【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態に係わる塗装システムは、
被塗装物に水溶性塗料を塗付する塗装ブース内の調整対象空気を循環させながら該調整対象空気の温湿度を調整する除湿再熱器と、
前記塗装ブースで塗装された被塗装物を加熱して乾燥させる調整対象空気を加熱ブース内で循環させながら前記調整対象空気を加熱するプレヒートと、
前記加熱ブースで加熱された被塗装物を冷却する調整対象空気を前記冷却ブース内で循環させながら前記調整対象空気を冷却するプレクールと、を備え、
前記除湿再熱器は、温水及び冷水を同時取出し可能な第1ヒートポンプによって生成された温水と冷水及び、温風及び冷水を同時取出し可能な第2ヒートポンプによって生成された冷水によって、前記塗装ブース内の調整対象空気の温湿度を調整するように構成され、
前記プレヒートは、前記第2ヒートポンプによって生成された温風の温熱によって、前記加熱ブース内の調整対象空気を加熱するように構成され、
前記プレクールは、前記第1ヒートポンプ及び前記第2ヒートポンプによって生成された冷水の冷熱によって、前記冷却ブース内の調整対象空気を冷却するように構成されている。
【0008】
上記塗装システムによれば、塗装ブース内の調整対象空気の温湿度調整は、温水及び冷水を同時取出し可能な第1ヒートポンプによって生成された温水と冷水及び、温風及び冷水を同時取出し可能な第2ヒートポンプによって生成された冷水によって行われる。即ち、本願の塗装システムは、温水及び冷水を第1ヒートポンプ及び第2ヒートポンプで生成している。ヒートポンプは少ないエネルギで冷水や温水等を生成可能であるので、塗装システム全体の投入エネルギを小さくすることができる。また、除湿再熱器は、被塗装物に水溶性塗料を塗付する塗装ブース内の調整対象空気を循環させながら温湿度調整を行うので、外気の温度変化と比較して調整対象空気の温度変化を小さくすることができる。このため、第1ヒートポンプや第2ヒートポンプの投入エネルギを少なくすることができる。よって、投入エネルギが小さい塗装システムを実現できる。
【0009】
また、調整対象空気を循環させることで、大きな冷熱が必要となる夏場や、大きな温熱が必要となる冬場でも、調整対象空気を再加熱し、また再冷却するときの投入エネルギを少なくすることができる。このため、年中を通して必要な温熱や冷熱の夫々のエネルギを平準化することができる。よって、年中を通したエネルギコストを低減可能な塗装システムを実現できる。
【0010】
また、幾つかの実施形態では、
前記除湿再熱器には、一定温度にした冷水を前記除湿再熱器に供給可能な冷水チラーが接続され、
前記冷水チラーは、前記第1ヒートポンプ及び前記第2ヒートポンプによる冷熱供給が不足するときに作動するように構成されている。
【0011】
この場合、冷水チラーは、第1ヒートポンプ及び第2ヒートポンプによる冷熱供給が不足するときに作動するので、塗装システムの作動時に設定した温度調節が行える。このため、塗装システムにおける投入エネルギの増大を抑制することができる。また、塗装システムの作動によって、冷熱供給が不足する虞を未然に防止することができる。
【0012】
また、幾つかの実施形態では、
前記プレヒートには、温熱を該プレヒートに供給可能なボイラーが接続され、
前記ボイラーは、前記第2ヒートポンプによる温風供給が不足するときに作動するように構成されている。
【0013】
この場合、プレヒートには、温熱を該プレヒートに供給可能なボイラーが接続され、ボイラーは、第2ヒートポンプによる温風供給が不足するときに作動するので、塗装システムの作動時に設定した温度調節が行える。このため、塗装システムでの投入エネルギの増大を抑制することができる。また、ボイラーの作動によって、温熱供給が不足する虞を未然に防止することができる。
【0014】
また、幾つかの実施形態では、
前記第2ヒートポンプは、冷媒をCO2とするヒートポンプであるように構成されている。
【0015】
この場合、第2ヒートポンプは、冷媒をCO2とするヒートポンプであるので、HFC冷媒などを採用するヒートポンプと比較して、高温域ではより高いCOPを得ることができる。従って、加熱される温風の温度をより高くすることができる。
【0016】
また、本発明の少なくとも一つの実施形態に係わる塗装システムの運転方法は、
被塗装物に水溶性塗料を塗付する塗装システムの運転方法であって、
塗装ブース内で前記被塗装物に水溶性塗料を塗付する塗装工程と、
前記塗装工程で水溶性塗料が塗付された被塗装物を加熱ブース内で加熱して乾燥させるプレヒート工程と、
前記プレヒート工程で加熱された被塗装物を冷却ブース内で冷却するプレクール工程と、を備え、
前記塗装工程では、温水及び冷水を同時取出可能な第1ヒートポンプ及び第2ヒートポンプによって生成された冷水と、前記第1ヒートポンプによって生成された温水によって、前記塗装ブース内を循環する調整対象空気の温湿度を調整し、
前記プレヒート工程では、前記第2ヒートポンプによって生成された温風空気を、前記加熱ブース内を循環する調整対象空気と混合させて加熱し、
前記プレクール工程では、前記第1ヒートポンプによって生成された冷水の冷熱によって、前記冷却ブース内を循環する調整対象空気を冷却するように構成される。
【0017】
上記塗装システムの運転方法によれば、塗装工程では、温水及び冷水を同時取出可能な第1ヒートポンプ及び第2ヒートポンプによって生成された冷水と、前記第1ヒートポンプによって生成された温水によって、前記塗装ブース内を循環する調整対象空気の温湿度が調整される。つまり、本願の塗装システムの運転方法は、冷水や温水を第1ヒートポンプ及び第2ヒートポンプで供給している。ヒートポンプは少ないエネルギで冷水や温水を供給可能であるので、塗装システム全体の投入エネルギを小さくすることができる。
【0018】
また、塗装工程では、塗装ブース内を循環する調整対象空気の温湿度を調整し、プレヒート工程では、加熱ブース内を循環する調整対象空気を加熱し、プレクール工程では、冷却ブース内を循環する調整対象空気を冷却する。このため、外気の温度変化と比較して調整対象空気の温度変化を小さくすることができる。このため、第1ヒートポンプや第2ヒートポンプの投入エネルギを少なくすることができ、投入エネルギが小さい塗装システムの運転方法を実現できる。
【0019】
また、塗装工程、プレヒート工程、プレクール工程では、対応するブース内で調整対象空気が循環しているので、大きな冷熱が必要となる夏場や、大きな温熱が必要となる冬場でも、調整対象空気を再加熱し、また再冷却するときの投入エネルギを少なくすることができる。このため、年中を通して必要な温熱や冷熱の夫々のエネルギを平準化することができる。よって、年中を通したエネルギコストを低減可能な塗装システムの運転方法を実現できる。
【0020】
また、幾つかの実施形態では、
前記塗装工程及び前記プレクール工程では、前記塗装ブース内を循環する調整対象空気への冷熱供給、及び前記冷却ブース内を循環する調整対象空気への冷熱供給の少なくともいずれかが不足する場合には、一定の冷却温度にした冷水を供給可能な冷水チラーを作動させて、冷熱供給が不足する調整対象空気に冷熱を供給するように構成されている。
【0021】
この場合、塗装工程及びプレクール工程では、塗装ブース内を循環する調整対象空気への冷熱供給、及び前記冷却ブース内を循環する調整対象空気への冷熱供給の少なくともいずれかが不足する場合、冷水チラーを作動させて、冷熱供給が不足する調整対象空気に冷熱を供給するので、塗装システムの運転時に、設定した温度調節が行える。このため、塗装システムの運転時において、冷熱供給が不足する虞を未然に防止することができ、また、塗装システムの運転時における投入エネルギの増大を抑制することができる。
【0022】
また、幾つかの実施形態では、
前記プレヒート工程では、前記加熱ブース内を循環する調整対象空気への温熱供給が不足する場合には、温熱を供給可能なボイラーを作動させて、温熱供給が不足する調整対象空気に温熱を供給するように構成されている。
【0023】
この場合、プレヒート工程では、加熱ブース内を循環する調整対象空気への温熱供給が不足する場合には、温熱を供給可能なボイラーを作動させて、温熱供給が不足する調整対象空気に温熱を供給するので、塗装システムの運転時にボイラーは設定した温度調整が行える。このため、塗装システムの運転時において、温熱供給が不足する虞を未然に防止することができ、また、投入エネルギの増大を抑制することができる。