】
研磨ユニット14a〜14dは、同一の構成を有している。したがって、以下、研磨ユニット14aについて説明する。
図2は
図1に示す基板処理装置1に組み込まれた研磨ユニット14aの斜視図である。
図2に示すように、研磨ユニット14aは、研磨パッド41を支持する研磨テーブル42と、基板の一例であるウェハWを研磨パッド41に押し付けるトップリング43と、研磨パッド41に研磨液を供給する研磨液供給ノズル50とを備えている。
【0024】
研磨テーブル42は、テーブル軸45を介してその下方に配置されるテーブルモータ46に連結されており、このテーブルモータ46により研磨テーブル42が矢印で示す方向に回転されるようになっている。研磨パッド41は研磨テーブル42の上面に貼付されており、研磨パッド41の上面がウェハWを研磨する研磨面41aを構成している。トップリング43はトップリングシャフト47の下端に固定されている。トップリング43は、その下面に真空吸引によりウェハWを保持できるように構成されている。トップリングシャフト47は、トップリングアーム48内に設置された図示しない回転装置に連結されており、トップリング43はこの回転装置によりトップリングシャフト47を介して回転駆動されるようになっている。トップリング43は、ウェハWを保持して回転させる基板保持部である。
【0025】
図3は
図2に示す研磨ユニット14aを上から見た図である。
図3に示すように、研磨液供給ノズル50はノズル旋回軸51に固定されており、ノズル旋回軸51を中心として旋回可能に構成されている。ノズル旋回軸51は、ノズル移動機構としてのノズルモータ52に連結されており、このノズルモータ52によって、研磨液供給ノズル50は、研磨パッド41の外側にある待避位置P1と研磨パッド41の上方の処理位置P2との間を移動可能に構成されている。
【0026】
ウェハWの研磨は次のように行われる。トップリング43および研磨テーブル42をそれぞれ
図2の矢印で示す方向に回転させる。この状態で、処理位置P2にある研磨液供給ノズル50から研磨液を研磨パッド41の研磨面41a上に供給しながら、トップリング43はウェハWを研磨パッド41の研磨面41aに押し付ける。ウェハWは、研磨面41a上に保持された研磨液の存在下で研磨パッド41に摺接される。ウェハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒の機械的作用と研磨液の化学成分の化学的作用により研磨される。
【0027】
研磨ユニット14aは、研磨パッド41をドレッシングするためのドレッシング装置54をさらに備えている。ドレッシング装置54は、研磨パッド41の研磨面41aに接触するドレッサ56と、ドレッサ56を支持するドレッサアーム57と、ドレッサアーム57を旋回させるドレッサ旋回軸58とを備えている。ドレッサ56は、ドレッサアーム57内に設置された図示しないモータにより回転されるように構成されている。ドレッサ56の下面は、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒からなるドレッシング面を構成する。
【0028】
研磨パッド41のドレッシングは、ウェハWの研磨後に行われる。すなわち、ウェハWの研磨後、ウェハWを保持したトップリング43を研磨テーブル42の外側に移動させる。次いで、ドレッサ56はその軸心まわりに回転しながら、研磨パッド41の研磨面41aに押し付けられる。この状態で、ドレッサアーム57の旋回に伴って、ドレッサ56は研磨面41a上を揺動する。ドレッサ56は、研磨パッド41を僅かに削り取ることにより研磨面41aをドレッシングする。研磨パッド41のドレッシング中、研磨液に代えて純水が研磨液供給ノズル50から研磨パッド41に供給される。
【0029】
図4は、第1洗浄ユニット16を示す斜視図である。この実施形態では、ウェハWを洗浄するスポンジ洗浄具として、水平方向に延びるロールスポンジが使用されている。第1洗浄ユニット16は、ウェハWを保持して回転させる4つの保持ローラー71,72,73,74と、ウェハWの上下面にそれぞれ接触する円柱状のロールスポンジ77,78と、これらのロールスポンジ77,78をその中心軸線まわりに回転させる洗浄具回転装置80,81と、ウェハWの上面にリンス液(例えば純水)を供給する上側リンス液供給ノズル85と、ウェハWの上面に薬液を供給する上側薬液供給ノズル87とを備えている。図示しないが、ウェハWの下面にリンス液(例えば純水)を供給する下側リンス液供給ノズルと、ウェハWの下面に薬液を供給する下側薬液供給ノズルが設けられている。使用される薬液の一例は、ウェハWの表面を構成する薄膜に対してエッチング作用を有するエッチング液である。
【0030】
保持ローラー71,72,73,74は、ウェハWを保持して回転させる基板保持部を構成する。保持ローラー71,72,73,74は図示しない駆動機構(例えばエアシリンダ)によって、ウェハWに近接および離間する方向に移動可能となっている。4つの保持ローラーのうちの2つの保持ローラー71,74は、基板回転装置75に連結されており、これら保持ローラー71,74は基板回転装置75によって同じ方向に回転されるようになっている。4つの保持ローラー71,72,73,74がウェハWを保持した状態で、2つの保持ローラー71,74が回転することにより、ウェハWはその中心軸線まわりに回転する。
【0031】
上側のロールスポンジ77を回転させる洗浄具回転装置80は、その上下方向の動きをガイドするガイドレール89に取り付けられている。また、この洗浄具回転装置80は昇降駆動機構82に支持されており、洗浄具回転装置80および上側のロールスポンジ77は昇降駆動機構82により上下方向に移動されるようになっている。
【0032】
図示しないが、下側のロールスポンジ78を回転させる洗浄具回転装置81もガイドレールに支持されており、昇降駆動機構によって洗浄具回転装置81および下側のロールスポンジ78が上下動するようになっている。昇降駆動機構としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが使用される。ウェハWの洗浄時には、ロールスポンジ77,78は互いに近接する方向に移動してウェハWの上下面に接触する。
【0033】
次に、ウェハを洗浄する工程について説明する。保持ローラー71,72,73,74によりウェハWをその中心軸線まわりに回転させる。次いで、上側薬液供給ノズル87および図示しない下側薬液供給ノズルからウェハWの上面及び下面に薬液が供給される。この状態で、ロールスポンジ77,78がその水平に延びる中心軸線まわりに回転しながらウェハWの上下面に摺接することによって、ウェハWの上下面をスクラブ洗浄する。ロールスポンジ77,78は、ウェハWの直径よりも長く、ウェハWの上下面全体に接触するようになっている。スクラブ洗浄後、ロールスポンジ77,78をウェハWの上下面に摺接させながら、回転するウェハWの上面及び下面にリンス液を供給することによってウェハWのリンスが行われる。
【0034】
上述したように、研磨ユニット14a〜14dおよび洗浄ユニット16,18は、ウェハに処理液を供給しながら該ウェハを処理する処理ユニットである。すなわち、研磨ユニット14a〜14dは、研磨パッド41を通じて研磨液をウェハに間接的に供給しながらウェハを研磨する。洗浄ユニット16,18は、薬液を直接ウェハに供給しながらウェハを洗浄する。以下、研磨ユニット14a〜14dおよび洗浄ユニット16,18を総称して処理ユニットと呼び、研磨液(スラリー)および薬液を総称して処理液と呼ぶ。
【0035】
図5は処理ユニットに処理液を供給する処理液供給ライン92と、この処理液供給ライン92を洗浄するフラッシング装置を示す模式図である。
図5に示す処理液供給ライン92は、処理液として研磨液(スラリー)を研磨ユニット14aの研磨液供給ノズル50に供給するための処理液供給ラインの一例である。研磨ユニット14b〜14dに処理液としての研磨液を供給するための処理液供給ラインも同様の構成を有している。処理液供給ライン92は、基板処理装置1のハウジング10内に設置されている。
【0036】
以下の説明では、研磨液を処理液と称し、研磨液供給ノズルを処理液供給ノズルと称する。
図5に示すように、基板処理装置1は、処理液を処理液供給ノズル50に供給する処理液供給ライン92を備えている。処理液供給ライン92の一端は処理液供給ノズル50に接続され、他端は基板処理装置1の外側に設けられた分配ライン93に接続されている。処理液供給ライン92および分配ライン93は接続部114によって互いに接続されている。この接続部114は、基板処理装置1のハウジング10に設けられている。分配ライン93は、処理液供給源としての処理液循環ライン97と、処理液供給ライン92とを接続している。この処理液循環ライン97は、基板処理装置1が設置されている工場内に敷設されており、処理液は処理液循環ライン97を通って工場内を循環している。処理液循環ライン97を通って循環する処理液の一部は、分配ライン93に流入し、基板処理装置1内に導入される。さらに、処理液は、処理液供給ライン92を通って処理液供給ノズル50に移送される。
【0037】
分配ライン93には、処理液に含まれる粗大粒子を捕捉するためのフィルタ94が取り付けられている。このフィルタ94は、所定のサイズ以上の粗大粒子を捕捉するように構成されている。処理液はフィルタ94を通過し、その後処理液供給ライン92に流入するようになっている。本実施形態ではフィルタ94は基板処理装置1の外側に配置されているが、基板処理装置1の内側に配置されてもよい。つまり、フィルタ94を処理液供給ライン92に取り付けてもよい。
【0038】
フラッシング装置は、洗浄液を用いて分配ライン93および処理液供給ライン92の内部を洗浄する洗浄装置である。このフラッシング装置は、洗浄液を分配ライン93を通じて処理液供給ライン92に供給する洗浄液供給ライン99と、処理液供給ライン92に供給された洗浄液を、研磨パッド41の外に位置するドレイン(液体廃棄箇所)100にまで導くドレイン機構101とを備えている。洗浄液は、分配ライン93および処理液供給ライン92内を勢いよく流れて分配ライン93および処理液供給ライン92内に滞留する処理液を除去するためのフラッシング流体である。より具体的には、洗浄液は、分配ライン93内に供給され、処理液よりも高い流速で分配ライン93内を流れ、さらに処理液供給ライン92内を流れる。
【0039】
処理液または洗浄液のいずれか一方が分配ライン93および処理液供給ライン92内を流れることを許容する供給切り替え弁104が分配ライン93および洗浄液供給ライン99に取り付けられている。洗浄液供給ライン99は、供給切り替え弁104を介して分配ライン93に連結されている。供給切り替え弁104はフィルタ94の上流側に配置されている。初期状態の供給切り替え弁104は、洗浄液供給ライン99を閉じつつ、分配ライン93を開いて処理液が分配ライン93を通って処理液供給ライン92に流入することを許容する。
【0040】
供給切り替え弁104が操作されると、供給切り替え弁104は分配ライン93と処理液循環ライン97との接続を遮断しつつ、洗浄液供給ライン99と分配ライン93とを接続し、これによって洗浄液が洗浄液供給ライン99および分配ライン93を通って処理液供給ライン92内に流れる。供給切り替え弁104には三方弁または複数の開閉弁の組み合わせが使用される。洗浄液供給ライン99および供給切り替え弁104は、基板処理装置1の外に配置され、ドレイン機構101は基板処理装置1内に配置されている。供給切り替え弁104は処理液循環ライン97と分配ライン93との接続点の直ぐ下流側に配置されていることが好ましい。このような配置により、分配ライン93の大部分に洗浄液を流すことができる。
【0041】
ドレイン機構101は、処理液供給ライン92から分岐してドレイン100まで延びるドレインライン110と、処理液供給ライン92およびドレインライン110に取り付けられたドレイン切り替え弁107とを備えている。ドレイン切り替え弁107は、接続部114の下流側に配置されている。好ましくは、ドレイン切り替え弁107は、接続部114の直ぐ下流側に配置されている。
【0042】
ドレイン切り替え弁107は、処理液供給ライン92を流れる洗浄液をドレインライン110に導くように構成されている。より具体的には、初期状態にあるドレイン切り替え弁107は、ドレインライン110を閉じつつ、処理液供給ライン92の上流流路と下流流路とを連通させて処理液が処理液供給ライン92を通って処理液供給ノズル50に流れることを許容する。ドレイン切り替え弁107が操作されると、ドレイン切り替え弁107は処理液供給ライン92を閉じつつ、ドレインライン110と処理液供給ライン92とを接続し、これによって処理液供給ライン92を流れる処理液をドレインライン110に導く。
図5では、ドレイン切り替え弁107はフィルタ94の下流側に配置されているが、ドレイン切り替え弁107の配置箇所はこの実施形態に限定されない。例えば、フィルタ94は処理液供給ノズル50の直ぐ上流側に配置してもよい。ドレイン切り替え弁107には三方弁または複数の開閉弁の組み合わせが使用される。
【0043】
洗浄液(フラッシング流体)は、分配ライン93内を流れて分配ライン93内に残留している処理液を押し流す。さらに、洗浄液(フラッシング流体)は、処理液供給ライン92内を流れて処理液供給ライン92内に残留している処理液を押し流す。このようにして、洗浄液は、分配ライン93および処理液供給ライン92内に残留している劣化した処理液を除去し、さらには分配ライン93および処理液供給ライン92内を洗浄することができる。処理液は、洗浄液とともに、ドレインライン110を通ってドレイン100に排出(廃棄)される。
【0044】
分配ライン93および処理液供給ライン92内があまり汚れていない場合は、処理液循環ライン97から新たな処理液を分配ライン93に供給し、残留している処理液を押し流してもよい。しかしながら、古い処理液を基板処理装置1の外部から内部に導入することは、基板処理装置1の内部を清浄に保つ観点から好ましくない。そこで、ドレイン切り替え弁107およびドレイン100は、処理液供給ライン92と分配ライン93とを接続する接続部114の近傍に配置されている。新たな処理液で古い処理液を押し流すときは、ドレイン切り替え弁107が操作され、処理液供給ライン92の上流流路がドレインライン110に接続される。新たな処理液は基板処理装置1内に流入した後、すぐにドレインライン110に導かれ、ドレイン100に排出(廃棄)される。したがって、基板処理装置1の内部を清浄に保つことができる。
【0045】
新たな処理液は、古い処理液を押し流すだけで、処理液供給ライン92および分配ライン93の内部を洗浄することはあまり期待できない。そこで、処理液供給ライン92および分配ライン93の内部の汚れがひどい場合には、ドレイン切り替え弁107および供給切り替え弁104を操作して、洗浄液を分配ライン93に導入する。洗浄液は、分配ライン93および処理液供給ライン92を流れてこれらの内部を洗浄し、さらにドレインライン110を通じてドレイン100に排出(廃棄)される。この場合も、洗浄液および古い処理液は、基板処理装置1内に流入した後、すぐにドレインライン110に導かれるため、基板処理装置1の内部が古い処理液で汚染されることはない。
【0046】
ドレイン切り替え弁107および供給切り替え弁104の動作は、動作制御部30によって制御される。動作制御部30は、基板処理装置1の処理制御部29と一体に構成されてもよい。分配ライン93および処理液供給ライン92内を洗浄するとき、動作制御部30は供給切り替え弁104およびドレイン切り替え弁107を作動させて、洗浄液供給ライン99と分配ライン93とを連通させるとともに、ドレインライン110と処理液供給ライン92とを連通させる。洗浄液は、洗浄液供給ライン99から供給切り替え弁104を通じて分配ライン93内に供給され、分配ライン93および処理液供給ライン92をこの順に流れ、さらにドレイン切り替え弁107およびドレインライン110を通ってドレイン100に排出(廃棄)される。このように、洗浄液は、研磨パッド41を通らずに、直接ドレイン100に導かれる。ドレイン100は液体廃棄箇所の一例であり、液体廃棄箇所は処理液を廃棄するための構造体であってもよい。
【0047】
処理液供給ライン92には純水切り替え弁112が取り付けられており、この純水切り替え弁112には純水供給ライン113が接続されている。純水切り替え弁112は、ドレイン切り替え弁107の下流側に配置されている。純水切り替え弁112は、ドレイン切り替え弁107の直ぐ下流側に配置されていることが好ましい。純水切り替え弁112の動作は、動作制御部30によって制御される。
【0048】
純水切り替え弁112を作動させると、処理液供給ライン92の上流流路が閉じられ、その一方で純水供給ライン113と処理液供給ライン92の下流流路が接続される。洗浄液として機能する純水は、純水供給ライン113を通じて処理液供給ライン92内に供給され、処理液供給ライン92を流れ、処理液供給ノズル50から研磨パッド41上に供給される。純水は、定期的に(例えば、ウェハの処理が行われるたびに)処理液供給ライン92を通って処理液供給ノズル50に供給される。したがって、純水切り替え弁112から処理液供給ノズル50まで延びる処理液供給ライン92の内部、および処理液供給ノズル50の内部には、処理液は残留しない。
【0049】
洗浄液は、分配ライン93および処理液供給ライン92内を勢いよく流れ、劣化した処理液をドレイン100まで押し流す。分配ライン93および処理液供給ライン92内に長時間滞留した処理液は、本来の濃度分布から大きく変化した濃度分布を有していることがあり、さらには微小な粒子(通常は砥粒)が凝集して形成された粗大粒子を含むことがある。このような処理液は、研磨パッド41には供給されずに、ドレイン100に直接排出される。したがって、性質の変化した処理液がウェハの研磨に悪影響を与えることがない。
【0050】
分配ライン93および処理液供給ライン92の洗浄に使用される洗浄液(すなわちフラッシング流体)としては、純水、エッチング液、キレート剤を含む水溶液、ゼータ電位効果を及ぼす液体、超音波振動を与えた液体などが挙げられる。酸性またはアルカリ性の洗浄液が研磨パッド41、トップリング43、ドレッサ56、ロールスポンジ77,78などに付着すると、これら部材が汚染されることがある。本実施形態によれば、洗浄液が研磨パッド41の外にあるドレイン100内に排出されるので、洗浄液はこれらの部材に付着しない。
【0051】
ドレイン100に排出された洗浄液および処理液を基板処理装置1の外側まで導く移送ライン111を設けてもよい。移送ライン111はドレイン100から基板処理装置1の外側まで延びており、ドレイン100に排出された洗浄液および処理液は移送ライン111を通って基板処理装置1の外部に排出される。したがって、洗浄液および処理液によって基板処理装置1の内部が汚染されることを防止することができる。
【0052】
分配ライン93および処理液供給ライン92の洗浄は、ウェハの処理が行われる前、すなわちウェハの研磨が行われる前に実施される。例えば、基板処理装置1のアイドリング時や基板処理装置1の運転時間が所定の時間に達したときに洗浄液が供給される。したがって、分配ライン93および処理液供給ライン92に残留した古い処理液が除去され、本来の性質を発揮することができる新たな処理液が分配ライン93および処理液供給ライン92を通じて研磨パッド41に供給される。動作制御部30は、基板処理装置1のアイドリング時や基板処理装置1の運転時間が所定の時間に達したときに、ドレイン切り替え弁107および供給切り替え弁104を動作して、自動的に洗浄液を分配ライン93および処理液供給ライン92に供給してもよい。
【0053】
分配ライン93および処理液供給ライン92から洗浄液を除去して分配ライン93および処理液供給ライン92を清浄に保つために、これらライン92,93内の洗浄液を純水で置換することが望ましい。そこで、純水供給ライン116が洗浄液供給ライン99に接続されている。洗浄液供給ライン99には純水切り替え弁117が取り付けられており、純水供給ライン116は純水切り替え弁117を介して洗浄液供給ライン99に連結されている。
【0054】
純水切り替え弁117、供給切り替え弁104、およびドレイン切り替え弁107を作動させると、純水は純水供給ライン116および洗浄液供給ライン99を通じて分配ライン93内に供給される。純水は分配ライン93を通って処理液供給ライン92を流れ、さらに、ドレイン切り替え弁107およびドレインライン110を通ってドレイン100に排出される。このように、純水は分配ライン93および処理液供給ライン92の内部から洗浄液を除去し、これによって分配ライン93および処理液供給ライン92の内部を清浄に保つことができる。
【0055】
図6はフラッシング装置の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図5に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。この実施形態では、
図6に示すように、ドレイン切り替え弁107は処理液供給ノズル50の直ぐ上流側に配置されている。このような配置とすれば、分配ライン93および処理液供給ライン92の大部分に洗浄液を通過させることができ、分配ライン93および処理液供給ライン92の大部分を洗浄液で洗浄することができる。
【0056】
分配ライン93および処理液供給ライン92を洗浄した後は、分配ライン93および処理液供給ライン92内の洗浄液を純水で置換することが望ましい。純水切り替え弁117、供給切り替え弁104、およびドレイン切り替え弁107を作動させると、純水は純水供給ライン116および洗浄液供給ライン99を通じて分配ライン93内に供給される。純水は分配ライン93を通って処理液供給ライン92を流れ、さらに、ドレイン切り替え弁107およびドレインライン110を通ってドレイン100に排出される。純水を供給する前に、洗浄液と純水との混合流体を分配ライン93内に供給してもよい。
【0057】
ウェハ処理のために処理液を処理液供給ノズル50から供給した後は、処理液供給ノズル50および処理液供給ライン92内の処理液を純水で置換することが望ましい。純水切り替え弁112を作動させると、純水は、純水供給ライン113を通じて処理液供給ライン92内に供給され、処理液供給ライン92を流れ、処理液供給ノズル50から研磨パッド41上に供給される。このようにウェハ処理後に処理液供給ノズル50および処理液供給ライン92内の処理液は純水で置換されるので、処理液供給ノズル50および処理液供給ライン92内の処理液の滞留・凝集が防止される。ドレイン切り替え弁107は純水切り替え弁112の下流側に配置されている。したがって、純水は、処理液供給ライン92の全体から洗浄液を除去することができる。
【0058】
図7は、フラッシング装置のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図5に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。この実施形態では、ドレイン機構101は、処理液供給ノズル50を、研磨パッド41上方の処理位置P2から、ドレイン100の上方の待避位置P1に移動させるノズル移動機構としてのノズルモータ52から構成されている(待避位置P1および処理位置P2の詳細は
図3参照)。この実施形態では、上述したドレイン切り替え弁107およびドレインライン110は設けられていない。ドレイン100は、待避位置P1に移動された処理液供給ノズル50の下方に設けられている。
【0059】
ノズルモータ52の動作は動作制御部30によって制御される。すなわち、動作制御部30は、ウェハWの研磨が行われる前に、ノズルモータ52を作動させて処理液供給ノズル50をドレイン100上方の待避位置P1に移動させる。その後、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液(または純水)を分配ライン93を通じて処理液供給ライン92内に流す。分配ライン93および処理液供給ライン92内に滞留する処理液は、洗浄液(または純水)とともに、処理液供給ノズル50を通ってドレイン100に排出され、研磨パッド41上には供給されない。この実施形態によれば、処理液供給ライン92の全体および処理液供給ノズル50に洗浄液(または純水)を通過させることができ、処理液供給ライン92の全体および処理液供給ノズル50を洗浄液(または純水)で洗浄することができる。
【0060】
接続部114と処理液供給ノズル50との距離を可能な限り短くすることが好ましいが、設置スペースの都合上、処理液供給ライン92にドレイン切り替え弁107を設けることが困難な場合もある。本実施形態では、ドレイン機構101はノズルモータ52から構成されているため、ドレイン切り替え弁107が不要である。
【0061】
フィルタ94は処理液に含まれる粗大粒子を捕捉するように構成されている。このフィルタ94が目詰まりを起こすと、フィルタ94の流入側の圧力が増加し、大量のパーティクルがフィルタ94から押し出されてしまう。大量のパーティクルを含む処理液は、ウェハに重大なダメージを与えてしまう。したがって、フィルタ94が目詰まりを起こす前にフィルタ94を交換する必要がある。フィルタ94の目詰まりを検出するために、流量計または圧力計が使用されることがある。しかしながら、流量計および圧力計はフィルタ94の目詰まりが起こったことを検出することはできるが、フィルタ94の目詰まりを予測することは難しい。そこで、フィルタ94の目詰まりを予測するために、
図5乃至
図7に示すように、フラッシング装置は、処理液供給ライン92を流れる処理液に含まれる粒子の数をカウントする(数える)粒子測定装置120を備えている。
【0062】
粒子測定装置120は、粒子の大きさを測定し、単位体積あたりの処理液に含まれる粒子の数を粒子の大きさ毎にカウントするように構成されている。粒子測定装置120は処理液供給ライン92に取り付けられており、フィルタ94の下流側に配置されている。粒子測定装置120は動作制御部30に接続されており、粒子の数を動作制御部30に送るように構成されている。粒子測定装置120はパーティクルモニターとも呼ばれる。
図5乃至
図7では、粒子測定装置120は基板処理装置1内に配置されているが、粒子測定装置120を分配ライン93に取り付けてもよい。
【0063】
動作制御部30は、粒子の数に基づいてフィルタ94の目詰まりを予測する。上述したように、フィルタ94が目詰まりを起こし始めると、フィルタ94を通過した処理液に含まれる粒子の数が増加する。動作制御部30は、単位体積あたりの処理液に含まれる粒子の数が所定のしきい値に達した時に、フィルタ94の交換を促す警報を発する。したがって、フィルタ94が目詰まりを起こす前にフィルタ94を交換することができる。
【0064】
動作制御部30は、粒子の数がしきい値に達した場合には、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液を分配ライン93および処理液供給ライン92内に流しつつ、ドレイン機構101を作動させて洗浄液を処理液とともにドレイン100にまで導くようにしてもよい。さらに、動作制御部30は、粒子の数がしきい値に達した場合には、警報を発し、および/または基板処理装置1の運転を停止してもよい。
【0065】
動作制御部30は、粒子の大きさの測定値が所定のしきい値に達した場合には、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液を分配ライン93および処理液供給ライン92内に流しつつ、ドレイン機構101を作動させて洗浄液を処理液とともにドレイン100にまで導くようにしてもよい。さらに、動作制御部30は、粒子の大きさの測定値が所定のしきい値に達した場合には、警報を発し、および/または基板処理装置1の運転を停止してもよい。
【0066】
膜厚測定器21(
図1参照)は動作制御部30に接続されており、膜厚測定器21はウェハの膜厚の測定値を動作制御部30に送るように構成されている。動作制御部30は、膜厚の測定値が所定の許容範囲を超えた場合には、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液を分配ライン93を通じて処理液供給ライン92内に流し、かつドレイン機構101を作動させて処理液供給ライン92に供給された洗浄液をドレイン100にまで導くようにしてもよい。動作制御部30は、膜厚の測定値が所定の許容範囲を超えた場合には、警報を発し、および/または基板処理装置1の運転を停止してもよい。
【0067】
図1に示す膜厚測定器21は、基板処理装置1に組み込まれた、いわゆるインライン型膜厚測定器であるが、膜厚測定器21は基板処理装置1の外部に設置されたスタンドアローン型の外部膜厚測定器であってもよい。動作制御部30は、膜厚の初期値と、膜厚の測定値と、研磨時間からウェハの研磨レートを算出し、この研磨レートが所定の許容範囲を超えた場合には、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液を分配ライン93を通じて処理液供給ライン92内に流し、かつドレイン機構101を作動させて処理液供給ライン92に供給された洗浄液をドレイン100にまで導くようにしてもよい。動作制御部30は、研磨レートが所定の許容範囲を超えた場合には、警報を発し、および/または基板処理装置1の運転を停止してもよい。
【0068】
図8は、基板処理装置1の外部に欠陥検査器23が設けられた例を示す模式図である。この欠陥検査器23は、ウェハの表面に形成された傷(スクラッチ)やウェハの表面に付着した異物などの欠陥を検出し、その欠陥の数をカウントするように構成されている。例えば、ウェハ表面に光線(可視光線、赤外線、紫外線など)を照射し、ウェハ表面からの散乱光からウェハ表面上の傷を検出する光散乱式の欠陥検査器が使用される。処理液に含まれるパーティクルが増えると、ウェハの表面に傷が形成されることがある。そこで、基板処理装置1で処理されたウェハは欠陥検査器23に搬送され、欠陥検査器23によりウェハ表面上に形成された傷が検出される。
【0069】
欠陥検査器23は、動作制御部30に接続されており、検出された傷の数が動作制御部30に送られるようになっている。動作制御部30は、検出された傷の数が所定のしきい値に達した場合は、供給切り替え弁104を作動させて洗浄液を分配ライン93を通じて処理液供給ライン92内に流し、かつドレイン機構101を作動させて処理液供給ライン92に供給された洗浄液をドレイン100にまで導くようにしてもよい。動作制御部30は、検出された傷の数が所定のしきい値に達した場合は、警報を発し、および/または基板処理装置1の運転を停止してもよい。
【0070】
図9,
図10,および
図11は、処理液としての薬液を洗浄ユニット16に供給するための処理液供給システムを示す模式図である。
図9,
図10,および
図11に示す処理液供給システムは、
図5,
図6,および
図7に示す処理液供給システムと基本的に同じ構成を有しており、
図9,
図10,および
図11に示す実施形態は、
図5,
図6,および
図7に示す実施形態に対応する。
図11においては、上側薬液供給ノズル87および図示しない下側薬液供給ノズルは、上側ノズルモータ122および図示しない下側ノズルモータによって、ウェハWの外側にある待避位置P1とウェハWの上方の処理位置P2との間を移動可能に構成されている。この
図11に示す実施形態では、ドレイン機構101は、上側ノズルモータ122および図示しない下側ノズルモータから構成される。
【0071】
図9乃至
図11に示すように、液体廃棄箇所の一例であるドレイン100は、ウェハWを保持する基板保持部である保持ローラー71,72,73,74の外側に位置している。したがって、ドレイン機構101が作動すると、処理液供給ライン92を流れた洗浄液および処理液(薬液)は、ウェハWには供給されずに、ドレイン100に直接導かれる。
【0072】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよい。