(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、
図1〜
図9を参照して、本発明による第1の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態にかかる映像表示装置の構成を説明する。
図1は、映像表示装置10の構成を示すブロック図である。映像表示装置10は、制御部11と、撮影部12と、記憶部13と、GPS受信機14と、地磁気センサ15と、入力部16と、表示部17とを備える。
制御部11は、不図示のCPU、ROM、およびRAMを備え、後述するフローチャートにより動作が表されるプログラムをROMに格納しており、これをRAMに展開して実行する。また、時計の機能も有しており、撮影部12から受信したデータに現在時刻を付加することができる。
【0009】
撮影部12は、不図示のレンズ、撮像素子、およびAD変換器を備える。レンズを通過して撮像素子に形成された被写体像の情報は、撮像素子により電気信号へと変換され、さらにAD変換器によりデジタル信号に変換されて制御部11に出力される。制御部11は撮影部12からデータを受信すると表示部17にスルー画像として表示し、不図示のレリーズボタンが押されると撮影部12から受信したデータを記憶部13へ撮影画像として保存する。ただし、記憶部13へ撮影画像として保存する際には、GPS受信機14および地磁気センサ15の出力も参照し、撮影位置、撮影時刻、撮影方角の情報を撮影画像とともに画像ファイルに記録する。たとえば、EXIF(Exchangeable image file format)情報として記録する。ただし、撮影位置、撮影時刻、撮影方角の情報を撮影画像と同じ画像ファイルに記録せず、写真と対応付けた別のファイルとして記憶部13へ保存してもよい。
【0010】
記憶部13は、フラッシュメモリにより構成され、記憶部13には複数の撮影画像、および撮影画像表示設定13aが保存される。これらの撮影画像が記録される画像ファイルには、撮影位置、撮影時刻、撮影方角が記録されている。撮影位置とは撮影地点の緯度および経度である。撮影方角とは撮影時に当該映像表示装置10の撮影部12が向いていた方角である。
撮影画像表示設定13aには、表示部17に表示するそれぞれの撮影画像について、表示する大きさ、表示する座標が記録される。撮影画像表示設定13aは、映像表示装置10の現在位置および方角、そして記憶部13に保存されている撮影画像の情報を用いて、制御部11により算出される。
GPS受信機14は、不図示のGPSアンテナを備え、複数のGPS衛星から電波を受信して計算により当該映像表示装置10の現在位置を算出し、制御部11に出力する。
【0011】
地磁気センサ15は、3軸の地磁気センサから構成され、映像表示装置10の3次元での姿勢をヨー角、ロール角、ピッチ角として出力する。ヨー角は映像表示装置10の撮影部12の撮影光軸の水平面内での向き、すなわち方角を表す。
入力部16は、不図示のタッチパネルを表示部17の表面に積層した構成であり、映像表示装置10のユーザが、表示部17に表示された撮影画像を、選択、移動、および選択解除する入力操作を制御部11に出力する。
表示部17は、撮影部12が現在撮影して得ている映像をスルー画像として表示するとともに、制御部11から出力されるデータを表示する。
【0012】
映像表示装置10の動作を説明する。
(表示の生成)
以下に説明する映像表示装置10の動作は、記憶部13にP1〜P7で表す7枚の撮影画像が保存されていることを前提としている。撮影画像P1〜P7には、それぞれの撮影日時および撮影位置が内包されており、番号順に撮影画像P1の撮影日時が最も新しく、撮影画像P7の撮影日時が最も古い。撮影画像P1〜P7の画像ファイルに記録されている撮影位置と、映像表示装置10の現在位置の関係は
図2に示すものである。ただし、映像表示装置10の現在位置POSは二重丸で示しており、撮影画像P1〜P7の撮影位置はそれぞれの撮影画像の名称を円で囲んだ位置で示している。すなわち、撮影画像P1〜P7のうち、撮影画像P5以外の撮影位置は現在位置POSよりも北であり、撮影画像P6以外の撮影位置は映像表示装置10の現在位置を中心とする半径rの円の中である。また、映像表示装置10は北を向いており、現在位置POSから映像表示装置10の向いている方角を中心に角度2θの範囲で撮影されて得られた撮影画像は、撮影画像P1〜P4、およびP6である。
【0013】
図3は、映像表示装置10の表示部17に表示する映像を生成するプログラムの動作を示すフローチャートであり、制御部11により一定時間ごと、たとえば5秒ごとに実行される。
ステップS201では、制御部11は、GPS受信機14から映像表示装置10の現在位置、すなわち
図2に示す二重丸の位置を取得してステップS202に進む。
ステップS202では、制御部11は、地磁気センサ15から映像表示装置10の向いている方角を取得し、ステップS203に進む。
図2の例では、撮影部12が撮影している方角を
図2に示したように北であるとして取得する。
【0014】
ステップS203では、制御部11は、記憶部13に保存している撮影画像のうち、映像表示装置10を中心に所定の範囲、たとえば距離r以内の撮影画像を抽出する。
図2の例では、映像表示装置10の現在位置POSから距離r以内の位置が撮影位置である、撮影画像P1〜P5,およびP7が抽出される。
ステップS204では、制御部11は、ステップS203において抽出された撮影画像から、撮影位置が映像表示装置10の現在位置を起点として映像表示装置10の向いている方角を中心に所定の角度以内、たとえば角度2θ以内に存在する撮影画像をさらに抽出する。
図2の例では、ステップS203において抽出された撮影画像P1〜P5,およびP7のうち、映像表示装置10の現在位置POSから北を中心として2θの角度内で撮影された、撮影画像P1〜P4が抽出される。次にステップS205に進む。
【0015】
ステップS205では、制御部11は、撮影部12が現在撮影して得ているリアルタイムの映像、すなわちスルー画像を表示部17に出力し、ステップS206に進む。ただし一度ステップS205が実行されれば、これ以後はステップS205の処理が実行されていない場合であっても、撮影部12により撮影されたスルー画像が表示部17に表示される。このとき、表示部17には
図4のように表示される。
【0016】
ステップS206では、制御部11は、ステップS204において抽出した撮影画像の表示部17への表示位置および大きさを以下のように計算し、記憶部13に撮影画像表示設定13aとして保存する。表示位置は、各撮影画像の撮影位置に対応する位置に各撮影画像が表示されるように、地磁気センサー15の出力を参照して所定の計算式により算出される。表示される大きさは、映像表示装置10の現在位置から各撮影画像の撮影位置までの距離に応じて、近いほど大きく、遠いほど小さく表示されるように、所定の関数により算出される。次にステップS207に進む。
【0017】
ステップS207では、制御部11は、ステップS204において抽出した撮影画像を、スルー画像の上に、撮影日時の古い順番に、撮影画像表示設定13aに記述された位置、大きさで表示部17に重ねて配置し、
図3に示すフローチャートを終了する。このとき表示部17には例えば
図5のように表示される。
図5に示すウインドウに表示された撮影画像W1〜W4は撮影画像P1〜P4に対応し、撮影日時の古い撮影画像P4に対応する撮影画像W4から順番に重ねて配置したので、重なりの順番は上から撮影画像W1,撮影画像W2,撮影画像W3,撮影画像W4、スルー画像となっている。
【0018】
(表示されている撮影画像の移動)
表示部17に表示されている撮影画像W1〜W4は、ユーザによる入力部16からの入力により移動させることができる。たとえば、
図5に示す状態では撮影画像W1は全体が見えているが、撮影画像W2〜W4は上に重なっている撮影画像があるためその全体を見ることができない。この問題を解決するために、ユーザは表示部17に表示されている任意の撮影画像を移動させることができる。
図6は、ユーザの入力部16への操作に応じて表示部17に表示されている撮影画像を移動させるプログラムの動作を示すフローチャートであり、制御部11により一定時間ごと、たとえば1秒ごとに実行される。
【0019】
ステップS301では、制御部11は、ユーザによる入力部16への入力、たとえばタッチパネルへのタッチ操作により、表示部17に表示されているいずれかの撮影画像の選択があったか否かを判断する。ユーザによりいずれかの撮影画像が選択されたと判断する場合はステップS302に進み、入力部16への入力がなかった、もしくは撮影画像以外が選択されたと判断する場合は
図6のフローチャートを終了する。入力部16への入力による表示部17に表示されている撮影画像の選択とは、たとえば表示部17に表示されている撮影画像に触れ、タッチパネルがユーザが触れた座標を検出し、制御部11がユーザの触れた座標に撮影画像が表示されていると判断することである。
【0020】
ステップS302では、制御部11は、ステップS301においてユーザが選択したと判断した撮影画像の上に重ねられている撮影画像があるか否かを判断する。ユーザが選択した撮影画像の上にいずれかの撮影画像が重ねられていると判断する場合はステップS303に進み、ユーザが選択した撮影画像の上に重ねられている撮影画像はないと判断する場合はステップS304に進む。この判断は、たとえば、撮影画像表示設定13aの記載、および重なりの順番の基準となっている各撮影画像の撮影日時から算出する。選択された撮影画像と、選択された撮影画像よりも撮影日時が新しい撮影画像の表示エリアを撮影画像表示設定13aに基づいて算出し、両者のエリアに重複があれば、ユーザが選択した撮影画像の上に撮影画像が重ねられていると判断する。
【0021】
ステップS303では、制御部11は、移動対象とする撮影画像を、ユーザが選択した撮影画像、およびその撮影画像の上に重ねられている撮影画像に設定してステップS305に進む。ただし、ユーザが選択した撮影画像の上に複数の撮影画像が重ねられている場合には、その全てを移動対象とする。ユーザは移動させる撮影画像の下に重ねられている撮影画像の閲覧を望んでいるので、その閲覧の障害になりうる、選択された撮影画像よりも上に重ねられている撮影画像は全て移動すべきだからである。
【0022】
ステップS304では、制御部11は、移動対象とする撮影画像をユーザが選択した撮影画像のみに設定してステップS305に進む。
ステップS305では、制御部11は、ステップS303またはステップS304において移動対象に設定された撮影画像の移動前の表示部17上の位置(以後、「元の位置」と呼ぶ)を制御部11のRAMに記憶し、ステップS306に進む。
ステップS306では、制御部11は、ユーザにより入力部16から撮影画像を移動する入力があったか否かを判断し、撮影画像を移動する入力があると判断する場合はステップS307に進み、撮影画像を移動する入力がないと判断する場合はステップS308に進む。ユーザによる入力部16から撮影画像を移動させる入力とは、例えばタッチパネルに指をふれたまま移動させる行為である。
【0023】
ステップS307では、制御部11は、ステップS303またはステップS304において移動対象に設定された撮影画像を対象として、ユーザによる入力部16への入力に追従して表示部17に表示された撮影画像を移動させ、ステップS308に進む。
ステップS308では、制御部11は、ユーザにより入力部16から撮影画像の選択を解除する入力があったか否かを判断する。撮影画像の選択を解除する入力があったと判断する場合はステップS309に進み、撮影画像の選択を解除する入力がなかったと判断する場合はステップS306に戻る。ユーザによる入力部16から撮影画像の選択を解除する入力とは、たとえばタッチパネルから指を離す行為である。
【0024】
ステップS309では、制御部11は、ステップS303またはステップS304において移動対象に設定された撮影画像を、移動後の位置(以後、「移動位置」とよぶ)から元の位置へと移動させ、
図6のフローチャートを終了する。この移動は、ユーザが指を離したことにより撮影画像が元の位置に戻っている様子をユーザにわかりやすく伝えるために、撮影画像は移動位置と元の位置を通る直線上を元の位置を収束点とした振動が減衰するように移動させる。すなわち、撮影画像は移動位置から元の位置へと向かって移動し、元の位置を通り過ぎた後に反転して再度元の位置へ向かって移動する。元の位置を通り過ぎてから反転をするまでの距離を、元の位置を通り過ぎるたびに短くすることで、元の位置に収束する減衰振動とすることができる。
【0025】
(動作例)
たとえば、ユーザが
図5の撮影画像W2を移動させる際には、以下のように制御部11により処理が行われる。
図7に示すように、ユーザが指Fにより表示部17に表示されている撮影画像W2に触れると、入力部16によりユーザによる入力が制御部11に伝達され、制御部11によりユーザが撮影画像W2を選択したと判断される(ステップS301:YES)。そして、撮影画像表示設定13aの記載、および重なりの順番の基準となっている各撮影画像の撮影日時から、撮影画像W2の上に撮影画像W1が重ねられていると判断する(ステップS302:YES)。制御部11は、ステップS303では撮影画像W1および撮影画像W2を移動対象に設定し、ステップS305では撮影画像W1および撮影画像W2の表示位置を保存する。
【0026】
ユーザがこのまま指Fを表示部17に触れたまま動かさない場合は、制御部11は、ステップS306およびステップS308にて否定判断を行い、再びステップS306に戻る。
図8に示すように、ユーザが表示部17に触れた指Fをそのまま右に動かすと、制御部11は入力部16から移動信号の入力をうけるので、ユーザにより入力部16から撮影画像を移動する入力があったと判断する(ステップS306:YES)。そして制御部11は、移動対象に設定された撮影画像である撮影画像W1および撮影画像W2を、表示部17上で移動させる(ステップS307)。続いてユーザが表示部17から指Fを離すと、制御部11は入力部16から撮影画像の選択を解除した信号が入力されるので制御部11は撮影画像の選択が解除されたと判断する(ステップS308:YES)。そして、
図9の点線で示す、移動後の位置にあった撮影画像W1aおよび撮影画像W2aを元の位置に移動させる(ステップS309)。
【0027】
上記の動作例では、ユーザが選択した撮影画像の上に重ねられている撮影画像があったが、ユーザが選択した撮影画像の上に重ねられている撮影画像がない場合には、制御部11によりユーザが選択した撮影画像のみが移動対象に設定され(ステップS302:NO、S304)、以下同様に移動の処理が行われる。また、上記の動作例では撮影画像を横方向に移動させたが、ユーザによる入力部16からの入力に従い、撮影画像は縦方向、および斜め方向にも移動することができる。
本発明は、表示部17に重ねて表示された撮影画像のそれぞれを容易に閲覧するために、入力部16からの入力に従い移動対象として選択された撮影画像の上に重ねられた撮影画像がある場合には、選択された撮影画像の上に重ねられた撮影画像もあわせて移動させる。そのため、選択した撮影画像の下に重ねられていた撮影画像を容易に閲覧することができる。
【0028】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)映像表示装置10は、複数の撮影画像および複数の撮影画像の撮影位置を保存する記憶部13と、被写体を撮影する撮影部12と、現在位置を算出するGPS受信機14と、撮影部12の向く方角を検出する地磁気センサ15と、ユーザによる入力を受け付ける入力部16と、表示部17と、制御部11とを備える。表示部17は、撮影部12が現在撮影して得ているスルー画像を表示部17に表示する。さらに制御部11が、記憶部13に保存されている撮影画像であって、撮影位置が現在位置から所定の距離範囲内でありかつ撮影位置が現在位置から検出した方角を中心に所定の角度範囲内に存在する撮影画像を、表示部17のスルー画像の上に重ねて表示する。制御部11は、表示部17に表示された撮影画像のうち入力部16からの入力により選択された撮影画像を、入力部16からの入力に応じて移動させ、選択された撮影画像の上に別の撮影画像があると、別の撮影画像も入力部16からの入力に応じて移動させる。
そのため、ユーザにより入力部16から撮影画像を選択して移動させる入力があると、選択された撮影画像の上に重ねられている撮影画像も同時に移動されるため、複数の撮影画像が重なりあう場合でも、煩雑な操作を要さずに下に重ねられている撮影画像を閲覧することができる。
【0029】
(2)制御部11は、入力部16からの入力により選択された撮影画像、および選択された撮影画像の上に重ねられている撮影画像の表示位置を記憶し(
図6のステップS305)、入力部16からの撮影画像の選択を解除する入力、すなわちタッチパネルから指を離す入力に応じて、入力部16からの入力に応じて移動させた撮影画像を、記憶した表示位置に移動させる。
そのため、入力部16への入力に応じて移動させた撮影画像を容易に元の位置に戻すことができるだけでなく、移動させた撮影画像の元の表示位置は制御部11が記憶しているので、誤った位置に戻すことがない。
【0030】
(3)制御部11による、入力部16からの入力に応じて移動させた撮影画像の記憶した表示位置への移動は、撮影画像が記憶した表示位置を1回以上通過して記憶した表示位置に収束する移動である。
そのため、ユーザは移動した撮影画像を注意深く観察していなくても、撮影画像が元の位置に戻ったことを容易に気付くことができる。また、移動後の位置から移動前の位置に移動する際に、移動前の位置を一回以上通過させて移動前の位置に収束する移動を行うので、伸ばされていた弾性体が自然長に戻る際の自由端の動きと類似しており、本来の位置へ戻ることをユーザに視覚的に伝えることができる。
【0031】
(変形例1)
第1の実施の形態においては、表示部17への撮影画像の配置は撮影日時の古い順番に配置されたが、撮影画像を重ねる順番はこれに限定されない。制御部11は、表示部17に撮影日時の新しい順番に配置し、撮影日時が古い撮影画像ほど上に重ねてもよいし、GPS受信機14により算出された映像表示装置10と撮影画像の撮影位置との距離が近い順、または遠い順に表示部17へ撮影画像を配置してもよい。さらに、これらの撮影画像を重ねる順番は、入力部16から入力に応じて切り替えてもよい。
この変形例1によれば、入力部16からの入力に応じて、表示部17に表示する撮影画像の重ねる順番を多様に変化させることができる。
【0032】
(変形例2)
第1の実施の形態において、制御部11は、入力部16よりタッチパネルに指をふれたまま移動させる入力を受けると、表示部17に表示されている撮影画像を移動させたが(
図6のステップS306、S307)、撮影画像を移動させる入力はこれに限定されない。たとえば、入力部16から指がタッチパネル上で軽く払われる動作が入力されると、制御部11はこれをフリック入力と認識して、移動対象に設定されている撮影画像を指が払われた方向に所定の距離だけ移動させ、所定の時間後に元の位置に戻してもよい。ただし、次に入力部16が入力を受けるまで元の位置に戻さなくてもよい。また、制御部11がフリック入力を認識した際に移動対象に設定されている撮影画像を移動させる距離は、フリック入力が早いほど、すなわち指の速度が速いほど長く移動させてもよい。
この変形例2によれば、ユーザは簡易な操作により表示部17に表示されている撮影画像を移動させることができる。また、動かす指の速さにより移動させる距離を調整することができる。
【0033】
(変形例3)
第1の実施の形態においては、入力部16はタッチパネルから構成されていたが、入力部16の構成はこれに限定されない。たとえば、入力部16を複数のボタンにより構成し、表示部17に表示された撮影画像に対する第1乃至第3の入力、すなわち撮影画像の選択、移動、および選択解除を行ってもよい。
この変形例3によれば、タッチパネルに代えてボタンを備えればよいので、映像表示装置10を安価に製造することができる。また、映像表示装置10の表示部17が小さくタッチパネルによる操作が困難な場合でも、ボタンにより容易に操作ができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
以下、
図10〜11を参照して、本発明による第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、サーバが撮影画像を送受信する点で第1の実施の形態と異なる。
第2の実施の形態にかかる映像表示システムの構成を説明する。
図10は、映像表示システム2の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態と同一の構成には同一の番号を付し、以下では主に差異点を説明する。映像表示システム2は、複数の映像表示装置10と、サーバ20とから構成される。
映像表示装置10は、第1の実施の形態における構成に加えて通信部18を備えており、制御部11のROMに保存されているプログラム、および記憶部13に保存されるデータが一部異なる。
【0035】
制御部11は、第1の実施の形態においては不図示のレリーズボタンが押されると、撮影部12から受信したデータに撮影位置、撮影時刻、撮影方角の情報を付加して記憶部13へ撮影画像として保存したが、記憶部13へ保存するとともに通信部18を利用してサーバ20へ送信する。
記憶部13には、映像表示装置10により撮影された撮影画像、撮影画像表示設定13a、および通信部18がサーバ20から受信した撮影画像が保存される。
通信部18は、サーバ20と通信を行う。
【0036】
サーバ20は、サーバ制御部21と、サーバ通信部22と、撮影画像データベース23とを備える。
サーバ制御部21は、サーバ通信部22により映像表示装置10から受信した位置情報などに基づき撮影画像データベース23に保存されている撮影画像を検索し、条件に該当する撮影画像を映像表示装置10へサーバ通信部22により送信する。
【0037】
サーバ通信部22は、複数の映像表示装置10と映像表示装置10が撮影した撮影画像の送受信、および複数の映像表示装置10から受信した位置情報などのサーバ制御部21への通知を行う。
撮影画像データベース23は、複数の映像表示装置10から受信する撮影画像を保存し、サーバ制御部21により読み出される。映像表示装置10から受信する撮影画像には、当該撮影画像の撮影位置、撮影時刻、撮影方角の情報が内包されている。
【0038】
第2の実施の形態の動作を説明する。
第1の実施の形態において映像表示装置10の制御部11は主に、
図3に示した表示部17に表示する映像を生成する動作(以下、表示生成動作とよぶ)と、
図6に示したユーザによる入力部16からの操作に応じて表示部17の表示を変更する動作(以下、表示変更動作)を行っていた。第2の実施の形態においては、表示生成動作は第1の実施の形態と一部異なるが、表示変更動作は第1の実施の形態と同様なので表示変更動作の説明は省略する。
【0039】
図11のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図3のフローチャートに示すプログラムに代わって、第2の実施の形態において映像表示装置10の制御部11が実行する表示生成動作の処理手順を示すものである。
図11において、
図3に示す処理と同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付しており、
図3とはステップS203〜S204に代わってステップS401〜S402が実行される点が異なる。以下では、
図11と
図3の相違点を中心に説明する。
映像表示装置10の制御部11は、一定時間ごとに
図11のフローチャートを実行し、表示部17に表示する映像を生成する。
【0040】
ステップS201およびS202では、制御部11は、GPS受信機14および地磁気センサ15から、映像表示装置10の現在位置および方角を取得し、ステップS401に進む。
ステップS401では、制御部11は、ステップS201およびステップS202において取得した映像表示装置10の現在位置および方角をサーバ20に送信し、ステップS402に進む。
【0041】
ステップS402では、制御部11は、サーバ20から撮影画像を受信し制御部11のRAMに保存してステップS205に進む。ここで受信した撮影画像は、サーバ20のサーバ制御部21が撮影画像データベース23から、ステップS401において送信した現在位置および方角をもとに抽出した撮影画像である。
ステップS205では、制御部11は、撮影部12が現在撮影して得ているリアルタイムの映像、すなわちスルー画像を表示部17に出力し、ステップS206aに進む。
【0042】
ステップS206aでは、制御部11は、ステップS402において受信した撮影画像の表示部17への表示位置および大きさを
図3のステップS206と同様に計算して、記憶部13に撮影画像表示設定13aとして保存し、ステップS207に進む。
ステップS207では、制御部11は、ステップS402において受信した撮影画像を、スルー画像の上に、撮影日時の古い順番に、撮影画像表示設定13aに記述された位置、大きさで表示部17に配置し、
図11に示すフローチャートを終了する。
【0043】
サーバ20のサーバ制御部21は、映像表示装置10から現在位置(以下、「受信した現在位置」と呼ぶ)および方角(以下、「受信した方角」と呼ぶ)を受信すると、撮影画像データベース23に保存されている撮影画像から、以下の条件に合致する撮影画像を抽出して、映像表示装置10に送信する。条件とは、撮影画像が記録されている画像ファイルに記録されている撮影位置が、受信した現在位置から所定の範囲内であり、かつ受信した現在位置から受信した方角を中心に所定の角度以内にあることである。
【0044】
本発明は、映像表示装置10が撮影して得られた撮影画像をサーバ20の撮影画像データベース23に保存し、映像表示装置10の現在位置および向いている方角に応じてサーバ20が撮影画像データベース23に保存されている撮影画像を映像表示装置10に送信する。そのため、映像表示装置10には他の映像表示装置10により撮影された撮影画像も表示することができる。
【0045】
以上説明した第2の実施の形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)映像表示システム2は、映像表示装置10とサーバ20とを備える。映像表示装置10は、サーバ20と通信する通信部18をさらに備える。サーバ20は、複数の映像表示装置10と通信するサーバ通信部22と、映像表示装置10から受信した撮影画像を保存する撮影画像データベース23と、映像表示装置10から現在位置および方角を受信すると、受信した現在位置および方角に基づき撮影画像データベース23から撮影画像を抽出し、現在位置および方角を送信した映像表示装置10に抽出した撮影画像を送信するサーバ制御部21とを備える。
そのため、映像表示装置10の表示部17に異なる映像表示装置10により撮影された撮影画像もあわせて表示することができる。
【0046】
(変形例4)
第2の実施の形態においては、映像表示装置10が撮影画像表示設定13aを算出したが、サーバ20が撮影画像表示設定13aを算出して撮影画像データベース23から抽出した撮影画像とともに送信してもよい。すなわち、映像表示装置10は
図11のステップS402において撮影画像と撮影画像表示設定13aとを受信し、ステップS205のあとにステップS206を省略してステップS207に進んでもよい。この変形例4によれば、映像表示装置10において行う計算を削減することができる。
【0047】
(変形例5)
第2の実施の形態においては、映像表示装置10により撮影された撮影画像は記憶部13に保存されたが、記憶部13には保存せず撮影された撮影画像はサーバ20へ送信した後に削除してもよい。すなわち、表示部17に表示される撮影画像は全てサーバ20から受信し、制御部11のRAMに一時的に保存してもよい。
この変形例5によれば、撮影部12により撮影して得られた撮影画像は、記憶部13に撮影画像を保存せずサーバ20に送信するため、記憶部13の容量を小さく抑えることができる。
また、映像表示装置10の撮影部12をスルー画像の取得のみに使用し、撮影画像の保存を一切行わなくてもよい。この場合は、映像表示装置10に表示する撮影画像は、映像表示装置10の読み取り専用領域、またはサーバにあらかじめ保存される。たとえば、博物館や美術館での使用が想定され、あらかじめ撮影した展示品の撮影画像を映像表示装置10に表示し、展示品の展示位置を案内することができる。
【0048】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における機器構成に何ら限定されない。