(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
まず、本発明の(A)成分であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)であって、エチレンとα−オレフィン(例えばプロピレン等の、通常、炭素原子数3〜20のα−オレフィン)と、下記一般式(1)及び(2)で示される末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から選ばれる少なくとも1種の非共役ポリエンとのランダム共重合体(以下、EPDM又はEPDM系ゴム等と記載することがある)であり、該共重合体中に非共役ポリエンに由来する末端脂肪族不飽和基を有するものである。
【0011】
【化4】
(式中、nは0又は1〜10の整数であり、R
1は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R
2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
【化5】
(式中、R
3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0012】
本発明で用いられる非共役ポリエンは、一般式(1)又は(2)で示される、ビニル基等のアルケニル基を分子末端に有する、アルケニル基含有ノルボルネン化合物である。上記一般式(1)又は(2)で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネンが挙げられ、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンが好ましく、特に5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましい。
【0013】
α−オレフィン、特に、炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましく用いられる。これらのα−オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0014】
この共重合体は、例えばバナジウム系触媒と有機アルミニウム系触媒を主成分として含有する触媒の存在下に、エチレンとプロピレン等のα−オレフィンと上記一般式(1)又は(2)で示される非共役ジエン(例えば5−ビニル−2−ノルボルネン)をランダムに共重合することにより得られる。
【0015】
上記触媒の具体例として、バナジウム触媒はVOCl
3,VO(OC
2H
5)
3等が挙げられ、また有機アルミニウム系触媒としてはトリエチルアルミニウムやジエチルアルミニウムエトキシド等が挙げられる。この際の重合温度は30〜60℃、より望ましくは30〜50℃であり、重合圧力4〜12kgf/cm
2、特に5〜8kgf/cm
2であり、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比が(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件下で、エチレンとプロピレン等のα−オレフィンと非共役ジエン(例えば5−ビニル−2−ノルボルネン)をランダム共重合することにより得られる。なお、共重合は炭化水素媒体中で行うことが好ましい。
【0016】
また、共重合させるジエン成分は、本発明の目的を損なわない範囲で上記一般式(1)又は(2)で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物以外に、下記に例示するようなジエン化合物を併用することができる。
【0017】
上記ジエン化合物としては、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン等のノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オタタジエン等の鎖状非共役ジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン等が挙げられる。
【0018】
本発明の(A)成分のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体は、(a)エチレン単位と(b)α−オレフィン[(a)/(b)のモル比]を40/60〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20の割合で含有していることが好ましい。このモル比が上記範囲内にあると、特に強度特性及びゴム弾性に優れると共に、ゴム組成物が得られる。上記(A)成分のアルケニル基量は、0.00001〜0.002モル/g、好ましくは0.00005〜0.0015モル/g、更に好ましくは0.0001〜0.001モル/gである。アルケニル基量が0.00001モル/gより少ないと架橋が甘くべたついたゴムになり、0.002モル/gより多いと硬くなりすぎて脆いゴムとなってしまう場合がある。
【0019】
本発明の(B)成分は、分子中に下記式(3)で示されるシロキサン単位(即ち、オルガノハイドロジェンシロキサン単位とジオルガノシロキサン単位とのランダムな繰返しからなる2官能性の直鎖状ポリロキサン構造)を含有し、1分子中に少なくとも2個(例えば、2〜100個程度)、好ましくは3個以上(通常、3〜80個、好ましくは3〜50個、より好ましくは3〜30個程度)のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を含有し、側鎖に(即ち、二官能性シロキサン単位中のケイ素原子に結合した一価の置換基として)非置換又は置換の脂環式アルキル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子中のSiH基が前記(A)中のケイ素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋することによって組成物を硬化させるための硬化剤(架橋剤)として作用するものである。
【0020】
この(B)成分は一般式(3)で表されるシロキサン単位を分子中に含有し、pは2〜100、好ましくは2〜80、より好ましくは3〜50、更に好ましくは3〜30の整数で示されるものが好適に用いられる。pが2より少ないとEPDM組成物が硬化しない場合があり、100より多くなると不安定な物質となるおそれがある。また、qは1〜100、好ましくは1〜80、より好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜30の整数で示されるものが好適に用いられる。qが1より少ないとEPDMゴムの硬化速度が悪くなり、100より多い場合、粘度が高くなりすぎて使用しにくくなる場合がある。また、p+qの合計は3〜200、好ましくは3〜120、より好ましくは4〜80、更に好ましくは4〜50の整数で示されるものが好適に用いられる。
なお、一般式(3)において、−[Si(R
4)(H)−O]−のオルガノハイドロジェンシロキサン単位と−[Si(R
5)(R
6)−O]−のジオルガノシロキサン単位の配列はランダムである。
【化6】
(式中、pは2〜100の整数、qは1〜100の整数、R
4は炭素数1〜10の非置換又は置換鎖状アルキル基、R
5は炭素数5〜15の非置換又は置換脂環式アルキル基、R
6は水素原子又は炭素数1〜15の非置換又は置換アルキル基であり、*は結合手を示す。)
【0021】
ここで、上記R
4で示されるケイ素原子に結合した炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R
4の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0022】
上記R
5で示される炭素数5〜15の非置換又は置換脂環式アルキル基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環式アルキル基、ノルボルニル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基等の多環式アルキル基や、これらの基の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。また、これらの非置換又は置換脂環式アルキル基は直接ケイ素原子に結合しても直鎖アルキル基を介してケイ素原子に結合していても良い。これらの中で特にシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等が好適に用いることができる。
【0023】
上記R
6は、水素原子又は炭素数1〜15の非置換又は置換アルキル基であり、非置換又は置換アルキル基の場合、R
4もしくはR
5で示される置換基(非置換又は置換の、鎖状又は脂環式アルキル基)が挙げられるが、全R
6の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0024】
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網目状のいずれの構造であってもよいが、直鎖状又は環状であることが好ましい。
【0025】
ここで、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状又は分岐鎖状の場合、分子鎖(両)末端はトリオルガノシリル(又はシロキシ)基であるか、又はジオルガノハイドロジェンシリル(又はシロキシ)基であることが好ましい。
なお、オルガノ基としては、炭素数1〜10の、直鎖状、分岐鎖状又は環状の、非置換又は置換アルキル基であることが好ましく、具体的には、上記R
4もしくはR
5で例示したものと同様の基(非置換又は置換の、鎖状又は脂環式アルキル基)等を挙げることができる。また、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが環状の場合、*の結合手同士が結合することができる。
また、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分岐鎖状又は三次元網目状の場合には、分岐単位として分子中に三官能性シロキサン単位(例えば、(R
4)SiO
3/2単位、R
4は上記と同じ。)及び/又は四官能性シロキサン単位(SiO
4/2単位)を含有することができ、上記式(3)の結合手(*)はこれら三官能性シロキサン単位及び/又は四官能性シロキサン単位と結合していてもよい。
【0026】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分100質量部に対して0.2〜20質量部、望ましくは0.5〜20質量部、特に1〜15質量部であることが好ましい。0.2質量部より少ないと架橋が不十分になり、べたついたゴムになってしまう場合があり、20質量部より多いとゴム物性が低下してしまい、かつ不経済である。
【0027】
なお、本発明においては、(B)成分中の合計SiH官能基量と(A)成分中のアルケニル基量とのモル比(SiH/アルケニル)が0.5〜5.0、好ましくは0.6〜4.0、より好ましくは0.6〜3.0の範囲であるように用いるのが望ましい。0.5より小さいと架橋が不十分となり、5.0を超えるとゴムに発泡が見られたりゴム物性が低下してしまうことがある。
【0028】
(C)成分のヒドロシリル化触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒等が挙げられる。
なお、このヒドロシリル化触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、白金族金属(質量換算)として、(A)及び(B)成分の合計質量に対し、0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度である。
【0029】
次に、(D)成分の補強性シリカ微粉末は、必要に応じて本発明の組成物に配合してもよい任意成分であって、シリカの種類に特に限定はなく、通常ゴムの補強剤として使用されるものであればよい。その補強性シリカ微粉末としては、従来のEPDMゴム組成物に使用されているものを使用できるが、特にはBET法による比表面積が50m
2/g以上である補強性シリカ微粉末を用いるのが好ましい。特にBET法による比表面積が50〜400m
2/gの沈澱シリカ(湿式シリカ)、ヒュームドシリカ(乾式シリカ)、焼成シリカ等が好適に使用され、ゴム強度を向上することからヒュームドシリカが好適である。また、上記補強性シリカ微粉末は、表面処理されたシリカ微粉末であってもよい。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で直接表面処理されたものでもよく、あるいは本発明の組成物を調製する際に、(A)成分及び/又は(B)成分との混合時に、表面処理剤の存在下で表面未処理の補強性シリカ微粉末を添加して加熱下に表面処理したものであってもよい。
【0030】
通常の表面処理法として、一般的周知の技術により処理でき、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と表面処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温あるいは熱処理にて混合処理する。場合により、触媒を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより処理シリカ微粉末を製造し得る。処理剤の配合量は、その処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。
【0031】
表面処理剤として、具体的には、へキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いる。処理剤としては、特にシラン系カップリング剤又はシラザン類が好ましい。
【0032】
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0〜60質量部、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは10〜50質量部、更に好ましくは10〜40質量部である。(D)成分は添加しなくても差し支えないが、その場合、硬化ゴムの機械的強度が弱くなり、脱型など成形に問題が生じる場合がある。60質量部を超えると充填が困難となり、作業性、加工性が悪くなるおそれがある。
【0033】
本発明の付加硬化型EPDMゴム組成物には、その他の成分として、必要に応じて、非補強性の沈降シリカ、石英粉、珪藻土、炭酸カルシウムのような充填剤や、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤(特には、分子中にアルケニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等から選ばれる少なくとも1種の官能性基を含有すると共に、分子中にSiH基を含有しないアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物など)、チクソ性付与剤等を配合することは任意とされる。
【0034】
本発明の付加硬化型EPDMゴム組成物は、上記した(A)〜(D)成分、及び任意成分を常温で均一に混合するだけでも得ることが可能であるが、好ましくは(D)成分は、(A)成分の全量又はその一部とプラネタリーミキサーやニーダー等で100〜200℃の範囲で1〜4時間熱処理し、室温に冷却後、その他の成分を添加、混合してもよい。
【0035】
成形方法は、混合物の粘度により自由に選択することができ、注入成形、圧縮成形、ディスペンサー成形、射出成形、押出成形、トランスファー成形等いずれの方法を採用してもよい。その硬化条件は、通常60〜200℃で10秒〜1時間の範囲内で加熱成形することができる。
【0036】
このような付加硬化型EPDMゴム組成物の硬化スピードとしては、その効率を重視すると硬化性試験機[ローターレスタイプディスクレオメータ、ムービングダイ式レオメーター、又はMDR]による130℃で3分測定時の10%硬化時間(即ち、130℃において測定開始から3分間における最大トルク値に対する10%のトルク値を与える時の測定開始からの時間)をT10(秒)、90%硬化時間(即ち、130℃において測定開始から3分間における最大トルク値に対する10%のトルク値を与える時の測定開始からの時間)をT90(秒)とした時、T90−T10が70秒以下であることが好ましく、より好ましくは60秒以下である。70秒より長いと成形サイクルが悪く、不経済になる場合がある。
【0037】
本発明の付加硬化型EPDMゴム組成物は、携帯電話、モバイル通信機器、モバイルコンピューター部品、ゲーム機、時計、画像受信機、DVD機器、MD機器、CD機器等の精密電子機器、電子レンジ、冷蔵庫、電気炊飯器、ブラウン管テレビ、液晶テレビやプラズマテレビ等の薄型ディスプレー、各種家電製品、複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器、コネクターシール、点火プラグキャップ、各種センサー部品等の自動車用部品など、多くの分野において使用が可能である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも質量部である。なお、Meはメチル基を示す。
【0039】
[実施例1]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体である三井化学(株)製PX−062(A1、エチレン含有量50質量%、アルケニル量0.00039モル/g)100部、下記式で示される側鎖に脂環式アルキル基(ノルボルニル基)を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1、Si−H基量0.0089モル/g)4.4部、
【化7】
反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0040】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表1に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表1に示した。
【0041】
[実施例2]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)100部、下記式で示される側鎖に脂環式アルキル基(ノルボルニル基)を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2、Si−H基量0.0064モル/g)6.1部、
【化8】
反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0042】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表1に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表1に示した。
【0043】
[実施例3]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)35部、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体である三井化学(株)製PX−068(A2、エチレン含有量50質量%、アルケニル量0.00057モル/g)35部、比表面積が110m
2/gでジメチルシランにより表面疎水化処理されたヒュームドシリカR−972(AEROSIL製)30部、ヘキサメチルジシラザン3部、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.5部、水1部を配合し、30分間混合後、120℃で2時間熱処理を行いEPDMゴムベースを得た。
【0044】
次に得られたEPDMゴムベース100部にエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)15部、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−068(A2)15部、脂環式アルキル基(ノルボルニル基)を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1、Si−H基量0.0089モル/g)6.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0045】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表2に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、引張り強度、切断時伸び、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表2に示した。
【0046】
[比較例1]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)100部、下記式で示される側鎖にフェニル基(2−フェニルプロピル基)を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B3、Si−H基量0.0084モル/g)4.5部、
【化9】
反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0047】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表1に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表1に示した。
【0048】
[比較例2]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)100部、下記式で示される側鎖に鎖状アルキル基(n−ヘキシル基)を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B4、Si−H基量0.0062モル/g)6.3部、
【化10】
反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0049】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表1に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表1に示した。
【0050】
[比較例3]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)100部、下記式で示される側鎖にフェニル基を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B5、Si−H基量0.0068モル/g)4.2部、
【化11】
反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0051】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表1に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表1に示した。
【0052】
[比較例4]
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)35部、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体である三井化学(株)製PX−068(A2、エチレン含有量50質量%、アルケニル量0.00057モル/g)35部、比表面積が110m
2/gでジメチルシランにより表面疎水化処理されたヒュームドシリカR−972(AEROSIL製)30部、ヘキサメチルジシラザン3部、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.5部、水1部を配合し、30分間混合後、120℃で2時間熱処理を行いEPDMゴムベースを得た。
【0053】
次に得られたEPDMゴムベース100部にエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−062(A1)15部、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体PX−068(A2)15部、側鎖にフェニル基(2−フェニルプロピル基)を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B3、Si−H基量0.0084モル/g)6.3部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(C1)(白金原子0.5質量%)0.3部を添加して均一なEPDMゴム組成物を調製した。なお、このEPDMゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比SiH基/アルケニル基は1.0である。
【0054】
該組成物を、130℃での硬化性をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果を表2に示した。また、120℃/10分のプレスキュアを行って得られた硬化物について、JIS−K6249に基づき、硬さ、引張り強度、切断時伸び、圧縮永久歪(25%圧縮、120℃/70時間)を測定した結果を同じく表2に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】