(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルムを搬送しうる搬送ロールと、前記搬送ロールに設けられた複数の羽根を備え前記搬送ロールと一緒に回転しうる羽根車と、前記羽根車を前記搬送ロールと同じ方向に回転させるように前記羽根車にガスを噴射しうるノズルと、前記搬送ロールの上流に設けられた張力センサーとを備える搬送装置を用いたフィルムの搬送方法であって、
前記搬送ロールが、張力が経時的に変化するフィルムを搬送することと、
前記張力センサーが、前記フィルムの張力を測定することと、
前記フィルムの張力が小さいほど大きい噴射圧でガスが噴射されるよう、前記張力センサーで測定された前記フィルムの張力に対応した噴射圧でガスを前記ノズルから噴射することとを含む、フィルムの搬送方法。
長尺のフィルムを巻き取りうる巻取り機と、前記フィルムを前記巻取り機に搬送しうる搬送ロールと、前記搬送ロールに設けられた複数の羽根を備え前記搬送ロールと一緒に回転しうる羽根車と、前記羽根車を前記搬送ロールと同じ方向に回転させるように前記羽根車にガスを噴射しうるノズルとを備える製造装置により、前記フィルムをロール状に巻き取って前記フィルムの巻回体を製造する製造方法であって、
前記搬送ロールが前記フィルムを前記巻取り機に搬送することと、
前記フィルムを前記巻取り機が巻き取ることと、
前記フィルムの張力が小さいほど大きい噴射圧でガスが噴射されるよう、前記フィルムの巻取り張力に対応した噴射圧でガスを前記ノズルから噴射することと、
前記フィルムの巻取り張力を測定することと、
測定された前記フィルムの巻取り張力に基づいて、上記ノズルからのガスの噴射圧を調整することとを含む、フィルムの巻回体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようにフィルムから与えられる摩擦力によって回転する搬送ロールは、その摩擦力が小さくなると、回転できなくなることがある。このような現象は、搬送フィルムの回転抵抗力の方がフィルムから搬送ロールに与えられる摩擦力よりも大きくなったときに生じうる。搬送ロールが回転できないと、フィルムが搬送ロールに対してスリップを生じ、フィルムに傷及び打痕等の欠陥が生じる可能性がある。
【0008】
前記のスリップを防止するための手段としては、搬送ロールの表面に摩擦係数を高めるための表面処理を施すことが考えられる。このように搬送ロールの表面の摩擦係数を高めることは、フィルムの張力が一定である場合には有用である。しかし、フィルムの張力が変化する場合、フィルムの張力が高いときにはフィルムと搬送ロールとの間の摩擦力が過度に大きくなり、その摩擦力が原因でかえってフィルムに欠陥が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、張力が経時的に変化するフィルムと搬送ロールとのスリップを防止しうるフィルムの搬送装置及び搬送方法;並びに、フィルムと搬送ロールとのスリップを防止しながらフィルムをロール状に巻き取ることが可能な、フィルムの巻回体の製造装置及び製造方法、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、搬送ロールに羽根車を設け、その羽根車に、フィルムの張力に対応した噴射圧でガスを噴射することによって回転駆動力を与えると、フィルムと搬送ロールとのスリップを適切に防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0011】
〔1〕 搬送時の張力が経時的に変化するフィルムを搬送しうる搬送ロールと、
前記搬送ロールに設けられた複数の羽根を備え、前記搬送ロールと一緒に回転しうる羽根車と、
前記羽根車を前記搬送ロールと同じ方向に回転させるように前記羽根車にガスを噴射しうるノズルと、
前記フィルムの張力に対応して、前記ノズルからのガスの噴射圧を調整しうる制御部とを備える、フィルムの搬送装置。
〔2〕 前記搬送装置が、前記フィルムの張力を測定しうる張力センサーを備え、
前記制御部が、前記張力センサーで測定された張力に基づいて前記ノズルからのガスの噴射圧を調整しうる、〔1〕記載のフィルムの搬送装置。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕記載のフィルムの搬送装置と、
前記搬送装置から搬送されてきたフィルムを巻き取りうる巻取り機と、
前記巻取り機による前記フィルムの巻取り量が増えるのに従って前記フィルムの巻取り張力が小さくなるように、前記フィルムの巻取り張力を調整しうる張力調整部とを備える、フィルムの巻回体の製造装置。
〔4〕 フィルムを搬送しうる搬送ロールと、前記搬送ロールに設けられた複数の羽根を備え前記搬送ロールと一緒に回転しうる羽根車と、前記羽根車を前記搬送ロールと同じ方向に回転させるように前記羽根車にガスを噴射しうるノズルとを備える搬送装置を用いたフィルムの搬送方法であって、
前記搬送ロールが、張力が経時的に変化するフィルムを搬送することと、
前記フィルムの張力に対応した噴射圧でガスを前記ノズルから噴射することとを含む、フィルムの搬送方法。
〔5〕 前記搬送方法が、
前記フィルムの張力を測定することと、
測定された前記フィルムの張力に基づいて上記ノズルからのガスの噴射圧を調整することとを含む、〔4〕記載のフィルムの搬送方法。
〔6〕 長尺のフィルムを巻き取りうる巻取り機と、前記フィルムを前記巻取り機に搬送しうる搬送ロールと、前記搬送ロールに設けられた複数の羽根を備え前記搬送ロールと一緒に回転しうる羽根車と、前記羽根車を前記搬送ロールと同じ方向に回転させるように前記羽根車にガスを噴射しうるノズルとを備える製造装置により、前記フィルムをロール状に巻き取って前記フィルムの巻回体を製造する製造方法であって、
前記搬送ロールが前記フィルムを前記巻取り機に搬送することと、
前記フィルムを前記巻取り機が巻き取ることと、
前記フィルムの巻取り張力に対応した噴射圧でガスを前記ノズルから噴射することとを含む、フィルムの巻回体の製造方法。
〔7〕 前記製造方法が、
前記フィルムの巻取り張力を測定することと、
測定された前記フィルムの巻取り張力に基づいて上記ノズルからのガスの噴射圧を調整することとを含む、〔6〕記載のフィルムの巻回体の製造方法。
〔8〕 前記製造方法が、
前記フィルムの巻取り量が増えるに従って前記フィルムの巻取り張力を小さくすることを含む、〔6〕又は〔7〕記載のフィルムの巻回体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフィルムの搬送装置及び搬送方法によれば、張力が経時的に変化するフィルムと搬送ロールとのスリップを防止できる。
本発明のフィルムの巻回体の製造装置及び製造方法によれば、フィルムと搬送ロールとのスリップを防止しながら、フィルムをロール状に巻き取って巻回体を製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0015】
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、フィルムの幅に対して、5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
【0016】
また、以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
【0017】
さらに、以下の説明において、ある方向に「沿って」とは、別に断らない限り、ある方向に「平行に」との意味である。
【0018】
また、以下の説明において、MD方向(machine direction)は、製造ラインにおけるフィルムの流れ方向であり、通常は長尺のフィルムの長尺方向に相当する方向を表す。また、長尺のフィルムにおいて長尺方向は、通常、そのフィルムの縦方向に一致する。さらに、以下の説明において「上流」又は「下流」という場合、別に断らない限り、MD方向における上流及び下流のことを指す。
また、TD方向(traverse direction)は、フィルム面に平行な方向であって、MD方向に垂直な方向であり、通常は長尺のフィルムの幅方向に相当する方向を表す。また、長尺フィルムにおいて幅方向は、通常、そのフィルムの横方向に一致する。
【0019】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るフィルム10の巻回体20の製造装置100を模式的に示す概要図である。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る製造装置100は、長尺のフィルム10をロール状に巻き取って巻回体20を製造するための製造装置である。この製造装置100は、フィルム10の搬送方向の上流から順に、テンションカット部110と、搬送ロール120と、搬送装置130と、巻取り機140とを備える。
【0020】
テンションカット部110は、当該テンションカット部110よりも上流と下流との間でフィルム10の張力を遮断しうる装置である。本実施形態では、テンションカット部110は一対のテンションカットロール111及び112を備える。テンションカットロール111とテンションカットロール112は所定の圧力で互いに押圧し合っており、これらがテンションカットロール111とテンションカットロール112との間を通るフィルム10を押さえつけることで、フィルム10の張力を遮断できる構成を有している。
【0021】
本実施形態に係る製造装置100においては、テンションカット部110よりも下流におけるフィルム10の張力はフィルム搬送方向の位置によらず均一であり、フィルム10はその張力を有する状態で巻き取られる。そこで、テンションカット部110よりも下流において巻き取られて巻回体20となるまでのフィルム10の張力を、以下、適宜「巻取り張力」と呼ぶ。
【0022】
搬送ロール120は、テンションカット部110から搬送されてきたフィルム10を受け取り、搬送装置130に搬送しうるように設けられている。本実施形態では、搬送ロール120として、フィルム10に従動しうるように自由回転が可能に設けられたロールを用いた例を示して説明する。
【0023】
搬送装置130は、張力センサーとしてのテンションピックアップロール150と、搬送ロール160と、羽根車170と、ノズル180と、制御部190とを備える。この搬送装置130は、搬送ロール120から搬送されてきたフィルム10を受け取り、テンションピックアップロール150及び搬送ロール160の順に搬送し、搬送ロール160から巻取り機140へと搬送しうる構成を有している。
【0024】
テンションピックアップロール150は、その上流の搬送ロール120から搬送されてきたフィルム10を受けとり、そのフィルム10の巻取り張力を測定しうるように設けられている。また、テンションピックアップロール150は、測定したフィルム10の巻取り張力を制御部190に送りうるように設けられている。
【0025】
図2は、本発明の第一実施形態に係る搬送ロール160を模式的に示す斜視図である。
搬送ロール160は、テンションピックアップロール150から搬送されてきたフィルム10を受け取り、そのフィルム10を巻取り機140に搬送しうるように設けられている。また、搬送ロール160は、フィルム10に従動しうるように、自由回転が可能に設けられている。この搬送ロール160は、
図2に示すように、ロール本体161と軸部162とを備えている。
【0026】
ロール本体161は、フィルム10と接触しうる部分である。したがって、ロール本体161の表面163にフィルム10が接触すると、フィルム10とロール本体161との間の摩擦力が生じ、その摩擦力によってロール160は回転可能な構造を有している。本実施形態では、ロール本体161の軸方向の両端部164及び165を除く中間部分166でフィルム10とロール本体161が接触し、両端部164及び165ではフィルム10とロール本体161とは接触しない例を示して説明する。
【0027】
軸部162は、ロール本体161の軸方向両端から軸方向に沿って延在して設けられている。軸部162は、図示しないベアリングを介して支持具によって支持されているので、ロール160は自由回転が可能な構成を有している。
【0028】
また、搬送ロール160には、複数の羽根171を備える羽根車170が設けられている。具体的には、軸部材162に複数の羽根171が設けられていて、これらの羽根171が群となって羽根車170を構成している。したがって、この羽根車170は、搬送ロール160と一緒に回転しうる構成を有している。ここで、羽根車170が搬送ロール160と一緒に回転しうるとは、羽根車170と搬送ロール160とが、同じ回転軸Xを中心にして、同じ向きに、同じ回転速度で回転しうることをいう。
【0029】
前記の羽根171は、いずれも搬送ロール160の軸部162から搬送ロール160の径方向に沿って立つように設けられている。また、複数の羽根171は、搬送ロール160の周方向において均等に設けられている。そのため、この羽根171にガスの噴射を受けた場合、羽根車170は当該羽根車170を回転させようとする一定の力を受けうる構成を有している。
【0030】
また、羽根車170は、フィルム10がノズル180から噴射されるガスを受けないようにするために、ロール本体161のフィルム10と接触しうる中間部分166とは十分に距離を離して設けられている。
【0031】
搬送装置130には、羽根車170を搬送ロール160と同じ方向に回転させるように羽根車170にガスを噴射しうるノズル180が設けられている。ここで、羽根車170を搬送ロール160と同じ方向に回転させるようにガスを噴射する、とは、噴射されたガスを受けた羽根車170に、搬送ロール160の回転方向と同じ回転方向に回転しようとする力が与えられるようにガスを噴射することをいう。通常、ノズル180は、矢印A
Gで示すように、搬送ロール160の回転方向と同じ方向に向けてガスを噴射しうるように設けられる。
【0032】
ノズル180から噴射されるガスの種類は任意であるが、通常は、空気を用いる。本実施形態では、ノズル180がガスとして所望の圧力の空気を噴射しうる例を示して説明する。
【0033】
図1に示す制御部190は、フィルム10の巻取り張力に対応して、ノズル180からのガスの噴射圧を調整しうる機能部である。ここで、フィルム10の巻取り張力に対応してガスの噴射圧を調整する、とは、フィルム10の巻取り張力とガスの噴射圧との間に相関があるように噴射圧を調整することをいう。例えば、制御部190がフィルム10の巻取り張力自体に基づいてガスの噴射圧を調整することだけではなく、フィルム10の巻取り張力に相関を有する別の情報に基づいてガスの噴射圧を調整することも含む。
【0034】
本実施形態においては、制御部190は、テンションピックアップロール150及びノズル180に接続されている。これにより、制御部190は、テンションピックアップロール150が測定したフィルム10の巻取り張力を受け取ることができる構成を有している。そして、制御部190は、このテンションピックアップロール150が測定した巻取り張力に基づいて、ノズル180からのガスの噴射圧を調整しうる構成を有している。
【0035】
本実施形態に係る制御部190は、フィルム10の巻取り張力、及び、その巻取り張力に対応したガスの噴射圧の情報のテーブルを記憶した記憶部を有している。このテーブルには、フィルム10の巻取り張力が所定の閾値より大きい場合、ガスの噴射圧はゼロと記憶されている。ガスの噴射圧がゼロであるとは、ノズル180からガスを噴射しないことを表す。また、テーブルには、フィルムの巻取り張力が所定の閾値以下である場合、巻取り張力の大きさに応じた正の値の噴射圧が記憶されている。フィルム10の巻取り張力が小さいほどフィルム10から搬送ロール160へと与えられる摩擦力は小さくなるので、テーブルには、より小さい巻取り張力に対してはより大きい噴射圧が記憶されている。
【0036】
制御部190のハードウェア構成に制限はないが、通常は、CPU等のプロセッサ、RAM及びROM等のメモリ、入出力端子等のインターフェースなどで構成されるコンピュータにより構成される。そして、予めメモリ等に記録された処理内容に従って処理を行い、そのコンピュータが制御部190の機能を実現しうる。
【0037】
巻取り機140は、巻き軸141と、回転駆動部としてのモーター142と、張力調整部143と、押さえロール144とを備える。この巻取り機140は、搬送装置130から搬送されてきたフィルム10を巻き軸141にロール状に巻き取って、フィルム10の巻回体20を製造しうる構成を有している。
【0038】
巻き軸141は、フィルム10を巻き取る芯(巻き芯)となる部材である。この巻き軸141にはモーター142が接続されている。モーター142は、巻き軸141に、当該巻き軸141を回転させる駆動力を与えうるように設けられている。そのため、モーター142から与えられる駆動力によって回転することにより、巻き軸141は、フィルム10をロール状に巻き取りうるように設けられている。
【0039】
また、巻き軸141がフィルム10を巻き取る際にはフィルム10が長尺方向に引っ張られるので、モーター142の駆動力がフィルム10に伝わり、フィルム10にはモーター142の駆動力に応じた巻取り張力が与えられうる。したがって、この製造装置100は、モーター142が巻き軸141に与える駆動力が変動することにより、テンションカット部110より下流の部分において巻き軸141に巻き取られるまでのフィルム10の巻取り張力が変動しうる構成を有している。
【0040】
モーター142には張力調整部143が接続されている。張力調整部143は、モーター142の駆動を制御することにより、モーター142が巻き軸141に与える駆動力の大きさを調整しうるように設けられている。そのため、この巻取り機140は、張力調整部143がフィルム10の巻取り張力を調整しうる構成を有している。本実施形態においては、張力調整部143は、巻取り機140によるフィルム10の巻取り量が増えるのに従って、巻取り機140による前記フィルム10の巻取り張力が小さくなるように、フィルム10の巻取り張力を調整しうる構成を有している。
【0041】
張力調整部143のハードウェア構成に制限はないが、通常は、制御部190と同様に、コンピュータにより構成される。そして、予めメモリ等に記録された処理内容に従って処理を行い、そのコンピュータが張力調整部143の機能を実現しうる。
【0042】
押さえロール144は、巻き軸141に巻き取られるフィルム10を押さえるためのロールである。押さえロール144は、自由回転が可能に設けられている。また、押さえロール144は、巻き軸141又は当該巻き軸141に巻き取られたフィルム10の巻回体20を所定の圧力で押さえつけうるように設けられている。これにより、巻取り機140は、巻き重ねられるフィルム10同士の間への空気の進入を防止できる構成を有している。
【0043】
本発明の第一実施形態に係るフィルム10の巻回体20の製造装置100及びそれに設けられたフィルム10の搬送装置130は、上述した構成を有している。このような製造装置100を用いてフィルム10の巻回体20を製造する場合には、以下に説明するようにして、巻回体20の製造方法が行なわれる。また、この製造方法においては、以下に説明するようにして、搬送装置130を用いたフィルム10の搬送方法が行なわれる。
【0044】
図1に示すように、テンションカット部110よりも上流から搬送されたフィルム10は、テンションカット部110に来ると、一対のテンションカットロール111及び112の間に所定の圧力で挟み込まれる。このように挟み込まれることにより、テンションカット部110よりも上流と下流とで、フィルム10の張力が遮断される。その後、フィルム10は、所定の巻取り張力を有した状態で、テンションカット部110から搬送ロール120を通って、搬送装置130に搬送される。
【0045】
搬送装置130に搬送されたフィルム10は、テンションピックアップロール150に受け取られる。テンションピックアップロール150は、そのフィルム10の巻取り張力を測定し、その巻取り張力の情報を制御部190に送る。そして、テンションピックアップロール150は、そのフィルム10を、搬送ロール160に搬送する。
【0046】
搬送ロール160は、テンションピックアップロール150から搬送されてきたフィルム10を受け取り、巻取り機140へと搬送する。この際、
図2に示すように、搬送ロール160は、ロール本体161の表面163においてフィルム10と接触するので、ロール本体161の表面163とフィルム10との間に摩擦力が生じる。搬送ロール160は、基本的には、この摩擦力によって周方向に回転する。
【0047】
図1に示すように、巻取り機140に搬送されたフィルム10は、巻取り機140においてロール状に巻き取られて、巻回体20が製造される。具体的には、フィルム10は巻き軸141に受け取られ、押さえロール144で押さえつけられながら巻き軸141を中心にしてロール状に巻き取られて、巻回体20となる。この際、巻き軸141は、モーター142から与えられる駆動力によって回転しており、その駆動力に応じた巻取り張力をフィルム10に与える。したがって、この巻取り機140においては、モーター142が巻き軸141に与える駆動力に応じた巻取り張力でフィルム10を巻き取っている。
【0048】
フィルム10をロール状に巻き取る際、フィルム10の巻取り張力が経時的に一定であると、得られる巻回体20の形状の崩れ、巻回体20におけるフィルム10同士の貼り付き、巻回体20におけるフィルム10のシワの発生等の現象が意図せず生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、巻取り機140でフィルム10を巻き取る際には、張力調整部143がモーター142の駆動を制御することにより、フィルム10の巻取り張力を、フィルム10の巻取り量に応じて経時的に変化させる。ここで、フィルム10の巻取り張力が経時的に変化するとは、フィルム10の巻取り張力が時間により異なることをいう。本実施形態では、張力調整部143が、モーター142が巻き軸141に与える駆動力の大きさを調整することにより、フィルム10の巻取り量が増えるに従ってフィルム10の巻取り張力が小さくなるように調整を行なっている例を示して説明する。
【0049】
このようにフィルムの巻取り張力が調整されている場合、フィルム10の巻取り張力が小さくなってある所定の大きさよりも小さくなると、フィルム10と搬送ロール160との間の摩擦力が搬送ロール160の回転抵抗力以下となる可能性がある。フィルム10と搬送ロール160との間の摩擦力が搬送ロール160の回転抵抗力以下になると、搬送ロール160がフィルム10と同じ速度で回転を行なうことができなくなって、フィルム10が搬送ロール160に対してスリップを生じる可能性がある。
【0050】
前記のスリップを防止するため、本実施形態では、制御部190の制御によりノズル180からガスを噴射させることで、前記の摩擦力を補助しうる駆動力を搬送ロール160に与える。
図2に示すように、ノズル180からガスが噴射されると、そのガスを羽根171で受けた羽根車170には搬送ロール160と同じ方向に回転しようとする駆動力が与えられる。これにより、フィルム10と搬送ロール160との間の摩擦力だけでなく、羽根車170に与えられる駆動力も搬送ロール160を回転駆動させるために用いられるので、スリップを防止することができる。
【0051】
制御部190は、ノズル180から噴射されるガスの噴射圧を、フィルム10の巻取り張力に対応した噴射圧となるように調整する。本実施形態ではテンションピックアップロール150によって測定されたフィルム10の巻取り張力の情報を制御部190が受け取るので、制御部190は、受け取ったその巻取り張力に基いてノズル180からのガスの噴射圧を調整する。
【0052】
具体的には、制御部190は、フィルム10の巻取り張力の情報を受け取ると、その巻取り張力の大きさに対応したガスの噴射圧の情報を、記憶部に記憶したテーブルから読み取る。そして、ノズル180を制御することにより、ノズル180から読み取った噴射圧でガスを噴射させる。本実施形態では、フィルム10の巻取り張力が所定の閾値以下である場合、制御部190は、噴射圧を巻取り張力の大きさに応じた正の値に調整する。この際、フィルム10の巻取り張力が小さいほど、大きい噴射圧でガスが噴射されるように制御が行われる。これにより、フィルム10と搬送ロール160のスリップを防止できる。他方、フィルム10の巻取り張力が所定の閾値より大きい場合、制御部190は、ガスの噴射圧をゼロに調整し、ガスは噴射されない。これにより、ガスの噴射によって搬送ロール160に与えられる駆動力が過大になることを防止できる。そのため、フィルム10の搬送速度よりも搬送ロール160の回転速度が速くなることを防止できるので、フィルム10と搬送ロール160のスリップを防止できる。
【0053】
以上のように、本発明の第一実施形態では、フィルム10の巻取り張力が小さくなった場合でも、フィルム10と搬送ロール160とがスリップを生じない。そのため、スリップによるフィルム10の欠陥の発生を防止できるので、高品質のフィルム10の巻回体20を製造することができる。
【0054】
また、ノズル180から噴射するガスにより搬送ロール160に駆動力を与えることができるので、搬送ロール160を回転させるために要するフィルム10と搬送ロール160との摩擦力を小さくできる。そのため、搬送されるフィルム10に搬送ロール160が与えるストレスを小さくできる。したがって、ストレスによるフィルム10の欠陥の発生を抑制できるので、従来よりも機械的強度に劣るフィルムであっても、安定して搬送を行なうことができる。
【0055】
さらに、搬送ロール160を回転させるために要するフィルム10と搬送ロール160との摩擦力を小さくできるので、搬送されるフィルム10の張力を小さくできる。そのため、延伸しやすいフィルムであっても、安定して搬送を行なうことができる。
【0056】
また、搬送ロール160を回転させるために要するフィルム10と搬送ロール160との摩擦力を小さくできるので、搬送ロール160とフィルム10との接触面積を小さくできる。そのため、搬送ロール160の抱き角を小さくできるので、搬送ロール160の配置の自由度を高めることができる。ここで、搬送ロール160の抱き角とは、搬送ロール160の周方向において、搬送ロール160の全周面に対するフィルム10と接触している部分の角度をいう。
【0057】
さらに、ガスの噴射による駆動力の制御によれば、搬送ロール160のロール速度及び回転駆動力の調整を容易に行なうことができる。
【0058】
また、上述したように羽根車170及びノズル180からのガスの噴射を組み合わせた搬送装置130は、設置のために大きな空間を必要としない。そのため、例えばモーター及びベルト等の構造体によって搬送ロール160に駆動力を与える場合と比べ、設備の省スペース化を進めることができる。
【0059】
さらに、羽根車170及びノズル180からのガスの噴射を組み合わせた搬送装置130は、複雑な配線の設置が不要であるので、既存の工場設備に容易に追加して実施することができる。
【0060】
[第二実施形態]
第一実施形態では、制御部190は、テンションピックアップロール150が測定したフィルム10の巻取り張力に基いて、ノズル180から噴射するガスの噴射圧を調整した。しかし、制御部190は、フィルム10の巻取り張力それ自体ではなくその巻取り張力に対応した別の情報に基いてガスの噴射圧を調整してもよい。例えば、上述した巻取り機140を用いる場合、フィルム10の巻取り量とフィルム10の張力とは、フィルム10の巻取り量が大きくなるほどフィルム10の張力が小さくなるという相関がある。そのため、フィルム10の巻取り量又はその巻取り量に相関する情報に基いてガスの噴射圧を調整することは、フィルム10の張力に対応してガスの噴射圧を調整することに含まれる。
以下、その例について第二実施形態を示して説明する。
【0061】
図3は、本発明の第二実施形態に係るフィルム10の巻回体20の製造装置200を模式的に示す概要図である。
図3に示すように、本発明の第二実施形態に係る製造装置200は、搬送装置130の代わりに搬送装置230を備えること以外は、第一実施形態に係る製造装置100と同様の構成を有する。本発明の第二実施形態に係る製造装置200において、第一実施形態に係る製造装置100と同様の部位については、第一実施形態に係る製造装置100と同様の符号で示す。
【0062】
搬送装置230は、(i)フィルム10の巻回体20の巻き厚みTを測定しうる厚みセンサー250を備えること、(ii)テンションピックアップロール150が制御部190にフィルム10の巻取り張力の情報を送らなくてもよいこと、及び、(iii)制御部190が、厚みセンサー250で測定された巻回体20の巻き厚みTの情報に基いてノズル180からのガスの噴射圧を調整するように設けられていること以外は、第一実施形態に係る搬送装置130と同様の構成を有する。
【0063】
厚みセンサー250は、フィルム10の巻取り張力に対応した情報として、巻回体20の巻き厚みTを測定しうるセンサーである。上述したように、巻取り機140では、張力調整部143が、巻取り機140によるフィルム10の巻取り量が増えるのに従って巻取り張力が小さくなるように、フィルム10の巻取り張力を調整している。また、フィルム10の巻取り量は、巻回体20の巻き厚みTと相関がある。したがって、巻回体20の巻き厚みTは、フィルムの巻取り張力に対応した情報である。具体的には、巻回体20の巻き厚みTが大きいほど、フィルム10の巻取り張力は小さくなっている。
また、厚みセンサー250は、制御部190に巻回体20の巻き厚みTの情報を送りうるように、制御部190に接続されている。
【0064】
本実施形態に係る制御部190は、厚みセンサー250が測定した巻回体20の巻き厚みTに基づいて、ノズル180からのガスの噴射圧を調整しうる構成を有している。具体的には、巻回体20の巻き厚みT、及び、その巻き厚みTに対応したガスの噴射圧の情報のテーブルを記憶した記憶部を有している。このテーブルには、巻回体20の巻き厚みTが所定の閾値より小さい場合、ガスの噴射圧はゼロと記憶されている。また、テーブルには、巻回体20の巻き厚みTが所定の閾値以上である場合、その巻き厚みTの大きさに応じた正の値の噴射圧が記憶されている。張力調整部143が、巻回体20の巻き厚みTが大きいほどフィルム10の巻き張力が小さくなるように制御を行っているので、テーブルには、より大きい巻き厚みTに対してはより大きい噴射圧が記憶されている。
【0065】
本発明の第二実施形態に係るフィルム10の巻回体20の製造装置200及びそれに設けられたフィルム10の搬送装置230は、上述した構成を有している。このような製造装置200を用いた巻回体20の製造方法、並びに、このような搬送装置230を用いたフィルム10の搬送方法は、ノズル180からのガスの噴射圧の制御以外については、第一実施形態と同様にして行なわれる。
【0066】
本実施形態におけるノズル180からのガスの噴射圧の制御は、以下のようにして行われる。
本実施形態では、フィルム10の巻回体20を製造する際には、厚みセンサー250が巻回体20の巻き厚みTを測定し、その巻き厚みTの情報を制御部190に送る。制御部190は、フィルム10の巻取り張力に対応した情報として巻き厚みTの情報を受け取り、受け取ったその巻き厚みTに基いてノズル180からのガスの噴射圧を調整する。
【0067】
具体的には、制御部190は、巻き厚みTの情報を受け取ると、その巻き厚みTの大きさに対応したガスの噴射圧の情報を、記憶部に記憶したテーブルから読み取る。そして、ノズル180を制御することにより、ノズル180から読み取った噴射圧でガスを噴射させる。本実施形態では、巻き厚みTが所定の閾値以上である場合、制御部190は、噴射圧を巻き厚みTの大きさに応じた正の値に調整する。この際、フィルム10の巻き厚みTが大きいほど、フィルム10の巻取り張力が小さくなってスリップが生じる可能性があるので、大きい噴射圧でガスが噴射されるように制御が行われる。これにより、フィルム10と搬送ロール160のスリップを防止できる。他方、巻き厚みTが所定の閾値より小さい場合、フィルム10の巻取り張力が十分に高いため、制御部190はガスの噴射圧をゼロに調整し、ガスは噴射されない。これにより、ガスの噴射によって搬送ロール160に与えられる駆動力が過大になることを防止できる。そのため、フィルム10と搬送ロール160のスリップを防止できる。
【0068】
以上のように、本発明の第二実施形態では、第一実施形態と同様に、スリップによるフィルム10の欠陥の発生を防止できるので、高品質のフィルム10の巻回体20を製造することができる。
また、第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0069】
[その他]
以上、本発明について実施形態を示して説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した実施形態では、フィルム10の巻取り張力100が大きい場合にはノズル180からガスを噴射しなかったが、フィルム10と搬送ロール160とのスリップの可能性が低い場合は、ノズル180から常時ガスを噴射してもよい。
また、フィルム10の搬送速度と搬送ロール160の回転速度を測定し、両者の速度差が所定の閾値以上である場合にノズル180がガスを噴射するようにしてもよい。
また、フィルム10がノズル180から噴射されるガスを受けないようにするために、羽根車170とロール本体161のフィルム10と接触しうる中間部分166との間に、仕切板が設けられていてもよい。
【0070】
また、上述した搬送装置130及び230を用いたフィルム10の搬送方法は、長尺の任意のフィルムの搬送に用いうる。したがって、前記の搬送方法は、上述した実施形態のようにフィルム10の張力が経時的に小さくなる場合だけでなく、フィルム10の張力が経時的に大きくなる場合、及び、フィルム10の張力が経時的に任意に変化する場合に適用してもよい。
さらに、搬送装置130は、例えば、フィルム10の巻回体20の製造装置100及び200以外の装置に適用してもよい。
【0071】
さらに、羽根車170の位置は、
図2に示す軸部162以外の位置に設けてもよい。例えば、ロール本体161の軸方向の端部164及び165に羽根車170を設けてもよい。
また、羽根車170の数は任意である。例えば、羽根車170を搬送ロール160の軸方向の両端に設けることにより、羽根車170を2個設けてもよい。
さらに、羽根車170を構成する羽根171の数、大きさ、形状及び配置は、任意に設定しうる。
【0072】
[フィルム]
フィルムとしては、長尺の任意のフィルムを用いうる。中でも、スリップによる欠陥の発生を防止できるという利点を有効に活用する観点では、欠陥の発生を特に防止したい用途のフィルムを用いることが好ましい。このようなフィルムとしては、光学フィルムが挙げられる。光学フィルムは、好ましくは85%〜100%、より好ましくは90%〜100%の全光線透過率を有する。光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定できる。
光学フィルムの厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、一方好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0074】
[実施例1]
(未延伸フィルムの製造)
脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1215」)のペレットを100℃で5時間乾燥した。該ペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させた。この押出機から、溶融樹脂を、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイを通してキャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却して、厚さ約80μm、幅約1650mmの長尺の未延伸フィルムを得た。
【0075】
(フィルムの延伸)
得られた未延伸フィルムを、延伸温度135℃でMD方向に延伸倍率1.15倍で延伸し、更に、延伸温度140℃でTD方向に延伸倍率1.45倍に延伸して延伸フィルムを得た。さらに、得られた延伸フィルムの両端を切り取るトリミング処理を行うことによって、フィルム幅を1330mmにして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの引張弾性率は約2100MPa、厚さは約50μmであった。
【0076】
(保護フィルムの準備)
オレフィンフィルム(Tredegar Performance Films Inc.社製「Force Field 1035」)を上記光学フィルムの保護フィルムとして、ロール形状で準備をした。この保護フィルムの厚みは、約30μmである。
【0077】
(保護フィルムの貼合)
ニップ圧:0.5MPaで、光学フィルムに保護フィルムをラミネートし、ロール形状に巻取りを行った。得られたフィルムは、光学フィルムと保護フィルムとを備える厚み約80μmの複層フィルムである。この複層フィルムを用いて、下記の搬送試験を行った。
【0078】
(搬送試験)
前記の複層フィルムを、フィルム繰出し機に装着した。また、第一実施形態において説明した構造を有する巻回体の製造装置(
図1参照。)を用意した。この製造装置においては、搬送される複層フィルムとの間で特にスリップを生じやすい搬送ロール(この搬送ロールは、
図1における搬送ロール160に相当する。)の軸方向端部に羽根車が設けられている。また、この製造装置には、前記の羽根車にエアーを噴射できるノズルが設けられている。
【0079】
フィルム繰出し機から複層フィルムを繰り出し、前記の製造装置を用いて複層フィルムの巻き取りを行なった。
巻取り張力を150N/全幅〜200N/全幅にして巻き取りを行なったところ、複層フィルムは搬送装置に設けられた搬送ロールとの間でスリップを生じなかった。
【0080】
(巻き取り試験)
巻取り張力を、通常の搬送条件よりも低い50N/全幅に変更し、フィルムの搬送速度26.7m/minで複層フィルムをロール状に巻き取る試験を行なった。試験の期間中、巻取り張力は一定に保った。また、試験の期間中、ハンディタコメーター(回転計:小野測器製「非接触タイプ ディジタルハンディタコメーター HT−5500」)を用いて複層フィルムの搬送速度及び搬送ロールの回転速度を測定した。
【0081】
(状態確認)
ノズルからエアーを噴射しない状態では、搬送ロールの回転速度が複層フィルムの搬送速度よりも遅くなり、スリップを生じた。
また、ノズルから表1に示す噴射圧でエアーを噴射すると、前記のスリップが減少し、ある圧力を超えると搬送ロールは複層フィルムの搬送速度を超えて、スリップが大きくなっていくことが確認された。
【0082】
【表1】
【0083】
[検討]
実施例1におけるエアー噴射圧、搬送ロールの回転速度及びフィルムの搬送速度の関係を表すグラフを、
図4に示す。
図4に示すように、前記の試験では、エアーの噴射圧を0.03MPa程度にすることにより、複層フィルムの搬送速度と搬送ロールの回転速度とを同じにできるので、スリップを防止できることが確認された。このことから、複層フィルムの巻取り張力が小さい条件であっても、エアーの噴射圧を適切に調整することにより、スリップを防止することが可能であることが確認された。