(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本実施形態では、
図1に示すようなレンズ鏡筒10と、撮像装置20と、記憶媒体40とを有する装置を例に挙げて説明する。
【0019】
撮像装置20は、レンズ鏡筒10から入射される光学像を撮像する。得られた画像は静止画又は動画の画像として、記憶媒体40に記憶される。
【0020】
レンズ鏡筒10は、焦点調整レンズ(以下、「AF(Auto Focus)レンズ」と称する)11と、レンズ駆動部12と、AFエンコーダ13と、鏡筒制御部14とを備える。なお、レンズ鏡筒10は、撮像装置20に着脱可能に接続されても良いし、撮像装置20と一体であっても良い。
【0021】
撮像装置20は、撮像部21と、画像処理装置22と、表示部23と、バッファメモリ部24と、記憶部25と、CPU26と、操作部27と、通信部28とを備える。撮像部21は、撮像素子29と、A/D(Analog/Digital)変換部30とを備える。撮像部21は、不図示の撮像素子を備え、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って、CPU26により制御される。
【0022】
レンズ鏡筒10において、AFレンズ11は、レンズ駆動部12により駆動され、撮像装置20の撮像部21における不図示の撮像素子の受光面(光電変換面)に、光学像を導く。AFエンコーダ13は、AFレンズ11の移動を検出し、AFレンズ11の移動量に応じた信号を、鏡筒制御部14に出力する。ここで、AFレンズ11の移動量に応じた信号とは、例えば、AFレンズ11の移動量に応じて位相が変化するサイン(sin)波信号であってもよい。
【0023】
鏡筒制御部14は、撮像装置20のCPU26から入力される駆動制御信号に応じて、レンズ駆動部12を制御する。ここで、駆動制御信号とは、AFレンズ11を光軸方向に駆動させる制御信号である。鏡筒制御部14は、駆動制御信号に応じて、例えば、レンズ駆動部12に出力するパルス電圧のステップ数を変更する。また、鏡筒制御部14は、AFレンズ11の移動量に応じた信号に基づいて、レンズ鏡筒10におけるAFレンズ11の位置(フォーカスポジション)を、撮像装置20のCPU26に出力する。ここで、鏡筒制御部14は、例えば、AFレンズ11の移動量に応じた信号を、AFレンズ11の移動方向に応じて積算することで、レンズ鏡筒10におけるAFレンズ11の移動量(レンズの位置)を算出してもよい。レンズ駆動部12は、鏡筒制御部14の制御に応じてAFレンズ11を駆動し、AFレンズ11をレンズ鏡筒10内で光軸方向に移動させる。
【0024】
撮像装置20において、撮像部21は、例えば、レンズ鏡筒10(光学系)により光電変換面に結像された光学像を撮像素子内でデジタル信号に変換して出力する撮像素子を備えても良い。また、例えば、撮像部21は、撮像素子およびA/D変換部を備え、撮像素子はレンズ鏡筒10(光学系)により光電変換面に結像された光学像を電気信号に変換してA/D変換部に出力し、A/D変換部は、撮像素子によって変換された電気信号をデジタル化して、デジタル信号として出力する構成としても良い。なお、撮像素子は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの光電変換素子で構成される。また、撮像素子は、光電変換面の一部の領域について、光学像を電気信号に変換するようにしてもよい(画像切り出し)。また、撮像部21は、操作部27を介してユーザからの撮影指示を受け付けた際に得られる画像を、通信部28を介して記憶媒体40に出力する。一方、撮像部21は、操作部27を介してユーザからの撮影指示を受け付ける前の状態において、連続的に得られる画像をスルー画像として、バッファメモリ部24及び表示部23に出力する。
【0025】
画像処理装置22は、記憶部25に記憶されている画像処理条件に基づいて、バッファメモリ部24に一時的に記憶されている画像に対する画像処理を行う。そして、画像処理後の画像は、通信部28を介して記憶媒体40に記憶される。また、画像処理装置22は、バッファメモリ部24に一時的に記憶されている画像に対して、マスク抽出処理を行う(詳細は後述する)。そして、マスク抽出処理の結果に関する情報は、CPU26に出力されるとともに、記憶部25や記憶媒体40等に記憶される。
【0026】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイであって、撮像部21によって生成された画像、及び操作画面等を表示する。バッファメモリ部24は、撮像部21によって生成された画像を一時的に記憶する。記憶部25は、撮像条件や、各種判定の際にCPU26によって参照される判定条件などを記憶する。
【0027】
CPU26は、領域検出部31、特性算出部32、制御部33の各部を備え、画像処理部22や記憶部25などから適宜必要な情報を取得し、取得した情報に基づいて、撮像装置20内の各部を統括的に制御する。各部の具体的な動作については後述する。CPU26による制御には、焦点調整(AF)の設定、露出調整(AE)の設定、ホワイトバランス調整(WB)の設定、閃光の発光量の変更の設定、被写体追尾の設定、各種撮影モードの設定、各種画像処理の設定、各種表示の設定、ズーム倍率に連動した明るさの最適化の設定などが含まれる。また、CPU26は、操作部27の操作状態を監視するとともに、表示部23への画像データの出力を行う。
【0028】
操作部27は、例えば、電源スイッチ、シャッタボタン、マルチセレクタ(十字キー)、又はその他の操作キーを備え、ユーザによって操作されることでユーザの操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をCPU26に出力する。
【0029】
通信部28は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体40と接続され、この記憶媒体40への情報(画像データ、領域の情報など)の書込み、読み出し、あるいは消去を行う。
【0030】
記憶媒体40は、撮像装置20に対して着脱可能に接続される記憶部であって、情報(画像データ、領域の情報など)を記憶する。なお、記憶媒体40は、撮像装置20と一体であってもよい。
【0031】
撮像装置20は、撮影時に、焦点調節情報に基づいて特定領域(例えば、主要被写体領域や注目領域など)を検出する通常モードの他に、自動で特定領域を検出する自動検出モードを備える。自動検出モードは、構図確認用のスルー画像等に基づいて、特定領域を自動で継続的に検出し、検出した特定領域の情報に基づいて、各部を制御するモードである。この自動検出モードは操作部27を介したユーザ操作により設定可能であっても良いし、CPU26により自動で設定可能であっても良い。
【0032】
ここで、本実施形態により解決しようとするケースについて
図2を参照して説明する。
図2A、
図2B、
図2Cは、時間的に連続して生成された画像である。
図2Aから
図2Cでは、被写界の手前側に主要被写体である人物が存在し、被写界の奥側にバスが存在している。そして、手前側の人物はユーザによるフレーミングにより画面内での位置が変化しており、奥側のバスは画面の左側から右側に向かって移動している。このような場合に、従来の自動検出を行うと、
図2Aに示すように、背景(後景)であるバスが、前景である人物により分断され、複数の特定領域として抽出される場合がある。また、
図2Aの場合には、例えば、m1〜m4の4つの特定領域が抽出され、特定領域m2が主要被写体領域として検出される。しかし、
図2Bの場合には、例えば、m1〜m3の3つの特定領域が抽出され、特定領域m1が主要被写体領域として検出されてしまう場合がある。これは、
図2Bの例において、背景であるバスの一部に相当する特定領域m1の方が、前景である人物に相当する特定領域m2よりも中央に近いためである。このように、本来は背景である被写体が主要被写体領域として抽出されてしまい、必ずしもユーザにとって望ましい特定領域が抽出されないという問題を解消するために、本実施形態では、被写体に応じて、的確に特定領域の抽出を行うことを目的とした処理を実行する。
【0033】
以下、特定領域として主要被写体領域を検出する自動検出モード実行時のCPU26の動作について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
ステップS101において、CPU26は、撮像部21を制御して、スルー画像の取得を開始する。取得されたスルー画像の画像情報はバッファメモリ部24に一時的に記憶される。このスルー画像は、所定の時間間隔で連続して生成される。そして、CPU26によるスルー画像の取得は、時間的に連続して順次行われる。
【0035】
ステップS102において、CPU26は、画像処理装置22を制御して通常の画像処理を行う。通常の画像処理とは、ホワイトバランス調整、補間処理、色調補正処理、階調変換処理などである。各処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。画像処理装置22は、バッファメモリ部24から対象となる画像の画像データを取得し、画像処理を施した後に、再びバッファメモリ部24に出力する。
【0036】
ステップS103において、CPU26は、領域検出部31によりマスク抽出処理を行う。マスク抽出処理とは、画像における特徴量を算出し、特徴量が類似する、または、同一のかたまり(マスク)に基づいて主要被写体領域を検出するための一手法である。例えば、領域検出部31は、画像における特徴量から評価値を求め、同一、または同一と見なせる評価値の連続領域を求めることによりマスク抽出を行う。マスクには、例えば、純色マスク、色マスク、輝度マスク等が含まれる。マスク抽出の手法はどのような方法であっても良い。また、マスク抽出の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。
【0037】
なお、画像処理装置22は、複数種類のマスクを作成し、作成した複数種類のマスクから、不要なマスクを排除し、残ったマスクについて優先度を決定する。優先度とは、複数種類のマスクから、実際に被写体領域の抽出に用いるマスクを決定する際の優先度合を示す。優先度は、一般に、色情報に関するマスクの優先度が相対的に高く決定されている。そして、画像処理装置22は、これらの優先度に応じて、優先度の高い各マスクを優先しつつ、一定評価値以上のマスクを求め、被写体領域を抽出するためのマスクとする。また、ステップS103において、画像処理装置22は、評価値の高い順にN個のマスクを抽出する。なお、上述したNは所定の数(例えば、N=5)であり、操作部27を介したユーザ操作などに基づいて適宜変更可能としても良い。画像処理装置22は、選択したN個のマスクに基づいて、それぞれ被写体領域を抽出し、後述するステップS104に進む。以下では、上述したN=5とし、画像処理装置22は、5個のマスク(マスクM1〜M5)を抽出するものとする。そして、以降のマスク抽出処理においては、基本的に、この5個のマスク(マスクM1〜M5)を継続的に抽出する。なお、この5個のマスク(マスクM1〜M5)については、抽出条件を緩く設定し、継続的な抽出を行いやすくしても良い。
【0038】
ステップS104において、CPU26は、被写体領域を抽出できたか否かを判定する。CPU26は、1つ以上の被写体領域を抽出できたと判定するとステップS105に進む。一方、被写体領域を1つも抽出できないと判定すると、CPU26は、ステップS102に戻り、次のフレームの画像に対してステップS102以降の処理を行う。
【0039】
ステップS105において、CPU26は、マスク情報を記録する。CPU26は、ステップS103で実行したマスク抽出処理の結果についての情報を、マスク情報としてバッファメモリ部24や記憶部25等に記録する。マスク情報には、ステップS103のマスク抽出処理の抽出条件(色区分やマスク区分など)、マスクの位置、マスクの大きさや形状、評価値による各マスクの順位などの情報が含まれる。
【0040】
ステップS106において、CPU26は、n回(nフレーム)以上連続して同一のマスクを抽出したか否かを判定する。CPU26は、n回以上連続して同一のマスクを抽出したと判定すると、同一の被写体領域が継続的に検出されているものとし、後述するステップS107に進む。一方、n回以上連続して同一のマスクを抽出していないと判定すると、CPU26は、上述したステップS102に戻り、次のスルー画像を対象としてステップS102以降の処理を行う。
【0041】
この判定は、ステップS103で説明した5個のマスクのそれぞれについて行われる。ただし、必ずしも全てのマスクについてn回以上連続して同一のマスクを抽出する必要はなく、ステップS103で説明した5個のマスクのうち、少なくとも1つのマスクについて、n回以上連続して同一のマスクを抽出すれば良い。同一のマスクを抽出する場合とは、複数フレームにおいて、略同色、略同サイズのマスクが、略同じ位置において抽出される場合である。この判定には、ステップS105で説明したマスク情報等を用いれば良い。何れの場合も、フレーム間の変化量が規定以内である場合に、同一と判定することができる。
【0042】
なお、上述したnは所定の閾値(例えば、n=7)であり、撮像部21による撮像時のフレームレート、レンズ鏡筒10におけるズーム倍率、操作部27を介したユーザ操作などに基づいて適宜変更可能としても良い。さらに、ステップS105で説明したマスク情報等に基づいて、過去に行われたマスク抽出の傾向(抽出されたマスクの種類、出現頻度など)を求め、この傾向に応じて上述したnの値を適宜変更可能としても良い。例えば、過去に高い頻度で抽出されたマスクについては、nの値を小さめに変更しても良い。
【0043】
また、CPU26は、ステップS106で行った判定の内容を、ステップS105で説明したマスク情報に追加して記録しておき、以降のフレームに関する処理時に用いる構成としても良い。
【0044】
また、CPU26は、上述した以外の方法でマスク抽出処理が安定して行われているか否かを判定する構成としても良い。例えば、前回まで連続して同一のマスクを抽出したか否かを加味して判定を行っても良い。このような構成とすれば、今回のみ一時の未抽出が発生した場合でも、それまでの蓄積を無効にせず、次のフレームにおいて同一のマスクを抽出した場合には、前回までの安定状態が維持されているものと見なすことができる。例えば、
図2で例示したケースとは逆に、人物が奥側に存在し、その手前側を車や電車などが通過する場合にも、一時の未抽出として対応することができる。
【0045】
ステップS107において、CPU26は、特性算出部32により各マスクの面積の変化特性を算出する。特性算出部32は、複数のフレームにおいて、所定の時間内の各マスクの面積の変化を求める。
図4は、フレーム番号(時刻)とマスク面積との関係を示すグラフである。
図4の縦軸はマスク面積を示し、上に行くほど面積は大きくなる。
図4の横軸は、フレーム番号(時刻)を示し、右へ行くほどフレーム番号は大きくなり、時間が経過する。特性算出部22は、
図4に示すように、ステップS103で説明した5個のマスク(マスクM1〜M5)のそれぞれについて、変化特性として、マスク面積の変化を求める。
【0046】
ステップS108において、CPU26は、制御部33により、ステップS107で算出した変化特性に基づいて、主要被写体領域を抽出できたか否かを判定する。CPU26は、制御部33により主要被写体領域を抽出できたと判定するとステップS109に進む。一方、制御部33により主要被写体領域を抽出できていないと判定すると、CPU26は、上述したステップS102に戻り、次のスルー画像を対象としてステップS102以降の処理を行う。
【0047】
主要被写体領域を抽出できたか否かは、ステップS107で算出した変化特性に基づき、所定の基準フレーム(基準画像)と処理対象のフレーム(画像)とにおけるマスク面積の変化に基づいて判定するか、または、処理対象のフレーム(画像)とその直前の(または処理対象のフレームよりも前に取得された)フレーム(画像)とにおけるマスク面積の変化に基づいて判定することができる。基準フレームは、例えば、所定の時刻のフレームであっても良いし、ステップS106でn回(nフレーム)以上連続して同一のマスクを抽出したと判定した際の、n回の最初のフレームであっても良い。
【0048】
制御部33は、例えば、任意のマスクに関して、面積の変化が大きいほど、そのマスクの優先度を低く設定する。つまり、制御部33は、面積の変化が大きいほど、そのマスクを主要被写体領域として抽出させにくくする、あるいは、主要被写体領域として抽出させないようにする。
図2でも説明したように、背景(後景)の領域は、面積の変化が大きくなる傾向がある。そこで、
図4の例では、マスクM1については、面積の変化が大きいため、主要被写体領域ではなく、背景(後景)の領域であると判断する。
【0049】
逆に、制御部33は、任意のマスクに関して、面積の変化が小さいほど、そのマスクの優先度を高く設定する。つまり、面積の変化が小さいほど、制御部33は、そのマスクを主要被写体領域として抽出させやすくする、あるいは、主要被写体領域として抽出させるようにする。
図2でも説明したように、主要被写体領域は、面積の変化が小さい(あるいは無い)傾向がある。そこで、
図4の例では、マスクM2やマスクM4については、面積の変化が小さいため、背景(後景)の領域ではなく、主要被写体領域であると判断する。
【0050】
なお、制御部33は、このような判定を、どのようなファクターを用いて行っても良い。例えば、制御部33は、平均値やメディアン値を求めることにより、マスク面積を統計的に評価し、面積比率や、画面の中心からのマスクの距離変化などをファクターとしても良い。また、例えば、制御部33は、面積変化の偏差や、画面の中心からのマスクの距離偏差などをファクターとしても良い。
【0051】
以上説明したステップS108の判定について、
図5を参照して説明する。
図5のFaからFeは、それぞれ、フレーム番号1,10,20,30,40の画像に対して、従来のマスク抽出処理を行った場合の例を示し、
図5のFAからFEは、同様に、それぞれ、フレーム番号1,10,20,30,40の画像に対して、本実施形態のマスク抽出処理を行った場合の例を示す。
図5のFaからFe、FAからFEにおいては、ステップS103で説明した5個のマスク(マスクM1〜M5)(の一部)が抽出されている。なお、マスクM2およびマスクM5が本来の主要被写体に相当する領域であり、その他のマスクは背景(後景)に相当する領域であるものとする。
図5のFaおよびFbにおいては、主要被写体に相当する領域であるマスクM2が主要被写体領域として正しく抽出される。
図5のFAおよびFBにおいても同様である。しかし、
図5のFcにおいては、背景(後景)に相当する領域であるマスクM1が主要被写体領域として誤って抽出される。一方、
図5のFCにおいては、上述した判定により、マスクM1の優先度が低く設定されるため、背景(後景)に相当する領域であるマスクM1は主要被写体領域として誤って抽出されていない。そして、
図5のFdおよびFeにおいては、新たに画面内に入ってきた主要被写体に相当する領域であるマスクM5が主要被写体領域として正しく抽出される。
図5のFDおよびFEにおいても同様である。
【0052】
制御部33が、上述した処理を行うと、CPU26は、主要被写体領域を抽出できたか否かの判定を行う。
【0053】
ステップS109において、CPU26は、制御部33により主要被写体領域を設定する。CPU26は、ステップS108において主要被写体と判定されたマスクに対応する領域を主要被写体領域として設定する。この主要被写体領域は撮影準備動作に用いることができる。
【0054】
ステップS110において、CPU26は、撮影指示が行われたか否かを判定する。CPU26は、撮影指示が行われたと判定するとステップS111に進む。一方、所定の時間を経過しても撮影指示が行われないと判定すると、CPU26は、上述したステップS102に戻り、次のスルー画像を対象としてステップS102以降の処理を行う。なお、撮影指示は、操作部27のシャッタボタンを介したユーザ操作により行われる。このユーザ操作は、いわゆる半シャッタと全シャッタの何れであっても良い。
【0055】
ステップS111において、CPU26は、各部を制御して撮影を実行する。なお、AE、AF、WB等の処理については、ステップS109で設定した主要被写体領域の情報に基づいて行われる。
【0056】
ステップS112において、CPU26は、ステップS111で実行した撮影により生成した画像の画像データを、通信部28を介して記憶媒体40に記録して一連の処理を終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、時間的に連続して生成された複数の画像データを順次取得し、取得した画像データにより示される画像の特徴量を複数算出し、複数の特徴量に基づいて特定領域(例えば、被写体領域や注目領域など)を検出する領域検出部と、取得した複数の画像データにより示される画像のうち、少なくとも2枚の画像について算出された特徴量に基づいて、特徴量の変化特性を求める特性算出部とを備え、変化特性に基づいて、複数の特徴量における優先度を決定し、決定した優先度に基づいて領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、上述の構成により、背景(後景)である被写体の領域が誤って特定領域として抽出されるのを防ぎ、被写体に応じて、的確に特定領域の抽出を行うことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、複数の画像データにより示される画像のうち、少なくとも2枚の画像において検出された特定領域を比較することにより、領域検出部により特定領域が継続的に検出されているか否かを判定し、特定領域が継続的に検出されていると判定すると、特性算出部により変化特性を求め、優先度に基づいて領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、変化特性により被写体の変化を把握し、被写体の変化に応じた特定領域の抽出を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、複数の画像データにより示される画像のうち、少なくとも2枚の画像について検出された特定領域の面積に関する変化特性を求め、求めた変化特性に基づいて、変化特性の算出の対象となった特定領域の検出に用いた特徴量の優先度を決定し、決定した優先度に基づいて領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、面積に関する変化特性によって、被写体の変化をより正確に把握することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、変化特性に基づいて、面積の変化が大きいほど、優先度を低く設定して、領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、面積の変化が大きいほど、その領域は背景(後景)の領域であると判断し、背景(後景)である被写体の領域が誤って特定領域として抽出されるのを防ぐことができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、変化特性に基づいて、面積の変化率を求め、変化率が所定の閾値より大きい場合には、変化特性の算出の対象となった特定領域の検出に用いた特徴量の優先度を、変化率が所定の閾値より小さい場合よりも低く設定して、領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、面積の変化率が大きいほど、その領域は背景(後景)の領域であると判断し、背景(後景)である被写体の領域が誤って特定領域として抽出されるのを防ぐことができる。
【0062】
なお、上記の実施形態では、変化特性に応じて優先度を決定する例を示したが、特殊な例として、変化特性に応じて優先度を下げたマスクであっても、継続的に抽出されたマスクについては、特定領域として抽出しても良い。つまり、複数の画像データにより示される画像のうち、少なくとも2枚の画像において検出された特定領域を比較することにより、領域検出部により特定領域が継続的に検出されているか否かを判定し、特定領域が継続的に検出されていると判定すると、継続的に検出された特定領域の検出に用いた特徴量の優先度を、特定領域が継続的に検出されていない場合よりも高く設定して、領域検出部による特定領域の検出を行う。したがって、特定領域が継続的に検出されている場合には、その特定領域がユーザの所望の領域であると判断して、的確な特定領域の抽出を行うことができる。
【0063】
また、上記の実施形態においては、一連の処理を行っている最中にレンズ鏡筒10におけるズーム倍率が変更された場合には、面積の比較は無用となる。そのため、このような場合には、処理をリセットするか、または、ズーム倍率に応じた面積の換算を適宜実行すると良い。
【0064】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0065】
上記の実施形態では、構図確認用のスルー画像に基づいて、一連の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、一眼レフカメラなどにおいて生成される構図確認用のライブビュー画像を対象とする場合にも、本発明を同様に適用することができる。また、記憶媒体40等に記録された動画像を対象とする場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0066】
また、上記の実施形態においては、すべてのフレームを対象として一連の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、時間的に間欠して生成された複数の画像を対象としても良い。具体的には、適宜フレーム間引きを行った複数の画像を対象としても良い。この場合、上記の実施形態における一連の処理は間引きされた複数の画像を対象として実行しつつ、すべての画像について表示を行っても良い。このような処理を行うことにより、処理負荷を軽減することができる。
【0067】
また、コンピュータと画像処理プログラムとを有する「コンピュータシステム」により、上述した実施形態で説明した画像処理をソフトウェア的に実現しても良い。この場合、実施形態で説明したフローチャートの処理の一部または全部をコンピュータシステムで実行する構成とすれば良い。例えば、
図3のステップS102からステップS109の処理の一部または全部をコンピュータで実行しても良い。このような構成とすることにより、上述した実施形態と同様の処理を実施することが可能になる。
【0068】
また、「コンピュータシステム」は、wwwシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0069】
さらにコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0071】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。