(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来のマイクロチャンネル熱交換器では、水入口ヘッダー及び水出口ヘッダーが冷媒入口ヘッダー及び冷媒出口ヘッダーよりも水用伝熱体の長手方向外側の位置に配置されている。これは、水入口ヘッダー及び水出口ヘッダーが冷媒入口ヘッダー及び冷媒出口ヘッダーに干渉しないようにするためである。このため、従来の熱交換器は大型化するという問題がある。
【0007】
そこで、水用伝熱体の流路をマイクロチャンネルで形成し、このマイクロチャンネルを冷媒用伝熱体のマイクロチャンネルに近接配置するとともに、水入口ヘッダー、水出口ヘッダー、冷媒入口ヘッダー、冷媒出口ヘッダーをマイクロチャンネルに近接配置すると、熱交換器を小型化することができる。しかしながら、冷媒用伝熱体のマイクロチャンネルに通流する冷媒(CO
2)は高圧であるので、低圧の水が通流する水入口ヘッダー、水出口ヘッダーを冷媒用伝熱体のマイクロチャンネルに近接配置すると、低圧用の水入口ヘッダー及び水出口ヘッダーが損傷する虞が生じる。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、コンパクト化を図るとともに、低圧用のヘッダーを高圧流体が通流するマイクロチャンネルに近接配置しても、低圧用のヘッダーが損傷する虞のないマイクロチャンネル熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態に係わるマイクロチャンネル熱交換器は、
高圧マイクロチャンネル及び低圧マイクロチャンネルを有し、複数の板部材の積層体によって構成されるマイクロチャンネル熱交換器であって、
高圧流路開口を有する高圧チャンネル板と、
前記高圧チャンネル板の両側に設けられ、前記高圧流路開口の両側の開口端を閉じて前記高圧チャンネル板とともに前記高圧マイクロチャンネルを形成するための一対の隔壁板と、
前記低圧マイクロチャンネル及び該低圧マイクロチャンネルに連通する低圧ヘッダー流路が設けられる低圧チャンネル板と、を備え、
前記一対の隔壁板には、それぞれ、前記低圧マイクロチャンネル及び前記低圧ヘッダー流路が存在しない領域において、前記高圧チャンネル板の前記高圧流路開口に対して部分的にオーバラップする一対の高圧ヘッダー流路が設けられており、
前記一対の高圧ヘッダー流路は、前記高圧流路開口を介して互いに連通しているように構成される。
【0010】
上記マイクロチャンネル熱交換器によれば、一対の隔壁板のそれぞれには、低圧マイクロチャンネル及び低圧ヘッダー流路が存在しない領域において、高圧チャンネル板の高圧流路開口に対して部分的にオーバラップして一対の高圧ヘッダー流路が設けられ、一対の高圧ヘッダー流路は、高圧流路開口を介して互いに連通しているので、高圧マイクロチャンネルに高圧流体が通流すると、高圧マイクロチャンネルを介して高圧流体の圧力は、低圧チャンネル及び低圧ヘッダー流路が存在しない領域の隔壁板に作用し、低圧チャンネル及び低圧ヘッダー流路には作用しない。このため、低圧ヘッダー流路が損傷する虞を防止することができる。また、高圧ヘッダー流路は、高圧チャンネル板の高圧流路開口に対して部分的にオーバラップする位置に配置されているので、マイクロチャンネル熱交換器をコンパクト化することができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、
前記低圧チャンネル板は、前記低圧ヘッダー流路が前記高圧チャンネル板の前記高圧流路開口に対してオーバラップするように配置されるように構成される。
【0012】
この場合、低圧チャンネル板は、低圧ヘッダー流路が高圧チャンネル板の高圧流路開口に対してオーバラップするように配置されるので、低圧ヘッダー流路を高圧チャンネル板のより内側に配置することができる。このため、よりコンパクト化したマイクロチャンネル熱交換器を実現できる。
【0013】
幾つかの実施形態では、
前記低圧チャンネル板には、前記低圧流体を前記低圧マイクロチャンネルに流入させる低圧ヘッダー流路が設けられ、
前記低圧ヘッダー流路には、前記低圧マイクロチャンネルとオーバラップする部分に連通孔が設けられ、該連通孔を介して前記低圧ヘッダー流路と前記低圧マイクロチャンネルとが連通し、
前記連通孔は、前記低圧マイクロチャンネルの断面積よりも小さい断面積を有しているように構成される。
【0014】
この場合、連通孔は、低圧マイクロチャンネルの断面積よりも小さい断面積を有しているので、低圧ヘッダー流路から低圧マイクロチャンネルから流入する低圧流体の流速を大きくすることができる。このため、低圧マイクロチャンネルの伝熱性能の向上に寄与できる。
【0015】
幾つかの実施形態では、
前記低圧ヘッダー流路の上流側には、該低圧ヘッダー流路の断面積よりも小さい絞りが設けられているように構成される。
【0016】
この場合、低圧ヘッダー流路の上流側には、該低圧ヘッダー流路の断面積よりも小さい絞りが設けられるので、絞りを通過した低圧流体は、渦状に拡散しながら低圧ヘッダー流路を流れる。このため、低圧ヘッダー流路に繋がる複数の低圧マイクロチャンネルのそれぞれに均一流量の低圧流体を供給することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、コンパクト化を図るとともに、高圧流体が通流するマイクロチャンネルに低圧用のヘッダーを近接配置しても、低圧用のヘッダーが損傷する虞のないマイクロチャンネル熱交換器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明のマイクロチャンネル熱交換器の実施形態について説明する。本実施形態は、低圧流体(例えば、アンモニア)と高圧流体(例えば、二酸化炭素)との間で熱交換する2系統のマイクロチャンネル熱交換器を例にして、以下説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
マイクロチャンネル熱交換器1は、
図1(a)(内部構造図)及び
図1(b)(側面図)に示すように、積層体10と、積層体10の表面に取り付けられた複数の導入部3H、3L及び導出部4H、4Lと、を有して構成される。積層体10は、直方体状に形成され、複数の板部材11を積層して構成される。複数の板部材11は、肉厚の薄い(例えば、0.3mm、0.5mm、5mm)ステンレス鋼からなり、平面視において略同一の大きさを有した長方形状に形成されている。各板部材11は、一方の板部材11の裏面と他方の板部材11の表面とを、例えばロウ付け等によって接合して一体化される。板部材11には、エッチングによって長孔状の流路開口が形成されたものや、孔部が形成されたものがある。流路開口の長さや孔部の数等の相違から、板部材11には、低圧チャンネル板20(
図2(a)参照)、高圧チャンネル板30(
図3(a)参照)、隔壁板40(
図4参照)、表板50(
図5参照)、裏板60(
図6参照)の5種類が存在する。
【0021】
次に、5種類の板部材11(20、30、40、50、60)について説明する。幾つかの実施形態では、低圧チャンネル板20は、
図2(a)(正面図)に示すように、例えば、厚さが0.5mmのステンレス鋼板によって形成され、中央部に低圧マイクロチャンネル21(
図2(b)参照)の一部を構成する低圧流路開口22が形成されている。低圧流路開口22は、エッチングによって低圧チャンネル板20を貫通して低圧チャンネル板20の長手方向に沿って直線状に形成されている。低圧流路開口22は、低圧チャンネル板20の幅方向に所定間隔(例えば、1mm)を有して複数(
図2(a)では98本)設けられ、低圧流路開口22は、例えば、開口幅が0.5mmを有して開口している。低圧流路開口22は、断面視において低圧チャンネル板20の両側の面から内側に進むに従って開口幅が狭くなるように形成されている(
図2(b)参照)。
【0022】
複数の低圧流路開口22の長手方向一端側(以下、「上側」と記す。)には、複数の低圧流路開口22に連通して低圧チャンネル板20の幅方向に延びる低圧ヘッダー流路24が設けられている。この低圧ヘッダー流路24は、複数の低圧流路開口22の幅方向左側端部から右側端部を超えて延びて向きを変えて上方へ延びるように形成されている。低圧ヘッダー流路24の右側の上端部には円形状の開口孔部24aが形成されている。この開口孔部24aは、低圧用の導出部4L(
図1(a)参照)に連通する。低圧ヘッダー流路24は、その幅が低圧流路開口22の幅よりも大きな寸法(例えば、10mm)を有している。低圧ヘッダー流路24の低圧チャンネル板に対する上下位置の詳細については後述する。
【0023】
低圧ヘッダー流路24に連通する複数の低圧流路開口22の上端部には、
図2(c)(IIb−IIb矢視断面図)に示すように、低圧チャンネル板20の表面20a側が開口する断面視U字状のハーフエッチング溝22aが形成されている。このハーフエッチング溝22aは、開口幅が0.6mm、深さが約0.4mm有している。
【0024】
一方、複数の低圧流路開口22の長手方向他端側(以下、「下側」と記す。)には、複数の低圧流路開口22に連通して低圧チャンネル板20の幅方向に延びる低圧ヘッダー流路下部25が設けられている。低圧ヘッダー流路下部25は、複数の低圧流路開口22の幅方向右側端部から左側端部を超えて延びて向きを変えて下方へ延びるように形成されている。
【0025】
低圧ヘッダー流路下部25に連通する複数の低圧流路開口22の下端部には、
図2(d)(IIc−IIc矢視断面図)に示すように、低圧チャンネル板20の表面20a側が開口する断面視U字状のハーフエッチング溝22bが形成されている。このハーフエッチング溝22bは、開口幅が0.4mm、深さが約0.25mm有している。ハーフエッチング溝22bの詳細については後述する。
【0026】
低圧ヘッダー流路下部25の左側の端部には、低圧ヘッダー流路下部25の断面積よりも小さい断面積を有した絞り28が連通している。この絞り28を通過した低圧流体は、渦状に拡散しながら低圧ヘッダー流路25を流れる。このため、低圧ヘッダー流路25に繋がる複数の低圧マイクロチャンネル21のそれぞれに均一流量の低圧流体を供給することができる。絞り28の下端部には開口孔部29が形成されている。この開口孔部29は、低圧用の導入部3L(
図1(a)参照)に連通している。低圧ヘッダー流路下部25は、その幅が低圧流路開口22の幅よりも大きな寸法(例えば、3mm)を有している。
【0027】
低圧チャンネル板20の幅方向左側の上部及び幅方向右側の下部には、高圧流体(例えば、二酸化炭素)が流れる高圧孔部上26u及び高圧孔部下26dが設けられている。高圧孔部上は26u、高圧用の導入部3H(
図1(a)参照)に連通し、高圧孔部下26dは、高圧用の導出部4H(
図1(a)参照)に連通する。低圧チャンネル板20の幅方向
中央部の上下両端部には位置決めピンが挿通される位置決め孔27が設けられている。
【0028】
次に、高圧チャンネル板30について説明する。高圧チャンネル板30は、
図3(a)(正面図)に示すように、例えば、厚さが0.5mmのステンレス鋼板によって形成され、中央部に高圧マイクロチャンネル31(
図7(a)参照)の一部を構成する高圧流路開口32が形成されている。高圧流路開口32は、エッチングによって高圧チャンネル板30を貫通して高圧チャンネル板30の長手方向に沿って直線状に形成されている。高圧流路開口32は、高圧チャンネル板30の幅方向に所定間隔(例えば、1mm)を有して複数(
図3(a)では98本)設けられ、高圧流路開口32は、例えば、開口幅が0.5mmを有して開口している(
図3(b)参照)。高圧流路開口32は、断面視において高圧チャンネル板30の両側の面から内側に進むに従って開口幅が狭くなるように形成されている(
図3(b)参照)。高圧流路開口32の高圧チャンネル板30に対する上下位置の詳細については後述する。
【0029】
高圧チャンネル板30の幅方向右側上部には、低圧チャンネル板20の開口孔部24a(
図2(a)参照)に連通する連通孔部33が形成されている。また、高圧チャンネル板30の幅方向左側下部には、低圧チャンネル板20の開口孔部29に連通する連通孔部34が形成されている。
【0030】
また、高圧チャンネル板30の幅方向左側上部には、後述する隔壁板40(
図4参照)の上部に設けられた高圧ヘッダー流路41に連通する長孔部35が形成されている。また、高圧チャンネル板30の幅方向右側下部には、隔壁板40(
図4参照)の下部に設けられた後述する高圧ヘッダー流路下部43に連通する連通孔部36が形成されている。また、高圧チャンネル板30の幅方向中央部の上下両端部には位置決めピンが挿通される位置決め孔37が設けられている。
【0031】
次に、隔壁板40について説明する。幾つかの実施形態において、隔壁板40は、
図4(正面図)に示すように、例えば、厚さが0.3mmのステンレス鋼板によって形成され、上部及び下部に高圧ヘッダー流路41及び高圧ヘッダー流路下部43が設けられている。隔壁板40の上部に設けられた高圧ヘッダー流路41は、
図2(a)をさらに追加して説明すると、低圧チャンネル板20の表面20a又は裏面20bに隔壁板40を積層させたときに、低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域、即ち低圧ヘッダー流路24よりも上方の位置に配置されている。
【0032】
高圧ヘッダー流路41は、隔壁板40の幅方向右側から左側へ直線状に延びて向きを変えて上方へ延びている。高圧ヘッダー流路41の左側端部には、円形状の連通孔部41aが設けられている。この連通孔部41aは、高圧チャンネル板30に設けられた長孔部35(
図3(a)参照)、低圧チャンネル板20に設けられた高圧孔部上26u(
図2(a)参照)に連通する。高圧ヘッダー流路41は、高圧チャンネル板30に設けられた複数の高圧流路開口32の上端部に高圧ヘッダー流路41の隔壁板幅方向に延びる下側部分がオーバラップするように配置されている。このため、隔壁板40の表面40a又は裏面40bに高圧チャンネル板30を積層すると、高圧ヘッダー流路41と複数の高圧流路開口32とが連通する。また、隔壁板40の表面40a及び裏面40bの両面に高圧チャンネル板30を積層すると、2つの高圧ヘッダー流路41が複数の高圧流路開口32に連通する。
【0033】
隔壁板40の下部に設けられた高圧ヘッダー流路下部43は、低圧チャンネル板20(
図2(a)参照)の表面20a又は裏面20bに隔壁板40を積層させたときに、低圧チャンネル板20に設けられた低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域、即ち低圧ヘッダー流路24よりも下方の位置に配置されている。
【0034】
この高圧ヘッダー流路下部43は、隔壁板40の幅方向左側から右側へ直線状に延びて向きを変えて下方へ延びている。高圧ヘッダー流路下部43の右側端部には、円形状の連通孔部43aが設けられている。連通孔部43aは、高圧チャンネル板30(
図3(a)参照)に設けられた連通孔部36、低圧チャンネル板20に設けられた高圧孔部下26dに連通する。高圧ヘッダー流路下部は、高圧チャンネル板に設けられた複数の高圧流路開口32の下部に高圧ヘッダー流路の全体がオーバラップするように配置されている。このため、隔壁板の裏面に高圧チャンネル板を積層し、また高圧チャンネル板の裏面に隔壁板を積層すると、高圧ヘッダー流路下部と複数の高圧流路開口とが連通する。
【0035】
隔壁板40の幅方向右側上部には、低圧チャンネル板20(
図2(a)参照)に設けられた低圧ヘッダー流路24の開口孔部24aに連通する連通孔部44が形成されている。また、隔壁板40の幅方向左側下部には、低圧チャンネル板20(
図2(a)参照)に設けられた開口孔部29に連通する連通孔部45が形成されている。また、隔壁板40の幅方向中央部の上下両端部には位置決めピンが挿通される位置決め孔46が設けられている。
【0036】
次に、表板50について説明する。幾つかの実施形態において、表板50は、
図5(正面図)に示すように、例えば、厚さが5mmのステンレス鋼板によって形成されている。表板50の幅方向右側上部には、低圧チャンネル板20(
図2(a)参照)に設けられた開口孔部24aに連通する連通孔部51が形成されている。また、表板50の幅方向左側下部には、低圧チャンネル板20に設けられた開口孔部29に連通する連通孔部52が形成されている。
【0037】
表板50の幅方向左側上部には、隔壁板40の上部に設けられた連通孔部41aに連通する連通孔部53が設けられている。また、表板50の幅方向右側下部には、隔壁板40の下部に設けられた連通孔部43aに連通する連通孔部54が設けられている。表板50の幅方向中央部の上下両端部には位置決めピンが挿通される位置決め孔55が設けられている。
【0038】
次に、裏板60について説明する。幾つかの実施形態において、裏板60は、
図6に示すように、例えば、厚さが5mmのステンレス鋼板によって形成されている。裏板60の幅方向中央部の上下両端部には位置決めピンが挿通される位置決め孔61が設けられている。
【0039】
このように構成された5種類の板部材11は、表板50の裏面50bに低圧チャンネル板20の表面20aを当接させて接合し、低圧チャンネル板20の裏面20bに隔壁板40の表面40aを当接させて接合し、隔壁板40の裏面40bに高圧チャンネル板30の表面30aを当接させて接合し、高圧チャンネル板30の裏面30bに隔壁板40の表面40aを当接させて接合する。そして、以下、低圧チャンネル板20、隔壁板40、高圧チャンネル板30、隔壁板40の順に、これらの板部材11を複数回(例えば、22回)繰り返して積層し、その後に裏板60を積層して積層体10を形成する。
【0040】
ここで、複数の板部材11が積層されてなる積層体10の断面構造について、
図1(a)及び
図7(a)〜
図7(e)を参照しながら説明する。なお、
図7(a)は、
図1(a)のIa−Ia矢視に相当する部分のマイクロチャンネル熱交換器1の部分断面図を示し、
図7(a−1)は、
図7(a)のa部分の拡大図を示し、
図7(b)は、
図1(a)のIb−Ib矢視に相当するマイクロチャンネル熱交換器1の部分断面図を示し、
図7(c)は、
図1(a)のIc−Ic矢視に相当する部分のマイクロチャンネル熱交換器1の部分断面図を示し、
図7(d)は、
図1(a)のId−Id矢視に相当する部分のマイクロチャンネル熱交換器1の部分断面図を示し、
図7(e)は、
図1(a)のIe−Ie矢視に相当する部分のマイクロチャンネル熱交換器1の部分断面図を示す。
【0041】
図7(a)に示す積層体10の断面は、高圧チャンネル板30に形成された高圧流路開口32の上端部の近傍位置に相当する部分の断面である。この部分では、
図7(a)に示すように、高圧チャンネル板30の高圧マイクロチャンネル31の上下方向両側には一対の隔壁板40の高圧ヘッダー流路41がオーバラップするように配置されて、高圧マイクロチャンネル31は一対の高圧ヘッダー流路41に連通している。また、一対の高圧ヘッダー流路41の上側及び下側には、低圧チャンネル板20のうち低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域の部分が配置されている。さらに、低圧チャンネル板20の下方には、一対の高圧ヘッダー流路41に挟まれた高圧マイクロチャンネル31が配置されている。
【0042】
この積層体10の上部に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31に高圧流体が通流すると、
図7(a−1)に示すように、高圧流体は高圧ヘッダー流路41にも流れ、高圧流体の圧力P1が高圧ヘッダー流路41を介して上下方向に作用する。また、複数の高圧マイクロチャンネル31の下方に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31'に高圧流体が通流すると、前述したように、高圧流体の圧力P1が高圧ヘッダー流路41を介して上下方向に作用する。
【0043】
これらの圧力P1のうち上方に配置された低圧チャンネル板20に作用する圧力P1aは、低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域の部分に作用しているので、低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が損傷する虞を防止することができる。また、これらの圧力P1のうち下方に配置された低圧チャンネル板20に作用する圧力P1bは、複数の高圧マイクロチャンネル31の下方に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31'に連通する高圧ヘッダー流路41を介して上方へ作用する圧力P1Cと相殺される。このため、積層体10の内部で生じる応力を極めて小さくすることができる。
【0044】
図7(b)に示す積層体10の断面は、高圧チャンネル板30に形成された高圧流路開口32の上部位置に相当する部分の断面である。この部分では、
図7(b)に示すように、高圧チャンネル板30の高圧マイクロチャンネル31の上下方向両側に、高圧ヘッダー流路41(
図4参照)が存在しない領域の一対の隔壁板40が配置されている。この一対の隔壁板40のうちの上側に配置された隔壁板40の上方には、低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域の低圧チャンネル板20が配置されている。そして、下側の隔壁板40の下方には、低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24が存在しない領域の低圧チャンネル板20、高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40、高圧チャンネル板30、高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板30等が配置されている。
【0045】
この積層体10の上部に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31に高圧流体が通流すると、高圧流体による圧力P2は高圧マイクロチャンネル31を介して上下方向に作用する。しかしながら、この圧力P2は隔壁板40及び低圧チャンネル板20等によって抑えられる。さらに、隔壁板40は、高圧チャンネル板30の複数の高圧マイクロチャンネル31間の壁部30cに接続されているので、隔壁板40の剛性は強化されている。このため、低圧チャンネル板20に設けられた低圧マイクロチャンネル21及び低圧ヘッダー流路24を損傷させる虞はない。
【0046】
図7(c)に示す積層体10の断面は、低圧チャンネル板20に形成された低圧ヘッダー流路24が存在する部分の断面である。この部分は、
図7(c)に示すように、低圧チャンネル板20の低圧ヘッダー流路24の下方に高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置され、この隔壁板40の下方に高圧マイクロチャンネル31が存在する領域の高圧チャンネル板30が配置され、高圧チャンネル板30の下方に高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置されている。そして、隔壁板40の下方には、同様に、低圧チャンネル板20、隔壁板40、高圧チャンネル板30、隔壁板40が配置されている。
【0047】
この積層体10の上部に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31に高圧流体が通流すると、高圧流体による圧力P3は高圧マイクロチャンネル31を介して上下方向に作用する。しかしながら、この圧力P3は隔壁板40によって抑えられる。また、隔壁板40は、高圧チャンネル板30の高圧マイクロチャンネル31間の壁部31cに接続されているので、隔壁板40の剛性は強化されている。このため、低圧チャンネル板20に設けられた低圧ヘッダー流路24を損傷させる虞はない。
【0048】
図7(d)に示す積層体の断面は、低圧チャンネル板20に形成された低圧ヘッダー流路下部25と低圧マイクロチャンネル21との接続部分に相当する部分の断面である。この部分は、
図7(d)に示すように、低圧マイクロチャンネル21の下側に形成されたハーフエッチング溝22bが存在する領域の低圧チャンネル板20が配置され、この低圧チャンネル板20の下方に高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置され、この隔壁板40の下方に高圧マイクロチャンネル31が存在する領域の高圧チャンネル板30が配置され、この高圧チャンネル板30の下方に高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置されている。そして、この隔壁板40の下方には、同様に、低圧チャンネル板20、隔壁板40、高圧チャンネル板30、隔壁板40が配置されている。
【0049】
この積層体10の上部に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31に高圧流体が通流すると、高圧流体による圧力P4は高圧マイクロチャンネルを介して上下方向に作用する。しかしながら、この圧力P4は隔壁板40によって抑えられる。また、隔壁板40は、高圧チャンネル板30の高圧マイクロチャンネル31間の壁部30cに接続されているので、隔壁板40の剛性は強化されている。このため、低圧チャンネル板20に設けられた低圧ヘッダー流路下部25や低圧マイクロチャンネル21を損傷させる虞はない。
【0050】
なお、低圧マイクロチャンネル21の下側に形成されたハーフエッチング溝22bは、低圧マイクロチャンネル21よりも流路面積が小さい。このため、低圧ヘッダー流路下部25から低圧マイクロチャンネル21に流入する低圧流体の流速を速くすることができる。このため、低圧マイクロチャンネル21の伝熱性能の向上に寄与できる。
【0051】
図7(e)に示す積層体10の部分は、低圧チャンネル板20に形成された低圧マイクロチャンネル21が存在する部分に相当する断面である。この部分は、
図7(e)に示すように、低圧マイクロチャンネル21が存在する領域の低圧チャンネル板20の下方に高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置され、この隔壁板40の下方に高圧マイクロチャンネル31が存在する領域の高圧チャンネル板30が配置され、以下、高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40、低圧マイクロチャンネル21が存在する領域の低圧チャンネル板20、高圧ヘッダー流路41が存在しない領域の隔壁板40が配置される。
【0052】
この積層体10の上部に配置された複数の高圧マイクロチャンネル31に高圧流体が通流すると、高圧流体による圧力P5は高圧マイクロチャンネル31を介して上下方向に作用する。しかしながら、この圧力P5は隔壁板40によって抑えられる。また、隔壁板40は、高圧チャンネル板30の高圧マイクロチャンネル31間の壁部31cに接続されているので、隔壁板40の剛性は強化されている。このため、低圧チャンネル板20に設けられた低圧マイクロチャンネル21を損傷させる虞はない。
【0053】
このように、本願発明は、コンパクト化を図るとともに、低圧ヘッダー流路24や低圧マイクロチャンネル21を高圧マイクロチャンネル31に近接配置しても、低圧ヘッダー流路24や低圧マイクロチャンネル21が損傷する虞のないマイクロチャンネル熱交換器1を提供することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。例えば、上述した各種実施形態を適宜組み合わせてもよい。