(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側シースの外周面のうち、前記一対の抗張力体が径方向内側に位置する部分にそれぞれ印部が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバケーブル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献2に記載の構成では、外側シースおよび補強シートと、内側シースと、を切除あるいは切開するために工具を2度使用する必要がある。さらに、リップコードを用いて補強シートや外側シースを引き裂く際には大きな力が必要となる。このため、より容易に口出し作業を行うことができる光ファイバケーブルが求められている。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、補強シートによって光ファイバを保護しつつ、容易に口出し作業を行える光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光ファイバケーブルは、複数本の光ファイバを集合したコアと、前記コアを内部に収容する内側シースと、前記内側シースに埋設された線条体と、前記コアを挟んで前記内側シースに埋設された一対の抗張力体と、前記内側シースおよび前記線条体を被覆する補強シートと、前記補強シートを被覆する外側シースと、を備え、前記内側シースのうち、前記線条体の径方向内側の部分の厚みが前記一対の抗張力体の径方向内側の部分の厚みより小さく、前記線条体の径方向外側の部分の厚みが前記一対の抗張力体の径方向外側の部分の厚みより小さいことを特徴とする。
【0007】
本発明の光ファイバケーブルによれば、内側シースのうち、線条体の径方向外側の部分の厚みが小さいため、外側シースおよび補強シートを切開すると、線条体を内側シースから容易に取り出すことができる。例えば、線条体の径方向外側の部分における内側シースの厚みを0.3mm以下とした場合には、爪などで容易にこの部分を破ることができる。そして、内側シースのうち線条体が埋設されていた部分の径方向内側の部分における厚みが小さいため、この部分を起点として内側シースを容易に引き裂いて光ファイバを取り出すことが可能となる。
また、コアが内側シース内に収容されているため、例えばコアが内側シース内に収容されていない場合と比較して、外側シースおよび補強シートを切開する際に不意に光ファイバを切断してしまうのを抑止することができる。
以上のように、本発明によれば切開のための工具の使用回数を低減することができるとともに、大きな力を要さず、容易に口出し作業を行うことができる。
【0008】
ここで、前記線条体は、前記コアを挟んで一対配設されていてもよい。
【0009】
この場合、光ファイバケーブルの横断面視において、線条体が配設されている位置がコアを挟んで対称となるため、例えば温度変化などよって光ファイバケーブル内に応力の偏りが生じるのを抑止し、光ファイバケーブルを捻じれにくくすることができる。
【0010】
また、前記外側シースの外周面のうち、前記一対の抗張力体が径方向内側に位置する部分にそれぞれ印部が配設されていてもよい。
【0011】
この場合、外側シースの外周面のうち抗張力体が径方向内側に位置する部分に印部が配設されているため、外側シースおよび補強シートを切開する際に、刃などの工具の周方向における位置を容易に抗張力体の位置に合わせることができる。これにより、外側シースおよび補強シートの切開時に工具が抗張力体に当接するため、抗張力体の径方向内側に配設されている光ファイバまで工具が到達し、光ファイバが誤って切断されるのを防止することができる。
【0012】
また、前記線条体の表面のうち一部分が、前記内側シースの外周面に形成された開口を通して該内側シースの外部に露出していてもよい。
【0013】
この場合、線条体が埋設された内側シースの外周面に開口が形成されており、この開口を通して線条体の表面の一部が内側シースの外部に露出しているため、内側シースから線条体が、さらに取り出しやすくなり、口出し作業をより容易にすることができる。
【0014】
また、前記線条体の一部分が、前記補強シートに固定されていてもよい。
【0015】
この場合、線条体が補強シートに固定されているため、外側シースおよび補強シートが切開されて径方向外側に押し広げられるのに伴い、線条体が内側シースから取り出される。これにより、線条体を内側シースから取り出す作業が不要となり、口出し作業をより効率化することができる。
【0016】
また、前記開口は、前記内側シースの外周面に長手方向に間隔をあけて複数形成され、前記線条体の表面は、複数の前記開口を通して前記内側シースの外部に露出していてもよい。
【0017】
この場合、開口が内側シースの外周面に長手方向に間隔をあけて複数形成されているため、例えば長手方向に沿って切れ目なく開口が形成されている場合と比較して、各開口の面積を小さくすることができる。これにより、外側シースおよび補強シートの除去作業において、内側シースが不意に破断してコアが露出し、光ファイバに外傷が生じるのを抑止することができる。
【0018】
また、前記線条体は、複数の素線が撚り合わされて形成されていてもよい。
【0019】
この場合、複数の素線を撚り合わせて線条体が形成されることで、線条体の長手方向の強度を保ちつつ、線条体全体の可撓性を向上させることができる。これにより、内側シースから線条体を取り出す工程をより容易にすることができる。
さらに、縦断面視において線条体の表面の径方向における位置が長手方向に沿って周期的に変化する。これにより、内側シースの外周面に長手方向に間隔をあけて複数の開口を形成し、これら複数の開口を通して線条体が内側シースの外部に露出する光ファイバケーブルを容易に構成することができる。
【0020】
また、前記内側シースのうち、前記線条体の径方向内側の部分の厚みが0.1〜0.3mmであってもよい。
【0021】
この場合、線条体の径方向内側の部分における内側シースの厚みが、例えば手作業で容易に破断できる程度である0.1〜0.3mmとなっているため、線条体を取り出した後に内側シースをより容易に破断して口出し作業を効率化することができる。
【0022】
また、前記内側シースのうち、前記線条体の径方向外側の部分の厚みが0.3mm以下であってもよい。
【0023】
この場合、線条体が埋設されている部分における内側シースの外周部の厚みが0.3mm以下であるため、例えば爪などでこの外周部を容易に破くことが可能となり、より容易に内側シースから線状体を取り出すことができる。
【0024】
また、前記内側シースのうち、前記線条体の径方向外側の部分の厚みが0.1〜0.3mmであり、前記線条体の径方向内側の部分の厚みが0mmであってもよい。
【0025】
この場合、内側シースのうち線条体の径方向外側の部分の厚みが0.1〜0.3mmであるため、内側シースの線条体が埋設されている部分を爪などで容易に破いて線条体を内側シースから取り出すことができ、かつ線条体の径方向内側の部分の厚みが0mmであるため、内側シースから線条体を取り出すと、自ずと内側シースが破断してコアを露出させることができる。
さらに、内側シースのうち、線条体の径方向内側の部分の厚みが0mmであるため、線条体をコアに接触させた状態で内側シースをコアに被覆することが可能となり、より製造が容易な光ファイバケーブルを提供することができる。
【0026】
また、本発明の光ファイバケーブルは、複数本の光ファイバを集合したコアと、前記コアを内部に収容する内側シースと、前記コアを挟んで前記内側シースに埋設された一対の抗張力体と、前記内側シースおよび前記線条体を被覆する補強シートと、前記補強シートを被覆する外側シースと、を備え、前記内側シースには、その外周面から径方向内側に向けて延びる溝部が形成されていることを特徴とする。
【0027】
この場合、内側シースを径方向に引っ張ると、引っ張りによる応力が内側シースの外周面に形成された溝部に集中する。これにより、溝部を起点として容易に内側シースを引き裂いて、光ファイバを取り出すことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、補強シートによって光ファイバを保護しつつ、容易に口出し作業を行える光ファイバケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光ファイバケーブルの構成を、
図1、
図2を参照しながら説明する。なお、
図1〜
図10に示す各実施形態では、各構成部材の形状を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
図1に示すように、光ファイバケーブル10は複数本の光ファイバ21を集合したコア2と、コア2を内部に収容する内側シース3と、内側シース3に埋設された一対の線条体4および一対の抗張力体7(テンションメンバ)と、内側シース3および一対の線条体4を被覆する補強シート5と、補強シート5を被覆する外側シース6と、を備える。
【0031】
ここで本実施形態では、内側シース3、補強シート5、および外側シース6は、共通の中心軸線Oを有する筒状に形成されている。
本実施形態では、中心軸線Oに沿う方向を長手方向という。また、長手方向から見た横断面視で、中心軸線Oに直交する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。
【0032】
コア2は、複数の光ファイバ21を各別に有する複数の光ファイバユニット23と、これらの光ファイバユニット23を包むラッピングチューブ24と、を備えている。図示の例では、各光ファイバユニット23は20本の光ファイバ21を有し、ラッピングチューブ24は10個の光ファイバユニット23を包んでいる。これにより、コア2には合計200本の光ファイバ21が含まれている。なお、コア2に含まれる光ファイバ21の数は適宜変更してもよい。
ラッピングチューブ24としては、例えば吸水テープを用いてもよい。本実施形態におけるコア2の断面形状は円形であるが、これに限られず、楕円形などの非円形であってもよい。なお、コア2はラッピングチューブ24を備えていなくてもよい。
【0033】
光ファイバユニット23は、間欠接着型テープ心線と呼ばれるものであり、例えば20本の光ファイバ21と、これらの光ファイバ21を束ねる結束材22とを備えている。光ファイバ21としては、光ファイバ心線や光ファイバ素線などを用いることができる。結束材22に束ねられた複数の光ファイバ21は、その延在方向に対して直交する方向に引っ張ると、網目状(蜘蛛の巣状)に広がるように互いに接着されている。詳しくは、ある一つの光ファイバ21が、その両隣の光ファイバ21に対して長手方向で異なる位置においてそれぞれ接着されており、かつ、隣接する光ファイバ21同士は、長手方向で一定の間隔をあけて互いに接着されている。
なお、コア2に含まれる光ファイバ21の態様は間欠接着型テープ心線に限られず、適宜変更してもよい。
【0034】
内側シース3の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンプロピレン共重合体(EP)などのポリオレフィン(PO)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)などを用いることができる。
【0035】
横断面視において、内側シース3の径方向における厚みは周方向で変化しており、線条体4が埋設されている部分における径方向の厚みが最も薄い構造となっている。本実施形態では、内側シース3のうち、線条体4の径方向内側の部分の厚み(以降、線条体内側厚みt
iという)が0.3mm以下となっている。なお、線条体内側厚みt
iは内側シース3の長手方向における全長にわたって0.3mm以下でなくてもよく、長手方向の一部分がこの数値の範囲となっていてもよい。また、線条体4は長手方向において部分的に線条体内側厚みt
iが0mmの状態、すなわちラッピングチューブ24と線条体4とが接触した状態で内側シース3に埋設されていてもよい。
【0036】
内側シース3のうち、線条体4の径方向外側の部分における厚み(以降、線条体外側厚みt
oという)は、0.3mm以下となっている。なお、線条体内側厚みt
iと線条体外側厚みt
oとは、内側シース3が不意に破断するのを防止するため、共に0mmにならないように設定する。
例えば、線条体外側厚みt
oを0.1〜0.3mmとし、かつ線条体内側厚みt
iを0mmとしてもよい。なお、この場合には光ファイバケーブル10の全長にわたって内側シース3の厚みが上記の範囲でなくてもよく、例えば長手方向の少なくとも一部分において、上記厚みとなる横断面を有していてもよい。
【0037】
線条体4としては、PPやナイロン製の円柱状ロッドなどを用いることができる。
一対の線条体4は、コア2を径方向で挟んで配設されている。また、一対の線条体4は、コア2から径方向に等間隔をあけて配設されている。これにより、線条体4はコア2に対して対称な位置に配設されている。なお、内側シース3に埋設される線条体4の数は、1または3以上であってもよい。3以上の線条体4を内側シース3に埋設する場合には、各線条体4をコア2から径方向に同等の間隔を空け、かつ周方向に等間隔をあけて配設することで、各線条体4をコア2に対して対称な位置に配設することができる。
【0038】
抗張力体7の材質としては、例えば金属線(鋼線など)、抗張力繊維(アラミド繊維など)、およびFRPなどを用いることができる。
一対の抗張力体7は、コア2を径方向で挟んで配設されている。また、一対の抗張力体7は、コア2から径方向に等間隔をあけて配設されている。これにより、横断面視において、抗張力体7が配設されている位置がコア2を挟んで対称となるため、例えば温度変化などによって光ファイバケーブル10内に応力の偏りが生じるのを抑止し、光ファイバケーブル10を捻じれにくくすることができる。
なお、内側シース3に埋設される抗張力体7の数は、1または3以上であってもよい。3以上の抗張力体7を内側シース3に埋設する場合には、各抗張力体7をコア2から径方向に等間隔を空け、かつ周方向に互いに等間隔をあけて配設することで、これらをコア2に対して対称な位置に配設することができる。例えば、抗張力体7の数が4本の場合は、これらのうち2本を一対として、二対の抗張力体7がそれぞれコア2を挟んで内側シース3に埋設されていてもよい。
なお、本実施形態では、周方向に隣接する抗張力体7と線条体4との周方向における間隔が互いに同等になるように、一対の抗張力体7および一対の線条体4が内側シース3に埋設されている。
図1に示すように、本実施形態では、内側シース3のうち、抗張力体7の径方向内側の部分の厚みを抗張力体内側厚みT
iといい、抗張力体7の径方向外側の部分の厚みを抗張力体外側厚みT
oという。
【0039】
補強シート5としては、例えば波付き鉄テープを用いることができる。なお、補強シート5の材質として、ステンレスなどの鉄合金、銅、銅合金などの金属の他、ガラス繊維、アラミド繊維などの不織布を用いてもよい。もしくは、ポリエチレン、ボリプロピレン、ポリエステル、PBT、Ny等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシなどの熱硬化性樹脂を用いてもよい。補強シート5の厚さは、例えば0.1〜0.3mmとしてもよい。補強シート5の厚さをこの範囲とすることによって、動物の食害などによって光ファイバ21が損傷を受けるのを防ぎ、かつ、光ファイバケーブル10全体の体積や重量を抑えることができる。
本実施形態の補強シート5は、内側シース3に対して縦添え巻きすることにより筒状に成形されている。なお、補強シート5は内側シース3に対して横巻きもしくは螺旋巻きされていてもよい。
【0040】
外側シース6の材質としては、PE、PP、EEA、EVA、EPなどのPO樹脂、あるいはPVCなどを用いることができる。
外側シース6の外周面には、長手方向に沿って延びる一対の突起(印部)6aが形成されている。各突起6aは、外側シース6の外周面のうち、一対の抗張力体7が径方向内側に位置する部分にそれぞれ配設されている。なお、突起6aは後述するように工具Kの位置を合せる際に使用するものであるため、他の形態を採用してもよい。例えば、外側シース6の外周面から径方向内側に向かって窪む凹部や、塗料によるマーキングなどであってもよい。
なお、外側シース6を形成する材料に、カプサイシンなどを含ませてもよい。この場合、例えばネズミなどの動物が外側シース6を噛むのを防止することができる。
【0041】
ここで、本実施形態では、内側シース3のうち、線条体内側厚みt
iが、抗張力体内側厚みT
iよりも小さくなっている。また、内側シース3のうち、線条体外側厚みt
oが、抗張力体外側厚みT
oよりも小さくなっている。
【0042】
次に、以上のように構成された光ファイバケーブル10の作用について説明する。
【0043】
光ファイバケーブル10の口出し作業を行う際にはまず、
図2(a)に示すように、刃などの工具Kの先端部を突起6aの位置に合わせて、外側シース6および補強シート5を切開する。このとき、工具Kの先端部は抗張力体7に当接し、それ以上の径方向内側への進入が防止される。工具Kによって、
図2(b)に示すように、外側シース6および補強シート5は2つに分割されて半筒状となる。この状態で外側シース6および補強シート5を径方向外側に向けて押し広げ、内側シース3の表面を目視もしくは手で触ることで、内側シース3のうち線条体4が埋設されている線条体外側厚みt
oの部分を確認することができる。この部分は、爪などで容易に破壊可能であり、破壊された部分から線条体4の表面を露出させることができる。線条体4を露出させた後、線条体4を変形させ、あるいは内側シース3を変形させて線条体4を径方向外側に引き出すことで、
図2(c)に示すように、内側シース3から線条体4を除去することができる。この状態で内側シース3に対して
図1における上下方向の引っ張り力を加えると、
図2(d)に示すように、線条体内側厚みt
iの部分を起点として内側シース3が容易に破断される。これにより、コア2がむき出しの状態となり、口出し作業が完了する。
なお、光ファイバ21はラッピングチューブ24により巻かれているが、ラッピングチューブ24は吸水テープなどであるため破断しやすく、容易に除去することができる。
【0044】
次に、本実施形態の光ファイバケーブル10および従来構造の光ファイバケーブルの外径、質量、および口出し作業時の所要時間について比較実験した結果を説明する。
【0045】
図11に示す従来構造1の光ファイバケーブル100は、いわゆるスロット型の光ファイバケーブルである。光ファイバケーブル100は、スロットロッド101と、複数の光ファイバを有する複数の光ファイバユニット102と、ラッピングチューブ103と、補強シート104と、外側シース105と、を備える。ラッピングチューブ103、補強シート104、および外側シース105は、
図1に示す第1実施形態の光ファイバケーブル10における各構成部材と同様である。
光ファイバケーブル100の口出し作業では、刃などの工具で外側シース105および補強シート104を切開した後、ラッピングチューブ103を除去してスロットロッド101の溝部に収容された光ファイバユニット102を取り出す。
【0046】
図12に示す従来構造2の光ファイバケーブル200は、いわゆる高密度型の光ファイバケーブルである。光ファイバケーブル200は、複数の光ファイバ201を備えた複数の光ファイバユニットと、ラッピングチューブ202と、内側シース203と、一対のリップコード204と、補強シート205と、外側シース206と、一対の抗張力体207と、を備える。ラッピングチューブ202、内側シース203、補強シート205、外側シース206、および抗張力体207は、
図1に示す第1実施形態の光ファイバケーブル10の各構成部材と同様である。
光ファイバケーブル200の口出し作業では、外側シース206および補強シート205を刃などの工具で切開した後、内側シース203を切開して一対のリップコード204を取り出す。そして一対のリップコード204を径方向外側に向けて引くことで、内側シース203、補強シート205、外側シース206を引き裂く。その後ラッピングチューブ202を除去して光ファイバ201を取り出す。
【0047】
光ファイバケーブル100(従来構造1)、光ファイバケーブル200(従来構造2)、および光ファイバケーブル10(第1実施形態)について、外径、質量、および口出し作業時間を相対比較した結果を表1に示す。なお、「口出し作業時間」とは、例えば長手方向に10cmの範囲で光ファイバをケーブル内部から取り出すまでの所要時間である。
【0049】
外径・質量を比較すると、従来構造1よりも従来構造2および第1実施形態の光ファイバケーブルの方が小さい。これは、従来構造1の光ファイバケーブル100がスロットロッド101を備えているのに対して、従来構造2および第1実施形態の光ファイバケーブルがこのようなスロットロッドを備えていないためである。なお、従来構造2と第1実施形態とでは構成部材がほぼ同じであるため、外径・質量において互いに同等となっている。
口出し作業時間を比較すると、従来構造1および第1実施形態が互いに同等であり、これらに対して従来構造2は5割以上長い。従来構造2では、外側シース206および補強シート205を切開し、さらに内側シース203を切開する。このように、工具を使用する工程が2度あるために作業時間が長くなっている。これに対して従来構造1および第1実施形態では、内側シースを工具により切開する工程が無いため、作業時間が相対的に短くなっている。
このように第1実施形態の光ファイバケーブル10では、従来構造1および従来構造2と比較して小型化、軽量化、および口出し作業時間の短縮を実現している。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態の光ファイバケーブル10によれば、内側シース3のうち線条体外側厚みt
oが小さいため、内側シース3を目視もしくは手で触ることで線条体4が埋設されている部分を容易に確認することができる。さらに、この部分は爪などで容易に破壊可能であり、破壊された部分から線条体4の表面を露出させることができる。したがって、外側シース6および補強シート5を切開すると、線条体4を内側シース3から容易に取り出すことができる。そして、内側シース3のうち線条体内側厚みt
iが小さいため、この部分を起点として内側シース3を容易に引き裂いて光ファイバ21を取り出すことが可能となる。
また、コア2が内側シース3内に収容されているため、例えばコア2が内側シース3内に収容されていない場合と比較して、外側シース6および補強シート5を切開する際に不意に光ファイバ21を切断してしまうのを抑止することができる。
以上のように、第1実施形態の光ファイバケーブル10によれば、切開のための工具の使用回数を低減することができるとともに、大きな力を要さず、容易に口出し作業を行うことができる。
【0051】
また、線条体4および抗張力体7が、コア2を挟んでそれぞれ一対配設されているため、光ファイバケーブル10の横断面視において、線条体4および抗張力体7が配設されている位置がコア2を挟んで対称となる。これにより、例えば温度変化などよって光ファイバケーブル10内に応力の偏りが生じるのを抑止し、光ファイバケーブル10を捻じれにくくすることができる。
【0052】
また、外側シース6の外周面のうち、一対の抗張力体7が径方向内側に位置する部分にそれぞれ突起6aが配設されているため、外側シース6および補強シート5を切開する際に、刃などの工具の周方向における位置を容易に抗張力体7の位置に合わせることができる。これにより、外側シース6および補強シート5の切開時に工具が抗張力体7に当接するため、抗張力体7の径方向内側に配設されている光ファイバ21まで工具が到達し、光ファイバ21が誤って切断されるのを防止することができる。
【0053】
また、内側シース3のうち、線条体外側厚みt
oが0.3mm以下であるため、爪などで容易にこの部分を破ることができる。
また、内側シース3のうち、線条体内側厚みt
iが0.3mm以下であるため、線条体4を内側シース3から取り出した後に、内側シース3を例えば手作業によって容易に破断することが可能となり、口出し作業を効率化することができる。
【0054】
また、線条体外側厚みt
oを0.1〜0.3mmとし、かつ線条体内側厚みt
iを0mmとした場合には、内側シース3の線条体4が埋設されている部分を爪などで容易に破いて線条体4を内側シース3から取り出すことができるとともに、内側シース3から線条体4を取り出すと、自ずと内側シース3が破断してラッピングチューブ24を露出させることができる。
さらに、線条体内側厚みt
iが0mmであるため、線条体4をラッピングチューブ24に接触させた状態で内側シース3をコア2に被覆することが可能となり、より製造が容易な光ファイバケーブル10を提供することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
第2実施形態の光ファイバケーブル20は、線条体4および内側シース3の形態が第1実施形態と異なる。
【0056】
第2実施形態における線条体4は、PPやポリエステルなどの繊維を撚り合わせた糸(ヤーン)により形成されている。
図3(a)(b)に示す例では、線条体4はヤーンである素線4aを、さらに複数本撚り合わせて形成されている。なお、
図3(a)は第2実施形態における光ファイバケーブル20の構成を示す説明図であり、部分的に各構成の図示を省略している。具体的には、
図3(a)における左右方向の中央部では外側シース6および補強シート5の図示を省略し、左右方向の右側部では外側シース6、補強シート5、および内側シース3の図示を省略している。
【0057】
図3(b)は、
図3(a)のX−X断面矢視図である。なお、
図3(b)では光ファイバユニット23の図示をハッチングにより省略している。
図3(b)に示すように、長手方向に沿う縦断面視において、線条体4の表面における径方向の位置は長手方向に沿って周期的に変化している。また、内側シース3はこの線条体4の表面に対して、線条体外側厚みt
oが略一定となるように被覆されている。これにより、内側シース3の表面には、長手方向に沿って凹凸が形成されている。
【0058】
図3(b)に示すように、第2実施形態の光ファイバケーブル20では、内側シース3の線条体内側厚みt
iが、長手方向に沿って周期的に変化している。第2実施形態では、線条体内側厚みt
iの最小値が、0.1〜0.3mmとなっている。
【0059】
光ファイバケーブル100(従来構造1)、光ファイバケーブル10(第1実施形態)、および光ファイバケーブル20(第2実施形態)について、外径、質量、および口出し作業時間を相対比較した結果を表2に示す。なお、本比較実験においては、光ファイバケーブル10の線条体4としてナイロン製のロッドを使用し、光ファイバケーブル20の線条体4としてPP製の繊維を撚り合わせたヤーンを使用した。その他の条件は表1に示す比較実験と同様である。
【0061】
表2に示すように、第1実施形態および第2実施形態を比較すると、外径・質量は互いに同等となっている。これは、第1実施形態と第2実施形態との差異が、線条体4および内側シース3の形態のみであることによる。一方、口出し作業時間については、第1実施形態に対して第2実施形態の方が2割以上削減されている。これは、内側シース3の表面に長手方向に沿った凹凸が形成されているため、目視あるいは手で触ることにより、内側シース3のうち線条体4が埋設されている部分をより容易に認識することができるためである。さらに、第2実施形態の線条体4として可撓性に富むヤーンが使用されていることにより、内側シース3から線条体4を取り出す工程がより容易になったためである。
【0062】
以上説明したように、第2実施形態の光ファイバケーブル20によれば、内側シース3の表面に長手方向に沿った凹凸が形成されているため、目視あるいは手で触ることにより、内側シース3のうち線条体4が埋設されている部分を容易に認識することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、内側シース3の線条体外側厚みt
oが一定であったが、このt
oの値が長手方向に沿って変化してもよい。
例えば、
図4(b)に示すように、内側シース3の外径を一定に保つことによって、内側シース3のうち線条体外側厚みt
oが、長手方向に沿って周期的に変化していてもよい。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
第3実施形態の光ファイバケーブル30は、線条体4が補強シート5に固定されている点が第1実施形態と異なる。
【0065】
図5に示すように、第3実施形態の線条体4は、固定部8および固定層9を介して補強シート5に固定されている。固定部8は、例えば接着剤により形成されている。固定層9は、補強シート5の内周面に、例えばPET製シートを接着剤で貼り付けることにより形成されている。固定層9は、補強シート5の内周面の全体にわたって形成されている。これにより、例えば補強シート5を接着剤により接着しにくい金属で形成した場合であっても、接着面積を確保して確実に固定層9と補強シート5とを固定することができる。そして、この固定層9と線条体4とを固定部8により接着固定することで、線条体4と補強シート5とを確実に接着固定することができる。
なお、固定部8および固定層9は内側シース3に対して固定されていない。
【0066】
光ファイバケーブル100(従来構造1)、光ファイバケーブル10(第1実施形態)、光ファイバケーブル20(第2実施形態)、および光ファイバケーブル30(第3実施形態)について、外径、質量、および口出し作業時間を相対比較した結果を表3に示す。なお、本比較実験においては、光ファイバケーブル30における補強シート5の内周面に固定層9としてPET製のシートを接着固定し、この固定層9と線条体4とをエポキシ樹脂系接着剤である固定部8により接着固定した。光ファイバケーブル30についての他の条件は、表1に示す第1実施形態と同様である。
【0068】
表3に示すように、第3実施形態の口出し作業時間は、第1実施形態に対して3割程度削減されている。第3実施形態の光ファイバケーブル30では、線条体4が固定部8および固定層9によって補強シート5に固定されているため、補強シート5を切開して径方向外側に押し広げるのに伴って線条体4が内側シース3から取り出される。さらに、固定層9としてのPET製シートが、補強シート5に接着固定され、かつ内側シース3に固定されていない状態で補強シート5と内側シース3との間に配設されているため、補強シート5を内側シース3から径方向外側に向けて剥離しやすくなっている。これにより、第3実施形態の光ファイバケーブル30では第1実施形態の光ファイバケーブル10よりも口出し作業時間が短縮されている。
【0069】
以上説明したように、第3実施形態の光ファイバケーブル30によれば、線条体4が補強シート5に固定されているため、外側シース6および補強シート5が切開されて径方向外側に押し広げられるのに伴い、線条体4が内側シース3から取り出される。これにより、線条体4を内側シース3から取り出す作業が不要となり、口出し作業をより効率化することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では固定部8として接着剤を用い、固定層9としてPET製シートを用いたが、本発明はこれに限られない。例えば補強シート5のうち周方向における一部分が径方向内側に向けてフック状に突出し、このフック状の突出部に対して線条体4を係止することで、線条体4と補強シート5とを固定してもよい。この場合、線条体4が固定された補強シート5をコア2に対して縦添え巻きして、コア2と補強シート5との間に溶融した樹脂などを注入して内側シース3を成形してもよい。
【0071】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0072】
図6に示すように、第4実施形態の光ファイバケーブル40は、中心軸線Oに対してコア2が偏心して配設され、内側シース3の径方向における厚みが周方向で不均一になっている点が第1実施形態と異なる。
図6に示すように、内側シース3における線条体4の径方向内側の部分のうち、厚みが小さい方の厚さをt
i1、厚みが大きい方の厚さをt
i2とする。
【0073】
図7は、第4実施形態の光ファイバケーブル40における口出し作業の工程を抜粋した説明図である。なお、
図7では、外側シース6および補強シート5を工具により切開する工程については
図2(a)、(b)と同様であるため省略している。
第4実施形態の光ファイバケーブル40では、
図7の上下方向に内側シース3を引っ張ることで、内側シース3のうち厚みがt
i1の部分が破断する。このとき、引っ張りによる応力が厚みt
i1の部分に集中しやすいため、より容易に内側シース3を引き裂くことができる。
【0074】
第4実施形態の光ファイバケーブル40について、t
i1およびt
i2の大きさを3段階で変化させて、口出し作業時間を第1実施形態の光ファイバケーブル10と比較した結果を表4に示す。
【0076】
表4に示す線条体内側シース比とは、t
i1に対するt
i2の比(t
i2/t
i1)を示す。表4に示す例では、t
i2/t
i1の値を1.5(第4実施形態1)、2.5(第4実施形態2)、3.0(第4実施形態3)にそれぞれ変化させた。t
i1の大きさは、0.3mm(第4実施形態1)、0.2mm(第4実施形態2、3)に変化させた。
表4から明らかなように、第4実施形態の光ファイバケーブル40は第1実施形態の光ファイバケーブル10よりも口出し作業時間が3割以上短縮されている。これは、以下の理由による。
第1実施形態の光ファイバケーブル10では、内側シース3のうち一対の線条体4の径方向内側の部分における厚みが均等であるため、内側シース3を径方向に引っ張った際の応力が分散して作用する。これに対して、第4実施形態の光ファイバケーブル40では、内側シース3のうちt
i2と比較して厚みが小さいt
i1の部分に引っ張りによる応力が集中しやすいため、より容易に内側シース3を破断することが可能となり、口出し作業時間が短縮される。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
第5実施形態の光ファイバケーブル50は、線条体4を配設せず、内側シース3の形態を変更した点が第1実施形態と異なる。
【0078】
図8に示すように、第5実施形態の光ファイバケーブル50における内側シース3には、線条体4が埋設されていない。また、内側シース3には、その外周面から径方向内側に向けて延びるV字状の溝部(ノッチ)3bが形成されている。溝部3bは、径方向内側に向かうに従い周方向の幅が漸次小さくなっている。図示の例では、一対の溝部3bがコア2を挟んで内側シース3の外周面に形成されている。
内側シース3のうち、溝部3bの底部に隣接する部分における径方向の厚みt
iは、0.1〜0.3mmとなっている。
【0079】
第5実施形態の光ファイバケーブル50によれば、内側シース3を
図8における上下方向に引っ張ると、引っ張りによる応力が溝部3bの底部に集中する。これにより、溝部3bを起点として容易に内側シース3を引き裂いて、光ファイバ21を取り出すことができる。
なお、溝部3bの形状はV字状に限らず、その底部に応力が集中する形状であれば他の形状でもよい。例えば、内側シース3の外周面から径方向内側に向けて窪み、横断面において2か所の隅部を有するコの字状の溝部3bであってもよい。あるいは、内側シース3の外周面に長手方向に延びる切り込みを設けて、その切り込みを溝部3bとしてもよい。
また、溝部3bは、内側シース3の外周面に1つあるいは3つ以上形成されていてもよい。
【0080】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
第6実施形態の光ファイバケーブル60は、内側シース3の外周面に開口3aが形成されており、この開口3aを通して、線条体4の表面の一部分が外部に露出している点が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態における内側シース3の線条体内側厚みt
oがゼロである場合、本実施形態と同等となる。なお、本実施形態における線条体内側厚みt
iは、内側シース3が不意に破断するのを防止するため、0mmにならないように設定する。
【0081】
図9に示す通り、本実施形態の内側シース3の外周面には、その長手方向の全長にわたって延びる一対の開口3aが形成されている。これら一対の開口3aを通して、一対の線条体4の表面の一部分がそれぞれ内側シース3の外部に露出されている。なお、「外部に露出」しているとは、線条体4が部分的に内側シース3の外周面より径方向外側の空間に存在している状態に限られず、線条体4全体が内側シース3の外周面より径方向内側に存在し、かつ開口3aを通して線条体4を内側シース3の外部から視認可能である状態も含む。
【0082】
本実施形態の光ファイバケーブル60によれば、線条体4が埋設された内側シース3の外周面に開口3aが形成されており、この開口3aを通して線条体4の表面の一部分が内側シース3の外部に露出しているため、外側シース6および補強シート5を切開すると、線条体4を内側シース3から容易に取り出すことができる。そして、内側シース3のうち線条体内側厚みt
iの部分が薄いため、この部分を起点として内側シース3を容易に引き裂いて光ファイバ21を取り出すことが可能となる。
本実施形態では、線条体4の直径のうち3/4程度が内側シース3の内部に位置しており、残りの1/4程度が内側シース3の外部に位置している。なお、線条体4のうち内側シース3の内部に位置する部分の割合は上記に限られず、適宜変更してもよい。
【0083】
なお、本発明の技術的範囲は前記第1〜第6実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0084】
例えば、前記実施形態では、抗張力体7を備えた光ファイバケーブルについて説明したが、抗張力体7を用いずに、例えば線条体4や補強シート5によって、光ファイバケーブルの張力に対する強度を確保してもよい。またこの場合には、外側シース6の外周面のうち、線条体4が径方向内側に位置する部分に突起6aを形成してもよい。これにより、工具によって外側シース6および補強シート5を切開する際、工具の先端が線条体4に当接するため、工具が線条体4よりも径方向内側に進入して光ファイバ21を切断してしまうのを防止することができる。
また、前記実施形態では線条体4および抗張力体7が、コア2に対して対称な位置に配設されていたが、これに限られず、これらの部材は横断面視においてコア2に対して非対称な位置に配設されていてもよい。
【0085】
また、前記実施形態では、内側シース3における線条体内側厚みt
iが0.3mm以下であると説明したが、これに限られず、手で容易に引き裂ける程度の厚みであれば他の厚みでもよい。例えば、第5実施形態では内側シース3にV字状の溝部3bが形成されており、他の実施形態よりも内側シース3を引っ張った際に応力が集中しやすいため、線条体内側厚みt
iを0.3mm以上としてもよい。
【0086】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0087】
例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、線条体4として繊維を撚り合わせたヤーンを使用し、この線条体4を固定部8および固定層9を介して補強シート5に固定してもよい。この場合、固定部8として接着剤を用いることにより、線条体4の繊維間に接着剤を浸透させて、より強固に線条体4と補強シート5とを接着させることができる。
また、第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせて、径方向内側に向けて尖った形状の線条体4を用いて、線条体4を取り除いた後の内側シース3に、径方向内側に向かうに従い周方向の幅が漸次小さくなる溝部3bが形成されるようにしてもよい。この場合、内側シース3の外周面に溝部3bを容易に形成することが可能となる。
【0088】
また、第2実施形態と第6実施形態とを組み合わせて、
図10に示す構成を採用してもよい。
図10(a)に示す例では、内側シース3の表面には開口3aが、その外周面に長手方向に等間隔をあけて複数形成されている。これにより、線条体4の表面が複数の開口3aを通して内側シース3の外部に露出している。
図10(b)に示すように、長手方向に沿う縦断面視において、内側シース3の外周面における径方向の位置は長手方向に沿って略均一である。これに対して、縦断面視において、線条体4の表面における径方向の位置は長手方向に沿って周期的に変化しており、かつ内側シース3の外周面よりも径方向外側の部分と径方向内側の部分とが長手方向で交互に並んでいる。
図5(a)(b)に示す例では、各開口3aの面積が小さく抑えられるため、例えば光ファイバケーブル20の製造時に内側シース3を液体に浸漬して冷却しても、この開口3aから液体が入り込みにくい。線条体4として繊維を撚り合わせたヤーンを使用した場合には特に、冷却液が毛細管現象によって線条体4内に浸み込むのを抑止しつつ、開口3aを通して線条体4を内側シース3から取り出しやすくできる点で優れている。
さらに、開口3aが内側シース3の外周面に長手方向に間隔をあけて複数形成されているため、例えば長手方向に沿って切れ目なく開口3aが形成されている場合と比較して、内側シース3が不意に破断しにくくなる。これにより、外側シース6および補強シート5の除去作業において、内側シース3が不意に破断してコア2が露出し、光ファイバ21に外傷が生じるのを抑止することができる。