(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298253
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2362 20110101AFI20180312BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20180312BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20180312BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20180312BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20180312BHJP
H04H 60/07 20080101ALI20180312BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20180312BHJP
H04H 60/37 20080101ALI20180312BHJP
【FI】
H04N21/2362
H04N21/235
H04N21/434
H04N21/435
H04H20/28
H04H60/07
H04H40/18
H04H60/37
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-160352(P2013-160352)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-32944(P2015-32944A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月27日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 明記
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥次
(72)【発明者】
【氏名】木村 武史
(72)【発明者】
【氏名】蓑毛 研
(72)【発明者】
【氏名】市川 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 哲
【審査官】
後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−268027(JP,A)
【文献】
特開2002−281406(JP,A)
【文献】
特開2007−74228(JP,A)
【文献】
特開2004−112621(JP,A)
【文献】
特開2002−198922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04H 20/28
H04H 40/18
H04H 60/07
H04H 60/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送における伝送制御信号を1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームに対し多重伝送することで伝送制御を行うデジタルデータの送信装置であって、
受信側で受信可能な1以上の番組に対応したMPEG−2システムに基づくPSI/SI情報の全て又は一部からなる番組関連情報、及び当該受信可能な1以上の番組の映像データからなる合成映像信号の双方からなる番組選択情報を生成し、且つ前記番組選択情報の伝送に係る遅延時間調整を行うためのゲート信号として機能する番組選択情報制御信号を生成する番組選択情報制御信号生成手段と、
前記番組選択情報制御信号を基に遅延時間調整を行って、前記番組選択情報を前記伝送制御信号の拡張領域に格納する格納手段と、
当該伝送制御信号を送信する送信手段と、を備え、
前記格納手段は、前記番組選択情報を付加情報とし、前記番組選択情報制御信号を当該付加情報の制御のための付加情報制御信号として前記番組選択情報とともに前記伝送制御信号の拡張領域に格納する手段を有し、
前記付加情報制御信号は、
付加情報の種別を示す付加情報種別情報と、
付加情報の伝送に要するページ数情報及び伝送中のページ番号情報と、
1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームから任意の1以上のデータストリームを識別するためのストリーム識別情報と、
1伝送路内で伝送される1以上のサービスから任意の1以上のサービスを識別するためのサービス識別情報と、を含み、
前記ストリーム識別情報は、1伝送路内で伝送可能なストリームの最大数と同数ビットで構成され、各ビットと各ストリームが1対1に対応付けられていることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記番組選択情報が前記合成映像信号を含む際に、
前記格納手段は、前記合成映像信号を、MPEG−2 TSを復号した1以上の映像信号から生成する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記サービス識別情報は、
付加情報の提示対象とするサービスの数情報、
付加情報の提示対象とする全てのサービスのサービス識別、及び
該サービスが多重されているストリームの相対ストリーム番号、
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記付加情報制御信号は、
付加情報の提示対象とするサービスの指定方法を指定する対象サービス指定方式情報を含み、該対象サービス指定方式情報の値によって、
全てのサービスへの提示、
任意の1以上のストリームに多重される全てのサービスへの提示、及び、
任意の1以上の相対ストリーム番号及びサービス識別で特定されるサービスへの提示、のいずれかの提示方法を指定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の送信装置により送信された信号を受信する受信装置であって、
当該1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームに多重される前記伝送制御信号を受信し、前記伝送制御信号の拡張領域から前記番組選択情報及び前記番組選択情報制御信号を分離し、且つ前記番組選択情報を付加情報とし、前記番組選択情報制御信号を当該付加情報の制御のための付加情報制御信号として、前記番組選択情報制御信号を基に遅延時間調整を行って前記番組選択情報を分離して抽出する抽出手段と、
前記番組選択情報制御信号を基に、当該分離した前記番組選択情報から前記番組関連情報及び前記合成映像信号を分離する分離手段と、を備え、
前記付加情報制御信号は、
付加情報の種別を示す付加情報種別情報と、
付加情報の伝送に要するページ数情報及び伝送中のページ番号情報と、
1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームから任意の1以上のデータストリームを識別するためのストリーム識別情報と、
1伝送路内で伝送される1以上のサービスから任意の1以上のサービスを識別するためのサービス識別情報と、を含み、
前記ストリーム識別情報は、1伝送路内で伝送可能なストリームの最大数と同数ビットで構成され、各ビットと各ストリームが1対1に対応付けられていることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
前記サービス識別情報は、
付加情報の提示対象とするサービスの数情報、
付加情報の提示対象とする全てのサービスのサービス識別、及び
該サービスが多重されているストリームの相対ストリーム番号、
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記付加情報制御信号は、
付加情報の提示対象とするサービスの指定方法を指定する対象サービス指定方式情報を含み、該対象サービス指定方式情報の値によって、
全てのサービスへの提示、
任意の1以上のストリームに多重される全てのサービスへの提示、及び、
任意の1以上の相対ストリーム番号及びサービス識別で特定されるサービスへの提示、のいずれかの提示方法を指定することを特徴とする、請求項5又は6に記載の受信装置。
【請求項8】
所望の番組を探索し受信可能とするよう前記番組選択情報を出力する出力手段を更に備えることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送及び地上放送並びに固定通信及び移動通信の技術分野に関するものであり、特に、デジタルデータの送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送では、映像や音声、テキスト、画像などの多種多様なデータを1つの多重化されたストリームとして伝送を行うことで、柔軟なマルチメディアサービスを提供している。日本のBSデジタル放送や地上デジタル放送を始め、世界のほとんどのデジタル放送では、多重方式としてMPEG−2システムが採用されている。
【0003】
MPEG−2システムにおける多重化のブロック図を
図15に示す。MPEG−2システムにおいては、映像、音声、字幕は各符号化方式で符号化され、PESパケットに多重化される。一方、データ放送はマルチメディア符号化され、番組編成情報はテーブル化された後、セクション化され、PESパケットともにMPEG−2 TSパケット(以下、TSと呼ぶ)に多重化される。多重化されたTSは、衛星、地上などの各種伝送路に応じた伝送路符号化処理を行い、変調波信号を生成して各種伝送路に送出される。
【0004】
なお、
図15においては、映像、音声、字幕、データ放送及び番組編成情報が各1系統となっているが、これらを複数備えて1系統のTSに多重する場合もある。日本のBSデジタル放送のように、複数のTSを1チャネル(1衛星中継器)で伝送可能な伝送路符号化処理を行う放送方式も存在する。
【0005】
MPEG−2システムでは、複数の番組(プログラム)を多重化でき、各番組を受信装置において選択可能な手段として、PSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)による多重制御が行われている。TS内において、PSI/SIは周期的に伝送され、番組選局用の情報として用いられる。PSIは、PAT(Program Association Table),PMT(Program Map Table),CAT(Conditional Access Table)、NIT(Network Information Table)の4種類のテーブルから構成され、上記テーブルに記載されたPID(パケット識別)を参照することで、選局した番組に該当する映像・音声を含んだTSを抽出することが可能である。SIは、電子番組ガイドEPG(Electronic Program Guide)を形成するための情報(番組情報)や、現在放送中の番組や次に放送予定の番組に関する情報、現在時刻情報などが含まれる(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
MPEG−2システムにおける番組受信プロセスは、TSに含まれるPSI/SI、すなわち、NIT、SDT(Service Description Table)、EIT(Event Information Table)、PAT、PMTなど番組選局に関する情報が記載されたテーブルの取得し、目的の番組を構成するすべてのPIDを判別し、所望の番組受信が可能となる。また、EITの取得により、EPG表示に必要な情報を取得でき、またそこから番組を選択することが可能となる。
【0007】
MPEG−2システムにおいては、PSI/SIがTSに多重される都合上、TSを多重分離してEPGを構成する情報等を取得する必要がある。送信側でのテーブル生成や受信側でのテーブル取得及び解析に時間がかかるため、受信装置において、現在受信可能な全ての番組の概要を短時間で把握することが困難であった。
【0008】
2011年に放送終了したアナログ放送においては、チャンネルを切り替えて、番組を1つずつ確認することも容易に可能であった。また、全チャンネルを一覧表示したマルチチャンネル表示機能の搭載はアナログデコーダーの高速切り替え等により容易に実現可能であったため、マルチチャンネル表示させたコンテンツの中から、好みのコンテンツを探し出すことも容易に可能であった。一方、MPEG−2システムによるデジタル放送の場合、チャンネルを切り替えるたびに映像が表示されるまで、1秒程度の待ち時間が発生する。そのため、現在のBS放送のような多チャンネルの放送が行われている場合には、ザッピングによる番組探索にはかなりの時間を要する。また、マルチチャンネル表示機能は、全チャンネルを順次受信し,復号した映像を1画面上に配列することで可能ではあるが、アナログ放送と比較してかなり長い時間が必要となる。さらに、PSI/SI情報に基づき動作するEPG(電子番組ガイド)を用いる場合には、EPG画面の合成にも時間を要するため、やはり好みのコンテンツを探し出すには、かなりの時間を要する。
【0009】
上述のように、現在のデジタル放送は、主にMPEG−2システムに基づく多重化方式を採用しており、好みの番組を探し出すために、長い時間を要するという欠点が存在する。また、こうした特徴は、多重化方式に別方式採用したとしても、PSI/SIに相当する情報を、周期的に伝送するという構成をとる限りは解消されないと考えられる。
【0010】
次に、MPEG−2システムなどにより多重化した信号を伝送するための伝送路符号化方式の一例として、高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(以下、高度衛星放送伝送方式と呼ぶ)について説明する(例えば、非特許文献2参照)。高度衛星放送伝送方式による送信装置100及び受信装置200からなる伝送システムのブロック図を
図16に示す。なお、同方式は、TS以外に、IPパケット伝送などに適するTLVパケットも伝送可能であるが、ここでの説明では割愛する。
【0011】
図16を参照するに、送信装置100は、フレーム生成部110と、伝送制御情報フレーム生成部120と、BCH符号化部130−1,130−2と、LDPC符号化部140−1,140−2と、マッピング部150−1,150−2と、信号点系列多重部160と、直交変調部170と、を備える。
【0012】
送信装置100に入力されるTS
1〜TS
n(n:1以上の整数)は、フレーム生成部110で多重フレーム上に多重される。本方式の伝送路符号化における多重フレームは、1フレーム120スロットで構成され、最大16のTSを、スロットを単位として割り当てることができる。各スロットへのTSの割り当ては、外部から供給される伝送制御情報に基づいて行う。各TSには0〜15の相対ストリーム番号が割り当てられ、さらに各相対ストリーム番号には16ビットのストリーム識別が対応付けられる。
【0013】
伝送制御情報は、各スロットへの変調方式、LDPC符号化率の割り当てや、1以上の各TSの割り当てスロット数などの情報で構成されており、その内容は、2フレーム後の伝送制御に使用される。したがって、伝送制御情報の内容は、TSなどの主信号を伝送するフレーム構成を更新する2フレーム前に更新される。
【0014】
伝送制御情報フレーム生成部120に入力された伝送制御情報は、多重フレームと同じ周期で伝送制御情報のフレーム化を行うとともに、フレーム生成部110、BCH符号化部130−1、LDPC符号化部140−1、マッピング部150−1、及び、信号点系列多重部160に、ゲート信号などの各種制御信号を生成し供給する。
【0015】
フレーム生成部110でフレーム化されたデータは、BCH符号化部130−1でBCH符号のパリティが付加され出力される。
【0016】
BCH符号のパリティが付加された信号は、LDPC符号化部140−1で、伝送制御情報フレーム生成部120から供給される制御信号により指定された符号化率のLDPC符号のパリティが付加され出力される。
【0017】
LDPC符号のパリティが付加された信号は、マッピング部150−1で、伝送制御情報フレーム生成部120から供給される制御信号により指定された変調方式のマッピングが行われ、I−Q平面上の信号点の系列が出力される。
【0018】
一方、伝送制御情報フレーム生成部120でフレーム化されたデータは、BCH符号化部130−2でBCH符号のパリティが付加され出力される。
【0019】
BCH符号のパリティが付加された信号は、LDPC符号化部140−2で、伝送制御情報を格納する信号(以下、伝送制御信号と呼ぶ)用に規定された符号化率(1/3)のLDPC符号のパリティが付加され出力される。
【0020】
LDPC符号のパリティが付加された信号は、マッピング部150−1で、伝送制御信号用に規定された変調方式(π/2シフトBPSK)のマッピングが行われ、I−Q平面上の信号点の系列が出力される。
【0021】
マッピング部150−1,150−2から出力された信号点系列は、信号点系列多重部160で、伝送制御情報フレーム生成部120から供給される制御信号に基づいて、本方式で規定された順序で時分割多重され出力される。
【0022】
信号点系列多重部160で時分割多重された信号点系列は、直交変調部170で直交変調することにより変調波信号に変換され、伝送路に送出される。
【0023】
一方、受信装置200は、直交復調部210と、信号点系列分離部220と、LLR計算部230−1,230−2と、LDPC復号部240−1,240−2と、BCH復号部250−1,250−2と、伝送制御情報分離部260と、を備える。
【0024】
伝送路を介して入力された変調波信号は、直交復調部210で直交復調され、時分割多重された信号点系列に変換される。
【0025】
直交復調部210で時分割多重された信号点系列は、信号点系列分離部220で、TSに対応する信号点系列を分離して、LLR計算部230−1に出力するとともに、伝送制御信号に対応する信号点系列を分離して、LLR計算部230−2に出力する。
【0026】
信号点系列分離部220から出力された、伝送制御信号に対応する信号点系列は、LLR計算部230−2で、伝送制御信号用に規定された変調方式の信号点配置に基づき対数尤度比(LLR)系列を計算し出力する。
【0027】
LLR計算部230−2から出力されたLLR系列は、LDPC復号部240−2で伝送制御信号用に規定された符号化率でLDPC復号され出力される。
【0028】
LDPC復号部240−2から出力されたLDPC復号系列は、BCH復号部250−2でBCH復号され出力される。
【0029】
BCH復号部250−2から出力されたBCH復号系列は、伝送制御情報分離部260で伝送制御情報を抽出し、LLR計算部230−1、LDPC復号部240−1、フレーム分離部270に、ゲート信号などの各種制御信号を生成し供給するとともに、必要に応じて伝送制御情報を出力する。
【0030】
信号点系列分離部220から出力された、TSに対応する信号点系列は、LLR計算部230−1で、伝送制御情報分離部260から供給される制御信号により指定された変調方式の変調方式の信号点配置に基づき対数尤度比(LLR)系列を計算し出力する。
【0031】
LLR計算部230−1から出力されたLLR系列は、LDPC復号部240−1で、伝送制御情報分離部260から供給される制御信号により指定された符号化率でLDPC復号され出力される。
【0032】
LDPC復号部240−1から出力されたLDPC復号系列は、BCH復号部250−1でBCH復号され出力される。
【0033】
BCH復号部250−1から出力されたBCH復号系列は、フレーム分離部270で、伝送制御情報分離部260から供給される制御信号に基づき、所望の1以上のTSをそれぞれ出力する。
【0034】
次に、伝送制御信号に格納する情報の構成について、
図17を参照して説明する。
図17は、同方式における伝送制御信号で伝送される情報(伝送制御情報及び拡張情報)のビット割当てを示す。全9422ビットで1フレーム分の伝送制御信号を構成している。
【0035】
「変更指示」は、伝送制御情報の変更があった場合にインクリメントされるカウンタである。
【0036】
「伝送モード/スロット情報」は、伝送モード1〜8への変調方式、符号化率、割り当てスロット数、衛星バックオフ量を指定する情報で構成される。
【0037】
「ストリーム種別/相対ストリーム情報」は、相対ストリーム0〜15のストリーム種別(TS/TLV/その他)を指定する情報で構成される。
【0038】
「パケット形式/相対ストリーム情報」は、相対ストリーム0〜15それぞれのパケット長、同期パターンビット長、同期パターンを指定する情報で構成される。
【0039】
「ポインタ/スロット情報」は、各スロット内の先頭パケットの先頭位置と、末尾パケットの末尾位置を指定する情報で構成される。
【0040】
「相対ストリーム/スロット情報」は、各スロットの相対ストリーム番号を指定する情報で構成される。
【0041】
「相対ストリーム・伝送ストリームID対応表情報」は、相対ストリーム番号0〜15について、伝送ストリームIDを指定する情報で構成される。伝送ストリームIDは、ストリーム種別がTSの場合にMPEG−2システムのTS_IDとなる。
【0042】
「送受信制御情報」は、アップリンク制御などに利用される。
【0043】
最後尾の3614ビットは、「拡張情報」として定義される。拡張情報の先頭16ビットが「拡張識別」であり、後続する3598ビットが実際に使用可能な「拡張領域」である。通常、拡張識別はすべて “0”でスタッフィングされ、その場合、拡張領域はすべて“1”でスタッフィングされて伝送される。拡張領域を使用する場合、拡張識別はすべて“0”以外の値とする(例えば、非特許文献2参照)。
【0044】
「拡張領域」は将来の伝送制御信号に格納する情報の拡張にために使用すること以外は特に規定はなく、その利用方法については、今後の検討課題となっている。
【0045】
MPEG−2システムに基づき多重化されたTSは、上記に例示した高度衛星放送伝送方式などによって伝送される。その他の伝送路符号化方式として、衛星放送用のISDB−S、DVB−S,DVB−S2や地上放送用のISDB−T、DVB−T、DVB−T2などがあり、それぞれ誤り訂正符号やフレーム構成などに違いがあるが、受信装置側でTSが復元され、更に、PSI/SI情報が抽出され、番組選択を行う点では同様である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】“デジタル放送に使用する番組配列情報 標準規格 ARIB STD-B10 5.2版[online]、平成25年7月3日改定、ARIB、[平成25年7月31日検索]、インターネット〈URL: http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B10v5_2.pdf〉
【非特許文献2】“高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式 標準規格 ARIB STD-B44 1.0版、[online]、平成21年7月29日策定、ARIB、[平成25年7月31日検索]、インターネット〈URL:http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B44v1_0.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
以上説明したように、ほとんどのデジタル放送方式では、多重化方式としてMPEG−2システムを採用しており、PSI/SI情報から番組選択を行うため、現在受信可能な番組を把握し、さらに所望のコンテンツを見つけ出し受信するためには、アナログ放送に比べて長大な時間を要し、デジタル放送の欠点となっている。
【0048】
そこで、本発明の目的は、デジタル信号の受信装置において所望の番組を素早く探索し、選局可能とする手段を有する送信装置及びその受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明は、包括的には、各種伝送路で使用する伝送路符号化方式における伝送制御信号の拡張領域を用いて伝送する受信側が所望の番組を探索し選択するための番組情報及び選局情報を番組関連情報と称し、受信可能な1以上の番組に対応した番組関連情報、及び当該受信可能な1以上の番組の映像データからなる合成映像信号のうちいずれか一方又は双方からなる番組選択情報を伝送する手段を設けた伝送システムを構成する。
【0050】
即ち、本発明の送信装置は、
デジタル放送における伝送制御信号を
1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームに対し多重伝送することで伝送制御を行うデジタルデータの送信装置であって、
受信側で受信可能な1以上の番組に対応した
MPEG−2システムに基づくPSI/SI情報の全て又は一部からなる番組関連情報、及び当該受信可能な1以上の番組の映像データからなる合成映像信号
の双方からなる番組選択情報を
生成し、且つ前記番組選択情報の伝送に係る遅延時間調整を行うためのゲート信号として機能する番組選択情報制御信号を生成する番組選択情報制御信号生成手段と、前記番組選択情報制御信号を基に遅延時間調整を行って、前記番組選択情報を前記伝送制御信号の拡張領域に格納する格納手段と、当該伝送制御信号を送信する送信手段と、を備え
、前記格納手段は、前記番組選択情報を付加情報とし、前記番組選択情報制御信号を当該付加情報の制御のための付加情報制御信号として前記番組選択情報とともに前記伝送制御信号の拡張領域に格納する手段を有し、前記付加情報制御信号は、付加情報の種別を示す付加情報種別情報と、付加情報の伝送に要するページ数情報及び伝送中のページ番号情報と、1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームから任意の1以上のデータストリームを識別するためのストリーム識別情報と、1伝送路内で伝送される1以上のサービスから任意の1以上のサービスを識別するためのサービス識別情報と、を含み、前記ストリーム識別情報は、1伝送路内で伝送可能なストリームの最大数と同数ビットで構成され、各ビットと各ストリームが1対1に対応付けられていることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の送信装置において、前記番組選択情報が前記合成映像信号を含む際に、前記格納手段は、前記合成映像信号を、MPEG−2 TSを復号した1以上の映像信号から生成する手段を有することを特徴とする。
【0056】
また、本発明の送信装置において、前記サービス識別情報は、付加情報の提示対象とするサービスの数情報
、付加情報の提示対象とする全てのサービスのサービス識別
、及び該サービスが多重されているストリームの相対ストリーム番号
、を含むことを特徴とする。
【0057】
また、本発明の送信装置において、前記付加情報制御信号は、付加情報の提示対象とするサービスの指定方法を指定する対象サービス指定方式情報を含み、該対象サービス指定方式情報の値によって、全てのサービスへの提示、任意の1以上のストリームに多重される全てのサービスへの提示、及び任意の1以上の相対ストリーム番号及びサービス識別で特定されるサービスへの提示、のいずれかの提示方法を指定することを特徴とする。
【0060】
更に、本発明の受信装置
は、
本発明の送信装置により送信された信号を受信する受信装置であって、当該1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームに多重される前記伝送制御信号を受信し、前記伝送制御信号の拡張領域から前記番組選択情報及び前記番組選択情報制御信号を分離し、且つ前記番組選択情報を付加情報とし、前記番組選択情報制御信号を当該付加情報の制御のための付加情報制御信号として、前記番組選択情報制御信号を基に遅延時間調整を行って前記番組選択情報を分離して抽出する抽出手段と、前記番組選択情報制御信号を基に、当該分離した前記番組選択情報から前記番組関連情報及び前記合成映像信号を分離する分離手段と、を備え、前記付加情報制御信号は、付加情報の種別を示す付加情報種別情報と、付加情報の伝送に要するページ数情報及び伝送中のページ番号情報と、1伝送路内で伝送される1以上のデータストリームから任意の1以上のデータストリームを識別するためのストリーム識別情報と、1伝送路内で伝送される1以上のサービスから任意の1以上のサービスを識別するためのサービス識別情報
と、を含み、前記ストリーム識別情報は、1伝送路内で伝送可能なストリームの最大数と同数ビットで構成され、各ビットと各ストリームが1対1に対応付けられていることを特徴とする。
【0062】
また、本発明の受信装置において、前記サービス識別情報は、付加情報の提示対象とするサービスの数情報
、付加情報の提示対象とする全てのサービスのサービス識別
、及び該サービスが多重されているストリームの相対ストリーム番号
、を含むことを特徴とする。
【0063】
また、本発明の受信装置において、前記付加情報制御信号は、付加情報の提示対象とするサービスの指定方法を指定する対象サービス指定方式情報を含み、該対象サービス指定方式情報の値によって、全てのサービスへの提示、任意の1以上のストリームに多重される全てのサービスへの提示、及び任意の1以上の相対ストリーム番号及びサービス識別で特定されるサービスへの提示、のいずれかの提示方法を指定することを特徴とする。
【0064】
また、本発明の受信装置において、
所望の番組を探索し受信可能とするよう前記番組選択情報を出力する出力手段
を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、伝送制御信号に拡張領域を有する伝送システムにおいて、所望の番組を素早く探索し受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明による実施例1の送信装置及び受信装置からなる伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明による実施例1の送信装置における番組選択情報生成部のブロック図である。
【
図3】本発明による実施例1の伝送システムにおいて、受信側の画面例として、送信側が送信する合成映像を2次元配列した映像データで構成した例を示す図である。
【
図4】本発明による実施例1の送信装置における伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部のブロック図である。
【
図5】本発明による実施例1の受信装置における伝送制御情報及び付加情報分離部のブロック図である。
【
図6】本発明による実施例1の受信装置における番組選択情報分離部のブロック図である。
【
図7】本発明による実施例2の送信装置における番組選択情報生成部のブロック図である。
【
図8】本発明による実施例2の送信装置における伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部のブロック図である。
【
図9】本発明による実施例2の送信装置及び受信装置からなる伝送システムにて、本発明に係る3つの対象サービス指定方式(伝送路内のすべてのストリーム(TS)を対象/特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる全てのサービスを対象/特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる、1以上のサービスを対象)に対応した、拡張領域のビット割当例を示す図である。
【
図10】本発明に係る「付加情報種別」の値と割り当ての関係の例を示す図である。
【
図11】本発明に係る「対象サービス指定方式」の値と割り当ての関係を示す図である。
【
図12】本発明に係る相対ストリーム選択フラグの割り当てビットを示す図である。
【
図13】本発明による実施例2の受信装置における伝送制御情報及び付加情報分離部のブロック図である。
【
図14】本発明による実施例2の受信装置における番組選択情報分離部のブロック図である。
【
図15】MPEG−2システムにおける多重化のブロック図を示す図である。
【
図16】従来からの高度衛星放送伝送方式による送信装置及び受信装置からなる伝送システムのブロック図を示す図である。
【
図17】高度衛星放送伝送方式における伝送制御信号で伝送されるTMCC情報のビット割当てを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、図面を参照して、本発明による各実施例の送信装置及び受信装置を説明する。尚、各図面において、同様な構成要素には同一の参照番号を付して説明する。
【0068】
また、各実施例の送信装置及び受信装置について、デジタルデータの伝送を行う複数のTSなどのストリームやサービスを1つのチャネルや衛星中継器によって伝送可能な伝送方式として、高度衛星放送伝送方式に本発明を適用した例について説明する。
【0069】
(実施例1)
〔送信装置〕
図1は、本発明による一実施例の送信装置及び受信装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照するに、本実施例の送信装置100aは、フレーム生成部110と、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aと、BCH符号化部130−1,130−2と、LDPC符号化部140−1,140−2と、マッピング部150−1,150−2と、信号点系列多重部160と、直交変調部170と、番組選択情報生成部180と、を備える。
【0070】
従来からの送信装置100と本実施例の送信装置100aとを比較すると、フレーム生成部110と、BCH符号化部130−1,130−2と、LDPC符号化部140−1,140−2と、マッピング部150−1,150−2と、信号点系列多重部160と、直交変調部170と、を備える点で同一であるが、伝送制御情報フレーム生成部120の代わりに、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aと、番組選択情報生成部180と、を備える点で相違する。
【0071】
フレーム生成部110、BCH符号化部130−1,130−2、LDPC符号化部140−1,140−2、マッピング部150−1,150−2、信号点系列多重部160、直交変調部170は、
図16に示した従来からの送信装置100のものと同様に機能することから、ここでは説明を省略し、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aと番組選択情報生成部180の機能について、以下に説明する。
【0072】
番組選択情報生成部180は、入力された1以上のTSに多重されている各サービスについて、番組選択情報を生成する。番組選択情報は、各TSのPSI/SI情報から抽出した番組選択に必要な情報、及び/または、各TSを復号した映像画素数を1倍以下に削減し、画素数を削減した1以上の映像データを1つに合成した映像信号(以下、合成映像信号と呼ぶ)で構成される番組選択情報を生成し、出力する。
【0073】
番組選択情報生成部180の詳細ブロック図を
図2に示す。番組選択情報生成部180は、送信装置100aが送信対象とする、TS
1〜TS
n、及び送信装置100aが送信対象としない、すなわち、別の衛星中継器で伝送される、TS
n+1〜TS
mが入力される。なお、nは1以上の整数、mはn以上の整数である。m=nの場合には図中のTS
n+1は存在しない。
【0074】
映像信号復号部181は、これらのTSに多重化されている番組映像信号をそれぞれ復号し出力する。このときの復号は、動画像として復号しても良いし、Iピクチャだけを復号しても良い。
【0075】
映像信号縮小部182は、映像信号復号部181から出力されたこれらの映像信号をそれぞれ等間隔に画素を間引くなどの方法により、1倍以下の縮小映像信号を生成し出力する。このときの縮小映像信号は、動画像でも、動画像のフレームを間引いた、あるいはIピクチャのみを利用したコマ送り映像でも良いし、静止画像でも良い。
【0076】
映像信号合成部183は、映像信号縮小部182から出力された縮小映像信号の1以上を一画面上に合成した合成映像信号を生成し出力する。
【0077】
この送信側が送信する合成映像信号は、受信側の画面例として、例えば、
図3に示すように、2次元配列した映像データで構成しても良い。
【0078】
映像信号符号化部184は、映像信号合成部183から出力された合成映像信号を圧縮符号化した符号化合成映像信号を生成し出力する。なお、この映像信号符号化部184は、伝送容量を有効に使うために映像信号を圧縮符号化するものであるが、伝送容量に余裕がある場合には省略することも可能である。
【0079】
PSI/SIフィルタ部185は、TS
1〜TS
n、およびTS
n+1〜TS
mのPSI/SI情報から受信装置で番組選択を迅速に行うことを可能とするための情報を抽出する機能を有する。具体的には、映像信号復号部181において復号した各番組映像に対応するPSI/SI情報の全てまたは一部で構成される番組関連情報を出力する。この番組関連情報は、PSI/SIの全てのテーブルをARIB STD−B10準拠のテーブルのまま、順次配列したものでもよい。また、最低限必要な情報、例えば、受信周波数、TS識別、映像符号化方式、映像信号のPID、音声信号のPID、EMMのPID、チャンネル名、番組名、番組概要など絞り込んだ情報を番組ごとに抽出して配列したものとしても良い。
【0080】
多重化部186は、映像信号符号化部184から出力された符号化合成映像信号、およびPSI/SIフィルタ部185から出力された番組関連情報を多重化して、番組選択情報として出力する。多重化の方法としては、ユニークワードを先頭に配し、符号化合成映像信号及び番組関連情報を時間軸多重するなどの方法が利用可能である。
【0081】
番組制御情報は、受信可能な番組数の変動などの要因で可変長となる。従って、固定長の伝送制御信号の拡張領域に番組制御情報を多重するために、制御信号が必要となる。
【0082】
そこで、番組選択情報制御信号生成部187は、固定長の伝送制御信号の拡張領域に番組制御情報を多重するための番組選択情報制御信号を生成し出力する。この番組選択情報制御信号は、伝送制御情報のレジスタに番組選択情報を書き込む際に、遅延時間調整を行うためのゲート信号として機能する。
【0083】
伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aは、伝送制御情報フレーム生成部120が有する機能に加え、番組選択情報生成部180から入力された番組選択情報を、付加情報として伝送制御信号の拡張領域に多重して伝送する機能を有する。
【0084】
伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aの詳細ブロック図を
図4に示す。伝送制御情報は、シフトレジスタ123aの伝送制御情報領域に書き込まれると同時に、制御信号生成部122aに供給される。制御信号生成部122aは、伝送制御情報を基に、各部で必要な制御信号を生成し出力する。拡張識別には「全てゼロ」以外の値が書き込まれる。番組選択情報は、番組選択情報制御信号により制御される遅延時間調整部121aにより時間調整され、伝送制御情報用のシフトレジスタ123aの拡張領域に書き込まれる。シフトレジスタ123aに全ての値が書き込まれた後、出力される。
【0085】
尚、本実施例では、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120a及び番組選択情報生成部180の機能により、受信可能な1以上の番組に対応したPSI/SI情報の全て又は一部からなる番組関連情報、及び当該受信可能な1以上の番組の映像データからなる合成映像信号の双方からなる番組選択情報を伝送制御信号の拡張領域に格納し、当該伝送制御信号を送信する例を説明するが、番組毎に選択された番組関連情報及び合成映像信号のうちいずれか一方を伝送制御信号の拡張領域を利用して伝送するように構成することができる。
【0086】
〔受信装置〕
図1を参照するに、本実施例の受信装置200aは、直交復調部210と、信号点系列分離部220と、LLR計算部230−1,230−2と、LDPC復号部240−1,240−2と、BCH復号部250−1,250−2と、伝送制御情報及び番組選択情報分離部260aと、フレーム分離部270と、番組選択情報分離部280と、を備える。
【0087】
従来からの受信装置200と本実施例の受信装置200aとを比較すると、直交復調部210と、信号点系列分離部220と、LLR計算部230−1,230−2と、LDPC復号部240−1,240−2と、BCH復号部250−1,250−2と、フレーム分離部270と、を備える点で同一であるが、伝送制御情報分離部260の代わりに、伝送制御情報及び付加情報分離部260a、及び番組選択情報分離部280を備える点で相違する。
【0088】
直交復調部210、信号点系列220、LLR計算部230−1,230−2、LDPC復号部240−1,240−2、BCH復号部250−1,250−2、及びフレーム分離部270は、
図16に示した従来からの受信装置200のものと同様に機能するから、ここでは説明を省略し、伝送制御情報及び付加情報分離部260a及び番組選択情報分離部280の機能について、以下に説明する。
【0089】
伝送制御情報及び付加情報分離部260aの詳細ブロック図を
図5に示す。入力される信号は、BCH復号部250−2から入力されるBCH復号系列であり、シフトレジスタ261aに蓄積することで伝送制御情報(TMCC情報)が得られる。
【0090】
制御信号生成部262aは、伝送制御情報を基に、各部で必要な制御信号を生成し出力する。また、伝送制御情報は必要に応じて外部に出力される。また、番組選択情報は、拡張領域を使って間欠的に受信されることになるため、遅延時間調整部263aにおいて連続したデータに変換され、番組選択情報分離部280に出力される。同時に、番組選択情報が出力されている期間を示すための番組選択情報制御信号も番組選択情報分離部280に出力される。
【0091】
番組選択情報分離部280の詳細構成図を
図6に示す。番組選択情報分離部280は、多重分離部281及び映像信号複合部282で構成される。多重分離部281は番組選択情報制御信号に基づき番組選択情報を読み込み、番組関連情報と符号化合成映像信号とを分離し出力する。映像信号復号部282は、符号化合成映像信号を復号し、合成映像信号を出力する。なお、送信側で映像信号符号化部184を省略した場合には、映像信号復号部282も省略する。
【0092】
したがって、伝送制御情報及び付加情報分離部260a及び番組選択情報分離部280の機能により、伝送制御信号を受信するのみで、受信可能な1以上の番組に対応したPSI/SI情報の全て又は一部からなる番組関連情報、及び当該受信可能な1以上の番組の映像データからなる合成映像信号のうちいずれか一方又は双方からなる番組選択情報について、伝送制御信号の拡張領域から番組選択情報を抽出するように構成される。
【0093】
上述した、多重化部186による多重化の際、合成映像を
図3に示すように縮小映像の2次元配列で構成し、縮小映像の番組番号の順に、対応する番組関連情報を多重化することで、縮小映像と番組関連情報の対応付けが図れることから、受信側で合成映像中の縮小映像を選択することで、対応する番組関連情報を抽出することが可能となり、迅速に番組を選択し受信することが可能となる。
【0094】
以上の実施例1によれば、TMCC情報の拡張領域を利用し、受信可能な全ての縮小映像と対応する番組関連情報を送信することで、迅速な番組の選択と受信を可能とできる。しかしながら、例えば、特定の放送事業者が、自身に関係する番組のみについて、同様に合成映像と番組関連情報を使った番組選択をしようとした場合、実施例1では対応することができない。このような場合に対応した実施例を以下に説明する。
【0095】
(実施例2)
〔送信装置〕
実施例2の送信装置は、実施例1の構成を示す
図1の送信装置における伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120a及び番組選択情報生成部180を、それぞれ、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120b及び番組選択情報生成部180bに置換することで構成する。
【0096】
番組選択情報生成部180bの構成を、
図7に示す。番組選択情報生成部180bは、番組選択情報生成部180と比較し、番組選択情報制御信号生成部187の代わりに、番組選択情報制御信号生成部187bを備えている点で異なる。
【0097】
番組選択情報制御信号生成部187と番組選択情報制御信号生成部187bとの違いは、生成する番組選択情報制御信号に違いがある。すなわち、番組選択情報制御信号生成部187の番組選択情報制御信号は、単一の信号線で構成され、伝送制御情報のレジスタに番組選択情報を書き込む際に、遅延時間調整を行うためのゲート信号として機能した。一方、番組選択情報制御信号生成部187bの番組選択情報制御信号は、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別で構成され、伝送制御情報のレジスタに番組選択情報を書き込む際に、遅延時間調整を行うためのゲート信号を生成するための信号として機能する。
【0098】
次に、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120bの構成を、
図8に示す。伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120bは、伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部120aと比較し、遅延時間調整部121aの代わりに、遅延時間調整部121bを備えている点、及び番組選択情報制御信号が、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別で構成されている点で異なる。
【0099】
以下、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別の各信号について説明する。
【0100】
付加情報種別は、付加情報の種別(文字スーパー、グラフィック、音声など)を指定するためのビットパターンで構成される。
【0101】
ページ数は、付加情報を伝送するのに要するフレーム数を示す。
【0102】
ページ番号は、1以上のフレームにまたがって伝送する際の、何フレーム目の情報かを示す。
【0103】
対象サービス指定方式は、付加情報の対象サービスを指定する際に、
・伝送路内のすべてのストリーム(TS)を対象とする
・特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる全てのサービスを対象とする
・特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる、1以上のサービスを対象とする
といった、対象サービスの指定方法を示すビットパターンで構成される。
【0104】
相対ストリーム選択フラグは、特定の1以上のストリーム(TS)を付加情報の対象とする場合に、どのストリーム(TS)を対象にするかを示すビットパターンで構成される。
【0105】
対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別は、特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる、1以上のサービスを付加情報の対象とするかを定義する。すなわち、特定の相対ストリーム番号―サービス識別の組み合わせをi組指定する場合には、対象サービス数をiとし、i組の相対ストリーム番号―サービス識別を指定する。
【0106】
伝送制御情報については、
図17のTMCC情報のビット割当のうち、伝送モード/スロット情報から送受信制御情報までの領域に書きこまれる。拡張情報のうち、拡張識別については“0000000000000000”以外の、例えば、“0000000000000001”を設定することで、拡張領域が利用可能となる。拡張領域には付加情報及び付加情報制御信号が書き込まれ出力される。
【0107】
制御信号生成部121aでは、伝送制御情報をもとに、制御信号を生成し、制御対象となる機能ブロックに送出される。
【0108】
前述した、3つの対象サービス指定方式、
・伝送路内のすべてのストリーム(TS)を対象とする
・特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる全てのサービスを対象とする
・特定の1以上のストリーム(TS)に含まれる、1以上のサービスを対象とする
に対応した、拡張領域の形式をそれぞれ、形式1、2、及び3とした場合のビット割当例を、
図9に示す。
【0109】
ページ数、ページ番号、付加情報種別については、形式1〜3について共通の項目となっている。また、相対ストリーム選択フラグは形式2に、対象サービス数、相対ストリーム番号、及びサービス識別については形式3に固有の項目となっている。
【0110】
ページ数および及びページ番号に16ビットを割り当てているため、1〜65536のページ数の範囲で、全ページ数及び現在のページ番号を記述することができる。
【0111】
付加情報種別については、8ビットを割り当てているため、256種の付加情報の種別を定義できる。例えば、
図10のような割り当てを行えば、文字スーパー、グラフィック、音声情報、及び簡易番組表を選択して、付加情報として伝送可能となる。
【0112】
対象サービス指定方式については、8ビットを割り当てている。例えば、
図11のように割り当てれば、付加情報の対象サービスを、全ストリーム(TSなど)、任意のストリーム、及び任意のストリームの任意のサービス識別のサービスのいずれかから選んで指定することができる。
【0113】
形式2に固有な項目である相対ストリーム番号選択フラグには、16ビットが割り当てられている。例えば、各ビットを相対ストリーム番号に対応付けて、
図12のような割り当てを行えば、1となっているビットに対応する相対ストリーム番号のストリームを対象として、付加情報を提示可能となる。
【0114】
図9に示す形式3に固有な項目である対象サービス数、相対ストリーム番号及びサービス識別には、それぞれ8ビット、4ビット、及び16ビットが割り当てられている。この場合、対象サービス数を1〜256から任意に選べ、相対ストリーム番号とサービス識別の組み合わせを、対象サービス数回数繰り返し割り当てることで、1〜256の範囲の任意の数のサービスを対象に付加サービスを提示することが可能となる。
【0115】
付加情報種別で指定された付加情報は、付加情報ペイロード領域を使って伝送される。付加情報ペイロード領域の大きさは、形式1の場合3550ビット、形式2の場合3534ビット、形式3の場合(3542−20i)ビット又は3550ビットとなり異なるが、1ページに収まらない場合には、必要なページ数を「ページ数」に指定して分割することで対応可能となる。
【0116】
入力される付加情報は連続したデータであるが、間欠的に付加情報ペイロード領域を使って伝送するために、遅延時間調整部において、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、対象サービス数の情報に基づき、ペイロード領域に合致する大きさのバースト状データに変換され、シフトレジスタのペイロード領域に書き込まれる。
【0117】
シフトレジスタ123aに、全ての付加情報及び付加情報制御信号が書き込まれた後、シフトレジスタに書き込まれたデータは、BCH符号化部130−2に送出される。また、制御信号生成部122aにより、伝送制御情報を基に、フレーム生成部110、BCH符号化部130−1、LDPC符号化部140−1、マッピング部150−1、及び、信号点系列多重部160用の各種制御信号が生成される。
【0118】
〔受信装置〕
実施例2の受信装置は、実施例1の構成を示す
図1の受信装置の伝送制御情報及び付加情報分離部260a、及び番組選択情報分離部280を、それぞれ、伝送制御情報及び付加情報分離部260b、及び番組選択情報分離部280bに置換することで構成する。
【0119】
伝送制御情報及び付加情報分離部260bの構成を、
図13に示す。伝送制御情報及び付加情報分離部260bは、伝送制御情報及び付加情報分離部260aと比較し、遅延時間調整部263aの代わりに、遅延時間調整部263bを備えている点、及び番組選択情報制御信号が、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別で構成されている点で異なる。
【0120】
また、番組選択情報分離部280bの構成を、
図14に示す。番組選択情報分離部280bは、番組選択情報分離部280と比較し、多重分離部281の代わりに、多重分離部281bを備えている点、及び、番組選択情報制御信号が、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別で構成されている点で異なる。
【0121】
伝送制御情報及び付加情報分離部260aの番組選択情報制御信号は、バースト状に受信される拡張領域の情報を連続的な信号に変換して出力し、出力信号が有効であることを示すゲート信号として機能した。一方、伝送制御情報及び付加情報分離部260bの番組選択情報制御信号は、付加情報種別、ページ数、ページ番号、対象サービス指定方式、相対ストリーム選択フラグ、対象サービス数(i)、相対ストリーム番号、及びサービス識別で構成され、バースト状に受信される番組選択情報を連続的な信号に変換するため、遅延時間調整を行うためのゲート信号を生成するための信号として機能する。
【0122】
以上の実施例2によれば、付加情報、すなわち番組選択情報の提示対象をストリーム識別やサービス識別で指定可能となるため、例えば、特定の放送事業者が、他の衛星中継器や伝送路を含む伝送路で伝送されている自身の全番組について、合成映像と番組関連情報を使った電子番組表を構成し、その電子番組表を、自身に関係する番組が放送されている全ての伝送路の伝送制御信号の拡張領域を使って伝送すれば、自身に関係する番組が伝送されている全ての伝送路で、その放送事業者専用の番組表を受信可能となり、こうした場合においても、番組選択を迅速に行うことを可能とする手段が提供されることとなる。
【0123】
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、上述の実施例では、本発明を高度衛星放送伝送方式に適用した例を示したが、本発明は、伝送制御信号を備えた伝送方式であれば適用することができ、例えば日本のBSデジタル放送の放送方式であるISDB-S、地上デジタル放送の放送方式であるISDB-T、欧州の放送方式であるDVB-S2やDVB-T2にも適用可能である。ただし、伝送方式によって、伝送制御情報に確保可能な拡張領域の大きさが異なるため、適用するシステムごとに数値的な調整が必要である。
【0124】
従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明によれば、デジタルデータの送信装置及び受信装置において、従来技法であるMPEG−2システムにおける番組選局と比較して、受信可能な番組の概要把握及び所望の番組の選局を迅速に行うことが可能となり、視聴者の利便性向上を図る伝送システムの用途に有用である。
【符号の説明】
【0126】
100,100a 送信装置
110 フレーム生成部
120 伝送制御情報フレーム生成部
120a,120b 伝送制御情報及び付加情報フレーム生成部
121a,121b 遅延時間調整部
122a 制御信号生成部
123a シフトレジスタ
124a 番組情報抽出部
130−1,130−2 BCH符号化部
140−1,140−2 LDPC符号化部
150−1,150−2 変調マッピング部
160 信号店系列多重部
170 直交変調部
180,180b 番組選択情報生成部
181 映像信号復号部
182 映像信号縮小部
183 映像信号合成部
184 映像信号符号化部
185 PSI/SI情報フィルタ
186 多重化部
187,187b 番組選択情報制御信号生成部
200,200a 受信装置
210 直交復調部
220 信号店系列分離部
230−1,230−2 LLR計算部
240−1,240−2 LDPC復号部
250−1,250−2 BCH復号部
260 伝送制御情報分離部
260a,260b 伝送制御情報及び付加情報分離部
261a シフトレジスタ
262a 制御信号生成部
263a,263b 遅延時間調整部
264a 番組選択情報分離部
270 フレーム分離部
280 番組選択情報分離部
281 多重分離部
282 映像信号復号部