(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の照明装置において、前記光学素子の前記射出面は、前記射出面上の任意な点を通って前記軸線に向かう法線が前記発光面を含む面と交わるような形状を有する照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、
図1ないし
図7を参照して説明する。
【0015】
図1は、照明装置の一例であるLEDランプの側面図、
図2は、光学レンズユニットとCOB型の発光モジュールとの位置関係を示す断面図、
図3は、広配光レンズの貫通孔を通過する光線の経路を示す断面図、
図4は、広配光レンズの全反射面で全反射された光線の経路を示す断面図、
図5は、広配光レンズの凹部に入射された光線の経路を示す断面図、
図6は、l/r
Qと広配光レンズの屈折率との関係を示す図、
図7は、光学レンズユニットを透過した光の配光分布(配光角と光度の関係)を示す図である。
【0016】
図1は、例えばシャンデリア球に類似した形状を有するLEDランプ1を開示している。LEDランプ1は、ランプ本体2、グローブ3、COB(chip on board)型の発光モジュール4、点灯回路5および光学レンズユニット6を主要な要素として備えている。
【0017】
ランプ本体2は、例えばアルミニウムのような鉄よりも熱伝導性が良好な金属材料で構成され、放熱部としての機能を兼ねている。ランプ本体2は、一端および他端を有する円柱状の要素であるとともに、一端から他端に向けて次第に径が増大するような形状に形成されている。
【0018】
ランプ本体2の一端にE形の口金7が取り付けられている。さらに、ランプ本体2の他端に支持面8が形成されている。支持面8は、ランプ本体2の中心軸線と直交するフラットな面である。
【0019】
グローブ3は、例えばアクリルのような透明な合成樹脂材料を用いて円錐状に形成されている。グローブ3は、球面状の頂部3aと、頂部3aと向かい合う開口端部3bとを有している。開口端部3bは、グローブ3の最大径を規定している。グローブ3の開口端部3bは、ランプ本体2の他端に同軸状に結合されて、ランプ本体2の支持面8を覆っている。
【0020】
本実施形態によると、口金7を有するランプ本体2およびグローブ3は、互いに協働してシャンデリア球に類似した外形状を形作っている。
【0021】
グローブ3の形状は円錐形に限らず、半球形であってもよい。さらに、グローブ3を例えば乳白色の合成樹脂材料で構成し、グローブ3に光拡散性を付与するようにしてもよい。
【0022】
発光モジュール4は、LEDランプ1の光源を構成する要素である。
図2に示すように、発光モジュール4は、長方形の絶縁基板10、複数の発光ダイオード11、フレーム12および封止材13を主要な要素として備えている。
【0023】
絶縁基板10は、例えばねじ止め等の手段でランプ本体2の支持面8の中央部に固定されている。さらに、絶縁基板10は、例えば熱伝導性グリースを介して支持面8に熱的に接続されている。
【0024】
発光ダイオード11は、半導体発光素子の一例であって、絶縁基板10の上にマトリクス状に配列されている。フレーム12は、絶縁基板10の外周部に接着されて、発光ダイオード11を取り囲んでいる。
【0025】
封止材13は、蛍光体粒子を含む透明又は半透明な樹脂材料で構成されている。封止材13は、発光ダイオード11を覆うようにフレーム12で囲まれた領域に充填されている。
【0026】
封止材13に含まれる蛍光体粒子は、発光ダイオード11が発する光により励起されて、発光ダイオード11が発する光と補色の関係にある色の光を発する。この結果、発光ダイオード11が発する光と蛍光体粒子が発する光が封止材13の内部で混じり合って白色の光となる。白色の光は、封止材13の表面から放射される。
【0027】
したがって、封止材13の表面は、面状に発光する四角い発光面14を構成している。本実施形態によると、発光面14から放射される光は、例えば波長が400nmから800nmまでの可視光であるが、光の波長は、これに限定されるものではない。
【0028】
図1および
図2に示すように、発光モジュール4は、軸線としての真っ直ぐな光軸O1を有している。光軸O1は、発光面14の中心O´又は中心O´の近傍を通って発光面14およびランプ本体2の支持面8と直交する方向に延びている。
【0029】
発光面14の中心O´とは、発光面14の重心のことを指している。このため、中心O´は、発光面14の上(以下、面の上と書いた時は、面上を示す)から外れていても良い。例えば発光面が円環形である場合、中心O´は、発光面の形状を規定する外円又は内円の中心であって、発光面の上に存在しない。
【0030】
発光面14から放射される光の配光分布は、光軸O1に対して対称に近い分布となる。具体的には、発光面14は、例えばランバーシアンに近い配光分布を有するが、配光分布はこれに限定されるものではない。
【0031】
本実施形態によると、発光モジュール4の発光面14は、例えば短辺が10mm、長辺が16mmの長方形であって、その発光面積Cが160mm
2である。
図2は、発光モジュール4を短辺の方向から見た状態を示している。
【0032】
発光面14は、長方形に限らず、円形でもよい。円形の発光面14の発光面積Cが160mm
2の場合、発光面14の半径r
Cは、
【数1】
【0033】
で表すことができ、半径r
C=7.1mmとなる。
【0034】
さらに、円の面積が発光面積Cの半分となるような円の半径r
HCは、
【数2】
【0035】
で表すことができ、半径r
HC=5.0mmとなる。
【0036】
点灯回路5は、発光モジュール4の発光ダイオード11に定電流を供給するための要素である。点灯回路5は、ランプ本体2の内部に収容されているとともに、口金7および発光ダイオード11に電気的に接続されている。
【0037】
光学レンズユニット6は、発光モジュール4の発光面14と対向するようにグローブ3の内側に収容されている。本実施形態では、光学レンズユニット6は、ランプ本体2の支持面8の上に支持されている。
【0038】
図1および
図2に示すように、光学レンズユニット6は、広配光レンズ16および拡散レンズ17を備えている。広配光レンズ16は、光学素子の一例であって、光軸O1に対し同軸状に配置されている。
【0039】
広配光レンズ16は、光軸O1に対して回転対称となる形状を有している。ここで回転対称とは、光軸O1に対して対象物を回転させた時に、対象物が描く形状が元の形状に一致し、かつ回転角が360°未満のことである。
【0040】
広配光レンズ16は、例えば透明なアクリルで構成されている。アクリルの屈折率 n は、1.49である。広配光レンズ16は、アクリルに限らず、例えばガラスあるいはポリカーボネートのような可視光が透過する透明な材料を使用することができ、広配光レンズ16の材料に特に制約はない。
【0041】
図2に示すように、広配光レンズ16は、同軸形の貫通孔18、入射面19、射出面20および全反射面21を備えている。
【0042】
貫通孔18は、広配光レンズ16を貫通するように光軸O1に沿って設けられている。入射面19は、発光モジュール4の発光面14と向かい合うフラットな面であり、その中央部に貫通孔18が開口されている。入射面19の外周部は、発光面14の周囲に張り出すとともに、ランプ本体2の支持面8と向かい合っている。
【0043】
射出面20は、入射面19の外周縁から前記光軸O1を取り囲むように発光モジュール4から遠ざかる方向に延びている。さらに、射出面20は、発光モジュール4から遠ざかるに従い、光軸O1に近づく方向に傾斜されたテーパ面となっている。言い換えると、射出面20は、円錐状をなすグローブ3の周面に沿うように傾いている。
【0044】
全反射面21は、射出面20の先端縁と貫通孔18に臨む入射面19の内周縁との間を結んでいる。すなわち、全反射面21は、貫通孔18を規定する面であって、光軸O1を中心として入射面19から遠ざかるに従い広配光レンズ16の径方向に広がるように湾曲された形状を有している。
【0045】
本実施形態では、入射面19、射出面20および全反射面21は、全て光沢面に仕上げられている。
【0046】
次に、
図1および
図2を用いて光軸O1の軸を含む広配光レンズ16の断面形状について説明する。
図1および
図2において、入射面19に沿って延びる線分と光軸O1とが交差する点を中心O7とし、入射面19の上の任意な点をQ4とする。
【0047】
点Q4から光軸O1までの距離r
Qを、例えば前記半径r
HC と等しい5.0mmとすると、
【数3】
【0049】
さらに、全反射面21の上の任意な点をP6とし、点P6から広配光レンズ16の内側に向かう法線N1を引いた時に、
光が全反射する時の臨界角θ
Cを
【数4】
【0050】
とすれば、
点P6と点Qとを結ぶベクトルPQと法線N1とで規定される角θは、
【数5】
【0052】
本実施形態では、広配光レンズ16がアクリルであるため、θ
Cは42.2°となる。
【0053】
次に、全反射面21の具体的な形状について述べる。
【0054】
図2において、貫通孔18の原点をO7とし、原点O7から光軸O1に沿って光が取り出される方向をz方向とし、原点O7から入射面19に沿う方向をx方向とし、入射面19の上で光軸O1に対する距離が最短となる点の前記光軸O1からの距離を l とすると、全反射面21の形状は、
【数6】
【0057】
前記式(6)および式(7)において、媒介変数Θは、
【数8】
【0059】
前記式(6)および式(7)において、実数定数θ
a は、
【数9】
【0061】
前記(6)および式(7)において、実数定数 l は、
【数10】
【0063】
ここで、例えば媒介変数Θを、
【数11】
【0064】
の全区間であるとすれば、前記式(8)を満たし、θ
a=47.7°であるとすれば、前記式(9)を満たし、l=3.9であるとすれば、式(10)を満たすとともに、
【数12】
【0065】
を満たしている。
広配光レンズ16の射出面20は、射出面20の上の任意な点から広配光レンズ16の内側に向かう法線を引いた時に、当該法線が発光面14を含む平面と交差するような形状を有している。
【0066】
図1および
図2に示すように、広配光レンズ16の入射面19の外周部に凹部23が形成されている。凹部23は、発光モジュール4を取り囲むような円環形であるとともに、光軸O1の軸を含む断面の形状が半円のトーラス型である。本実施形態によると、凹部23が規定する半円の直径は4mmであるが、直径の値に特に制約はない。
【0067】
さらに、凹部23は、トーラスの小円(半円)の中心が描く大円を有している。大円の半径r
Tは、
【数13】
【0068】
の関係を満たし、本実施形態では、例えばr
T=10mmとしている。
【0069】
一方、光学レンズユニット6の拡散レンズ17は、光拡散部の一例であって、例えば可視光が透過するアクリルで構成されている。拡散レンズ17は、背面25、表面26および端面27を有している。
【0070】
背面25は、広配光レンズ16の貫通孔18を覆うように全反射面21に面している。表面26は、グローブ3の内側に露出するように背面25の反対側に位置されている。背面25および表面26は、夫々発光モジュール4の光軸O1が同軸状に貫通する球面状であって、光軸O1を中心に全反射面21から遠ざかる方向に盛り上がっている。
【0071】
本実施形態によると、表面26は、多数の微細な凹凸が設けられた白色の光拡散面となっている。光拡散面は、例えば直径が100μmの研磨材を表面26に全面的に吹き付ける、いわゆるサンドブラストによって形成されている。
【0072】
光拡散面は、サンドブラストに限らず、光を拡散させる粒子を含む塗料を表面26に塗布することで形成してもよい。さらに、光拡散面は、表面26に限らず、背面25に形成してもよいし、表面26および背面25の双方に形成してもよい。
【0073】
端面27は、背面25の外周縁と表面26の外周縁との間を結ぶ円環形である。端面27は、広配光レンズ16の全反射面21の外周部と向かい合うとともに、全反射面21の曲率に沿うように湾曲されている。
【0074】
拡散レンズ17の端面27は、周方向に沿う複数個所が接着剤29を介して広配光レンズ16の全反射面21に接着されている。これにより、拡散レンズ17および広配光レンズ16が互いに一体化されて、光学レンズユニット6を構成している。
【0075】
それとともに、拡散レンズ17の端面27と広配光レンズ16の全反射面21との間には、接着剤29の箇所を除き隙間30が確保されている。
【0076】
発光モジュール4の発光面14のうち、広配光レンズ16の入射面19と向かい合う領域から放射された光は、入射面19に入射する。一方、光軸O1が交わる発光面14の中心付近の領域から発せられた光は、広配光レンズ16の貫通孔18を通過して拡散レンズ17に入射する。
【0077】
具体的に述べると、
図1に光線Aで示すように、入射面19の上の任意な点Q4に入射された光は、広配光レンズ16の内部を通過して全反射面21に至る。当該光は、全反射面21において射出面20に向けて全反射されるとともに、射出面20からグローブ3を透過してLEDランプ1の周囲に放射される。
【0078】
同様に、入射面19のうち点Q4よりも光軸O1に近い位置で入射面19に入射された光は、全反射面21で全反射されて射出面20に導かれた後、射出面20からグローブ3を透過してLEDランプ1の周囲に放射される。
【0079】
さらに、入射面19のうち点Q4よりも光軸O1から離れた位置で入射面19に入射された光は、全反射面21に対する入射角が臨界角θ
C 以上,あるいはそれに近い値で全反射面21に入射する。このため、入射面19から全反射面21に達した光の一部は全反射面21を透過するものの、大部分が射出面20に向けて反射される。
【0080】
すなわち、入射面19に入射された光の主要な成分は、全反射面21で射出面20に向けて反射された後に、射出面20からグローブ3に向けて放射される。
【0081】
実際のところ、全反射面21を前記式(6)および前記式(7)で規定される形状とすることにより、入射面19の上の点Q4から全反射面21の上の任意な点P6に向かう光線Aと、点P6から拡散レンズ17に向かう外向きの法線とで規定される角がθ
aとなる。一方、θ
a は、前記式(9)を満たし、臨界角以上となる。この結果、全反射面21の上で必ず全反射が起きる。
【0082】
ちなみに,式(6)および式(7)において、θ
a =θ
Cとすれば、広配光レンズ16は最もコンパクトな形状となる。
【0083】
以上のことから、入射面19に入射された発光モジュール4の光の多くは、全反射面21で射出面20に向けて全反射され、最終的に射出面20から広配光レンズ16の径方向に沿う外側に広がるように放射されて照明用途に供される。
【0084】
広配光レンズ16の径方向に広がる光の成分を十分に確保するためには、入射面19の面積を十分に大きくする必要がある。理想的には、発光モジュール4の発光面14が発する光の成分のうち、半分が射出面20に導かれることが望ましい。
【0085】
これを実現するためには、広配光レンズ16の入射面19で発光モジュール4の発光面14の半分以上を覆う必要がある。この条件は、前記式(3)で表すことができる。
【0086】
図4は、全反射面21から射出面20に至る光線をシミュレーションすることにより得られた光線図を示している。
図4は、光軸O1の軸方向を含む光学レンズユニット6の断面の一部を示している。本シミュレーションでは、Synopsys社のLight Tools(登録商標)を使用した。
【0087】
図4によれば、入射面19の上の点Q4に入射された発光モジュール4の光は、広配光レンズ16の内部を通過して全反射面21に到達した後、全反射面21で射出面20に向けて全反射されることが分かる。
【0088】
全反射面21が前記のような反射機能を発揮するためには、広配光レンズ16の中心部に光軸O1が同軸状に貫通する貫通孔18を設けることが肝要である。言い換えると、光が全反射面21で全反射するためには、空気と全反射面21との界面における屈折率の差が必須となる。
【0089】
図2は、光軸O1の軸を含む光学レンズユニット6の断面を示している。
図2において、貫通孔18を規定する全反射面21は、光軸O1に最も接近された点Tを有する曲面である。点Tと点Q4とを結ぶベクトルTQと、点Tから広配光レンズ16の内側に向かう法線N2とで規定される角をα1とすると、角α1は、点Q4から入射面19に沿って光軸O1に向かう線分とベクトルQTとで規定される角α2と等しい。
【0090】
この結果、全反射面21の上の点Tから光軸O1に向かう外向きの法線N3は、光軸O1と直交する。
【0091】
さらに、角α1は、点Tにおいて全反射される光線の全反射角と一致する。点Tと光軸O1との間の距離は、前記式(6)においてΘ=θ
aとした時のXと等しい。
【0094】
広配光レンズ16に貫通孔18が存在するためには、前記式(14)で表されるxが0よりも大きくなければならない。このとき、lは、
【数15】
【0096】
ただし、lは、同時に式(10)も満たさなければならない。
【0097】
つまり、前記式(15)の左辺の最大値は1である。ここで、θ
aは、式(9)で表わされる範囲の値であり、この範囲において式(15)の右辺が最少になるのは、θ
a=θ
Cの時である。
【0098】
これを用いると、lは、少なくとも
【数16】
【0100】
図6は、式(16)の右辺の値を座標で示した図である。
図6において、横軸は、広配光レンズ16の屈折率を示し、縦軸は、l の r
Q に対する比を示している。
図6によれば、広配光レンズ16の屈折率が大きい程、l が小さい値まで許されることが分かる。
【0101】
一方、
図1に光線Bで示すように、広配光レンズ16の貫通孔18を通過した光は、拡散レンズ17に入射する。拡散レンズ17に入射された光は、拡散レンズ17の光拡散面を透過する過程で広範囲に拡散された後、グローブ3の頂部3aに向けて放射される。
【0102】
図3は、発光面14の中心O´の付近で広配光レンズ16に向かう光線Bをシミュレーションすることにより得られた光線図を示している。
図3は、光軸O1の軸を含む光学レンズユニット6の断面の一部を示している。
【0103】
図3によれば、発光面14の中心O´の付近から広配光レンズ16に向かう光は、広配光レンズ16の貫通孔18を通過して拡散レンズ17に到達した後、拡散レンズ17を透過してグローブ3の頂部3aの方向に放射されることが分かる。
【0104】
さらに、本実施形態では、広配光レンズ16の入射面19のうち発光モジュール4の発光面14を外れた外周部に凹部23が設けられている。凹部23は、発光面14の周辺部から発せられた光が入射された時に、光の屈折方向をほとんど変えずに光を広配光レンズ16の内部に導く。
【0105】
広配光レンズ16の内部に導かれた光の多くは、広配光レンズ16を透過して射出面20に到達するとともに、射出面20からグローブ3を透過してLEDランプ1の周囲に放射される。
【0106】
これに対し、入射面19の上に凹部23が存在しない場合、入射面19の外周部に入射された光の多くは、射出面20で大きく屈折されてしまう。この結果、屈折された光が全反射面21を透過し、拡散レンズ17に向けて放射されたり、あるいは射出面20で全反射されるのを否めない。
【0107】
図5は、発光面14の周辺部から凹部23に向かう光線Cをシミュレーションすることにより得られた光線図を示している。
図5は、光軸O1の軸を含む光学レンズユニット6の断面の一部を示している。
【0108】
図5によれば、発光面14の周辺部から凹部23に向かう光は、凹部23に対する入射方向をほとんど変えずに広配光レンズ16の内部を通過して射出面20に到達した後、射出面20から広配光レンズ16の周囲に放射されていることが分かる。
【0109】
さらに、
図7は、本実施形態に係るLEDランプ1において、光学レンズユニット6を透過した光の配光分布を光線追跡シミュレーションした結果を示す。
図7は、発光モジュール4の光軸O1に沿う光の取り出し方向(z方向)を0°とする光線方向に対し、光度をレーダーチャートによって示している。
【0110】
図7によれば、光軸O1と直交する水平方向(x方向)に放射される光の強さが大きく、光の最大光度が光軸O1に対して60°〜70°の範囲内にあることが分かる。0°方向の光度を最大にしたい場合は、拡散レンズ17の拡散面を鏡面に近づけ、拡散効果を減らせばよい。さらに、
図7に示す配光曲線によれば、最大光度の1/2の光度となる2方向で規定される配光角が、白熱電球並みの約300°であることが分かる。
【0111】
第1の実施形態に係るLEDランプ1によれば、広配光レンズ16の入射面19に入射された発光モジュール4の光は、全反射面21で全反射されて光軸O1を取り囲む射出面20から広配光レンズ16の周囲に放射される。
【0112】
さらに、発光面14の中心部から広配光レンズ16の貫通孔18に導かれた光は、貫通孔18を通過して拡散レンズ17に導かれるとともに、拡散レンズ17から光軸O1に沿う光の取り出し方向に放射される。
【0113】
さらに、第1の実施形態によると、広配光レンズ16の貫通孔18の内面全面が全反射面21を構成しているので、全反射面21の面積を十分に確保することができる。しかも、全反射面21は、光軸O1に最も接近した点Tを有するように湾曲された曲面であるので、入射面19から全反射面21に向かう光のほとんどの成分を射出面20に向けて全反射させることができる。
【0114】
この結果、発光モジュール4の発光面14が発する指向性の強い光を、光学レンズユニット6を用いて全方位に広げることができ、LEDランプ1の口金7の方向へ回り込む光の量を増やすことができる。
【0115】
したがって、白熱電球と同等の配光角を有するLED電球1を提供することができ、広配光を実現できる。
【0116】
それとともに、第1の実施形態では、広配光レンズ16の全反射面21の外周部と拡散レンズ17の端面27との間に、接着剤29の箇所を除き隙間30が確保されている。隙間30は、全反射面21の外周部と端面27との間に空気層を形成するので、空気層と全反射面21の外周部との間の界面に屈折率差が生じる。
【0117】
この結果、入射面19から全反射面21の外周部に導かれた光は、全反射面21の外周部で全反射されて射出面20に導かれる。したがって、射出面20により多くの光を導くことができ、この点でも広配光を得る上で好都合となる。
【0118】
加えて、第1の実施形態によると、発光面14の中心部から広配光レンズ16の貫通孔18に導かれた光が拡散レンズ17を透過して光の取り出し方向に放射される。このため、全反射面21は、入射面19から導かれた光の大部分を射出面20に向けて全反射させる形状とすればよく、射出面20にしても、全反射面21から導かれた光の屈折方向を大きく変えることなく放射できる形状とすればよい。
【0119】
言い換えると、射出面20は、射出面20の上の任意な点から広配光レンズ16の内側に向かう法線を引いた時に、当該法線が発光面14を含む平面と交差するような形状とすればよい。これにより、射出面20は、発光モジュール4から遠ざかるに従い、光軸O1に近づく方向に傾斜されたテーパ面となる。
【0120】
したがって、射出面20が広配光レンズ16の径方向に広がることはなく、広配光レンズ16をコンパクト化することができる。よって、広配光レンズ16をグローブ3の内側に収めるに際して寸法的な制限が緩和され、例えばシャンデリア球に類似した小形のグロ−ブ3の内側に広配光レンズ16を無理なく収めることができる。
【0121】
さらに、第1の実施形態では、全反射面21は、広配光レンズ16を貫通する貫通孔18の内面全面によって構成されているので、全反射面21が円錐状に窪むような複雑な形状とならずに済む。
【0122】
このため、全反射面21の加工を容易に行うことができ、広配光レンズ16の製造コストを低減できる。それとともに、全反射面21の加工精度を高めて所望の光反射性能を得ることができるといった利点がある。
【0123】
なお、拡散レンズ17を広配光レンズ16から離す構成としてもよい。この構成によれば、拡散レンズ17と広配光レンズ16との間を通じて貫通孔18に空気を流入することができ、自然対流によって発光モジュール4を冷やす効果が得られる。
【0124】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態を開示している。
【0125】
第2の実施形態は、広配光レンズ16の形状が第1の実施形態と相違している。これ以外のLEDランプ1の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0126】
図8に示すように、広配光レンズ16は、逃げ部41を有している。逃げ部41は、入射面19と射出面20との間に跨るとともに、広配光レンズ16の周方向に連続して形成されている。逃げ部41は、発光モジュール4の発光面14よりも広配光レンズ16の径方向に沿う外側に位置されている。
【0127】
さらに、逃げ部41は、ランプ本体2の支持面8と向かい合う外周面42を有している。外周面42は、入射面19から射出面20に向けて支持面8から遠ざかるとともに、広配光レンズ16の内側に向けて凹むように円弧状に湾曲されている。
【0128】
第2の実施形態によると、広配光レンズ16に逃げ部41を設けたことで、発光面14の周辺部から発せられた光は、
図8に実線の矢印で示すように、広配光レンズ16に入射することなく逃げ部41を通過してグローブ3の開口端部3bの方向に導かれる。
【0129】
言い換えると、発光面14の周辺部から発せられた光が、広配光レンズ16の入射面19で反射して発光面14に戻ろうとするのを回避できる。このため、光の損失を極力少なく抑えて、光を広配光レンズ16の径方向に沿う外側に向けて積極的に放射することができる。
【0130】
よって、配光角が広いLEDランプ1を得ることができる。
【0131】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態を開示している。
【0132】
第3の実施形態は、LEDランプ1の光源として複数のSMD(surface mount device)型の発光モジュール51を使用した点が第1の実施形態と相違しており、光学レンズユニット6の構成は、基本的に第1の実施形態と同様である。
【0133】
図9に示すように、SMD型の発光モジュール51は、ランプ本体2の支持面8の上に光軸O1を中心として円環状に配列されている。
【0134】
各発光モジュール51は、ベース52を有している。ベース52は、広配光レンズ16に向けて開口された凹部53を含み、当該凹部53の底に発光ダイオード54が実装されている。発光ダイオード54は、凹部53に充填された封止材55によって覆われている。封止材55は、蛍光体粒子を含んでいる。
【0135】
封止材55に含まれる蛍光体粒子は、発光ダイオード54が発する光により励起されて、発光ダイオード54が発する光と補色の関係にある色の光を発する。この結果、発光ダイオード54が発する光と蛍光体粒子が発する光が封止材55の内部で混じり合って白色の光となる。白色の光は、封止材55の表面から放射される。
【0136】
封止材55の表面は、面状に発光する発光面56を構成している。発光面56は、発光モジュール51の配列方向に沿って円環状に連続されている。このことから、円環状に連続する発光面56の重心は、円環形の発光面56の形状を規定する外円又は内円の中心であって、光軸O1の上に位置されている。さらに、円環形の発光面56は、広配光レンズ16の凹部23と向かい合っている。
【0137】
本実施形態では、全反射面21の入射面19に連なる端部に凹所58が形成されている。凹所58は、貫通孔18の周方向に連続するとともに、支持面8の中央部と向かい合う内面59を有している。内面59は、広配光レンズ16の内側に向けて凹むように円弧状に湾曲されている。このため、凹所58の内面59は、入射面19の上の凹部23に入射された光を全反射面21に向けて反射させる反射面として機能する。
【0138】
発光モジュール51の発光面56から発せられた光は、
図9に実線の矢印で示すように、入射面19の上の凹部23に入射される。凹部23に入射された光は、光の屈折方向を大きく変えることなく広配光レンズ16の内部に導かれて全反射面21に到達する。全反射面21に達した光は、全反射面21で全反射されて射出面20に向かうとともに、射出面20から放射される。
【0139】
第3の実施形態によると、発光モジュール51が発する光は、入射面19の上の凹部23に入射される。この結果、入射面19におけるフレネル反射による光の損失を少なく抑えることができ、光を効率よく広配光レンズ16に導くことができる。
【0140】
[第4の実施形態]
図10は、第4の実施形態を開示している。
【0141】
第4の実施形態は、グローブ61の形状が前記第1の実施形態と相違している。これ以外のLEDランプ1の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0142】
図10に示すように、グローブ61は、ランプ本体2の支持面8および光学レンズユニット6よりも径が大きい球形であり、ランプ本体2から放射状に延びる複数のステー62で支持されている。グローブ61は、光軸O1に対し同軸状に設けられているとともに、支持面8を含むランプ本体2の他端部および光学レンズユニット6を覆っている。
【0143】
グローブ61は、例えばアクリルのような透明な合成樹脂材料で構成されているが、グローブ61は透明でなくともよい。例えば、グローブ61を例えば乳白色の合成樹脂材料で構成し、グローブ61に光拡散性を付与するようにしてもよい。
【0144】
図10に示すように、グローブ61は、第1の通気孔63および第2の通気孔64を有している。第1の通気孔63および第2の通気孔64は、光学レンズユニット6を間に挟んで光軸O1の軸方向に同軸状に開口されている。本実施形態では、ランプ本体2の中間部が第1の通気孔63を貫通し、光学レンズユニット6の拡散レンズ17が第2の通気孔64に臨んでいる。
【0145】
グローブ61の内側に、空気が流れる流路65が形成されている。流路65は、第1の通気孔63および第2の通気孔64に通じている。さらに、ランプ本体2の他端部および光学レンズユニット6が流路65に露出されている。
【0146】
第4の実施形態によると、発光モジュール4は、点灯中に発熱を伴う。発光モジュール4が発した熱は、ランプ本体2の支持面8を通じてランプ本体2に拡散されるとともに、ランプ本体2の外周面から大気中に放出される。この結果、ランプ本体2の他端部を覆うグローブ61の内側の空気が温められ、グローブ61の内側の流路65に対流が生じる。
【0147】
具体的には、
図10に示すように、光学レンズユニット6の拡散レンズ17を上向きにした姿勢でLEDランプ1を点灯させた場合、流路65内の空気が自然対流により上昇する。これにより、ランプ本体2から放出された熱を受けて温められた流路65内の空気が第2の通気孔64からグローブ61の外に放出される。
【0148】
それとともに、グローブ61の外の空気が第1の通気孔63から流路65内に導入される。この結果、
図10に実線の矢印で示すように、空気がグローブ61の内側の流路65に沿って流通する。
【0149】
同様に、口金7を上向きにした姿勢でLEDランプ1を点灯させた場合は、流路65内の空気が第1の通気孔63からグローブ61の外に放出されるとともに、グローブ61の外の空気が第2の通気孔64から流路65内に導入される。この結果、空気がグローブ61の内側の流路65に沿って流通する。
【0150】
このような第4の実施形態によれば、LEDランプ1を点灯させると、グローブ61の内側の流路65に自然対流が生じ、当該流路65を流れる空気によりランプ本体2の外周面が強制的に冷やされる。
【0151】
よって、ランプ本体2の放熱性が向上し、発光モジュール4の熱を効率よく大気中に放出することができる。
【0152】
[第5の実施形態]
図11は、第5の実施形態を開示している。
【0153】
第5の実施形態は、グローブを省略して光学レンズユニット6をLEDランプ1の外に露出させた点が第1の実施形態と相違している。ランプ本体2、発光モジュール4および光学レンズユニット6の基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。このため、第5の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分は同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0154】
図11に示すように、放熱部としてのランプ本体2は、口金7の反対側に支持部71を有している。支持部71は、球面状に形成されているとともに、その外周面の一部に支持面72が形成されている。支持面72は、光軸O1に直交するフラットな面であって、当該支持面72の上に発光モジュール4が支持されている。発光モジュール4は、熱伝導性グリースを介して支持面72に熱的に接続されている。
【0155】
図11に示すように、光学レンズユニット6の広配光レンズ16は、円筒状の延出部73を備えている。延出部73は、入射面19の外周縁部からランプ本体2の支持部71に向けて一体に延出されるとともに、支持部71を同軸状に取り囲んでいる。
【0156】
支持部71は、外周面74aおよび内周面74bを有している。外周面74aは、広配光レンズ16の射出面20に連続されている。外周面74aおよび射出面20は、球面状に湾曲されているとともに、延出部73の先端に向けて広配光レンズ16の径方向に広がるような形状を有している。
【0157】
内周面74bは、広配光レンズ16の入射面19の外周縁に連続するとともに、ランプ本体2の支持部71の外周面に沿うように球面状に湾曲されている。支持部71の外周面と延出部73の内周面74bとの間には、周方向に連続する隙間75が形成されている。
【0158】
さらに、広配光レンズ16の延出部73は、入射面19から遠ざかるに従い肉厚が減少するような先細り状に形成されている。
【0159】
本実施形態によると、延出部73の内周面74bは、多数の微細な凹凸が設けられた白色の光拡散面となっている。光拡散面は、例えば直径が100μmの研磨材を内周面74bに吹き付ける、いわゆるサンドブラストによって形成されている。
【0160】
光拡散面は、サンドブラストに限らず、光を散乱させる粒子を含む塗料を内周面74bに塗布することで形成してもよい。光拡散面は、内周面74bに限らず、外周面74aに形成してもよいし、外周面74aおよび内周面74bの双方に形成してもよい。さらに、延出部73の外周面74aおよび内周面74bの双方を光沢面としてもよい。
【0161】
したがって、第5の実施形態では、広配光レンズ16がランプ本体2に一体的に連続するような形状に形成されて、当該広配光レンズ16および拡散レンズ17がグローブとしての機能を兼ねている。
【0162】
図11に光線Dで示すように、広配光レンズ16の全反射面21から射出面20に導かれた光の一部は、射出面20で光軸O1の軸方向に屈折されて延出部73に入射される。延出部73に入射された光は、球面状に湾曲された内周面74bで拡散された後、外周面74aを通じて広配光レンズ16の外に放射される。
【0163】
第5の実施形態によると、広配光レンズ16がランプ本体2の支持部71を取り囲む延出部73を有し、当該延出部73に発光モジュール4の発光面14から発せられた光が導かれる。このため、広配光レンズ16の発光領域が拡張されるとともに、光を広配光レンズ16の径方向に広がるように積極的に放射することができる。
【0164】
よって、光の広がり具合を改善することができ、配光角が広いLEDランプ1を得ることができる。
【0165】
しかも、第5の実施形態によると、発光モジュール4が発した熱は、ランプ本体2の支持部71からランプ本体2に拡散され、ランプ本体2の外周面から大気中に放出される。この際、ランプ本体2の支持部71は、広配光レンズ16の延出部73で取り囲まれているので、延出部73がランプ本体2の放熱を妨げることが考えられる。
【0166】
しかるに、広配光レンズ16の延出部73は、入射面19から遠ざかるに従い肉厚が減少するような先細り状に形成されている。広配光レンズ16を構成するアクリルは、肉厚を薄くする程、熱を伝え易い特性を有する。
【0167】
このため、支持部71の外周面に伝えられた発光モジュール4の熱は、広配光レンズ16の延出部73を伝わって大気中に放出される。したがって、広配光レンズ16の延出部73が放熱部を兼ねるランプ本体2の放熱性を損なうことはなく、発光モジュール4の熱を大気中に効率よく放出することができる。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。