特許第6303658号(P6303658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6303658高分子化合物およびそれを用いた発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303658
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】高分子化合物およびそれを用いた発光素子
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/10 20060101AFI20180326BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20180326BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20180326BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   C08G61/10
   C08G61/12
   C09K11/06 680
   H05B33/14 B
【請求項の数】7
【全頁数】81
(21)【出願番号】特願2014-53076(P2014-53076)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-174931(P2015-174931A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】安立 誠
(72)【発明者】
【氏名】横家 星一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−073479(JP,A)
【文献】 特開2005−015508(JP,A)
【文献】 特表2013−509447(JP,A)
【文献】 特表2014−506003(JP,A)
【文献】 特開2003−277444(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/021180(WO,A1)
【文献】 「科学大辞典」,丸善株式会社,2005年,第2版,p.238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
C09K 11/06−11/07
H01L 51/50
C08L 1/00−101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2B)で表される燐光発光性化合物(B)の構造を有する燐光発光性構成単位(B)と、式(2G)または(3G)で表される燐光発光性化合物(G)の構造を有する燐光発光性構成単位(G)とを含み、
燐光発光性構成単位(B)および燐光発光性構成単位(G)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位が、デンドロンを有する燐光発光性構成単位である、高分子化合物
【化1】
[式中、
1B、式(BM)で表される燐光発光性化合物(B)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す
1Mは、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
【化2】
[式中、
Mは、イリジウム原子を表す
およびEは、炭素原子を表す。
環R1Bは、イミダゾール環またはトリアゾール環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R1Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R2Bは、6員環の芳香族炭化水素環を表し、この環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R2Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい
1Bおよび環R2Bからなる群から選ばれる少なくとも1つの環は、デンドロンを有する。]
【化3】
[式中、
1G、式(GM)で表される燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す
1Mは、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【化4】
[式中
2Gは、式(GM)で表される燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。
【化5】
[式中、
Mは、イリジウム原子を表す
は、炭素原子を表す
1Gは、ピリジン環、キノリン環またはイソキノリン環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R1Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R2Gは、6員環の芳香族炭化水素環を表し、この環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R2Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい
1Gおよび環R2Gからなる群から選ばれる少なくとも1つの環は、デンドロンを有する。]
【請求項2】
前記環R2Bが、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環またはフェナントレン環である、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
前記デンドロンが、式(D−A)または(D−B)で表される基である、請求項1または2に記載の高分子化合物。
【化6】
[式中、
DA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【化7】
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記式(D−A)で表される基が、式(D−A1)、(D−A2)、(D−A3)または(D−A4)で表される基である、請求項に記載の高分子化合物。
【化8】
[式中、
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDAは、同一でも異なっていてもよい。
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
式(Y)で表される構成単位をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化9】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物と、
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物を用いた発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物およびそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)等の発光素子は、高発光効率、低電圧駆動等の特性のため、ディスプレイ等の用途に好適に使用することが可能であり、近年、注目されている。発光素子の発光層に用いる材料として、例えば、下記で表される燐光発光性化合物(B1)、燐光発光性化合物(G1)および燐光発光性化合物(G2)が記載されており、これらの燐光発光性化合物の構造を有する燐光発光性構成単位を2種以上含む高分子化合物が提案されている(特許文献1)。なお、燐光発光性化合物(B1)、燐光発光性化合物(G1)および燐光発光性化合物(G2)は、デンドロンを有さない燐光発光性化合物である。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−342325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の高分子化合物を用いて製造される発光素子は、その輝度寿命が必ずしも十分ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、輝度寿命に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、該高分子化合物を用いて得られる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1に、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)の構造を有する燐光発光性構成単位(B)と、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)の構造を有する燐光発光性構成単位(G)とを含み、燐光発光性構成単位(B)および/または燐光発光性構成単位(G)が、デンドロンを有する燐光発光性構成単位である、高分子化合物を提供する。
【0008】
本発明は、第2に、上記の高分子化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物を提供する。
【0009】
本発明は、第3に、上記の高分子化合物を用いた発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、輝度寿命に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することができる。また、本発明によれば、該高分子化合物を用いて得られる発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<共通する用語の説明>
以下、本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0013】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0014】
本明細書において、水素原子は重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0015】
本明細書において、燐光発光性化合物を表す構造式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合または配位結合を意味する。
【0016】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×103〜1×108である重合体を意味する。高分子化合物に含まれる構成単位は、合計100モル%である。
【0017】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0018】
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性や輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、主鎖と共役結合している基が好ましく、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0019】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
【0020】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0021】
「アルキル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0022】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0023】
「アルコキシ基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0024】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0025】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
【0026】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0027】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0028】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0029】
「アルケニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0030】
「アルキニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常6〜30であり、好ましくは6〜20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキセシニル基、5−ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0031】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
[式中、RおよびRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0036】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)〜式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
[式中、RおよびRaは、前記と同じ意味を表す。]
【0044】
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成する事が可能な基であり、好ましくは、式(B-1)、(B-2)、(B-3)、(B-4)、(B-5)、(B-6)、(B-7)、(B-8)、(B-9)、(B-10)、(B-11)、(B-12)、(B-13)、(B-14)、(B-15)、(B-16)または(B-17)で表される基である。
【0045】
【化13】
[式中、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0046】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基またはデンドロンであってもよい。
【0047】
<デンドロン>
「デンドロン」とは、原子または環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(デンドリマー構造)を有する基である。なお、デンドロンを部分構造として有する化合物(デンドリマーと呼ぶ場合がある。)としては、例えば、WO02/067343、特開2003−231692、WO2003/079736、WO2006/097717等の文献に記載の構造が挙げられる。
【0048】
デンドロンとしては、好ましくは、式(D-A)または(D-B)で表される基であり、より好ましくは式(D-A) で表される基である。
【0049】
【化14】
[式中、
DA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0050】
【化15】
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0051】
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、通常10以下の整数であり、5以下の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
【0052】
DA2およびmDA3は、同一の整数であることが好ましい。
【0053】
DA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0054】
DA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、同一の整数であることがより好ましく、mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、同一の整数であることが更に好ましい。
【0055】
DAは、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環またはカルバゾール環から環を構成する炭素原子または窒素原子に直接結合する水素原子3個を除いてなる基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0056】
DAが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
【0057】
DAは、より好ましくは式(GDA-11)〜(GDA-16)で表される基であり、更に好ましくは式(GDA-11)、(GDA-14)または(GDA-15)で表される基である。
【0058】
【化16】
[式中、
*は、式(D-A)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA2、または、式(D-B)におけるArDA3との結合を表す。
**は、式(D-A)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA4、または、式(D-B)におけるArDA6との結合を表す。
***は、式(D-A)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA5、または、式(D-B)におけるArDA7との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0059】
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0060】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、好ましくはフェニレン基、フルオレンジイル基、カルバゾールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ピリジンジイル基、ピリミジンジイル基またはトリアジンジイル基であり、より好ましくはフェニレン基、フルオレンジイル基またはカルバゾールジイル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0061】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が有していてもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0062】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、更に好ましくは式(ArDA-1)〜(ArDA-3)で表される基である。
【0063】
【化17】
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0064】
DBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基または1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0065】
ArDA2およびArDA3は、同一であることが好ましい。
【0066】
ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、同一であることが好ましい。
【0067】
ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、同一であることがより好ましく、ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、同一であることが更に好ましい。
【0068】
DAは、好ましくは式(TDA-1)〜(TDA-3)で表される基であり、より好ましくは式(TDA-1)または(TDA-3)で表される基であり、更に好ましくは式(TDA-1)で表される基である。
【0069】
【化18】
[式中、RDAおよびRDBは前記と同じ意味を表す。]
【0070】
複数あるTDAは、同一であることが好ましい。
【0071】
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)〜(D-A4)で表される基である。
【0072】
【化19】
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0073】
式(D-B)で表される基は、好ましくは式(D-B1)〜(D-B3)で表される基である。
【0074】
【化20】
[式中、
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。np1およびnp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0075】
np1は、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
【0076】
p1、Rp2およびRp3は、好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基である。
【0077】
デンドロンとしては、例えば、式(D−A−1)〜(D−A−18)および(D−B−1)〜(D−B−8)で表される基が挙げられる。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
[式中、*、**および***は、前記と同じ意味を表す。]
【0080】
【化21】
【0081】
【化22】
【0082】
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していもてよく、メチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、式(Rp−1)で表される基または2−エチルヘキシルオキシ基であることが好ましく、tert−ブチル基または式(Rp−1)で表される基がより好ましい。
【0083】
【化23】
【0084】
<燐光発光性化合物>
「燐光発光性化合物」は、燐光発光性を示す化合物を意味するが、好ましくは、三重項励起状態からの発光を示す金属錯体である。この三重項励起状態からの発光を示す金属錯体は、中心金属原子および配位子を有する。
【0085】
中心金属原子としては、原子番号40以上の原子で、錯体にスピン−軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態間の項間交差を起こし得る金属原子が例示される。該金属原子としては、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子および白金原子が例示される。
【0086】
配位子としては、中心金属原子との間に、配位結合および共有結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を形成する、中性もしくはアニオン性の単座配位子、または、中性もしくはアニオン性の多座配位子が例示される。中心金属原子と配位子との間の結合としては、金属−窒素結合、金属−炭素結合、金属−酸素結合、金属−リン結合、金属−硫黄結合および金属−ハロゲン結合が例示される。多座配位子とは、通常、2座以上6座以下の配位子を意味する。
【0087】
燐光発光性化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、American Dye Source等から入手可能である。
また、上記以外の入手方法として、「Journal of American Chemical Society,Vol.107,1431−1432(1985)」、「Journal of American Chemical Society,Vol.106,6647−6653(1984)」、国際公開第2011/024761号、国際公開第2002/44189号、特開2006−188673号公報等の文献に記載の公知の方法により製造することも可能である。
【0088】
燐光発光性化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、燐光発光性化合物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10−6〜1×10−3wt%程度)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。燐光発光性化合物を溶解させる有機溶媒としては、キシレンが好ましい。
【0089】
<燐光発光性構成単位(B)>
本発明の高分子化合物に含まれる燐光発光性構成単位(B)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)の構造を有する構成単位を意味する。
【0090】
燐光発光性化合物(B)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物であれば特に限定されないが、式(BM)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0091】
【化24】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子または白金原子を表す。
1Bは1以上の整数を表す。n2Bは0以上の整数を表す。但し、n1B+n2Bは2または3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n1B+n2Bは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n1B+n2Bは2である。
およびEは、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。EおよびEが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、EおよびEの少なくとも一方は炭素原子である。
環R1Bは、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R1Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R1Bが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環R2Bは、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R2Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R2Bが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R1Bが6員環の芳香族複素環である場合、環R2Bは電子求引基を有する。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表し、Gは、AおよびAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。AおよびAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0092】
Mは、イリジウム原子または白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
【0093】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n2Bは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0094】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合の場合、n2Bは0であることが好ましい。
【0095】
およびEは、炭素原子であることが好ましい。
【0096】
環R1Bは、1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員環または6員環の芳香族複素環であることが好ましく、2つ以上3つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員環の芳香族複素環または1つ以上2つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることがより好ましく、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環またはトリアゾール環であることが更に好ましく、イミダゾール環またはトリアゾール環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0097】
環R2Bは、6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、ピロール環、フラン環またはチオフェン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環またはピリミジン環であることが更に好ましく、ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環であることが特に好ましく、ベンゼン環であることがとりわけ好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0098】
環R1Bが6員環の芳香族複素環である場合、環R2Bが有する電子求引基の個数は、通常1個以上10個以下であり、式(BM)で表される燐光発光性化合物の合成が容易であるため、好ましくは2個以上5個以下であり、より好ましくは2個または3個である。
【0099】
「電子求引基」としては、例えば、−C(=X11)−R11で表される基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有するシクロアルキル基、シアノ基およびニトロ基が挙げられ、好ましくは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するシクロアルキル基またはシアノ基であり、より好ましくは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基またはフッ素原子を置換基として有するシクロアルキル基である。
【0100】
11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基または置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0101】
11は、=N−R12で表される基、酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。
【0102】
12は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0103】
11およびR12が有していてもよい置換基の定義および例は、後述の環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0104】
「ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基」とは、アルキル基が有する水素原子のうち、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された基を意味する。また、「ハロゲン原子を置換基として有するシクロアルキル基」とは、シクロアルキル基が有する水素原子のうち、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基およびパーフルオロオクチル基が挙げられ、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0105】
環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはデンドロンが更に好ましく、アルキル基、アリール基またはデンドロンが特に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合してそれぞれが結合する原子とともに環を形成してもよい。
【0106】
−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記で表される配位子が挙げられる。
【0107】
【化25】
【0108】
【化26】
[式中、*は、Mと結合する部位を示す。]
【0109】
燐光発光性化合物(B)がデンドロンを有する燐光発光性化合物(DB)である場合、燐光発光性化合物(DB)としては、式(BM)で表される燐光発光性化合物であって1つ以上のデンドロンを有する燐光発光性化合物であることが好ましく、式(BM)において、環R1Bおよび環R2Bからなる群から選ばれる少なくとも1つの環がデンドロンを有する燐光発光性化合物であることがより好ましい。
【0110】
「少なくとも1つの環はデンドロンを有する」とは、複数存在する環のうち、少なくとも1つの環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する水素原子の一部または全部がデンドロンで置換されていることを意味する。例えば、式(BM)において、環R1Bおよび環R2Bが複数存在する場合(即ち、n1Bが2または3である場合)、複数存在する環R1Bおよび複数存在する環R2Bのうち、少なくとも1つの環がデンドロンを有していればよい。
【0111】
環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンの個数は、通常1個以上5個以下であり、燐光発光性化合物の合成が容易であるため、好ましくは1個以上3個以下であり、より好ましくは1個または2個であり、更に好ましくは1個である。
【0112】
環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D-A)または(D-B)で表される基であり、且つ、mDA1が1以上の整数である場合、環R1Bおよび/または環R2Bに結合するArDA1は、式(ArDA−1)で表される基であることが好ましい。
【0113】
環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D-A)または(D-B)で表される基であり、且つ、mDA1が0である場合、環R1Bおよび/または環R2Bに結合するGDAは、式(GDA−11)または式(GDA−12)で表される基であることが好ましく、式(GDA−11)で表される基であることがより好ましい。
【0114】
環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンとしては、式(D-A1)、(D-A4)または(D-B1)で表される基であることが好ましく、式(D-A1)で表される基であることがより好ましい。
【0115】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、式(BM)で表される燐光発光性化合物が有するデンドロンの個数は、通常1個以上15個以下であり、式(BM)で表される燐光発光性化合物の合成が容易であるため、好ましくは1個以上9個以下であり、より好ましくは2個以上6個以下である。
【0116】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合、式(BM)で表される燐光発光性化合物が有するデンドロンの個数は、通常1個以上9個以下であり、式(BM)で表される燐光発光性化合物の合成が容易であるため、好ましくは1個以上6個以下であり、より好ましくは2個以上4個以下である。
【0117】
式(BM)において、添え字n1Bでその数を定義されている配位子(環R1B−環R2Bで表される配位子)の少なくとも1つは、式(BM−L1)〜(BM−L3)で表される配位子であることが好ましく、式(BM−L2)または(BM−L3)で表される配位子であることがより好ましく、式(BM−L2)で表される配位子であることが更に好ましい。
【0118】
【化27】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
B1は、=C(RB4)−または=N−を表す。
B1〜RB8は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、デンドロンまたは電子求引基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
但し、RB5〜RB8の少なくとも1つは電子求引基である。
B1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4、RB4とRB5、RB5とRB6、RB6とRB7、および、RB7とRB8は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0119】
B1は、=C(RB4)−であることが好ましい。
【0120】
B1、RB4およびRB8は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0121】
B2、RB3およびRB6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基またはデンドロンであることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0122】
B5は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、デンドロンまたは電子求引基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基または電子求引基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基または電子求引基であることが更に好ましく、水素原子または電子求引基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0123】
B7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、デンドロンまたは電子求引基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、デンドロンまたは電子求引基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、デンドロンまたは電子求引基であることが更に好ましく、水素原子、デンドロンまたは電子求引基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0124】
式(BM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RB1〜RB8の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RB2、RB3、RB6およびRB7の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0125】
式(BM−L1)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RB2、RB3、RB6およびRB7の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RB6およびRB7の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましく、RB6がデンドロンであることが更に好ましい。
【0126】
式(BM−L1)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RB2、RB3、RB5およびRB6の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RB2およびRB6の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0127】
B5およびRB7の少なくとも1つが電子求引基であることが好ましく、RB5およびRB7が電子求引基であることがより好ましい。
【0128】
式(BM)において、式(BM−L1)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRB1〜RB8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0129】
【化28】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
B2は、=C(RB10)−または=N−を表す。
B9〜RB15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、デンドロンまたは電子求引基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
B9とRB10、RB10とRB11、RB9とRB12、RB12とRB13、RB13とRB14、および、RB14とRB15は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0130】
B2は、=N−であることが好ましい。
【0131】
B9は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが好ましく、アルキル基、アリール基またはデンドロンであることがより好ましく、アルキル基またはアリール基であることが更に好ましく、アルキル基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0132】
B10およびRB11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0133】
B12およびRB15は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0134】
B13およびRB14は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基またはデンドロンであることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0135】
式(BM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RB9〜RB15の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RB9、RB11、RB13およびRB14の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0136】
式(BM−L2)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RB9、RB13およびRB14の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RB9およびRB13の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましく、RB13がデンドロンであることが更に好ましい。
【0137】
式(BM−L2)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RB9、RB11、RB13およびRB14の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RB9、RB11およびRB13の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましく、RB9およびRB11の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0138】
式(BM)において、式(BM−L2)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRB9〜RB15は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0139】
【化29】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
B3は、=C(RB16)−または=N−を表す。
B16〜RB22は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、デンドロンまたは電子求引基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
B16とRB17、RB17とRB18、RB16とRB19、RB19とRB20、RB20とRB21、および、RB21とRB22は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0140】
B3は、=N−であることが好ましい。
【0141】
B17は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが好ましく、アルキル基、アリール基またはデンドロンであることがより好ましく、アルキル基またはアリール基であることが更に好ましく、アルキル基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0142】
B16およびRB18は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0143】
B19およびRB22は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0144】
B20およびRB21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基またはデンドロンであることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0145】
式(BM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RB16〜RB22の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RB17、RB18、RB20およびRB21の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0146】
式(BM−L3)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RB17、RB20およびRB21の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RB17およびRB20の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましく、RB20がデンドロンであることが更に好ましい。
【0147】
式(BM−L3)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RB17、RB18、RB20およびRB21の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RB17、RB18およびRB20の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましく、RB17およびRB18の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが更に好ましく、RB17がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0148】
式(BM)において、式(BM−L3)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRB16〜RB22は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0149】
燐光発光性構成単位(B)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)の構造を有する構成単位(すなわち、燐光発光性化合物(B)を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上の水素原子を除いてなる基を有する構成単位)であるが、好ましくは、燐光発光性化合物(B)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上3個以下の水素原子を取り除いてなる基を有する構成単位であり、より好ましくは、式(1B)、(2B)、(3B)または(4B)で表される構成単位であり、更に好ましくは、式(2B)または(3B)で表される構成単位であり、特に好ましくは、式(2B)で表される構成単位である。
【0150】
<式(1B)で表される構成単位>
【0151】
【化30】
[式中、
1Bは、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す。
は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−、−C(R−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
a1は0以上の整数を表す。]
【0152】
は、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0153】
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基がより好ましく、水素原子またはアルキル基が更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0154】
は、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−またはアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0155】
、RおよびLが有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0156】
a1は、通常、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
【0157】
本発明の高分子化合物が式(1B)で表される構成単位を含む場合、式(1B)で表される構成単位は末端の構成単位である。
【0158】
「末端の構成単位」とは、高分子化合物の末端の構成単位を意味し、該末端の構成単位は、高分子化合物の製造において、末端封止剤から誘導される構成単位であることが好ましい。
【0159】
1Bは、式(BM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(BM−1)で表される基であることがより好ましい。
【0160】
【化31】
[式中、
M、E、E、環R1B、環R2BおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
環R1B1は、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R1B1が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環R2B1は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R2B1が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R1B1が6員環の芳香族複素環である場合、環R2B1は電子求引基を有する。
また、環R1B1および環R2B1の一方は、1つの結合手を有する。
およびnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。但し、n+nは1または2である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは2であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは1である。]
【0161】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、nが2であることがより好ましい。
【0162】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合の場合、nが1であることが好ましい。
【0163】
環R1B1が結合手を有さない場合、環R1B1の定義および例は、前述の環R1Bの定義および例と同様である。
【0164】
環R1B1が結合手を有する場合、環R1B1の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R1Bの定義および例と同様である。
【0165】
環R2B1が結合手を有さない場合、環R2B1の定義および例は、前述の環R2Bの定義および例と同様である。
【0166】
環R2B1が結合手を有する場合、環R2B1の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R2Bの定義および例と同様である。
【0167】
環R1B1−環R2B1で表される配位子が式(BM−L1)である場合、RB2、RB3、RB6またはRB7が結合手であることが好ましく、RB2、RB3またはRB6が結合手であることがより好ましく、RB2またはRB6が結合手であることが更に好ましく、RB6が結合手であることが特に好ましい。
【0168】
環R1B1−環R2B1で表される配位子が式(BM−L2)である場合、RB9、RB13またはRB14が結合手であることが好ましく、RB9またはRB13が結合手であることがより好ましく、RB13が結合手であることが更に好ましい。
【0169】
環R1B1−環R2B1で表される配位子が式(BM−L3)である場合、RB17、RB20またはRB21が結合手であることが好ましく、RB17またはRB20が結合手であることがより好ましく、RB20が結合手であることが更に好ましい。
【0170】
<式(2B)で表される構成単位>
【0171】
【化32】
[式中、
1Bは前記と同じ意味を表す。
およびLは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−、−C(R−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RおよびRは、前記と同じ意味を表す。LおよびLが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
b1およびnc1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するnb1は、同一でも異なっていてもよい。
Ar1Mは、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0172】
は、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、アリーレン基または2価の複素環基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0173】
は、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−またはアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0174】
b1およびnc1は、通常、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
【0175】
Ar1Mは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、フェノキサジン環またはフェノチアジン環から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環またはジヒドロフェナントレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることがより好ましく、ベンゼン環またはフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが更に好ましく、ベンゼン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0176】
、LおよびAr1Mが有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0177】
<式(3B)で表される構成単位>
【0178】
【化33】
[式中、
およびnb1は、前記と同じ意味を表す。
2Bは、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0179】
2Bは、式(BM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(BM−2)または(BM−3)で表される基であることがより好ましく、式(BM−2)で表される基であることが更に好ましい。
【0180】
【化34】
[式中、
M、E、E、環R1B、環R2B、環R1B1、環R2B1およびA−G−Aは前記と同じ意味を表す。複数存在する環R1B1は、同一でも異なっていてもよい。複数存在する環R2B1は、同一でも異なっていてもよい。
およびnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。但し、n+nは0または1である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは1であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは0である。]
【0181】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、nが1であることが好ましい。
【0182】
【化35】
[式中、
M、E、E、環R1B、環R2B、A−G−A、nおよびnは、前記と同じ意味を表す。
環R1B2は、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R1B2が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環R2B2は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R2B2が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R1B2が6員環の芳香族複素環である場合、環R2B2は電子求引基を有する。
また、環R1B2および環R2B2の一方は2つの結合手を有するか、または、環R1B2および環R2B2は、結合手を1つずつ有する。]
【0183】
環R1B2が結合手を有さない場合、環R1B2の定義および例は、前述の環R1Bの定義および例と同様である。
【0184】
環R1B2が結合手を有する場合、環R1B2の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R1Bの定義および例と同様である。
【0185】
環R2B2が結合手を有さない場合、環R2B2の定義および例は、前述の環R2Bの定義および例と同様である。
【0186】
環R2B2が結合手を有する場合、環R2B2の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R2Bの定義および例と同様である。
【0187】
環R1B2および環R2B2は、結合手を1つずつ有することが好ましい。
【0188】
環R1B2−環R2B2で表される配位子が式(BM−L1)である場合、RB2、RB3、RB6およびRB7のうち、2つが結合手であることが好ましく、RB2およびRB6、RB2およびRB7、RB3およびRB6、または、RB3およびRB7が結合手であることがより好ましい。
【0189】
環R1B2−環R2B2で表される配位子が式(BM−L2)である場合、RB9、RB13およびRB14のうち、2つが結合手であることが好ましく、RB9およびRB13、または、RB9およびRB14が結合手であることがより好ましい。
【0190】
環R1B2−環R2B2で表される配位子が式(BM−L3)である場合、RB17、RB20およびRB21のうち、2つが結合手であることが好ましく、RB17およびRB20、または、RB17およびRB21が結合手であることがより好ましい。
【0191】
<式(4B)で表される構成単位>
【0192】
【化36】
[式中、
およびnb1は、前記と同じ意味を表す。
3Bは、発光スペクトルの最大ピーク波長が400nm以上480nm未満である燐光発光性化合物(B)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0193】
3Bは、式(BM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(BM−4)で表される基であることが好ましい。
【0194】
【化37】
[式中、
M、E、E、環R1B、環R2B、環R1B1、環R2B1、環R1B2および環R2B2は前記と同じ意味を表す。
は0または1を表す。nは1または3を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、nは0であり、且つ、nは3である。Mがパラジウム原子または白金原子の場合、nは1であり、且つ、nは1である。]
【0195】
燐光発光性構成単位(B)としては、例えば、式(B−1)〜(B−17)で表される構成単位が挙げられる。
【0196】
【化38】
【0197】
【化39】
【0198】
【化40】
【0199】
【化41】
【0200】
【化42】
[式中、Deはデンドロンを表す。Deが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0201】
<燐光発光性構成単位(G)>
本発明の高分子化合物に含まれる燐光発光性構成単位(G)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)の構造を有する構成単位を意味する。
【0202】
燐光発光性化合物(G)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物であれば特に限定されないが、式(GM)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0203】
【化43】
[式中、
MおよびA−G−Aは前記と同じ意味を表す。
1Gは1以上の整数を表す。n2Gは0以上の整数を表す。但し、n1G+n2Gは2または3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n1G+n2Gは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n1G+n2Gは2である。
は、炭素原子または窒素原子を表す。Eが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R1Gは、6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R1Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環R2Gは、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R2Gが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R2Gが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。]
【0204】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n2Gは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0205】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合の場合、n2Gは0であることが好ましい。
【0206】
環R1Gは、1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることが好ましく、1つ以上2つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員環の芳香族複素環であることがより好ましく、ピリジン環、ジアザベンゼン環、キノリン環またはイソキノリン環であることが更に好ましく、ピリジン環、キノリン環またはイソキノリン環が特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0207】
環R2Gは、6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、ピロール環、フラン環またはチオフェン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環またはフルオレン環であることが更に好ましく、ベンゼン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0208】
環R1Gおよび環R2Gが有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環R1Bおよび環R2Bが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0209】
燐光発光性化合物(G)がデンドロンを有する燐光発光性化合物(DG)である場合、燐光発光性化合物(DG)としては、式(GM)で表される燐光発光性化合物であって1つ以上のデンドロンを有する燐光発光性化合物であることが好ましく、式(GM)において、環R1Gおよび環R2Gからなる群から選ばれる少なくとも1つの環がデンドロンを有する燐光発光性化合物であることがより好ましい。
【0210】
環R1Gおよび環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンの個数の好ましい範囲は、前述の環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンの個数の好ましい範囲と同様である。
【0211】
環R1Gおよび環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D-A)または(D-B)で表される基であり、且つ、mDA1が1以上の整数である場合、環R1Gおよび/または環R2Gに結合するArDA1は、式(ArDA−1)で表される基であることが好ましい。
【0212】
環R1Gおよび環R2Gのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンが、式(D-A)または(D-B)で表される基であり、且つ、mDA1が0である場合、環R1Gおよび/または環R2Gに結合するGDAは、式(GDA−11)、(GDA−12)、(GDA−14)または(GDA−15)で表される基であることが好ましく、式(GDA−11)または(GDA−15)で表される基であることがより好ましい。
【0213】
環R1Bおよび環R2Bのうち、少なくとも1つの環が有するデンドロンとしては、式(D-A1)、(D-A3)、(D-B1)または(D-B3)で表される基であることが好ましく、式(D-A1)または(D-A3)で表される基であることがより好ましい。
【0214】
式(GM)において、添え字n1Gでその数を定義されている配位子(環R1G−環R2Gで表される配位子)の少なくとも1つは、式(GM−L1)〜(GM−L4)で表される配位子であることが好ましく、式(GM−L1)または(GM−L2)で表される配位子であることがより好ましい。
【0215】
【化44】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
G1〜RG8は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
G1とRG2、RG2とRG3、RG3とRG4、RG4とRG5、RG5とRG6、RG6とRG7、および、RG7とRG8は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0216】
G1、RG4、RG5およびRG8は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0217】
G2、RG3、RG6およびRG7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが更に好ましく、水素原子またはデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0218】
式(GM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RG1〜RG8の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RG2、RG3、RG6およびRG7の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0219】
式(GM−L1)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG2、RG3、RG6およびRG7の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG2およびRG6の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましい。
【0220】
式(GM−L1)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RG2、RG3、RG5およびRG6の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RG2およびRG6の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0221】
式(GM)において、式(GM−L1)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG1〜RG8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0222】
【化45】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
G9〜RG18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
G9とRG10、RG10とRG11、RG11とRG12、RG12とRG13、RG13とRG14、RG14とRG15、RG15とRG16、RG16とRG17、および、RG17とRG18は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0223】
G9、RG11〜RG15およびRG18は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0224】
G10、RG16およびRG17は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが更に好ましく、水素原子またはデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0225】
式(GM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RG9〜RG18の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RG10、RG16およびRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0226】
式(GM−L2)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG10、RG16およびRG17の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG16およびRG17の少なくとも1つがデンドロンであることがより好ましく、RG16がデンドロンであることが更に好ましい。
【0227】
式(GM−L2)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RG10、RG16およびRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RG16およびRG17の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましい。
【0228】
式(GM)において、式(GM−L2)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG9〜RG18は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0229】
【化46】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
G19〜RG28は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
G19とRG20、RG20とRG21、RG21とRG22、RG22とRG23、RG23とRG24、RG24とRG25、RG25とRG26、RG26とRG27、および、RG27とRG28は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0230】
G19〜RG25およびRG28は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0231】
G26およびRG27は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが更に好ましく、水素原子またはデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0232】
式(GM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RG19〜RG28の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RG26およびRG27の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0233】
式(GM−L3)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG26およびRG27の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG26がデンドロンであることがより好ましい。
【0234】
式(GM−L3)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RG26およびRG27の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0235】
式(GM)において、式(GM−L3)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG19〜RG28は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0236】
【化47】
[式中、
*は前記と同じ意味を表す。
G29〜RG38は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンを表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
G29とRG30、RG30とRG31、RG31とRG32、RG32とRG33、RG33とRG34、RG34とRG35、RG35とRG36、RG36とRG37、および、RG37とRG38は、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0237】
G29〜RG35およびRG38は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0238】
G36およびRG37は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはデンドロンであることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることがより好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはデンドロンであることが更に好ましく、水素原子またはデンドロンであることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0239】
式(GM)で表される燐光発光性化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れるので、RG29〜RG38の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることが好ましく、RG33、RG36およびRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基またはデンドロンであることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0240】
式(GM−L4)で表される配位子がデンドロンを有する場合、RG36およびRG37の少なくとも1つがデンドロンであることが好ましく、RG36がデンドロンであることが更に好ましい。
【0241】
式(GM−L4)で表される配位子がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する場合、RG33、RG36およびRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、RG36およびRG37の少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることがより好ましく、RG36がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが更に好ましい。
【0242】
式(GM)において、式(GM−L4)で表される配位子が複数存在する場合、複数存在するRG29〜RG38は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0243】
燐光発光性構成単位(G)は、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)の構造を有する構成単位(すなわち、燐光発光性化合物(G)を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上の水素原子を除いてなる基を有する構成単位)であるが、好ましくは、燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上3個以下の水素原子を取り除いてなる基を有する構成単位であり、より好ましくは、式(1G)、(2G)、(3G)または(4G)で表される構成単位であり、更に好ましくは、式(1G)、(2G)または(3G)で表される構成単位であり、特に好ましくは、式(2G)または(3G)で表される構成単位である。
【0244】
<式(1G)で表される構成単位>
【0245】
【化48】
[式中、
およびna1は、前記と同じ意味を表す。
1Gは、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0246】
本発明の高分子化合物が式(1G)で表される構成単位を含む場合、式(1G)で表される構成単位は末端の構成単位である。「末端の構成単位」は、前記と同じ意味を表す。
【0247】
1Gは、式(GM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(GM−1)で表される基であることがより好ましい。
【0248】
【化49】
[式中、M、E、環R1G、環R2G、A−G−A、nおよびnは、前記と同じ意味を表す。
環R1G1は、6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環R2G1は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R2G1が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
また、環R1G1および環R2G1の一方は、1つの結合手を有する。]
【0249】
環R1G1が結合手を有さない場合、環R1G1の定義および例は、前述の環R1Gの定義および例と同様である。
【0250】
環R1G1が結合手を有する場合、環R1G1の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R1Gの定義および例と同様である。
【0251】
環R2G1が結合手を有さない場合、環R2G1の定義および例は、前述の環R2Gの定義および例と同様である。
【0252】
環R2G1が結合手を有する場合、環R2G1の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R2Gの定義および例と同様である。
【0253】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L1)である場合、RG2、RG3、RG6またはRG7が結合手であることが好ましく、RG2、RG6またはRG7が結合手であることがより好ましく、RG2またはRG6が結合手であることが更に好ましく、RG6が結合手であることが特に好ましい。
【0254】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L2)である場合、RG10、RG16またはRG17が結合手であることが好ましく、RG16が結合手であることがより好ましい。
【0255】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L3)である場合、RG26またはRG27が結合手であることが好ましく、RG26が結合手であることがより好ましい。
【0256】
環R1G1−環R2G1で表される配位子が式(GM−L4)である場合、RG36またはRG37が結合手であることが好ましく、RG36が結合手であることがより好ましい。
【0257】
<式(2G)で表される構成単位>
【0258】
【化50】
[式中、M1G、L、L、nb1、nc1およびAr1Mは、前記と同じ意味を表す。]
【0259】
<式(3G)で表される構成単位>
【0260】
【化51】
[式中、
およびnb1は、前記と同じ意味を表す。
2Gは、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0261】
2Gは、式(GM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(GM−2)または(GM−3)で表される基であることがより好ましく、式(GM−2)で表される基であることが更に好ましい。
【0262】
【化52】
[式中、M、E、環R1G、環R2G、環R1G1、環R2G1、A−G−A、nおよびnは前記と同じ意味を表す。複数存在する環R1G1は、同一でも異なっていてもよい。複数存在する環R2G1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0263】
【化53】
[式中、
M、E、環R1G、環R2G、A−G−A、nおよびnは、前記と同じ意味を表す。
環R1G2は、6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環R2G2は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R2G2が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
また、環R1G2および環R2G2の一方は2つの結合手を有するか、または、環R1G2および環R2G2は、結合手を1つずつ有する。]
【0264】
環R1G2が結合手を有さない場合、環R1G2の定義および例は、前述の環R1Gの定義および例と同様である。
【0265】
環R1G2が結合手を有する場合、環R1G2の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R1Gの定義および例と同様である。
【0266】
環R2G2が結合手を有さない場合、環R2G2の定義および例は、前述の環R2Gの定義および例と同様である。
【0267】
環R2G2が結合手を有する場合、環R2G2の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環R2Gの定義および例と同様である。
【0268】
環R1G2および環R2G2は、それぞれ、結合手を1つずつ有することが好ましい。
【0269】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L1)である場合、RG2、RG3、RG6およびRG7のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG2およびRG6、RG2およびRG7、RG3およびRG6、または、RG3およびRG7が結合手であることがより好ましい。
【0270】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L2)である場合、RG10、RG16およびRG17のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG10およびRG16、または、RG10およびRG17が結合手であることがより好ましい。
【0271】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L3)である場合、RG20〜RG23、RG26およびRG27のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG26と、RG20、RG21、RG22およびRG23からなる群から選ばれる1つとが結合手であること、または、RG27と、RG20、RG21、RG22およびRG23からなる群から選ばれる1つとが結合手であることがより好ましい。
【0272】
環R1G2−環R2G2で表される配位子が式(GM−L4)である場合、RG36、RG37およびRG33のうち、2つが結合手であることが好ましく、RG36およびRG33、または、RG37およびRG33が結合手であることがより好ましい。
【0273】
<式(4G)で表される構成単位>
【0274】
【化54】
[式中、
およびnb1は、前記と同じ意味を表す。
3Gは、発光スペクトルの最大ピーク波長が480nm以上680nm未満である燐光発光性化合物(G)から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0275】
3Gは、式(GM)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基であることが好ましく、式(GM−4)で表される基であることが好ましい。
【0276】
【化55】
[式中、M、E、環R1G1、環R2G1、環R1G2、環R2G2、A−G−A、nおよびnは前記と同じ意味を表す。]
【0277】
燐光発光性構成単位(G)としては、、例えば、式(1G−1)〜(1G−13)、式(2G−1)〜(2G−16)、式(3G−1)〜(3G−23)および式(4G−1)〜(4G−6)で表される構成単位が挙げられる。
【0278】
【化56】
【0279】
【化57】
【0280】
【化58】
【0281】
【化59】
【0282】
【化60】
【0283】
【化61】
【0284】
【化62】
【0285】
【化63】
【0286】
【化64】
【0287】
【化65】
【0288】
【化66】
【0289】
【化67】
【0290】
【化68】
[式中、DeおよびRは、前記と同じ意味を表す。]
【0291】
<式(Y)で表される構成単位>
本発明の高分子化合物は、式(Y)で表される構成単位を更に含んでいることが好ましい。
【0292】
【化69】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0293】
ArY1で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)〜式(A-10)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0294】
ArY1で表される2価の複素環基としては、より好ましくは式(AA-1)〜式(AA-4)、式(AA-10)〜式(AA-15)、式(AA-18)〜式(AA-21)、式(AA-33)または式(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)または式(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0295】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0296】
「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0297】
【化70】
[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0298】
XXは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0299】
ArY1で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0300】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)〜(Y-10)で表される構成単位が挙げられ、本発明の高分子化合物を用いた発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y-1)、(Y-2)または(Y-3)で表される構成単位であり、電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)〜(Y-7)で表される構成単位であり、正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-8)〜(Y-10)で表される構成単位である。
【0301】
【化71】
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0302】
Y1は、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0303】
式(Y-1)で表される構成単位は、式(Y-1')で表される構成単位であることが好ましい。
【0304】
【化72】
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
【0305】
Y11は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、より好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0306】
【化73】
[式中、RY1は前記と同じ意味を表す。XY1は、−C(RY2)2−、−C(RY2)=C(RY2)−またはC(RY2)2−C(RY2)2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0307】
Y2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0308】
Y1において、−C(RY2)2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、双方がアリール基、双方が1価の複素環基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)〜(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0309】
【化74】
【0310】
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0311】
Y1において、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基は、好ましくは式(Y-B1)〜(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0312】
【化75】
[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
【0313】
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2')で表される構成単位であることが好ましい。
【0314】
【化76】
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0315】
【化77】
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0316】
式(Y-3)で表される構成単位は、式(Y-3')で表される構成単位であることが好ましい。
【0317】
【化78】
[式中、RY11およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0318】
【化79】
【0319】
【化80】
[式中、RY1は前記と同じ意味を表す。RY3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0320】
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0321】
式(Y-4)で表される構成単位は、式(Y-4')で表される構成単位であることが好ましく、式(Y-6)で表される構成単位は、式(Y-6')で表される構成単位であることが好ましい。
【0322】
【化81】
[式中、RY1およびRY3は前記と同じ意味を表す。]
【0323】
【化82】
[式中、RY1は前記を同じ意味を表す。RY4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0324】
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0325】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)〜(Y-121)で表されるアリーレン基からなる構成単位、式(Y-201)〜(Y-206)で表される2価の複素環基からなる構成単位、式(Y-301)〜(Y-304)で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。
【0326】
【化83】
【0327】
【化84】
【0328】
【化85】
【0329】
【化86】
【0330】
【化87】
【0331】
【化88】
【0332】
【化89】
【0333】
【化90】
【0334】
【化91】
【0335】
<式(X)で表される構成単位>
本発明の高分子化合物は、下記式(X)で表される構成単位を更に含んでいてもよい。
【0336】
【化92】
[式中、aX1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0337】
X1は、本発明の高分子化合物を用いた発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。
【0338】
X2は、本発明の高分子化合物を用いた発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。
【0339】
X1、RX2およびRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0340】
ArX1およびArX3で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)または式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0341】
ArX1およびArX3で表される2価の複素環基としては、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)または式(AA-7)〜式(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0342】
ArX1およびArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0343】
ArX2およびArX4で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)〜式(A-11)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0344】
ArX2およびArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1およびArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
【0345】
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1およびArX3で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0346】
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(Y)のArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0347】
ArX2およびArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0348】
ArX1〜ArX4およびRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0349】
式(X)で表される構成単位としては、好ましくは式(X-1)〜(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)〜(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)〜(X-6)で表される構成単位である。
【0350】
【化93】
【0351】
【化94】
【0352】
【化95】
【0353】
【化96】
[式中、RX4およびRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0354】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)〜(X1-11)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-3)〜(X1-10)で表される構成単位である。
【0355】
【化97】
【0356】
【化98】
【0357】
【化99】
【0358】
【化100】
【0359】
【化101】
【0360】
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、燐光発光性構成単位(B)と、燐光発光性構成単位(G)とを含み、燐光発光性構成単位(B)および/または燐光発光性構成単位(G)が、デンドロンを有する。
【0361】
本発明の高分子化合物において、燐光発光性構成単位(B)は、1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0362】
燐光発光性構成単位(B)はデンドロンを有することが好ましい。なお、本発明の高分子化合物が2種以上の燐光発光性構成単位(B)を含む場合、1種の燐光発光性構成単位(B)がデンドロンを有していても、2種以上の燐光発光性構成単位(B)がデンドロンを有していてもよい。
【0363】
燐光発光性構成単位(B)の含有量は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.01〜99モル%であり、より好ましくは0.1〜70モル%であり、更に好ましくは1〜50モル%であり、特に好ましくは5〜30モル%である。
【0364】
本発明の高分子化合物において、燐光発光性構成単位(G)は、1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0365】
燐光発光性構成単位(G)はデンドロンを有することが好ましい。なお、本発明の高分子化合物が2種以上の燐光発光性構成単位(G)を含む場合、1種の燐光発光性構成単位(G)がデンドロンを有していても、2種以上の燐光発光性構成単位(G)がデンドロンを有していてもよい。
【0366】
燐光発光性構成単位(G)の含有量は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.0001〜99モル%であり、より好ましくは0.001〜50モル%であり、更に好ましくは0.01〜20モル%であり、特に好ましくは0.05〜5モル%である。
【0367】
本発明の高分子化合物において、燐光発光性構成単位(B)および燐光発光性構成単位(G)の合計含有量は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.01〜100モル%であり、より好ましくは0.1〜70モル%であり、更に好ましくは1〜50モル%であり、特に好ましくは5〜30モル%である。
【0368】
本発明の高分子化合物は、燐光発光性構成単位(B)の含有量と、燐光発光性構成単位(G)の含有量との比率を調整することで、発光色を調整することが可能であり、発光色を白色に調整することも可能である。
【0369】
発光素子の発光色は、発光素子の発光色度を測定して色度座標(CIE色度座標)を求めることで確認することできる。白色の発光色とは、例えば、色度座標のXが0.25〜0.55の範囲内であり、かつ、色度座標のYが0.25〜0.55の範囲内であり、色度座標のXが0.28〜0.45の範囲内であり、かつ、色度座標のYが0.28〜0.45の範囲内であることが好ましい。
【0370】
本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の発光色を調整(特に、発光色を白色に調整)する観点からは、燐光発光性構成単位(G)の含有量は、燐光発光性構成単位(B)の含有量に対して、好ましくは0.001〜50モル%であり、より好ましくは0.01〜30モル%であり、更に好ましくは0.05〜10モル%であり、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
【0371】
本発明の高分子化合物に燐光発光性構成単位(G)が2種以上含まれる場合、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の発光色を調整(特に、発光色を白色に調整)する観点からは、少なくとも2種の燐光発光性構成単位(G)の発光スペクトルの最大ピーク波長が異なることが好ましく、その差は、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは50nm以上、特に好ましく80nm以上である。
【0372】
本発明の高分子化合物に燐光発光性化合物(G)が2種以上含まれ、且つ、少なくとも2種の燐光発光性化合物(G)の発光スペクトルの最大ピーク波長が異なる場合、該2種のうち、発光スペクトルの最大ピーク波長が長波長側の燐光発光性化合物(G)の含有量は、発光スペクトルの最大ピーク波長が短波長側の燐光発光性化合物(G)の含有量に対して、通常、0.1〜10000モル%であり、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の色再現性が優れるので、好ましくは1〜5000モル%であり、より好ましくは10〜1000モル%であり、更に好ましくは20〜500モル%であり、とりわけ好ましくは50〜200モル%である。
【0373】
本発明の高分子化合物は、上述のとおり、更に、式(Y)で表される構成単位および/または式(X)で表される構成単位を含んでいてもよく、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0374】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の輝度寿命がより優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜95モル%であり、より好ましくは20〜90モル%であり、更に好ましくは40〜80モル%である。
【0375】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の電荷輸送性が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは10〜30モル%である。
【0376】
式(Y)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0377】
式(X)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物の正孔輸送性が優れるので、本発明の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0378】
式(X)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物に、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0379】
本発明の高分子化合物としては、例えば、下記表3の高分子化合物P−1〜P−4が挙げられる。ここで、「その他」の構成単位とは、燐光発光性構成単位(B)、燐光発光性構成単位(G)、式(Y)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0380】
【表3】
[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、燐光発光性構成単位(B)、燐光発光性構成単位(G)および式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0381】
本発明の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、上記観点から、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0382】
<高分子化合物の製造方法>
次に、本発明の高分子化合物の製造方法について説明する。
【0383】
本発明の高分子化合物は、例えば、
式(M-Y1)で表される化合物と、
式(M-Y2)で表される化合物および式(M-X)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
式(M−1B)で表される化合物、式(M−2B)で表される化合物、式(M−3B)で表される化合物および式(M−4B)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
式(M−1G)で表される化合物、式(M−2G)で表される化合物、式(M−3G)で表される化合物および式(M−4G)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを縮合重合させることにより製造することができる。
なお、式(M−1B)で表される化合物および式(M−1G)で表される化合物を用いる場合、これらの化合物は末端封止剤として用いられる。
【0384】
本明細書において、本発明の高分子化合物の製造に使用される化合物を総称して、「原料モノマー」ということがある。
【0385】
【化102】
【0386】
【化103】
[式中、
ArY1、ArX1〜ArX4、RX1、RX2、RX3、aX1、aX2、L〜L、M1B〜M3B、M1G〜M3G、na1、nb1およびnc1は、前記と同じ意味を表す。
C1〜ZC22は、それぞれ独立に、置換基A群および置換基B群からなる群から選ばれる基を示す。]
【0387】
例えば、ZC1およびZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3〜ZC22は、置換基B群から選ばれる基を選択する。
例えば、ZC1およびZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3〜ZC22は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0388】
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)2C1で表される基。
(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)
<置換基B群>
−B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基;
−BF3Q'(式中、Q'は、Li、Na、K、RbまたはCsを表す。)で表される基;
−MgY'(式中、Y'は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;
−ZnY''(式中、Y''は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;、および、
−Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合するスズ原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0389】
−B(ORC2)2で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0390】
【化104】
【0391】
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、置換基A群から選ばれる基および置換基B群から選ばれる基と結合する炭素原子同士が結合する。そのため、置換基A群から選ばれる基を1個以上有する化合物と、置換基B群から選ばれる基を1個以上有する化合物を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、これらの化合物の縮合重合体を得ることができる。
【0392】
縮合重合は、通常、触媒、塩基および溶媒の存在下で行われ、必要に応じて、相間移動触媒を共存させて行ってもよい。
【0393】
触媒としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4-シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体;これらの遷移金属錯体が、更にトリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ(tert-ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子を有する錯体が挙げられる。触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0394】
触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する遷移金属の量として、通常、0.00001〜3モル当量である。
【0395】
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。塩基は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0396】
相間移動触媒としては、例えば、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。相間移動触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0397】
塩基の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
【0398】
相関移動触媒の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
【0399】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0400】
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100重量部に対して、10〜100000重量部である。
【0401】
縮合重合の反応温度は、通常-100〜200℃である。縮合重合の反応時間は、通常1時間以上である。
【0402】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独または組み合わせて行う。高分子ホストの純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0403】
<組成物>
本発明の組成物は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料(本発明の高分子化合物とは異なる。)、酸化防止剤および溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、本発明の高分子化合物とを含有する。
【0404】
本発明の組成物において、本発明の高分子化合物は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0405】
本発明の高分子化合物および溶媒を含有する組成物(以下、「インク」ということがある。)は、インクジェットプリント法、ノズルプリント法等の印刷法を用いた発光素子の作製に好適である。
【0406】
インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりを防止するために、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
【0407】
インクに含まれる溶媒は、該インク中の固形分を溶解または均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0408】
インクにおいて、溶媒の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1000〜100000重量部であり、好ましくは2000〜20000重量部である。
【0409】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、高分子化合物が好ましく、架橋基を有する高分子化合物がより好ましい。
【0410】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体;側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレンおよびその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0411】
本発明の組成物において、正孔輸送材料の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0412】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0413】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0414】
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレンおよびジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0415】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、および、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0416】
本発明の組成物において、電子輸送材料の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0417】
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0418】
[正孔注入材料および電子注入材料]
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0419】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0420】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリンおよびポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;式(X)で表される基を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0421】
本発明の組成物において、正孔注入材料および電子注入材料の配合量は、各々、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0422】
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0423】
[イオンドープ]
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0424】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0425】
ドープするイオンは、一種のみでも二種以上でもよい。
【0426】
[発光材料]
発光材料(本発明の高分子化合物とは異なる。)は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
【0427】
低分子化合物としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、並びに、イリジウム、白金またはユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
【0428】
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
【0429】
発光材料は、低分子化合物および高分子化合物を含んでいてもよく、好ましくは、三重項発光錯体および高分子化合物を含む。
【0430】
三重項発光錯体としては、例えば、式(BM)で表される燐光発光性化合物、式(GM)で表される燐光発光性化合物、および、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0431】
【化105】
【0432】
本発明の組成物において、発光材料の含有量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、0.1〜400重量部である。
【0433】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0434】
本発明の組成物において、酸化防止剤の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、0.001〜10重量部である。
【0435】
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0436】
<膜>
膜は、本発明の高分子化合物を含有する。
【0437】
膜には、本発明の高分子化合物を架橋により溶媒に対して不溶化させた、不溶化膜も含まれる。不溶化膜は、本発明の高分子化合物を加熱、光照射等の外部刺激により架橋させて得られる膜である。不溶化膜は、溶媒に実質的に不溶であるため、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
【0438】
膜を架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、本発明の膜を含む発光素子の輝度寿命が良好になるので、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃である。
【0439】
膜を架橋させるための光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0440】
膜は、発光素子における発光層、正孔輸送層または正孔注入層として好適である。
【0441】
膜は、インクを用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができる。
【0442】
膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0443】
<発光素子>
本発明の発光素子は、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子であり、本発明の高分子化合物が分子内または分子間で架橋されたものであってもよく、本発明の高分子化合物が分子内および分子間で架橋されたものであってもよい。
本発明の発光素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の高分子化合物を用いて得られる層とを有する。
【0444】
[層構成]
本発明の高分子化合物を用いて得られる層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した溶媒に溶解させ、インクを調製して用い、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。
【0445】
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本発明の発光素子は、正孔注入性および正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層および正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性および電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層および電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0446】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層および電子注入層の材料としては、本発明の高分子化合物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料および電子注入材料が挙げられる。
【0447】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料および発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層および発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0448】
本発明の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0449】
積層する層の順番、数および厚さは、外部量子収率および素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0450】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0451】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0452】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイトおよびグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0453】
[用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0454】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0455】
本実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)およびポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、以下のとおりである。
【0456】
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0457】
LC−MSの測定は、下記の方法で行った。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルムまたはテトラヒドロフランに溶解させ、LC−MS(アジレント テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0458】
NMRの測定は、下記の方法で行った。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl)、重テトラヒドロフラン(THF−d8)または重塩化メチレン(CDCl)に溶解させ、NMR装置(バリアン(Varian,Inc.)製、商品名 MERCURY 300)を用いて測定した。
【0459】
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、島津製作所製、商品名:LC−20A)での254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランまたはクロロホルムに溶解させ、HPLCに、濃度に応じて1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランを用い、1mL/分の流速で、アセトニトリル/テトラヒドロフラン=100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)または同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0460】
本実施例において、燐光発光性化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP−6500)により室温にて測定した。燐光発光性化合物をキシレンに、約0.8×10−4重量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmのUV光を用いた。
【0461】
化合物BM1、BM2、B1、GM1、GM2、G1、RM1、RM2、R1およびR2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、それぞれ、472nm、450nm、450nm、511nm、534nm、508nm、601nm、616nm、617nmおよび619nmであった。
【0462】
<合成例1> 化合物BM1の合成
【0463】
【化106】
【0464】
<stage1>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、塩化イリジウム水和物(67.0g)、「ケミストリー マテリアル(Chem.Mater.)、第18巻、5119−5129項(2006年)」に記載の方法に従って合成した化合物L1(128g)、2−エトキシエタノール(570mL)および水(190mL)を加え、100℃で18時間撹拌した。
その後、反応混合物を15℃まで冷却し、水を加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を水、へキサンで順次洗浄した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1a(142g、収率95%、黄色粉末)を得た。
【0465】
<stage2>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物BM1a(142g)、化合物L1(252)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(46.3g)およびジグライム(360mL)を加え、150℃で21時間撹拌した。
その後、反応混合物を室温まで冷却し、ろ過を行い、得られたろ液を減圧濃縮した。その後、そこへ、水を加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を水、メタノールで順次洗浄した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1bの粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル)、再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により順次精製した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1b(158g、収率85%、黄色粉末)を得た。化合物BM1bのHPLC面積百分率値は99.1%であった。
【0466】
【化107】
【0467】
<stage3>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物BM1b(113g)、化合物L2(103g)、トルエン(1100mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2mol/L、264mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6.36g)を加え、70℃で7時間撹拌した。
その後、反応混合物を室温まで冷却し、水層を除去した後、得られた有機層を食塩水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮し、化合物BM1cの粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン)、再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により順次精製した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1c(61.8g、収率36%、黄色粉末)を得た。化合物BM1cのHPLC面積百分率値は86.5%であった。
【0468】
H−NMR(CDCl−d,300MHz):δ(ppm)=7.81−7.72(m,8H),7.62(dd,9H),7.49(dd,8H),7.18(d,2H),6.92(d,1H),6.79(t,2H),6.63(d,1H),4.26(s,6H),4.21(s,3H),2.26−2.17(m,3H),1.97−1.87(m,3H),1.44−1.17(m,42H),0.72(t,9H).
【0469】
【化108】
【0470】
<stage4>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物BM1c(61.8g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(30.2g)、酢酸カリウム(11.7g)、1,4−ジオキサン(脱水品、398mL)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタン錯体(Pd(dppf)Cl・CHCl、0.65g)を加え、100℃で5.5時間撹拌した。
その後、反応混合物を室温まで冷却し、ろ過を行い、得られたろ液を濃縮し、化合物BM1dの粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1d(47.9g、収率75%、黄色粉末)を得た。
【0471】
H−NMR(CDCl−d,300MHz):δ(ppm)=7.94(s,1H),7.80−7.72(m,9H),7.62(d,8H),7.49(d,8H),7.15(t,2H),6.90−6.76(m,3H),4.28(s,3H),4.25(s,3H),4.23(s,3H),2.29−2.15(m,3H),1.98−1.86(m,3H),1.41−1.17(m,54H),0.72(t,9H).
【0472】
【化109】
【0473】
<stage5>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物BM1d(45.7g)、1,3,5-トリブロモベンゼン(45.0g)、トルエン(571mL)、炭酸ナトリウム水溶液(1mol/L、86mL)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.35g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.65g)を加え、110℃で3時間撹拌した。
その後、反応混合物を冷却し、水層を除去した後、得られた有機層を食塩水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮し、化合物BM1の粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)、再結晶(トルエン/メタノール)、再結晶(酢酸エチル/メタノール)により順次精製した後、減圧乾燥を行い、化合物BM1(31.6g、収率65%、黄色粉末)を得た。化合物BM1のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0474】
H−NMR(CDCl−d,300MHz):δ(ppm)=7.82(s,2H),7.74(d,6H),7.64−7.56(m,12H),7.49(d,8H),7.21−7.17(m,2H),7.00(d,1H),6.87(d,2H),6.77(d,1H),4.30(s,3H),4.26(s,6H),2.30−2.20(m,3H),2.05−1.88(m,3H),1.40−1.16(m,42H),0.70(t,9H).
LC−MS(UV254nm−APCI positive):m/z=1705.6[M+H]
【0475】
<合成例2> 化合物BM2の合成
【0476】
【化110】
【0477】
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、特開2013−147450号公報に記載の方法に従って合成した化合物BM2a(45.7g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(90ml)を加え、氷浴にて冷却した。そこへ、N,N−ジメチルホルムアミド(90ml)に溶解させたN−ブロモスクシンイミド(1.58g)を4.5時間かけて滴下した後、0℃で30分攪拌した。そこへ、0.1重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(180g)を加え、室温で15分撹拌した後、酢酸エチルおよびトルエンを加え、水層を除去した。得られた有機層をイオン交換水で洗浄した後、減圧濃縮することにより固体を得た。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル)で精製した後、酢酸エチルおよびメタノールの混合溶媒を用いて再結晶し、更に、酢酸エチルおよびヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶した後、減圧乾燥させることにより、化合物BM2(2.80g、収率65%、黄色固体)を得た。化合物BM2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
【0478】
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.67(d,2H),7.59(d,1H),7.00−6.81(m,4H),6.61(d,1H),6.60(t,2H),4.23(s,9H),2.27−2.16(m,3H),1.94−1.82(m,3H),1.41−1.25(m,6H),0.74(t,9H).
【0479】
<合成例3> 化合物B1、G1、R1およびR2の合成
化合物B1は、特開2013−147450号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物G1は、特開2013−237789号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物R1は、国際公開第2002/44189号に記載の方法に従って合成した。
化合物R2は、特開2006−188673号公報に記載の方法に従って合成した。
【0480】
【化111】
【0481】
<合成例4> 高分子化合物HTL−1の合成
高分子化合物HTL−1は、特開2011―174062号公報に記載の方法に従って合成した化合物M7、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した化合物M8、国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した化合物M9、および、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した化合物M10を用いて、特開2011―174062号公報に記載の方法に従って合成した。
【0482】
【化112】
【0483】
高分子化合物HTL−1のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ、Mn=7.8×10およびMw=2.6×105であった。
【0484】
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M7から誘導される構成単位と、化合物M8から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M10から誘導される構成単位とが、50:12.5:30:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0485】
<合成例5> 高分子化合物HP−1の合成
高分子化合物HP−1は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した化合物M1、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した化合物M2、および、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した化合物M3を用いて、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した。
【0486】
【化113】
【0487】
高分子化合物HP−1のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ、Mn=8.8×10、Mw=2.3×10であった。
【0488】
高分子化合物HP−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、50:26:24のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0489】
<合成例6> 高分子化合物HP−2の合成
後述の高分子化合物P−1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M1(0.745g)、化合物M3(1.26g)およびトルエン(35ml)を加え、80℃に加熱した。」とする以外は、後述の高分子化合物P−1の合成に記載の方法に準じて、高分子化合物HP−2を1.2g得た。高分子化合物HP−2のMnは1.1×10であり、Mwは3.4×10であった。
【0490】
高分子化合物HP−2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0491】
<実施例P1> 高分子化合物P−1の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M1(0.747g)、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した化合物M2(0.384g)、化合物M3(0.520g)、化合物BM1(0.739g)、国際公開第2013/021180号に記載の方法に準じて合成した化合物GM1(0.00481g)、特開2011−105701号公報に記載の方法に従って合成した化合物RM1(0.00594g)およびトルエン(45ml)を加え、80℃に加熱した。その後、そこへ、ビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウムジクロリド(2.65mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.3g)を加え、オイルバスの温度を100℃にして4時間攪拌した。
【0492】
【化114】
【0493】
(工程2)得られた反応液に、フェニルボロン酸(0.0369g)、ビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウムジクロリド(1.29mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(9.3g)を加え、オイルバスの温度を100℃にして16時間攪拌した。
【0494】
(工程3)反応液に、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、85℃に加熱しながら2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、3.6重量%塩酸で2回、2.5重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で4回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラムおよびシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P−1(1.5g)を得た。高分子化合物P−1のMnは1.3×10であり、Mwは3.8×10であった。
【0495】
高分子化合物P−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物BM1から誘導される構成単位と、化合物GM1から誘導される構成単位と、化合物RM1から誘導される構成単位とが、50:15:20.5:14.3:0.1:0.1のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0496】
<実施例P2> 高分子化合物P−2の合成
【0497】
高分子化合物P−1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M1(0.863g)、化合物M3(1.29g)、化合物BM1(0.466g)、化合物GM1(0.00575g)およびトルエン(45ml)を加え、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物P−1の合成に記載の方法に準じて、高分子化合物P−2を1.6g得た。高分子化合物P−2のMnは9.1×10であり、Mwは2.1×10であった。
【0498】
高分子化合物P−2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物BM1から誘導される構成単位と、化合物GM1から誘導される構成単位とが、50:42.4:7.5:0.1のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0499】
<比較例CP1> 高分子化合物CP−1の合成
【0500】
高分子化合物P−1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M1(0.562g)、化合物M2(0.320g)、化合物M3(0.433g)、化合物BM2(0.340g)、特開2005−251609号公報に記載の方法に従って合成した化合物GM2(0.00245g)、国際公開第2006/003000号に記載の方法に準じて合成した化合物RM2(0.00260g)およびトルエン(45ml)を加え、80℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物P−1の合成に記載の方法に準じて、高分子化合物CP−1を0.78g得た。高分子化合物CP−1のMnは1.8×10であり、Mwは4.0×10であった。
【0501】
【化115】
【0502】
高分子化合物CP−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物BM2から誘導される構成単位と、化合物GM2から誘導される構成単位と、化合物RM2から誘導される構成単位とが、50:15:20.5:14.3:0.1:0.1のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0503】
<実施例D1> 発光素子D1の作製および評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0504】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに高分子化合物HTL−1を0.6重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0505】
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P−1を1.5重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層とした形成した。
【0506】
(陰極の形成)
発光層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0507】
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D1の1000cd/mにおける色度CIE(X,Y)は、(0.38,0.36)であった。
【0508】
発光素子D1を初期輝度が1000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動した輝度半減寿命は、15.1時間であった。
【0509】
<実施例D2> 発光素子D2の作製および評価
実施例D1における、「キシレンに、高分子化合物P−1を1.5重量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「キシレンに、高分子化合物P−2および化合物R2(高分子化合物P−2/化合物R2=99.65重量%/0.35重量%)を1.7重量%の濃度で溶解させた。」とする以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
【0510】
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D2の1000cd/mにおける色度CIE(X,Y)は、(0.29,0.36)であった。
【0511】
発光素子D2を初期輝度が1000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動した輝度半減寿命は、14.0時間であった。
【0512】
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製および評価
実施例D1における、「キシレンに、高分子化合物P−1を1.5重量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「キシレンに、高分子化合物CP−1を2.5重量%の濃度で溶解させた。」とする以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
【0513】
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD1の1000cd/mにおける色度CIE(X,Y)は、(0.36,0.33)であった。
【0514】
発光素子CD1を初期輝度が1000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動した輝度半減寿命は、0.03時間であった。
【0515】
<比較例CD2> 発光素子CD2の作製および評価
実施例D1における、「キシレンに、高分子化合物P−1を1.5重量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「キシレンに、高分子化合物HP−1、化合物B1、化合物G1および化合物R1(高分子化合物HP−1/化合物B1/化合物G1/化合物R1=59重量%/40重量%/0.6重量%/0.4重量%)を1.8重量%の濃度で溶解させた。」とする以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD2を作製した。
【0516】
発光素子CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD2の1000cd/mにおける色度CIE(X,Y)は、(0.50,0.40)であった。
【0517】
発光素子CD2を初期輝度が1000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動した輝度半減寿命は、4.1時間であった。
【0518】
<比較例CD3> 発光素子CD3の作製および評価
実施例D1における、「キシレンに、高分子化合物P−1を1.5重量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「キシレンに、高分子化合物HP−2、化合物B1、化合物G1および化合物R2(高分子化合物HP−2/化合物B1/化合物G1/化合物R2=59重量%/40重量%/0.6重量%/0.4重量%)を1.8重量%の濃度で溶解させた。」とする以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD3を作製した。
【0519】
発光素子CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD3の1000cd/mにおける色度CIE(X,Y)は、(0.47,0.42)であった。
【0520】
発光素子CD2を初期輝度が1000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動した輝度半減寿命は、2.7時間であった。