【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0069】
(合成例1)
下記のスキームに従い、前記例示化合物2の2DPP−TBDTを合成した。なお、前記スキーム中の化合物7は、Angewandte Chemie,International Edition(2011),50,(41),9697−9702に従い、合成した。
【0070】
【化20】
【0071】
<化合物2の合成>
前記化合物1(10.0g、33.3mmol)、2−エチルヘキシルブロミド(19.3g、99.9mmol)、及びK
2CO
3(18.4g、133mmol)を乾燥DMF(300mL)中で混合し、120℃で24時間攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿物を形成するために反応混合物を大量の氷水に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、水及びメタノールで洗浄した。
得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl
3/ヘキサン=1:1、v/v)で精製し、CHCl
3/メタノールで再結晶化し、真空下で乾燥し、赤茶色の固体である化合物2を得た(8.89g、収率=51%)。
【0072】
得られた化合物2について、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
なお、
1H NMR、及び
13C NMRは、Bruker社製AVANCE III500により分析を行った。以下同様にして分析した。
【0073】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ 8.89(dd,J=4.0Hz,1.5Hz,2H),7.63(dd,J=5.0Hz,1.5Hz,2H),7.27(dd,J=5.0Hz,4.0Hz,2H),4.07−3.98(m,4H),1.89−1.84(m,2H),1.40−1.20(m,16H),0.89−0.84(m,12H).
【0074】
13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 161.78,140.45,135.25,130.49,129.87,128.42,107.98,45.89,39.11,30.24,28.39,23.58,23.06,14.01,10.50.
【0075】
<化合物3の合成>
乾燥CHCl
3(300mL)中で、前記化合物2(5.00g、9.52mmol)を攪拌した溶液に、0℃でN−ブロモスクシンイミド(NBS、1.69g、9.52mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。得られた反応混合物に水を注ぎ、次いで、CHCl
3で抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥した。濾過及び蒸発後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=4:1、v/v)で精製し、CHCl
3/メタノールで再結晶化し、真空下で乾燥することにより、赤茶色の固体である化合物3を得た(2.59g、収率=45%)。
得られた化合物3について、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
【0076】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ 8.90(dd,J=4.0Hz,1.5Hz,1H),8.63(d,J=4.0Hz,1H),7.64(dd,J=5.0Hz,1.0Hz,1H),7.28−7.26(m,2H),7.22(d,J=4.5Hz,1H),4.03−3.99(m,2H),3.98−3.92(m,2H),1.88−1.80(m,2H),1.38−1.23(m,16H),0.90−0.84(m,12H).
【0077】
13C NMR(125MHz,CDCl
3):δ 161.69,161.52,140.92,138.98,135.53,135.09,131.40,131.29,130.82,129.78,128.51,118.62,108.20,107.84,45.98,45.95,39.15,39.09,30.22,28.36,23.60,23.57,23.05,23.04,14.01,10.49.
【0078】
<化合物4の合成>
乾燥THF(200mL)中で、1−ブロモ−4−ヘキシルベンゼン(5.00g、20.7mmol)を攪拌した溶液に、−78℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.62M、15.4mL、24.9mmol)を滴下して加えた。得られた混合物をその温度で1時間反応させた。次いで、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(4.63g、24.9mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。得られた反応混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥した。濾過及び蒸発後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製し、真空下で乾燥させて、無色の油である化合物4を得た(4.09g、収率=68%)
得られた化合物4について、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
【0079】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ 7.73(d,J=8.0Hz,2H),7.18(d,J=8.0Hz,2H),2.60(t,J=8.0Hz,2H),1.63−1.57(m,2H),1.33(s,12H),1.30−1.27(m,6H),0.87(t,J=7.0Hz,3H).
【0080】
13C NMR(125MHz,CDCl
3):δ 146.39,134.91,127.93,83.58,36.26,31.79,31.37,29.03,24.91,22.66,14.14.
【0081】
<化合物5の合成>
乾燥THF(40mL)中で、前記化合物3(2.50g、4.14mmol)、及び前記化合物4(1.70g、4.55mmol)を混合した混合液に、Pd(PPh
3)
4(0.24g、0.21mmol)、及びK
2CO
3水溶液(2.0M、20mL;使用前に窒素でバブリングした)を添加した。得られた混合物を60℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水に注ぎ、次いで、CHCl
3で抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥した。濾過及び蒸発後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl
3)により精製し、CHCl
3/メタノールで再結晶化し、真空下で乾燥させて、固体暗紫色の化合物5を得た(2.75g、収率=96%)
得られた化合物5について、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
【0082】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ8.98(d,J=4.0Hz,1H),8.87(dd,J=4.0Hz,1.0Hz,1H),7.61(dd,J=5.0Hz,1.0Hz,1H),7.59(d,J=8.5Hz,2H),7.43(d,J=4.0Hz,1H),7.28−7.26(m,1H),7.24(d,J=8.0Hz,2H),4.10−4.00(m,4H),2.64(t,J=7.5Hz,2H),1.97−1.92(m,1H),1.90−1.85(m,1H),1.67−1.60(m,2H),1.42−1.23(m,22H),0.92−0.84(m,15H).
【0083】
13C NMR(125MHz,CDCl
3):δ161.91,161.68,150.31,144.22,140.63,139.74,137.10,135.00,130.62,130.28,129.97,129.23,128.40,128.23,126.10,124.04,108.21,107.83,45.98,45.93,39.24,39.12,35.76,31.71,31.29,30.28,30.26,28.95,28.59,28.40,23.71,23.60,23.12,23.07,22.61,14.09,14.06,14.02,10.58,10.53.
【0084】
<化合物6の合成>
乾燥CHCl
3(50mL)中で、前記化合物5(2.50g、3.65mmol)を撹拌した溶液に、0℃で、N−ブロモスクシンイミド(NBS、0.71g、4.01mmol)をゆっくり添加した。得られた混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。得られた反応混合物を水に注ぎ、次いで、CHCl
3で抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥した。濾過及び蒸発後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl
3)により精製し、CHCl
3/メタノールで再結晶化し、真空下で乾燥させて、暗褐色の固体である化合物6を得た(2.70g、収率=97%)。
得られた化合物6について、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
【0085】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ 8.99(d,J=4.0Hz,1H),8.61(d,J=4.0Hz,1H),7.58(d,J=8.5Hz,2H),7.43(d,J=4.5Hz,1H),7.24(d,J=8.5Hz,2H),7.21(d,J=4.0Hz,1H),4.10−4.01(m,2H),4.00−3.90(m,2H),2.64(t,J=8.0Hz,2H),1.96−1.90(m,1H),1.87−1.82(m,1H),1.66−1.60(m,2H),1.41−1.23(m,22H),0.92−0.89(m,15H).
【0086】
13C NMR(125MHz,CDCl
3):δ 161.80,161.39,150.65,144.31,141.04,138.19,137.41,134.81,131.42,131.36,130.55,129.24,128.13,126.10,124.09,118.28,108.43,107.67,46.02,39.23,39.15,35.77,31.71,31.28,30.36,30.24,28.95,28.57,28.37,23.70,23.62,23.11,23.05,22.97,22.61,14.08,14.06,14.02,10.57,10.52.
【0087】
<2DPP−TBDTの合成>
乾燥DMF(20mL)中で、前記化合物6(0.80g、0.88mmol)、及び化合物7(1.42g、1.86mmol)を混合した混合液に、Pd(PPh
3)
4(0.05g、00.04mmol)を添加した。得られた混合物を85℃で24時間撹拌した。
室温に冷却した後、得られた反応混合物を水に注ぎ、次いで、CHCl
3で抽出した。得られた有機相を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥した。濾過及び蒸発後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl
3)で精製し、CHCl
3/メタノールで再結晶化し、真空下で乾燥させて、暗紫色の固体である2DPP−TBDTを得た。得られた化合物は、使用前に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で更に精製した(1.39g、収率=81%)。
得られた2DPP−TBDTについて、
1H NMR、及び
13C NMRの結果を以下に示した。
【0088】
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ 9.02(d,J=4.0Hz,2H),9.00(d,J=4.0Hz,2H),7.62(s,2H),7.48(d,J=7.5Hz,4H),7.39(d,J=3.5Hz,2H),7.34(d,J=4.0Hz,2H),7.25(d,J=4.0Hz,2H),7.12(d,J=7.5Hz,4H),6.99(d,J=3.5Hz,2H),4.00−3.94(m,8H),2.96(d,J=6.5Hz,4H),2.54−2.50(m,4H),1.91−1.85(m,4H),1.82−1.77(m,2H),1.57−1.28(m,64H),1.03(t,J=7.5Hz,6H),0.97(t,J=6.8Hz,6H),0.95−0.87(m,30H).
【0089】
13C NMR(125MHz,CDCl
3):δ 161.41,161.36,149.97,146.26,144.03,141.79,139.77,138.96,138.52,137.36,136.75,136.65,136.52,130.42,129.07,128.99,128.18,128.08,125.74,125.54,123.74,120.56,120.29,108.41,107.89,45.88,41.43,39.45,39.34,35.72,34.50,32.67,31.69,31.15,30.40,29.03,29.01,28.61,25.78,23.66,23.20,23.16,23.13,22.62,14.24,14.14,14.09,10.93,10.68,10.58.
【0090】
得られた2DPP−TBDT(C
118H
150N
4O
4S
8)の元素分析値は下記のとおりであった。
【表A】
【0091】
(比較例1)
<光電変換素子の作製>
超音波洗浄、及びUVオゾン洗浄を施したパターニングITO付ガラス基板上に、PEDOT:PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸、H.C.Stark社製、CleviosP VP AI4083)溶液をスピンコート(回転数:3000rpm)法で塗布し、130℃で10分間乾燥した。
次に、1mLのクロロベンゼン中に、P3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル、Merck社製)を17mg:17mgの割合で溶解させ、窒素置換されたグローブボックス中において、一晩以上攪拌し、光電変換層用溶液を調製した。
得られた光電変換層用溶液を大気中で、前記PEDOT:PSS膜上にスピンコート法で成膜し、140℃で10分間乾燥させることにより光電変換層を形成した。得られた光電変換層の平均厚みは100nmであった。
次に、真空蒸着法により、1×10
−6Torr下で、前記光電変換層上に、フッ化リチウムを1nm、Al電極を80nmとなるように成膜し、光電変換素子を作製した。
【0092】
<評価>
得られた光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を分光計器株式会社製SRO−25GDにより測定したところ、開放端電圧=560mV、短絡電流密度=6.96mA/cm
2、曲線因子=0.60、光電変換効率=2.33%であった。
【0093】
(実施例1)
比較例1と同様にして、PEDOT:PSS溶液を超音波洗浄、及びUVオゾン洗浄を施したパターニングITO付ガラス基板上に塗布した。
次に、1mLのクロロホルム中に、前記例示化合物2で表される有機材料とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)を7mg:7mgの割合で溶解させ、窒素置換されたグローブボックス中において、一晩以上攪拌し、光電変換層用溶液を調製した。
次に、得られた光電変換層用溶液を大気中で、前記PEDOT:PSS膜上にスピンコート法で成膜し、120℃で10分間乾燥させることにより光電変換層を形成した。得られた光電変換層の平均厚みは110nmであった。
次に、真空蒸着法により、1×10
−6Torr下で、前記光電変換層上に、フッ化リチウムを1nm、Al電極を80nmとなるように成膜し、光電変換素子を作製した。
【0094】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=770mV、短絡電流密度=8.71mA/cm
2、曲線因子=0.58、光電変換効率=3.90%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0095】
(実施例2)
<光電変換素子の作製>
実施例1において、光電変換層用溶液中に1質量%となるようにジヨードオクタンを添加した以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
なお、光電変換層用溶液にジヨードオクタンを少量添加することにより、過凝集を防ぎ、電荷分離及び電荷輸送に適切な凝集構造にすることができる。
【0096】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=720mV、短絡電流密度=13.99mA/cm
2、曲線因子=0.53、光電変換効率=5.38%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0097】
(実施例3)
<光電変換素子の作製>
実施例1において、光電変換層の乾燥を120℃から室温(25℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
なお、乾燥温度を変え、乾燥時間を調節することにより、凝集度合いをコントロールすることができる。
【0098】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=760mV、短絡電流密度=10.79mA/cm
2、曲線因子=0.63、光電変換効率=5.12%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0099】
(実施例4)
<光電変換素子の作製>
超音波洗浄、及びUVオゾン洗浄を施したパターニングITO付ガラス基板上に、酸化亜鉛溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で10分間乾燥して、厚み35nmの酸化亜鉛膜を形成した。
次に、1mLのクロロホルム中に、例示化合物2で表される有機材料とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)を7mg:7mgの割合で溶解させ、窒素置換されたグローブボックス中において、一晩以上攪拌し、光電変換層用溶液を調製した。
次に、得られた光電変換層用溶液を大気中で、前記酸化亜鉛膜上にスピンコート法で成膜し、室温(25℃)で乾燥させることで光電変換層を形成した。得られた光電変換層の平均厚みは118nmであった。
次に、真空蒸着法により、1×10
−6Torr下で、前記光電変換層上に、酸化モリブデンを10nm、Ag電極を80nmとなるように成膜し、光電変換素子を作製した。
【0100】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=770mV、短絡電流密度=9.03mA/cm
2、曲線因子=0.49、光電変換効率=3.41%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0101】
(実施例5)
<光電変換素子の作製>
実施例4において、光電変換層用溶液中に1質量%となるようにジヨードオクタンを添加した以外は、実施例4と同様にして、光電変換素子を作製した。
なお、光電変換層用溶液にジヨードオクタンを少量添加することにより、過凝集を防ぎ、電荷分離及び電荷輸送に適切な凝集構造にすることができる。
【0102】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=760mV、短絡電流密度=12.15mA/cm
2、曲線因子=0.63、光電変換効率=5.78%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0103】
(実施例6)
<光電変換素子の作製>
実施例5において、光電変換層の乾燥温度を室温(25℃)から100℃に変えた以外は、実施例5と同様にして、光電変換素子を作製した。
なお、乾燥温度を変え、乾燥時間を調節することにより、凝集度合いをコントロールすることができる。
【0104】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=700mV、短絡電流密度=13.11mA/cm
2、曲線因子=0.56、光電変換効率=5.16%であり、良好な光電変換素子特性を得ることができた。
【0105】
(比較例2)
<光電変換素子の作製>
超音波洗浄、及びUVオゾン洗浄を施したパターニングITO付ガラス基板上に、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸、H.C.Stark社製、CleviosP VP AI4083)溶液をスピンコート(回転数:3,000rpm)法で塗布し、130℃で10分間乾燥した。
次に、1mLのクロロホルム中に、下記構造式で表される比較化合物1とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)を15mg:15mgの割合で溶解させ、窒素置換されたグローブボックス中において、一晩以上攪拌し、光電変換層用溶液を調製した。
【0106】
[比較化合物1]
【化21】
ただし、前記式中、Etはエチル基、Buはブチル基を表す。
前記比較化合物1は、ACS Applied Materials & Interfaces (2013),5(6),2033−2039に記載の方法と同様にして合成した。
【0107】
次に、得られた光電変換層用溶液を大気中で、前記PEDOT:PSS膜上にスピンコート法により成膜することで光電変換層を形成した。得られた光電変換層の平均厚みは180nmであった。
次に、真空蒸着法により、1×10
−6Torr下で、前記光電変換層上にCaを3nm、Al電極を80nmとなるように成膜し、光電変換素子を作製した。
【0108】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=840mV、短絡電流密度=6.86mA/cm
2、曲線因子=0.43、光電変換効率=2.43%であった。
【0109】
(比較例3)
<光電変換素子の作製>
比較例2において、光電変換層用溶液中に0.3質量%となるようにジヨードオクタンを添加した以外は、比較例2と同様にして、光電変換素子を作製した。
なお、光電変換層用溶液にジヨードオクタンを少量添加することにより、過凝集を防ぎ、電荷分離及び電荷輸送に適切な凝集構造にすることができる。
【0110】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=760mV、短絡電流密度=8.49mA/cm
2、曲線因子=0.60、光電変換効率=3.88%であった。
【0111】
(比較例4)
比較例3において、光電変換層用溶液における溶媒をクロロホルムからo−ジクロロベンゼンに代え、ジヨードオクタンの添加量を0.3質量%から0.7質量%に変えた以外は、比較例3と同様にして、光電変換素子を作製した。
【0112】
<評価>
作製した光電変換素子について、疑似太陽光照射(AM1.5、100mW/cm
2)下における太陽電池特性を比較例1と同様にして測定したところ、開放端電圧=720mV、短絡電流密度=9.23mA/cm
2、曲線因子=0.62、光電変換効率=4.12%であった。
【0113】
以上の結果から、前記一般式(1)で表される有機材料を用いて作製した実施例1〜6の光電変換素子は、比較例1〜4の光電変換素子に比べて高い光電変換効率を示し、前記一般式(1)で表される有機材料は光電変換素子用材料として十分有用であることが分かった。
【0114】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機材料である。
<一般式(1)>
【化22】
ただし、前記一般式(1)中、R
1及びR
2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4〜24のアルキル基を表す。Xは、置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表す。Yは、芳香族炭化水素基、アルコキシル基、及びアルキル基のいずれかを表し、これらは置換基により置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。
<2> 前記Yが、芳香族炭化水素基である前記<1>に記載の有機材料である。
<3> 前記nが、1である前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機材料である。
<4> 下記一般式(2)で表される前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機材料である。
<一般式(2)>
【化23】
ただし、前記一般式(2)中、R
1〜R
4は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4〜24のアルキル基を表す。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機材料と、n型有機材料と、有機溶媒と、を少なくとも含むことを特徴とする光電変換層用溶液である。
<6> 前記n型有機材料が、フラーレン誘導体である前記<5>に記載の光電変換層用溶液である。
<7> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機材料と、n型有機材料とを少なくとも含むことを特徴とする有機材料薄膜である。
<8> 少なくとも正極と負極とを有する光電変換素子であって、
前記正極と前記負極の間に前記<7>に記載の有機材料薄膜を有することを特徴とする光電変換素子である。
<9> 前記正極が、透明電極である前記<8>に記載の光電変換素子である。
<10> 前記負極が、透明電極である前記<8>から<9>のいずれかに記載の光電変換素子である。