(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297588
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】部品の消音および/または遮音のための方法
(51)【国際特許分類】
B05D 5/00 20060101AFI20180312BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20180312BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20180312BHJP
B05D 7/02 20060101ALI20180312BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20180312BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20180312BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20180312BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20180312BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20180312BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20180312BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20180312BHJP
C08L 95/00 20060101ALI20180312BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20180312BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20180312BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
B05D5/00 D
B05D1/26 Z
B05D7/00 J
B05D7/02
B05D7/14 C
B05D7/24 301A
B05D7/24 302D
B05D7/24 302H
B05D7/24 302X
B05D7/24 303B
B05D3/06 Z
C08K3/22
C08K3/30
C08L23/08
C08L77/00
C08L95/00
C08L101/00
B32B37/14 A
B25J11/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-548544(P2015-548544)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-507361(P2016-507361A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2013077281
(87)【国際公開番号】WO2014096125
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】102012223757.7
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・シェンツレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ギージンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・フディナ
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−226027(JP,A)
【文献】
特開2003−266014(JP,A)
【文献】
実公昭35−026969(JP,Y1)
【文献】
特開昭55−071734(JP,A)
【文献】
特開昭63−061071(JP,A)
【文献】
特開昭56−140175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
B32B 37/00− 37/30
C08K 3/00− 3/40
C08L 23/00, 77/00,
95/00,101/00
E03C 1/00− 1/33
F16L 9/00− 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性コンパウンドを120〜300℃の間の溶融温度で直接押出法によって定義されたプロファイルとして部品に塗布し、ここで、加熱前に、該熱可塑性コンパウンドは2.1〜5g/cm3の密度を有する顆粒の形態で存在し及び少なくとも60重量%の充填材含量を有することを特徴とする金属部品および/またはプラスチック部品の消音および/または遮音のための方法。
【請求項2】
部品は、家庭用品又は家庭用機械のために用いられ、又は家庭用品或いは家庭用機械の構成材であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
部品はシンク、バスタブ、シャワー洗面器又はシャワートレーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コーティングされるべき基材は、ステンレス鋼から、若しくは、PVCポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリプロピレンポリマー又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ポリマーから、若しくは、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)から構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
熱可塑性コンパウンドは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド、又はビチューメンであって無機塩が高度に充填されたものの混合物または集塊を、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくホットメルト接着剤と一緒に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド、又はビチューメンであって無機塩が高度に充填されたものに基づく熱可塑性コンパウンド顆粒は、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくホットメルト接着剤により塗布さていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
- 無機塩は硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、および/または酸化鉄から選択され、および/または
- 熱可塑性コンパウンドは2.1〜4.5g/cm3の間の密度を有する、および/または
- 熱可塑性コンパウンドを180〜250℃の間の温度で塗布する
ことを特徴とする、請求項5〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
充填剤入りの熱可塑性ポリマーおよびホットメルト接着剤は、押出前に混合される、又は、押出から上流で、個々の成分としてインラインで押出機に計量され、および押出機中でのみ混合されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
コーティングされるべき部品、およびノズルがその上に搭載された押出機ヘッドは、互いに対して相対運動を行い、
- その部品はそのまま残って、ノズルは移動し、又は
- その部品とノズルはいずれも移動し、又は
- ノズルは静止して、部品は移動する
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
顆粒は重力によって又は空気的に、直接押出法に供給されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
押出機はマニピュレーターまたはロボットアームに搭載されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
コーティングされるべき基材は、コーティング前にレーザ放射によって定義された温度に調節されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属部品および/またはプラスチック部品の消音および/または遮音のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほぼ例外なく、極めて薄肉の金属シート又はプラスチック部品が、最新のアプライアンス、装置および機械の製造において目下用いられている。機械的可動部、洗浄及び濯ぎの操作、又は走行モーターは、やむを得ず、これらの金属シート又はプラスチック部品を振動させ、その振動は人間の耳の可聴範囲にあることが多い。これらの振動は、機械、装置又はアプライアンスの全体に亘る構造伝達騒音の形態で伝搬され、離れた場所への不愉快な雑音として大気へ放射され得る。音の放射を低下させるため及び構造伝達騒音を減衰させるために、自動車築造又は家庭用品製造において、これらの金属シートまたはプラスチック部品には消音塗料、所謂アンチドラミング塗料が付与される。
【0003】
慣行的な実務によれば、高い比重およびビチューメンを有する充填剤の混合物を押し出してフィルムを形成し、その後、これから適切な成形品をパンチし又は切断する。これらのフィルムは、次に、当該薄板金属部品に粘着的に接着され、ここでは、さらに加熱によってシート金属の形状にそれらを適合させることが必要であり得る。
【0004】
EP 2407079 A2の教示によれば、皿洗い機の製造のために、少なくとも部分的に、作用されない少なくとも1つのエリアに囲まれる、すなわち、反応性ビチューメン化合物がなく、瀝青質混合物が硬化する前に、部品とビチューメンを一緒にプレスする、少なくとも1つの好ましくは細長い、特に線状あるいはストランド状の接着剤ビードが生じるような方法で、すぐに使える、流動性で、反応硬化性の瀝青質混合物をビチューメンマットおよび/または部品に塗布することにより、組み立て式のビチューメンマットを少なくとも一部品に粘着的に接着させる。
【0005】
これらのビチューメンフィルムはその低い原料コストのためまだ頻繁に用いられるが、それらは非常に脆く、薄板金属から、特に低温で、剥げ落ちる傾向がある。また、しばしば提案されるエラストマーの添加によって僅かな改善のみしか得られず、それは多くの用途にとって不十分である。更に、機械または車両の薄板金部品へ予備成形されたビチューメン部品を適用することは、その薄板金部品は極めて複雑な形状を有するか或いはアクセスが困難であって、全く可能でない。さらなる欠点は、多くの場合、複数のパンチされた部品が単一の機械又は単一のアプライアンスに必要であるということであって、それは高価な倉庫業務を要する。
【0006】
EP 0766714 Aは、懸濁重合法によって製造された塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体に基づくプラスチゾル組成物を記載する。これらのプラスチゾル組成物は、ポリマー/軟化剤比率が低い場合でさえ低粘性を有するため、エアーレススプレー塗に用いることができ、また、容易にゲル化することができる。上記引用した文献はさらに、上記プラスチゾルに基づく塗料が良好なノイズ減衰効果を示すことを開示する。該文献は、車輪収納部を含む自動車の下部エリアにおけるこれらのプラスチゾルの、構造伝達ノイズを抑える塗料のための、並びに防蝕および摩耗からの保護のための使用を提案する。
【0007】
同様に、EP 702708 Aは、自動車の下部エリアの薄板金属のための消音塗料であって、少なくとも1つの粉末状のスチレンコポリマー又はメチルメタクリレートホモポリマー又はメチルメタクリレートのコポリマー5〜60重量%、軟化剤5〜65重量%、充填剤0〜40重量%、反応性添加剤2〜40重量%および他の添加剤から成るプラスチゾルに基づく塗料を記載する。上記引用した文献によれば、そこに記載されたプラスチゾル調製物は、特に自動車の下部エリアで、射出成形方法において塗布することができる薄板金属上の摩耗抵抗性単層カバーの製造に適し、粒子状物質による衝突によって引き起こされるノイズを減らすために適し、防蝕に適し、および摩耗抵抗性塗料の実現に適している。
【0008】
WO 91/05819は、消音および振動を絶縁するラミネートされた又は層状のボディ(特に、自動車用)として使用するための熱可塑性コンパウンドを記載する。この熱可塑性組成物は、0.6〜50%の塩素化ポリエチレン、20〜95%の充填剤、および塩素化ポリエチレンと適合性の4〜60%の軟化剤を含む。これらの熱可塑性組成物は、自動車、建築物、家庭用品および産業用機械における層状材料として消音と振動絶縁のために用い得ることが記述されている。
【0009】
液状ゴムまたはエラストマーと加硫剤に基づく押出可能な低粘性ゴム制振コンパウンドはWO 2006/076958 A1から既知であり、これは少量の構造強化性の繊維状フィラーを含み;これらのゴム制振コンパウンドは、従来通例の固形ゴムが存在しないことを特徴とし、塗布時に極めて低い粘性を有する。この種の音響学的なコンパウンドは、完全に自動的な塗布設備によって押し出し可能であり、車両製造工業でのボディーシェル製造において好適に加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2407079号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0766714号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第702708号明細書
【特許文献4】国際公開第91/05819号
【特許文献5】国際公開第2006/076958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、ボディーシェル製造に続く、自動車製造塗装ラインにおける高温での長い滞留時間は、通常の機械、装置およびアプライアンス製造において利用可能ではない。したがって、これらの応用分野にとって同様に、現場で射出可能であるか押出可能な生成物を非常に短いサイクル時間で塗布することができ、そのため実地のウェアハウジングを単純化する方法を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による課題の達成は、特許クレームに記述されている。本発明の目的は本質的に、熱
可塑性コンパウンドを120〜300℃の間の溶融温度で直接押出法によって定義されたプロファイルとして部品に塗布し、ここで、加熱前に、
該熱可塑性コンパウンドは1.5〜5g/cm
3の密度を顆粒の形態で存在する、金属部品および/またはプラスチック部品の消音および/または遮音(「消音」)のための方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、直接押出装置の1つの可能な態様を示す。
【
図2】
図2は、本発明による部品のコーティング方法を実施するための完全なストラクチャーを示す。
【
図3】
図3は、押出ノズルのアレンジの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
金属部品は、スチール、アルミニウムおよび特にステンレス鋼で構成される薄肉のシートであることが好ましい。プラスチック部分は、例えば、薄肉の、PVCポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリプロピレンポリマー又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ポリマー、若しくは、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)から構成されてよい。プラスチック板は好適な部品であり得る。
【0015】
自動車製造における塗装ラインでの高温の長い滞留時間が利用可能でないところならどこでも、本発明による方法を好ましく用いることができる。
【0016】
コートすべきこれらの部品は、所謂「白物家電」、すなわち、家庭用品または家庭用機械、例えば皿洗い機または洗濯機などの、若しくはバスタブ、シャワー洗面器、シャワートレー又はシンクの構成材であってよい。しかしながら、それらは、データ処理装置(コンピューター)、ポンプハウジング、圧縮機、農業用の車両および装置、医療用具、又は風車の小塔ハウジングの構成材であってもよい。
【0017】
顆粒(ペレットとも指称される)は、0.5mmから30mm、好ましくは2〜10mmの粒径を有してよい。例えば、粒度はふるい分析によって決定することができる。粒子は好ましくは球状かレンズ状の形状を有するが、楕円状または円筒状であってもよい。顆粒状粒子の表面は、顆粒の貯蔵および輸送中により大きな凝集塊へ凝集することを回避するため、好ましくは非粘着性かつブロック不含有であるべきである。
【0018】
本発明の意味において、熱可塑性コンパウンドは、単一種の熱可塑性ポリマーの混合物であって、これに対して充填剤、任意に補強材、および/または他の添加剤が添加されたものである。上記コンパウンドは、顆粒形態で加熱する前に、1.5〜5g/c
m3の密度を有する。上記の密度は、室温、好ましくは20℃での密度に相当するべきである。熱可塑性コンパウンドの高密度を達成するために、これらは高い充填率、すなわち少なくとも60重量%の充填材含量を有するべきである。
【0019】
用いるべき熱可塑性ポリマーの一例として、ビニル重合体、特にエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリオレフィン、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびアイオノマー、あるいはビチューメンが挙げられる。単一の種類の前記熱可塑性ポリマーの混合物も、任意に用いてよい。EVA、PA又はその混合物は特に好適である。
【0020】
無機塩類又はオキシド、好ましくは2.5〜約12g/cm
3の間の高密度を有するものは、充填剤として用いられる。そのような充填剤の一例として、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化錫(SnO
2)、二酸化チタン(二酸化チタン(IV)、TiO
2)、酸化鉄、特に酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(三酸化二鉄(Fe
2O
3))、酸化鉄(II、III)(四酸化三鉄(Fe
3O
4、マグネタイト))、硫酸バリウム(BaSO
4)、硫酸鉛(硫酸鉛鉱、PbSO
4)、水酸化アルミニウム(例えば、水礬土石、バイヤライト、ノードストランダイトの形態)、又はアルミニウムメタヒドロキシド(例えば、ダイアスポア又はベーマイトの形態)、ホウ化ハフニウム、炭化ハフニウム、ハフニウム窒化物、二酸化ハフニウム(HfO
2)、タングステン酸化物(例えば、酸化タングステン(W
3O)、二酸化タングステン(酸化タングステン(IV)、WO
2))、三酸化タングステン(酸化タングステン(VI)、WO
3)、二酸化レニウム(ReO
2)、レニウム三酸化物(ReO
3)、およびレニウム七酸化物(Re
2O
7)が挙げられる。
【0021】
別のオプションは、充填剤として対応する粉末状の石又は鉱石を用いることである。そのようなものの一例は、白雲石、スズ石(錫石、SnO
2)、ユーリタイト(ユーリタイト、アグリコライト、Bi
4(SiO
4)
3)、輝蒼鉛鉱(輝蒼鉛鉱、Bi
2S
3)、チタン鉄鉱(チタン鉄鉱、FeTiO
3)および粉末状の花コウ岩である。
【0022】
硫酸バリウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム又はその混合物の使用は、特に好適である。
【0023】
用いられる充填剤は、0.01〜5000μmの間、好ましくは0.1〜100μmの間、特に好ましくは0.5〜20μmの間の粒度範囲を有する。
【0024】
添加剤の一例は、ホットメルト接着剤および/または結合剤、並びに離型剤である。
【0025】
本発明により用いられる熱可塑性コンパウンドは、好ましくは、10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%の熱可塑性ポリマー、70〜90重量%、特に好ましくは65〜85重量%の充填剤、および0〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%のホットメルト接着剤を含み、成分の合計は100重量%である。
【0026】
充填剤入り熱可塑性ポリマーとホットメルト接着剤は、混合物又は集塊として粒状形態でコンパウンド中に存在してよい。あるいは、充填剤入り熱可塑性ポリマーの顆粒状粒子はホットメルト接着剤でコーティングされていてよい。
【0027】
顆粒状粒子が凝集又はアグロメレーションし得る傾向は、顆粒状粒子の表面処理によって回避することもできる。この目的のために、顆粒状粒子の表面を適当な離型剤でコーティングする;この離型剤は、例えば、滑石、焼成ケイ酸、分子篩粉末、カーボンブラック、ポリエチレン粉末、エチレン酢酸ビニル粉末、又は他のある微粒子の非反応性ポリマー粉体であってよい。原則として、ワックスなどの微熱で溶融性の離型剤を、顆粒表面上にスプレーしてもよい。
【0028】
押出前に、充填剤入り顆粒およびホットメルト接着剤をコンパウンドし、最終製品としてユーザに提供する。あるいは、充填剤入り顆粒およびホットメルト接着剤を、塗布の場所へ別々に持って来て、そこでインラインで混合し、押出機に供給する。
【0029】
重力によって、又は空気による運搬システムによって、すぐに使える熱可塑性コンパウンドを押出機に供給することができる。ここで、空気による運搬システムは、吸引および/または吹込コンベヤーを意味するものと理解される。
【0030】
熱可塑性コンパウンドの、又は充填剤入りの顆粒およびホットメルト接着剤および/または他の補助材料を含有する成分のフィーディングは、連続的に重量または容積を計量することによって行うことが好ましく、これは、用途に応じて、一定の又はあらかじめ定められた変数寸法の定義されたプロファイルは、押出機から、コーティングされるべき任意に前もって熱せられた基材に、直接的に塗布するような方法で行われる。あるいは、コンパウンドの個々の成分を、正確な量で押出機に供給してよい。
【0031】
定義された温度でのコーティングに先立つ基材の予熱は、赤外線放射、レーザ放射又は熱風供給によって行ってよく、又は金属基材のためには、誘導手段によっても行ってよい。誘導予備加熱は、特に力学的に行ってよい;すなわち、センサーが基板温度を決定し、これをその後に、誘導加熱器の必要な加熱力をそこから決定し、かつこれを調節するために、あらかじめ定められたセットポイント値と比較する。適切な予備加熱装置は、押出機ヘッドに直接、又はその直ぐ上流に搭載するのが好ましく、その結果、予備加熱がコーティング時間の近くで行われる。
【0032】
基材をコーティングするために、コーティングされるべき部品、およびノズルがその上に搭載された押出機ヘッドは、互いに対して相対運動を行う。相対運動を行うために、下記手順を用いてよい:
・その部品はそのまま残って、ノズルは移動し、又は
・その部品とノズルはいずれも移動し、又は
・ノズルは静止して、部品は移動する。
【0033】
相対運動は、マニピュレーターによって好ましく行われる。本発明の意味では、マニピュレーターは環境との物理的な相互作用を可能にする装置である。手元の場合では、これは、押出機ヘッドの機械仕事を行う構造体の移動可能な部分である。
【0034】
動いているノズルの場合では、用いるマニピュレーターは、5つ又は6つの回転又は変位の軸(回転軸又は直動軸)(rotatory or translatory axes)を有するロボットであってよく、その結果、個々の動作の組み合わせが全体の動作へ形作られる。
【0035】
ロボットは予備加熱装置と一緒に押出機を支持して相対運動を行ってよい。例えば、同様のロボットは、US 5,358,397、EP 0787576 B1およびDE 10137214 A1などの文献に記載されている。
【0036】
部品並びに押出機ノズルが動く場合、マニピュレーターは、コンベヤベルトの隣りに静止して搭載するのが好ましく、マニピュレーターはその上に搭載された押出機又は押出機ノズルを相互に直交する2つの軸のみに沿って動かす。コーティングされる部品を、マニピュレーターステーションを過ぎた運搬装置上で水平に通過させる。この運搬装置には輸送方向に交わるガイド装置が任意に設けられ、コーティング材の押出の始まりと終わりを制御する。
【0037】
ノズルが静止して搭載される場合、適当なロボットによる押出機のノズルによって、コーティングされる部品を通過させる。ロボットは、コーティングされる部品の幾何構造およびサイズに応じて、2〜6個の回転又は変位の軸を有する。
【0038】
その後に装置または機械上、又は装置または機械中に行う搭載の前に、このようにコーティングされた部品を任意に完全に硬化させ、ここで、塗装装置に由来して存在するプロセス加熱を利用する。
【0039】
別の手順では、消音性または遮音性コンパウンドでコーティングされる部品を装置又は機械中に最初に設置し、および例えば存在する塗装する装置に由来する次のプロセス加熱をコンパウンドの最終硬化のために利用する。
【実施例】
【0040】
本発明による方法のさらなる特徴および詳細につき、図を参照して以下により詳しく説明する。
【0041】
図は下記を示す:
図1は、直接押出装置の1つの可能な態様を示す;
図2は、本発明による部品のコーティング方法を実施するための完全なストラクチャーを示す;および
図3は、押出ノズルのアレンジの詳細を示す。
【0042】
直接押出装置の重要な部品は
図1に図示される。送風機ステーション1は、とりわけ、運搬する空気から浮遊粒子と粉塵がなくしておくためにフィルターを含む。運搬する空気は、チューブ4を介して、および押出機5の供給ホッパー3の中へ、貯蔵タンク2から、押し出すべき充填剤入り顆粒を空気的に輸送するために用いられる。顆粒は、自動制御によって押出機中へ供給ホッパーからあらかじめ定められた量で運搬される。押出機ノズルおよびコーティングされる部品を配置するための装置は、図解からは見えない。
【0043】
図2は、ノズルと同様に部品も動かす被覆ユニットを示す。輸送器具6は、倉庫又は調製ステーションから被覆ユニットへ、コーティングされる部品を供給する。部品は、場所7で、運搬装置8に供給される。これは、ここに図示するように、手動で又は適当な既知のマニピュレーターにより機械によって行ってよい。装置8は、水平方向で部品の輸送を所定のコーティングステーション9へもたらす。それは、図示した場合では例えば、3つの回転または変位の軸を有する静止マニピュレーター又はロボットである。その部品を加熱するための装置は(図には)見えない。図示された特別の場合では、ロボットアームは押出ノズルのみを支持する。また、押出機11で既に溶融されたコンパウンドは、チューブ接続10を介してロボットアームの末端で、押出機から押出ノズルへ運搬される。コーティングの後、部品はステーション12へ運搬され、この場所で、パッケージング又はさらなる加工へと、さらなるコンベヤベルト上で輸送される。
図2では、運搬装置8からコンベヤベルト13への被覆部品の供給は、手動操作として同様に説明される。ここで、同様に、これは適当な既知のマニピュレーターによって行ってよい。
【0044】
図3は、押出ノズル14の詳細を示す。これは、コンパウンド15でコーティングされる基材16上に、一定に保たれる角度αでガイドされる。これは重要であって、所定の膜厚および幾何構造が維持され得る。矢印17は、ノズル14に関する部品16の相対運動を示す。
【0045】
既に上記に説明したように、運搬装置の、およびコーティングステーションの特定の配置はコーティングされる部品のサイズおよび幾何構造に依存する。コーティングされる部品が例えば洗濯機の、又は皿洗い機の完全な洗浄容器、又はタレットハウジングである場合、コーティングステーションに部品を供給するための運搬装置の配置は、コーティングステーションと調和させなければならない。更に、コーティングを実施するマニピュレーター又はロボットは、対応する設計を有しなければならない。この種の装置は、例えば、既に自動車産業から既知である。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕熱可塑性コンパウンドを120〜300℃の間の溶融温度で直接押出法によって定義されたプロファイルとして部品に塗布し、ここで、加熱前に、該コンパウンドは1.5〜5g/cm3の密度を有する顆粒の形態で存在することを特徴とする金属部品および/またはプラスチック部品の消音および/または遮音のための方法。
〔2〕部品は、家庭用品又は家庭用機械のために用いられ、又は家庭用品或いは家庭用機械の構成材であることを特徴とする、〔1〕に記載の方法。
〔3〕部品はシンク、バスタブ、シャワー洗面器又はシャワートレーであることを特徴とする、〔1〕に記載の方法。
〔4〕コーティングされるべき基材は、ステンレス鋼から、若しくは、PVCポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリプロピレンポリマー又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ポリマーから、若しくは、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)から構成されることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕熱可塑性コンパウンドは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド、又はビチューメンであって無機塩が高度に充填されたものの混合物または集塊を、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくホットメルト接着剤と一緒に含むことを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド、又はビチューメンであって無機塩が高度に充填されたものに基づく熱可塑性コンパウンド顆粒は、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくホットメルト接着剤により塗布されていることを特徴とする、〔5〕に記載の方法。
〔7〕- 無機塩は硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、および/または酸化鉄から選択され、および/または
- 前記コンパウンドは2.1〜4.5g/cm3の間の密度を有する、および/または
- 熱可塑性コンパウンドを180〜250℃の間の温度で塗布する
ことを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕充填剤入りの熱可塑性ポリマーおよびホットメルト接着剤は、押出前に混合される、又は、押出から上流で、個々の成分としてインラインで押出機に計量され、および押出機中でのみ混合されることを特徴とする、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕コーティングされるべき部品、およびノズルがその上に搭載された押出機ヘッドは、互いに対して相対運動を行い、
- その部品はそのまま残って、ノズルは移動し、又は
- その部品とノズルはいずれも移動し、又は
- ノズルは静止して、部品は移動する
ことを特徴とする、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕顆粒は重力によって又は空気的に、好ましくは連続的な重量的又は容積的な手段によって、直接押出法に供給されることを特徴とする、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕押出機はマニピュレーターまたはロボットアームに搭載されていることを特徴とする、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕コーティングされるべき基材は、コーティング前にレーザ放射、又は好ましくは動的な誘導手段によって定義された温度に調節されることを特徴とする、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法。