(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
深い準位を形成する欠陥が比較的少ない基板として、高感度撮像素子にはエピタキシャルウェーハが用いられる場合が多い。その際に発生する白キズ不良の原因として、エピタキシャル層中の金属不純物が挙げられる。その他に深い準位を形成する欠陥として、C
iC
s欠陥やC
iO
i欠陥がある。これらのC
iC
s欠陥やC
iO
i欠陥の形成には、酸素もしくは炭素の存在が必要であり、酸素及び炭素が存在していなければ欠陥は発生しない。
【0006】
これまで、エピタキシャルウェーハにおけるエピタキシャル層には、デバイス工程中に基板からエピタキシャル層へ拡散してくる酸素もしくは炭素以外には、酸素や炭素は存在しないと考えられていた。
【0007】
しかし、シリコン基板上にエピタキシャル層を成長させた直後に電子線を照射して、低温フォトルミネッセンス法(Photoluminescence法;以下ではPL法と言うことがある)で測定すると、C
iC
s欠陥やC
iO
i欠陥が検出される。この際の測定波長は532nmでシリコンに対する侵入長は約1μmであり、その侵入長よりも十分に厚いエピタキシャル層のエピタキシャルウェーハを用いてもC
iC
s欠陥やC
iO
i欠陥が検出されるので、エピタキシャル層成長直後に存在する酸素や炭素は基板から拡散してきたものではないと言える。
従って、実際にはエピタキシャル成長直後であっても、エピタキシャル層中に酸素や炭素が極めて微量に存在することが分かった。よって、歩留まり良く撮像素子用基板を製造するためには、エピタキシャル層に含まれる酸素及び炭素をさらに少なくすると良い。
【0008】
しかしながら、最先端撮像素子の白キズ不良に影響するレベルの極めて低濃度の酸素や炭素を直接正確に測定することは難しい。シリコン中の酸素濃度を精度良く求める方法として、特許文献1では、シリコン試料に炭素イオンを注入して、酸素と炭素の複合欠陥を生成させ、そのシリコン試料からのフォトルミネッセンスを測定し酸素濃度を求める方法が示されている。しかしながら、炭素を注入しており、シリコン試料中に元から存在した炭素の濃度は求めることはできない。
さらに、特許文献1には撮像素子の白キズ不良については何も記載されておらず、エピタキシャルウェーハを用いて製造された撮像素子の白キズ不良とエピタキシャルウェーハの酸素に関連するフォトルミネッセンスとの関係は不明である。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、シリコンエピタキシャルウェーハを用いて撮像素子を製造する場合に、撮像素子の白キズ不良が問題にならないレベルのシリコンエピタキシャルウェーハを、選別して合格とすることができるシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法により製造されたシリコンエピタキシャルウェーハを用いて製造された撮像素子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、シリコンエピタキシャルウェーハを用いて撮像素子を製造する場合に、撮像素子の白キズ不良が問題にならないレベルか否かを判断することができるシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法を提供することを目的とする。
尚、ここで、「問題にならないレベル」とは、撮像素子の白キズ不良の数が十分に少なく、その撮像素子を用いた、例えばデジタルカメラなどの製品において問題が生じない程度であることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、シリコンの鏡面ウェーハ上にエピタキシャル層を成長させたシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
前記鏡面ウェーハに光を照射して、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルをフォトルミネッセンス測定装置で測定し、該スペクトルのTO線の発光の強度が30000〜50000カウントとなるように前記フォトルミネッセンス測定装置を調整する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハに電子線を照射する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハの電子線照射領域に光を照射し、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルを前記調整されたフォトルミネッセンス測定装置で測定する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハからのフォトルミネッセンスのスペクトルのC
iC
s欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の0.83%以下、C
iO
i欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の6.5%以下となるシリコンエピタキシャルウェーハを選別して合格とする工程を有することを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法を提供する。
【0011】
このように、エピタキシャル層を成長させて作製したシリコンエピタキシャルウェーハに対して、TO線の発光の強度を30000〜50000カウントになるようにフォトルミネッセンス測定装置を調整し、フォトルミネッセンスのスペクトルのC
iC
s欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の0.83%以下、C
iO
i欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の6.5%以下となるシリコンエピタキシャルウェーハを選別して撮像素子を製造することにより、確実に撮像素子の白キズ不良を問題のないレベルまで低減することができる。
尚、30000〜50000カウントは、30000カウント以上50000カウント以下を意味する。
【0012】
また、本発明は、上述のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法により製造されたシリコンエピタキシャルウェーハを用いて製造された撮像素子を提供する。
【0013】
このような撮像素子であれば、白キズ不良が問題のないレベルまで低減されているものとなる。
【0014】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、シリコンの鏡面ウェーハ上にエピタキシャル層を成長させたシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法であって、
前記鏡面ウェーハに光を照射して、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルをフォトルミネッセンス測定装置で測定し、該スペクトルのTO線の発光の強度が30000〜50000カウントとなるように前記フォトルミネッセンス測定装置を調整する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハに電子線を照射する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハの電子線照射領域に光を照射し、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルを前記調整されたフォトルミネッセンス測定装置で測定する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハからのフォトルミネッセンスのスペクトルのC
iC
s欠陥に起因する発光の強度を求め、該発光の強度がTO線の発光の強度の0.83%以下であるか否かを判断する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハからのフォトルミネッセンスのスペクトルのC
iO
i欠陥に起因する発光の強度を求め、該発光の強度がTO線の発光の強度の6.5%以下であるか否かを判断する工程を有することを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法を提供する。
【0015】
このように、エピタキシャル層を成長させて作製したシリコンエピタキシャルウェーハに対して、TO線の発光の強度を30000〜50000カウントになるようにフォトルミネッセンス測定装置を調整し、フォトルミネッセンスのスペクトルのC
iC
s欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の0.83%以下であるか否か、C
iO
i欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の6.5%以下であるか否かを判断することで、実際に撮像素子を製造しなくとも、撮像素子の白キズ不良が問題のないレベルのシリコンエピタキシャルウェーハであるか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法によれば、シリコンエピタキシャルウェーハを選別して撮像素子を製造することにより、撮像素子の白キズ不良を問題のないレベルまで低減し、高性能、高品質の撮像素子を製造することができる。また、本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法によれば、実際に撮像素子を製造しなくとも、撮像素子の白キズ不良が問題のないレベルのシリコンエピタキシャルウェーハであるか否かを判断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、最先端撮像素子用のシリコンエピタキシャルウェーハにおいて、白キズ不良が問題にならないレベルのシリコンエピタキシャルウェーハを提供する方法が求められている。
【0019】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、シリコンの鏡面ウェーハ上にエピタキシャル層を成長させたシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
前記鏡面ウェーハに光を照射して、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルをフォトルミネッセンス測定装置で測定し、該スペクトルのTO線の発光の強度が30000〜50000カウントとなるように前記フォトルミネッセンス測定装置を調整する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハに電子線を照射する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハの電子線照射領域に光を照射し、発生するフォトルミネッセンスのスペクトルを前記調整されたフォトルミネッセンス測定装置で測定する工程と、
前記シリコンエピタキシャルウェーハからのフォトルミネッセンスのスペクトルのC
iC
s欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の0.83%以下、C
iO
i欠陥に起因する発光の強度がTO線の発光の強度の6.5%以下となるシリコンエピタキシャルウェーハを選別して合格とする工程を有することを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
最初に、シリコンエピタキシャルウェーハのC
iC
s欠陥及びC
iO
i欠陥に起因するPLの発光強度と、そのシリコンエピタキシャルウェーハと同条件で製造したシリコンエピタキシャルウェーハを用いて製造した撮像素子の白キズの関係を調べた。
【0022】
まず、撮像素子用の直径300mmのシリコンエピタキシャルウェーハを製造するために、抵抗率10Ω・cmのn型のシリコンの鏡面ウェーハ上に、抵抗率10Ω・cm、厚さ10μmのエピタキシャル膜(層)を形成したサンプルを用意した。その際のエピタキシャル層成長条件を5水準(水準1、2、3、4、5)とした。これら5水準はエピタキシャル成長中に取り込まれる酸素濃度に差がでると考えられる製造条件によるものである。これらのサンプルで実際に撮像素子を製造し暗電流(白キズ)特性を調査した。
【0023】
次に、上記の5水準と同じ成長条件でシリコンエピタキシャルウェーハを製造した後に電子線を照射して、電子線照射領域のPLスペクトルの測定を行った。測定結果のスペクトル(水準1、3、5)を
図1に示した。また、電子線を照射する前のシリコンエピタキシャルウェーハからのPLスペクトルも測定し
図1に示した。電子線照射前のPLスペクトルは水準1からのものを示したが、他の水準のPLスペクトルもほとんど同様なスペクトルであった。
【0024】
図1において、波長1130nm付近の最も強度の強い発光がTO線(TO−line)であり、TO(Transverse Optical)フォノンが関係したバンド間遷移発光によるものである。また、波長1278nm付近の発光がG線(G−line)であり、C
iC
s欠陥に由来する発光である。さらに、波長1571nm付近の発光がC線(C−line)であり、C
iO
i欠陥に由来する発光である。電子線照射前のPLスペクトルと比較すると、水準1−5のPLスペクトルではいずれもG線及びC線の発光が強くなっており、C
iO
i欠陥及びC
iC
s欠陥による準位が検出された。
図1のG線において、発光強度は水準5が最も大きく、水準1が最も小さく、水準1〜5の順に大きくなった。また、C線においてもG線と同様に、発光強度は水準5が最も大きく、水準1が最も小さく、水準1〜5の順に大きくなった。
【0025】
ここで、リファレンスとする鏡面ウェーハのTO線の発光の強度が30000〜50000カウントになるようにPL測定装置を調整して、以降で用いるG線及びC線の発光強度を各水準のウェーハについて求めた。TO線の発光の強度が30000カウント未満ではG線及びC線の発光強度が小さくなり精度の高い白キズの評価ができない。また、TO線の発光の強度が50000カウントを超えるとG線及びC線の発光強度が大きくなりすぎて白キズとの相関が得られなくなってしまう。
【0026】
そして、既に調査した撮像素子の白キズとC
iC
s欠陥に起因する発光(G線)の強度の関係を
図2Aに、撮像素子の白キズとC
iO
i欠陥に起因する発光(C線)の強度との関係を
図2Bに示す。
図2A及び
図2Bにおいて、横軸は白キズの個数、縦軸はTO線の発光の強度に対するC
iC
s欠陥、C
iO
i欠陥に起因する発光強度の割合を示している。尚、撮像素子の白キズの個数は撮像面の面積等にも依存するので、
図2A及び
図2B中の白キズの個数は規格化されたものである。
【0027】
図2Aにおいて、最も白キズが少ないのが水準1、最も多いのが水準5で、水準1〜5の順に白キズが多くなった。
図2Bにおいても同様に、白キズは水準1が最も少なく、水準
5が最も多かった。これらのことから、C
iC
s欠陥に起因するG線の発光強度もしくはC
iO
i欠陥に起因するC線の発光強度が高くなるに従って、白キズ特性が悪化することが分かった。
ここで、G線については、発光強度がTO線の発光強度に対して0.83%を超えると急激に白キズ特性が悪化している。一方、C線については、発光強度がTO線の発光強度に対して6.5%を超えた場合に、急激に白キズ特性が悪化している。G線で発光強度がTO線の発光強度に対して0.83%の場合は白キズの数は18個と見積もられ、C線で発光強度がTO線の発光強度に対して6.5%の場合は白キズの数は18個と見積もられる。これらはいずれも最先端撮像素子においても、実用上問題にならないレベルである。従って、G線の発光強度がTO線の発光強度に対して0.83%以下、C線の発光強度がTO線の発光強度に対して6.5%以下のシリコンエピタキシャルウェーハを用いて撮像素子を製造すれば、白キズ不良を問題にならないレベルとすることができる。
【0028】
次に、本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法について
図3を参照して説明する。
図3は、本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の工程フローを示す図である。まず、本発明では、リファレンスとなるシリコンの鏡面ウェーハに光を照射して、発生するPLスペクトルをPL測定装置で測定する。鏡面ウェーハに照射する光は特に限定されないが、例えば波長532nmの固体レーザーとすることができる。その他にも、ArイオンレーザーやHe−Cdレーザー等を用いることもできる。そして、得られたPLスペクトルのTO線の発光強度が30000〜50000カウントとなるように、PL測定装置を調整する(A工程)。
【0029】
このとき、リファレンスとするシリコンの鏡面ウェーハは特に限定されないが、長期にわたって常に同じ鏡面ウェーハを用いることで、測定の時期による発光強度計測値のばらつきが発生しないようにすることが好ましい。また、リファレンスの鏡面ウェーハは、エピタキシャルウェーハの仕様ごとに定めてもよい。その場合でも、仕様ごとに同じ鏡面ウェーハを長期にわたって使用することが好ましい。
【0030】
次に、選別対象のシリコンエピタキシャルウェーハに電子線を照射し(B工程)、エピタキシャル層の中にC
iC
s欠陥やC
iO
i欠陥を生成させる。電子線を照射する装置は特に限定されないが、例えば走査型電子顕微鏡のような装置を用いることができる。電子線は選別対象のすべてのエピタキシャルウェーハに照射することもできるが、例えば同じエピタキシャル成長装置で連続して成長させた20枚のエピタキシャルウェーハ間で、G線及びC線の発光強度に変化がないことが事前に推定される場合は、その20枚のうちの1枚だけに電子線を照射してもよい。
【0031】
続いて、シリコンエピタキシャルウェーハの電子線照射領域に光を照射し、発生するPLスペクトルを前述の調整されたPL測定装置で測定し(C工程)、G線及びC線の発光強度を求める。
【0032】
そして、C
iC
s欠陥に起因するG線の発光強度がTO線の発光強度の0.83%以下、C
iO
i欠陥に起因するC線の発光強度がTO線の発光強度の6.5%以下である場合には、そのシリコンエピタキシャルウェーハを合格とする(D工程)。また、前述のように、例えばそのシリコンエピタキシャルウェーハを含む20枚のウェーハ間でG線及びC線の発光強度に変化がないことが分かっていれば、残りの19枚のシリコンエピタキシャルウェーハも合格とすることができる。
【0033】
このようにして選別され、合格とされたシリコンエピタキシャルウェーハを用いて撮像素子を製造する。そうすると、その撮像素子は白キズ不良が極めて少なくなり、実用上問題のないレベルのものとすることができる。
【0034】
さらに、本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法について
図4を参照して説明する。
本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法は、シリコンの鏡面ウェーハを用いてPLスペクトルを測定しTO線の発光強度が30000〜50000カウントになるようにPL測定装置を調整する工程(A工程)、評価対象のエピタキシャルウェーハに電子線を照射する工程(B工程)、その電子線照射領域のPLスペクトルを測定する工程(C工程)を有しており、ここまでは既に説明したシリコンエピタキシャルウェーハを選別して合格とするシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法と同様である。
【0035】
本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法は、さらに、評価対象のシリコンエピタキシャルウェーハからのPLスペクトルのC
iC
s欠陥に起因するG線の発光強度がTO線の発光強度の0.83%以下であるか否かを判断する工程と、C
iO
i欠陥に起因するC線の発光強度がTO線の発光強度の6.5%以下であるか否かを判断する工程を有している。
【0036】
本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法によれば、製造したシリコンエピタキシャルウェーハが撮像素子用のウェーハとして適しているものか否かを評価することができる。具体的には、例えば本発明のシリコンエピタキシャルウェーハの評価方法を用いて、撮像素子用として好適なシリコンエピタキシャルウェーハを製造するためのエピタキシャル層の成長条件の範囲を詳細に求めることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
撮像素子用の直径300mmのシリコンエピタキシャルウェーハを製造するために、抵抗率10Ω・cmのn型のシリコンの鏡面ウェーハ上に、抵抗率10Ω・cm、厚さ10μmのエピタキシャル層を形成したウェーハを5枚準備した。この5枚のウェーハは、同一のエピタキシャル成長装置を用いて連続して、同一の成長条件でエピタキシャル層を成長させたものであり、5枚のウェーハのエピタキシャル層は均質なものである。
【0039】
次に、シリコンの鏡面ウェーハを用いて、TO線の発光強度が40000カウントとなるように、PL測定装置を調整した。
さらに、準備したシリコンエピタキシャルウェーハのうちの1枚に電子線を照射した。続いて、このウェーハの電子線照射領域のPLスペクトルを調整されたPL測定装置で測定した。この時のG線の発光強度はTO線の発光強度の0.63%、C線の発光強度はTO線の発光強度の5.2%であり、選別条件を満たしていた。
【0040】
一方、残りの4枚のシリコンエピタキシャルウェーハで、撮像素子を製造して白キズ不良の評価を行った。製造された撮像素子の白キズの個数は平均値で4個であり、極めて白キズ不良の少ない撮像素子を製造することができた。
【0041】
(実施例2)
実施例1と同様に、直径300mm、抵抗率10Ω・cmのn型のシリコンの鏡面ウェーハ上に、抵抗率10Ω・cm、厚さ10μmのエピタキシャル層を形成したウェーハを5枚準備した。但し、エピタキシャル成長に使用したエピタキシャル成長装置は、実施例1とは異なる装置とした。そして、シリコンの鏡面ウェーハを用いて、TO線の発光強度が40000カウントとなるように、PL測定装置を調整した。
【0042】
さらに、準備したシリコンエピタキシャルウェーハのうちの1枚に電子線を照射し、このウェーハの電子線照射領域のPLスペクトルを調整されたPL測定装置で測定した。この時のG線の発光強度はTO線の発光強度の0.94%、C線の発光強度はTO線の発光強度の8.3%であり、選別(評価)条件を満たしていなかった。
【0043】
そして、残りの4枚のシリコンエピタキシャルウェーハで、撮像素子を製造して白キズ不良の評価を行った。G線及びC線の発光強度の評価から白キズが多いことが予測されたが、実際に製造された撮像素子の白キズの個数は平均値で102個と多かった。これは、最先端撮像素子として不適当なレベルであった。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。