(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する光硬化型樹脂組成物であって、前記ポリエステルポリオールが、水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールと脂環式ジカルボン酸との反応物であり、オレフィン系樹脂部材の接着に使用することを特徴とする光硬化型樹脂組成物。
前記光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物中の前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量が20〜90質量%である請求項1又は2に記載の光硬化型樹脂組成物。
前記光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物中の前記単官能(メタ)アクリレート(C)の含有量が10〜80質量%である請求項4に記載の光硬化型樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する光硬化型樹脂組成物であり、前記ポリエステルポリオールとして、水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールと脂環式ジカルボン酸との反応物を使用する光硬化型樹脂組成物である。
[ポリエステルポリオール]
本発明に使用するポリエステルポリオールは、水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールと脂環式ジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールである。
【0010】
水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールとしては、式(1)で表される1,4−型の繰り返し単位を有する水素化ポリブタジエンの両末端に水酸基が付加した二価アルコール、式(2)で表される1,2−型の繰り返し単位を有する水素化ポリブタジエンの両末端に水酸基が付加した二価アルコール、式(1)で表される1,4−型の繰り返し単位と式(2)で表される1,2−型の繰り返し単位とを有する水素化ポリブタジエンの両末端に水酸基が付加した二価アルコール等が挙げられる。
【0013】
本発明で使用する水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールにおける重合体末端は、水酸基が付加された構造であればよいが、通常、−R
1−OH(R
1は、単結合か、あるいは、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していても良い炭素数3〜8のシクロアルキレン基、又は、それらの複合した基を表す。)で表される重合体末端である。なかでも、柔軟性に優れる点で、R
1が炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましい。
【0014】
上記のなかでも、式(1)で表される1,4−型の繰り返し単位と式(2)で表される1,2−型の繰り返し単位とを有する水素化ポリブタジエンの両末端に水酸基が付加した二価アルコールは、硬度と耐衝撃性とを兼備しやすいことから好ましく使用できる。1,4−型の繰り返し単位と1,2−型の繰り返し単位とを有する場合の各々の繰り返し単位の比率は特に制限されず、それぞれ5〜95モル%程度で調整すればよい。
【0015】
本発明に使用する脂環式ジカルボン酸は、脂環式構造にカルボキシル基が2つ結合したものである。当該脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等を例示できる。なかでも、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸は工業的に入手しやすい点で好ましい。
【0016】
[ポリイソシアネート]
本発明に使用するポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。なかでも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートは皮膜強度に優れるため好ましい。
【0017】
[水酸基含有(メタ)アクリレート]
本発明に使用する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、各種エポキシアクリレート等が挙げられる。なかでも、2−ヒドロキシエチルアクリレートは反応性が高いため好ましい。
【0018】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、水素化ポリブタジエンの末端に水酸基が付加した二価アルコールと脂環式ジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとを、ポリエステルポリオール中の水酸基に対しポリイソシアネート中のイソシアネート基が過剰となる条件で反応させ、得られた反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られる。
【0019】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量が2万〜10万の範囲であることにより、得られる樹脂組成物が塗工に適した低い粘度を有し、更に、硬化時の柔軟性に優れる接着層が得られるため好ましい。
【0020】
なお本発明における平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により求められる平均分子量である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製 TSKガードカラム SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ 4000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ 3000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ 2000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ 1000
検出器 ; RI(屈折率)、UV(紫外、モニター波長254nm)
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/min(Sample側)、0.175ml/min(Ref側)
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(注入量10μl)
【0021】
[光重合開始剤]
本発明に使用できる光重合開始剤(B)としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等の水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。
[光硬化型樹脂組成物]
本発明の光硬化型樹脂組成物は、前記ポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート(A)と光重合開始剤(B)を必須成分とする。前記成分を含有する光硬化型樹脂組成物は、ポリオレフィン系材料に対して高い接着性を示す。
【0022】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、柔軟性を一層向上させることを目的に、単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)を含有することも好ましい。
【0023】
前記単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。
【0024】
上記単官能(メタ)アクリレートモノマーの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートやラウリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0025】
また、耐久性や耐熱性等を向上させるために、必要に応じて、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用してもよい。2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を使用できる。また、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等を使用できる。
【0026】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、硬化後の接着層が柔軟性を有し、ポリオレフィン系材料に対して好適な接着性を得ることができる点で、該光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物中の前記ポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート(A)の含有量を20〜90質量%とすることが好ましく、30〜70質量%とすることが特に好ましい。
【0027】
また、ポリオレフィン系材料に対してより好適な接着性を得ることができる点で、該光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物中の前記単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)の含有量を10〜80質量%とすることが好ましく、30〜70質量%とすることが特に好ましい。
【0028】
光硬化型樹脂組成物に2官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用する場合には、光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物中の前記2官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
【0029】
本発明の光硬化型樹脂組成物中の前記光重合開始剤(B)の含有量は、光の感度を良好に保ち、かつ、結晶の析出や塗膜物性の劣化等を生じない点で、光硬化型樹脂組成物に含まれる光硬化性化合物100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0030】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、前記光重合開始剤に併せて種々の光増感剤を含有しても良い。光増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、かつ紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。また、光硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。
【0031】
更に必要に応じて、接着性、密着性を改善するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の助剤、或いは濡れ性や表面平滑性を改善する助剤を公知任意の量加えることができる。
【0032】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、無溶剤であっても塗工に適した低粘度を示すものであるが、必要に応じて有機溶剤を添加してもよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、トルエン、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。
【0033】
本発明の光硬化型樹脂組成物の粘度は、100mPa・s〜25000mPa・sの範囲であることが好ましく、500mPa・s〜10000mPa・sの範囲であることが特に好ましい。粘度がこの範囲であれば、高速塗工条件下であっても該光硬化型樹脂組成物を均一な厚みで塗布することができる。
【0034】
[使用態様]
本発明の光硬化型樹脂組成物は、上記構成によりオレフィン系材料に特に好適な接着性を実現できる。当該オレフィン系材料としては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等の環状オレフィン(シクロオレフィン)モノマー由来の構成単位を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、シクロオレフィンの開環重合体、2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物、鎖状オレフィンやビニル基を有する芳香族化合物とシクロオレフィンとの付加共重合体等が挙げられる。
【0035】
市販のシクロオレフィンポリマーとしては、例えば、日本ゼオン社製の「ZEONEX」や「ZEONOR」、JSR社製の「ARTON」、三井化学社製の「APEL」、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」等が挙げられる。
【0036】
本発明の光硬化型樹脂組成物を用いて2以上の部材を接着又は固定する際、該光硬化型樹脂組成物を厚さ0.5〜100μmの範囲で塗布することが好ましく、2〜50μmの範囲が特に好ましい。
【0037】
前記光硬化型樹脂組成物の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、ロールコーター塗工、スプレー塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられ、いずれの方法を用いても良い。
【0038】
前記光硬化型樹脂組成物を硬化させる際の活性化エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV−LEDを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。一方、電子線により硬化させる場合、通常10〜300kVの範囲である加速電圧を有する電子線加速装置が使用される。
【実施例】
【0039】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本説明をより具体的に説明する。
【0040】
<合成例1>
温度計、撹拌器、及びコンデンサーを備えたフラスコに、両末端水酸基水素化ポリブタジエン(1,4型/1、2型=1/2(モル比)相当,CRAY VALLEY社製「HLBH−P3000」)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量(Mn)15000)352gとオクテン酸亜鉛0.1gとメトキノン0.1gを仕込み、撹拌しながら80℃に昇温し、トリレンジイソシアネート8.2gを発熱に注意しながら30分かけて添加した。添加後、反応を5時間行い、その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.5gを添加し、更に7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収が消滅したことを確認し、ポリエステル系ウレタンアクリレート(A−1)を得た。GPCによる分子量分布測定結果からポリエステル系ウレタンアクリレート(A−1)の数平均分子量(Mn)は15400、重量平均分子量(Mw)=67000であった。
【0041】
本発明の比較例で用いたアクリレートオリゴマーを以下に示す。
(A−2)3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸及びイソフタル酸のポリエステルジオールをポリオール成分に持つポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製「UV−3200B」)
(A−3)1,6−ヘキサンジオールのカーボネートジオールをポリオール成分に持つポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製「UV−3310B」)
(A−4)ポリテトラメチレンエーテルグリコールをポリオール成分に持つポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業製「UV−6640B」)
(A−5)ポリブタジエン末端ジアクリレート(大阪有機化学工業製「BCA−45」)
(A−6)水添ポリブタジエン末端ジアクリレート(大阪有機化学工業製「SPBDA−30」)
【0042】
本発明の実施例・比較例で用いた光重合開始剤を以下に示す。
(B−1)2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製「IRGACURE651」)
【0043】
本発明の実施例・比較例で用いたアクリレートモノマーを以下に示す。
(C−1)ジシクロペンタニルアクリレ−ト(日立化成製「FA−513AS」)
(C−2)ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト(日立化成製「FA−512AS」)
(C−3)ジシクロペンテニルアクリレ−ト(日立化成製「FA−511AS」)
(C−4)イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業製「IBXA」)
(C−5)シクロヘキシルアクリレート(大阪有機化学工業製「V#155」)
(C−6)ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業製「LA」)
(D−1)トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(MIWON社製「M−260」)
【0044】
(実施例1〜5及び比較例1〜5)
表1、表2に示す原材料を表1、表2に示す組成(質量部)で配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して光硬化型樹脂組成物を調製した。得られた組成物について、以下に示す各種の評価を行った。
【0045】
<粘度の測定>
E型粘度計(BROOKFIELD社製「LVDV−II+CP」)を用い、上記実施例及び比較例で得た光硬化型樹脂組成物の25℃における粘度を測定した。
【0046】
<接着性(はく離接着強さ)>
上記実施例及び比較例で得た光硬化型樹脂組成物を厚さ100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン製「ZF16−100」)上にバーコーターで膜厚が10μmとなるように塗布し、上記と同じゼオノアフィルムでラミネートした後、メタルハライドランプを用いて240mJ/cm
2となる条件で光照射し、樹脂組成物を硬化させて試験片を作製した。この試験片を10mm幅の短冊状に切り、T型はく離試験ではく離接着強さを測定した。
【0047】
<耐湿熱後接着性(はく離接着強さ)>
上記方法で作製した試験片を、85℃85%RHの条件下で96時間静置させた後、23℃50%RHの室内にて3時間以上放置した。この試験片を10mm幅の短冊状に切りT型はく離試験ではく離接着強さを測定した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
上記表1、表2から明らかなとおり、本発明の光硬化性組成物は、オレフィン系材料に対して高い接着性を示し、耐湿熱後においても接着強さが維持された(実施例1〜10)。一方、比較例1〜10の光硬化性組成物は、オレフィン系材料に対する接着性が低かった。