(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の蒸着源と、前記複数の蒸着源に接続される少なくとも1つの共通配管と、前記少なくとも1つの共通配管に接続されるとともに、前記複数の各蒸着源からの蒸着粒子を放出する少なくとも1つの蒸着粒子放出源と、前記少なくとも1つの蒸着粒子放出源に接続される排気バルブと、前記排気バルブに接続される排気ポンプを備えた蒸着装置を用いて、基板上に蒸着粒子を付着させて被膜を形成する蒸着工程を行う蒸着方法であって、
前記蒸着工程では、第1及び第2の蒸着源にそれぞれ接続される第1及び第2のスイッチングバルブを交互に動作して、前記第1及び第2の蒸着源を交互に1つの共通配管に導通させることにより、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層と、ドーパント材料の蒸着粒子からなるドーパント材料層とを蒸着する、
ことを特徴とする蒸着方法。
前記蒸着工程では、前記ホスト材料層を形成するホスト材料層形成工程と、前記ドーパント材料層を形成するドーパント材料層形成工程と、アシスト材料の蒸着粒子からなるアシスト材料層を形成するアシスト材料層形成工程とが順次行われ、
前記ホスト材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源と第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と第2の排気用ポンプとを接続しており、
第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第2及び第3の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であって、
前記ドーパント材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続
しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第1及び第3の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であって、
前記アシスト材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第1及び第2の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程である請求項9に記載の蒸着方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような従来の蒸着装置100では、ホスト材料103hの蒸着粒子とドーパント材料103dとの蒸着粒子とが混合配管112内で混合されていた。このため、この従来の蒸着装置100では、配管108から混合配管112内に流入するホスト材料103hの蒸着粒子の圧力と配管109から混合配管112内に流入するドーパント材料103dの蒸着粒子の圧力との相互干渉等によって、形成した発光層(共蒸着膜)でのホスト材料103hとドーパント材料103dとの濃度比と、レートモニタ110及び111でそれぞれ観測されたホスト材料103hの蒸着粒子の濃度及びドーパント材料103dの蒸着粒子の濃度の比とが一致しないことがあった。このため、この従来の蒸着装置100では、ホスト材料103hとドーパント材料103dとの共蒸着を行った場合に、これらのホスト材料103hとドーパント材料103dとの濃度比を所望の値とすることができずに、これらの共蒸着膜を精度よく形成することができないという問題点を生じることがあった。
【0014】
上記の課題を鑑み、本発明は、二種類以上の材料を共蒸着する場合でも、共蒸着膜を精度よく形成することができる蒸着装置、蒸着方法、及びそれを用いた有機EL素子
の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる蒸着装置は、複数の蒸着源と、
前記複数の蒸着源に接続される少なくとも1つの共通配管と、
前記少なくとも1つの共通配管に接続されるとともに、前記複数の各蒸着源からの蒸着粒子を放出する少なくとも1つの蒸着粒子放出源と、
前記少なくとも1つの蒸着粒子放出源に接続される排気バルブと、
前記排気バルブに接続される排気ポンプとを具備していることを特徴とするものである。
【0016】
上記のように構成された蒸着装置では、複数の蒸着源が少なくとも1つの共通配管に接続されるとともに、複数の各蒸着源からの蒸着粒子は少なくとも1つの共通配管に接続された少なくとも1つの蒸着粒子放出源から放出される。また、少なくとも1つの蒸着粒子放出源には、排気バルブ及び排気ポンプが接続されている。これにより、排気ポンプにより、少なくとも1つの共通配管の内部及び少なくとも1つの蒸着粒子放出源の内部に残留している不要な蒸着粒子を排気しつつ、少なくとも1つの蒸着粒子放出源から、複数の各蒸着源からの蒸着粒子を互いに独立して放出することができる。従って、複数の各蒸着源からの蒸着粒子を、安定した蒸着レートで放出することができ、複数の各蒸着源からの蒸着粒子の濃度比を所望の値とすることができる。この結果、上記従来例と異なり、二種類以上の材料を共蒸着する場合でも、共蒸着膜を精度よく形成することができる。
【0017】
また、上記蒸着装置において、前記複数の蒸着源には、ホスト材料の蒸着粒子を発生する第1の蒸着源と、ドーパント材料の蒸着粒子を発生する第2の蒸着源が含まれ、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子と、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子とは、1つの前記共通配管を通って、1つの前記蒸着粒子放出源から交互に放出されてもよい。
【0018】
この場合、1つの蒸着粒子放出源からホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とを交互に放出することができるので、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層及びドーパント材料の蒸着粒子からなるドーパント材料層を精度よく形成することができ、これらのホスト材料層及びドーパント材料層からなる共蒸着膜も精度よく形成することができる。
【0019】
また、上記蒸着装置において、前記第1の蒸着源は、第1のスイッチングバルブを介して前記1つの共通配管に接続され、
前記第2の蒸着源は、第2のスイッチングバルブを介して前記1つの共通配管に接続され、
前記第1のスイッチングバルブには、前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を排気するための第1の排気用ポンプが接続され、
前記第2のスイッチングバルブには、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を排気するための第2の排気用ポンプが接続されることが好ましい。
【0020】
この場合、第1及び第2の蒸着源を常に同時に動作して、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とを交互に放出することができる。この結果、ホスト材料及びドーパント材料の各蒸着粒子の蒸着レート制御が容易となり、高品質な共蒸着膜を容易に形成することができる。
【0021】
また、上記蒸着装置において、前記複数の蒸着源には、ホスト材料の蒸着粒子を発生する第1の蒸着源と、ドーパント材料の蒸着粒子を発生する第2の蒸着源と、アシスト材料の蒸着粒子を発生する第3の蒸着源が含まれ、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子と、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子と、前記第3の蒸着源からの前記アシスト材料の蒸着粒子とは、1つの前記共通配管を通って、1つの前記蒸着粒子放出源から順次放出されてもよい。
【0022】
この場合、1つの蒸着粒子放出源からホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とアシスト材料の蒸着粒子とを順次放出することができるので、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層、ドーパント材料の蒸着粒子からなるドーパント材料層、及びアシスト材料の蒸着粒子からなるアシスト材料層を精度よく形成することができ、これらのホスト材料層、ドーパント材料層、及びアシスト材料層からなる共蒸着膜も精度よく形成することができる。
【0023】
また、上記蒸着装置において、前記第1の蒸着源は、第1のスイッチングバルブを介して前記1つの共通配管に接続され、
前記第2の蒸着源は、第2のスイッチングバルブを介して前記1つの共通配管に接続され、
前記第3の蒸着源は、第3のスイッチングバルブを介して前記1つの共通配管に接続され、
前記第1のスイッチングバルブには、前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を排気するための第1の排気用ポンプが接続され、
前記第2のスイッチングバルブには、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を排気するための第2の排気用ポンプが接続され、
前記第3のスイッチングバルブには、前記第3の蒸着源からの前記アシスト材料の蒸着粒子を排気するための第3の排気用ポンプが接続されることが好ましい。
【0024】
この場合、第1、第2、及び第3の蒸着源を常に同時に動作して、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とアシスト材料の蒸着粒子とを順次放出することができる。この結果、ホスト材料、ドーパント材料、及びアシスト材料の各蒸着粒子の蒸着レート制御が容易となり、高品質な共蒸着膜を容易に形成することができる。
【0025】
また、上記蒸着装置において、前記複数の蒸着源には、ホスト材料の蒸着粒子を発生する第1の蒸着源と、ドーパント材料の蒸着粒子を発生する第2の蒸着源が含まれ、
前記少なくとも1つの共通配管として、第1、第2、第3、及び第4の共通配管が設けられ、
前記少なくとも1つの蒸着粒子放出源として、前記第1、第2、第3、及び第4の共通配管にそれぞれ接続された第1、第2、第3、及び第4の蒸着粒子放出源が設けられ、
前記排気バルブとして、前記第1、第2、第3、及び第4の蒸着粒子放出源にそれぞれ接続された第1、第2、第3、及び第4の排気バルブが設けられ、
前記第1の蒸着源は、第1及び第3のスイッチングバルブを介して前記第1及び第2の共通配管に接続されるとともに、前記第1の蒸着源は、第1及び第4のスイッチングバルブを介して前記第3及び第4の共通配管に接続され、
前記第2の蒸着源は、第2及び第5のスイッチングバルブを介して前記第1及び第2の共通配管に接続されるとともに、前記第2の蒸着源は、第2及び第6のスイッチングバルブを介して前記第3及び第4の共通配管に接続されてもよい。
【0026】
この場合、第1及び第2の蒸着源を常に同時に動作した場合でも、ホスト材料及びドーパント材料の各蒸着粒子を第1〜第4の蒸着粒子放出源のいずれかの蒸着粒子放出源から別個に放出することができる。この結果、各蒸着粒子の利用効率を向上させることができ、共蒸着膜を歩留まりよく形成することができる。
【0027】
また、上記蒸着装置において、前記第1、第2、第3、及び第4の排気バルブには、1つの排気ポンプが接続されていることが好ましい。
【0028】
この場合、第1〜第4の排気バルブ毎に、排気ポンプを設ける場合に比べて、装置構成を簡略化することができる。
【0029】
また、上記蒸着装置において、前記複数の各蒸着源と前記少なくとも1つの共通配管との間には、対応する蒸着源からの蒸着粒子の発生量をモニタするレートモニタが設けられていることが好ましい。
【0030】
この場合、レートモニタによって蒸着粒子の発生量をモニタすることができるので、共蒸着膜をより精度よく形成することができる。
【0031】
また、上記蒸着装置において、前記複数の各蒸着源には、坩堝と当該坩堝の内部を加熱するヒータとが含まれていることが好ましい。
【0032】
この場合、蒸着粒子を効率よく発生することができる。
【0033】
また、本発明にかかる蒸着方法は、複数の蒸着源と、前記複数の蒸着源に接続される少なくとも1つの共通配管と、前記少なくとも1つの共通配管に接続されるとともに、前記複数の各蒸着源からの蒸着粒子を放出する少なくとも1つの蒸着粒子放出源と、前記少なくとも1つの蒸着粒子放出源に接続される排気バルブと、前記排気バルブに接続される排気ポンプを備えた蒸着装置を用いて、基板上に蒸着粒子を付着させて被膜を形成する蒸着工程を行う蒸着方法であって、
前記蒸着工程では、第1及び第2の蒸着源にそれぞれ接続される第1及び第2のスイッチングバルブを交互に動作して、前記第1及び第2の蒸着源を交互に1つの共通配管に導通させることにより、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層と、ドーパント材料の蒸着粒子からなるドーパント材料層とを蒸着することを特徴とするものである。
【0034】
上記のように構成された蒸着方法では、排気ポンプにより、少なくとも1つの共通配管の内部及び少なくとも1つの蒸着粒子放出源の内部に残留している不要な蒸着粒子を排気しつつ、少なくとも1つの蒸着粒子放出源から、複数の各蒸着源からの蒸着粒子を互いに独立して放出することができる。従って、複数の各蒸着源からの蒸着粒子を、安定した蒸着レートで放出することができ、複数の各蒸着源からの蒸着粒子の濃度比を所望の値とすることができる。この結果、上記従来例と異なり、二種類以上の材料を共蒸着する場合でも、上記被覆としての共蒸着膜を精度よく形成することができる。
【0035】
また、上記蒸着方法において、前記蒸着工程では、前記ホスト材料層を形成するホスト材料層形成工程と、前記ドーパント材料層を形成するドーパント材料層形成工程とが順次行われ、
前記ホスト材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第2の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1及び第2の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であって、
前記ドーパント材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第1の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1及び第2の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であってもよい。
【0036】
この場合、第1及び第2の蒸着源を常に同時に動作して、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とを交互に放出することができる。この結果、ホスト材料及びドーパント材料の各蒸着粒子の蒸着レート制御が容易となり、高品質な共蒸着膜を容易に形成することができる。
【0037】
また、上記蒸着方法において、前記蒸着工程では、前記ホスト材料層を形成するホスト材料層形成工程と、前記ドーパント材料層を形成するドーパント材料層形成工程と、アシスト材料の蒸着粒子からなるアシスト材料層を形成するアシスト材料層形成工程とが順次行われ、
前記ホスト材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1及び第2の蒸着源と第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と第2の排気用ポンプとを接続しており、
第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第2及び第3の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であって、
前記ドーパント材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第1及び第3の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であって、
前記アシスト材料層形成工程においては、
蒸着中の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記1つの共通配管とを接続しており、
前記排気バルブは閉じられており、かつ、
前記第1及び第2の排気用ポンプが動作する工程であって、
蒸着後の工程は、
前記第1、第2、及び第3の蒸着源が同時に動作するとともに、
前記第1のスイッチングバルブが前記第1の蒸着源と前記第1の排気用ポンプとを接続しており、
前記第2のスイッチングバルブが前記第2の蒸着源と前記第2の排気用ポンプとを接続しており、
前記第3のスイッチングバルブが前記第3の蒸着源と前記第3の排気用ポンプとを接続しており、
前記排気バルブは開放されており、かつ、
前記第1、第2、及び第3の排気用ポンプ、及び前記排気ポンプが動作する工程であってもよい。
【0038】
この場合、第1、第2、及び第3の蒸着源を常に同時に動作して、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とアシスト材料の蒸着粒子とを順次放出することができる。この結果、ホスト材料、ドーパント材料、及びアシスト材料の各蒸着粒子の蒸着レート制御が容易となり、高品質な共蒸着膜を容易に形成することができる。
【0039】
また、上記蒸着方法において、前記蒸着工程は、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を第1の蒸着粒子放出源から放出させるとともに、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を第4の蒸着粒子放出源から放出させる第1のサブ蒸着工程と、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を第2の蒸着粒子放出源から放出させるとともに、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を第3の蒸着粒子放出源から放出させる第2のサブ蒸着工程と、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を前記第4の蒸着粒子放出源から放出させるとともに、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を前記第1の蒸着粒子放出源から放出させる第3のサブ蒸着工程と、
前記第1の蒸着源からの前記ホスト材料の蒸着粒子を前記第3の蒸着粒子放出源から放出させるとともに、前記第2の蒸着源からの前記ドーパント材料の蒸着粒子を前記第2の蒸着粒子放出源から放出させる第4のサブ蒸着工程を含んでもよい。
【0040】
この場合、第1及び第2の蒸着源を常に同時に動作した場合でも、ホスト材料及びドーパント材料の各蒸着粒子を第1〜第4の蒸着粒子放出源のいずれかの蒸着粒子放出源から別個に放出することができる。この結果、各蒸着粒子の利用効率を向上させることができ、共蒸着膜を歩留まりよく形成することができる。
【0041】
また、上記蒸着方法において、前記基板と、前記第1〜第4の蒸着粒子放出源のうち、隣接する2つの各蒸着粒子放出源との間には、制御板が形成され、
前記第1、第2、第3、及び第4の各サブ蒸着工程では、前記ホスト材料の蒸着粒子と前記ドーパント材料の蒸着粒子とが前記基板上で重ならないように、放出されてもよい。
【0042】
この場合、ホスト材料及びドーパント材料の各蒸着粒子の利用効率を向上させることができ、上記ホスト材料層とドーパント材料層との積層構造からなる共蒸着膜を歩留まりよく形成することができる。
【0043】
また、上記蒸着方法において、前記第1、第2、第3、及び第4の各サブ蒸着工程では、前記ホスト材料の蒸着粒子と前記ドーパント材料の蒸着粒子とが前記基板上で重なるように、放出されてもよい。
【0044】
この場合、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とが混合された共蒸着膜を効率よく形成することができるとともに、より均質な共蒸着膜を形成することができる。
【0045】
また、本発明にかかる有機EL素子では、上記いずれかの蒸着方法を用いて形成された前記被膜を有することを特徴とするものである。
【0046】
上記のように構成された有機EL素子では、被膜が精度よく形成された共蒸着膜により構成されているので、高品質な有機EL素子を容易に構成することができる。
【0047】
また、上記有機EL素子において、前記被膜が発光層であることが好ましい。
【0048】
この場合、優れた特性を有する発光層を備えた有機EL素子を容易に構成することができる。
【0049】
また、上記有機EL素子において、前記被膜が正孔注入層であることが好ましい。
【0050】
この場合、優れた特性を有する正孔注入層を備えた有機EL素子を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、二種類以上の材料を共蒸着する場合でも、共蒸着膜を精度よく形成することができる蒸着装置、蒸着方法、及びそれを用いた有機EL素子
の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の蒸着装置、蒸着方法、及び有機EL素子の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0054】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる有機EL素子の構成を示す断面図である。
図1において、本実施形態の有機EL素子1は、基板2と、基板2上に設けられた陽極3と、陽極3の上方に設けられた陰極4を備えている。また、有機EL素子1では、陽極3と陰極4との間に、被膜としての発光層5が設けられている。また、有機EL素子1では、陽極3と発光層5との間に、発光層5から陽極3側に向かって正孔輸送層7、及び正孔注入層8が順次設けられている。さらに、有機EL素子1では、陰極4と発光層5との間に、発光層5から陰極4側に向かって電子輸送層9及び電子注入層10が順次設けられている。
【0055】
基板2には、例えばガラスなどの材料が用いられている。陽極3には、例えばITOなどの透明電極材料が用いられている。また、この陽極3の厚さは、例えば20nm〜100nm程度である。
【0056】
陰極4には、例えばアルミニウム、銀などが使われている。また、陰極4の厚みは自由度があるが、例えば陰極4側に光を取り出すトップエミッション構造の場合は、一般的に数nm〜30nm程度である場合が好ましい。また、基板2側に光を取り出すボトムエミッション構造の場合は、数10nmで構わない。また、ITOやIZOなどの透明電極材料を用いてもよい。
【0057】
発光層5は、後述する本実施形態の蒸着装置によって形成されるものであり、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層5aと、ドーパント材料(ゲスト化合物)の蒸着粒子からなるドーパント材料層5bとが交互に積層された積層構造(共蒸着膜)によって構成されている(詳細は後述。)。
【0058】
正孔輸送層7には、例えば通常の有機EL素子が有するものを用いることができ、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(α−NPD)等が挙げられる。また、この正孔輸送層7の厚さは、例えば15nmである。
【0059】
正孔注入層8には、例えばフタロシアニン系材料や、スターバーストポリアミン類や、ポリアニリン類などが挙げられる。この正孔注入層8の厚さは、例えば数10nmである。
【0060】
電子輸送層9には、例えばBPhenが用いられている。また、この電子輸送層9の厚さは、例えば20nmである。
【0061】
電子注入層10には、例えば金属リチウムや、金属バリウムなど、もしくはそれらの化合物であるリチウムフロライドのような物が用いられている。また、この電子注入層10の厚さは、非常に薄い場合が多く、例えば0.1nmである。
【0062】
次に、
図2を用いて、本実施形態の蒸着装置11について具体的に説明する。
【0063】
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる蒸着装置を説明する図である。
【0064】
図2において、本実施形態の蒸着装置11は、ホスト材料14hの蒸着粒子を発生する第1の蒸着源12と、ドーパント材料14dの蒸着粒子を発生する第2の蒸着源13を備えている。
【0065】
第1の蒸着源12には、ホスト材料14hが内部に入れられる坩堝12aと、この坩堝12aの周りに設けられ、当該坩堝12aの内部を加熱するヒータ12bとが含まれており、第1の蒸着源12は、ホスト材料14hの蒸着粒子を効率よく発生することができるようになっている。
【0066】
同様に、第2の蒸着源13には、ドーパント材料14dが内部に入れられる坩堝13aと、この坩堝13aの周りに設けられ、当該坩堝13aの内部を加熱するヒータ13bとが含まれており、第2の蒸着源13は、ドーパント材料14dの蒸着粒子を効率よく発生することができるようになっている。
【0067】
また、上記ホスト材料14hには、例えばCBP(4,4’−bis[9−discarbazolyl]−2,2’−biphenyl)やTCTA(4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)が用いられている。また、ドーパント材料14dには、赤色、緑色、及び青色の発光層をそれぞれ構成する場合、例えば赤色燐光としてのIr(pic)
3、緑色燐光としてのIr(ppy)
3、及び青色燐光としてのFIrpicが用いられている。また、発光層5としての膜厚は、例えば300Åである。
【0068】
また、第1の蒸着源12は、第1のスイッチングバルブ16を介して少なくとも1つの共通配管としての1つの共通配管27に接続され、第2の蒸着源13は、第2のスイッチングバルブ22を介して共通配管27に接続されている。
【0069】
具体的にいえば、第1の蒸着源12には、一端が第1のスイッチングバルブ16に接続された配管15の他端が接続されている。また、第1のスイッチングバルブ16は、配管17を介して共通配管27の一端部である接続点C1に接続されるとともに、第1のスイッチングバルブ16は、配管19を介して第1の排気用ポンプ20に接続されている。さらに、第1のスイッチングバルブ16は、配管15と配管17との間の連通及び配管15と配管19との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0070】
また、配管15には、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子の発生量(蒸着密度)をモニタするレートモニタ18が設けられている。これにより、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料層5aをより精度よく形成することができ、ひいては発光層(共蒸着膜)5をもより精度よく形成することができる。
【0071】
また、第2の蒸着源13には、一端が第2のスイッチングバルブ22に接続された配管21の他端が接続されている。また、第2のスイッチングバルブ22は、配管23を介して上記接続点C1(共通配管27の一端部)に接続されるとともに、第2のスイッチングバルブ22は、配管25を介して第2の排気用ポンプ26に接続されている。さらに、第2のスイッチングバルブ22は、配管21と配管23との間の連通及び配管21と配管25との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0072】
また、配管21には、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子の発生量(蒸着密度)をモニタするレートモニタ24が設けられている。これにより、本実施形態の蒸着装置11では、ドーパント材料層5bをより精度よく形成することができ、ひいては発光層(共蒸着膜)5をもより精度よく形成することができる。
【0073】
また、共通配管27の他端部には、複数に分岐された複数の分岐配管が設けられており、これら複数の分岐配管が、真空槽28内に設けられた蒸着粒子放出源29に接続されている。また、この蒸着粒子放出源29は、蒸着粒子を放出するための孔部(図示せず)を有しており、配管31を介して排気バルブ32に接続されている。また、この排気バルブ32は、配管33を介して排気ポンプ34に接続されている。
【0074】
そして、本実施形態の蒸着装置11では、第1及び第2の蒸着源12及び13は同時に動作されており、第1及び第2のスイッチングバルブ16及び22を適切に動作することにより、第1及び第2の蒸着源12及び13からのホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子の一方のみが、対応する第1または第2のスイッチングバルブ16または22を介して共通配管27に交互に流入される。そして、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子は、交互に、共通配管27から蒸着粒子放出源29に送られ、当該蒸着粒子放出源29から基板Sに向かう蒸着粒子30として放出される。
【0075】
また、本実施形態の蒸着装置11は、真空槽28内の1つの基板Sに対して、上記蒸着粒子の蒸着処理を行うクラスタータイプのものであり、さらに本実施形態の蒸着装置11は、蒸着粒子放出源29と基板Sとの間に、発光層5の所定パターンを形成するためのマスク(図示せず)が設置されており、蒸着粒子放出源29からの蒸着粒子の放出時に、基板S及び当該マスクが
図2の紙面に垂直な方向に沿って移動するスキャン蒸着装置を構成している。これにより、基板S上には、所定パターンを有する被膜としての発光層5が形成される。
【0076】
また、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子の一方の蒸着粒子の基板Sへの放出が終わった場合、排気ポンプ34は、当該一方の蒸着粒子の排気を行うように構成されている。
【0077】
具体的にいえば、ホスト材料14hの蒸着粒子の放出が終わった場合、排気ポンプ34は、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、共通配管27の内部、及び蒸着粒子放出源29の内部に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を、配管31、排気バルブ32、及び配管33を通して外部に排気する。
【0078】
また、ドーパント材料14dの蒸着粒子の放出が終わった場合、排気ポンプ34は、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、共通配管27の内部、及び蒸着粒子放出源29の内部に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を、配管31、排気バルブ32、及び配管33を通して外部に排気する。
【0079】
また、本実施形態の蒸着装置11では、第1及び第2の蒸着源12及び13が同時に動作されて、それぞれホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子を発生しているので、ホスト材料14hの蒸着粒子が共通配管27内に流入されているときには、第2の排気用バルブ26が、配管25を介して第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を外部に排気するようになっている。また、ドーパント材料14dの蒸着粒子が共通配管27内に流入されているときには、第1の排気用バルブ20が、配管19を介して第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を外部に排気するようになっている。
【0080】
次に、
図3乃至
図5も参照して、本実施形態の蒸着装置11の蒸着方法について具体的に説明する。
【0081】
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる蒸着方法を説明するフローチャートである。
図4は、
図3に示したホスト材料層形成工程での上記蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図5は、
図3に示したドーパント材料層材料形成工程での上記蒸着装置の動作状態を説明する図である。
【0082】
図3のステップS1に示すように、本実施形態では、まず基板S上に、ホスト材料層5aを形成するホスト材料層形成工程が行われる。
【0083】
具体的にいえば、このホスト材料層形成工程は、ホスト材料14hの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程と、この蒸着後の工程とに分けられる。
【0084】
ホスト材料14hの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程では、第1及び第2の蒸着源12及び13を同時に動作して、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子が発生される。
【0085】
また、第1のスイッチングバルブ16の接続点C1側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と(1つの)共通配管27とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、排気バルブ32は、閉じられている。さらに、第2の排気用ポンプ26が、動作している。
【0086】
これにより、この蒸着中の工程では、ホスト材料14hの蒸着粒子は、
図4に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、配管17、接続点C1、及び共通配管27を通って、蒸着粒子放出源29から蒸着粒子30hとして放出される。この結果、基板S上では、ホスト材料層5aが形成される。一方、ドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図4に右斜め下のハッチにて示すように、配管21及び配管25を通って、第2の排気用ポンプ26により排気される。なお、この蒸着中の工程では、第1の排気用ポンプ20及び排気ポンプ34は、オン(動作)状態またはオフ(停止)状態とされている。
【0087】
次に、蒸着後の工程では、第1及び第2の蒸着源12及び13を同時に動作する。また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、排気バルブ32は、開放されている。さらに、第1及び第2の排気用ポンプ20及び26と排気ポンプ34が、動作している。
【0088】
これにより、この蒸着後の工程では、第1の排気用ポンプ20が、配管15の内部、及び配管19の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管19側の内部も含む。)に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。つまり、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、第1の排気用ポンプ20により排気される。
【0089】
また、第2の排気用ポンプ26が、配管21の内部、及び配管25の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管25側の内部も含む。)に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。つまり、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、第2の排気用ポンプ26により排気される。
【0090】
さらに、排気ポンプ34が、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、共通配管27の内部、及び蒸着粒子放出源29の内部に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。
【0091】
次に、
図3のステップS2に示すように、ドーパント材料層5bを形成するドーパント材料層形成工程が行われる。
【0092】
具体的にいえば、このドーパント材料層形成工程は、ドーパント材料14dの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程と、この蒸着後の工程とに分けられる。
【0093】
ドーパント材料14dの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程では、第1及び第2の蒸着源12及び13を同時に動作して、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子が発生される。
【0094】
また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の接続点C1側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と(1つの)共通配管27とを接続している。また、排気バルブ32は、閉じられている。さらに、第1の排気用ポンプ20が、動作している。
【0095】
これにより、この蒸着中の工程では、ドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図5に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、配管23、接続点C1、及び共通配管27を通って、蒸着粒子放出源29から蒸着粒子30dとして放出される。この結果、基板S上では、ドーパント材料層5bが形成される。一方、ホスト材料14hの蒸着粒子は、
図5に左斜め下のハッチにて示すように、配管15及び配管19を通って、第1の排気用ポンプ20により排気される。なお、この蒸着中の工程では、第2の排気用ポンプ26及び排気ポンプ34は、オン(動作)状態またはオフ(停止)状態とされている。
【0096】
次に、蒸着後の工程では、第1及び第2の蒸着源12及び13を同時に動作する。また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、排気バルブ32は、開放されている。さらに、第1及び第2の排気用ポンプ20及び26と排気ポンプ34が、動作している。
【0097】
これにより、この蒸着後の工程では、第1の排気用ポンプ20が、配管15の内部、及び配管19の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管19側の内部も含む。)に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。つまり、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、第1の排気用ポンプ20により排気される。
【0098】
また、第2の排気用ポンプ26が、配管21の内部、及び配管25の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管25側の内部も含む。)に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。つまり、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、第2の排気用ポンプ26により排気される。
【0099】
さらに、排気ポンプ34が、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、共通配管27の内部、及び蒸着粒子放出源29の内部に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。
【0100】
続いて、
図3のステップS3に示すように、発光層5が形成されたかどうかについて判別される。つまり、発光層5が、所定の厚さ(例えば、300Å)で形成されたかどうかについて判別され、所定の厚さで形成されていると判別されれば、蒸着工程が終了される。一方、所定の厚さで形成されていないと判別されれば、上記ステップS1に戻る。
【0101】
尚、ホスト材料層形成工程では、ホスト材料14hは、例えば3Å/sのレートで蒸着される。また、ドーパント材料層形成工程では、ドーパント材料14dは、例えば0.3Å/sのレートで蒸着される。また、第1及び第2のスイッチングバルブ16及び22の各切り換え間隔は、例えば1回/sである。
【0102】
以上のように構成された本実施形態の蒸着装置11では、第1及び第2の蒸着源12及び13が1つの共通配管27に接続されるとともに、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子及び第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は1つの共通配管27に接続された1つの蒸着粒子放出源29から放出される。また、1つの蒸着粒子放出源29には、排気バルブ32及び排気ポンプ34が接続されている。これにより、本実施形態の蒸着装置11では、排気ポンプ34により、1つの共通配管27の内部及び1つの蒸着粒子放出源29の内部に残留している不要な蒸着粒子を排気しつつ、1つの蒸着粒子放出源29から、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子及び第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を互いに独立して放出することができる。従って、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子を、安定した蒸着レートで放出することができ、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子及び第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子の濃度比を所望の値とすることができる。この結果、本実施形態の蒸着装置11では、上記従来例と異なり、二種類以上の材料を共蒸着する場合でも、発光層(共蒸着膜)5を精度よく形成することができる。
【0103】
また、本実施形態では、1つの蒸着粒子放出源29からホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とを交互に放出しているので、ホスト材料14hの蒸着粒子からなるホスト材料層5a及びドーパント材料14dの蒸着粒子からなるドーパント材料層5bを精度よく形成することができ、これらのホスト材料層5a及びドーパント材料層5bからなる発光層5も精度よく形成することができる。
【0104】
また、本実施形態では、1つの蒸着粒子放出源29により、発光層(共蒸着膜)5を精度よく形成することができるので、蒸着装置11の構成を容易に簡略化することができる。また、このように蒸着装置11の構成を容易に簡略化することができるので、プロセスマージンを容易に増加させることができるとともに、有機EL素子1の製造タクトも向上させることができる。
【0105】
また、本実施形態の有機EL素子1では、蒸着装置11の蒸着方法を用いて形成された被膜としての発光層5を有しているので、優れた発光特性を有する高品質な有機EL素子1を容易に構成することができる。
【0106】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる有機EL素子の構成を示す断面図である。
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる蒸着装置を説明する図である。
【0107】
図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、アシスト材料の蒸着粒子を発生する第3の蒸着源を設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0108】
つまり、
図6に示すように、本実施形態の有機EL素子1では、その発光層5は、ホスト材料の蒸着粒子からなるホスト材料層5aと、ドーパント材料(ゲスト化合物)の蒸着粒子からなるドーパント材料層5bと、アシスト材料(Co-Host材料)の蒸着粒子からなるアシスト材料層5cが順次積層された積層構造(共蒸着膜)によって構成されている。
【0109】
また、
図7に示すように、本実施形態の蒸着装置11には、アシスト材料14aの蒸着粒子を発生する第3の蒸着源35が設けられている。
【0110】
この第3の蒸着源35には、アシスト材料14aが内部に入れられる坩堝35aと、この坩堝35aの周りに設けられ、当該坩堝35aの内部を加熱するヒータ35bとが含まれており、第3の蒸着源35は、アシスト材料14aの蒸着粒子を効率よく発生することができるようになっている。
【0111】
また、アシスト材料14aには、例えばTPBI(2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール))が用いられている。
【0112】
また、第3の蒸着源35は、第3のスイッチングバルブ37を介して少なくとも1つの共通配管としての1つの共通配管42に接続されている。具体的にいえば、第3の蒸着源35には、一端が第3のスイッチングバルブ37に接続された配管36の他端が接続されている。また、第3のスイッチングバルブ37は、配管38を介して共通配管42の一端部である接続点C2に接続されるとともに、第3のスイッチングバルブ37は、配管40を介して第3の排気用ポンプ41に接続されている。さらに、第3のスイッチングバルブ37は、配管36と配管38との間の連通及び配管36と配管40との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0113】
また、接続点C2には、配管17及び23が接続されており、共通配管42に対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子及び第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子が流入可能に構成されている。
【0114】
また、配管36には、第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子の発生量(蒸着密度)をモニタするレートモニタ39が設けられている。これにより、本実施形態の蒸着装置11では、アシスト材料層5cをより精度よく形成することができ、ひいては発光層(共蒸着膜)5をもより精度よく形成することができる。
【0115】
また、共通配管42の他端部には、複数に分岐された複数の分岐配管が設けられており、これら複数の分岐配管が、真空槽28内に設けられた蒸着粒子放出源43に接続されている。また、この蒸着粒子放出源43は、第1の実施形態のものと同様に、蒸着粒子を放出するための孔部(図示せず)を有しており、配管31を介して排気バルブ32に接続され、この排気バルブ32は、配管33を介して排気ポンプ34に接続されている。
【0116】
そして、本実施形態の蒸着装置11では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35は同時に動作されており、第1、第2、及び第3のスイッチングバルブ16、22、及び37を適切に動作することにより、第1及び第2の蒸着源12、13、及び35からのホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、アシスト材料14aの蒸着粒子の一つのみが、対応する第1、第2、または第3のスイッチングバルブ16、22、または37を介して共通配管42に順次流入される。そして、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子は、順次、共通配管42から蒸着粒子放出源43に送られ、当該蒸着粒子放出源43から基板Sに向かう蒸着粒子44として放出される。
【0117】
また、本実施形態の蒸着装置11は、第1の実施形態のものと同様に、真空槽28内の1つの基板Sに対して、上記蒸着粒子の蒸着処理を行うクラスタータイプのものであり、さらに本実施形態の蒸着装置11は、蒸着粒子放出源43と基板Sとの間に、発光層5の所定パターンを形成するためのマスク(図示せず)が設置されており、蒸着粒子放出源43からの蒸着粒子の放出時に、基板S及び当該マスクが
図5の紙面に垂直な方向に沿って移動するスキャン蒸着装置を構成している。これにより、基板S上には、所定パターンを有する被膜としての発光層5が形成される。
【0118】
また、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子のいずれか一つの蒸着粒子の基板Sへの放出が終わった場合、排気ポンプ34は、当該一つの蒸着粒子の排気を行うように構成されている。
【0119】
具体的にいえば、ホスト材料14hの蒸着粒子の放出が終わった場合、排気ポンプ34は、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を、配管31、排気バルブ32、及び配管33を通して外部に排気する。
【0120】
また、ドーパント材料14dの蒸着粒子の放出が終わった場合、排気ポンプ34は、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を、配管31、排気バルブ32、及び配管33を通して外部に排気する。
【0121】
また、アシスト材料14aの蒸着粒子の放出が終わった場合、排気ポンプ34は、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、アシスト材料14aの蒸着粒子を、配管31、排気バルブ32、及び配管33を通して外部に排気する。
【0122】
また、本実施形態の蒸着装置11では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35が同時に動作されて、それぞれホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子を発生しているので、ホスト材料14hの蒸着粒子が共通配管42内に流入されているときには、第2の排気用バルブ26が、配管25を介して第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を外部に排気するとともに、第3の排気用バルブ41が、配管40を介して第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子を外部に排気するようになっている。
【0123】
また、ドーパント材料14dの蒸着粒子が共通配管42内に流入されているときには、第1の排気用バルブ20が、配管19を介して第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を外部に排気するとともに、第3の排気用バルブ41が、配管40を介して第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子を外部に排気するようになっている。
【0124】
また、アシスト材料14aの蒸着粒子が共通配管42内に流入されているときには、第1の排気用バルブ20が、配管19を介して第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を外部に排気するとともに、第2の排気用バルブ26が、配管25を介して第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を外部に排気するようになっている。
【0125】
次に、
図8乃至
図11も参照して、本実施形態の蒸着装置11の蒸着方法について具体的に説明する。
【0126】
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる蒸着方法を説明するフローチャートである。
図9は、
図8に示したホスト材料層形成工程での
図7に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図10は、
図8に示したドーパント材料層材料形成工程での
図7に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図11は、
図8に示したアシスト材料層材料形成工程での
図7に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
【0127】
図8のステップS4に示すように、本実施形態では、まず基板S上に、ホスト材料層5aを形成するホスト材料層形成工程が行われる。
【0128】
具体的にいえば、このホスト材料層形成工程は、ホスト材料14hの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程と、この蒸着後の工程とに分けられる。
【0129】
ホスト材料14hの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作して、ホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子が発生される。
【0130】
また、第1のスイッチングバルブ16の接続点C1側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と(1つの)共通配管42とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の第3の排気用ポンプ41側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と第3の排気用ポンプ41とを接続している。また、排気バルブ32は、閉じられている。さらに、第2及び第3の排気用ポンプ26及び41が、動作している。
【0131】
これにより、この蒸着中の工程では、ホスト材料14hの蒸着粒子は、
図9に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、配管17、接続点C1、及び共通配管42を通って、蒸着粒子放出源43から蒸着粒子44hとして放出される。この結果、基板S上では、ホスト材料層5aが形成される。一方、ドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図9に右斜め下のハッチにて示すように、配管21及び配管25を通って、第2の排気用ポンプ26により排気される。また、アシスト材料14aの蒸着粒子は、
図9にクロスハッチにて示すように、配管36及び配管40を通って、第3の排気用ポンプ41により排気される。なお、この蒸着中の工程では、第1の排気用ポンプ20及び排気ポンプ34は、オン(動作)状態またはオフ(停止)状態とされている。
【0132】
次に、蒸着後の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作する。また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の第3の排気用ポンプ41側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と第3の排気用ポンプ41とを接続している。また、排気バルブ32は、開放されている。さらに、第1、第2、及び第3の排気用ポンプ20、26、及び41と排気ポンプ34が、動作している。
【0133】
これにより、この蒸着後の工程では、第1の排気用ポンプ20が、配管15の内部、及び配管19の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管19側の内部も含む。)に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。つまり、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、第1の排気用ポンプ20により排気される。
【0134】
また、第2の排気用ポンプ26が、配管21の内部、及び配管25の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管25側の内部も含む。)に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。つまり、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、第2の排気用ポンプ26により排気される。
【0135】
また、第3の排気用ポンプ41が、配管36の内部、及び配管40の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管40側の内部も含む。)に存在する、アシスト材料14aの蒸着粒子を排気する。つまり、第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子は、第3の排気用ポンプ41により排気される。
【0136】
さらに、排気ポンプ34が、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。
【0137】
次に、
図8のステップS5に示すように、ドーパント材料層5bを形成するドーパント材料層形成工程が行われる。
【0138】
具体的にいえば、このドーパント材料層形成工程は、ドーパント材料14dの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程と、この蒸着後の工程とに分けられる。
【0139】
ドーパント材料14dの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作して、ホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子が発生される。
【0140】
また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の接続点C1側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と(1つの)共通配管42とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の第3の排気用ポンプ41側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と第3の排気用ポンプ41とを接続している。また、排気バルブ32は、閉じられている。さらに、第1及び第3の排気用ポンプ20及び41が、動作している。
【0141】
これにより、この蒸着中の工程では、ドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図10に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、配管23、接続点C1、及び共通配管42を通って、蒸着粒子放出源43から蒸着粒子44dとして放出される。この結果、基板S上では、ドーパント材料層5bが形成される。一方、ホスト材料14hの蒸着粒子は、
図10に左斜め下のハッチにて示すように、配管15及び配管19を通って、第1の排気用ポンプ20により排気される。また、アシスト材料14aの蒸着粒子は、
図10にクロスハッチにて示すように、配管36及び配管40を通って、第3の排気用ポンプ41により排気される。なお、この蒸着中の工程では、第2の排気用ポンプ26及び排気ポンプ34は、オン(動作)状態またはオフ(停止)状態とされている。
【0142】
次に、蒸着後の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作する。また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の第3の排気用ポンプ41側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と第3の排気用ポンプ41とを接続している。また、排気バルブ32は、開放されている。さらに、第1、第2、及び第3の排気用ポンプ20、26、及び41と排気ポンプ34が、動作している。
【0143】
これにより、この蒸着後の工程では、第1の排気用ポンプ20が、配管15の内部、及び配管19の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管19側の内部も含む。)に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。つまり、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、第1の排気用ポンプ20により排気される。
【0144】
また、第2の排気用ポンプ26が、配管21の内部、及び配管25の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管25側の内部も含む。)に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。つまり、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、第2の排気用ポンプ26により排気される。
【0145】
また、第3の排気用ポンプ41が、配管36の内部、及び配管40の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管40側の内部も含む。)に存在する、アシスト材料14aの蒸着粒子を排気する。つまり、第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子は、第3の排気用ポンプ41により排気される。
【0146】
さらに、排気ポンプ34が、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。
【0147】
次に、
図8のステップS6に示すように、アシスト材料層5cを形成するアシスト材料層形成工程が行われる。
【0148】
具体的にいえば、このアシスト材料層形成工程は、アシスト材料14aの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程と、この蒸着後の工程とに分けられる。
【0149】
アシスト材料14aの蒸着粒子を蒸着する蒸着中の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作して、ホスト材料14hの蒸着粒子、ドーパント材料14dの蒸着粒子、及びアシスト材料14aの蒸着粒子が発生される。
【0150】
また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の接続点C1側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と(1つの)共通配管42とを接続している。また、排気バルブ32は、閉じられている。さらに、第1及び第3の排気用ポンプ20及び41が、動作している。
【0151】
これにより、この蒸着中の工程では、アシスト材料14aの蒸着粒子は、
図11にクロスハッチにて示すように、配管36、配管38、接続点C1、及び共通配管42を通って、蒸着粒子放出源43から蒸着粒子44aとして放出される。この結果、基板S上では、アシスト材料層5cが形成される。一方、ホスト材料14hの蒸着粒子は、
図11に左斜め下のハッチにて示すように、配管15及び配管19を通って、第1の排気用ポンプ20により排気される。また、ドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図11に右斜め下のハッチにて示すように、配管21及び配管25を通って、第2の排気用ポンプ26により排気される。なお、この蒸着中の工程では、第3の排気用ポンプ41及び排気ポンプ34は、オン(動作)状態またはオフ(停止)状態とされている。
【0152】
次に、蒸着後の工程では、第1、第2、及び第3の蒸着源12、13、及び35を同時に動作する。また、第1のスイッチングバルブ16の第1の排気用ポンプ20側が開放されて、第1のスイッチングバルブ16が第1の蒸着源12と第1の排気用ポンプ20とを接続している。また、第2のスイッチングバルブ22の第2の排気用ポンプ26側が開放されて、第2のスイッチングバルブ22が第2の蒸着源13と第2の排気用ポンプ26とを接続している。また、第3のスイッチングバルブ37の第3の排気用ポンプ41側が開放されて、第3のスイッチングバルブ37が第3の蒸着源35と第3の排気用ポンプ41とを接続している。また、排気バルブ32は、開放されている。さらに、第1、第2、及び第3の排気用ポンプ20、26、及び41と排気ポンプ34が、動作している。
【0153】
これにより、この蒸着後の工程では、第1の排気用ポンプ20が、配管15の内部、及び配管19の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管19側の内部も含む。)に存在する、ホスト材料14hの蒸着粒子を排気する。つまり、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、第1の排気用ポンプ20により排気される。
【0154】
また、第2の排気用ポンプ26が、配管21の内部、及び配管25の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管25側の内部も含む。)に存在する、ドーパント材料14dの蒸着粒子を排気する。つまり、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、第2の排気用ポンプ26により排気される。
【0155】
また、第3の排気用ポンプ41が、配管36の内部、及び配管40の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管40側の内部も含む。)に存在する、アシスト材料14aの蒸着粒子を排気する。つまり、第3の蒸着源35からのアシスト材料14aの蒸着粒子は、第3の排気用ポンプ41により排気される。
【0156】
さらに、排気ポンプ34が、配管17の内部(第1のスイッチングバルブ16の配管17側の内部も含む。)、配管23の内部(第2のスイッチングバルブ22の配管23側の内部も含む。)、配管38の内部(第3のスイッチングバルブ37の配管38側の内部も含む。)、共通配管42の内部、及び蒸着粒子放出源43の内部に存在する、アシスト材料14aの蒸着粒子を排気する。
【0157】
続いて、
図6のステップS7に示すように、発光層5が形成されたかどうかについて判別される。つまり、発光層5が、所定の厚さ(例えば、300Å)で形成されたかどうかについて判別され、所定の厚さで形成されていると判別されれば、蒸着工程が終了される。一方、所定の厚さで形成されていないと判別されれば、上記ステップS4に戻る。
【0158】
尚、ホスト材料層形成工程では、ホスト材料14hは、例えば3Å/sのレートで蒸着される。また、ドーパント材料層形成工程では、ドーパント材料14dは、例えば0.3Å/sのレートで蒸着される。また、アシスト材料層形成工程では、アシスト材料14aは、例えば1Å/sのレートで蒸着される。また、第1、第2、及び第3のスイッチングバルブ16、22、及び37の各切り換え間隔は、例えば1回/sである。
【0159】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、上記第1及び第2の蒸着源12及び13に加えて、アシスト材料14aの蒸着粒子を発生する第3の蒸着源35が設けられており、1つの蒸着粒子放出源43からホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とアシスト材料14aの蒸着粒子とを順次放出している。これにより、本実施形態では、ホスト材料層5a、ドーパント材料層5b、及びアシスト材料層5cを精度よく形成することができ、これらのホスト材料層5a、ドーパント材料層5b、及びアシスト材料層5cからなる発光層(共蒸着膜)5も精度よく形成することができる。
【0160】
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態にかかる蒸着装置を説明する図である。
【0161】
図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、第1の蒸着源からのホスト材料の蒸着粒子と第2の蒸着源からのドーパント材料の蒸着粒子とを別個の蒸着粒子放出源から基板上で重ならないように放出して、ホスト材料層とドーパント材料層との積層構造からなる発光層を形成した点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0162】
つまり、
図12に示すように、本実施形態の蒸着装置11では、第1のスイッチングバルブ16は、配管45を介して第3のスイッチングバルブ46に接続されるとともに、配管47を介して第4のスイッチングバルブ48に接続されている。さらに、この第1のスイッチングバルブ16は、配管15と配管45との間の連通及び配管15と配管47との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0163】
また、第3のスイッチングバルブ46は、配管49を介して少なくとも1つの共通配管としての第1の共通配管61の一端部である接続点C3に接続されるとともに、第3のスイッチングバルブ46は、配管50を介して少なくとも1つの共通配管としての第2の共通配管62の一端部である接続点C4に接続されている。さらに、第3のスイッチングバルブ46は、配管45と配管49との間の連通及び配管45と配管50との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0164】
また、第4のスイッチングバルブ48は、配管51を介して少なくとも1つの共通配管としての第3の共通配管63の一端部である接続点C5に接続されるとともに、第4のスイッチングバルブ48は、配管52を介して少なくとも1つの共通配管としての第4の共通配管64の一端部である接続点C6に接続されている。さらに、第4のスイッチングバルブ48は、配管47と配管51との間の連通及び配管47と配管52との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0165】
また、第2のスイッチングバルブ22は、配管53を介して第5のスイッチングバルブ54に接続されるとともに、配管55を介して第6のスイッチングバルブ56に接続されている。さらに、この第2のスイッチングバルブ22は、配管21と配管53との間の連通及び配管21と配管55との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0166】
また、第5のスイッチングバルブ54は、配管57を介して上記接続点C3に接続されるとともに、第5のスイッチングバルブ54は、配管58を介して上記接続点C4に接続されている。さらに、第5のスイッチングバルブ54は、配管53と配管57との間の連通及び配管53と配管58との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0167】
また、第6のスイッチングバルブ56は、配管59を介して上記接続点C5に接続されるとともに、第6のスイッチングバルブ56は、配管60を介して上記接続点C6に接続されている。さらに、第6のスイッチングバルブ56は、配管55と配管59との間の連通及び配管55と配管60との間の連通を適宜切り換えるように構成されている。
【0168】
また、第1、第2、第3、及び第4の共通配管61、62、63、及び64は、それぞれ真空槽65内に設けられた第1、第2、第3、及び第4の蒸着粒子放出源66、67、68、及び69に接続されている。これら第1、第2、第3、及び第4の各蒸着粒子放出源66、67、68、及び69は、蒸着粒子を放出するための孔部(図示せず)を有している。
【0169】
また、第1の蒸着粒子放出源66には、配管70を介して第1の排気バルブ71が接続され、第2の蒸着粒子放出源67には、配管72を介して第2の排気バルブ73が接続されている。第3の蒸着粒子放出源68には、配管74を介して第3の排気バルブ75が接続され、第4の蒸着粒子放出源69には、配管76を介して第4の排気バルブ77が接続されている。
【0170】
また、第1、第2、第3、及び第4の排気バルブ71、73、75、及び77には、配管78を介して1つの排気ポンプ79が接続されている。
【0171】
また、本実施形態の蒸着装置11では、制御板CP1、CP2、及びCP3が基板Sと、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のうち、隣接する2つの各蒸着粒子放出源との間に形成されている。すなわち、
図12に示すように、制御板CP1は、基板Sと、第1及び第2の蒸着粒子放出源66及び67との間に形成されており、第1の蒸着粒子放出源66からの蒸着粒子が、第2の蒸着粒子放出源67に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐとともに、第2の蒸着粒子放出源67からの蒸着粒子が、第1の蒸着粒子放出源66に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐようになっている。
【0172】
また、制御板CP2は、基板Sと、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68との間に形成されており、第2の蒸着粒子放出源67からの蒸着粒子が、第3の蒸着粒子放出源68に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐとともに、第3の蒸着粒子放出源68からの蒸着粒子が、第2の蒸着粒子放出源67に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐようになっている。
【0173】
また、制御板CP3は、基板Sと、第3及び第4の蒸着粒子放出源68及び69との間に形成されており、第3の蒸着粒子放出源68からの蒸着粒子が、第4の蒸着粒子放出源69に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐとともに、第4の蒸着粒子放出源69からの蒸着粒子が、第3の蒸着粒子放出源68に対向する基板Sの領域に放出されるのを防ぐようになっている。
【0174】
そして、本実施形態の蒸着装置11では、第1及び第2の蒸着源12及び13は同時に動作されており、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のスイッチングバルブ16、22、46、48、54、及び56を適切に動作することにより、第1蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のいずれか1つの蒸着粒子放出源から放出され、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のうち、ホスト材料14hの蒸着粒子を放出する蒸着粒子放出源とは異なる、いずれか1つの蒸着粒子放出源から放出される。
【0175】
また、本実施形態の蒸着装置11は、第1の実施形態のものと同様に、真空槽65内の1つの基板Sに対して、上記蒸着粒子の蒸着処理を行うクラスタータイプのものである。また、本実施形態の蒸着装置11では、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とが、基板S上で重ならないように、放出されるようになっている。さらに、本実施形態の蒸着装置11は、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69と基板Sとの間に、発光層5の所定パターンを形成するためのマスク(図示せず)が設置されており、蒸着粒子の放出時に、基板S及び当該マスクが
図12の左右方向に沿って移動するスキャン蒸着装置を構成している。これにより、基板S上には、第1の実施形態のものと同様に、ホスト材料層5aとドーパント材料層5bとの積層構造からなる発光層5が被膜として形成される。
【0176】
また、本実施形態の蒸着装置11では、排気ポンプ79は、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のうち、ホスト材料14hの蒸着粒子及びドーパント材料14dの蒸着粒子のいずれかの蒸着粒子の放出を行っていない、2つの蒸着粒子放出源の内部、及びこれら2つの各蒸着粒子放出源に接続された配管の内部及び排気バルブの内部から蒸着粒子を排気するようになっている。
【0177】
次に、
図13乃至
図17も参照して、本実施形態の蒸着装置11の蒸着方法について具体的に説明する。
【0178】
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる蒸着方法を説明するフローチャートである。
図14は、
図13に示した第1のサブ蒸着工程での
図12に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図15は、
図13に示した第2のサブ蒸着工程での
図12に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図16は、
図13に示した第3のサブ蒸着工程での
図12に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図17は、
図13に示した第4のサブ蒸着工程での
図12に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
【0179】
図13に示すように、本実施形態の蒸着装置11では、その蒸着工程に、第1〜第4のサブ蒸着工程が含まれている。そして、
図13のステップS8に示すように、本実施形態では、まず基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第1の蒸着粒子放出源66から放出させるとともに、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第4の蒸着粒子放出源69から放出させる第1のサブ蒸着工程が行われる。
【0180】
具体的にいえば、
図14において、第1のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第3のスイッチングバルブ46側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第6のスイッチングバルブ56側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C5側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C6側が開放される。また、第1及び第4の排気バルブ71及び77は、閉じられている。
【0181】
そして、第1のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図14に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、45、49、57、及び61の内部に流入して、第1の蒸着粒子放出源66から蒸着粒子80として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図14に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、55、60、52、及び64の内部に流入して、第4の蒸着粒子放出源69から蒸着粒子81として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重ならないように、基板Sの異なる領域に放出される。
【0182】
また、第1のサブ蒸着工程では、第2及び第3の排気バルブ73及び75は開放されており、排気ポンプ79は、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部、第2及び第3の排気バルブ73及び75の各内部、配管72、74、及び78の各内部、配管62、50、58、53、63、51、59、及び47の各内部、接続点C4及びC5の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管47側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管53側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管50側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管51側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管58側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管59側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0183】
次に、
図13のステップS9に示すように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第2の蒸着粒子放出源67から放出させるとともに、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第3の蒸着粒子放出源68から放出させる第2のサブ蒸着工程が行われる。
【0184】
具体的にいえば、
図15において、第2のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第3のスイッチングバルブ46側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第6のスイッチングバルブ56側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C4側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C6側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C3側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C5側が開放される。また、第2及び第3の排気バルブ73及び75は、閉じられている。
【0185】
そして、第2のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図15に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、45、50、58、及び62の内部に流入して、第2の蒸着粒子放出源67から蒸着粒子82として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図15に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、55、59、51、及び63の内部に流入して、第3の蒸着粒子放出源68から蒸着粒子83として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重ならないように、基板Sの異なる領域に放出される。
【0186】
また、この第2のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第1のサブ蒸着工程の間)、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部と、配管50、51、58、59、62、及び63の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第2のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0187】
また、第2のサブ蒸着工程では、第1及び第4の排気バルブ71及び77は開放されており、排気ポンプ79は、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部、第1及び第4の排気バルブ71及び77の各内部、配管70、76、及び78の各内部、配管61、49、57、53、64、52、60、及び47の各内部、接続点C3及びC6の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管47側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管53側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管49側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管52側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管57側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管60側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0188】
次に、
図13のステップS10に示すように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第4の蒸着粒子放出源69から放出させるとともに、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第1の蒸着粒子放出源66から放出させる第3のサブ蒸着工程が行われる。
【0189】
具体的にいえば、
図16において、第3のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第4のスイッチングバルブ48側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第5のスイッチングバルブ54側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C6側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C5側が開放される。また、第1及び第4の排気バルブ71及び77は、閉じられている。
【0190】
そして、第3のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図16に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、47、52、60、及び64の内部に流入して、第4の蒸着粒子放出源69から蒸着粒子85として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図16に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、53、57、49、及び61の内部に流入して、第1の蒸着粒子放出源66から蒸着粒子84として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重ならないように、基板Sの異なる領域に放出される。
【0191】
また、この第3のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第2のサブ蒸着工程の間)、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部と、配管49、52、57、60、61、及び64の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第3のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0192】
また、第3のサブ蒸着工程では、第2及び第3の排気バルブ73及び75は開放されており、排気ポンプ79は、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部、第2及び第3の排気バルブ73及び75の各内部、配管72、74、及び78の各内部、配管62、50、58、45、63、51、59、及び55の各内部、接続点C4及びC5の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管45側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管55側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管50側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管51側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管58側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管59側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0193】
次に、
図13のステップS11に示すように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第3の蒸着粒子放出源68から放出させるとともに、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第2の蒸着粒子放出源67から放出させる第4のサブ蒸着工程が行われる。
【0194】
具体的にいえば、
図17において、第4のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第4のスイッチングバルブ48側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第5のスイッチングバルブ54側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C5側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C6側が開放される。また、第2及び第3の排気バルブ73及び75は、閉じられている。
【0195】
そして、第4のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図17に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、47、51、59、及び63の内部に流入して、第3の蒸着粒子放出源68から蒸着粒子87として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図17に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、53、58、50、及び62の内部に流入して、第2の蒸着粒子放出源67から蒸着粒子86として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重ならないように、基板Sの異なる領域に放出される。
【0196】
また、この第4のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第3のサブ蒸着工程の間)、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部と、配管50、51、58、59、62、及び63の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第4のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0197】
また、第4のサブ蒸着工程では、第1及び第4の排気バルブ71及び77は開放されており、排気ポンプ79は、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部、第1及び第4の排気バルブ71及び77の各内部、配管70、76、及び78の各内部、配管61、49、57、45、64、52、60、及び55の各内部、接続点C3及びC6の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管45側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管55側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管49側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管52側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管57側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管60側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0198】
続いて、
図13のステップS12に示すように、発光層5が形成されたかどうかについて判別される。つまり、発光層5が、所定の厚さ(例えば、300Å)で形成されたかどうかについて判別され、所定の厚さで形成されていると判別されれば、蒸着工程が終了される。一方、所定の厚さで形成されていないと判別されれば、上記ステップS8に戻る。
【0199】
尚、上記ステップS8に戻った場合、つまり第4のサブ蒸着工程に続いて第1のサブ蒸着工程が行われる場合、この第1のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第4のサブ蒸着工程の間)、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部と、配管49、52、57、60、61、及び64の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第1のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0200】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のスイッチングバルブ16、22、46、48、54、及び56を適切に動作することにより、第1蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のいずれか1つの蒸着粒子放出源から放出され、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のうち、ホスト材料14hの蒸着粒子を放出する蒸着粒子放出源とは異なる、いずれか1つの蒸着粒子放出源から放出される。この結果、本実施形態では、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とを基板S上の互いに異なる領域に同時に放出することができるので、ホスト材料14h及びドーパント材料14dの各蒸着粒子の利用効率を向上させることができ、ホスト材料層5aとドーパント材料層5bとの積層構造からなる発光層(共蒸着膜)5を歩留まりよく形成することができる。
【0201】
また、本実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の排気バルブ71、73、75、及び77には、1つの排気ポンプ79が接続されているので、第1、第2、第3、及び第4の排気バルブ71、73、75、及び77毎に、排気ポンプを設ける場合に比べて、蒸着装置11の装置構成を簡略化することができる。
【0202】
[第4の実施形態]
図18は、本発明の第4の実施形態にかかる有機EL素子の構成を示す断面図である。
図19は、本発明の第4の実施形態にかかる蒸着装置を説明する図である。
【0203】
図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、1つの基板に対して、ホスト材料の蒸着粒子とドーパント材料の蒸着粒子とを当該基板上で重なるように放出して、これらの蒸着材料を混合した蒸着粒子を用いて発光層を形成するインラインタイプの蒸着装置を構成した点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0204】
つまり、
図18において、本実施形態の有機EL素子1では、その発光層5は、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とを混合した蒸着粒子からなる混合層5dが複数積層された積層構造(共蒸着膜)によって構成されている。
【0205】
また、本実施形態の蒸着装置11では、第3の実施形態のものと同様に、
図13に示した第1〜第4のサブ蒸着工程が行われるようになっている。つまり、本実施形態の蒸着装置11では、第1蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のいずれか1つの蒸着粒子放出源から放出され、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子が、第1〜第4の蒸着粒子放出源66〜69のうち、ホスト材料14hの蒸着粒子を放出する蒸着粒子放出源とは異なる、いずれか1つの蒸着粒子放出源から放出される。
【0206】
また、本実施形態の蒸着装置11では、第3の実施形態のものと異なり、第1〜第4の各サブ蒸着工程において、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とが、基板S上で重なるように、放出されるようになっており、上記混合層5dからなる発光層5が形成される。
【0207】
次に、
図20乃至
図23も参照して、本実施形態の蒸着装置11の蒸着方法について具体的に説明する。
【0208】
図20は、上記第1のサブ蒸着工程での
図19に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図21は、上記第2のサブ蒸着工程での
図19に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図22は、上記第3のサブ蒸着工程での
図19に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
図23は、上記第4のサブ蒸着工程での
図19に示した蒸着装置の動作状態を説明する図である。
【0209】
本実施形態の蒸着装置11では、上述したように、その蒸着工程に、第1〜第4のサブ蒸着工程が含まれている。そして、
図13のステップS8に示したように、本実施形態では、まず基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第1の蒸着粒子放出源66から放出させるとともに、基板Sに対して、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第4の蒸着粒子放出源69から放出させる第1のサブ蒸着工程が行われる。
【0210】
具体的にいえば、
図20において、第1のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第3のスイッチングバルブ46側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第6のスイッチングバルブ56側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C5側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C6側が開放される。また、第1及び第4の排気バルブ71及び77は、閉じられている。
【0211】
そして、第1のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図20に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、45、49、57、及び61の内部に流入して、第1の蒸着粒子放出源66から蒸着粒子88として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図20に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、55、60、52、及び64の内部に流入して、第4の蒸着粒子放出源69から蒸着粒子89として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重なるように、基板Sの全面に放出される。
【0212】
また、第1のサブ蒸着工程では、第2及び第3の排気バルブ73及び75は開放されており、排気ポンプ79は、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部、第2及び第3の排気バルブ73及び75の各内部、配管72、74、及び78の各内部、配管62、50、58、53、63、51、59、及び47の各内部、接続点C4及びC5の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管47側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管53側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管50側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管51側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管58側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管59側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0213】
次に、
図13のステップS9に示したように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第2の蒸着粒子放出源67から放出させるとともに、基板Sに対して、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第3の蒸着粒子放出源68から放出させる第2のサブ蒸着工程が行われる。
【0214】
具体的にいえば、
図21において、第2のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第3のスイッチングバルブ46側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第6のスイッチングバルブ56側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C4側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C6側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C3側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C5側が開放される。また、第2及び第3の排気バルブ73及び75は、閉じられている。
【0215】
そして、第2のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図21に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、45、50、58、及び62の内部に流入して、第2の蒸着粒子放出源67から蒸着粒子90として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図21に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、55、59、51、及び63の内部に流入して、第3の蒸着粒子放出源68から蒸着粒子91として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重なるように、基板Sの全面に放出される。
【0216】
また、この第2のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第1のサブ蒸着工程の間)、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部と、配管50、51、58、59、62、及び63の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第2のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0217】
また、第2のサブ蒸着工程では、第1及び第4の排気バルブ71及び77は開放されており、排気ポンプ79は、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部、第1及び第4の排気バルブ71及び77の各内部、配管70、76、及び78の各内部、配管61、49、57、53、64、52、60、及び47の各内部、接続点C3及びC6の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管47側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管53側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管49側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管52側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管57側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管60側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0218】
次に、
図13のステップS10に示したように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第4の蒸着粒子放出源69から放出させるとともに、基板Sに対して、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第1の蒸着粒子放出源66から放出させる第3のサブ蒸着工程が行われる。
【0219】
具体的にいえば、
図22において、第3のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第4のスイッチングバルブ48側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第5のスイッチングバルブ54側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C6側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C5側が開放される。また、第1及び第4の排気バルブ71及び77は、閉じられている。
【0220】
そして、第3のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図22に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、47、52、60、及び64の内部に流入して、第4の蒸着粒子放出源69から蒸着粒子93として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図22に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、53、57、49、及び61の内部に流入して、第1の蒸着粒子放出源66から蒸着粒子92として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重なるように、基板Sの全面に放出される。
【0221】
また、この第3のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第2のサブ蒸着工程の間)、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部と、配管49、52、57、60、61、及び64の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第3のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0222】
また、第3のサブ蒸着工程では、第2及び第3の排気バルブ73及び75は開放されており、排気ポンプ79は、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部、第2及び第3の排気バルブ73及び75の各内部、配管72、74、及び78の各内部、配管62、50、58、45、63、51、59、及び55の各内部、接続点C4及びC5の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管45側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管55側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管50側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管51側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管58側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管59側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0223】
次に、
図13のステップS11に示したように、本実施形態では、基板Sに対して、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子を第3の蒸着粒子放出源68から放出させるとともに、基板Sに対して、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子を第2の蒸着粒子放出源67から放出させる第4のサブ蒸着工程が行われる。
【0224】
具体的にいえば、
図23において、第4のサブ蒸着工程では、第1のスイッチングバルブ16の第4のスイッチングバルブ48側が開放され、第2のスイッチングバルブ22の第5のスイッチングバルブ54側が開放される。また、第3のスイッチングバルブ46の接続点C3側が開放され、第4のスイッチングバルブ48の接続点C5側が開放される。また、第5のスイッチングバルブ54の接続点C4側が開放され、第6のスイッチングバルブ56の接続点C6側が開放される。また、第2及び第3の排気バルブ73及び75は、閉じられている。
【0225】
そして、第4のサブ蒸着工程では、第1の蒸着源12からのホスト材料14hの蒸着粒子は、
図23に左斜め下のハッチにて示すように、配管15、47、51、59、及び63の内部に流入して、第3の蒸着粒子放出源68から蒸着粒子95として基板Sに放出される。同時に、第2の蒸着源13からのドーパント材料14dの蒸着粒子は、
図23に右斜め下のハッチにて示すように、配管21、53、58、50、及び62の内部に流入して、第2の蒸着粒子放出源67から蒸着粒子94として基板Sに放出される。また、ホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とは、互いに重なるように、基板Sの全面に放出される。
【0226】
また、この第4のサブ蒸着工程の直前まで(つまり、第3のサブ蒸着工程の間)、第2及び第3の蒸着粒子放出源67及び68の各内部と、配管50、51、58、59、62、及び63の各内部とは、排気ポンプ79によって排気されていたため、当該第4のサブ蒸着工程では、コンタミや異なる材料の混入が生じるのを防いで、対応する蒸着粒子を蒸着することが可能となる。
【0227】
また、第4のサブ蒸着工程では、第1及び第4の排気バルブ71及び77は開放されており、排気ポンプ79は、第1及び第4の蒸着粒子放出源66及び69の各内部、第1及び第4の排気バルブ71及び77の各内部、配管70、76、及び78の各内部、配管61、49、57、45、64、52、60、及び55の各内部、接続点C3及びC6の各内部、第1のスイッチングバルブ16の配管45側の内部、第2のスイッチングバルブ22の配管55側の内部、第3のスイッチングバルブ46の配管49側の内部、第4のスイッチングバルブ48の配管52側の内部、第5のスイッチングバルブ54の配管57側の内部、及び第6のスイッチングバルブ56の配管60側の内部の蒸着粒子を外部に排気している。
【0228】
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、基板Sに対して、互いに重なるようにホスト材料14h及びドーパント材料14dの各蒸着粒子を同時に放出するので、これらホスト材料14hの蒸着粒子とドーパント材料14dの蒸着粒子とが混合された発光層(共蒸着膜)5を効率よく形成することができるとともに、より均質な発光層5を形成することができる。
【0229】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0230】
例えば、上記の説明では、本発明の蒸着装置及び蒸着方法を用いて、有機EL素子の発光層を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定さえるものではなく、複数の蒸着源から発生した二種類以上の蒸着粒子を共蒸着して、共蒸着膜(被膜)を形成するものであれば何等限定されない。具体的には、有機EL素子の正孔注入層などの他の構成要素を形成してもよい。また、本発明は、有機薄膜太陽電池や有機薄膜ダイオードなどの他の有機素子、またはその他の共蒸着膜を有する素子等に適用することができる。
【0231】
また、上記第1〜第4の実施形態では、発光層、正孔輸送層、及び電子輸送層を別個に設けた構成について説明したが、本発明の有機EL素子はこれに限定されるものではなく、例えば正孔輸送層を兼用した発光層を用いたり、電子輸送層を兼用した発光層を用いたりする構成でもよい。