(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、を備えた加工装置であって、
該測定手段は、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定し形状情報を取得する3次元測定手段と、
該3次元測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備え、
該3次元測定手段は、
複数の画素がX軸方向及びY軸方向に配列された撮像素子部と、
被加工物に対向する対物レンズを備えた干渉対物レンズユニットと、
該干渉対物レンズユニットを通して被加工物に光を照射する光照射部と、
該干渉対物レンズユニットをZ軸方向に移動してZ座標を生成するZ軸移動部と、を含み、
該処理手段は、
該干渉対物レンズユニットで生成された干渉光を捉えた該撮像素子部の画素のX座標及びY座標を記憶するXY座標記憶部と、
該画素のX座標及びY座標に対応して該Z軸移動部で生成されたZ座標を記憶するZ座標記憶部と、
該XY座標記憶部に記憶されているXY座標の画素を該Z座標記憶部に記憶されているZ座標に従って立体的に組み立てて3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、
生成された3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、
被加工物の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、
加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置。
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、を備えた加工装置であって、
該測定手段は、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定し形状情報を取得する共焦点顕微鏡を備えた3次元測定手段と、
該3次元測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備え、
該3次元測定手段は、
複数の画素がX軸方向及びY軸方向に配列された撮像素子部と、
被加工物に対向する対物レンズを備えた集光器と、
該集光器を通して被加工物に光を照射する光照射部と、
該集光器をZ軸方向に移動してZ座標を生成するZ軸移動部と、を含み、
該処理手段は、
該撮像素子部で撮像された複数の撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、
該各撮像画像に対応して該Z軸移動部から生成されたZ座標を記憶するZ座標記憶部と、
該複数の撮像画像を該Z座標記憶部に記憶されたZ座標に従って立体的に組み立てて3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、
生成された3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、
被加工物の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、
加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置。
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、該測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備えた加工装置であって、
該測定手段は、レーザー変位計から構成され、
該処理手段は、
該レーザー変位計で生成される3次元位置情報を記憶する3次元位置情報記憶部と、
該3次元位置情報記憶部に記憶されている3次元位置情報を立体的に組み立てて3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、
生成された3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、
被加工物の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、
加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置。
【背景技術】
【0002】
IC,LSI,LED等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたシリコンウエーハ、サファイアウエーハ等のウエーハは、加工装置によって個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の各種電子機器に広く利用されている。
【0003】
ウエーハの分割には、ダイサーと呼ばれる切削装置を用いたダイシング方法が広く採用されている。ダイシング方法では、ダイヤモンド等の砥粒を金属や樹脂で固めて厚さ30μm程度とした切削ブレードを、30000rpm程度の高速で回転させつつウエーハへと切り込ませることでウエーハを切削し、ウエーハを個々のデバイスへと分割する。
【0004】
一方、近年では、ウエーハに対して吸収性を有する波長のパルスレーザービームをウエーハに照射することでウエーハにレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿ってブレーキング装置でウエーハを割断して個々のデバイスへと分割する方法が提案されている。
【0005】
レーザー加工装置によるレーザー加工溝の形成は、ダイサーによるダイシング方法に比べて加工速度を速くすることができるとともに、サファイアやSiC等の硬度の高い素材からなるウエーハであっても比較的容易に加工することができる。
【0006】
また、加工溝を例えば10μm以下等の狭い幅とすることができるので、ダイシング方法で加工する場合に対してウエーハ1枚当たりのデバイス取り量を増やすことができるというメリットがある。
【0007】
ダイシング装置、レーザー加工装置においては、顕微鏡及びCCDカメラ等のカメラを備えた撮像手段によって切削溝の状態、又はレーザー加工溝の状態を撮像して加工条件を最適値に調整するように制御している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、顕微鏡及びカメラを備えた撮像手段によって撮像される画像は2次元画像であり、切削やレーザー加工による加工溝の幅や深さ、デブリの高さや幅は大まかにしか測定できず、加工溝の断面形状、デブリの体積については装置内では検出することができない。
【0010】
従って、被加工物をダイシング装置やレーザー加工装置で加工した後、別の測定装置へと被加工物を持っていき、別途測定作業を実施する必要があった。そして、測定作業で得られた3次元の加工状態の測定結果に基づいて加工条件を調整するようにしていた。研削装置においては、研削痕の凹凸状態の測定も同様の状況であった。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定可能な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明によると、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、を備えた加工装置であって、該測定手段は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定し形状情報を取得する3次元測定手段と、該3次元測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備え、該3次元測定手段は、複数の画素がX軸方向及びY軸方向に配列された撮像素子部と、被加工物に対向する対物レンズを備えた干渉対物レンズユニットと、該干渉対物レンズユニットを通して被加工物に光を照射する光照射部と、該干渉対物レンズをZ軸方向に移動してZ座標を生成するZ軸移動部と、を含み、該処理手段は、該干渉対物レンズユニットで生成された干渉光(干渉信号)を捉えた該撮像素子部の画素のX座標及びY座標を記憶するXY座標記憶部と、該画素のX座標及びY座標に対応して該Z軸移動部で生成されたZ座標を記憶するZ座標記憶部と、該XY座標記憶部に記憶されているXY座標の画素を該Z座標記憶部に記憶されているZ座標に従って立体的に組み立てて
3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、生成された
3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、被加工物
の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置が提供される。
【0013】
請求項2記載の発明によると、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、を備えた加工装置であって、
該測定手段は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定し形状情報を取得する共焦点顕微鏡を備えた3次元測定手段と、該3次元測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備え、該3次元測定手段は、複数の画素がX軸方向及びY軸方向に配列された撮像素子部と、被加工物に対向する対物レンズを備えた集光器と、該集光器を通して被加工物に光を照射する光照射部と、該集光器をZ軸方向に移動してZ座標を生成するZ軸移動部と、を含み、該処理手段は、該撮像素子部で撮像された複数の撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、該各撮像画像に対応して該Z軸移動部から生成されたZ座標を記憶するZ座標記憶部と、該複数の撮像画像を該Z座標記憶部に記憶されたZ座標に従って立体的に組み立てて
3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、生成された
3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、被加工物
の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置が提供される。
【0014】
請求項3記載の発明によると、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を設定された加工条件に基づいて加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、該加工手段によって加工された被加工物の加工領域を測定する測定手段と、該測定手段によって測定された結果を出力する出力手段と、該測定手段によって取得された情報を処理し画像情報を生成する処理手段と、を備えた加工装置であって、該測定手段は
、レーザー変位計から構成され、該処理手段は、該レーザー変位計で生成される3次元位置情報を記憶する3次元位置情報記憶部と、該3次元位置情報記憶部に記憶されている3次元位置情報を立体的に組み立てて
3次元の画像情報を生成する画像情報生成部と、生成された
3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する算出部と、
被加工物の測定対象の測定値の判定基準となる基準値を記憶する基準測定値記憶部と、を含み、
該算出部は、該基準測定値記憶部に記憶された基準値と、該加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、からなる比較データを生成する比較データ生成部を含み、被加工物
の測定対象は、該加工手段によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、該加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、該加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含み、
該出力手段は、該画像情報生成部によって生成された3次元の画像情報を表示し、加工後の被加工物を加工装置から取り出すことなく加工領域を測定できることを特徴とする加工装置が提供される。
【0015】
好ましくは、
前記基準測定値記憶部は、前記加工手段により適正な加工が施された被加工物の基準値を記憶する。
【0016】
好ましくは、
前記処理手段は、該基準測定値記憶部に記憶されている基準値と、前記加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値と、を比較し、該加工手段による加工を中止するか否か、又は該加工条件を変更するか否かを判定する判定部を含んでいる。
前記加工手段は、レーザービームを照射するレーザービーム照射手段から構成されても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明の加工装置によると、切削溝、レーザー加工溝、チッピング、デブリ、又は研削痕等の3次元画像、断面画像からそれらの幅や高さ、体積のデータを加工直後に加工装置内で取得して加工状態を検証することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、第1実施形態の3次元測定手段を具備したレーザー加工装置の斜視図が示されている。レーザー加工装置2は、静止基台4上にY軸方向に移動可能に搭載された第1スライドブロック6を含んでいる。
【0020】
第1スライドブロック6は、ボールねじ8及びパルスモータ10から構成される割出し送り機構12により、一対のガイドレール14に沿って割り出し送り方向、即ちY軸方向に移動される。
【0021】
第1スライドブロック6上には第2スライドブロック16がX軸方向に移動可能に搭載されている。即ち、第2スライドブロック16はボールねじ18及びパルスモータ20から構成される加工送り機構22により、一対のガイドレール24に沿って加工送り方向、即ちX軸方向に移動される。
【0022】
第2スライドブロック16上には円筒支持部材26を介してチャックテーブル28が搭載されており、チャックテーブル28は割り出し送り機構12及び加工送り機構22によりY軸方向及びX軸方向に移動可能である。
【0023】
チャックテーブル28には、チャックテーブル28に吸引保持されたウエーハをダイシングテープを介して支持する環状フレームをクランプするクランプ30が設けられている。
【0024】
静止基台4にはコラム32が立設されており、このコラム32にはレーザービーム照射ユニット34が取り付けられている。レーザービーム照射ユニット34は、ケーシング36内に収容されたレーザービーム発生ユニットと、レーザービーム発生ユニットから発生されたレーザービームをチャックテーブル28に保持された被加工物に照射するケーシング36に取り付けられた集光器(レーザーヘッド)38とから構成される。
【0025】
ケーシング36には、
図2(A)に示すように、凹部42を有する支持ブロック40が固定されており、この支持ブロック40にはボールねじ44と、ボールねじ44の一端に連結されたパルスモータ46が配設されている。
【0026】
48は本発明第1実施形態の3次元測定ユニット(3次元測定手段)であり、3次元測定ユニット48の嵌合部50が支持ブロック40の凹部42に嵌合し、嵌合部50に形成された貫通穴52内にボールねじ44が貫通し、ボールねじ44が嵌合部50に内蔵されたナットに螺合している。
【0027】
3次元測定ユニット48は、対物レンズ及び共焦点顕微鏡を収容した集光器(画像拡大ユニット)54と、集光器54で拡大した画像を撮像するCCD等の撮像素子を有するカメラ(撮像素子部)56と、対物レンズ及び共焦点顕微鏡を収容した集光器54を介して被加工物に光を照射する白色LEDからなる光照射部58を含んでいる。
【0028】
パルスモータ46を駆動するとボールねじ44が回転し、ボールねじ44に螺合しているナットを介して3次元測定ユニット48が上下方向に移動される。共焦点顕微鏡を備えた集光器54によれば、ピントが合った部分だけを切り取ったような拡大画像を得ることができる。
【0029】
図3を参照すると、第1実施形態の3次元測定ユニット48によって取得された情報を処理し画像情報を生成する第1実施形態の処理手段のブロック図が示されている。上述したように、共焦点顕微鏡を収容した集光器54によれば、共焦点顕微鏡により、合焦点部位のみがピンホールに集光するため、非合焦部位の光をカットし、コントラストの良い画像が得られると同時に、ハーフミラーをXY方向にラスタースキャンさせ、レンズをZ方向に駆動させることで、3次元画像が構築でき、パルスモータ46を駆動して3次元測定ユニット48を上下方向に移動し、集光器54で拡大した画像をカメラ56で撮像する。
【0030】
3次元測定ユニット48を上下方向に非常に微小な距離段階的に移動しながら、被加工物の拡大画像をカメラ56で撮像し、複数枚の撮像画像を撮像画像記憶部64で記憶する。
【0031】
これと同時に、各撮像画像を撮像した時の3次元測定ユニット48の高さ位置(Z座標)をZ座標記憶部66で記憶する。拡大撮像画像としては、例えばレーザー加工溝の撮像画像が挙げられる。
【0032】
画像情報生成部68では、撮像画像記憶部64で記憶している複数枚の撮像画像とZ座標記憶部66で記憶している各撮像画像取得時のZ座標に従って、複数枚の撮像画像を立体的に組み立てて3次元の画像情報を生成する。
【0033】
算出部70では、画像情報生成部68で生成された3次元の画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する。測定対象としては、加工手段(本実施形態ではレーザービーム照射ユニット34)によって被加工物に形成された加工溝の幅、深さ、形状及び位置と、加工溝付近に堆積したデブリの幅、高さ、体積及び形状と、加工溝のエッジ部の欠けの幅、深さ、形状のいずれかを含む。
【0034】
基準測定値記憶部74には、測定値の判定基準となる基準値が記憶されている。この基準値は、加工手段により適正な加工が施された被加工物の加工領域の測定値である。算出部70は、基準測定値記憶部74に記憶された基準測定値と、加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値とからなる比較データを生成する比較データ生成部72を有している。
【0035】
判定部76では、基準測定値記憶部74で記憶されている基準測定値と、算出部70で算出された加工手段により加工が施された被加工物の加工領域の測定値とを比較し、加工手段による加工を中止するか又は加工条件を変更するかを判定する。
【0036】
加工条件設定部78は、加工条件記憶部80と、適正画像情報記憶部82と、加工条件調整部84とを含んでいる。判定部76で加工条件を変更すべきと判定した場合には、加工条件調整部84で加工条件を最適な値に調整する。
【0037】
一方、被加工物の加工領域の測定値が基準測定値から大きくはずれており、加工条件を変更しただけでは最適な加工ができないと判断した場合には、加工手段による加工を中止する。本実施形態では、
撮像画像記憶部64、Z座標記憶部66、画像情報生成部68、算出部70、基準測定値記憶部74及び判定部76で処理手段を構成する。
【0038】
次に、
図4及び
図5を参照して、レーザー加工溝に第1実施形態の3次元測定手段による測定方法を適用した場合について説明する。
図4(A)に示すように、被加工物の一種である半導体ウエーハ(以下、単にウエーハと略称することがある)86の表面には分割予定ライン90を挟んでデバイス88が形成されている。ウエーハ86の表面にはPVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)等の水溶性樹脂からなる保護膜87が形成されている。
【0039】
ウエーハ86に対して吸収性を有する波長(例えば355nm)のパルスレーザービーム91を分割予定ライン90に沿って照射すると、アブレーション加工により
図4(B)に示すようなレーザー加工溝92が形成される。
【0040】
ところが、ウエーハ86にパルスレーザービーム91を照射すると、パルスレーザービーム91が照射された領域に熱エネルギーが集中してデブリ94が発生し、このデブリ94が保護膜87に付着する。
【0041】
3次元測定ユニット48でレーザー加工溝92を測定し、撮像画像記憶部64に記憶されている複数の撮像画像及びZ座標記憶部66に記憶されている各撮像画像取得時のZ座標に基づいて、画像情報生成部68で各撮像画像を立体的に組み立てて3次元の画像情報を生成する。
【0042】
そして、算出部70で、生成された3次元画像情報に基づいてウエーハ86のレーザー加工溝92の測定値を算出する。この測定値としては、レーザー加工溝92の幅W1、深さD1、レーザー加工溝92の形状及び位置と、レーザー加工溝92付近に堆積したデブリ94の幅、高さ、体積及び形状を含んでいる。
【0043】
画像情報生成部68で生成された3次元画像情報95及び算出部70で算出された測定値96は、
図5に示すように、出力手段としての表示モニタ62上に表示される。同時に、例えばデブリ体積の比較データ98も表示される。この比較データ98は、デブリ94の幅、高さ等であってもよい。
【0044】
次に、
図6を参照して、ダイシングによる加工溝について説明する。
図6(A)はウエーハ86の一部平面図、
図6(B)はウエーハ86の一部断面図である。切削ブレードを使用したダイシングにより、ウエーハ86の分割予定ライン90に沿ってダイシング加工溝100を形成すると、ダイシング加工溝100の両側にチッピング(欠け)102が発生することがある。
【0045】
そこで、3次元測定ユニット48でダイシング加工溝100を測定し、撮像画像記憶部64に複数枚の撮像画像を記憶し、Z座標記憶部66に各撮像画像取得時のZ座標を記憶する。
【0046】
撮像画像記憶部64に記憶されている複数枚の撮像画像と各撮像画像取得時のZ座標とに基づいて、画像情報生成部68で各撮像画像を立体的に組み立ててダイシング加工溝100の3次元画像情報を生成する。
【0047】
算出部70では、画像情報生成部68で生成された3次元画像情報に基づいてウエーハ86に形成されたダイシング加工溝100の測定値を算出する。測定値としては、ダイシング加工溝100の幅、深さ、形状及びエッジ部に形成されたチッピング(欠け)102の幅等が挙げられる。
【0048】
画像情報生成部68で生成されたダイシング加工溝100の3次元画像及び算出部70で算出されたダイシング加工溝100の各測定値は、
図5に示したレーザー加工の場合と同様に、表示モニタ62上に表示される。
【0049】
上述した実施形態では、3次元測定ユニット48として
図2に示すような共焦点顕微鏡を利用した構成について説明したが、第2実施形態では、3次元測定手段として、レーザー変位計(レーザー測定器)を使用するようにしてもよい。
【0050】
即ち、レーザー変位計104で測定対象である例えば
図4(B)に示すようなレーザー加工溝92を走査し、
図7に示すように、3次元位置情報記憶部106でレーザー加工溝92の3次元位置情報を記憶する。
【0051】
この場合、レーザー変位計104は
図1に示すケーシング36に固定し、チャックテーブル28をX軸方向及びY軸方向に移動して、レーザー加工溝92の3次元位置情報を取得する。
【0052】
画像情報生成部68Aでは、3次元位置情報記憶部106に記憶されている3次元位置情報を立体的に組み立てて3次元画像情報を生成する。算出部70、基準測定値記憶部74、判定部76及び加工条件設定部78の作用は、
図3に示した第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0053】
このように、本実施形態では、3次元測定手段としてレーザー変位計104を使用するので、測定対象物の3次元座標を直ちに取得することができ、この3次元位置情報を3次元位置情報記憶部106で記憶する。本実施形態では、3次元位置情報記憶部106、画像情報生成部68A、算出部70、基準測定値記憶部74及び判定部76で処理手段を構成する。
【0054】
次に、3次元測定手段として干渉対物レンズを利用した本発明の第3実施形態を
図8乃至
図11を参照して説明する。本実施形態では、
図2(B)に示すように、3次元測定ユニット48Aを支持ブロック40に上下動可能に取り付ける。
【0055】
110は3次元測定ユニット48Aのハウジングであり、ハウジング110には干渉対物レンズユニット112及び撮像素子部(カメラ)56が装着されている。ハウジング110内には更に、白色LEDからなる光照射部118及びハーフミラー120が配設されている。
【0056】
パルスモータ46を駆動するとボールねじ44が回転し、ボールねじ44に螺合しているナットを介して3次元測定ユニット48Aが上下方向に移動される。従って、3次元測定ユニット48Aで加工領域の測定を行いたい場合には、パルスモータ46を駆動して3次元測定ユニット48Aを測定領域上方の測定開始位置に位置付ける。
【0057】
114は圧電素子であり、電源116から供給される可変電圧に応じて例えば
図9に示すようにその長さが変位(伸長)する。従って、圧電素子114の変位量に応じて、干渉対物レンズユニット112の高さ位置(Z座標)が変化する。
【0058】
図8(B)を参照すると、干渉対物レンズユニット112の模式図が示されている。干渉対物レンズユニット112は、対物レンズ122と、ガラス板124に配設された参照ミラー26と、ハーフミラー128とを有している。
【0059】
ハーフミラー128に対して、対物レンズ122の焦点位置と対称位置に参照ミラー126を配設する。このように構成された干渉対物レンズユニット112にはミラウ(ミロー)型干渉対物レンズユニットやマイケルソン型等がある。
【0060】
白色光源118から出射された白色光は、ハーフミラー120で反射されて干渉対物レンズユニット112を介して被加工物表面に照射される。被加工物表面からの反射光と参照ミラー126から反射した光が干渉すると、対物レンズ122の焦点が合っている位置では両方が重なり合って鮮明な干渉縞を生じ、焦点が合った位置で干渉光(干渉信号)が発生する。
【0061】
従って、圧電素子114に印加する電圧を変化させて、干渉対物レンズユニット112を通して被加工物表面を撮像素子部56で撮像すると、
図10に示すように、測定対象物の焦点が合った位置で光が強く干渉するためドット11として検出できる。
【0062】
干渉対物レンズユニット112の高さを
図10(A)〜
図10(C)に示すようにZ1〜Z3に変化させて、撮像素子部56で複数の画像を撮像する。Z1はレーザー加工溝の底部近辺、Z2は中程、Z3は表面近辺のドット11を示している。
【0063】
3次元測定ユニット48Aで生成された干渉光(干渉信号)を捉えた撮像素子部56の画素のX座標及びY座標を、
図11に示すように、XY座標記憶部130で記憶する。これと同時に、干渉光を捉えた画素のX座標及びY座標に対応して
図9に示すグラフから圧電素子114の変位量を求め、この変位量から干渉対物レンズユニット112のZ座標を求め、このZ座標をZ座標記憶部66で記憶する。
【0064】
画像情報生成部68Bでは、XY座標記憶部130に記憶されている画素のXY座標と、Z座標記憶部66に記憶されている当該画素取得時のZ座標を立体的に組み立てて3次元画像情報を生成する。
【0065】
算出部70では、生成された3次元画像情報に基づいて被加工物の測定対象の測定値を算出する。尚、算出部70、基準測定値記憶部74、判定部76及び加工条件設定部78の作用は
図3に示した第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。本実施形態では、Z座標記憶部66、XY座標記憶部130、画像情報生成部68B、算出部72、基準測定値記憶部74及び判定部76で処理手段を構成する。
【0066】
本実施形態では、干渉対物レンズユニット112を利用して3次元測定ユニット48Aを構成する。従って、上述した第1及び第2実施形態と同様に、加工後の切削溝、レーザー加工溝、チッピング、デブリ、又は研削装置による研削痕等の3次元画像を取得し、断面画像からそれらの幅や高さ、体積のデータを加工直後に加工装置内で取得して被加工物の加工状態を検証することができる。
【0067】
上述したように、3次元測定手段は、顕微鏡による画像を高さ方向で重ねて処理し3次元画像を生成する第1実施形態の共焦点顕微鏡、第2実施形態のレーザー変位計104、干渉対物レンズユニット112を利用する3次元測定ユニットを含んでいる。
【0068】
3次元測定手段を備えた本発明の加工装置によると、複数の異なる加工条件を連続して実施し、それぞれの加工条件ごとに連続して加工状態を測定し、その測定結果を比較することができ、加工条件の選定を効率的に行えることができる。
【0069】
以下、上述した本発明の加工装置の適用可能範囲について概略的に説明する。本発明は、3次元顕微鏡による定量測定であり、適用可能範囲は以下の6項目に分類される。
【0070】
(1)良好な加工の測定範囲内を入力し良否判定する。この良否判定は、レーザー出力、送り速度、レンズデフォーカス、レーザー周波数、ビーム形状等の加工条件を変更して実施する。
【0071】
(2)加工中に良好な測定範囲内を入力し良否判定する。この良否判定は、レーザー出力、送り速度、レンズデフォーカス、レーザー周波数、ビーム形状等の加工条件を変更しながら実施する。測定結果が否と判定された場合には、加工を停止する。
【0072】
(3)複数の加工条件を入力し、加工結果の変化量をディスプレイ上に表示する。例えば、パラメーター変化による加工結果をグラフ化して表示する。
【0073】
(4)所定部位の良好な加工の測定範囲を入力し、自動最適加工条件を探索する。
【0074】
(5)比較画像(基準画像)と対象画像の変化量は、デブリ堆積量、カーフ幅、デブリ高さ、加工深さ、カット位置等を含んでいる。それぞれの変化量は、加工溝形成を深さ方向に複数回実施する複数パス及び加工溝形成を面方向に複数回実施するマルチカットを含む。
【0075】
(6)カーフ幅及び加工深さを変化させる複数カットによる自動焦点出し