特許第6298059号(P6298059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298059
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】差異的な酸化ケイ素エッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   H01L21/302 301S
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-531942(P2015-531942)
(86)(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公表番号】特表2015-528647(P2015-528647A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】US2013056243
(87)【国際公開番号】WO2014042843
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年8月19日
(31)【優先権主張番号】61/701,964
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/841,009
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク, スン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ユンユイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, アンチョアン
(72)【発明者】
【氏名】イングル, ニティン ケー.
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/115750(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/050321(WO,A2)
【文献】 特開2001−319918(JP,A)
【文献】 特開2009−239056(JP,A)
【文献】 特表2014−507073(JP,A)
【文献】 特表2014−500608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成された基板を基板処理チャンバの基板処理領域の中でエッチングする方法であって、前記パターン形成された基板は、露出された酸化ケイ素領域を有し、前記方法は、
プラズマ流出物を作るために遠隔プラズマ領域の中で遠隔プラズマを形成している間、前記基板処理領域と流体結合した前記遠隔プラズマ領域の中にフッ素含有前駆体を流すこと、
先に水蒸気を前記遠隔プラズマ領域に通すことなく、前記水蒸気を前記基板処理領域の中に流すこと、及び
前記プラズマ流出物を前記基板処理領域の中へ流すことにより、前記露出された酸化ケイ素領域をエッチングすること
を含み、前記露出された酸化ケイ素領域は、第一の密度を持つ第一の酸化ケイ素領域及び第二の密度を持つ第二の酸化ケイ素領域を含み、前記第一の密度は前記第二の密度より小さく、前記第一の酸化ケイ素領域は、第一のエッチング速度でエッチングされ、前記第二の酸化ケイ素領域は、前記第一のエッチング速度より低い第二のエッチング速度でエッチングされ
前記フッ素含有前駆体及び前記プラズマ流出物は、水素を有しない、方法。
【請求項2】
前記第一の酸化ケイ素領域は、ジクロルシランを前駆体として用いて堆積された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の酸化ケイ素領域は、プラズマ化学気相堆積を用いて堆積された、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の酸化ケイ素領域は、高密度プラズマ化学気相堆積を用いて堆積された、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のエッチング速度は、前記第二のエッチング速度より、約8又はそれより大きい係数だけ大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一のエッチング速度は、前記第二のエッチング速度より、約15又はそれより大きい係数だけ大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一のエッチング速度は、前記第二のエッチング速度より、約25又はそれより大きい係数だけ大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板処理領域はプラズマフリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水蒸気は、前記基板処理領域の外側で形成されるいかなる遠隔プラズマによっても励起されない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素含有前駆体は、原子状フッ素、二原子フッ素、三フッ化窒素、四フッ化炭素、フッ化水素及び二フッ化キセノンからなる群から選択される前駆体を含む、請求項1に
記載の方法。
【請求項11】
デュアルゾーンシャワーヘッドの中の貫通孔を通って流される前記フッ素含有前駆体、及び前記水蒸気は、前記デュアルゾーンシャワーヘッドの中の別々のゾーンを通過し、前記別々のゾーンは、前記基板処理領域の中に開口するが、前記遠隔プラズマ領域の中に開口しない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パターン形成された基板の温度は、前記エッチング作業の間、約0℃以上、約100℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記パターン形成された基板の温度は、前記エッチング作業の間、約5℃以上、約40℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基板処理領域の中の圧力は、前記エッチング作業の間、約50トル以下、約0.1トル以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
プラズマ流出物を作るために前記遠隔プラズマ領域の中でプラズマを形成することは、前記遠隔プラズマ領域に約10ワットから約2000ワットの間のRF電力を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記遠隔プラズマ領域の中のプラズマは、容量性結合プラズマである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月17日に出願された、「DIFFERENTIAL SILICON OXIDE ETCH」なる名称の、米国特許仮出願第61/701,964号の利益を主張し、これによって、あらゆる目的において参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
集積回路は、複雑にパターン形成された材料層を基板表面上に作るプロセスにより、可能になる。基板上にパターン形成された材料を作ることは、露出された材料の除去のための制御された方法を必要とする。化学エッチングが、フォトレジストの中のパターンを下層の中へ転写すること、層を薄くすること、又は表面上にすでに存在する特徴の横寸法を細くすること、を含む種々の目的のために用いられる。一つの材料を別の材料より速くエッチングして、例えば、パターン転写プロセスが進行するのを促進する、エッチングプロセスがあることが、しばしば望ましい。そのようなエッチングプロセスは、該第一の材料に対して選択的であると言われる。材料、回路及びプロセスの多様性の結果として、種々の材料に対して選択性を持ったエッチングプロセスが開発されて来た。
【0003】
湿式HFエッチングは、他の誘電体及び半導体に対して酸化ケイ素を優先的に除去する。しかしながら、湿式プロセスは、幾つかの狭いトレンチを貫くことができず、時々、残った材料を変形させる。局所プラズマ(基板処理領域の中のプラズマ)の中で作られるドライエッチングは、より多くの狭いトレンチを貫くことができ、精緻な残った構造のより少ない変形を示す。しかしながら、局所プラズマは、放電するときにアークの発生を通じて基板に損傷を与える可能性がある。
【0004】
Siconi(商標)エッチングは、H2、NF3及びNH3プラズマ副産物への基板の同時曝露を含む、遠隔プラズマ支援型ドライエッチングプロセスである。水素種及びフッ素種の遠隔プラズマ励起は、プラズマ損傷フリーの基板処理を可能にする。Siconi(商標)エッチングは、主として共形であり、酸化ケイ素層に対して選択的であるが、ケイ素がアモルファス、結晶性、又は多結晶であるかに関わらず、ケイ素を容易にエッチングしない。窒化ケイ素は、ケイ素と酸化ケイ素の間の速度で、通常エッチングされる。
【0005】
新しいプロセスフローを可能にするために、この一揃いの選択性を次第に広げる方法が、必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
パターン形成されたヘテロジニアス構造上の露出された酸化ケイ素をエッチングする方法が、記載され、遠隔プラズマエッチングから作られる気相エッチングを含む。遠隔プラズマは、フッ素含有前駆体を励起する。遠隔プラズマからのプラズマ流出物が、基板処理領域の中に流され、そこでプラズマ流出物は水蒸気と結合する。それによって作られた反応物質が、パターン形成されたヘテロジニアス構造をエッチングし、異なる酸化ケイ素の二つの別々の領域を、異なるエッチング速度で除去する。本方法は、低密度の酸化ケイ素を除去すると同時に、高密度の酸化ケイ素をより少なく除去するように、用いられうる。
【0007】
本発明の実施形態は、基板処理チャンバの基板処理領域の中でパターン形成された基板をエッチングする方法を含む。パターン形成された基板は、露出された酸化ケイ素領域を持つ。本方法は、プラズマ流出物を作るために遠隔プラズマ領域の中で遠隔プラズマを形成している間、基板処理領域と流体結合した遠隔プラズマ領域の中にフッ素含有前駆体を流すことを含む。本方法は、最初に水蒸気を遠隔プラズマ領域に通すことなく、水蒸気を基板処理領域の中に流すことを、更に含む。本方法は、プラズマ流出物を基板処理領域の中に流すことにより、露出された酸化ケイ素領域をエッチングすることを、更に含む。露出された酸化ケイ素領域は、第一の密度を持つ第一の酸化ケイ素領域及び第二の密度を持つ第二の酸化ケイ素領域を含む。第一の密度は、第二の密度より小さい。第一の酸化ケイ素領域は、第一のエッチング速度でエッチングされ、第二の酸化ケイ素領域は、第一のエッチング速度より低い第二のエッチング速度でエッチングされる。
【0008】
追加の実施形態及び特徴が、部分的に以下の記載中に述べられ、そして、部分的に、明細書の検討により当業者に明らかとなるであろう、又は、開示される実施形態の実践により分かるかもしれない。開示される実施形態の特徴及び利点は、本明細書に記載される手段、組合せ、及び方法によって、実現され、達成されうる。
【0009】
開示される実施形態の特質と利点についての更なる理解が、明細書の残りの部分と図面を参照することにより、実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開示される実施形態による、酸化ケイ素の選択的エッチングプロセスのフローチャートである。
図2A】本発明の実施形態による、基板処理チャンバを示す。
図2B】本発明の実施形態による、基板処理チャンバのシャワーヘッドを示す。
図3】本発明の実施形態による、基板処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図において、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照ラベルを持ちうる。更に、同じタイプの種々の構成要素は、ダッシュ及び類似の構成要素の間を区別する第二のラベルが参照ラベルの後に続くことにより、区別されうる。第一の参照ラベルのみが明細書の中で用いられるならば、記載は、第二の参照ラベルに関わりなく、同じ第一の参照ラベルを持つ類似の構成要素の任意のものに対して適用可能である。
【0012】
パターン形成されたヘテロジニアス構造上の露出された酸化ケイ素をエッチングする方法が、記載され、本方法は、遠隔プラズマエッチングから作られる気相エッチングを含む。遠隔プラズマは、フッ素含有前駆体を励起する。遠隔プラズマからのプラズマ流出物が、基板処理領域の中に流され、そこでプラズマ流出物は水蒸気と結合する。それによって作られた反応物質が、パターン形成されたヘテロジニアス構造をエッチングし、異なる酸化ケイ素の二つの別々の領域を、異なるエッチング速度で除去する。本方法は、低密度の酸化ケイ素を除去すると同時に、高密度の酸化ケイ素をより少なく除去するように、用いられうる。
【0013】
選択的遠隔気相エッチングプロセスは、遠隔プラズマシステム(RPS)を通って、反応領域の中へ一緒に流れる、アンモニア(NH3)の水素源及び三フッ化窒素(NF3)のフッ素源を用いた。アンモニア及び三フッ化窒素の流量は、二つのプロセスガスの成分を効率的に利用するために、水素の原子流量が、フッ素の原子流量のおよそ2倍であるように、通常、選択される。水素及びフッ素の存在は、比較的低い基板温度で(NH4)2SiF6の固体副産物の形成を可能にする。固体副産物は、昇華温度より上に基板の温度を上げることにより、除去される。遠隔気相エッチングプロセスは、例えばケイ素よりもはるかに速く、酸化物膜を除去する。しかしながら、酸化ケイ素の異なる調製物の間でエッチング速度の間の差はほとんどない。遠隔プラズマの中でフッ素含有前駆体を励起させ、プラズマ流出物を遠隔プラズマシステムを通っていない水蒸気と結合させることにより、高密度の窒化ケイ素に対する低密度の酸化ケイ素の選択性を高めることができるということを、発明者は発見した。
【0014】
本発明をよりよく理解し評価するために、開示される実施形態による、酸化ケイ素の選択的エッチングプロセスのフローチャートである図1への参照が次になされる。最初の作業の前に、基板がパターン形成され、高密度の酸化ケイ素が、パターン形成された基板上に堆積される。その後、低密度の酸化ケイ素が、高密度の酸化ケイ素の上に堆積され、例えば精緻な縦の特徴のための一時的な犠牲支持体構造として働く。低密度の酸化ケイ素の構造的態様が、もはや必要とされなくなると、それは、高密度の酸化ケイ素を保持しながら、本明細書に記載されるエッチングプロセスで除去されることができる。
【0015】
パターン形成された基板は、その後、処理領域の中へ供給される(作業110)。三フッ化窒素の流れが、処理領域から離れたプラズマ領域の中へと入れられる(作業120)。他のフッ素源が、三フッ化窒素を強化する又は代替するために、用いられてもよい。概して、フッ素含有前駆体が、プラズマ領域の中に流され、フッ素含有前駆体は、原子状フッ素、二原子フッ素、三フッ化窒素、四フッ化炭素、フッ化水素及び二フッ化キセノンからなる群から選択される少なくとも一つの前駆体を含む。区別されたプラズマ領域は、本明細書中で遠隔プラズマ領域と呼ばれることもあり、そして、処理チャンバとは異なるモジュールの中にあってもよく、又は処理チャンバ内の一区画の中にあってもよい。遠隔プラズマ領域の中に形成されるプラズマ流出物は、その後、基板処理領域の中に流される(作業125)。水蒸気が同時に基板処理領域の中に流され(作業130)、プラズマ流出物と反応する。水蒸気は、遠隔プラズマ領域を通されないので、プラズマ流出物との相互作用によってのみ励起される。本発明の実施形態において、水蒸気は、基板処理領域に入る前に、いかなる遠隔プラズマ領域も通されない。
【0016】
高密度の酸化ケイ素より著しく高い速度で、低密度の酸化ケイ素が除去されるように、パターン形成された基板は、選択的にエッチングされる(作業135)。この能力は、犠牲構成要素として一つの酸化ケイ素領域を使用する(低密度の酸化ケイ素)と同時に、別の酸化ケイ素領域が露出される(高密度の酸化ケイ素)ことを可能にする。反応性化学種が基板処理領域から除去され、その後、基板が処理領域から除去される(作業145)。
【0017】
緩衝酸化物エッチングなどの湿式エッチングもまた、高密度の酸化ケイ素に対して低密度の酸化ケイ素を選択的に除去するために使用された。その選択性は、約6:1又は7:1(低密度SiOエッチング速度:高密度SiOエッチング速度)に制限されるということを、発明者は見出した。本明細書に記載される気相ドライエッチングプロセスを用いて、40:1及び50:1(低密度SiOエッチング速度:高密度SiOエッチング速度)でさえある選択性が可能であることを、発明者は立証した。本発明の実施形態において、低密度の酸化ケイ素のエッチング速度は、約8若しくはそれより大きい、約10若しくはそれより大きい、約15若しくはそれより大きい、又は約25若しくはそれより大きい乗数係数だけ、高密度の酸化ケイ素のエッチング速度を上回る。
【0018】
低密度の酸化ケイ素に帰結する例示的な堆積技術は、堆積前駆体としてジクロルシランを用いる化学気相堆積、スピンオングラス(SOG)又はプラズマ化学気相堆積を含む。本発明の実施形態において、高密度酸化ケイ素は、熱酸化物(ケイ素を、例えば高温度でO2に曝露すること)、ジシラン前駆体炉酸化又は高密度プラズマ化学気相堆積として堆積されうる。
【0019】
フッ素のみを含む気相エッチング(遠隔又は局所)は、パターン形成された基板の(高密度の酸化ケイ素から作られた)他の部分をほとんど乱されないままにしながら、低密度の酸化ケイ素を除去するのに必要とされる選択性を有しない。本明細書に記載される気相エッチングは、固体残留物を生じないという点で、追加の利益を有する。固体残留物の排除は、犠牲低密度酸化ケイ素により支持されうる精緻な特徴を乱すことを回避する。固体残留物の排除はまた、昇華ステップを取り除くことにより、プロセスフローを単純化し、処理コストを減少させる。本発明の実施形態において、フッ素含有前駆体は、水素を欠いている。水素前駆体が、遠隔プラズマ領域の中に含まれない場合、プラズマ流出物もまた、水素を欠いていることがありうる。これは、パターン形成された基板上での固体副産物の産出の可能性がないことを保証する。
【0020】
特許請求の範囲を、正しいかもしれないし又は必ずしも正しくないかもしれない理論的なメカニズムと結び付けることを希望するものではなく、可能性のあるメカニズムについてのいくらかの議論が、有益となりうる。フッ素含有前駆体を遠隔プラズマ領域の中へ供給することにより、ラジカルフッ素前駆体が産出される。フッ素イオン及び原子の集結が、産出され、基板処理領域の中へ供給されることを、出願人は想定する。水蒸気(H2O)が、フッ素と反応し、HF2−などの、より反応性の低い種を産出しうる。これは、パターン形成された基板の表面から低密度の酸化ケイ素をなお容易に除去するが、高密度の酸化ケイ素を容易に除去しない。固体残留物副産物の欠如と組み合わされた選択性は、これらのエッチングプロセスを、残りの精緻な構造の中にほとんど変形を引き起こさずに、精緻な非酸化ケイ素材料からモールド及び他の酸化ケイ素支持体構造を除去するのに、よく適したものにする。
【0021】
開示される実施形態において、基板処理領域の中の圧力は、エッチング作業の間、0.1トルより高い又は約0.1トル及び50トルより低い又は約50トルでありうる。開示される実施形態において、基板処理領域の中の圧力はまた、40トルより低い若しくは約40トル、及び5トルより高い若しくは約5トル、又は10トルより高い若しくは約10トルでありうる。任意の上限が、任意のこれら下限と組み合わされ、本発明の追加の実施形態を形成することができる。開示される実施形態において、パターン形成された基板の温度は、エッチング作業の間、約0℃又はそれより上、及び約100℃又はそれより下でありうる。本発明の実施形態において、パターン形成された基板の温度は、エッチング作業の間、約5℃又はそれより上、及び約40℃又はそれより下でありうる。
【0022】
追加の水蒸気及び遠隔励起フッ素エッチングプロセスパラメータが、例示的な処理チャンバ及びシステムを記載する過程で開示される。
【0023】
例示的な処理システム
本発明の実施形態を実施しうる処理チャンバは、Santa Clara、Calif.のApplied Materials,Inc.から入手可能な、CENTURA(登録商標)及びPRODUCER(登録商標)システムなどの、処理プラットフォームの中に含まれうる。本発明の例示的な方法とともに用いることができる基板処理チャンバの例は、全ての目的のためにその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Lubomirsky他の、2006年5月30日に出願された、「PROCESS CHAMBER FOR DIELECTRIC GAPFILL」なる名称の、同時譲渡された米国特許仮出願第60/803,499号の中に示され、記載されるチャンバを含みうる。追加の例示的なシステムは、これもまた全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,387,207号及び第6,830,624号に示され、記載されるシステムを含みうる。
【0024】
図2Aは、開示される実施形態による、基板処理チャンバ1001である。遠隔プラズマシステム(RPS1010)は、その後にガス入り口アセンブリ1011を通過する、フッ素含有前駆体を処理しうる。二つの別個のガス供給チャネルが、ガス入り口アセンブリ1011の中に見える。第一のチャネル1012が、遠隔プラズマシステム(RPS)1010を通過するガスを運び、一方、第二のチャネル1013がRPS1010を迂回する。実施形態において、いずれのチャネルが、フッ素含有前駆体のために用いられてもよい。他方、第一のチャネル202が、プロセスガスのために使用されてもよいし、第二のチャネル1013が、処理ガスのために使用されてもよい。リッド1021(例えば導電性最上部)及び貫通孔のあるパーティション(シャワーヘッド1053)が、その間にある絶縁リング1024とともに示され、これは、AC電位が、シャワーヘッド1053に対してリッド1021に印加されることを可能にする。AC電位が、チャンバプラズマ領域1020の中でプラズマを発生させる。プロセスガスは、第一のチャネル1012を通って、チャンバプラズマ領域1020の中へ進み、チャンバプラズマ領域1020の中のプラズマによってのみ、又はRPS1010と組み合わされて、励起されうる。プロセスガス(フッ素含有前駆体)が第二のチャネル1013を通って流れる場合、チャンバプラズマ領域1020のみが、励起のために使用される。チャンバプラズマ領域1020及び/又はRPS1010の結合は、本明細書の中で、遠隔プラズマシステムと呼ばれうる。貫通孔のあるパーティション(シャワーヘッドとも呼ばれる)1053は、チャンバプラズマ領域1020を、シャワーヘッド1053の下の基板処理領域1070から隔てる。シャワーヘッド1053は、チャンバプラズマ領域1020の中にあるプラズマが、基板処理領域1070の中のガスを直接に励起することを回避することを可能にするが、一方で、励起された種が、チャンバプラズマ領域1020から基板処理領域1070の中へ進むことを可能にする。
【0025】
シャワーヘッド1053は、チャンバプラズマ領域1020と基板処理領域1070の間に配置され、RPS1010及び/又はチャンバプラズマ領域1020の内部で作られるプラズマ流出物(前駆体の励起された誘導体又は他のガス)が、プレートの厚さを横切る複数の貫通孔1056を通過することを可能にする。シャワーヘッド1053はまた、(ケイ素含有前駆体などの)蒸気又はガスの形の前駆体で充填されることができ、小さい孔1055を通って基板処理領域1070の中へ通るが、直接にチャンバプラズマ領域1020の中へ通らない、一つ又は複数の中空の容積1051を持つ。シャワーヘッド1053は、この開示される実施形態において、貫通孔1056の最小直径1050の長さより厚い。チャンバプラズマ領域1020から基板処理領域1070へ通る励起された種のかなり大きい濃度を維持するために、貫通孔の最小直径1050の長さ1026は、シャワーヘッド1053を通って途中まで貫通孔1056のより大きな直径部分を形成することにより、制限されうる。貫通孔1056の最小直径1050の長さは、開示される実施形態において、貫通孔1056の最小直径と同じ桁又はそれ未満でありうる。
【0026】
示される実施形態において、シャワーヘッド1053は、酸素、水素及び/若しくは窒素を含有するプロセスガス並びに/又はチャンバプラズマ領域1020の中のプラズマによる励起による、そのようなプロセスガスのプラズマ流出物を(貫通孔1056を通じて)分配しうる。実施形態において、RPS1010の中へ及び/又は第一のチャネル1012を通ってチャンバプラズマ領域1020の中へ導入されるプロセスガスは、フッ素を含有しうる(例えば、CF4、NF3又はXeF2)。プロセスガスはまた、ヘリウム、アルゴン、窒素(N2)などのキャリアガスを含みうる。プラズマ流出物は、プロセスガスのイオン化された又は中性の誘導体を含んでもよく、また、導入されるプロセスガスの原子成分を指すラジカルフッ素前駆体と、本明細書で呼ばれうる。
【0027】
実施形態において、貫通孔1056の数は、約60から約2000の間でありうる。貫通孔1056は、様々な形を持ちうるが、最も容易に、円形に作られる。貫通孔1056の最小直径1050は、開示される実施形態において、約0.5mmから約20mmの間、又は約1mmから約6mmの間でありうる。貫通孔の断面形状を選択するに際しても自由裁量があり、それは、円錐形、円柱形、又はその二つの形状の組合せに作られうる。基板処理領域1070の中にガスを導入するために用いられる小さい孔1055の数は、異なる実施形態において、約100から約5000の間、又は約500から約2000の間でありうる。小さい孔1055の直径は、約0.1mmから約2mmの間でありうる。
【0028】
図2Bは、開示される実施形態による、処理チャンバとともに用いられるためのシャワーヘッド1053の底面図である。シャワーヘッド1053は、図2Aに示されるシャワーヘッドに対応する。シャワーヘッド1053の底部に、より大きい内径(ID)を有し、上部により小さいIDを有する貫通孔1056が、描かれている。小さい孔1055が、シャワーヘッドの表面上に、貫通孔1056の間さえ、実質的に均等に分布され、これは、本明細書に記載される他の実施形態よりもより均等な混合を提供することに役立つ。水蒸気が、デュアルゾーンシャワーヘッド1053の中の別々のゾーンを通り、小さい孔1055を通って基板処理領域に入る間に、フッ素含有前駆体が、デュアルゾーンシャワーヘッドの中の貫通孔1056を通って流されうる。別々のゾーンは、基板処理領域の中へ開口するが、遠隔プラズマ領域の中へ開口しない。
【0029】
シャワーヘッド1053の中の貫通孔1056を通って到達するフッ素含有プラズマ流出物が、中空の容積1051から発し、小さい孔1055を通って到達する水分と結合するとき、例示的なパターン形成された基板が、基板処理領域1070の中のペデスタル(示されていない)によって支持されうる。基板処理領域1070は、硬化などの他のプロセスのためにプラズマを維持するように装備されうるけれども、本発明の実施形態において、パターン形成された基板のエッチングの間、プラズマは存在しない。
【0030】
プラズマは、シャワーヘッド1053の上のチャンバプラズマ領域1020の中で、又はシャワーヘッド1053の下の基板処理領域1070の中で、発生されうる。フッ素含有前駆体の流入からラジカルフッ素前駆体を作り出すために、プラズマが、チャンバプラズマ領域1020の中に存在する。堆積の間、チャンバプラズマ領域1020の中にプラズマを発生させるために、高周波(RF)域内に通常あるAC電圧が、処理チャンバの導電性上部1021とシャワーヘッド1053の間に印加される。RF電源は、13.56MHzの高いRF周波数を発生させるが、単独で又は13.56MHz周波数と組合わせて、他の周波数をも発生させうる。
【0031】
基板処理領域1070の中の底部プラズマが、基板処理領域1070を縁取る内部表面を洗浄するためにターンオンされるとき、上部プラズマは、低出力又は出力なしにしておかれうる。基板処理領域1070の中のプラズマが、シャワーヘッド1053とペデスタル又はチャンバの底部の間にAC電圧を印加することにより、生成される。洗浄ガスが、プラズマが存在している間、基板処理領域1070の中に導入されうる。
【0032】
ペデスタルは、それを通って熱交換流体が基板の温度を制御するために流れる、熱交換チャネルを持ちうる。この構成は、基板温度が、比較的低い温度(室温から約120℃まで)を維持するように冷却又は加熱されることを可能にする。熱交換流体は、エチレングリコール及び水を含みうる。ペデスタルのウェハ支持体プラター(好ましくは、アルミニウム、セラミック、又はその組合せ)もまた、平行な同心円の形に2回転するように構成される埋め込まれた単一ループの埋め込まれたヒータ要素を用いて、比較的高い温度(約120℃から約1100℃まで)を達成するために、抵抗加熱されうる。ヒータ要素の内側部分が、より小さい半径を持つ同心円の軌道上を走る一方で、ヒータ要素の外側部分は、支持体プラターの周囲に隣接して走りうる。ヒータ要素への配線は、ペデスタルの脚を通る。
【0033】
基板処理システムは、システムコントローラによって制御される。例示的な実施形態において、システムコントローラは、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ及びプロセッサを含む。プロセッサは、シングルボードコンピュータ(SBC)、アナログ及びデジタル入力/出力ボード、インターフェースボード及びステッパモータコントローラボードを含む。CVDシステムの種々の部品は、ボード、カードケージ、及びコネクタの寸法及び型を定義するVersa Modular European(VME)規格に従う。VME規格はまた、バス構造を、16ビットデータバス及び24ビットアドレスバスを持つと定義する。
【0034】
システムコントローラは、エッチングチャンバの活動の全てを制御する。システムコントローラは、コンピュータ可読媒体の中に格納されるコンピュータプログラムである、システム制御ソフトウェアを実行する。好ましくは、媒体は、ハードディスクドライブであるが、媒体は、他の種類の記憶装置であってもよい。コンピュータプログラムは、特定のプロセスの、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF電力レベル、サセプタ位置、及び他のパラメータを指示する命令のセットを含む。例えば、フロッピーディスク又は他の適当なドライバを含む、他の記憶装置上に格納された他のコンピュータプログラムもまた、システムコントローラに指示するために用いられうる。
【0035】
基板上の低密度の酸化ケイ素及び高密度の酸化ケイ素を差異的にエッチングするためのプロセス又はチャンバを洗浄するためのプロセスが、システムコントローラにより実行されるコンピュータプログラム製品を用いて実施されることができる。コンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortran又はその他、で書くことができる。適当なプログラムコードが、通常のテキストエディタを用いて、単一のファイル又は複数のファイルの中に入れられ、コンピュータのメモリシステムなどの、コンピュータ使用可能媒体の中に格納又は取り入れられる。入れられたコードテキストが、高級言語である場合、コードはコンパイルされ、結果として生じるコンパイラコードが、その後、プリコンパイルされたMicrosoft Windows(登録商標)ライブラリルーチンのオブジェクトコードとリンクされる。リンクされ、コンパイルされたオブジェクトコードを実行するために、システムのユーザは、オブジェクトコードを呼び出し、コンピュータシステムに対し、コードをメモリの中にロードするようにさせる。CPUは、それから、コードを読み、実行し、プログラムの中に同定されたタスクを行なう。
【0036】
ユーザとコントローラとの間のインターフェースは、フラットパネルタッチセンスモニタによる。好適な実施形態において、二つのモニタが用いられ、一つはオペレータのためにクリーンルームの壁の中に据え付けられ、もう一つはサービス技術者のために壁の後ろに据え付けられる。二つのモニタが、同じ情報を同時に表示してもよく、その場合、一度に一つだけが、入力を受け取る。特定のスクリーン又は機能を選択するために、オペレータは、タッチセンスモニタの指定された領域をタッチする。タッチされた領域は、ハイライト表示された色を変化させ、又は新しいメニュー若しくはスクリーンが表示され、オペレータとタッチセンスモニタの間の伝達を確認する。キーボード、マウス、又は他のポインティング若しくは通信装置などの他の装置が、ユーザがシステムコントローラと通信することを可能にするために、タッチセンスモニタの代わりに又はそれに加えて使用されうる。
【0037】
チャンバプラズマ領域又はRPSの中の領域は、遠隔プラズマ領域と呼ばれうる。実施形態において、ラジカル前駆体(例えば、ラジカルフッ素前駆体)が、遠隔プラズマ領域の中で作られ、基板処理領域の中に進み、水蒸気と結合する。実施形態において、水蒸気は、ラジカルフッ素前駆体(別名、プラズマ流出物)によってのみ励起される。ラジカルフッ素前駆体が水蒸気に主要な励起を与えることを保証するため、実施形態において、プラズマ出力は、チャンバプラズマ領域に対してのみ、本質的に印加されうる。
【0038】
チャンバプラズマ領域を用いる実施形態において、励起されたプラズマ流出物は、基板処理領域の、堆積領域から仕切られたセクションの中で生成される。本明細書中で基板処理領域としても知られる堆積領域は、パターン形成された基板(例えば、半導体ウェハ)をエッチングするために、プラズマ流出物が、水蒸気と混合し反応するところである。励起されたプラズマ流出物はまた、不活性ガス(例示的な場合において、アルゴン)により、伴われうる。実施形態において、水蒸気は、基板プラズマ領域に入る前に、プラズマを通過しない。基板処理領域は、パターン形成された基板のエッチング作業の間、「プラズマフリー」であると、本明細書中で記述されうる。「プラズマフリー」は、その領域にプラズマがないということを、必ずしも意味しない。プラズマ領域の中で作られるイオン化種及び自由電子は、パーティション(シャワーヘッド)の中の孔(開孔)を通って進むが、水蒸気は、プラズマ領域に印加されるプラズマ出力により、実質的に励起されない。チャンバプラズマ領域の中のプラズマの境界は、画定することが難しく、シャワーヘッドの中の開孔を通って基板処理領域に侵入しうる。誘導性結合プラズマの場合、直接に基板処理領域の中で、少量のイオン化が行われうる。更に、低強度のプラズマが、形成している膜の望ましい特徴を除去することなく、基板処理領域の中で作られうる。励起されたプラズマ流出物の生成の間、チャンバプラズマ領域(又は、その点において、遠隔プラズマ領域)よりもはるかに低い強度のイオン密度を持つプラズマに対する全ての原因が、本明細書で用いられる「プラズマフリー」の範囲から逸脱しない。
【0039】
三フッ化窒素(又は他のフッ素含有前駆体)が、異なる実施形態において、約25sccmから約200sccmの間、約50sccmから約150sccmの間、又は約75sccmから約125sccmの間の速度で、チャンバプラズマ領域1020の中に流されうる。水蒸気が、異なる実施形態において、約25sccmから約200sccmの間、約50sccmから約150sccmの間、又は約75sccmから約125sccmの間の速度で、基板処理領域1070の中に流されうる。
【0040】
チャンバの中への水蒸気及びフッ素含有前駆体の合計流量が、体積で混合ガス全部の0.05%から約20%を占めうる。残りはキャリアガスである。実施形態において、フッ素含有前駆体が、遠隔プラズマ領域の中に流されるが、プラズマ流出物は、同じ体積測定の流量比を持つ。フッ素含有前駆体の場合、遠隔プラズマ領域の中の圧力を安定化させるために、パージ又はキャリアガスが、フッ素含有ガスの前に、遠隔プラズマ領域の中へと最初に入れられうる。
【0041】
プラズマ出力は、種々の周波数又は複数の周波数の組合せでありうる。例示的な処理システムにおいて、プラズマは、シャワーヘッド1053に対してリッド1021に供給されるRF電力により供給される。RF電力は、異なる実施形態において、約10ワットから約2000ワットの間、約100ワットから約2000ワットの間、約200ワットから約1500ワットの間、又は約500ワットから約1000ワットの間でありうる。例示的な処理システムの中で印加されるRF周波数は、異なる実施形態において、約200kHzより低い低RF周波数、約10MHzから約15MHzの間の高RF周波数、又は1GHzより大きい若しくは約1GHzのマイクロ波周波数でありうる。プラズマ出力は、遠隔プラズマ領域の中へ容量性結合(CCP)又は誘導性結合(ICP)されうる。
【0042】
基板処理領域1070の中への水蒸気、任意のキャリアガス及びプラズマ流出物の流入の間、基板処理領域1070は、種々の圧力に維持されることができる。圧力は、異なる実施形態において、約500ミリトルから約30トルの間、約1トルから約20トルの間、又は約5トルから約15トルの間に維持されうる。
【0043】
一つ又は複数の実施形態において、基板処理チャンバ1001は、Santa Clara、Calif.に位置するApplied Materials,Inc.から入手可能な、Producer(商標)GT、Centura(商標)AP及びEndura(商標)プラットフォームを含む、種々のマルチ処理プラットフォームの中に統合されうる。そのような処理プラットフォームは、真空を破壊することなく、幾つかの処理作業を行なうことができる。本発明の実施形態を実行しうる処理チャンバは、誘電体エッチングチャンバ又は種々の化学気相堆積チャンバ、その他の種類のチャンバを含みうる。
【0044】
堆積システムの実施形態は、集積回路チップを生産するためのより大きな製造システムの中に組込まれうる。図3は、開示される実施形態による、堆積、焼成及び硬化チャンバの、一つのそのようなシステム1101を示す。図において、1対のFOUP(前方開口型統一ポッド)1102が、基板(例えば、300mm直径ウェハ)を供給し、基板は、ロボットアーム1104によって受け取られ、低圧ホールドエリア1106の中に置かれ、基板処理チャンバ1108a‐fのうちの一つの中へ置かれる。第二のロボットアーム1110が、ホールドエリア1106から基板処理チャンバ1108a‐fへ、及びその逆方向に、基板ウェハを輸送するために用いられうる。各基板処理チャンバ1108a‐fが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、ガス抜き、配向、及び他の基板処理に加えて、本明細書に記載されるドライエッチング処理を含む、幾つかの基板処理作業を行うように、装備されることができる。
【0045】
基板処理チャンバ1108a‐fは、基板ウェハ上で流動性のある誘電体膜を堆積し、アニールし、硬化し、及び/又はエッチングするための一つ又は複数のシステム構成要素を含みうる。一つの構成において、2対の処理チャンバ(例えば、1108c‐d及び1108e‐f)が、誘電体材料を基板上に堆積するために使用されてもよく、第三の対の処理チャンバ(例えば、1108a‐b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されてもよい。別の構成において、3対全てのチャンバ(例えば、1108a‐f)が、基板上の誘電体膜をエッチングするように構成されてもよい。記載されたプロセスのうちの任意の一つ又は複数が、異なる実施形態に示される製造システムから分離されたチャンバ(複数可)上で実行されうる。
【0046】
システムコントローラ1157が、モータ、バルブ、流量コントローラ、電源、及び本明細書に記載されるプロセスレシピを実行するために必要とされる他の機能を制御するために使用される。ガスハンドリングシステム1155もまた、基板処理チャンバ1108a‐fのうちの一つ又は全てにガスを導入するために、システムコントローラ1157により制御されうる。システムコントローラ1157は、ガスハンドリングシステム1155の中の及び/又は基板処理チャンバ1108a‐fの中の移動可能な機械的アセンブリの位置を決定し調整するために、光センサからのフィードバックに依存しうる。機械的アセンブリは、システムコントローラ1157の制御の下でモータにより移動されるロボット、スロットルバルブ及びサセプタを含みうる。
【0047】
例示的な実施形態において、システムコントローラ1157は、ハードディスクドライブ(メモリ)、USBポート、フロッピーディスクドライブ及びプロセッサを含む。システムコントローラ1157は、アナログ及びデジタル入力/出力ボード、インターフェースボード及びステッパモータコントローラボードを含む。処理チャンバ400を含むマルチチャンバ処理システム1101の様々な部分が、システムコントローラ1157により制御される。システムコントローラは、ハードディスク、フロッピーディスク又はフラッシュメモリサムドライブなどのコンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータプログラムの形のシステム制御ソフトウェアを実行する。他の種類の記憶装置も使用されることができる。コンピュータプログラムは、特定のプロセスの、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF電力レベル、サセプタ位置、及び他のパラメータを指示する命令のセットを含む。
【0048】
基板上で膜をエッチングする、堆積させる若しくは他の方法で処理するためのプロセス、又はチャンバを洗浄するためのプロセスが、コントローラにより実行されるコンピュータプログラム製品を用いて実行されることができる。コンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えば、68000アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortran、又はその他で書くことができる。適当なプログラムコードが、通常のテキストエディタを用いて、単一のファイル又は複数のファイルの中に入れられ、コンピュータのメモリシステムなどの、コンピュータ使用可能媒体の中に格納又は取り入れられる。入れられたコードテキストが、高級言語である場合、コードはコンパイルされ、結果として生じるコンパイラコードが、その後、プリコンパイルされたMicrosoft Windows(登録商標)ライブラリルーチンのオブジェクトコードとリンクされる。リンクされ、コンパイルされたオブジェクトコードを実行するために、システムのユーザは、オブジェクトコードを呼び出し、コンピュータシステムが、コードをメモリの中にロードするようにさせる。CPUは、それから、コードを読み、実行し、プログラムの中に同定されたタスクを実行する。
【0049】
ユーザとコントローラの間のインターフェースは、タッチセンスモニタによってもよく、またマウス及びキーボードを含んでもよい。一つの実施形態において、二つのモニタが用いられ、一つはオペレータのためにクリーンルームの壁の中に据え付けられ、もう一つはサービス技術者のために壁の後ろに据え付けられる。二つのモニタが、同じ情報を同時に表示してもよく、その場合、一度に一つだけが、入力を受け取るように構成される。特定のスクリーン又は機能を選択するために、オペレータは、表示スクリーン上の指定された領域を、指又はマウスでタッチする。タッチされた領域は、ハイライト表示された色を変化させ、又は新しいメニュー若しくはスクリーンが表示され、オペレータの選択を確認する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「基板」は、その上に形成される層を有する又は有しない支持基板でありうる。パターン形成された基板は、種々のドーピング濃度及びプロファイルの絶縁体又は半導体であってよく、例えば、集積回路の製造で使用される種類の半導体基板であってよい。パターン形成された基板の露出された「酸化ケイ素」は、主にSiO2であるが、窒素、水素、炭素などの他の元素成分の濃度を含んでよい。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法を用いてエッチングされる酸化ケイ素膜は、本質的にケイ素及び酸素からなる。「前駆体」という用語は、材料を表面から除去する又は材料を表面上に堆積させるための反応に関与する任意のプロセスガスを指すために用いられる。「プラズマ流出物」は、チャンバプラズマ領域から出て、基板処理領域に入るガスを記述する。プラズマ流出物は、ガス分子の少なくとも一部が、振動励起状態、解離状態及び/又はイオン化状態である「励起状態」にある。「ラジカル前駆体」は、材料を表面から除去する又は材料を表面上に堆積させるための反応に関与するプラズマ流出物(プラズマを出て行きつつある励起状態にあるガス)を記述するために用いられる。「ラジカルフッ素前駆体」は、フッ素を含有するが、他の元素成分を含有しうるラジカル前駆体である。「不活性ガス」という語句は、膜をエッチングするとき又は膜の中に組み入れられるときに、化学結合を形成しない任意のガスを指す。例示的な不活性ガスは、希ガスを含むが、(典型的には)痕跡量が膜の中に捕えられるときに、いかなる化学結合も形成されない限り、他のガスを含んでよい。
【0051】
「間隙」及び「トレンチ」という用語は、エッチングされる形状寸法が大きな水平アスペクト比を持つということを含意せずに、終始用いられる。表面上から見ると、トレンチは、円形、長円形、多角形、長方形、又は種々の他の形に見えうる。トレンチは、材料の島(例えば、実質的に円筒形のTiNの柱)の周囲の堀の形でありうる。「ビア」という用語は、垂直の電気的接続を形成するために、金属で充填されていてもよいし又はされていなくてもよい低アスペクト比トレンチ(上から見て)を指すために、用いられる。本明細書で使用されるとき、共形エッチングプロセスとは、表面上の材料の、該表面と同じ形状での概して均一な除去、すなわち、エッチングされた層の表面とエッチング前の表面とが概して平行であること、を指す。当業者は、エッチングされる境界が100%共形ということはありそうにないということを認めるであろうから、「概して」という用語は、受入可能な許容範囲を見込む。
【0052】
幾つかの実施形態を開示してきたが、様々な修正、代替的な構成、及び同等物が、開示される実施形態の精神から逸脱することなく、用いられうるということが、当業者により認められるであろう。加えて、本発明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、幾つかの既知のプロセス及び要素が、記載されなかった。従って、上記記載は、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。
【0053】
数値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限の間に入る各数値もまた、明らかに文脈が異なった要求をしていない限り、下限の単位の10分の1まで、明確に開示されるということが、理解される。述べられた範囲の中の任意の述べられた数値又は範囲の中に入っている数値と、その述べられた範囲の中の任意の他の述べられた数値又は範囲の中に入っている数値との間の、より小さい範囲の各々が、包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、範囲の中に、独立に、含まれてもよいし、又は除外されてもよく、上限下限のいずれか又は両方が、より小さい範囲に含まれる、又はいずれも含まれない、範囲の各々もまた、述べられた範囲の中の任意の明確に除外される上限又は下限を条件として、本発明の中に包含される。述べられた範囲が、上限及び下限の一つ又は両方を含む場合、それら含まれる上限及び下限のいずれか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0054】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」は、明らかに文脈が異なった要求をしていない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「一つのプロセス(a process)」への参照は、複数のそのようなプロセスを含み、「その誘電体材料(the dielectric material)」への参照は、一つ又は複数の誘電体材料及び当業者に既知のその同等物への参照を含む、等々である。
【0055】
また、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及び「含む(includes)」という言葉は、本明細書及び以下の特許請求の範囲において用いられる場合、述べられた特徴、整数、構成要素又はステップの存在を明示するように意図されるが、一つ又は複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為又はグループの存在又は追加を排除しない。
図1
図2A
図2B
図3